JP2002030346A - 成形性に優れたCr含有耐熱耐食鋼板の製造方法 - Google Patents

成形性に優れたCr含有耐熱耐食鋼板の製造方法

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JP2002030346A JP2000212491A JP2000212491A JP2002030346A JP 2002030346 A JP2002030346 A JP 2002030346A JP 2000212491 A JP2000212491 A JP 2000212491A JP 2000212491 A JP2000212491 A JP 2000212491A JP 2002030346 A JP2002030346 A JP 2002030346A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷延圧下率が低くても、耐熱性や耐食性を維
持したまま、優れた成形性(主として、深絞り性)を得
ることが可能なCr含有耐熱耐食鋼板の製造方法を提案す
る。 【解決手段】 質量%で、C:0.02%以下、Si:1.5 %
以下、Mn:2.0 %以下、P:0.06%以下、S:0.02%以
下、Cr:6 〜30%、N:0.02%以下、Nb:10×{(%
C)+(%N)}を超え、1.0 %以下、V:0.01〜0.5
%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組
成の鋼を熱延終了温度 600〜850 ℃で熱間圧延し、次い
で、Nb量、熱延開始温度(FET)および熱延終了温度
(FDT)をパラメーターとする、(90×K−80)℃〜
(90×K+80)℃、ただし、K=2×(Nb%)+( 0.3
×FET + FDT)/100 、の温度範囲で熱延板焼鈍を行
い、その後、冷間圧延して、 950〜1100℃の温度範囲で
仕上げ焼鈍を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、オートバ
イ、発電プラントなどにおける耐熱部材、あるいはモー
ル材、厨房品などにおける耐食部材として用いて好適な
鋼板であって、とくに加工時の成形性に優れたCr含有耐
熱耐食鋼板の製造方法に関する。なお、本発明にいう鋼
板は、鋼帯をも含む意味とする。
【0002】
【従来の技術】自動車の排気部材(エキゾーストマニホ
ールド、排気パイプ、コンバーターケース、マフラー
等)などには、一般に、耐熱性と耐食性を向上させるた
めにNbやMoを添加したCr含有鋼板、例えば Type429 (15
%Cr-0.8%Si-0.4%Nb) 、Type436J1L (18%Cr-0.4%Nb
-0.5%Mo) が使用されている。これらの排気部材は車体
の限られたスペースに収容するように製造されるため、
その製造工程で過酷な深絞り加工が施される。このた
め、自動車の排気部材などに用いられる鋼板には、耐熱
性のほかに、優れた成形性が求められる。この傾向は、
最近、ますます強まり、鋼板にはより高度な成形性が要
請されるようになってきた。一方、モール材、厨房品な
どでは、特開昭56−123327号公報に示されているよう
に、表面性状や耐食性が重視され、通常は、18Cr系のNb
添加鋼、例えば、Type430J1L (18%Cr-0.4%Nb-0.5%C
u) 、Type444 (18 %Cr-0.4%Nb-2.0%Mo) が用いられ
ている。この分野で用いられる鋼板にも、同時に優れた
成形性が求められるようになって、従来のNb添加鋼では
加工不良が多発していた。
【0003】ところで、Cr含有鋼板の成形性を向上させ
るため、これまでにも幾つかの提案がなされてきた。例
えば、特開昭56−123327号公報には、熱延終了温度(F
DT)を規制することにより、成形性を高める技術が開
示されている。しかし、この技術によっても、未だ今日
の厳しい成形性へのニーズを満たすには至っていない。
また、従来から、成形性の向上には、冷延圧下率を高め
る必要があることが知られており、前記特開昭56−1233
27号公報には、冷延圧下率を80%とした例示がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記冷
延圧下率を高める技術においては、冷延原板である熱延
鋼板(以下、熱延板と記すことがある)の板厚が必然的
に大となるので、冷間圧延時に破断等が生じて製造困難
になる危険性があった。それは例えば、冷延板の仕上げ
厚が2mmと厚いような場合、圧下率80%を確保して冷
間圧延するためには、熱延板の板厚は10mmにもなり、
このような場合、熱延板連続焼鈍ラインなどの連続処理
ライン内で、ブライドルロール箇所など、処理しようと
する熱延板に曲げの力を作用させてしまう箇所に溶接点
がきたときに、溶接部において熱延板表層に、曲げによ
る力が作用して亀裂が入り、さらに板厚方向に伝播して
ついには破断に至る、というようなメカニズムによる。
したがって、例えば、冷間圧延の仕上げ厚が2mmの場
合に、熱延板の板厚を5mm(冷延圧下率にして60%)
程度と低くした場合でも、十分な成形性改善効果が得ら
れる製造方法の開発が強く望まれる。
【0005】本発明は、従来技術が抱えている、かかる
問題を解決するための新規な提案であり、冷延圧下率が
80%未満であっても、Cr含有鋼板が有している耐熱性や
耐食性を維持したまま、優れた成形性(主として、深絞
り性)を得ることが可能なCr含有耐熱耐食鋼板の製造方
法を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題を
解決するために、Cr含有鋼板の製造方法について詳細な
検討を行った。その結果、従来はほとんど顧みられてい
なかった熱延開始温度(FET)に着目し、成形性の向
上にはこのFETのほか、熱延終了温度(FDT)およ
び鋼中Nb量と、焼鈍温度との関係が一定の範囲に入るよ
うな条件で製造することが重要であるとの結論に達し
た。具体的には、FET、FDTおよびNb量をパラメー
ターとして決まる所定の温度範囲で、熱延板を焼鈍する
ことにより、冷延圧下率が80%未満でも優れた成形性を
得ることを知見した。本発明は、上記知見に基づくもの
であり、その要旨構成は以下のとおりである。
【0007】(1) 質量%で、C:0.02%以下、Si:1.5
%以下、Mn:2.0 %以下、P:0.06%以下、S:0.02%
以下、Cr:6 〜30%、N:0.02%以下、Nb:10×{(%
C)+(%N)}を超え、1.0 %以下、V:0.01〜0.5
%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組
成の鋼を熱延終了温度 600〜850 ℃で熱間圧延し、次い
で、Nb量、熱延開始温度(FET,℃)および熱延終了
温度(FDT,℃)をパラメーターとする、 (90×K−80)℃〜(90×K+80)℃、 ただし、K=2×(Nb%)+( 0.3×FET + FDT)/10
0 、の温度範囲で熱延板焼鈍を行い、その後、冷間圧延
して、 950〜1100℃の温度範囲で仕上げ焼鈍を行うこと
を特徴とする成形性に優れたCr含有耐熱耐食鋼板の製造
方法。
【0008】(2) 上記 (1)において、鋼がさらに、質量
%で、Mo:3.0 %以下、Cu:1.0 %以下から選ばれる1
種又は2種を含有する組成からなることを特徴とする成
形性に優れたCr含有耐熱耐食鋼板の製造方法。
【0009】(3) 上記 (1)または (2)において、鋼がさ
らに、質量%で、Ti:0.5 %以下、Al:0.5 %以下、
B:0.005 %以下から選ばれる1種又は2種以上を含有
する組成からなることを特徴とする成形性に優れたCr含
有耐熱耐食鋼板の製造方法。
【0010】(4) 上記 (1)〜 (3)のいずれか1つにおい
て、鋼がさらに、質量%で、Ni:1.0 %以下、Co:1.0
%以下から選ばれる1種又は2種を含有する組成からな
ることを特徴とする成形性に優れたCr含有耐熱耐食鋼板
の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、鋼の組成および製造条件
を上記範囲に限定した理由について説明する。なお、鋼
組成の含有量は質量%(以下、単に%)で表す。
【0012】C:0.02%以下 Cは、成形性および靱性を低下させる元素である。この
ような悪影響は、0.02%を超えたとき顕著に現れるの
で、C含有量は0.02%以下に制限する。なお、成形性を
確保するうえでCは少ないほどよく、0.008 %以下にす
るのが望ましい。
【0013】Si:1.5 %以下 Siは、耐酸化性および耐食性の向上に有用な元素であ
る。しかし、1.5 %を超えて含有すると、加工硬化が増
して、成形性が劣化する。このため、Si含有量は、1.5
%以下、好ましくは1.0 %の範囲とする。
【0014】Mn:2.0 %以下 Mnは、脱酸剤として作用するが、過剰に添加するとMnS
を形成して、成形性および耐食性を低下させるので、2.
0 %以下とする。なお、Mnの好ましい含有量は0.75%以
下、さらに好ましい含有量は0.3 %以下である。
【0015】P:0.06%以下 Pは、靱性を劣化させる元素であるので、0.06%以下に
制限する。P含有量は、この範囲で少ないほどよく、好
ましくは0.03%以下、さらに好ましくは0.015%以下に
抑制するのがよい。
【0016】S:0.02%以下 Sは、伸びおよび深絞り性(r値)を劣化させるほか、
鋼の耐食性を低下させる元素である。Sを0.02%以下に
制限すれば、伸び、深絞り性 (r値) 、耐食性は満足で
きるレベルになる。ただし、Sを0.002 %未満に低下さ
せるには、コストの上昇が問題となる。
【0017】Cr:6〜30% Crは、鋼の耐酸化性および耐熱性の向上に有用な元素で
あり、6%以上の添加でその効果を発揮するが、30%を
超えて添加すると成形性を低下させる。よってCr添加量
は6〜30%の範囲とする。なお、とくに成形性を重視
し、耐酸化性、耐熱性についてもより好ましい添加範囲
は9〜19%、より好ましい範囲は10〜17%である。
【0018】N:0.02%以下 Nは、靱性および成形性を低下させる元素であり、0.02
%を超えるとその悪影響が大きく現れるので、0.02%以
下に制限する。なお、好ましいN含有量は0.01%以下で
ある。
【0019】Nb:10×{(%C)+(%N)}を超え、
1.0 %以下 Nbは、高温強度、成形性、耐食性および溶接部の粒界耐
食性のいずれをも高めるのに有効な元素である。これら
の効果は10×{(%C)+(%N)}を超える量のNb添
加で得られるが、1.0 %を超えて添加すると、FeNbラ
ーベスが多量に析出し、鋼の靱性、表面性状を劣化させ
る。ここで、ラーベスとは、Feと他の金属が2:1の割
合で結びついた化合物のことをさす。よって、Nbは、10
×{(%C)+(%N)}を超え、1.0 %以下の範囲で
添加するが、特に高温強度を必要とする場合には、0.3
%を超える範囲で添加するのが望ましい。
【0020】V:0.01〜0.5 % Vは、成形性の向上に有用な元素であり、0.01%以上の
添加でその効果が得られる。一方、0.5 %を超えて添加
すると、粗大なV炭化物や窒化物を析出して、表面性状
を劣化させるので、0.5 %を上限として添加する。な
お、好ましい添加量は、0.05%以上、20(C+N)%以
下である。
【0021】以上の添加元素のほか、必要な特性に応じ
て、Mo:3.0 %以下、Cu:1.0 %以下の群、Ti:0.5 %
以下、Al:0.5 %以下、B:0.005 %以下の群、Ni:1.
0 %以下、Co:1.0 %以下の群から選ばれる1種又は2
種以上の元素を添加することができる。これら元素につ
いて、以下に説明する。
【0022】Mo:3.0 %以下、Cu:1.0 %以下 Moは、耐食性の向上のほか、固溶強化作用により高温強
度を高めるのに有用な元素である。しかしながら、3.0
%を超えて添加しても効果が飽和し、コスト上昇を招く
のみとなるので、上限を3.0 %とする。Cuは、微量の添
加で耐食性を高め、また成形性を向上させる元素であ
る。しかし、過剰に添加するとε−Cuの析出による脆化
を招くので、上限を1.0 %とする。なお、好ましい添加
量は0.1 %以上である。
【0023】Ti:0.5 %以下、Al:0.5 %以下、B:0.
005 %以下 Tiは、成形性を向上させる元素であるが、0.5 %を超え
て添加すると粗大なTi炭化物や窒化物を析出して、表面
性状を劣化させるので、上限を0.5 %とする。なお、Ti
の好ましい添加量は、0.02%以上、15(C+N)%以下
である。Alは、脱酸剤として作用する。また、溶接時
に、表面保護スケールを生成することにより、大気中か
らのC、N、Oの侵入を防止し、溶接部靱性を向上させ
る作用を有している。かかる効果を発揮させるには、0.
02%以上のAl添加が望ましい。しかし、0.5 %を超えて
添加すると、加工性の劣化が著しくなるので、Alの上限
は0.5 %とする。なお、Alのより好ましい添加量は0.03
%超え0.2 %以下である。Bは、2次加工性の向上に有
用な元素であるが、0.005 %を超えて添加すると、多量
のBNを生成して加工性を劣化させるので、0.005 %を
上限とする。なお、Bの好ましい添加量は0.0003〜0.00
15%の範囲である。
【0024】Ni:1.0 %以下、Co:1.0 %以下 Niは、靱性の向上に有効な元素であるが、過度な添加は
コストの上昇を招くので、上限を1.0 %とする。なお、
Niの好ましい添加量は0.05〜0.8 %、より好ましい添加
量は0.5 〜0.8 %である。Coは、溶接部の靱性向上に有
効な元素であるが、過度な添加はコストの上昇を招くの
で、上限を1.0 %とする。なお、Coの好ましい添加量は
0.03〜0.8 %、より好ましい添加量は0.05〜0.2 %であ
る。
【0025】熱延終了温度 600〜850 ℃ 上述した組成の鋼を加熱した後、熱間圧延する。この熱
間圧延においては、終了温度を 600〜850 ℃とすること
が必要である。熱延終了温度が850 ℃を超える高温にな
ると、熱間圧延中に転位が容易に再配列し、回復現象が
生じるために、熱延板焼鈍時の再結晶駆動力が小さくな
る。一方、熱延終了温度が600 ℃に満たない低温では、
圧延ロ−ルと被圧延材との焼き付きが生じやすくなり、
表面疵の原因となる。よって熱延終了温度は 600〜850
℃の範囲とする。なお、好ましい熱延終了温度は700 〜
800 ℃の範囲である。なお、上記熱間圧延のためのスラ
ブ加熱は1000℃から1200℃で、できるだけ低温の条件で
行うのが望ましい。
【0026】熱延板焼鈍 熱間圧延して得た熱延鋼板に、冷間圧延に先立って、熱
延板焼鈍を施す。本発明では、とくにこの熱延板焼鈍の
温度範囲を、Nb量、熱延開始温度(FET、℃)および
熱延終了温度(FDT、℃)をパラメーターとして、
(90×K−80)℃〜(90×K+80)℃、ただし、K=2
×(Nb%)+( 0.3×FET + FDT)/100として行う。
なお、ここでいうFET,FDTは、圧延前後で長手方
向全長での各対応位置での値を意味するものとする。一
般に、FET,FDTは、被圧延材長手方向位置によっ
て変わるが、本発明では長手方向のある特定の位置を取
り出してみたときのFET,FDTにより、熱延板焼鈍
温度として適した温度が定まることを意味し、その範囲
に入るように実際に制御する。Kは、発明者らが再結晶
現象に及ぼす要因についての実験から解析して求めた式
であるが、その意味は、熱間圧延により蓄積した歪の程
度を表す指標と考えることができる。一般に、熱間圧延
時に鋼中に導入された歪みは熱間圧延終了〜巻取りの間
に一部回復によって消失し、巻取り後は殆ど変化しない
が、焼鈍時に再結晶の駆動力となる有効歪み(回復せず
に蓄積した歪み)は、熱間圧延により圧下する板厚量が
同じとすると、熱間圧延温度 (熱延終了温度 (FDT)
で代表する) が低いほど変形抵抗が大きく、圧延時の力
が大きい分だけ効果的に歪みエネルギー (以下、単に
「歪み」と称する) として鋼中に導入され蓄積されると
言われている。本発明は、熱延終了温度 (FDT) だけ
でなく、熱延開始温度 (FET) も、歪みの鋼中への蓄
積の程度に寄与することを見出した。そして、上述のパ
ラメータ式を見ると、有効歪み量に及ぼすFDTとFE
Tの寄与の程度を比較したとき、FDTの方がより大き
いものの、FETも相当の割合で寄与していることを示
している。
【0027】すなわち、発明者らの研究によれば、FE
T,FDTをパラメータとした指標Kの大小如何によっ
て、熱延板焼鈍温度として適した温度範囲は変化するこ
とがわかった。たとえば、FET,FDTのいずれかが
低下すれば、熱延板焼鈍温度として適した温度範囲は低
下する。また、指標KにはNb添加量も影響し、Nb添加量
によっても熱延板焼鈍温度として適した温度範囲は変化
することもわかった。Nb添加量を増やすと熱延板焼鈍温
度として適した範囲は上昇する。このようなことから、
Kの式を決めた。FET,FDT,Nb含有量が熱延板焼
鈍温度として適した温度範囲に対し与える影響の度合い
は、上記指標Kにより包括的に定量化できることがわか
ったのである。そして、このKを含む、(90×K−80)
〜(90×K+80)の温度範囲で熱延板焼鈍を行うと成形
性などの加工性を著しく改善できることがわかった。熱
延板焼鈍の温度が、(90×K−80)に満たないと再結晶
が不十分となり、一方、(90×K+80)を超えると粒成
長が大きく、冷間圧延のあと仕上げ焼鈍した鋼板(冷延
焼鈍板)の成形性が劣化する。なお、熱延板焼鈍時間
は、上記温度範囲で10分以内とすればよく、焼鈍設備は
いかなるものであってもよい。
【0028】冷間圧延および仕上げ焼鈍 熱延板焼鈍を行ったのち冷間圧延を行うが、この冷間圧
延において、本発明はとくに冷延圧下率を80%未満とし
た場合でも良好な成形性を得ることができるものである
ので、前記範囲の圧下率(ただし、好ましくは50%以
上)で冷間圧延を行う場合に本発明の効果が一層発揮さ
れるので好適である。なお、当然ながら、冷延圧下率が
前記圧下率を超えて高くなれば、より良好な成形性が得
られるのは言うまでもない。冷間圧延に次いで、 950〜
1100℃の温度範囲で仕上げ焼鈍を行うことによって優れ
た成形性を具えたCr含有耐熱耐食鋼板を製造することが
できる。すなわち、仕上げ焼鈍の温度が 950℃に満たな
いと再結晶不足となり、一方1100℃を超えると粒成長が
著しく冷延板製品の成形性が劣る。なお、好ましい仕上
げ焼鈍温度は1000℃超〜1050℃以下である。
【0029】
【実施例】表1に示す組成からなる鋼を溶製した後、11
00℃に加熱し、FDT、FETを種々変更した条件で熱
間圧延して板厚5mmの熱延鋼板とした。この熱延鋼板
を、種々の温度で熱延板焼鈍し、酸洗の後、成形性の上
から一般には不利な圧下率60%で冷間圧延した。次い
で、仕上げ焼鈍して、酸洗し、板厚2mmの冷延焼鈍板
とした。これらの製造条件を表2、表3に示す。以上の
方法で得られた冷延焼鈍板の圧延方向(L方向)、圧延
方向と45°の方向(D方向)および圧延方向と90°の方
向(C方向)より試験片(JIS Z2201 に準拠した13号
B)を採取し、該試験片長さ方向、長さ方向に対し面内
で45°の方向、長さ方向とは面内で直角の方向にそれぞ
れr,r,rを測定して、次式により平均r値を
求め成形性を評価した。 r=(r+2r+r)/4 なお、成形性の評価はr値の水準によりランクA〜Dの
4段階で表すこととした。 ランクA: r≧1.5 ランクB: 1.5 >r≧1.3 ランクC: 1.3 >r≧1.1 ランクD: 1.1 >r
【0030】得られた成形性の結果を併せて表2、表3
に示す。表2、表3において、成分組成、熱間圧延条
件、熱延板焼鈍条件等のすべてが適正な範囲にある発明
例は、いずれもランクB以上の優れた成形性を有してい
る。これに対し、Nb無添加鋼を素材とするNo.27 〜29、
またFDTおよび熱延板焼鈍温度の少なくとも一方が範
囲外にあるNo. 2、3、20〜26は発明例に比べ成形性が
劣っている。なお、これら実施例のうち、No. 2、3、
20〜22、28、29の例からわかるように、単に、FDTを
低くくしただけでは良好な成形性が得られないことが明
らかである。また、No1とNo.20 、21との比較から、鋼
組成および熱延板仕上げ焼鈍の条件が同じであっても、
(90×K−80)℃〜(90×K+80)℃の範囲内にない、
No.20 、21は成形性が劣っていることもわかる。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
冷間圧延における圧下率が比較的低い場合であっても、
高いr値が得られ、自動車の排気部材やモール材、厨房
品などに適用可能な成形性に優れたCr含有耐熱耐食鋼板
を提供することができる。また、本発明によれば、自動
車の排気部材と同様な特性が求められる火力発電システ
ムの排気経路部材にも適用可能な鋼板を提供できるの
で、工業的価値は極めて高い。
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA02 EA04 EA05 EA10 EA12 EA13 EA15 EA17 EA18 EA19 EA20 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EA32 EB03 EB06 EB08 EB09 FC02 FC03 FJ06 FJ07 HA04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、 C:0.02%以下、 Si:1.5 %以下、 Mn:2.0 %以下、 P:0.06%以下、 S:0.02%以下、 Cr:6 〜30%、 N:0.02%以下、 Nb:10×{(%C)+(%N)}を超え、1.0 %以下、 V:0.01〜0.5 % を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成
    の鋼を熱延終了温度 600〜850 ℃で熱間圧延し、次い
    で、Nb量、熱延開始温度(FET,℃)および熱延終了
    温度(FDT,℃)をパラメーターとする、 (90×K−80)℃〜(90×K+80)℃、 ただし、K=2×(Nb%)+( 0.3×FET + FDT)/10
    0 、の温度範囲で熱延板焼鈍を行い、その後、冷間圧延
    して、 950〜1100℃の温度範囲で仕上げ焼鈍を行うこと
    を特徴とする成形性に優れたCr含有耐熱耐食鋼板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、鋼がさらに、質量%
    で、 Mo:3.0 %以下、Cu:1.0 %以下から選ばれる1種又は
    2種を含有する組成からなることを特徴とする成形性に
    優れたCr含有耐熱耐食鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、鋼がさらに、
    質量%で、 Ti:0.5 %以下、Al:0.5 %以下、B:0.005 %以下か
    ら選ばれる1種又は2種以上を含有する組成からなるこ
    とを特徴とする成形性に優れたCr含有耐熱耐食鋼板の製
    造方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項において、鋼
    の組成が、さらに、質量%で、Ni:1.0 %以下、Co:1.
    0 %以下から選ばれる1種又は2種を含有することを特
    徴とする成形性に優れたCr含有耐熱耐食鋼板の製造方
    法。
JP2000212491A 2000-07-13 2000-07-13 成形性に優れたCr含有耐熱耐食鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3804408B2 (ja)

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