JPH0594569A - 紙幣計数機における磁気検出回路の自動調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 紙幣の磁気インク検出用信号のレベル調整を
精密に行うことにより紙幣処理の信頼性を向上させるこ
とを達成する。 【構成】 紙幣計数機の磁気検出回路の自動調整装置
を、磁気センサ１、プリアンプ２、オフセット制御用Ｄ
／Ａコンバータ３、電圧制御型増幅器４、ゲイン制御用
Ｄ／Ａコンバータ５、Ａ／Ｄコンバータ６、中央処理装
置（ＣＰＵ）７から構成する。磁気センサ１が磁気基準
紙を未検出の状態でオフセットレベルを調整し、オフセ
ットレベル調整終了後は、磁気基準紙を紙幣計数機の搬
送路へ１枚流し、磁気基準紙から検出した信号に基づき
ゲインレベル調整を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は紙幣計数機に係り、特に
磁気検出回路の検出信号のレベル調整を精密に行うこと
により紙幣処理の信頼性を向上させる場合に好適な紙幣
計数機における磁気検出回路の自動調整装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、金融機関等では、紙幣の金種を鑑
別すると共に鑑別金種の紙幣の枚数を計数するように構
成した紙幣計数機が使用されているが、この種の紙幣計
数機には、鑑別計数対象となる紙幣の磁気インクを検出
し、該磁気インク検出信号に基づき紙幣を鑑別する磁気
検出回路が組込まれている。前記磁気検出回路において
は、該検出回路が安定した状態で紙幣鑑別を行えるよう
にするため、紙幣の磁気インクの検出動作開始前に調整
装置により検出信号のレベルが調整されるようになって
いる。この場合、前記磁気検出回路における検出信号の
調整方法としては、例えば特開平１−２６１７９７号公
報記載の、紙幣鑑別装置の調整用装置が提案されてい
る。該調整用装置においては、磁気インク検出基準とす
るための磁気基準紙を通常の鑑別対象紙幣と同様に紙幣
計数機の搬送路を搬送させ、この搬送磁気基準紙から磁
気センサによって検出した信号に基づき、自動的に磁気
検出回路の検出信号のレベル調整を行うようになってい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した従
来技術においては次のような問題があった。前記調整用
装置により自動的に調整される磁気検出回路の検出信号
レベルに関しては、単にゲインレベルのみが調整制御さ
れるようになっているだけであり、オフセットレベルに
ついては調整制御する手段が無いという問題があった。
この場合、オフセットレベルに誤差が発生すると、ゲイ
ンレベルの調整を行っても無意味となる欠陥がある。ま
た、前記磁気センサの検出信号を増幅処理する増幅器に
関しても、増幅率を無段階で調整することはできないと
いう問題があった。従って、前記のような諸問題から、
上記公報記載の調整用装置においては、磁気検出回路の
検出信号のレベル調整を精密に行うことができる保証は
ないという不具合があった。

【０００４】本発明は前記課題を解決するもので、磁気
検出回路の検出信号のレベル調整を精密に行うことによ
り紙幣処理の信頼性を向上させることを達成した紙幣計
数機における磁気検出回路の自動調整装置の提供を目的
とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、搬送路を搬送
される紙幣から磁気情報を検出する磁気センサの検出信
号のレベル調整を行うように構成した紙幣計数機におい
て、前記磁気センサの検出信号を増幅する第１増幅器
と、前記第１増幅器の出力信号を増幅する第２増幅器
と、前記第１増幅器のオフセットレベルを調整する第１
調整手段と、前記第２増幅器のゲインレベルを調整する
第２調整手段と、前記磁気センサによる磁気情報の未検
出状態で、前記第１調整手段により前記第１増幅器のオ
フセットレベルの調整を行わせるオフセットレベル制御
手段と、前記オフセットレベル調整終了後の前記搬送路
における検出基準用磁気媒体の搬送時に、前記磁気媒体
から前記磁気センサにより検出した信号を前記第１及び
第２増幅器により増幅して得た信号に基づき前記磁気媒
体の磁気データの平均値を算出すると共に、該平均値と
予め設定した調整目標値とを比較して両者の差が０とな
るまで前記第２調整手段により前記第２増幅器のゲイン
レベルの調整を行わせるゲインレベル制御手段とを具備
することを特徴とする。

【０００６】

【作用】本発明によれば、磁気センサの磁気情報未検出
状態でオフセットレベルを調整した後、搬送路へ検出基
準用磁気媒体を流し、該磁気媒体から検出した信号に基
づきゲインレベル調整を行うため、検出信号のオフセッ
トレベル調整及びゲインレベル調整を精密に行うことが
でき、この結果、紙幣計数機の信頼性を向上させること
ができる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は本実施例の紙幣計数機に組込まれた磁気検
出回路の自動調整装置の制御ブロック図であり、該自動
調整装置は、磁気センサ１と、プリアンプ２と、オフセ
ット制御用Ｄ／Ａコンバータ３と、電圧制御型増幅器
（ＶＣＡ：Ｖｏｌｔａｇｅ ＣｏｎｔｒｏｌｌｅｄＡｍ
ｐｌｉｆｉｅｒ）４と、ゲイン制御用Ｄ／Ａコンバータ
５と、Ａ／Ｄコンバータ６と、中央処理装置（ＣＰＵ）
７とから大略構成されている。この場合、前記電圧制御
型増幅器４としては、例えばリニアコントロールデュア
ルＶＣＡ等があるが、これに限定されるものではない。

【０００８】前記磁気センサ１は紙幣計数機内部の紙幣
搬送路（図示略）の近傍に配設され、該搬送路を搬送さ
れてくる紙幣あるいは後述の磁気基準紙（磁気媒体）の
磁気インクを検出するものであり、該磁気センサ１の検
出信号はプリアンプ２へ供給されるようになっている。
前記プリアンプ２は、例えば図２に示す如くの回路構成
とされており、該プリアンプ２の両入力端には各々、磁
気センサ１の検出信号を増幅する磁気プリアンプ（図示
略）の出力信号と、オフセット制御用Ｄ／Ａコンバータ
３の出力信号とが供給されるようになっている。そし
て、前記プリアンプ２は、中央処理装置７によるオフセ
ット制御用Ｄ／Ａコンバータ３に対する０のセットに伴
い、両入力端への供給信号のうち磁気センサ１側からの
出力信号がオフセット制御用Ｄ／Ａコンバータ３からの
出力信号（０）よりも大である場合に、前記両信号の差
を電圧制御型増幅器４へ供給するようになっている。前
記電圧制御型増幅器４は、ゲイン制御用Ｄ／Ａコンバー
タ５からの制御電圧入力に対し出力が１００％となるよ
うに設定されていると共に、制御電圧入力に対し直線性
に優れた比例減衰を行うようになっている。即ち、前記
電圧制御型増幅器４は、ゲイン制御用Ｄ／Ａコンバータ
５からの制御電圧に対して忠実な出力が可能とされてお
り、これにより磁気検出回路の検出信号レベルの調整を
精密に行うことができるようになっている。そして、前
記電圧制御型増幅器４は、プリアンプ２から出力される
前記差信号を増幅してＡ／Ｄコンバータ６へ供給するよ
うになっている。前記Ａ／Ｄコンバータ６は、電圧制御
型増幅器４からの出力信号（アナログ信号）をデジタル
信号へ変換し、変換したデジタル信号を中央処理装置７
へ供給するようになっている。前記中央処理装置７は、
Ａ／Ｄコンバータ６から供給されるデジタル信号（プリ
アンプ２の両入力の差信号を上記処理した信号）を読取
り、オフセット制御用Ｄ／Ａコンバータ３の出力値が磁
気センサ１側の出力値と合致するように、オフセット制
御用Ｄ／Ａコンバータ３の出力を上げ、Ａ／Ｄコンバー
タ６の出力値が０になるまで調整するようになってい
る。尚、前記中央処理装置７によるゲインレベル調整制
御については後述する。

【０００９】本実施例では、まず、前記磁気センサ１に
よる磁気基準紙（磁気媒体、後述の図３参照）の未検出
状態すなわち磁気入力が無い状態において、該磁気セン
サ１のオフセットレベルを調整するようになっており、
該オフセットレベル調整終了後は、前記磁気基準紙を紙
幣計数機の搬送路へ１枚流すと共に、該搬送時において
磁気センサ１により磁気基準紙から検出した磁気波形を
取得するようになっている。

【００１０】ここで、前記磁気検出回路の検出信号レベ
ル調整用として使用される磁気基準紙Ｐは例えば図３に
示す如く、本実施例の紙幣計数機で処理する紙幣と同様
に長方形に形成されており、該磁気基準紙Ｐの表面に
は、長手方向へ平行に３本ずつ且つ短手方向へ所定間隔
を置いて３段に分れた合計９本の磁気インクが線状に塗
布されている。この場合、前記磁気基準紙Ｐは紙幣計数
機の搬送路を、該基準紙短手方向（図３の矢印方向）へ
搬送されるようになっている。尚、前記磁気インク線の
本数は９本に限定されるものではない。そして、前述し
た如くオフセットレベル調整終了後に紙幣計数機の搬送
路へ磁気基準紙Ｐを１枚流した場合には、磁気センサ１
による磁気基準紙Ｐの検出に伴う検出信号に対して上記
図１で説明した信号処理が成され、Ａ／Ｄコンバータ６
からは中央処理装置７へ例えば図４に示す如くの磁気波
形が出力されるようになっている。この場合、図４の磁
気波形図における縦軸はＡ／Ｄコンバータ６の出力値を
示し、横軸は時間を示している。そして、前記中央処理
装置７は、磁気基準紙Ｐを搬送路へ１枚流した際の磁気
データ（磁気波形）をＡ／Ｄコンバータ６を介して読取
り、磁気データの平均値を算出するようになっている。
更に、中央処理装置７は、前記算出した磁気データの平
均値と、予め設定してある調整目標値とを比較し、磁気
データの平均値と調整目標値とに差が有ると判定した場
合には、ゲイン制御用Ｄ／Ａコンバータ５を介して電圧
制御型増幅器４の調整を行い、前記平均値と前記調整目
標値との差が０になるまで信号のゲインレベルを制御す
るようになっている。

【００１１】次に、本実施例の自動調整装置のゲインレ
ベル調整制御を図５に基づき説明する。中央処理装置７
は、上述したオフセットレベル調整を終了するとゲイン
レベル調整制御を開始し、ゲイン制御用Ｄ／Ａコンバー
タ５に対して‘８０Ｈ（可変範囲の中央値）’をセット
する（Ｓ１）。次いで、中央処理装置７は、前述した磁
気基準紙Ｐを紙幣計数機の搬送路へ１枚流した時の磁気
データを、磁気センサ１・プリアンプ２・電圧制御型増
幅器４・Ａ／Ｄコンバータ６を介して読取り、読取った
磁気データの平均値を算出した後、算出した磁気データ
の平均値と予め設定してある調整目標値との大小関係を
比較判定する（Ｓ２）。中央処理装置７は、平均値が調
整目標値より小と判定した場合は、現在のゲインレベル
＋（現在のゲインレベル／２）を新規ゲインレベルに設
定した後（Ｓ３）、前記Ｓ２の処理へ戻り平均値と調整
目標値との比較判定を再度行う一方、平均値が調整目標
値より大と判定した場合は、現在のゲインレベル−（現
在のゲインレベル／２）を新規ゲインレベルに設定した
後（Ｓ４）、前記Ｓ２の処理へ戻り平均値と調整目標値
との比較判定を再度行う。上記処理後、中央処理装置７
は、平均値が調整目標値に対し±４の範囲に収ったと判
定した場合は、現在のゲインレベルをゲインレベルに設
定し（Ｓ５）、該ゲインレベル調整制御を終了する。

【００１２】即ち、上記実施例によれば、磁気センサ１
の検出信号増幅用のプリアンプ２におけるオフセットレ
ベルをオフセット制御用Ｄ／Ａコンバータ３を介して調
整し、該オフセットレベルの調整終了後は、電圧制御型
増幅器４におけるゲインレベルをゲインレベル制御用Ｄ
／Ａコンバータ５を介して調整するため、磁気センサ１
の検出信号のレベル調整を的確に行うことが可能とな
る。また、プリアンプ２の後段に配設する増幅器として
電圧制御型増幅器４を使用しているため、磁気センサ１
の検出信号のレベル調整を無段階で精密に行うことが可
能となる。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、搬
送路を搬送される紙幣から磁気情報を検出する磁気セン
サの検出信号のレベル調整を行うように構成した紙幣計
数機において、前記磁気センサの検出信号を増幅する第
１増幅器と、前記第１増幅器の出力信号を増幅する第２
増幅器と、前記第１増幅器のオフセットレベルを調整す
る第１調整手段と、前記第２増幅器のゲインレベルを調
整する第２調整手段と、前記磁気センサによる磁気情報
の未検出状態で、前記第１調整手段により前記第１増幅
器のオフセットレベルの調整を行わせるオフセットレベ
ル制御手段と、前記オフセットレベル調整終了後の前記
搬送路における検出基準用磁気媒体の搬送時に、前記磁
気媒体から前記磁気センサにより検出した信号を前記第
１及び第２増幅器により増幅して得た信号に基づき前記
磁気媒体の磁気データの平均値を算出すると共に、該平
均値と予め設定した調整目標値とを比較して両者の差が
０となるまで前記第２調整手段により前記第２増幅器の
ゲインレベルの調整を行わせるゲインレベル制御手段と
を具備する構成としたので、以下の効果を奏することが
できる。 磁気センサの検出信号のオフセットレベル調整及びゲ
インレベル調整を的確に行うことができるため、紙幣計
数機の信頼性を向上させることができる。 上記により、従来のように磁気検出回路の検出信号レ
ベルは単にゲインレベルのみが調整制御されるだけでオ
フセットレベルは調整できないという不具合や、オフセ
ットレベルに誤差が発生した場合にゲインレベルの調整
を行っても無意味となる欠陥を解消することができる。 上記により、従来のように磁気センサの検出信号を増
幅する増幅器の増幅率を無段階で調整できないという不
具合も解消することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の自動調整装置の制御ブロック
図である。

【図２】本実施例の磁気基準紙の表面パターンを示す図
である。

【図３】本実施例のプリアンプの回路図である。

【図４】本実施例の磁気基準紙を１枚流した時の磁気波
形図である。

【図５】本実施例の自動調整装置の磁気信号のゲインレ
ベル調整動作を説明するためのフローチャートである。

【符号の説明】

１ 磁気センサ ２ プリアンプ（第１増幅器） ３ オフセット制御用Ｄ／Ａコンバータ（第１調整手
段） ４ 電圧制御型増幅器（第２増幅器） ５ ゲイン制御用Ｄ／Ａコンバータ（第２調整手段） ６ Ａ／Ｄコンバータ ７ 中央処理装置（オフセットレベル制御手段、ゲイン
レベル制御手段） Ｐ 磁気基準紙（検出基準用磁気媒体）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 搬送路を搬送される紙幣から磁気情報を
   検出する磁気センサの検出信号のレベル調整を行うよう
   に構成した紙幣計数機において、 前記磁気センサの検出信号を増幅する第１増幅器と、 前記第１増幅器の出力信号を増幅する第２増幅器と、 前記第１増幅器のオフセットレベルを調整する第１調整
   手段と、 前記第２増幅器のゲインレベルを調整する第２調整手段
   と、 前記磁気センサによる磁気情報の未検出状態で、前記第
   １調整手段により前記第１増幅器のオフセットレベルの
   調整を行わせるオフセットレベル制御手段と、 前記オフセットレベル調整終了後の前記搬送路における
   検出基準用磁気媒体の搬送時に、前記磁気媒体から前記
   磁気センサにより検出した信号を前記第１及び第２増幅
   器により増幅して得た信号に基づき前記磁気媒体の磁気
   データの平均値を算出すると共に、該平均値と予め設定
   した調整目標値とを比較して両者の差が０となるまで前
   記第２調整手段により前記第２増幅器のゲインレベルの
   調整を行わせるゲインレベル制御手段と、 を具備することを特徴とする紙幣計数機における磁気検
   出回路の自動調整装置。