JPH0596088A - ドライクリーニング機の廃フイルター浄化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、ドライクリーニング機に連続
使用後の廃フィルターの処理装置に関するものであり、
既に提案済みの平成２年特許願第２５６４５８号発明の
廃フィルター浄化装置に関連する発明で、構造の簡素化
により経済的な装置を提供し、公害防止装置として一層
の普及を図ろうとするものである。 【構成】 複数個の廃フィルターを、直列式に圧力タ
ンク内に密閉、収容する一方、該圧力タンクの熱風取入
口側と溶剤含有熱風出口側とを接続する回路内に、強制
ファンスポット、溶剤回収用の冷却スポット、加熱スポ
ットを配し、各廃フィルター外周面に送り込んだ熱風
で、残留溶剤を気化、回収して廃フィルターを浄化する
ドライクリーニング機の廃フィルター浄化装置である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の目的】この発明は、ドライクリーニング機に組
み込まれるカートリッジタイプのフィルターで、連続使
用後に汚れてそのまま使用できず、交換の必要を生じて
いる、所謂廃フィルターの処理装置に関するものであ
り、既に提案済みの平成２年特許願第２５６４５８号発
明の廃フィルター浄化装置に関連する発明であって、同
じく廃フィルター内に残留する有害な溶剤の回収と共
に、廃フィルター自体の浄化を可能にする新規な構造の
ドライクリーニング機の廃フィルター浄化装置を実現
し、構造の簡素化によってより経済的な装置を提供し、
この業界における公害防止装置として一層の普及を図ろ
うとするものである。

【０００２】

【従来技術】洗浄効果を高める様々な物質の開発が進め
られてきた結果、現在のクリーニング機器では、有機溶
剤で比較的引火点の高い石油系溶剤に代わって、バーク
ロールエチレン等不燃性の合成溶剤や弗素系溶剤である
バルクレンを採用したものが主流となってきている。こ
れら溶剤を使用するドライクリーニングでは、水洗いの
場合の水と違って、溶剤自体が高価であるため、一度使
用して汚れた溶剤は、その度毎に機器内に組み込まれて
いる濾過装置を経由させて不溶性の塵埃等を取り除いて
清浄した上、ワッシャーに環流され、更に、溶剤中に可
溶性の汚れがある限度以上に蓄積するような状態になる
と、蒸溜して遠心分離機で脱脂する等して何度でも繰り
返し使用するようにしている。これら機器内の浄化手段
で繰り返し使用できる限度は、機器当たり１回の洗濯量
が３０kg程度とした場合、通常７〜８００回程度であっ
て、それ以上になると不溶性塵埃を除去するフィルター
が目詰りを起こしてクリーニング効果に支障を来してし
まう虞がでるため、フィルターの交換が必要になる。

【０００３】このフィルターは、コアパイプの周辺スペ
ースに活性炭等の吸着材が装填され、外周面を和紙や不
織布のような透水性のシートで覆った円筒形のものであ
って、クリーニング機に出し入れ自在となるカートリッ
ジタイプのものに形成されている。目詰りを起こして交
換の必要となった、所謂廃フィルターには、洗濯ものか
ら落ちた不溶性の塵埃が許容以上に蓄積してしまってい
ると同時に溶剤も含浸、残留しており、通常、未使用の
フィルター（洗濯量３０kg／回用の場合）の重量が１５
kg程度であるのに対し、使用後の廃フィルターでは、そ
の重量が約４５kg程にも達し、廃フィルター内には３０
kgもの不溶性塵埃と溶剤が詰まった形となっていること
になる。

【０００４】この上記の例の３０kgにも上る残留物の内
訳を見てみると、約５kg程度が不溶性塵埃であって、残
る２５kg程度が溶剤であることが判明しており、このよ
うに多くの溶剤を残留したままの廃フィルターは、単に
溶剤を捨ててしまうことの不経済性よりも、溶剤である
パークロールエチレンやバルクレンが、有害物質に指定
されているため、勝手に処分することが禁じられてい
て、必ず専門業者による運搬と焼却廃棄とが義務付けら
れている。ところが、地方によっては、これら特種物を
処理する回収業者がおらず、例えば山形県の場合で言え
ば、わざわざ新潟県の特定専門業者に依存せざるを得な
い状況という不便さを伴い、しかも、その回収費用が、
１８０円／kg（先の例で言えば、４５×１８０＝８１０
０円／個）にも付くことから、特に使用数の多い大規模
クリーニング店では、取り扱いの煩わしさに加え、経費
の点でもその負担は無視できないものとなっている。

【０００５】このような実情から、これら廃フィルター
を、少しでも取り扱いがし易く、専門回収業者に支払う
経済的負担をできるだけ軽く済ますことができるように
するため、廃フィルター内に残留する溶剤を略完全に回
収して有害物質による弊害を取り除き、なお且つ結果と
して廃フィルター全体の重量を可能なかぎり軽量化でき
る装置であって、特に難しい操作を必要としない装置の
開発に取り組み、本願出願人において平成２年特許願第
２５６４５８号発明として既に提案済みのドライクリー
ニング機の廃フィルター浄化装置の実現化に成功した。
この発明は、上記提案済みの発明を完成後、更に開発研
究を継続してきた結果、略同一の目的を達成することの
可能な他の構造からなるドライクリーニング機の廃フィ
ルター浄化装置の実現化に成功したものであり、この発
明を代表する実施例と共に、以下においてその構成の詳
細を説示する。

【０００６】

【発明の構成】図面に示すこの発明を代表的する実施例
からも容易に理解されるように、この発明のドライクリ
ーニング機の廃フィルター浄化装置は、次のような構成
を要旨とするものである。即ち、ドライクリーニング機
において使用済みとなった複数個の廃フィルター１，
１，……を、ジョイントパッキング２あるいは３，４を
介して接続することにより、各コアパイプ１１，１１，
……が連通し、直列式となる如くして圧力タンク５内に
密閉、収容する一方、該圧力タンク５の外周面には再加
熱ヒーター６を組み込むと共に、熱風取入口５１側と溶
剤含有熱風出口５２側とを接続する回路内に、熱風およ
び溶剤含有熱風とを循環させる強制ファンスポット５
３、溶剤回収用の冷却スポット５４と、それよりも風下
に位置させる加熱スポット５５とを配し、圧力タンク５
の熱風取入口５１から各廃フィルター１，１，……外周
面に送り込まれた熱風を各コアパイプ１１，１１，……
に強制誘導する過程で、廃フィルター１，１，……から
残留溶剤を気化、回収して廃フィルターを浄化するドラ
イクリーニング機の廃フィルター浄化装置である。

【０００７】ジョイントパッキング２は、廃フィルター
１，１の相対するコアパイプ１１，１１間に介在されて
廃フィルター１，１を直列に接続するものであり、ま
た、ジョイントパッキング３は、溶剤含有熱風出口５２
側の圧力タンク１内とそれに相対する廃フィルター１の
コアパイプ１１との間、ジョイントパッキング４は、そ
の反対側、即ち、圧力タンク１の密閉蓋５６内側とそれ
に相対する廃フィルター１のコアパイプ１１との間に介
在されるものであって、何れも接続機能に加え、コアパ
イプ１１の両端から熱風が漏れてしまわないようにする
密閉機能を兼ね備えた構造で、溶剤に侵されにくい素材
によって形成するようにする。

【０００８】回路内の強制循環ファン５３、冷却スポッ
ト５４および加熱スポット５５には、夫々公知の冷却機
構、あるいは加熱機構が採用されればよく、圧力タンク
５から送られてくる溶剤を含有した熱風の中から、気化
された状態の溶剤を効率良く液化して回収し、その直後
の工程で、溶剤を遊離するために冷やされてしまった気
流を、所定温度にまで加温して再び圧力タンク５の熱風
取入口５１に送り出すようにする。再加熱ヒーター６
は、圧力タンク５内で熱風が流動しながら溶剤の取り出
し、洗浄をする過程で、その温度が低下してしまわない
よう補助的に使用する加熱装置であり、内部温度センサ
ー（図示せず）等を組み込み、自動的に作動するように
することもできる。なお、圧力タンク５内の気圧は、高
圧になるほど効率が良くなることから、熱風取入口５１
側には、圧力計（図示せず）が組み込まれ、適宜バルブ
（図示せず）操作によって最適な内圧が実現されるよう
にする。以下、図示したこの発明を代表する実施例を具
体的に説示する。

【０００９】

【実施例１】図面第１図の系統図からも理解されるよう
に、密閉蓋５６によって完全密閉された圧力タンク５内
に、３個の廃フィルター１，１，１がジョイントパッキ
ング２，２および３，４を介して直列に収容される。こ
のジョイントパッキング２は、コアパイプ１１の各端部
に挿入可能な接続パイプと、その中央に突設されたフラ
ンジの両面にシリコンゴム等の弾性板が積層、一体化さ
れた構造から成っている。ジョイントパッキング３は、
上記したとおり圧力タンク５の溶剤含有熱風出口５２側
のコアパイプ１１への取入口とそれに面した廃フィルタ
ー１のコアパイプ１１端部との間に介在されるもので、
上記ジョイントパッキング２と略同様の構造の接続パイ
プ、フランジ、およびその両面に積層される弾性板から
構成される。密閉蓋５６とそれに相対する廃フィルター
１との間には、ジョイントパッキング４が採用される。
この構造は、フランジ板の一面側に接続パイプが突設さ
れ、反対面中央にはやや長めの弾性板、そして接続パイ
プ周りに弾性板が一体化された構造のものとなってい
る。この弾性板が密閉蓋５６中央に当接する如くして該
密閉蓋５６を閉めることにより、圧力タンク５内に廃フ
ィルター１，１，１が直列に収容される。

【００１０】こうして廃フィルター１，１，１が直列に
収容された圧力タンク５には、適宜回路中に配されたバ
ルブ（図中、省略）を開口することにより、加熱スポッ
ト５５を経由して所定温度にまで加温された循環パイプ
７からの熱風が、直列に接続された廃フィルター１，
１，１の外周面に沿う如くして送り込まれる。この過程
で、再加熱ヒーター６が適宜作動することにより、熱風
は、所定の温度を保ちつつ、図中の矢印の如く、廃フィ
ルター１，１，の外周から吸着剤層１２，１２，１２を
経由してコアパイプ１１，１１，１１に強制的に誘導さ
れていく。その際、連通状となっているコアパイプ内に
送り込まれてくる熱風は、接続箇所のジョイントパッキ
ング２，２，３，４に保護されて同所から漏れ出すこと
なく、確実且つ強制的に溶剤含有熱風出口５２方向へと
導かれ、この過程でこれら吸着剤層１２，１２，１２に
吸着、含浸している液状の溶剤を効率的に気化、洗浄す
る機能を継続した上、溶剤含有熱風出口５２から圧力タ
ンク５外の循環パイプ７へと抜け出して冷却スポット５
４に達する。そして、該冷却スポット５４において溶剤
含有熱風全体が冷却されることにより、それまで気体の
状態で熱風内に含有されて移動して来た溶剤は、順次液
化されて、回収パイプ８を通じて回収タンク９へと流
入、貯留される。

【００１１】このような熱風および溶剤含有熱風の強制
的な循環は、強制ファンスポット５３で惹起され、この
熱風の強制循環で、上記したとおりの過程を経て、廃フ
ィルター１，１，１は、その吸着剤層１２，１２，１２
内に不溶性塵埃を止どめたままで次第に浄化、乾燥され
ていくことになる。以降、溶剤の遊離されてしまった気
流は、直後に配されている加熱スポット５５を経由して
再び元の熱風に戻され、上記したプロセスを繰り返すこ
とになる。その際、熱風が不足して内圧が下がるような
ときには、必要に応じてその都度外部から新たな熱風を
導入すればよい。

【００１２】

【作用効果】以上のような構成からなるこの発明のクリ
ーニング機の廃フィルター浄化装置は、廃フィルター
１，１，……を直列に収容し、ジョイントパッキング２
および３，４を介して各コアパイプ１１，１１，……が
接続漏れをしない連通状のものとし、廃フィルター１，
１，……外周に熱風を強制的に送り込んで、有害な溶剤
を大量に含有したままの吸着剤層１２，１２，１２を経
由させて連通状のコアパイプ１１，１１，……に強制誘
導するようにしていることから、熱風の流れは、この廃
フィルター１，１，……がドライクリーニング機におい
て浄化フィルターとして機能したときと同じ流れとな
り、したがって、その過程において一旦吸着剤層１２，
１２，１２内に刺さり込んでしまっている不溶性塵埃
を、廃フィルター１，１，１内から抜け出させてしまう
ことなく、有害な溶剤だけを取り除くことが可能になる
という秀れた特徴を有している。

【００１３】こうして回収される吸着材層１２，１２，
……内からの有害な溶剤には、廃フィルター１，１，…
…内からの不溶性塵埃の混入がなく、その結果、回路内
に別途それらを除去するフィルタースポットの配備が不
要で、装置自体は、圧力タンク５に強制循環ファン５
３、冷却スポット５４および加熱スポット５５を組み込
んだ回路により実現されるものであって、廃フィルター
１，１，……を直列に接続するジョイントパッキング
２，３，４を用意するだけの極めて簡単な構造からな
り、それだけ装置自体が簡略された構造のもので、安価
に提供可能なものとすることができるから、ドライクリ
ーニング業界への普及の点では既に提案済みのもの以上
に都合が良く、回収効率に秀れる提案済みのものと合わ
せ、公害防止の上で極めて有用なものとなる。

【００１４】加えて、廃フィルター１，１，……自体は
浄化されると共に、その重量を廃フィルター１，１，…
…本体重量プラス不溶性塵埃重量にまで軽量化させてし
まえることから、その後の取り扱いが極めて安全性の高
いものとなって、専門回収業者に回すまでの保管が容易
になる外、それら専門回収業者の引取り値段の点でも略
従前までの１／３程度で済ますことができるという極め
て秀れた効果を発揮し得ると共に、その取り扱い性は固
より、メンテナンスの点でも秀れたものとなっているた
め、多少の経済的負担増があるにしても、上記した各種
特徴を考慮すれば、各クリーニング店でのメリットはそ
れを補って余り有るものとなる。

【００１５】叙上の如く、この発明のクリーニング機の
廃フィルター浄化装置によれば、クリーニング業に欠く
ことかができない有害指定溶剤の取り扱いが、従前まで
に比較して遥かに容易かつ安全になる上、経済的負担の
点でも、溶剤の回収が継続していくことと専門回収業者
への支払いが軽減されることに加え、既に提案済みのも
のよりも簡略化した構造を実現し得たこと等の利点に相
殺されて略許容範囲に止どめることがより一層可能にな
る等、極めて秀れた特徴を発揮することができるものと
なっており、特に中央から離れた地方に立地し、専門回
収業者との連絡に不便を来している地域で開業するクリ
ーニング業者にとって非常に有利な装置であり、それら
の人々に特に高い評価がなされるものと予想される。

【図面の簡単な説明】

【図 １】 この発明の代表的な実施例を簡略化して示
す系統図である。

【符号の説明】

１ 廃フィルター １１ 同コアパイプ １２ 同吸着剤層 １３ 同透水フィルム ２ 廃フィルター相互間のジョイントパッキング ３ 溶剤含有熱風出口と廃フィルター間のジョイン
トパッキング ４ 密閉蓋と廃フィルター間のジョイントパッキン
グ ５ 圧力タンク ５１ 同熱風取入口 ５２ 同溶剤含有熱風出口 ５３ 同強制ファンスポット ５４ 同冷却スポット ５５ 同加熱スポット ５６ 同密閉蓋 ６ 再加熱ヒーター ７ 循環パイプ ８ 回収パイプ ９ 回収タンク

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ドライクリーニング機において使用済
   みとなった複数個の廃フィルターを、ジョイントパッキ
   ングを介して接続することにより、各コアパイプが連通
   し、直列式となる如くして圧力タンク内に密閉、収容す
   る一方、該圧力タンクの外周面には再加熱ヒーターを組
   み込むと共に、熱風取入口側と溶剤含有熱風出口側とを
   接続する回路内に、強制ファンスポット、溶剤回収用の
   冷却スポットと、それよりも風下に位置させる加熱スポ
   ットとを配し、圧力タンクの熱風取入口から各廃フィル
   ター外周面に送り込まれた熱風を各コアパイプに強制誘
   導する過程で、廃フィルターから残留溶剤を気化、回収
   して廃フィルターを浄化するドライクリーニング機の廃
   フィルター浄化装置。