JPH0594573U - 密封装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シールリップ摺動時に発生する熱をなるべく
一方部材側へと放熱でき、しかも一方部材への嵌合荷重
の小さいスリーブを有する密封装置を提供する。 【構成】 軸２に固定するスリーブ３と、ハウジング４
に固定するシールリング５とを形成し、シールリング５
には軸２に直接接触するシールリップ１６，ダストリッ
プ１７を設け、更にシールリング５にはスリーブ３に接
触するダストリップ１８，１９を設け、スリーブ３の内
周にゴム状弾性体８を焼き付け接合した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば耕耘機等に用いられる密封装置であって、スリーブとシール リングとを組み合わせた密封装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図５は第一従来例を示す。一方の部材としての軸１００には断面略Ｌ字形の金 属製のスリーブ１０１を装着してある。スリーブ１０１は円筒部１０２とフラン ジ１０３とを有し、円筒部１０２の内周面と、内周面に隣接するフランジ１０３ の端面に亘ってゴム状弾性体１０４を接合してある。そして、このゴム状弾性体 １０４が軸１００に嵌合している。

【０００３】 一方、ハウジング１０５側にはシールリング１０６を取り付けてある。シール リング１０６は金属環１０７と、金属環１０７に接合したゴム状弾性体よりなる シール本体１０８とを有する。シール本体１０８の内周側にはシールリップ１０ ９と複数のダストリップ１１０〜１１２を一体的に成形してある。シールリップ １０９及びダストリップ１１０，１１１は円筒部１０２に接触し、ダストリップ １１２はフランジ１０３の端面に接触している。

【０００４】 図６は第二従来例を示す。スリーブ１０１の円筒部１０２は大径部１１３と小 径部１１４とを有し、小径部１１４は直接軸１００へと嵌合している。ゴム状弾 性体１０４は大径部１１３の内周面からフランジ１０３の端面に亘って接合して ある。シールリップ１０９、ダストリップ１１０は小径部１１４へ接触し、ダス トリップ１１１は大径部１１３へ接触し、ダストリップ１１２はフランジ１０３ へ接触している。その他の構成は第一従来例と同じである。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

第一従来例ではゴム状弾性体１０４は熱伝導率が低く、シールリップ１０９， ダストリップ１１０〜１１２とスリーブ１０１との摺動で発生した熱が軸１００ 側へと放熱されない。従って、シールリップ１０９，ダストリップ１１０〜１１ ２が摩耗，劣化してシール性の低下を招く。

【０００６】 第二従来例では上記熱はスリーブ１０１の小径部１１４を介して軸１００へ伝 達されるため、上記不具合は発生しないが、軸１００と小径部１１４とが直接嵌 合しているため大きな嵌合荷重を必要とし、装着性が悪い。

【０００７】 本考案は、シールリップ摺動時に発生する熱をなるべく一方部材側へと放熱で き、しかも一方部材への嵌合荷重の小さいスリーブを有する密封装置を提供する ことを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案は、相対回転自在な二部材のうちの一方の部材 に嵌合固定するスリーブと、他方の部材に固定するシールリングとを形成し、前 記シールリングには、前記一方の部材に接触する一方のシールリップと、前記ス リーブに接触する他方のシールリップとを設け、前記スリーブと一方の部材との 嵌合部にゴム状弾性体を介在させた。

【０００９】

【作用】

上記構成に基づく本考案は、一方のシールリップと一方の部材との摺動により 発生した熱は、一方の部材へと伝達される。スリーブと一方の部材との嵌合時に は、ゴム状弾性体が弾性変形することで摩擦抵抗を抑制する。

【００１０】

【実施例】

図１は第一実施例のオイルシール１を示し、オイルシール１は一方の部材とし ての軸２に嵌合固定する金属製のスリーブ３と、他方の部材としてのハウジング ４に取り付けたシールリング５とを有する。

【００１１】 スリーブ３は円筒部６の外周側にフランジ７を折り曲げ成形した略Ｌ字形の断 面形状をしている。円筒部６と軸２との嵌合部、即ち円筒部６の内周面からフラ ンジ７の外部Ａ側の端面に亘り、全周にゴム状弾性体８を焼き付け接合してある 。

【００１２】 前記シールリング５は金属環９と、金属環９に焼き付け接合したゴム状弾性体 製のシール本体１０とを有する。金属環９はスリーブ３の外径より大径に設定し た第一円筒部１１と、第一円筒部１１の端部に内側向きに成形した第一フランジ １２と、第一フランジ１２に続く第二円筒部１３を有する。

【００１３】 第二円筒部１３はスリーブ３の外径より小さく設定してある。第二円筒部１３ の内周には、第二フランジ１４、更にその内周側に続く屈曲部１５を有する。本 実施例では金属環９の軸方向寸法は、スリーブ３の同方向寸法の略２倍ある。

【００１４】 そして、シール本体１０であって屈曲部１５の内周端には、軸２に接触する一 方のシールリップ１６，ダストリップ１７を設けてある。更にシール本体１０は スリーブ３の円筒部６の外周面に接触する他方のシールリップとしてのダストリ ップ１８、フランジ７の端面に接触する他方のシールリップとしてのダストリッ プ１９を設けてある。

【００１５】 なお、シールリップ１６の背面にはばね２０を装着してある。また、金属環９ の第一円筒部１１の自由端には、ゴム状弾性体８の外径以下にカシメた屈曲部２ １を設けてシールリング５とスリーブ３とを離脱しないように組み付けている。

【００１６】 上記構成において、シールリップ１６のシール面により、内部Ｂの流体（油） をシールする。また、ダストリップ１７，１８，１９は外部Ｄのダスト，泥水等 の侵入を防止する。

【００１７】 そして、回転する軸２とシールリップ１６とダストリップ１７との摺動により 発生した熱は、軸２自体へ伝達されるため、シールリップ１６，ダストリップ１ ７の摩耗，劣化はない。従って、長期に亘って安定したシール性を発揮する。

【００１８】 また、軸２へスリーブ３を嵌合する場合、軸２と接触するゴム状弾性体が弾性 変形することで摩擦抵抗を抑制する。従って、嵌合荷重は少くてすみ装着性が良 好となる。更に、ダストリップ１８，１９側の摺動熱は、シールリップ１６，ダ ストリップ１７側へは伝達されない。

【００１９】 図２は第二実施例である。第二実施例では金属環９に前記屈曲部２１がない他 は、第一実施例と同構成であり、得られる作用効果も第一実施例と同様である。

【００２０】 図３は第三実施例である。これは第一実施例のスリーブ３のフランジ７の外周 側であって、第一フランジ１２に面する箇所にゴム状弾性体製のバンパー２２を 設けたものである。本実施例ではオイルシール１の組付時、スリーブ３と金属環 ９とが軸方向に接近しすぎた場合、バンパー２２が金属環９に接触することで両 者の衝突を防止できる。その他の構成，作用，効果は第一実施例と同様である。

【００２１】 図４は第四実施例である。これは第三実施例から屈曲部２１をなくしたもので あり、その他の構成は第三実施例と同様である。従って、作用効果も第三実施例 と同様である。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明したように、一方の部材とシールリップ１６との摺動により発生した 熱は、一方の部材自体へ伝達されるため、シールリップの摩耗，劣化はない。従 って、長期に亘って安定したシール性を発揮する。

【００２３】 また、一方の部材へスリーブを嵌合する場合、一方の部材と接触するゴム状弾 性体が弾性変形することで摩擦抵抗を抑制する。従って、嵌合荷重は少くてすみ 装着性が良好となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第一実施例のオイルシールの半断面図。

【図２】第二実施例のオイルシールの半断面図。

【図３】第三実施例のオイルシールの半断面図。

【図４】第四実施例のオイルシールの半断面図。

【図５】第一従来例の半断面図。

【図６】第二従来例の半断面図。

【符号の説明】

１ オイルシール ２ 軸 ３ スリーブ ４ ハウジング ５ シールリング ６ 円筒部 ７ フランジ ８ ゴム状弾性体 ９ 金属環 １０ シール本体 １１ 第一円筒部 １２ 第一フランジ １３ 第二円筒部 １４ 第二フランジ １５ 屈曲部 １６ シールリップ １７，１８，１９ ダストリップ ２０ ばね ２１ 屈曲部 ２２ バンパー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 相対回転自在な二部材のうちの一方の部
   材に嵌合固定するスリーブと、他方の部材に固定するシ
   ールリングとを形成し、前記シールリングには、前記一
   方の部材に接触する一方のシールリップと、前記スリー
   ブに接触する他方のシールリップとを設け、前記スリー
   ブと一方の部材との嵌合部にゴム状弾性体を介在させた
   ことを特徴とする密封装置。