JPH0596184A - 弱酸性陽イオン交換体 - Google Patents

弱酸性陽イオン交換体

Info

Publication number
JPH0596184A
JPH0596184A JP3255389A JP25538991A JPH0596184A JP H0596184 A JPH0596184 A JP H0596184A JP 3255389 A JP3255389 A JP 3255389A JP 25538991 A JP25538991 A JP 25538991A JP H0596184 A JPH0596184 A JP H0596184A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weakly acidic
acidic cation
porous carrier
carboxylic acid
cation exchanger
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3255389A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Tokuda
俊夫 徳田
Susumu Ishiguro
進 石黒
Mitsuo Nagasawa
光雄 長沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP3255389A priority Critical patent/JPH0596184A/ja
Publication of JPH0596184A publication Critical patent/JPH0596184A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボ
ン酸ジエンモノマー共重合体と、炭素数3以上のアルキ
ル基、アリール基、アラルキル基よりなる群から選ばれ
た疎水基を有するビニル化合物とを、重合開始剤と共に
メタノール等の溶媒に溶解し、これにシリカゲル等の多
孔質担体を加えて濃縮後反応させ、多孔質担体の表面に
共重合架橋体が高密度に被覆した弱酸性陽イオン交換体
を得る。 【効果】ポリビニル化合物を架橋剤として使用すること
により、多孔質担体から弱酸性陽イオン交換体が欠落す
るのを防止する。また、疎水基を導入することにより2
価陽イオンの溶出を早め、1価と2価の陽イオンの超微
量同時分析を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弱酸性陽イオン交換体
に関し、特に分離カラムに充填して1価と2価の陽イオ
ンを同時に測定することが可能な液体クロマトグラフィ
ーに利用される弱酸性陽イオン交換体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、1価および2価の陽イオンを測定
する液体クロマトグラフィーは、ポリマーゲルにスルホ
ン基を導入したり、シリカゲルにプロピルスルホン基を
化学結合させた強酸性陽イオン交換体が広く用いられて
きた。しかしながら、これらの強酸性イオン交換体で
は、1価と2価の陽イオンを同時に測定することは溶離
液条件が全く異なるため不可能であった。なお、このこ
とは日本分析化学会が編集した高速液体クロマトグラフ
ィーハンドブック等の成書から明らかである。
【0003】近年、この問題を解決した弱酸性陽イオン
交換体として、粒径5μm、細孔径10nm、表面積3
80m2/gのシリカゲル表面に、4%のジキュミルパ
ーオキサイドを含むポリブタジエンマレイン酸(モル比
1対1)の被膜を形成した後、180℃で4時間加熱し
て製造した弱酸性陽イオン交換体が発表された(Chrom
atographia,Vol.23,No.7,P465−472参
照)。この弱酸性陽イオン交換体を使った液体クロマト
グラフィーで、弱酸である有機酸を溶離液として1価と
2価の陽イオンを同時に測定していたが、さらにこの方
法を改善する工夫として、同じ陽イオン交換体を用いて
液体クロマトグラフィーを行う際に、溶離液中にピリジ
ン-2,6-ジカルボン酸を添加し、2価陽イオンとの錯塩
を形成させることにより2価陽イオンの保持容量比(以
下、k’で示す。)を選択的に減少させ測定時間を短く
する方法が発表された(Am.Lab.(Fairfield C
onn.)Vol.21,No.5,P92−101参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
報文の方法で製造した弱酸性陽イオン交換体はカラムに
充填する際に、シリカゲル表面に被覆したポリブタジエ
ンマレイン酸がシリカゲル担体から欠落し易いという問
題点があり、安定したイオン交換容量を持った弱酸性陽
イオン交換体を用いた充填カラムを製造することが困難
であった。さらに、液体クロマトグラフィーにおいて、
ピリジン-2,6-ジカルボン酸という特殊な試薬を溶離液
に添加することによって1価と2価の陽イオンの選択性
を調節しているという煩わしさもあった。
【0005】本発明の目的は、多孔質担体の表面に高密
度に共重合架橋したポリマー被膜を形成させて弱酸性陽
イオン交換組成物の欠落を防止し、かつ、ピリジン-2,6
-ジカルボン酸のような特殊な試薬を添加した溶離液を
必要とせず、1価および2価陽イオンを同時に分離可能
な弱酸性陽イオン交換体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意研究を進めた結果、不飽和カル
ボン酸および/または不飽和カルボン酸ジエンモマー共
重合体とビニル化合物との共重合架橋体からなる弱酸性
陽イオン交換体組成物を多孔質担体の表面に高密度に被
覆させることにより、前記問題点を解消し得ることを見
い出した。
【0007】即ち、本発明は多孔質担体の表面に不飽和
カルボン酸および/または不飽和カルボン酸ジエンモノ
マー共重合体とビニル化合物との共重合架橋体から成る
弱酸性陽イオン交換組成物を被覆している弱酸性陽イオ
ン交換体にある。また、本発明は前記の弱酸性陽イオン
交換体であって、その構成要素であるビニル化合物は、
炭素数3以上のアルキル基、アリール基、アラルキル基
よりなる群から選ばれた疎水基を有する弱酸性陽イオン
交換体にある。
【0008】以下に本発明を詳説する。本発明の弱酸性
陽イオン交換樹脂は次の方法で得られる。まず不飽和カ
ルボン酸および/または不飽和カルボン酸ジエンモノマ
ー共重合体と1種以上のビニル化合物とラジカル重合開
始剤とをメタノールあるいはアセトン等の有機溶剤で溶
解した後、多孔質担体を加えて均一に懸濁させる。そし
て、ロータリーエバポレーターなどで減圧濃縮して多孔
質担体表面に弱酸性陽イオン交換組成物となる被膜を形
成する。次に、加熱可能な容器中、例えば減圧乾燥器に
前述の減圧濃縮した多孔質担体被膜形成物を入れ、不活
性ガス、例えば窒素ガスで置換した後、加熱処理するこ
とによって本願発明の弱酸性陽イオン交換体を製造する
ことができる。
【0009】本願発明の弱酸性陽イオン交換体におい
て、用いる不飽和カルボン酸としては例えば無水マレイ
ン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコ
ン酸、アクリル酸等が挙げられる。
【0010】また、不飽和カルボン酸ジエンモノマー共
重合体としては、前述の不飽和カルボン酸とブタジエ
ン、イソプレン、クロロプレン等から選ばれたジエンモ
ノマーとの共重合体が用いられる。これらを重合する際
のモル比は、不飽和カルボン酸/ジエンモノマーで90
/10から30/70の範囲のものが望ましい。
【0011】前記の不飽和カルボン酸および不飽和カル
ボン酸ジエンモノマー共重合体はどちらか一方を単独で
用いても良く、また、両方を組み合わせて用いても良
い。但し、これらの総量は多孔質担体100部に対して
5部から50部が必要である。好ましくは15部から4
0部の範囲である。
【0012】本願発明の弱酸性陽イオン交換体におい
て、ビニル化合物としてはポリビニル化合物とモノビニ
ル化合物があるが、ポリビニル化合物は単独で用いても
良く、またモノビニル化合物と併用しても良い。
【0013】ポリビニル化合物としては、例えばポリブ
タジエン(分子量が300から10000の範囲のも
の、好ましくは平均分子量が1000から5000のも
の)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリ
メチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリ
コールやポリエチレングリコールなどのジアクリレート
およびジメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリ
ルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリ
ルフタレート、トリアリルトリメリテート、グリセロー
ルジメタクリレートおよびこれらポリビニル化合物のオ
リゴマー(2量体から分子量10000の範囲のもの)
等が挙げられる。
【0014】また、モノビニル化合物としては、アクリ
ル酸アルキルエステル(アルキル:C37以上のも
の)、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル:C3
7以上のもの)、アクリル酸シクロヘキシル、メタク
リル酸ベンジル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジメチルスチレン
等が挙げられる。
【0015】また、弱酸性陽イオン交換組成物に疎水性
を付与するために、炭素数3以上のアルキル基、アリー
ル基、アラルキル基から選ばれた1つ以上の疎水基を有
するビニル化合物を単独または複数使用できる。
【0016】さらに、トリクロロビニルシラン、ビニル
アルコキシシラン等ビニル化合物が多孔質担体に直接化
学結合したものは弱酸性陽イオン交換組成物を多孔質担
体表面に多く担持させる働きを持っている。
【0017】これらのビニル化合物は、多孔質担体10
0部に対して少なくとも1種以上を合計して1部から4
0部加えることが望ましく、特には1部から30部加え
ると良い。なお、疎水基を持ったビニル化合物の内、ア
クリル酸アルキルエステル(C49以上のもの)、アク
リル酸シクロヘキシル、メタクリル酸アルキルエステル
(C49以上のもの)、ビニルアリール化合物などが特
に好ましい。
【0018】ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2,
-アゾビスイソブチロニトリルや2,2,-アゾビス-(2,4-ジ
メチルバレロニトリル)等のアゾビス系重合開始剤や、
ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド
などの過酸化物系重合開始剤が望ましい。
【0019】多孔質担体としては無機多孔質担体である
シリカゲル、アルミナ、ポーラスガラス、炭素粒等、ま
たは、有機多孔質担体であるポリスチレンゲル等が含ま
れ、粒径は1μmから30μm、細孔径は3nmから5
0nmの範囲のものが望ましい。
【0020】前述の製造方法において、加熱処理条件
は、加熱温度が100℃から200℃、望ましくは15
0℃から180℃とし、加熱時間は2時間から10時
間、望ましくは3時間から7時間の範囲とすることによ
り充分なビニル共重合架橋組成物を多孔質担体表面に高
密度に被覆することができる。
【0021】
【実施例】以下に、本願発明について代表的な例を示し
さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための
単なる例示であって、本発明はこれらに何ら制限される
ものでないことはいうまでもない。
【0022】実施例1 ポリブタジエンマレイン酸(以下、ブタジエン/マレイ
ン酸のモル比は1/1とする。)4.0gと、ビニル化
合物としてトリアリルイソシアヌレート0.5gおよび
ビニルトルエン0.5gと、重合開始剤としてジキュミ
ルパーオキサイド0.16gとを300mlの茄子型フ
ラスコ中で混合し、メタノール150mlを加えて完全
に溶解した。次いで、粒径5μm、細孔径10nm、表
面積350m2/gのシリカゲル10gを加え均一に懸
濁させた後、ロータリーエバポレーターを用いて45
℃、650mmHgで回転させながら濃縮し、シリカゲ
ル表面に被膜を形成した。被膜を形成したシリカゲルは
200メッシュのステンレス製フルイを用いてフルイ分
けし、粉末部分だけを減圧乾燥器中に移して窒素ガス雰
囲気とした後180℃で4時間加熱して弱酸性陽イオン
交換体を製造した。
【0023】得られた弱酸性陽イオン交換体をメタノー
ルで洗浄した後、液体クロマトグラフィー用分離カラム
に充填して2種類の溶離液、すなわち、溶離液A:7.
5mMクエン酸/0.75mMピリジン-2,6-ジカル
ボン酸水溶液と、溶離液B:3mM硝酸水溶液を用いて
試料の分離を行った。測定した試料は、Li+:2mg/
l、Na+:10mg/l、NH4 +:10mg/l、
+:20mg/l、Mg2+:10mg/l、Ca2+
20mg/lの濃度の混合溶液でこれを30μl注入し
た。検出には伝導度検出器を用いた。
【0024】溶離液Bで得られたクロマトグラムを図1
に示した。図1に於いて、ピーク1はLi+、ピーク2
はNa+、ピーク3はNH4 +、ピーク4はK+、ピーク5
はMg2+、ピーク6はCa2+である。また、分離状態を
示すために各々のイオンのk’比の値を表1に示した。
このように、1価と2価の陽イオンは十分な分離幅をも
って良好に同時の分離が可能であった。なお、この弱酸
性陽イオン交換体のイオン交換容量をアルカリ滴定によ
り測定したところ1.53meq/gであった。
【0025】液体クロマトグラフ条件は次の通りであ
る。 溶離液の流速:0.8ml/min カラム温度 :40℃ 伝導度検出器:(商品名:shodex CD-4、昭和
電工(株)製) 伝導度 :25μS/cmFS
【0026】比較例1 ポリブタジエンマレイン酸4.0gとジキュミルパーオ
キサイド0.16gとを300mlの茄子型フラスコ中
で混合し、メタノール150mlを加えて完全に溶解し
た。次に、粒径5μm、細孔径10nm、表面積350
2/gのシリカゲル10gを加え均一に懸濁させた
後、ロータリーエバポレーターを用いて45℃、650
mmHgで回転させながら濃縮し、シリカゲル表面に被
膜を形成した。被膜を形成したシリカゲルは200メッ
シュのステンレス製フルイを用いてフルイ分けし、粉末
部分だけを減圧乾燥器中に移して窒素ガス雰囲気とした
後180℃で4時間加熱して弱酸性陽イオン交換体を製
造した。
【0027】得られた弱酸性陽イオン交換体を用いて実
施例1と同様な方法、条件で同一試料を測定した。得ら
れたクロマトグラムを図2に示した。図2に於いて、ピ
ークは各々実施例1と同一の物質を示す。また分離状態
を示すために各々のイオンのk’比の値を表1に示し
た。このように、1価の陽イオンは狭い分離幅で溶出
し、2価の陽イオンはそれより大幅に遅れて溶出した。
なお、この弱酸性陽イオン交換体のイオン交換容量を実
施例1と同様の方法で測定したところ、1.21meq
/gであった。
【0028】
【表1】
【0029】表1の結果から、実施例1の弱酸性陽イオ
ン交換体は比較例1に比べイオン交換容量が大きくカル
ボキシ基の母体であるポリブタジエンマレイン酸が高密
度に共重合架橋してシリカゲル表面を覆っていることを
示している。また、実施例1は溶離液A、Bとも1価の
陽イオンの分離幅が広がっており、充分な分離が行われ
ている。さらに、2価の陽イオンは比較例1に比べ1価
の陽イオンの分離状態と相対的に比較して溶離液A、B
に関係なく早く溶出する事が確認された。このように、
弱酸性陽イオン交換組成物に疎水基を導入したものと、
そうでない前述の報文の弱酸性陽イオン交換体ではイオ
ン交換作用に大きな差があることが証明された。図1と
図2は、各々実施例1と比較例1で製造した弱酸性陽イ
オン交換体を用いて3mM硝酸水溶液を溶離液として測
定したクロマトグラムであり、前述のことが一目瞭然に
判断できる。
【0030】実施例2 無水マレイン酸1.5gと、平均分子量3000の液状
ポリブタジエン1.0gと、ビニル化合物としてトリメ
チロールプロパントリメタクリレート1.0gおよびビ
ニルトルエン0.3gと、重合開始剤として2,2,-アゾ
ビスイソブチロニトリル0.25gとを300mlの茄
子型フラスコ中で混合し、150mlのアセトンを加え
完全に溶解した。次に、粒径15μmから25μm、細
孔径50nm、表面積35m2/gのシリカゲルを10
g加えて均一に懸濁させた後、ロータリーエバポレータ
ーを用いて45℃、650mmHgで濃縮、シリカゲル
表面に被膜を形成した。
【0031】被膜を形成したシリカゲルは200メッシ
ュのステンレス製フルイを用いてフルイ分けして粉末部
分だけを減圧乾燥器中に移し、窒素ガス雰囲気とした
後、150℃で7時間加熱した。室温まで冷却後、20
%のメタノールを含む0.2Mの重炭酸ナトリウム水溶
液100mlを加え50℃で3時間処理し酸無水物を加
水分解した。そして、4Gのガラスフィルター上に移し
吸引ろ過した。水洗いした後、0.5規定の塩酸水溶液
100mlで洗浄した。次に、150mlの水および、
150mlのメタノールで洗浄して弱酸性陽イオン交換
体を製造した。
【0032】こうして得られた弱酸性陽イオン交換体を
臭化カリウム粉末と混砕し、錠剤成型器で錠剤とした
後、簡易FT-IRを用いてスペクトルを測定して解析
したところ、1780cm-1付近の酸無水物のカルボニ
ルの吸収バンドと1700cm-1付近のカルボキシのカ
ルボニルの吸収バンドのピーク強度比から87%がカル
ボキシ基に加水分解されていることが明らかになった。
【0033】また、得られた弱酸性陽イオン交換体をカ
ラムに充填して3mM硝酸水溶液を溶離液として、実施
例1と同様の液体クロマトグラフィー条件で同一試料を
測定した。この結果を各イオンのk’比で示すと、Li
+のk’を1とした時、Na+は1.30、NH4 +は1.5
4、K+は1.80、Mg2+は2.37、Ca2+は3.17
であった。このように、2価の陽イオンは溶出が早ま
り、1価と2価の陽イオンを同時に分離することが可能
であった。また、実施例1と同様な方法でイオン交換容
量を測定したところ、1.25meq/gであった。
【0034】実施例3 ポリブタジエンマレイン酸1.0gと無水イタコン酸1.
0gと、ビニル化合物としてペンタエリスリトールテト
ラアクリレート1.0gおよびスチレン2.0gと、重合
開始剤としてラウロイルパーオキサイド0.3gとを3
00mlの茄子型フラスコ中で混合し、150mlのメ
タノールを加えて完全に溶解した。次いで、粒径5μ
m、細孔径5nm、表面積450m2/gのシリカゲル
を10g加え均一に懸濁させた後、ロータリーエバポレ
ーターを用いて45℃、650mmHgで濃縮、シリカ
ゲル表面に被膜を形成し弱酸性陽イオン交換体を製造し
た。
【0035】この弱酸性陽イオン交換体を実施例2と同
様、簡易FT-IRによるスペクトル解析をしたところ
カルボキシ基の比率は91%であった。また、この弱酸
性陽イオン交換体をカラムに充填して3mM硝酸水溶液
を溶離液として実施例1と同様の液体クロマトグラフィ
ー条件で同一試料を測定した。その結果、各イオンの
k’比はLi+のk’を1とした時、Na+は1.32、
NH4 +は1.53、K+は1.85、Mg2+は2.32、C
2+は3.23であった。このように、2価の陽イオン
は溶出が早まり、1価と2価の陽イオンを同時に分離す
ることが可能であった。また、実施例1と同様の方法で
イオン交換容量を測定したところ、1.22meq/g
であった。
【0036】実施例4 ポリブタジエンマレイン酸1.75gと、ビニル化合物
としてポリアリルフタレート(平均分子量1000のも
の)0.25gおよびオクチルアクリレート0.25g
と、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.1
5gとを300mlの茄子型フラスコ中で混合し、10
0mlのメタノールを加え完全に溶解した。次に、ゲル
パーミエーショングラフィーに用いる平均粒径5μm、
平均細孔径40nmのスチレン/ジビニルベンゼンゲル
を5.0g加え均一に懸濁させた後、ロータリーエバポ
レーターを用いて45℃、650mmHgで回転させな
がら濃縮しスチレン/ジビニルベンゼンゲル表面に被膜
を形成した。次に、被膜を形成したスチレン/ジビニル
ベンゼンゲルは200メッシュのステンレス製フルイを
用いてフルイ分けして粉末部分だけを減圧乾燥器中に移
し、窒素ガス雰囲気とした後、150℃で6時間加熱し
て弱酸性陽イオン交換組成物を製造した。
【0037】こうして得られた弱酸性陽イオン交換体を
カラムに充填して3mM硝酸水溶液を溶離液として実施
例1と同様の液体クロマトグラフィー条件で同一試料を
測定した。その結果、各イオンのk’比はLi+のk’
を1とした時、Na+は1.38、NH4 +は1.60、K+
は1.92、Mg2+は2.63、Ca2+は3.99であっ
た。このように、2価の陽イオンは溶出が早まり、1価
と2価の陽イオンを同時に分離することが可能であっ
た。また、実施例1と同様の方法でイオン交換容量を測
定したところ、1.40meq/gであった。
【0038】実施例5 実施例1で用いたシリカゲル8.0gを100mlの三
角フラスコにとり70mlのトルエンを加え充分になじ
ませた。次に、4mlのビニルトリクロロシラン、1.
5mlのピリジンを加え時々攪拌した後、一夜放置して
ビニルシリル化した。このシリル化反応液は4Gのガラ
スろ過器で吸引ろ過し100mlのトルエン、100m
lのメタノールで洗浄の後、室温で減圧乾燥した。この
ビニルシリル化したシリカゲルを元素分析したところ炭
素が4.24%であった。このシリル化したシリカゲル
を用いて、実施例1の二分の一のスケールで弱酸性陽イ
オン交換体を製造した。
【0039】得られた弱酸性陽イオン交換体をメタノー
ルで洗浄した後、カラムに充填して3mM硝酸水溶液を
溶離液として実施例1と同様の液体クロマトグラフィー
条件で同一試料を測定した結果、各イオンのk’比はL
+のk’を1とした時、Na+は1.75、NH4 +は2.
19、K+は3.13、Mg2+は3.99、Ca2+は5.2
8であった。このように、2価の陽イオンは溶出が早ま
り、1価と2価の陽イオンを同時に分離することが可能
であった。また、実施例1と同様の方法でイオン交換容
量を測定したところ、1.59meq/gであった。
【0040】実施例6 実施例5で合成したビニルシリル化したシリカゲルを用
いて、比較例1の五分の一のスケールで弱酸性陽イオン
交換体を製造した。イオン交換容量を実施例1と同様の
方法で測定したところ、1.51meq/gであり、シ
リカゲルをビニルシリル化することにより不飽和カルボ
ン酸などを多孔質担体表面により多く被覆できることが
実証された。
【0041】実施例7 ポリブタジエンマレイン酸2.0gと、ベンゾイルパー
オキサイド0.10gとを300mlの茄子型フラスコ
中で混合し、100mlのメタノールを加え完全に溶解
した。次に、実施例1で使用したシリカゲルを5.0g
加え均一に懸濁させた後、ロータリーエバポレーターを
用いて45℃、650mmHgで回転させながら濃縮し
シリカゲル表面に被膜を形成した。
【0042】次いで100mlのビーカーに、炭素数2
のアルキル基を有するビニル化合物の1例としてエチル
アクリレート、同じく炭素数3のアルキル基を有するビ
ニル化合物の1例としてプロピルアクリレート、また同
じく炭素数4のアルキル基を有するビニル化合物の1例
としてブチルアクリレートを各々0.25gとった。次
いで各々にトリメチロールプロパントリメタクリレート
を0.25gずつ量り取り50mlのペンタンに溶解
し、3個用意した被膜形成シリカゲルに加えた。これ
を、ロータリーエバポレーターに取り付け、回転攪拌し
た後室温で減圧濃縮した。また、炭素数が18のアルキ
ル基を有するビニル化合物であるステアリルメタクリレ
ートは前3個と同一の混合比で、ブタジエン/マレイン
酸共重合体、ベンゾイルパーオキサイド、トリメチロー
ルプロパントリメタクリレートと一緒にメタノールに溶
解して前述の様にシリカゲルに被覆した。
【0043】各々イオン交換樹脂の被膜を形成したシリ
カゲルは、200メッシュのステンレス製フルイを用い
てフルイ分けして粉末部分だけを減圧乾燥器中に移し
た。窒素ガスで空気を置換した後、150℃で6時間加
熱して弱酸性陽イオン交換体を製造した。
【0044】これらの弱酸性陽イオン交換体はメタノー
ルで洗浄した後、カラムに充填して、3mM硝酸水溶液
を溶離液として実施例1と同様の液体クロマトグラフィ
ー条件で同一の試料を測定した。その結果を表2に示し
た。
【0045】表2から、エチル基はk’比の2価陽イオ
ンの挙動から判断して、疎水性効果はほとんど無いもの
と推定される。また、プロピル基は多少効果が現れ始
め、ブチル基、ステアリル基では充分な疎水基の効果が
確認された。なお、イオン交換容量は安定した値を示し
ており、トリメチロールプロパントリメタクリレートに
よる架橋が充分であることを示している。
【0046】
【表2】
【発明の効果】本願発明の弱酸性陽イオン交換体はポリ
ビニル化合物を架橋剤として使用しているので、共重合
架橋体が多孔質担体表面を高密度に被覆することが可能
である。そして、カラム充填時などに多孔質担体から弱
酸性陽イオン交換組成物が欠落するのを抑制することが
でき、この結果、液体クロマトグラフィーにおいて、安
定した充填カラムの製造が可能である。また、陽イオン
を分離するのに充分なイオン交換容量を長期に渡って保
持する効果がある。さらに、弱酸性陽イオン交換組成物
に疎水基を導入することによって、2価陽イオンの溶出
を選択的に早めることができる。
【0047】前述の2つの相乗効果で、液体クロマトグ
ラフィーの際にピリジン-2,6-ジカルボン酸などの特殊
な試薬を溶離液に添加しなくても、硝酸等の一般的な鉱
酸を溶離液として使用することが可能となった。従っ
て、現在、溶離液の関係でノンサプレッサー型イオンク
ロマトグラフィーに限定されていた利用範囲がサプレッ
サー型イオンクロマトグラフィーにも拡大され、1価、
2価陽イオンの超微量同時分析が可能になると期待でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の結果を示すクロマトグラムである。
【図2】比較例1の結果を示すクロマトグラムである。
【符号の説明】
1 Li+のピーク 2 Na+のピーク 3 NH4 +のピーク 4 K+のピーク 5 Mg2+のピーク 6 Ca2+ピーク
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年2月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】以下に本発明を詳説する。本発明の弱酸性
陽イオン交換体は次の方法で得られる。まず不飽和カル
ボン酸および/または不飽和カルボン酸ジエンモノマー
共重合体と1種以上のビニル化合物とラジカル重合開始
剤とをメタノールあるいはアセトン等の有機溶剤で溶解
した後、多孔質担体を加えて均一に懸濁させる。そし
て、ロータリーエバポレーターなどで減圧濃縮して多孔
質担体表面に弱酸性陽イオン交換組成物となる被膜を形
成する。次に、加熱可能な容器中、例えば減圧乾燥器に
前述の減圧濃縮した多孔質担体被膜形成物を入れ、不活
性ガス、例えば窒素ガスで置換した後、加熱処理するこ
とによって本願発明の弱酸性陽イオン交換体を製造する
ことができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】前述の製造方法において、加熱処理条件
は、加熱温度が100℃から250℃、望ましくは15
0℃から230℃とし、加熱時間は2時間から10時
間、望ましくは3時間から7時間の範囲とすることによ
り充分なビニル共重合架橋組成物を多孔質担体表面に高
密度に被覆することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】表1の結果から、実施例1の弱酸性陽イオ
ン交換体は比較例1に比べイオン交換容量が大きくカル
ボキシル基の母体であるポリブタジエンマレイン酸が高
密度に共重合架橋してシリカゲル表面を覆っていること
を示している。また、実施例1は溶離液A、Bとも1価
の陽イオンの分離幅が広がっており、充分な分離が行わ
れている。さらに、2価の陽イオンは比較例1に比べ1
価の陽イオンの分離状態と相対的に比較して溶離液A、
Bに関係なく早く溶出する事が確認された。このよう
に、弱酸性陽イオン交換組成物に疎水基を導入したもの
と、そうでない前述の報文の弱酸性陽イオン交換体では
イオン交換作用に大きな差があることが証明された。図
1と図2は、各々実施例1と比較例1で製造した弱酸性
陽イオン交換体を用いて3mM硝酸水溶液を溶離液とし
て測定したクロマトグラムであり、前述のことが一目瞭
然に判断できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 30/48 P 8506−2J

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔性担体の表面に不飽和カルボン酸
    および/または不飽和カルボン酸ジエンモノマー共重合
    体とビニル化合物との共重合架橋体から成る弱酸性陽イ
    オン交換組成物を被覆していることを特徴とする弱酸性
    陽イオン交換体。
  2. 【請求項2】 ビニル化合物が、炭素数3以上のアル
    キル基、アリール基、アラルキル基よりなる群から選ば
    れた疎水基を有することを特徴とする請求項1記載の弱
    酸性陽イオン交換体。
JP3255389A 1991-10-02 1991-10-02 弱酸性陽イオン交換体 Pending JPH0596184A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3255389A JPH0596184A (ja) 1991-10-02 1991-10-02 弱酸性陽イオン交換体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3255389A JPH0596184A (ja) 1991-10-02 1991-10-02 弱酸性陽イオン交換体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0596184A true JPH0596184A (ja) 1993-04-20

Family

ID=17278085

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3255389A Pending JPH0596184A (ja) 1991-10-02 1991-10-02 弱酸性陽イオン交換体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0596184A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004024325A1 (en) * 2002-09-11 2004-03-25 Showa Denko K.K. Production process of film and column for cation chromatography
JP2006329875A (ja) * 2005-05-27 2006-12-07 Hitachi Chem Co Ltd 陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラム
JP2007191581A (ja) * 2006-01-19 2007-08-02 Showa Denko Kk 高分子被膜の形成方法及びこの方法を用いたイオン交換体
JP2007530760A (ja) * 2004-04-02 2007-11-01 ネクストテツク・ゲー・エム・ベー・ハー 生体高分子のクロマトグラフ分離のための複合吸収剤材料の製造方法
JP2008264732A (ja) * 2007-04-24 2008-11-06 Tokuyama Corp 多孔性イオン交換体およびその製造方法
JP2009113034A (ja) * 2007-10-16 2009-05-28 Kochi Prefecture イオン収着材、その製造方法およびその使用方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004024325A1 (en) * 2002-09-11 2004-03-25 Showa Denko K.K. Production process of film and column for cation chromatography
CN1326621C (zh) * 2002-09-11 2007-07-18 昭和电工株式会社 用于阳离子色谱法的膜和柱的制造方法
US7820240B2 (en) 2002-09-11 2010-10-26 Showa Denko K.K. Production process of film and column for cation chromatography
US9579629B2 (en) 2002-09-11 2017-02-28 Showa Denko K.K. Production process of film and column for cation chromatography
JP2007530760A (ja) * 2004-04-02 2007-11-01 ネクストテツク・ゲー・エム・ベー・ハー 生体高分子のクロマトグラフ分離のための複合吸収剤材料の製造方法
JP2006329875A (ja) * 2005-05-27 2006-12-07 Hitachi Chem Co Ltd 陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラム
JP2007191581A (ja) * 2006-01-19 2007-08-02 Showa Denko Kk 高分子被膜の形成方法及びこの方法を用いたイオン交換体
JP2008264732A (ja) * 2007-04-24 2008-11-06 Tokuyama Corp 多孔性イオン交換体およびその製造方法
JP2009113034A (ja) * 2007-10-16 2009-05-28 Kochi Prefecture イオン収着材、その製造方法およびその使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2737404C (en) Temperature-responsive polymer particles in protein separation
US4439545A (en) Acrylic copolymers of N-acryloylpolymethyleneimines or N-acryloyldialkylamides, N,N'-acryloyldiaminoalcanes and N-acryloylaminoacids (or esters) their preparation and use as cation exchangers
Tsukagoshi et al. Metal Ion-Selective Adsorbent Prepared by Surface-Imprinting Polymerization.
CN111957304B (zh) 一种血液灌流用大孔吸附树脂及其制备方法
JPH02233147A (ja) 分散剤への樹脂結合を用いるイオン交換組成物及びその製造方法
US9579629B2 (en) Production process of film and column for cation chromatography
US3502217A (en) Abrasion-resistant chromatoplates
US5168104A (en) Macroporous particles as biocompatible chromatographic supports
JP5280604B2 (ja) 多孔性支持体の後修飾
JPH0596184A (ja) 弱酸性陽イオン交換体
JP2002543224A (ja) スルホン化されたポリマー樹脂及びその調製
KR0140099B1 (ko) 이온 크로마토그라피용 이온교환조성물 및 이를 채운 크로마토그라프관
GB2113226A (en) Porous substrate for analyzing hydrophilic substances having low molecular weight
JP3259532B2 (ja) 分離剤及びその製造方法
JP4964470B2 (ja) 高分子被膜の形成方法及びこの方法を用いたイオン交換体
JPH0618505A (ja) 陽イオンの分析方法
JP2000055897A (ja) 充填剤及びその製造方法
Chang et al. Preparation of High‐capacity, Monodisperse Polymeric Weak Cation Exchange Packings Using Surface‐initiated Atom Transfer Radical Polymerization and Its Chromatographic Properties
JPH087198B2 (ja) 糖化ヘモグロビンの定量法
JPS6251654B2 (ja)
JPS6251653B2 (ja)
JPS62227446A (ja) アフイニテイ・クロマトグラフイ−用吸着体
JP2023109603A (ja) 陽イオンクロマトグラフィー用充填剤および陽イオンクロマトグラフィー分析用カラム
JPH0465842B2 (ja)
JPH0219902B2 (ja)