JPH06100396A - 多結晶半導体薄膜の製造法 - Google Patents

多結晶半導体薄膜の製造法

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JPH06100396A
JPH06100396A JP24997692A JP24997692A JPH06100396A JP H06100396 A JPH06100396 A JP H06100396A JP 24997692 A JP24997692 A JP 24997692A JP 24997692 A JP24997692 A JP 24997692A JP H06100396 A JPH06100396 A JP H06100396A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 より低温度基板条件において、高品質な多結
晶シリコン等の多結晶半導体薄膜を得る。 【構成】 低温基板上に、中性ラジカル密度を増大させ
て反応性高周波スパッタ蒸着する。具体的には、ターゲ
ットに直流バイアス電圧を印加し、成膜速度を増加させ
ずに、中性ラジカル密度を増大させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、多結晶半導体薄膜の
製造法に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、太陽電池、薄膜トランジスタ等の電子デバイスの構
成材料として有用な、低温成膜可能な高品質多結晶半導
体薄膜の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、多結晶シリコンや
シリコンカーバイド等の薄膜は太陽電池、電子デバイス
への応用が進められるとともに、その機能や成膜法につ
いても様々な検討がなされてきている。しかしながら、
この従来の多結晶シリコン薄膜等については、たとえば
多結晶シリコンの場合には、少くともガラス等の基板を
600〜700℃の高温度の強加熱状態において各種C
VD方法によって成膜しているため、低融点の基板を使
用することができないという点で、大きな制約があっ
た。
【0003】このため、より低温度での成膜を実現し、
かつ、低温条件下とする場合にも、 1)ダングリングボンドのパッシベイションを充分に行
なうこと、 2)基板温度上昇以外のエネルギーのアシストによる膜
表面の構造再配列を促進させること によって、高品質な成膜を可能とすることが望まれてい
た。
【0004】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであって、従来の成膜方法の欠点を解消し、
低融点基板の使用を可能とし、より低温度での成膜が可
能であって、かつ、高品質な多結晶薄膜を製造すること
のできる、新しい多結晶半導体薄膜の製造方法を提供す
ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、低温基板上に、中性ラジカル密
度を増大させて反応性高周波スパッタ蒸着することを特
徴とする多結晶半導体薄膜の製造法を提供する。さらに
詳しくは、この発明は、高周波反応性スパッタ蒸着にお
いて、投入電力の増大等によって中性ラジカル密度を増
大させるとともに、ターゲットに直流バイアス電圧を印
加して、成膜速度を制御することをその好ましい態様と
してもいる。
【0006】対象とする多結晶半導体薄膜としては、そ
の代表例として多結晶シリコンを例示することができ、
この多結晶シリコン製造のための中性ラジカルとしては
水素ラジカルを例示することができる。もちろん、この
発明においては、シリコンカーバイド、その他の多結晶
薄膜をも広範囲に対象とし、そのための水素、ヘリウ
ム、ネオン、それらの混合ガス等からの各種中性ラジカ
ルの使用による反応性高周波スパッタ蒸着法を包含して
いる。
【0007】多結晶シリコン薄膜を例としてさらに具体
的に説明すると、この発明は、本来非晶質(アモルファ
ス)シリコン薄膜しか成長しない低温基板上に多結晶シ
リコン薄膜を成長させるものである。そして、この発明
の方法においては、水素ラジカル密度を増大させ、この
水素ラジカルによって膜表面のシリコン原子にエネルギ
ーを与え、結晶粒界のダングリングボンドを終端し、電
気的特性の良好な多結晶シリコンを薄膜形成する。
【0008】この方法によって、ラジカルにより膜表面
が充分に活性化され、基板温度が低温であっても多結晶
シリコン薄膜の作成が可能となる。以下、実施例を示
し、さらに詳しくこの発明の製造法について説明する。
【0009】
【実施例】実施例1 多結晶薄膜として多結晶シリコンを形成した。この場合
の中性ラジカルとしては水素ラジカルを使用した。反応
性高周波スパッタ蒸着においてプラズマ中の水素ラジカ
ル密度を増大させるためには、成膜時の水素分圧を高く
し、投入する高周波電力を大きくする必要がある。しか
しながら、スパッタリング方法による成膜ではプラズマ
プロセスであることから、投入電力を大きくするとイオ
ン密度も増大し、結果的にターゲットの自己バイアスも
大きくなる。このため、成膜速度も大きくなるため水素
ラジカルの相対量の増大は望めないことになる。
【0010】そこで、反応性高周波スパッタ蒸着におい
て、成膜速度の変化を抑えつつ、水素ラジカル密度を増
大させるため、図1に例示した装置構成を採用して成膜
することとした。すなわち、ターゲット電極に励起周波
数の13.56MHzに対して高インピーダンスを持つ
コイルを接続し、ターゲットでの直流バイアス成分を制
御できるようにした。このコイルに直流電源を接続する
ことで、投入する高周波電力およびガス圧に依らずにタ
ーゲットの自己バイアスを独立に制御できるようにし
た。
【0011】このように、ターゲットに直流バイアス電
圧を印加することで、ターゲットのバイアス電圧を制御
可能とし、投入電力とは無関係に成膜速度を調整可能と
したため、従来のスパッタ蒸着法よりもより大きな高周
波電力を投入し、水素分圧を上昇させることで、プラズ
マ中の水素ラジカル密度を増大させることができる。図
2は、水素ガス導入前後でのプラズマの発光スペクトル
を示したものであり、この場合の条件は、 ・高周波電力 100W ・アルゴン分圧 2.5mtorr ・ターゲット−基板 間隔 20mm ・水素分圧(a) 10.2mtorr (b) 0mtorr とした。
【0012】この発光スペクトルのピーク強度からプラ
ズマ中の水素ラジカル量が評価される。すなわち、水素
原子ラジカルによる発光ピーク(Hα、Hβ)、水素分
子ラジカル(H2 I、H2 II、H2 III )のピーク強度
の評価によって可能となる。図3および図4は、アルゴ
ンラジカル(ArI、ArII)と水素ラジカルによる発
光強度の水素分圧依存性を示したものである。
【0013】この図3および図4により、高周波電力1
00Wの投入時には、水素分圧が約10mtorrが効
率よく水素ラジカルを分解励起できる臨界値であること
がわかる。図5は、ターゲットの自己バイアスの水素分
圧依存性を示したものである。水素分圧を上昇させる
と、電子密度が低下するためにイオン密度も低下すると
考えられる。
【0014】このような状態はこの発明の方法を実行す
る上で理想的であり、電子密度が低下するためにターゲ
ットの自己バイアスが減少し、またイオン密度も減少す
るためにプラズマポテンシャルが低くなると考えられ
る。このため、基板へのイオンの入射の抑制がより容易
に行える。図6は、高周波電力100W、アルゴン分圧
2.5mtorr、水素分圧10.2mtorr時の基
板での入射電流と基板バイアス電圧との関係を示したも
のである。横軸は基板に印加したバイアス電圧を示して
おり、この結果から、基板に25V印加した時にイオン
電流が流れなくなるので、基板のバイアス電圧が25V
を越えると基板へのイオン入射は無視できることがわか
る。実施例2 実施例1を踏まえ、次の表1の成膜条件により多結晶シ
リコン薄膜を製造した。
【0015】
【表1】
【0016】成膜速度は、10.7nm/分と、ラジカ
ル密度を増大しない場合よりも少し低下したが、大きな
変化はなかった。図7は、成膜したシリコン薄膜のラマ
ンスペクトルを示したものである。ラジカル密度を増加
したこの発明の薄膜の場合には480cm-1付近のブロ
ードなピークは見られず、シリコンの結晶構造に起因す
る520cm-1に鋭いピークが観察される。
【0017】一方、比較のために示した、基板ホルダー
にバイアス電圧+30Vを印加したターゲットバイアス
−200V、アルゴンおよび水素分圧が各々2.5mt
orr、高周波電力50Wの場合のラマンスペクトルに
は、アモルファス構造を示す480cm-1付近のブロー
ドなピークが認められる。両者の光学スペクトルを比較
すると、図8に示すように、実施例のものは、a−S
i:H薄膜を熱処理して得られる多結晶シリコン膜のス
ペクトルと一致していることが確認された。
【0018】また、このスペクトルから求めた光学ギャ
ップを比較すると、各々1.48eV、1.86eV
と、この発明の実施例のものは大きく減少している。膜
中に水素が混入していると光学ギャップは増大し、多結
晶シリコンの場合には、水素化アモルファスシリコン膜
に比べて膜中の含有水素濃度は少ないと考えられること
から、この結果は、実施例としてのこの発明の方法によ
って得られる膜は多結晶シリコン膜であることを示して
いる。
【0019】多結晶シリコン薄膜の形成については、透
過電子顕微鏡による明視野像と解析像によっても確認し
た。薄膜の電子デバイスへの応用を考える上で非常に重
要となる電気的特性については、光伝導度および暗伝導
度の温度依存性を調べることによって評価した。その結
果を図9に示した。比較のために従来のスパッタ蒸着法
で作製した試料のなかで最も膜質の良いa−Si:H薄
膜の測定結果も示してある。この結果から、この発明の
方法によって作製した薄膜は、a−Si:H薄膜に比べ
て2桁以上も高い伝導度を示している。また高温領域で
の活性化エネルギーは両方とも0.577eVであり、
電気伝導に寄与するキャリア密度に差はないことから、
この発明の方法により作製した薄膜が多結晶化したこと
によってキャリアのライフタイムおよび移動度が大幅に
改善され、品質が向上していることがわかる。実施例3 実施例2と同様に、ヘリウム、およびヘリウムと水素と
の混合ガスを各々用い、次の表2の条件で、50℃とい
う低温の基板温度で多結晶シリコン薄膜を形成した。
【0020】得られた薄膜は、反射電子線回折により多
結晶シリコン膜であることを確認した。
【0021】
【表2】
【0022】
【発明の効果】この発明によって、以上詳しく説明した
通り、従来よりもはるかに低温度での基板条件におい
て、反応性高周波スパッタ蒸着による高品質な多結晶シ
リコン等の多結晶薄膜の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を実施するための装置構成を例
示した構成断面図である。
【図2】プラズマの発光スペクトル図である。
【図3】アルゴンラジカルによる発光強度と水素分圧と
の相関図である。
【図4】水素ラジカルによる発光強度の水素分圧との相
関図である。
【図5】ターゲットの自己バイアスの水素分圧依存性を
示した相関図である。
【図6】入射電流と基板バイアスとの相関図である。
【図7】シリコン薄膜のラマンスペクトル図である。
【図8】光学吸収スペクトル図である。
【図9】光伝導度および暗伝導度と温度との相関図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C30B 30/02 7821−4G H01L 21/203 8422−4M

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低温基板上に、中性ラジカル密度を増大
    させて反応性高周波スパッタ蒸着することを特徴とする
    多結晶半導体薄膜の製造法。
  2. 【請求項2】 ターゲットに直流バイアス電圧を印加
    し、成膜速度を制御する請求項1の多結晶半導体薄膜の
    製造法。
  3. 【請求項3】 多結晶半導体薄膜が多結晶シリコン薄膜
    であって、中性ラジカルが水素ラジカルである請求項1
    または2の多結晶半導体薄膜の製造法。
  4. 【請求項4】 基板に直流バイアス電圧を印加して薄膜
    のイオン損傷を抑制する請求項1、2または3の多結晶
    半導体薄膜の製造法。
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