JPH0610093A - 耐摩耗性、耐変形性および溶接性の優れたフォークリフト用マスト形鋼 - Google Patents

耐摩耗性、耐変形性および溶接性の優れたフォークリフト用マスト形鋼

Info

Publication number
JPH0610093A
JPH0610093A JP8913592A JP8913592A JPH0610093A JP H0610093 A JPH0610093 A JP H0610093A JP 8913592 A JP8913592 A JP 8913592A JP 8913592 A JP8913592 A JP 8913592A JP H0610093 A JPH0610093 A JP H0610093A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
less
mast
weldability
wear resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP8913592A
Other languages
English (en)
Inventor
Chikayuki Urashima
親行 浦島
Kazuo Sugino
和男 杉野
Yoshiaki Makino
由明 牧野
Koichi Uchino
耕一 内野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP8913592A priority Critical patent/JPH0610093A/ja
Publication of JPH0610093A publication Critical patent/JPH0610093A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Forklifts And Lifting Vehicles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はフォークリフトの大型化、高性能化
に伴なって問題となってきたマスト形鋼の耐摩耗性、耐
変形性および溶接性を効果的かつ経済的に改善する方法
を提供する。 【構成】 マスト形鋼の軸断面において、ローラーと接
触する形鋼内側は高炭素鋼成分系の鋼とし、耐変形性や
溶接性が問題となる形鋼外側は低炭素鋼に微量合金元素
を添加して高強度化した鋼成分系との二層鋼として、耐
摩耗性、耐変形性を向上すると同時に良好な溶接性を得
るもの。 【効果】 高炭素鋼成分系とした形鋼内側は約3倍の耐
摩耗性向上が図られ、さらにウェブとフランジコーナー
の耐変形性が従来鋼より約2.5倍改善され、同時に炭
素当量を0.48以下としたことで溶接施工条件が従来
鋼より著しく緩和され、予熱なしの溶接が可能となっ
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐摩耗性、溶接性および
耐変形性の優れたフォークリフト用のマスト形鋼に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】産業運搬機器の分野において重要な役割
を果たしているフォークリフトは、年々より大型化、高
性能化が指向されている。それに伴って、重荷重を受け
るフォークリフトマスト形鋼には摩耗や変形などの問題
点が発生していた。本発明者らは、これらの問題点を解
決するために、摩耗および変形と鋼の化学成分との関
係、組織との関係、強度との関係など、系統的に諸調査
を行った。その結果、特開平1−15318号公報に記
載する発明をなした。該公報に記載された発明により、
耐摩耗性に有効な元素である鋼中の炭素量を0.30〜
0.50%程度に増して、かなり耐摩耗性の向上を図る
ことができた。しかし、一方で炭素当量が大きくなった
ことにより溶接性が悪くなり、溶接時に割れが発生した
り、溶接時に予熱を必要とするなど製造効率を阻害して
きた。
【0003】以上の問題点を解決するために、特開平1
−240621号公報のように、比較的炭素当量の低い
機械構造用炭素鋼S25Cを用い、ローラーと接触する
マスト形鋼部分を局部的に高硬質化する処置などが提案
された。その結果、耐摩耗性を有し、溶接性もかなり改
善されたマスト形鋼が出現したが、 (1)コスト的に高くなること。 (2)多量生産に向く技術でないこと。 (3)炭素当量が低くなったものの、時折り溶接割れが
散見される。 (4)耐変形性が悪くなった。
【0004】などの問題点が発生した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような問題点を
抜本的に解決するために、例えばTMCP技術などによ
り材料の高強度化を図る検討を行ったが、耐変形性かな
り改善されたものの、耐摩耗性は強度にさほど依存せ
ず、ほぼ一義的に鋼中の炭素含有量で決まり、TMCP
技術によって耐摩耗性の改善は期待できないことが分か
った。勿論、溶接性は炭素当量で決まる。したがって、
耐摩耗性、耐変形性を有しながら、かつ良好な溶接性を
同時に付与する理想的なマスト形鋼は、ローラーと接触
する部分を耐摩耗性の良い高炭素量を有する鋼とし、溶
接性を必要とする部分は低炭素量の鋼としながら、かつ
耐変形性を保持させるために静的強度を600MPa 以上
にする成分系にする必要があることが分かった。フォー
クリフト用マスト形鋼はローラーと接触する側には溶接
箇所がなく、ローラーと接触しない側のみに溶接箇所が
あることから、複層鋳込みにより二層鋼からなるマスト
形鋼の製造を現場実験でまず試みた。その結果、マスト
形鋼軸断面において、ローラーと接触する部分を極力高
炭素量を有する成分鋼、その他の部分を極力低炭素量の
鋼としながら耐力460MPa 以上、引張強さが600MP
a以上になる成分鋼との二層鋼とすることでこの問題が
解決できることを実験により確認した。すなわち、本発
明は、マスト形鋼内側と外側とが成分的に異なる二層鋼
とした耐摩耗性、耐変形性および溶接性の優れたフォー
クリフト用マスト形鋼を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために上記した知見に基づいてなされたもので、そ
の要旨とするところは、フォークリフト用マスト形鋼の
軸断面において、ローラーと接触する形鋼内側の表面か
ら板厚の2/3の深さまでの範囲層を、化学成分wt%で
C;0.3〜0.9%、Si;0.1〜0.7%、M
n;0.5〜2.0%、P;0.05%以下、S;0.
05%以下を組成とする鋼とし、その他の部分は化学成
分wt%でC;0.12%以下、Si;0.55%以下、
Mn;2.00%以下、Ti;0.15%以下、他不純
物を微量に含む組成とする鋼の二層鋼からなる耐摩耗
性、耐変形性および溶接性の優れたフォークリフト用マ
スト形鋼である。
【0007】以下に本発明について図面を用いながら詳
細に説明する。図1および図2は、本発明の一実施例の
マスト形鋼を軸断面で示したものである。図1はフォー
クリフト用にアウターマスト形鋼と称するもの、図2は
インナーマスト形鋼と称するものである。これらの図に
おいて、形鋼の内面側のハッチング部1は化学成分wt%
でC;0.3〜0.9%、Si;0.1〜0.7%、M
n;0.5〜2.0%、P;0.05%以下、S;0.
05%以下を組成とする鋼である。形鋼の外面側2は化
学成分wt%でC;0.12%以下、Si;0.55%以
下、Mn;2.00%以下、Ti;0.15%以下、他
不純物を微量に含む組成とする鋼である。図1および図
2において、フランジ部のa部,c部およびd部がロー
ラーと接触し、特にa部およびc部の耐摩耗性が問題と
なっている。本発明では耐摩耗性が問題となっているa
部およびc部を高炭素量を特徴とする鋼成分系とし、溶
接性が重要となる他の部分は低炭素量とするものの、耐
変形性を持たせるために微量合金元素を含有する鋼成分
系としている。
【0008】形鋼の内面側のハッチング部1を化学成分
wt%で炭素量0.30〜0.90%に限定する理由は、
耐摩耗性は一義的に鋼中の炭素含有量によって決まるこ
とを実験で見出し、炭素量0.30%以下では現用のマ
スト形鋼より耐摩耗性が劣るため、したがって、耐摩耗
性を良くするには極力高炭素量とする必要があるが、炭
素量0.90%以上では材料が脆くなる。Si量の0.
1〜0.7%の限定はSi量は強度に影響し、また若干
ではあるが耐摩耗性にも影響することから、Si量0.
1%以下では強度および耐摩耗性を損なうこと、0.7
%以上では製造上疵発生などの問題点が発生することに
よる。Mn量は強度に大きく影響することから、耐力5
00MPa 以上、引張強さ700MPa 以上を得るために
0.5〜2.0%に限定した。PおよびS量の限定は極
力不純物を少なくする意味から0.05%以下に限定し
た。これらの成分鋼を形鋼の内面側表面から板厚の2/
3までの深さに限定する理由は、主として形鋼の外面側
表面から行われる溶接により、板厚内部の熱影響に割れ
が発生するのを防ぐためである。すなわち、高炭素当量
となる形鋼の内面層が厚いと、形鋼の外面側からの溶接
により熱影響が高炭素当量側まで達し、容易にマルテン
サイト組織が発生して割れを生成するためである。すみ
肉溶接による熱影響は板厚の1/3以内の範囲に収まる
ことを実験で確認している。
【0009】形鋼の外面側2の化学成分の限定理由は、
基本的には良好な溶接性を有しながら、耐力460MPa
以上、引張強さを600MPa 以上とするためである。す
なわち、炭素量0.12%以下の限定理由は溶接性の観
点から炭素当量を0.48以下にし、かつ耐力460MP
a 以上、引張強さ600MPa 以上にするための炭素量と
しての最大値から限定している。Si量を0.55%以
下、Mn量を2.00%以下と限定する理由も目標とす
る静的強度を満足しながら、かつ炭素当量を0.48以
下にする理想的な成分設計からきている。
【0010】Tiを添加する理由は、Ti添加なしには
熱間圧延ままで引張強さ600MPaは満足するものの、
耐力460MPa 以上は満足できないため、Ti添加によ
り結晶粒度の微細化を図り必要耐力を得るためである。
Ti量を0.15%以下に限定する理由は、極力低コス
トとしながら、かつ効果的な結晶粒の微細化を図り得る
量として限定している。
【0011】上記のように、マスト形鋼軸断面において
異種成分系の二層構造からなる本発明は、爆着圧延、ク
ラッド法、鋳ぐるみ鋳造法、積層分散鋳造法、複層連続
鋳造法など任意の方法でブルームあるいはスラブを製造
したのち、通常の熱間成形圧延法によってマスト形鋼に
製造することができる。このようにして製造された本発
明マスト形鋼はフォークリフト用として要求される耐摩
耗性、耐変形性を充分に具備し、かつ溶接性も非常に良
好な特性を有するものである。
【0012】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。本発
明の二層構造アウターマスト形鋼と、2種類の比較アウ
ターマスト形鋼を用いて実物形鋼と実物ローラーによる
摩耗試験を行った。摩耗試験ではローラーを形鋼フラン
ジ部に繰返し押し付けることによるフランジ部コーナー
の耐変形性も評価できる。各々の化学成分、二層構造の
厚さなどを表1に示す。表2は各形鋼の摩耗試験条件お
よび摩耗試験結果、および耐変形性の結果を示す。ま
た、表3は形鋼外表面側に実施工と同じ条件で溶接した
形鋼断面のHAZ部(熱影響部)の最高硬さを示す。表
2から明らかなように、本発明のマスト形鋼は比較材の
現用マスト形鋼より非常に耐摩耗性が優れ、かつ耐変形
性能も優れていることが分かる。さらに溶接熱影響部に
ついても現用マスト形鋼は最高硬さがHv400を超え
てマルテンサイト組織の発生が認められ、実用上は溶接
予熱を必要とするのに対し、本発明マスト形鋼は溶接熱
影響部の最高硬さも低くてマルテンサイト組織も認めら
れず、溶接予熱なしでも割れ発生の懸念も全くない。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】
【発明の効果】以上のように本発明においては、耐摩耗
性を必要とするマスト形鋼内面側を高炭素鋼と、溶接性
および耐変形性を必要とするマスト形鋼外面側を合金元
素を微量含む低炭素鋼との二層構造とすることで、従来
耐摩耗性向上をねらうと逆に溶接性が悪くなるという相
反する特性を両方とも解決し、しかも年々フォークリフ
トの過酷化使用によってマスト形鋼の変形性が問題とな
っていたことも、合わせて解決した画期的なものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるアウターマスト形鋼の
軸断面図。
【図2】本発明の他の実施例であるアウターマスト形鋼
の軸断面図。
【符号の説明】
1 形鋼内面側 2 形鋼外面側
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内野 耕一 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フォークリフト用マスト形鋼の軸断面に
    おいて、ローラーと接触する形鋼内側の表面から板厚の
    2/3の深さまでの範囲層を、化学成分wt%でC;0.
    3〜0.9%、Si;0.1〜0.7%、Mn;0.5
    〜2.0%、P;0.05%以下、S;0.05%以下
    を組成とする鋼とし、その他の部分は化学成分wt%で
    C;0.12%以下、Si;0.55%以下、Mn;
    2.00%以下、Ti;0.15%以下、他不純物を微
    量に含む組成とする鋼の二層鋼からなることを特徴とす
    る耐摩耗性、耐変形性および溶接性の優れたフォークリ
    フト用マスト形鋼。
JP8913592A 1992-04-09 1992-04-09 耐摩耗性、耐変形性および溶接性の優れたフォークリフト用マスト形鋼 Withdrawn JPH0610093A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8913592A JPH0610093A (ja) 1992-04-09 1992-04-09 耐摩耗性、耐変形性および溶接性の優れたフォークリフト用マスト形鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8913592A JPH0610093A (ja) 1992-04-09 1992-04-09 耐摩耗性、耐変形性および溶接性の優れたフォークリフト用マスト形鋼

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0610093A true JPH0610093A (ja) 1994-01-18

Family

ID=13962441

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8913592A Withdrawn JPH0610093A (ja) 1992-04-09 1992-04-09 耐摩耗性、耐変形性および溶接性の優れたフォークリフト用マスト形鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0610093A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103757541A (zh) * 2014-01-20 2014-04-30 太原科技大学 一种碎煤机环锤用合金材料

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103757541A (zh) * 2014-01-20 2014-04-30 太原科技大学 一种碎煤机环锤用合金材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4867319B2 (ja) 熱間プレス用テーラードブランク材ならびに熱間プレス部材およびその製造方法
JP4825882B2 (ja) 高強度焼き入れ成形体及びその製造方法
EP2832879B1 (en) High-strength steel pipe for line pipe having excellent hydrogen-induced cracking resistance, high-strength steel plate for line pipe using same, and method for manufacturing same
JP6447752B2 (ja) 抵抗溶接部を有する自動車用部材
JP4502947B2 (ja) 溶接性に優れた鋼板
JP6573056B1 (ja) 薄鋼板へのガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ
WO2008084838A1 (ja) 溶接部耐食性および鋼板の靭性に優れた温水器用フェライト系ステンレス鋼板
JP2009226476A (ja) 薄鋼板の隅肉アーク溶接方法
KR102010082B1 (ko) 열간 프레스용 철-알루미늄계 합금 도금 강판, 그 제조방법 및 열간 프레스 성형 부품
JP2002363712A (ja) 燃料タンク・燃料パイプ用フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP6811609B2 (ja) 成形性に優れたテーラードブランク材の製造方法
JPH0610093A (ja) 耐摩耗性、耐変形性および溶接性の優れたフォークリフト用マスト形鋼
JP4857855B2 (ja) 継手疲労強度に優れた溶接用耐疲労亀裂鋼板
JPH03227233A (ja) 加工性および溶接性に優れた耐摩耗複合鋼板
JP5044928B2 (ja) 継手疲労強度に優れた溶接用耐疲労亀裂鋼板
JPH05345957A (ja) 耐摩耗性および溶接性の優れたフォークリフト用マスト形鋼
JP6477516B2 (ja) 耐食鋼およびその製造方法
JP2000015353A (ja) プレス成形性に優れた溶接接合金属板およびその製造方法
JPH03254341A (ja) 転動疲労寿命に優れた低Cr軸受鋼素材の製造方法
JPS6012296A (ja) サブマージアーク硬化肉盛溶接用複合ワイヤ
KR102422579B1 (ko) 테일러 웰디드 블랭크 제조방법
JPH0649235B2 (ja) クラツド鋼の製造法
JP2573109B2 (ja) 耐Znメッキ割れ構造用高張力鋼の製造方法
JP2005029882A (ja) 耐溶接軟化性に優れた構造用高強度電縫鋼管の製造方法
JPS6161916B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990706