JPH06100990A - 高温強度に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
高温強度に優れたフェライト系ステンレス鋼Info
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- JPH06100990A JPH06100990A JP25085092A JP25085092A JPH06100990A JP H06100990 A JPH06100990 A JP H06100990A JP 25085092 A JP25085092 A JP 25085092A JP 25085092 A JP25085092 A JP 25085092A JP H06100990 A JPH06100990 A JP H06100990A
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Abstract
提供。 【構成】下記の化学組成の鋼。C:0.02%以下、Si:1.
0 %以下、Mn:1.0 %以下、P:0.04%以下、S:0.00
5 %以下、Cu:0.1 〜1.0 %、Cr:18〜22%、Mo:1.0
%を超えて2.0 %まで、Nb:0.1 〜1.0 %、N:0.02%
以下、Al:0.20%以下、B:0.001 %を超えて0.01%ま
で、残部:Feおよび不可避的不純物。ただし、Cおよび
Nの含有量はC+N≦0.03%を満たす。 【効果】950 ℃以上の高温強度と成形性に優れ、高温排
ガスに曝される自動車エキゾースト・マニホールド用な
どとして好適である。
Description
優れ、例えば自動車排気系のエキゾースト・マニホール
ドの材料として好適なフェライト系ステンレス鋼に関す
る。
マニホールドは、エンジンから排出される高温の燃焼ガ
スと接触する部位にあり、耐酸化性に優れ、高温強度の
高いことが要求される。従来、エキゾースト・マニホー
ルドは鋳鉄製が一般的であったが、最近、エンジン性能
の向上、車体軽量化による燃費向上の目的から、ステン
レス鋼の溶接管がエキゾースト・マニホールド用材料と
して使用されつつある。
のエキゾースト・マニホールドと比べて30%から40%の
軽量化が期待できる。
ライト系とに大別される。その中、オーステナイト系ス
テンレス鋼は、優れた耐熱性と加工性を有しているが、
Ni含有量が高いため高価であるので自動車部品などの大
量生産品に適用するには問題がある。また、オーステナ
イト系ステンレス鋼は、フェライト系ステンレス鋼に比
べて熱膨張係数が大きく、加熱−冷却の繰り返しを受け
た場合、熱歪みに起因する熱疲労によって破壊が生じや
すい。
の面からは、オーステナイト系ステンレス鋼よりもフェ
ライト系ステンレス鋼がエキゾースト・マニホールド用
材料として適している。しかし、従来の 430系 (16〜18
%Cr) のフェライト系ステンレス鋼では、耐酸化性も高
温強度も十分ではなく、900 ℃を超える環境での高温エ
キゾースト・マニホールド用としては性能が不十分であ
った。
は、例えば、特開昭64−8254号公報に、Cr:17〜20%、
Mo:1.0 %以下を含有する耐高温酸化性、高温強度等に
優れたフェライト系ステンレス鋼が示されている。この
ステンレス鋼は、実施例のデータが 900℃までの試験結
果であるところから明らかなように、900 ℃を超える高
温での耐酸化性および高温強度は必ずしも十分ではな
い。
950℃以上となる条件下でも使用でき、特に自動車エキ
ゾースト・マニホールド等に用いるのに適した材料の開
発を課題としてなされたものであり、具体的には下記の
ような耐高温酸化性、高温強度および成形性を同時に兼
ね備える材料の提供を目的とする。
大気中加熱で異常酸化の発生がない。
gf/mm2以上である。 (3) 溶接管にする前の素材鋼板の成形性として、伸びが
30 %以上である。
化学組成を有し、特に高温強度と成形性に優れたフェラ
イト系ステンレス鋼にある。( 以下、成分含有量の%は
重量%を意味する。) C: 0.02%以下、 Si: 1.0 %以下、 Mn: 1.0 %以
下、 P: 0.04%以下、 S: 0.005 %以下、 Cu: 0.1 〜1.
0 %、 Cr: 18〜22%、 Mo: 1.0 %を超えて 2.0%まで、 Nb:0.1〜1.0 %、 N: 0.02%以下、 Al:0.20%以下 B:0.001%を超えて0.01%まで、 残部はFe及び不可避的不純物で、かつC+N≦0.03%を
満足する。
よって、前記の目的を達成する優れた特性を発揮するの
であるが、その主な特徴は以下の点にある。
含有量。
%、Cu:0.5%、Mo:1%、Nb:0.5%、N:0.01%をベース
組成としてCr含有量だけを12〜24%の範囲で変化させ、
後述する実施例で用いた試験方法で異常酸化防止に必要
なCr含有量を求めた結果を図示したものである。異常酸
化の定義は、大気中で 100時間加熱したときの酸化増量
で5mg/cm2以上とした。図示のとおり、Cr含有量が増す
につれて異常酸化がおきる温度は高くなる。言い換えれ
ば、使用温度が高くなるほど、異常酸化を防止するため
のCrの必要量が増す。そして、950 ℃での異常酸化を防
止するにはCrが18%以上必要である。
Bの含有量。
%、Cu:0.5%、Cr:19%、Nb:0.5%、N:0.01%をベー
ス組成としてMo含有量を 0〜4%、Bの含有量を 0〜0.
005 %の範囲で変化させた鋼の 950℃での引張り強さの
調査結果である。前述の 950℃で 2.2 kgf/mm2以上の引
張強さという目的を達成するには、1.0 %を超えるMoお
よび 0.001%を超えるBを含有させればよいことがわか
る。
素) の合計含有量。
が必要である。図3は、Si:0.4 %、Cu:0.5 %、Cr:
19%、Mo:1%、Nb:0.5 %、B:0.003 %をベース組
成としてCとNの含有量と伸びとの関係を調べた結果で
ある。C、Nのそれぞれが低いほど、伸びが大きくなる
が、CとNの含有量の合計 (C+N) で0.03%以下であ
れば、目的とする30%以上の延びが確保できる。
関して個々に作用と含有量の限定理由を説明する。
させ成形性を低下させる不純物であり、できるだけ少な
い方がよい。前記のように、鋼板における30%以上の伸
びを確保するにはCは0.02%以下、Nも0.02%以下と
し、かつC+Nで0.03%以下とする必要がある。
が硬質化するので、Siは 1.0%以下、Mnも 1.0%以下と
しなければならない。
する不純物で、鋼の機械的性質をはじめ種々の特性に悪
影響を及ぼすからできるだけ低い方がよい。本発明で
は、特に溶接部の高温割れ(凝固割れ)を防止するため
Pは0.04%以下、Sは 0.005%以下に規制する。
り性を改善する作用を持つ。しかしながら、1.0 %を超
えると降伏強度が高くなり過ぎて成形性が損なわれるか
ら、0.1〜1.0 %の範囲で含有させるのがよい。
酸化性の向上に有効であり、特に18%以上含有させると
950℃でも異常酸化が発生しないようになる。ただし、
Crが22%を超えると、鋼板の成形性が低下するので22%
を上限とする。
重要である。前述の図2に示すように、目標とする 950
℃で2.2kgf/cm2以上の引張強さを得るには後述のBの添
加とともに1%を超えるMoが必要である。一方、Mo含有
量が 2.0%を超えると鋼の成形性が低下するとともに熱
延板の靱性も低下して製造が困難となる。従って、Moの
適正含有量は、1.0 %を超えて 2.0%までの範囲であ
る。
析出を抑制して耐酸化性を向上させる作用がある。ま
た、Nbは固溶状態で高温強度を改善する効果も大きい。
これらの効果が明らかになるのは 0.1%からであるが、
1.0 %を超えると鋼が硬質化するので上限は 1.0%とす
る。
元素である。Bはオーステナイト系ステンレス鋼に添加
した場合に、 600〜800 ℃におけるクリープ強度を高め
るという現象は知られている。しかし、フェライト系ス
テンレス鋼に添加して高温強度を改善したという例は見
られない。
ェライト系ステンレス鋼においても高温強度の向上に顕
著な効果があることを確認した。その理由は未だ明確で
はないが、Bは一般的には粒界に偏析しやすいと考えら
れているので、結晶粒界に偏析してP、Sなどの不純物
元素を排出し、粒界すべりを阻止することにより高温強
度を上昇させるものと推定される。
図2に示すように、Moと共に添加することにより、950
℃での引張り強さを上昇させる。目的とする 950℃で2.
2kgf/mm2以上の引張り強さを得るには 0.001%を超える
Bが必要である。一方、B含有量が0.01%を超えると鋼
の成形性が低下するとともに熱延板の靱性も低下して製
造が困難となる。従って、Bの上限は0.01%とする。
て成形性を改善する効果がある。このような効果のある
上限は 0.2%であり、それを超えると固溶Alが靱性を低
下させるという弊害が現れる。
ステンレス鋼の製造方法と本質的に変わらない。電気炉
または転炉で溶製し、AOD 炉、VOD 炉等で精錬して連続
鋳造法または造塊−分塊法でスラブとし、以下、熱間圧
延、冷間圧延の工程を経て板とし、これを素材として溶
接管を製造する。エキゾースト・マニホールド用素材と
なるのは、この溶接管である。熱処理としては 950〜10
50℃で 0.5〜30分均熱したのち空冷する処理が望まし
い。
00kg真空溶解炉で溶解し、鍛伸と熱間圧延を行った後、
950 ℃で焼鈍し酸洗した後、さらに 6.0mm厚から 2.5mm
厚まで冷間圧延し、950 ℃で仕上げ焼鈍を施した。
して常温でコイルを展開し、その時コイルに割れが発生
したものは、熱延板の靱性が劣るものと評価した。
工の際には、管に展伸、曲げ、拡管など厳しい加工が加
わる。かかる加工に耐えるには素材の板での加工性を向
上させることが必要である。加工性は板の伸びとの相関
性が強く、板の延びが30%以上必要なことが多数の試験
結果から明らかとなっている。そこで、前記の仕上焼鈍
板からJIS 13B 号の引張り試験片を採取し、板伸びを測
定した。
要とされる高温強度を満たすか否かを判断するため、JI
S 標準の高温引張り試験片に加工し、950 ℃で高温引張
り試験を行った。
×30(mm)の試験片に加工し、600 番までのエメリー紙で
研磨し脱脂したうえ、950 ℃の大気中で 100時間の酸化
試験を行った。
No.1は本発明で定める範囲の標準的化学組成を有するも
のであり、いずれの特性も良好である。No.2は特にCと
Nを低くした鋼で、板伸びが優れている。No.3はCrとMo
の含有量が下限値に近いのものであり、高温強度は 2.2
kgf/mm2 とかろうじて目標値に達している。No.4はCr、M
o、Nbが上限値に近く、高温強度が優れているが、板伸
びが30%と目標値の下限いっぱいである。
く、No.6はC、SiおよびNが低く、伸びが良好である。
No.7もC、Si、MnおよびNが低く、板伸びがさらに優れ
る。
り、板伸びは優れるが高温強度は目標値の下限いっぱい
である。No.9はBが上限値に近く、高温強度が優れる。
No.10はCuが0.14%と下限値に近いために、伸びも30%
と目標の最低値である。 No.11はNbが0.92%と高いので
高温強度に優れている。
含有量が本発明で定める範囲をはずれた比較鋼である。
劣る。また、高Moのため、熱延板の靱性が劣り、コイル
展開時に割れが発生した。 No.13はC+Nが 0.049%と
高いために板伸びが26%と極めて小さい。No.14 はCrと
Moが低すぎるため異常酸化が発生し、高温強度も目標値
を下回っている。No.15 はCrが高すぎるため、板伸びが
劣っている。No.16 はNbが1.23%と高すぎて、靱性も低
下し、コイル展開時に割れが発生した。
鋼は 950℃での耐酸化性および高温強度が高く、しかも
伸びが大きく加工性においても優れた鋼である。
50℃における高温強度、耐酸化性に優れ、しかも伸びが
大きく延性に富む。この鋼は種々の機器材料として広く
使用できるが、特に溶接管とした後の成形加工も容易で
あるから、排ガス温度が 950℃に達する条件で使用され
る高温エキゾースト・マニホールドの材料として好適で
ある。本発明鋼で作製されたエキゾースト・マニホール
ドは、従来の鋳物製のものに較べてはるかに軽いという
大きな利点もある。
る。
示す図である。
図である。
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で、C:0.02%以下、Si:1.0%以
下、Mn:1.0%以下、P:0.04%以下、S:0.005%以下、
Cu:0.1〜1.0 %、Cr:18〜22%、Mo:1.0%を超えて 2.0
%まで、Nb:0.1〜1.0 %、N: 0.02%以下、Al:0.20%
以下、B:0.001%を超えて0.01%まで、残部はFeおよび
不可避的不純物からなり、かつC+N≦0.03%を満足す
る化学組成を持ち、高温強度と成形性に優れたフェライ
ト系ステンレス鋼。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25085092A JP2942073B2 (ja) | 1992-09-21 | 1992-09-21 | 高温強度に優れたエキゾースト・マニホールド用フェライト系ステンレス鋼 |
CA002085790A CA2085790C (en) | 1991-12-19 | 1992-12-18 | Steel for use in exhaust manifolds of automobiles |
EP92121600A EP0547626B1 (en) | 1991-12-19 | 1992-12-18 | Exhaust manifold |
DE69221096T DE69221096T2 (de) | 1991-12-19 | 1992-12-18 | Auspuffkrümmer |
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JP2942073B2 JP2942073B2 (ja) | 1999-08-30 |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007016306A (ja) * | 2005-06-09 | 2007-01-25 | Jfe Steel Kk | ベローズ素管用フェライト系ステンレス鋼板 |
JP2007016307A (ja) * | 2005-06-09 | 2007-01-25 | Jfe Steel Kk | ベローズ素管用フェライト系ステンレス鋼板 |
JP2007016305A (ja) * | 2005-06-09 | 2007-01-25 | Jfe Steel Kk | ベローズ素管用フェライト系ステンレス鋼板 |
US7267730B2 (en) | 2004-04-02 | 2007-09-11 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corporation | Ferrite stainless steel for automobile exhaust system member superior in thermal fatigue strength |
JP2008285693A (ja) * | 2007-05-15 | 2008-11-27 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 耐熱疲労性に優れた自動車排気系用フェライト系ステンレス鋼板 |
EP2351868A4 (en) * | 2008-10-24 | 2016-11-30 | Nippon Steel & Sumikin Sst | FERRITIC STAINLESS STEEL PLATE FOR EGR COOLING DEVICES |
-
1992
- 1992-09-21 JP JP25085092A patent/JP2942073B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2942073B2 (ja) | 1999-08-30 |
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