JP3657335B2 - 紙幣識別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にモータにより搬送される検出対象体を微分型の出力特性を有する磁気ヘッドを用いて識別する識別装置に関し、特に供給電源又は環境変化により搬送モータの回転速度の変化が生じても磁気ヘッドの出力利得を自動調整するようにした識別機の回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
搬送モータにより搬送される検出対象体を識別する識別装置としては、検出対象体である紙幣に含まれる磁気を磁気ヘッドを用いて読取り、この磁気ヘッドの磁気出力を時間積分した磁気データに基づき紙幣を識別するようにした識別装置が知られている。
【0003】
図12は、このような識別装置において一般的に用いられている、紙幣の磁気パターン検出のための回路の一例を示している。この図12において、磁気ヘッドMHは、図示されない紙幣搬送路に配設されており、増幅回路AMPを介して積分方式の前処理回路2に接続されている。識別装置では、所定の搬送速度v (mm/s)で紙幣搬送路に沿って搬送されてくる紙幣1の磁気データを磁気ヘッドMHにより読取り、増幅回路AMPで増幅した後の磁気データを前処理回路2内の整流器2aで整流し、積分器2bで積分した磁気データに基づいて紙幣を識別するようになっている。
【0004】
ところで、上述のような識別装置で用いられる磁気ヘッドMHは、通常、ギャップを備えた磁芯にコイルを巻きつけたものが使用されており、微分型の出力特性を持っている。図13は、磁気ヘッドMHの磁気出力(増幅回路AMPの出力)eo の周波数特性を示しており、磁気ヘッドMH(又は差動型の磁気抵抗素子)の磁気出力eo は微分型の特性であるため、同図に示すように、限界周波数fmax に達するまでは周波数fの変動に対して磁気出力eo は一定の割合(例えば+6dB/oct)で変動する。この磁気出力(磁束Φに対する出力電圧)eo は一般に次の数1で示される。
【数1】
【0005】
また、紙幣の磁気パターンを検出する場合、磁気インクによる印刷の微小間隔をd(mm),搬送速度をv(mm/s)とすれば、磁気ヘッドMHに誘起される電圧の周波数fは、等価的に次の数2で示される。
【数2】
【0006】
ここで、搬送速度v=2000mm/s,磁気インクによる印刷の微小間隔d=0.2mmとした場合、上記の数2からf=10KHzとなり、例えば搬送速度がv=1900mm/sに変わった場合には、f=9.5KHzとなる。つまり、搬送速度の変動が生じると、直接、出力電圧及び検出周波数に影響を与えることになる。
【0007】
搬送速度の変動は、主に紙幣を搬送する搬送モータの回転速度の変化によって生じる。例えば、搬送モータの回転速度は、搬送モータに電源を供給する供給電源の変化や温度等の環境変化によって微妙に変化し、特にメカ的な負荷変動による影響が大きいが、これによって紙幣の搬送速度が変動し、紙幣の磁気パターン等の検出出力も変動することになる。このような搬送速度の変動に伴なう検出出力の変動を回避するために、一般的に次のような方法が採られている。
【0008】
環境変化等の搬送速度の変動に対しては、識別機を開発する過程において、例えば基準搬送速度の±20%程度で搬送速度を実際に変動させて磁気データを収集し、搬送速度の変動に応じて比較の基準となる基準データを設定しておき、その基準データと検出データとを比較することで対応している。また、選択可能な搬送速度(1500,2000,2500mm/s等)に対しては、ヘッド出力の処理回路(増幅回路,フィルタ回路等)の定数をその都度変更することで対応している。
【0009】
また他の例としては、搬送モータの回転速度に対応して磁気ヘッドの出力の増幅利得を可変することで、検出出力の変動を回避するようにした識別装置が挙げられる。この識別装置は、図14に示すように、搬送モータ106の回転速度に対応して同期信号を発生する同期信号部105と、CPU101からのゲイン調整信号に従い磁気ヘッド104の検出出力の増幅利得を可変するゲイン調整回路102とを具備しており、CPU101では、同期信号部105からの同期信号に基づきゲイン調整信号を形成し、このゲイン調整信号によりゲイン調整回路102を制御するように構成されている。即ち、CPU101では、同期信号部105から発生される同期信号の周波数を検出し、その検出周波数に対応する周波数データを求め、その周波数データに対応するゲイン調整信号をROMから読出してゲイン調整回路102に出力することで、磁気ヘッド104の出力の増幅利得を可変制御するようにしている(特開平7−160923号公報参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、搬送される紙幣などの検出対象体を微分型磁気ヘッドを用いて識別する識別装置においては、メカ的な負荷変動による影響、供給電源又は環境変化により搬送モータの回転速度の変化が生じると、磁気ヘッドの磁気出力が変動する。そのため、この磁気出力に基づいて検出対象体を識別すると、正確な識別ができないという問題があり、一般的にはこの問題に対して、搬送速度の変動に応じて比較の基準となる基準データを設定しておくことにより対応していた。しかしながら、このような方式では、開発段階で磁気データを収集し、基準データを設定しておく必要があった。また、ゲイン調整回路により磁気出力の増幅利得を可変する方式では、回転速度に対応して同期信号を発生する回路やゲイン調整回路を設ける必要があり、また、周波数データとゲイン調整信号との対応を設定しておく必要があった。
【0011】
さらに、いずれの方式も搬送速度の変動範囲において段階的に調整する方式であるため、設定間隔内の速度変動に対しては磁気出力が変動し、一定の磁気出力が得られないという欠点があった。また、異なる搬送速度に設定した場合においては、識別をするためにその速度に応じたテーブル,テンプレートあるいは閾値等の準備をする必要があった。
【0012】
本発明は上述のような事情から成されたものであり、本発明の目的は、搬送速度のゆらぎ、変動、または、異なる速度の設定といったことがあっても、これに影響を受けない磁気信号を得ることができる紙幣識別装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、搬送される紙幣の磁性強度を検出する微分型磁気ヘッドを用いて紙幣を識別する紙幣識別装置に関するものであり、本発明の上記目的は、前記紙幣の搬送距離に比例したパルスを発生するパルス発生手段と、デエンファシス回路を用いて前記磁気ヘッドからの出力信号を補正する信号補正手段と、前記パルス発生手段によって所定のパルスを発生する毎に前記信号補正手段により補正された前記磁気ヘッドからの信号をサンプリングするサンプリング手段とを備えることによって達成される。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の紙幣識別装置における磁気パターン検出部の構成例をブロック図で示したものである。図1において、磁気パターン検出部は、搬送される検出対象体(以下「紙幣」を例とする)の搬送距離に比例したパルスMCLKを発生するパルス発生手段10と、紙幣に含まれる磁性強度を検出する磁気検出手段20と、磁気検出手段20からの出力信号ei を補正する信号補正手段30と、パルス発生手段10のパルスMCLKを基準に補正後の信号eo をサンプリングするサンプリング手段40とを備えている。信号補正手段30では、微分型の出力特性を有する磁気検出手段20からの出力信号(磁気出力)ei を積分型の補償特性を有する補償回路を用いて補償し、搬送速度の変動(周波数変動)が生じても常に一定の出力信号ei が得られるようにしている。この信号補正手段30の具体的な構成例については後述するが、本発明では補償回路として抵抗及びコンデンサから成るデエンファシス回路(de-emphasis circuit )を用いている。
【0015】
図2(A)及び(B)は、図1の磁気検出手段20の磁気出力ei の波形とパルス発生手段10の出力パルスMCLKとの対応を示しており、同図(A)は搬送速度v=1000mm/sの場合の波形例、同図(B)は搬送速度v=2000mm/sの場合の波形例を、それぞれ横軸にメカクロック(メカタイミングパルス)をとって示している。なお、磁気出力ei の波形例は、6本線入り磁気ダミー紙幣のものを例としている。
【0016】
ここで、図2(A)及び(B)を参照して磁気出力ei の特性について説明する。紙幣の印刷に使用するインクには磁気成分が含まれており、微分型磁気ヘッドを備えた紙幣識別機には、いつも同じ絵柄の紙幣が流されると考えてよい。なぜなら、1000円、5000円、10000円券が日本では流通しているからである。したがって、絵柄をよく見れば判るように磁気成分の間隔は同じであるので、搬送速度が上がると前記数1の“t”が小さくなり、必然的に磁気出力ei が大きくなる。すなわち、図2(A)及び(B)のように、横軸にメカクロックをとって磁気ヘッドの磁気出力ei のグラフを書けば、その包絡線は周波数が高くなるにつれて大きくなる。また、紙幣の印刷における磁気の分布は一定であるが、搬送速度が早くなると磁気ヘッドで受ける信号は周波数が高くなる。
【0017】
本発明ではパルス発生手段10として、紙幣の搬送距離に比例したパルスを出力するメカクロックを用いており、これらの図2(A)及び(B)に示されるように、メカクロックのパルスMCLKを基準として磁気データをサンプリングすれば、搬送速度が変わっても同じ位置の磁気データが同一タイミングで得られることになる。また、本発明では、磁気ヘッドの磁気出力ei を積分型の補償特性を有する補償回路を用いて信号補正手段30で補正するようにしており、これにより補正後の磁気出力eo は、図3に示すように、常に一定レベルの出力となる。即ち、搬送速度が変化しても振幅の変化は見られず、補正後の信号eo は搬送速度の変動の影響を受けない信号となる。紙幣識別装置では、補正後の信号eo のサンプリングデータに基づいて紙幣の磁気パターンを検出し、基準パターンと比較して紙幣を識別することにより、搬送速度のゆらぎ、変動、または、異なる速度の設定といったことがあっても、これらに影響を受けずに正確に識別を行なうことができるようになる。
【0018】
以下、本発明に用いる信号処理回路の構成例を示して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図4は、図1の磁気検出手段20と信号補正手段30の部分の信号処理回路の構成例をブロック図で示しており、磁気検出手段20として用いられる磁気ヘッド21は、微分型の出力特性を有する一般的な磁気ヘッド(差動型MRヘッドを含む)であり、図示されない紙幣搬送路に配設されている。信号補正手段30で用いられる補償回路31は、ある周波数領域で積分型の補償特性を有する回路であり、同図の例では増幅回路AMP1とバッファを兼ねた増幅回路AMP/BUFとの間に挿入されている。増幅回路AMP/BUFは、補償回路31の挿入によるゲイン損失を確保するための回路であり、増幅後の信号がヘッド検出信号eo として出力されるようになっている。なお、補償回路31は増幅回路AMP1の回路に含める構成としても良い。
【0019】
図5(A)〜(C)は、図4の信号処理回路の符号SGa,SGa’及びSGbで示す部分の信号の周波数特性をそれぞれ示している。磁気検出手段20として用いられる磁気ヘッド21は、図5(A)に示すように、搬送速度の変動による周波数fの変動(下限fL 〜上限fH )に対して、一定の割合(“6dB/oct”)で出力が変動する微分型の出力特性を持っている。この場合、補償回路31は、図5(B)に示すように、ある周波数領域(f1 〜f2 )において“−6dB/oct”の積分特性(積分型の補償特性)を有する回路構成となっている。但し、f1 〜f2 はfL 〜fH を含む領域であり、f1 は積分特性のロールオン周波数、f2 は積分特性のロールオフ周波数をそれぞれ示している。
【0020】
上述のような構成において、図4の信号処理回路の動作例を説明する。図4において、磁気ヘッド21の磁気出力 ei は、増幅回路AMP1で増幅された後、“−6dB/oct”の積分特性を有する補償回路31に入力されて磁気ヘッド21の6dB/octの微分型の出力特性が平坦化され、図5(C)に示すように、一定レベルの出力SGbとなる。即ち、搬送速度の変動に伴なう磁気ヘッド21の周波数変動が生じても、補償回路31による補正後の信号SGbは一定レベルとなる。そして、補正後の信号SGbがバッファを兼ねた増幅回路AMP/BUFにより増幅され、ヘッド検出信号SGc(eo )として出力される。
【0021】
次に、上記積分型の補償特性を実現するための補償回路31の構成を具体例を示して説明する。図6は、補償回路31の構成例で、一般にデエンファシス(de-emphasis circuit )回路として知られている回路の一例を示している。デエンファシス回路は、受信機のデエンファシス,録音テープの再生イコライザ,アナログ・レコードのRIAAイコライザとして知られているものであり、高い周波数領域が強調(プレエンファシス; pre-emphasis )されている信号波を元の信号波に復元するための回路として使用されている。例えば周波数変調を採用した通信方式では、信号波の高い周波数領域を周波数に比例して強調して送信することにより、信号対雑音比の低下を防止するようにしている。そのため、送信側から伝送されてくる信号波を元の信号波に復元するには、受信側では出力電圧が周波数に逆比例するような回路を使用すれば良く、この回路としてデエンファシス回路が使用されている。
【0022】
本発明では、このようなデエンファシス回路が持っている積分型の補償特性を利用し、磁気検出手段からの出力信号をデエンファシス回路を用いて補正するようにしている。すなわち、搬送モータの回転速度の変化等により磁気ヘッドの磁気出力eo (入力電圧ei )が変動しても、磁気ヘッドに誘起される電圧の周波数fH に逆比例する電圧eo を出力することにより、磁気出力eo を補正することができる。図6のデエンファシス回路は、抵抗R1が入力端子と出力端子との間に接続され、抵抗R1の出力線の節点と接地との間に抵抗R2(抵抗値R2<R1)及びコンデンサCが直列接続されていて、2つの抵抗R1,R2と1つのコンデンサCでデエンファシス回路を構成している。このように2つの抵抗R1,R2と1つのコンデンサCのみで、積分型の補償特性を有する補償回路を実現することができる。このデエンファシス回路の出力周波数G(jω)は次の数3で示され、その周波数特性fは図7に示すようになる。但し、図7中の“n”はf1 を基準としたときのオクターブ数で、中心周波数fo とロールオン周波数f1 が“n”octの関係のとき、fo =2n f1 と示される。
【0023】
【数3】
【0024】
ここで、補償回路の設計においては、標準の搬送速度における磁気出力周波数fc に等しい値に補償回路の中心周波数fo を設定し、搬送速度の変動による周波数変動の上限fH と下限fL を含む範囲で補償回路のロールオフ周波数f2 及びロールオン周波数f1 を設定すれば良い。また、補償回路の挿入によるゲイン損失として、中心周波数fo において次の数4に示す“α”だけ振幅が減衰する。
【数4】
【0025】
厳密な利得設定を要する場合は、補償回路の前段増幅回路又は後段増幅回路で補正する必要がある。この補正については、補償回路と増幅回路との接続構成の実施例を示して説明する。
【0026】
【実施例】
図8は、磁気ヘッド出力の信号処理回路の一例を示しており、補償回路を設ける前の回路構成を示している。この信号処理回路は、磁気ヘッド21に直列接続されそれぞれ40dB,20dBの増幅利得を有する2つの増幅回路AMP1及びAMP2から構成されている。この信号処理回路を具体例として、上述の補償回路を独立の回路として挿入する場合の構成例について説明する。
【0027】
図9(A)は、増幅回路AMP2の後段に補償回路31を挿入する場合の例を示しており、この例では、バッファを兼ねた増幅回路AMP3/BUFを補償回路の後段に設け、補償回路31で減衰した出力を増幅利得“K”dB(K=前記数4の“α”)で増幅する構成としている。また、図9(B)は、増幅回路AMP1と増幅回路AMP2との間に補償回路31を挿入する場合の例を示しており、このような構成とした場合、補償回路31の後段増幅回路AMP2によって“20+K”dBの増幅利得で増幅すれば、補償回路31で減衰した出力を補正することができる。なお、AMP1,AMP2及びAMP3は広帯域アンプである。
【0028】
さらに、図10(A)に示すように、AMP1の入力段に補償回路31を挿入し、前段増幅回路AMP3(又はバッファ回路BUF)の出力を補償回路31で補正し、補償回路31で減衰した出力を増幅回路AMP2で補正する構成としても良い。また、補償回路31を独立の回路とせず、図10(B)に示すように、増幅回路AMP2の帰還回路31Aに組み込む構成としても良い。この場合、帰還回路30Aの帰還率をβ(S)とすると、増幅回路AMP2の仕上りゲインは、1/β(S)となるため微分型の特性となる。なお、上述した構成例では、補償回路31の挿入によるゲイン損失分を最終段の増幅回路で確保するようにしているが、他の増幅回路を用いても良い。但し、仕上りゲインが小さい増幅回路を用いるのが好ましい。
【0029】
次に、補償回路を独立回路として挿入する場合の具体的な信号処理回路の構成例を示す。図11は、図9(B)の信号処回路の構成例、すなわち補償回路を増幅回路AMP1と増幅回路AMP2との間に挿入する場合の回路例を示している。この回路は設計条件として、仕上りゲインを「60dB」、硬貨の搬送速度を「1000mm/S」〜「4000mm/S」(中心搬送速度:2000mm/S)、磁気出力の周波数変動を「5KHz」〜「20KHz」(中心周波数:10KHz)とした場合の実施例を示している。なお、補償回路31の減衰量“−12dB”は、中心周波数(f=fo )での減衰量を示している。
【0030】
この補償回路のコンデンサC(C5 )と抵抗R(R5 ,R6 )の値は、磁気ヘッドの周波数特性を打ち消すような値が選ばれる。これは、被識別媒体である紙幣の印刷インクの印刷間隔が元となる。計算が面倒であれば、実験からも容易に求めることができる。この場合、先ず、信号を補正することなく、搬送速度をパラメータにして出力の値をプロットし、その出力が増大していく傾きをキャンセルするように回路のコンデンサCと抵抗Rの値を決定すればよい。実施例では抵抗RとコンデンサCの直列回路であるので解は容易に求まり、それぞれ図11中に示す値で信号処理回路を構成している。
【0031】
なお、上述した実施の形態及び実施例では、検出対象体を紙幣として本発明を紙幣識別装置に適用する場合を例として説明したが、紙幣識別装置に限るものではなく、搬送される検出対象体を磁気ヘッドを用いて識別する識別装置であれば本発明を適用することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の紙幣識別装置によれば、紙幣の搬送系の速度変動が起きても影響を受けることなく信号処理ができる。また、紙幣の識別機を開発するにおいて、搬送速度が変わればそれに応じて比較の基準となる基準データを用意することが一般的に行われていたが、本発明によれば、例えば紙幣の搬送速度が1000mm/sから3000mm/s内のいずれに設定されたとしても、その内の1点のデータを基に作成した基準データで広い範囲の速度設定に対応することができる。これにより、製品の開発期間が短縮できるとともに、紙幣搬送速度に対して安定した紙幣識別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙幣識別装置における磁気パターン検出部の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の磁気検出手段の出力波形とパルス発生手段の出力パルスとの対応を示す波形図である。
【図3】本発明における補正後の磁気出力の波形例を示す図である。
【図4】図1の磁気検出手段20と信号補正手段30の部分の信号処理回路の構成例を示すブロック図である。
【図5】図4の信号処理回路の各部波形図である。
【図6】本発明に用いる補償回路の具体例を示す回路図である。
【図7】図6の回路の周波数特性を示す図である。
【図8】本発明に用いる補償回路を設ける前の信号処理回路の構成例を示すブロック図である。
【図9】図8の信号処理回路に本発明に用いる補償回路を適用した場合の第1及び第2の構成例を示すブロック図である。
【図10】図8の信号処理回路に本発明に用いる補償回路を適用した場合の第3及び第4の構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明に用いる信号処理回路の具体例を示す回路図である。
【図12】従来の識別装置において一般的に用いられている、紙幣の磁気パターン検出のための信号処理回路の一例を示すブロック図である。
【図13】一般的な磁気ヘッドの磁気出力の周波数特性を示す図である。
【図14】従来の紙幣識別装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 パルス発生手段
20 磁気検出手段
21 磁気ヘッド
30 信号補正手段
31 補償回路(デエンファシス回路)
40 サンプリング手段
Claims (1)
- 搬送される紙幣の磁性強度を検出する微分型磁気ヘッドを用いて前記紙幣を識別する紙幣識別装置において、前記紙幣の搬送距離に比例したパルスを発生するパルス発生手段と、デエンファシス回路を用いて前記磁気ヘッドからの出力信号を補正する信号補正手段と、前記パルス発生手段によって所定のパルスを発生する毎に前記信号補正手段により補正された前記磁気ヘッドからの信号をサンプリングするサンプリング手段とを備えたことを特徴とする紙幣識別装置。
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