JPH059457B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレンを主成分とする、一軸延伸されたひ
ねり包装用フイルムに関する。更に詳しくはフイ
ルムの延伸方向をひねり軸とする横ひねり包装に
おいて、延伸方向にそつたフイルムの裂けを防止
し同時にひねり保持性に優れ、且つ透明性、剛性
に優れ、キヤンデイ、米菓などに好適に用いるこ
とができるひねり包装用フイルムに関する。 〔従来の技術〕 近年、主として菓子等の食品をフイルムで包み
両端部をひねる形の包装が普及しており、そのフ
イルムとして、従来より主にセロフアンフイルム
が使用されてきた。しかしセロフアンフイルムは
高価なうえに防湿性が悪いため、最近その代替と
して合成樹脂フイルム、特に一軸延伸ポリエチレ
ンフイルムが多用される様になつてきた。 〔発明が解決しようとする課題〕 しかし、一軸延伸ポリエチレンフイルムは防湿
性、透明性、ひねり保持性に優れているが、特に
硬くて角ばつた物品をひねり包装する際、裂け、
破れが発生しやすい等の欠点があり、従来よりフ
イルムの品質改良が行われてきたが、未だ充分に
満足できるものは見つかつていないのが現状であ
る。 本発明の目的は、防湿性、透明性、ひねり保持
性に優れ、延伸方向に裂け、破れの少ないひねり
包装用フイルムを安価に提供することにある。 〔課題を解決するための手段〕 本発明者等は、鋭意検討の結果、特定の樹脂を
特定量配合した混合物を溶融製膜した後、一軸延
伸することにより横ひねり包装における裂けを防
止できることを見出し、本発明を完成した。 即ち、本発明は密度が0.889〜0.945ｇ／c.c.、メ
ルトインデツクスが0.4〜10.0ｇ／10分の直鎖状
低密度ポリエチレン共重合体(X)と密度が0.946〜
0.956ｇ／c.c.、メルトインデツクスが0.4〜５ｇ／
10分の高密度ポリエチレン(Y)、及び分子量400〜
1000の低分子量ポリエチレン(Z)を、下記式(1)〜(4)
を満足する割合で配合した混合物を溶融製膜した
後、一軸延伸されてなることを特徴とするひねり
包装用フイルムである。 Ｘ＋Ｙ＋Ｚ＝100 ……式(1) Ｘ＜＝60 ……式(2) Ｘ＞＝Ｙ＞Ｚ ……式(3) ５＜＝Ｚ＜＝10 ……式(4) 本発明に用いる直鎖状低密度ポリエチレン共重
合体は、密度が0.889〜0.945ｇ／c.c.、メルトイン
デツクス（以降MIという）が0.4〜10.0ｇ／10分
の範囲のα−オレフインを共重合した分枝鎖の少
ないポリエチレンであり、好ましくは密度が
0.889〜0.912ｇ／c.c.の範囲のα−オレフインを共
重合した分枝鎖の少ないポリエチレンである。密
度が0.889未満では延伸フイルムとしたとき強度
が不足し、ひねり保持性も悪くなり、0.945ｇ／
c.c.を越えると、裂け易くなり好ましくない。ま
た、MIが0.4ｇ／10分未満では作業性、透明性が
悪くなり、10.0ｇ／10分を越えると脆くなり、良
好なひねり包装用フイルムが得られない。共重合
させるα−オレフインとしては、例えばプロピレ
ン、ブテン−１、ペンテン−１、ヘキセン−１、
オクテン−１、４−メチルペンテン−１等があげ
られるが、好ましくはブテン−１、ヘキセン−１
である。該ポリエチレンのα−オレフイン含量は
特に限定されないが、通常0.5〜15重量％である。
α−オレフイン含量が0.5重量％未満では、フイ
ルムの縦裂け防止効果はほとんどなく、15重量％
を越えるとフイルムの腰が弱くなり、包装適性が
悪化する。 本発明に使用する高密度ポリエチレンは、密度
が0.946〜956ｇ／c.c.、MIが0.4〜5.0ｇ／10分好ま
しくは0.6〜4.0ｇ／10分のエチレン系重合体であ
り、該範囲内に入るものであれば共重合体あるい
はブレンド体であつてもよい。密度が0.946ｇ／
c.c.未満では延伸フイルムとしたとき強度が不足
し、ひねり適性も悪くなり、0.956ｇ／c.c.を越え
ると、裂け易くなる。また、MIが0.4ｇ／10分未
満ではフイルムの延伸性が悪くなり、10.0ｇ／10
分を越えると透明性が悪くなり、良好なひねり包
装用フイルムが得られない。 本発明に使用する低分子量ポリエチレンは、分
子量400〜1000の範囲であり、好ましくは500〜
800の範囲のものである。分子量が400未満ではフ
イルム強度が悪くなり、1000を越えるとひねり保
持性が悪くなる。 本発明に用いる各樹脂の配合は、樹脂総量100
重量部に対して直鎖状低密度ポリエチレン(X)は60
重量部以下すなわちＸ＜＝60であり、高密度ポリ
エチレン(Y)は(X)以下であり、低分子量ポリエチレ
ン(Z)は５〜10重量部すなわち５＜＝Ｚ＜＝10であ
り、Ｘ＞＝Ｙ＞Ｚの関係を満足する割合の混合物
である。Ｘが60を越えるとフイルムの剛性がでな
くなり、腰が弱くなる。Ｚが10を越えるとフイル
ムのベタツキを生じ、製膜性、作業性が悪くな
り、５未満では腰が弱くなる。 上記割合の混合物からフイルムを得る方法は公
知のＴダイ法、インフレーシヨン法等により未延
伸フイルムを得ることができ、一軸延伸フイルム
も公知の延伸方法、例えばロール延伸法等により
製造することができる。 ひねり包装用フイルムの製造方法を一例をあげ
て以下に説明する。 溶融された樹脂の温度が180〜280℃で金型より
押出されたフイルム状物を温度60〜100℃のチー
ルロール上で冷却、固化して厚さ100〜300μmの
未延伸フイルムを得、次いで、この未延伸フイル
ムを温度80〜120℃の予熱ロールで加熱し、公知
の延伸方法である一対の表面速度の異なるロール
間で延伸速度30〜100m／分、延伸倍率４〜10倍
で一軸延伸して、ひねり包装用フイルムが得られ
る。 本発明のひねり包装用フイルムの厚みは、10〜
75μm、好ましくは15〜60μmの範囲のものがよ
い、厚みが10μm未満ではフイルムの強度がでな
く、75μmを越えると作業性、包装適性が悪くな
る。 本発明のひねり包装用フイルムは、必要に応じ
てコロナ放電処理、界面活性剤の塗布等の表面処
理により印刷性、帯電防止等の二次加工性を改良
することが好ましい。 本発明のひねり包装用フイルムに用いる上記配
合物以外に、酸化防止剤、ブロツキング防止剤、
帯電防止剤、造核剤、着色剤、及び他のポリマー
等の添加剤、改質剤等を添加してもよく、これら
の添加剤等の使用は、本発明の特性を損なわない
範囲であれば、とくに制限されるものではない。 〔作用〕 直鎖状低密度ポリエチレン共重合体の密度が
低いとフイルムの剛性が低くなり、又高いとフイ
ルムの剛性がもろくなり機械適性に劣る。直鎖
状低密度ポリエチレン共重合体の配合量を多くす
ると剛性が弱く、又少なくすると延伸方向に裂け
が多くなり機械適性に劣る。高密度ポリエチレ
ンの密度を高くするとフイルムは延伸方向に裂け
が多発し機械にかからない。低分子量ポリエチ
レンの分子量を範囲外にするとフイルムは腰がな
くなり、またもろさがでて機械適性が劣る。低
分子量ポリエチレンの量を多くするとベタツキが
でて製膜しづらく作業性が悪くなる。 〔実施例〕 以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明
する。尚、本発明の評価は以下の方法により行つ
た。 (1) メルトインデツクス（MI）：190℃、2.16Kg
荷重下における10分間の溶融樹脂の吐出量を、
JIS K6758に準拠して測定。 (2) 透明性：フイルムサンプルの透明性は、
Haze（曇り度）をASTM D1003に準拠して測
定。 (3) 剛性：フイルムサンプルの延伸方向の引張弾
性率をASTM D882に準じて求め剛性とした。
引張速度は500mm／分で行つた。 (4) ひねり適性：横ひねり時の縦破断の有無及び
横ひねり保持性を測定。 サンプルフイルムを使用してキヤンデイを２
回転（720゜）横ひねり包装しフイルムの裂け度
合いを実測しその長さをmmで表示。また横ひね
り包装したものを23℃で１時間放置し、その残
留角を測定。 (5) 機械適性：富士機械(株)製FT−８型において
400個／分で包装テストを行い、ひねり残留角、
ひねり裂け及びその他の作業性を観察。 実施例 １〜２ 密度が0.889ｇ／c.c.、MIが0.5ｇ／10分の直鎖状
低密度ポリエチレン共重合体を使用して、第１表
に示す密度、MIの高密度ポリエチレン、及び第
１表に示す分子量の低分子量ポリエチレンとを第
１表に示す配合割合で通常のミキサーを用いて混
合した後、この混合物をφ65mmＴダイ付押出機を
使用して樹脂温230℃で押出た。このフイルム状
物をチールロールで冷却、固化して未延伸フイル
ムを得た。 次いでこの未延伸フイルムを温度110℃の予熱
ロールで加熱し、速度75m／分の延伸ロールで７
倍の延伸を行い一軸延伸フイルムを得た。得られ
た一軸延伸フイルムの物性を測定し、さらに、こ
のフイルムを自動包装機にかけ、機械適性を観察
した、結果を第１表に示す。 実施例３〜９、比較例１〜10 第１表に示す樹脂及び割合の混合物を実施例１
と同様にして未延伸フイルム及び一軸延伸フイル
ムを得た。このフイルムの物性及び機械適性を第
１表に示す。 実施例 10 実施例１に使用した直鎖状低密度ポリエチレン
共重合体をエチレン・ヘキセン−１共重合体に変
えた以外は実施例１と同様にしてフイルムを製造
した。結果を第１表に示す。 比較例 11 直鎖状低密度ポリエチレン共重合体と高密度ポ
リエチレンを第１表に示す割合で混合し実施例１
と同様にしてフイルムを製造した。結果を第１表
に示す。

【表】

〔発明の効果〕

実施例からも明らかなように、選択された直鎖
状低密度ポリエチレン共重合体、高密度ポリエチ
レン及び低分子量ポリエチレンを使用して、特定
の配合割合により製造した、本発明のひねり包装
用フイルムは、横ひねり包装に用いても縦裂けを
起こすことなく、ひねり保持性、透明性、剛性、
延伸性に優れ、且つひねり包装機械適性にも優れ
たフイルムであり、キヤンデイ、米菓等の包装に
用いるひねり包装用フイルムとしては、好適に使
用することが出来る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 密度が0.889〜0.945ｇ／c.c.、メルトインデツ
   クスが0.4〜10.0ｇ／10分の直鎖状低密度ポリエ
   チレン共重合体(X)と密度が0.946〜0.956ｇ／c.c.、
   メルトインデツクスが0.4〜５ｇ／10分の高密度
   ポリエチレン(Y)、及び分子量400〜1000の低分子
   量ポリエチレン(Z)を、下記式(1)〜(4)を満足する割
   合で配合した混合物を溶融製膜した後、一軸延伸
   されてなることを特徴とするひねり包装用フイル
   ム。 Ｘ＋Ｙ＋Ｚ＝100 ……式(1) Ｘ＜＝60 ……式(2) Ｘ＞＝Ｙ＞Ｚ ……式(3) ５＜＝Ｚ＜＝10 ……式(4)