JP2023109603A - 陽イオンクロマトグラフィー用充填剤および陽イオンクロマトグラフィー分析用カラム - Google Patents

陽イオンクロマトグラフィー用充填剤および陽イオンクロマトグラフィー分析用カラム Download PDF

Info

Publication number
JP2023109603A
JP2023109603A JP2022011207A JP2022011207A JP2023109603A JP 2023109603 A JP2023109603 A JP 2023109603A JP 2022011207 A JP2022011207 A JP 2022011207A JP 2022011207 A JP2022011207 A JP 2022011207A JP 2023109603 A JP2023109603 A JP 2023109603A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
group
cation chromatography
packing material
coating film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022011207A
Other languages
English (en)
Inventor
英幸 近藤
Hideyuki Kondo
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Resonac Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Resonac Holdings Corp filed Critical Resonac Holdings Corp
Priority to JP2022011207A priority Critical patent/JP2023109603A/ja
Publication of JP2023109603A publication Critical patent/JP2023109603A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)

Abstract

【課題】適当な濃度の溶離液条件にてサプレッサーを使用せずに1価および2価の陽イオンを同時に分析でき、特にナトリウムイオンとアンモニウムイオンを高度に分離できることが可能な、陽イオンクロマトグラフィー用充填剤を提供する。【解決手段】本発明の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤は、ホスホン酸基とカルボキシ基とを含むことを特徴とする。基材と、前記基材に形成されたコーティング膜と、を含む。前記基材がポリビニルアルコールであり、前記コーティング膜が、ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーとα、β-不飽和二塩基酸誘導体との重合体を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、陽イオンクロマトグラフィー用充填剤および陽イオンクロマトグラフィー分析用カラムに関する。
イオンクロマトグラフィーは、溶離液をイオンクロマトグラフィー用充填剤が充填されたカラムに送液しながら、イオン種を含む試料を注入し、各イオン種をカラム内での保持時間の差を利用して分離し、電気伝導度検出器等を用いて検出・定量する分析手法である。中でも、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等の無機陽イオンの分析には、イオンクロマトグラフィーが効率的かつ高精度・高感度な手段として利用されている。
無機陽イオンの分析、特に1価と2価の陽イオンを同時に測定することができる分析カラムにおいては主に弱陽イオン交換性を有するカルボキシ基が導入された陽イオンクロマトグラフィー用充填剤が用いられている。例えば、多孔質シリカゲルにポリ(ブタジエン-マレイン酸)(以下、PBDMAと表す場合がある。)の被膜を形成した後、180℃で4時間加熱製造することでカルボキシ基を導入した弱酸性陽イオン交換体を使った充填剤がある(非特許文献1参照)。
しかし、この方法で作られた弱酸性陽イオン交換体は、シリカゲル基材とPBDMA被膜から生成した樹脂との密着性が充分ではなく、再現性に乏しいという問題を有している。
この問題点を解決する方法として、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物-ジエンモノマー共重合体とビニル化合物との共重合架橋体からなる弱酸性陽イオン交換組成物を被覆していることを特徴とする弱酸性陽イオン交換体が提示されている(特許文献1参照)。これは、球状微粒子担体の表面に被膜を形成する際に、官能基としてビニル基を持つ化合物を共存させ、高温下でPBDMA共重合架橋体を生成させ、耐久性を向上させるというものである。
また、これら2つの報告による充填剤は、重合の際に有機物を含む微粒子を高温に熱する必要があり、製造法として工業的に適していなかった。
特許文献2には、多孔質基材の表面に多官能カルボン酸化合物と多官能エポキシ化合物との硬化物を被覆してなる陽イオンクロマトグラフィー用充填剤が提案されている。この報告では、耐久性が改善されたカラムが得られると報告があるが、官能基を含む構造にはエステル結合が含まれ、加水分解による劣化など不都合が考えられる。
また、これらの提案による陽イオンクロマトグラフィー用充填剤は1価のカチオンの分離、特にナトリウムイオンとアンモニウムイオンの分離の改善を目指したものではなく、これらの陽イオンの分離は充分とは言えなかった。
これとは別に、ナトリウムイオンとアンモニウムイオンの分離の改善を目指した例が、報告されている(特許文献3、4参照)。ここでは、多孔性有機重合体粒子に、クラウンエーテルやそれに類する構造を有する官能基を導入することにより、特にカリウムとアンモニウムの留出を遅らせることによる、ナトリウムイオンとアンモニウムイオンの分離の改善が示されている。このカラムは、充分に目的を果たすものの、特にカリウムのピーク形状が悪化し、溶離液に有機溶媒を含む溶液を用いる必要があるなどの欠点があった。
また、これらの報告には、実施例にポリスチレン系の基材に、無水マレイン酸とエチルビニルエーテルからなる共重合体をグラフト重合させる例が示されている。一般に、グラフト重合を用いる方法は、確かに官能基を大量に導入できることができる可能性がある。しかし、この方法で導入される共重合体高分子の鎖は、ほとんどが基材表面と垂直の方向に広がる。これは、基材上の官能基を含む部位の膜厚を増加させることになる。このため官能基の導入量を増やす場合に、カラム圧力の上昇を招いたり、カラムの分離効率の低下を引き起こしたりする原因となっていた。
さらには、ポリスチレン系の基材にカルボキシ基およびホスホン酸基を持つ陽イオンクロマトグラフィー用充填剤を充填した陽イオンクロマトグラフィー分析用カラムが市販されている(例:商品名Ionpac CS16、米国Thermo社製)。このカラムでは1価のカチオンの分離が改善され、特にナトリウムイオンとアンモニウムイオンの分離が改善されている。しかし、このカラムは、基材であるポリスチレンの疎水性が強すぎることから特に2価陽イオンが溶出されない、もしくは溶出が極めて遅くなることから30mmol以上の濃度の高いメタンスルホン酸溶離液を用いる必要があるためサプレッサーと呼ばれる特殊な装置を備えたイオンクロマトグラフィー分析装置が必要であった。
また、陽イオンクロマトグラフィー用充填剤が検討された結果、カルボキシ基が有機高分子の基材にコーティングされた分子内に二重結合を有する高分子とα、β-不飽和二塩基酸誘導体を重合することにより導入された陽イオンクロマトグラフィー用充填剤が適当な濃度の溶離液条件において1価および2価の陽イオンを同時に分析でき、さらにはナトリウムイオンとアンモニウムイオンの分離も改善されることが、報告されている(特許文献5参照)。
ナトリウムイオンとアンモニウムイオンの分離性能を求める指標としては例えば分離度が挙げられる。分離度(R)は、R=1.18×[(2つのピークの保持時間差)/(2つのピークのピーク高さの50%におけるピーク幅の和)]の計算式にて算出することができる。特許文献5により得られた陽イオンクロマトグラフィー用充填剤を液体クロマトグラフィー用分離カラム(内径4.0mm、長さ150mm)に充填した場合、同濃度におけるナトリウムイオンとアンモニウムイオンの分離度は1.5~2.5となる。
特開平5-96184号公報 特開平8-257419号公報 米国特許第5,968,363号明細書 米国特許第5,865,994号明細書 特開2004-97985号公報
クロマトグラフィア(Chromatographia),1987年,第23巻,第7号,p.465-472
しかし、大過剰に存在するナトリウムイオン中に存在する微量のアンモニウムイオン、例えばナトリウムイオン/アンモニウムイオン=10000/1のような濃度差の大きい試料を測定する場合、分離度が2.5であっても十分にアンモニウムイオンが分離できないことが明らかとなり、さらなる分離度の改善も困難であった。この原因として官能基であるカルボキシ基が弱イオン交換性であるため1価イオン同士の選択性が弱くナトリウムイオンとアンモニウムイオンが近接して溶出してしまうためと考えられる。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、適当な濃度の溶離液条件で1価および2価の陽イオンを同時に分析でき、特にナトリウムイオンとアンモニウムイオンを高度に分離できる陽イオンクロマトグラフィー用充填剤および該陽イオンクロマトグラフィー用充填剤を用いたクロマトグラフィー用カラムを提供することを課題の一つとする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の態様を含む。
[1] ホスホン酸基とカルボキシ基とを含む陽イオンクロマトグラフィー用充填剤であって、
基材と、前記基材に形成されたコーティング膜と、を含み、
前記基材がポリビニルアルコールであり、
前記コーティング膜が、ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーと、その他の不飽和化合物と、α、β-不飽和二塩基酸誘導体との共重合体である、ことを特徴とする陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
[2] 前記基材が体積平均粒子径1~30μmの球状多孔性粒子である[1]に記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
[3] 前記ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーがビニルホスホン酸、ジビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、メタリルホスホン酸、ビニルホスホン酸モノメチルエステル、メタクリルアミドメタンホスホン酸、及び2-アリールアミド-2-メチルプロパンホスホン酸からなる群から選択される1種以上である[1]又は[2]に記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
[4] 前記ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーがビニルホスホン酸である[1]~[3]のいずれかに記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
[5] 前記その他の不飽和化合物がポリ(ブタジエン-マレイン酸)及びポリ(ブタジエン-無水マレイン酸)からなる群から選択される1種以上である[1]~[4]のいずれかに記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
[6] 前記その他の不飽和化合物がポリ(ブタジエン-マレイン酸)である[1]~[5]のいずれかに記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
[7] 前記α、β-不飽和二塩基酸誘導体が無水マレイン酸、無水マレイン酸誘導体(例えば、無水クロルマレイン酸、無水シトラコン酸、無水1,2-ジエチルマレイン酸)、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、及びフマル酸ジエステルからなる群から選択される1種以上である[1]~[6]のいずれかに記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
[8] 前記α、β-不飽和二塩基酸誘導体が無水マレイン酸である[1]~[7]のいずれかに記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
[9] 前記基材に、前記ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーと前記その他の不飽和化合物とを含む組成物を塗布する、コーティング膜前駆体の形成工程と、
前記コーティング膜前駆体に含まれる前記ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーと前記その他の不飽和化合物と、前記α、β-不飽和二塩基酸誘導体とを共重合する、コーティング膜の形成工程と、を含むことを特徴とする、[1]~[8]に記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
[10] ハウジングと、[1]~[8]のいずれかに記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤と、を有することを特徴とする陽イオンクロマトグラフィー分析用カラム。
本発明の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤は加水分解への耐久性に優れ、汎用のイオンクロマトグラフィー装置にて使用可能な20MPa以下の低いカラム圧力にて、有機溶媒を使用しない適当な濃度の溶離液条件にてサプレッサーを使用せずに1価および2価の陽イオンを同時に分析でき、特にナトリウムイオン/アンモニウムイオン=10000/1のような濃度差の大きいナトリウムイオンとアンモニウムイオンを分離できることが可能なため、環境、食品、農学、化粧品、塗料、半導体、製薬、原子力等の幅広い分野に利用できるので有用な充填剤である。
実施例1で得られたクロマトグラム。ピーク1はLi、ピーク2はNa、ピーク3はNH 、ピーク4はK、ピーク5はMg2+、ピーク6はCa2+である。 実施例1で得られたクロマトグラムの1価イオン部分の拡大図。 実施例1で得られたクロマトグラム。ピーク1はNa、ピーク2はNH である。 比較例1で得られたクロマトグラム。ピーク1はLi、ピーク2はNa、ピーク3はNH 、ピーク4はK、ピーク5はMg2+、ピーク6はCa2+である。 比較例2の結果得られたクロマトグラム。ピーク1はLi、ピーク2はNa、ピーク3はNH 、ピーク4はK、ピーク5はMg2+、ピーク6はCa2+である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。但し、必ずしも具体的記述した事例だけに限定されるものではない。
[陽イオンクロマトグラフィー分析用カラム]
本発明の一実施形態(本実施形態)の陽イオンクロマトグラフィー分析用カラムは、ハウジングと、後述の本実施形態の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤とを有することを特徴とする。
<陽イオンクロマトグラフィー用充填剤>
本実施形態の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤(以後、単に本実施形態の充填剤と言うこともある)は、ホスホン酸基とカルボキシ基とを含むことを特徴とする。本実施形態の充填剤は、基材と、前記基材に形成されたコーティング膜と、を含む。前記基材がポリビニルアルコールである。前記コーティング膜が、ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーと、その他の不飽和化合物と、α、β-不飽和二塩基酸誘導体との共重合体である。
〔基材〕
本実施形態の充填剤に用いる基材がポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールとしては、基本的に液体クロマトグラフィーに用いられる材料であれば、その種類については特に制約はなく、中でも強酸あるいは強アルカリに対しても化学的に安定で、且つ基材表面を様々な官能基で化学的に修飾できる観点から、架橋された親水性ポリマーであるポリビニルアルコールが挙げられる。
ポリビニルアルコールは例えば酢酸ビニルとトリアリルイソシアヌレートとの架橋重合体をケン化することで得ることができる。
本実施形態に係る基材が体積平均粒子径1~30μmの球状多孔性粒子であることが好ましい。本願における上記の体積平均粒子径は後述の充填剤の体積平均粒子径と同じ方法で測定することができる。
〔コーティング膜〕
本実施形態の充填剤に用いるコーティング膜は、ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーと、α、β-不飽和二塩基酸誘導体と、その他の不飽和化合物と、の共重合体である。
前記コーティング膜100質量%に対して、前記共重合体を50~100%を含むことが好ましく、70~100%を含むことがより好ましく、90~100%を含むことが更に好ましく、100%を含むことが最も好ましい。50%以上であれば1価の陽イオンを良好に分離させることができるため好ましく、100%以下であれば有機溶媒を使用しない適当な濃度の溶離液条件でサプレッサーを使用せずに2価の陽イオンを短時間で溶出させることができるため好ましい。
また、基材100質量%に対してコーティング膜導入後の充填剤の質量が105~130質量%であることが好ましく、110~120質量%であることがより好ましい。105質量%以上であればナトリウムイオンとアンモニウムイオンの分離に優れるため好ましく、120質量%以下であればカラム圧力やカラムの分離効率が優れるため好ましい。
「ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマー」
本実施形態に係る、ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーとしては、その二重結合がラジカルなどと反応でき、本実施形態に係る基材に前記コーティング膜を形成できうるものであれば、特に制限されない。例えば、ビニルホスホン酸、ジビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、メタリルホスホン酸、ビニルホスホン酸モノメチルエステル、メタクリルアミドメタンホスホン酸、2-アリールアミド-2-メチルプロパンホスホン酸等を挙げることができる。これらは、単独あるいは複数の混合物として使用できる。特にビニルホスホン酸が好ましい。
この時に、本実施形態に係る基材をコーティングするホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーの量も特に制限されない。たたし陽イオンクロマトグラフィー用充填剤として用いる場合、該充填剤に対して、質量で0.01倍から0.5倍、より好ましくは0.05倍から0.2倍の量が好ましい。ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーの量が0.01倍以上であればナトリウムイオンとアンモニウムイオンが十分に分離されるために好ましく、0.5倍以下であれば有機溶媒を使用しない適当な濃度の溶離液条件でサプレッサーを使用せずに2価の陽イオンを短時間で溶出させることができるため好ましい。
「その他の不飽和化合物」
また、本実施形態に係る前記その他の不飽和化合物は、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、スルホ基、スルホアルキル基からなる群から選択される1種以上と、二重結合とを有するモノマーであってもよい。また、本実施形態に係る前記その他の不飽和化合物は、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、スルホ基、スルホアルキル基からなる群から選択される1種以上と、二重結合とを有する高分子である。本実施形態に係る前記その他の不飽和化合物は、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、スルホ基、スルホアルキル基からなる群から選択される1種以上と、二重結合とを有する高分子であることが好ましい。このような高分子としては、例えば、ポリ(ブタジエン-マレイン酸)(以下、PBDMAと表す場合がある。)、ポリ(ブタジエン-無水マレイン酸)(以下、PBDMANと表す場合がある。)、ポリブタジエン等が挙げられる。これらは、単独あるいは複数の混合物として使用できる。特に、PBDMA、PBDMANが好ましい。
ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーとは任意に併用することができるが、ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーとその他の不飽和化合物を合計した質量に対して、ホスホン酸基を含むモノエチレンの不飽和モノマーの質量比率が5~60質量%であることが好ましく、10~50質量%であることがより好ましく、10~40質量%であることが特に好ましい。5質量%以上であればナトリウムイオンとアンモニウムイオンの分離が優れており好ましく、60質量%以下であれば有機溶媒を使用しない適当な濃度の溶離液条件でサプレッサーを使用せずに2価の陽イオンを短時間で溶出させることができるため好ましい。
<α、β-不飽和二塩基酸誘導体>
本実施形態に係るα、β-不飽和二塩基酸誘導体とは、エチレン性の重合可能な二重結合の両端にカルボキシ基を有する化合物の誘導体を表す。本実施形態に係るα、β-不飽和二塩基酸誘導体としては、例えば、無水マレイン酸、無水マレイン酸誘導体(例えば、無水クロルマレイン酸、無水シトラコン酸、無水1,2-ジエチルマレイン酸)、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル等が挙げられる。中で、特に無水マレイン酸が好ましい。
この時に、本実施形態に係るα、β-不飽和二塩基酸誘導体の量も特に制限されない。たたし陽イオンクロマトグラフィー用充填剤として用いる場合、使用量は基材の質量に対して1.00倍~1.30倍量であることが好ましく、1.05倍~1.25倍量であることがさらに好ましく、1.10倍~1.20倍量であることが特に好ましい。1.00倍以上であればホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーとその他の不飽和化合物と充分に共重合することができるため好ましい。また、1.30倍以下であれば測定時の圧力上昇や分離の低下がなく測定ができるため好ましい。
<陽イオンクロマトグラフィー用充填剤の形状>
本実施形態の充填剤の形状は、充分な分離性能および高感度を有し、1~30MPaの圧力に耐え得る強度を得るために、体積平均粒子径が1~30μmの球状が好ましく、3~10μmの球形がさらに好ましい。1μm以上であれば極端なカラム圧力の上昇を招かないため好ましく、30μm以下であれば極端なカラムの分離効率の低下を引き起こさないために好ましい。
本願における上記の体積平均粒子径は、コールターカウンター法を用いて次のように測定される。すなわち、測定装置としてMultisizer 4(ベックマン・コールター社製)を用い、ポリマー充填剤0.2gにコールターカウンター用希釈液(製品名:アイソトンII希釈液、ベックマン・コールター社製)25mLを加え、超音波を3分間当てて分散させた後、約1000個の測定個数にて体積平均粒子径を測定する。体積平均粒子径を好ましい範囲とするには、風力分級、ふるい分けによる分級、沈殿を利用した分級等で制御できる。
<陽イオンクロマトグラフィー用充填剤の平均細孔直径>
また、本実施形態の充填剤の平均細孔直径は特に限定しないが、充分な強度および分離性能を得るために10~600Åであることが好ましく、50~500Åであることが特に好ましい。10Å以上であれば1価および2価の陽イオンの分離性能が優れるため好ましく、600Å以下であれば測定時に充填状態の変化や20MPa以上の圧力上昇などが発生しない強度を有するため好ましい。
平均細孔直径(D:Å)はガス吸着型細孔分布測定装置(例えばBELSORP MAX II(マイクロトラップ・ベル社製)を用いて得られた比表面積(S:m/g)及び単位質量の細孔容積(V:mL/g)を用いて、下記式により算出される値である。
D=40000×V/S
(式中、D:平均細孔直径(Å),V:単位質量の細孔容積(mL/g),S:比表面積(m/g)を表す)
<充填剤の製造方法>
本実施形態の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤の製造方法は、特に限定しないが、前記基材に、前記ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーと前記その他の不飽和化合物とを含む組成物を塗布する、コーティング膜前駆体の形成工程と;前記コーティング膜前駆体に含まれる前記ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーと前記その他の不飽和化合物と、前記α、β-不飽和二塩基酸誘導体とを共重合する、コーティング膜の形成工程と;を含む。例えば、前記基材が親水性ポリマーである場合、親水性ポリマーを製造する基材の合成工程と;前記親水性ポリマーに、前記ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーと前記その他の不飽和化合物とを含む組成物を塗布する、コーティング膜前駆体の形成工程と;前記コーティング膜前駆体に含まれる前記ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーと前記その他の不飽和化合物と、前記α、β-不飽和二塩基酸誘導体とを共重合する、コーティング膜の形成工程と;を含むことが好ましい。
例えば、充填剤の基材がポリビニルアルコールである場合、まず、酢酸ビニルとトリアリルイソシアヌレートと酢酸ブチルとn‐デカンと2,2’-アゾビスイソブチロニトリルとよりなる均一混合液、及びポリビニルアルコールとリン酸水素二ナトリウムとよりなる水溶液をそれぞれ調整し、そして、その均一混合液とその水溶液を混合し、撹拌しつつ、重合を行うとこで粒状の架橋重合体を得る。次いで該重合体をカセイソーダとともに撹拌して該重合体のケン化を行う。次いで分級を行うことで体積平均粒子径30μm以下のポリビニルアルコールを製造する。
本実施形態に係るコーティング膜の一例は、例えば以下の方法で製造することができる。上記ポリビニルアルコールにビニルホスホン酸単独またはビニルホスホン酸とポリ(ブタジエン-マレイン酸)(1:1)(PBDMA)の混合物、アセトンやメタノールなどの有機溶媒とよりなる均一な分散液を調整したのちにろ過やロータリーエバポレーターでの溶媒除去などの方法を用いてビニルホスホン酸単独またはビニルホスホン酸とポリ(ブタジエン-マレイン酸)(1:1)(PBDMA)の混合物を被膜させたのち、無水マレイン酸とトルエン、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を投入し重合させることにより、上記ポリビニルアルコール粒子を被覆するように、本実施形態に係るコーティング膜が得られる。すなわち、ホスホン酸基およびカルボキシ基を導入したポリビニルアルコールが得られる。
<ハウジング>
本実施形態の充填剤を充填する陽イオンクロマトグラフィー用分析カラムのハウジングは基本的に材質の種類およびサイズに特に制限はないが、ステンレス製もしくはPEEK製の円筒状の液体クロマトグラフィー用ハウジングを用いることが好ましい。
中でも移動相の消費量を削減しながら無機陽イオンを短時間で分離溶出させるためにはハウジングの内径は1.0~8.0mmであることが好ましく、2.0~6.0mmであることがより好ましい。また、長さは5.0~25.0cmであることが好ましく、10.0~15.0cmであることがより好ましい。5.0cm以上であれば1価の陽イオンの分離に優れるため好ましく、15.0cm以下であれば有機溶媒を使用しない適当な濃度の溶離液条件でサプレッサーを使用せずに2価の陽イオンを短時間で溶出させることができるため好ましい。
<充填剤のカラムへの充填方法>
本実施形態の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤はハウジングに充填した後に、本実施形態の陽イオンクロマトグラフィー分析用カラムとして使用することができるが、1価および2価の陽イオンの分離およびそのバランス性能を得るためには湿式スラリー法にて充填されることが好ましい。
湿式スラリー法ではホスホン酸基およびカルボキシ基を導入した充填剤を液体に分散させてスラリーとした後、ポンプを用いてハウジング内に送液し加圧することにより行われる。この時、スラリー調製に用いる液体としては、親水性の高い充填剤が収縮することなく分散しやすい水が好ましく用いられる。さらには、親水性ポリマー粒子の細孔中に水が浸透し、適度な水和状態を形成しながら良好な分散を達成するために、酸を添加すると良い。中でも、ギ酸、酢酸、硝酸、メタンスルホン酸の少なくとも1種が含まれた水溶液が好ましく用いられる。
また、充填剤の分散性を改善するためには、水と相溶の有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランなど)が少量添加されてもよい。
充填剤濃度はスラリーの流動性が維持される範囲であれば制約はない。本実施形態で用いられるホスホン酸基およびカルボキシ基が導入された充填剤の場合、2~20質量%が好ましい。2質量%以上であればスラリー調整に用いる液体量を多量に使用しないで良いため好ましく、20質量%以下であればスラリーの流動性が良好に維持されるため好ましい。
<移動相及び分析装置>
本実施形態の充填剤を用いた陽イオンクロマトグラフィー分析用カラムによる分析方法では、移動相にメタンスルホン酸、硝酸、硫酸またはりん酸の水溶液を用いることができる。移動相の酸の濃度についても制限はないが、5~10mmol/Lが好ましい。5mmol/L以上であれば有機溶媒を使用しない適当な濃度の溶離液条件でサプレッサーを使用せずに2価の陽イオンを1測定あたり40分以内の短時間で溶出させることができるため好ましく、10mmol/L以下であれば有機溶媒を使用しない適当な濃度の溶離液条件でサプレッサーを使用せずに2価の陽イオンを短時間で溶出させることができるため好ましい。また、移動相にはより良好にナトリウムイオンとアンモニウムイオンを分離させるために18-クラウン-6(1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカン)などのクラウンエーテル類を添加しても良い。
分析装置はその種類、カラムオーブンの有無には特に限定はなく、HPLCに電気伝導度検出器(例えばCDD-10A((株)島津製作所製)を接続して使用することもできる。また、流量1.0mL/minにおける測定時の圧力が20MPa以内であれば高圧対応の装置を用いることなく汎用のイオンクロマトグラフィー装置にて容易に測定することができる。電気伝導度検出器を備える汎用のイオンクロマトグラフィー装置としては例えばICA-2000(東亜ディーケーケー(株)製)を用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
<充填剤の体積平均粒子径の測定方法>
充填剤の体積平均粒子径は、上記<陽イオンクロマトグラフィー用充填剤の形状>で記載の方法で測定する。
<イオンクロマトグラフの測定方法>
陽イオンクロマトグラフィー分析用カラムによる測定は電気伝導度検出器を備えたイオンクロマトグラフICA-2000(東亜ディーケーケー(株)製)を用いた。測定条件は、溶離液:10mmol/Lメタンスルホン酸水溶液、カラム温度:40℃である。
<実施例1>
「充填剤の製造」
工程(1) ポリビニルアルコール(基材)の製造
酢酸ビニル(東京化成(株)製)100g、トリアリルイソシアヌレート(日本化成(株)製)180g、酢酸ブチル((株)ゴードー製)150g及びα,α’-アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬(株)製、特級)10gよりなる均一混合液と、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、製品名:PVA-224)14g及びリン酸三ナトリウム(富士フィルム和光純薬(株)製、12水和物、特級)1gを溶解した水1400mLと還流冷却器を備えた5lの三口フラスコに入れ10分撹拌した。次いで、窒素気流下で撹拌しつつ、60℃で16時間重合を行い粒状架橋重合体を得た。該重合体を濾過、洗浄し、アセトン洗浄した後乾燥した。次いで該重合体を20質量%のカセイソーダ水溶液3Lとともに還流冷却器、窒素導入管及び撹拌器を備えた5Lの三口フラスコに入れ、窒素気流下で15℃,20時間撹拌して該重合体のケン化を行った後、濾過、水洗、更に乾燥した。ケン化によって得られたポリビニルアルコールの体積平均粒子径は3.5μmであった(以後、単に基材ゲルと言う)。
工程(2) コーティング膜前駆体の形成
100mlのセパラブルフラスコに、工程(1)で得られた基材ゲル9.0gとメタノール18.0gを入れて超音波にてスラリーとした。50mlのビーカーにホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーとしてビニルホスホン酸(東京化成(株)製)0.7gとその他の不飽和化合物としてポリ(ブタジエン-マレイン酸)(PBDMA)(ポリサイエンス社製、42質量%水溶液)14.6g(純分として6.1g相当)を入れてメタノール27.0gに溶解させ、これを滴下ロートに移液した。5gのメタノールでビーカーを洗浄して、この洗浄液も滴下ロートに加えた。上記スラリーを200rpmで撹拌しながら60℃に昇温し、上記PBDMAのメタノール溶液を20分かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間撹拌を続け、得られたゲルをろ過して減圧乾燥し、コーティング膜前駆体が塗布された基材ゲル9.7gを得た。
工程(3) コーティング膜の形成(重合)
100mlのセパラブルフラスコにα、β-不飽和二塩基酸誘導体として無水マレイン酸(富士フィルム和光純薬(株)製)10.2g(基材の質量に対して1.13倍量)とトルエン45gを入れ、85℃で溶解させた。無水マレイン酸が完全に溶解した後、室温で5分間撹拌を続け、ここに、工程(2)で得られたゲル全量とα,α’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、富士フィルム和光純薬(株)製、特級)0.7gを投入し、超音波照射して均一に分散させた。室温で約5分間窒素パージした後、撹拌しながら昇温して85℃で16時間反応させた。反応生成物をろ過し、トルエン100ml、アセトン100ml、純水100mlの順に洗浄した後、反応生成物をセパラブルフラスコに戻し、水50mlを加えて80℃で2時間撹拌した。反応生成物をろ過し、水100ml、アセトン100mlの順に洗浄して減圧乾燥した。こうしてホスホン酸基およびカルボキシ基が導入された陽イオンクロマトグラフィー用充填剤を得た。得られた充填剤の質量は10.4gであり、基材100質量%に対してコーティング膜導入後の充填剤の質量が115質量%であった。
「カラムの作製と評価」
こうして得られたホスホン酸基およびカルボキシ基が導入された陽イオンクロマトグラフィー用充填剤を、液体クロマトグラフィー用分離カラム(内径4.6mm、長さ150mm)に充填してイオンクロマトグラフにより試料の分離を行った。流量は0.8mL/minである。測定した試料は、Li:0.2mg/L、Na:1mg/L、NH :1mg/L、K:2mg/L、Mg2+:1mg/L、Ca2+:2mg/Lの濃度の混合液でこれを20μL注入した。
得られたクロマトグラムを図1および1価イオン部分を拡大した図2に示した。ピーク1はLi+、ピーク2はNa、ピーク3はNH 、ピーク4はK、ピーク5はMg2+、ピーク6はCa2+である。1価イオンと2価イオンは良好に分離しており、特に図2によりナトリウムとアンモニウムのピークがベースラインで分離していることがわかる。分離度は4.35であった。また、カラム圧力は10.9MPaであり汎用のイオンクロマトグラフにて測定可能な圧力であった。繰り返し測定を行った場合に圧力の上昇や分離度の低下もみられなかった。
同じ陽イオンクロマトグラフィー分析用カラムを用いてイオンクロマトグラフによりナトリウムイオンとアンモニウムイオンの分離を行った。流量は0.6mL/minである。測定した試料は、Na:10mg/L、NH :0.0005mg/L(NaとNH の濃度比は20000:1)の濃度の混合液でこれを20μL注入した。
得られたクロマトグラムを図3に示した。ピーク1はNa、ピーク2はNH である。ナトリウムが高濃度に存在している試料でもアンモニウムがベースラインで分離していることがわかる。繰り返し測定を行った場合に圧力の上昇や分離の低下は見られなかった。
<比較例1>
「充填剤の製造」
実施例1と同じ基材ゲルを用いてビニルホスホン酸を使用しない以外は実施例1と同一の条件にて工程(2)および(3)を行いカルボキシ基が導入された陽イオンクロマトグラフィー用充填剤を得た。
「カラムの作製と評価」
こうして得られたカルボキシ基が導入された陽イオンクロマトグラフィー用充填剤を、液体クロマトグラフィー用分離カラム(内径4.6mm、長さ150mm)に充填してイオンクロマトグラフにより試料の分離を行った。流量は0.8mL/minである。測定した試料は、Li:0.2mg/L、Na:1mg/L、NH :1mg/L、K:2mg/L、Mg2+:1mg/L、Ca2+:2mg/Lの濃度の混合液でこれを20μl注入した。
得られたクロマトグラムを図4に示した。ピーク1はLi、ピーク2はNa、ピーク3はNH 、ピーク4はK、ピーク5はMg2+、ピーク6はCa2+である。1価イオンと2価イオンは良好に分離されているが、ホスホン酸基が導入されていないため1価イオンの選択性が弱くナトリウムとアンモニウムのピークは十分にベースラインで分離されていないことがわかる。分離度は2.55であった。また圧力は9.7MPaであった。
<比較例2>
「充填剤の製造」
基材ゲルにはスチレン-ジビニルベンゼン共重合体(体積平均粒子径:3.5μm、デクセリアルズ(株)製)を用いた。実施例1と同一の条件にて工程(2)および(3)を行いホスホン酸基およびカルボキシ基が導入された陽イオンクロマトグラフィー用充填剤を得た。
「カラムの作製と評価」
こうして得られたカルボキシ基が導入された陽イオンクロマトグラフィー用充填剤を、液体クロマトグラフィー用分離カラム(内径4.6mm、長さ150mm)に充填してイオンクロマトグラフにより試料の分離を行った。流量は0.25mL/minである。測定した試料は、Li:0.2mg/L、Na:1mg/L、NH4+:1mg/L、K:2mg/L、Mg2+:1mg/L、Ca2+:2mg/Lの濃度の混合液でこれを20μl注入した。
得られたクロマトグラムを図5に示した。ピーク1はLi、ピーク2はNa、ピーク3はNH 、ピーク4はKである。このカラムでは圧力が非常に高くなり流量を0.25mL/minまで下げた場合でもカラム圧力は12.8MPaとなった。また100分まで測定を行ったが2価イオンが溶出されなかった。ナトリウムとアンモニウムの分離度は4.02であるがピーク形状の悪化が確認された。いずれも基材であるスチレン-ジビニルベンゼン共重合体の疎水性が高すぎるためと考えられ、サプレッサーの使用や高圧に対応したイオンクロマトグラフが必要である。
本発明は、陽イオンクロマトグラフィー用充填剤を提供する。また、この陽イオンクロマトグラフィー用充填剤を使用する陽イオンクロマトグラフィー分析用カラムを提供する。本発明の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤は、適当な濃度の溶離液条件にてサプレッサーを使用せずに1価および2価の陽イオンを同時に分析でき、特にナトリウムイオンとアンモニウムイオンを高度に分離できることが可能なため、環境、食品、農学、化粧品、塗料、半導体、製薬、原子力等の幅広い分野に利用できるので有用な充填剤である。

Claims (10)

  1. ホスホン酸基とカルボキシ基とを含む陽イオンクロマトグラフィー用充填剤であって、
    基材と、前記基材に形成されたコーティング膜と、を含み、
    前記基材がポリビニルアルコールであり、
    前記コーティング膜が、ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーと、その他の不飽和化合物と、α、β-不飽和二塩基酸誘導体との共重合体である、ことを特徴とする陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
  2. 前記基材が体積平均粒子径1~30μmの球状多孔性粒子である請求項1に記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
  3. 前記ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーがビニルホスホン酸、ジビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、メタリルホスホン酸、ビニルホスホン酸モノメチルエステル、メタクリルアミドメタンホスホン酸、及び2-アリールアミド-2-メチルプロパンホスホン酸からなる群から選択される1種以上である請求項1又は請求項2に記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
  4. 前記ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーがビニルホスホン酸である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
  5. 前記その他の不飽和化合物がポリ(ブタジエン-マレイン酸)及びポリ(ブタジエン-無水マレイン酸)からなる群から選択される1種以上である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
  6. 前記その他の不飽和化合物がポリ(ブタジエン-マレイン酸)である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
  7. 前記α、β-不飽和二塩基酸誘導体が無水マレイン酸、無水マレイン酸誘導体(例えば、無水クロルマレイン酸、無水シトラコン酸、無水1,2-ジエチルマレイン酸)、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、及びフマル酸ジエステルからなる群から選択される1種以上である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
  8. 前記α、β-不飽和二塩基酸誘導体が無水マレイン酸である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤。
  9. 前記基材に、前記ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーと前記その他の不飽和化合物とを含む組成物を塗布する、コーティング膜前駆体の形成工程と、
    前記コーティング膜前駆体に含まれる前記ホスホン酸基を含むモノエチレン不飽和モノマーと前記その他の不飽和化合物と、前記α、β-不飽和二塩基酸誘導体とを共重合する、コーティング膜の形成工程と、
    を含むことを特徴とする、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
  10. ハウジングと、
    請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の陽イオンクロマトグラフィー用充填剤と、
    を有することを特徴とする陽イオンクロマトグラフィー分析用カラム。
JP2022011207A 2022-01-27 2022-01-27 陽イオンクロマトグラフィー用充填剤および陽イオンクロマトグラフィー分析用カラム Pending JP2023109603A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022011207A JP2023109603A (ja) 2022-01-27 2022-01-27 陽イオンクロマトグラフィー用充填剤および陽イオンクロマトグラフィー分析用カラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022011207A JP2023109603A (ja) 2022-01-27 2022-01-27 陽イオンクロマトグラフィー用充填剤および陽イオンクロマトグラフィー分析用カラム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023109603A true JP2023109603A (ja) 2023-08-08

Family

ID=87522519

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022011207A Pending JP2023109603A (ja) 2022-01-27 2022-01-27 陽イオンクロマトグラフィー用充填剤および陽イオンクロマトグラフィー分析用カラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023109603A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Liu et al. A review of the design of packing materials for ion chromatography
US9579629B2 (en) Production process of film and column for cation chromatography
Sun et al. A restricted access molecularly imprinted polymer coating on metal–organic frameworks for solid-phase extraction of ofloxacin and enrofloxacin from bovine serum
US6881761B2 (en) Porous polymer particle, anion exchanger, producing method thereof, column for ion chromatography, and method for measuring anions
EP0043074B1 (en) High speed liquid chromatographic packing and process for production thereof
Liu et al. Fabrication of monodisperse poly (allyl glycidyl ether-co-divinyl benzene) microspheres and their application in anion-exchange stationary phase
JP2018096943A (ja) 無機陽イオンの分析方法
Dong et al. Boronate affinity monolith via two-step atom transfer radical polymerization for specific capture of cis-diol-containing compounds
US10119003B2 (en) Surfactant-based monolithic columns, methods for making the same, and methods for using the same
CN105664886A (zh) 一种弱酸阳离子交换固定相的制备方法
WO2018235904A1 (ja) オリゴヌクレオチドの混合物の分離分析方法
WO2015129622A1 (ja) 液体クロマトグラフィー用充填剤及び液体クロマトグラフィー用カラム
JP2023109603A (ja) 陽イオンクロマトグラフィー用充填剤および陽イオンクロマトグラフィー分析用カラム
Szajnecki et al. Studies on sorption of bifenthrin and diazinon insecticides on molecularly imprinted polymers
JP4207362B2 (ja) 耐アルカリ性高強度陰イオン交換体及びその製造方法
JPH0285758A (ja) イオンクロマトグラフィー用のイオン交換性複合組成物
CN114931934A (zh) 一种接枝型阳离子交换色谱柱填料及其制备方法
EP1160260B1 (en) Porous polymer particle, anion exchanger, producing method thereof, column for ion chromatography, and method for measuring anions
CN113019349A (zh) 一种阴离子色谱固定相的制备方法
JP4964470B2 (ja) 高分子被膜の形成方法及びこの方法を用いたイオン交換体
JP4558187B2 (ja) 陰イオン交換体、その製造方法、イオンクロマトグラフィー用カラム及び陰イオンの測定方法
Li et al. Preparation of a porous functional polymer and its application in the separation of small molecules in conjunction with HPLC
JPH0727754A (ja) カチオンクロマトグラフィー用充填剤及びその製造方法
CN114073994B (zh) 一种聚合物基质弱阴离子交换树脂的制备方法及应用
Zhang et al. Capillary electrochromatography

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20230131

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20230201

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20230307