JPH0594006A - 耐光性ペリクル - Google Patents

耐光性ペリクル

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JPH0594006A
JPH0594006A JP27893091A JP27893091A JPH0594006A JP H0594006 A JPH0594006 A JP H0594006A JP 27893091 A JP27893091 A JP 27893091A JP 27893091 A JP27893091 A JP 27893091A JP H0594006 A JPH0594006 A JP H0594006A
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JP
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pellicle
film
group
thin film
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JP27893091A
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Teruo Takiguchi
照夫 滝口
Yasushi Kaneko
金子  靖
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 膜強度、耐湿性、耐光性に優れたペリクル。 【構成】 下記式〔I〕で表されるカーボネート化セル
ロース誘導体からなるペリクル。 【化1】 【効果】 本発明による新規カーボネート化セルロース
誘導体からなるペリクルは、膜強度、耐湿性、耐光性に
優れており、g線・i線共用ペリクルとして有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大規模集積回路製造工
程中のリソグラフィー工程で使用されるフォトマスクの
防塵用フィルムカバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】大規模集積回路(LSI)製造工程中の
リソグラフィー工程では、フォトマスク(以下、マスク
と称する)に描かれた集積回路の回路図(パターン)が
紫外線あるいは遠紫外線によってシリコンウエハ上のレ
ジスト(感光性樹脂)に転写されることによって、大量
の集積回路が製造される。この際に、マスクにごみが付
いていると、ごみも回路パターンと一緒にウエハ上に結
像して焼き付けられてしまい、回路に断線などの欠陥が
生じ、集積回路チップが不良となる。
【0003】これを防ぐために、防塵用のカバーをマス
クに取り付けてパターン面を保護することが行われてい
る。マスク用防塵カバーは透明なポリマーフィルムをア
ルミなどの金属性フレームに貼り付けたものであり、フ
ィルムと反対側のフィルム端面に付けた粘着剤などによ
ってマスクにこれを張り付け、マスクにごみが付くこと
を防ぐものである。
【0004】また、マスク用防塵カバーに数ミクロンか
ら十数ミクロンの大きさのごみが付いても、マスク上の
回路パターンとごみの間に距離があるため、ごみの像は
レジスト上では焦点を結ぶことがなく、回路に欠陥は生
じない。マスク用防塵カバー、即ちペリクルへの要求特
性は、透明で高い光線透過率(〜100%)を持ち、リ
ソグラフィーの光源の照射を受けても十分な耐久性を持
つと共に、温度・湿度の変化に対して安定なことであ
る。
【0005】近年、集積回路の高集積化に伴い、リソグ
ラフィー工程の光源はg線(波長436nm)からi線
(波長365nm)へと、短波長化が進んでいる。しか
し、実際のLSIの製造工程では、一つのLSIを製造
する際に、g線用露光装置とi線用露光装置とが共に使
用され、特に微細な回路部分のリソグラフィーにi線が
使用されている。この際に、g線用ペリクルとi線用ペ
リクルとをマスク毎に使い分ける手間を避けるため、g
線・i線共用ペリクルが求められている。
【0006】ペリクルの膜厚みは数ミクロン(μm)で
あり非常に薄いため、ペリクルを通過する光は光の干渉
現象を起こし、この干渉の程度は光の波長によって異な
るため、ペリクルの透過光の大きさは波長に対してゆる
い波形を描く。この波形は膜の厚みによって変わり、g
線・i線共用ペリクルでは、ペリクルの膜厚みを精密に
調節して、光線透過率のピークをg線とi線の波長に合
わせ、g線(波長436nm)及びi線(波長365n
m)の波長で共に99.5%以上という非常に高い光線
透過率を達成している。
【0007】図2にg線・i線共用ペリクルの光線透過
率の例を示す。ペリクルがリソグラフィー工程で長期間
に亘って使用され、光の照射を受けると、ペリクル膜を
構成する材料の屈折率が変化するためか、波長と光線透
過率との関係で表される分光特性(光線透過率の波形)
が波長方向に僅かながら移動することがある。特に、g
線よりも波長が小さくてエネルギーの高いi線の照射を
受けると、この傾向が見られる。
【0008】ペリクルの光線透過率は光の波長に対して
ゆるい波形を描くが、光線透過率の波形が横方向に移動
する場合に、使用波長での光線透過率は低下する。
【0009】従来、ペリクル膜の本体となる透明薄膜と
しては、ニトロセルロース、セルロースアセテート(酢
酸セルロース)、セルロースアセテートプロピオネート
(酢酸・プロピオン酸セルロース)、セルロースアセテ
ートブチレート(酢酸・酪酸セルロース)などのセルロ
ース誘導体、またニトロセルロースと他のセルロース誘
導体とのブレンド膜が提案されている。
【0010】ニトロセルロースでは、膜強度、高湿度下
での形状保持性に優れるが、他のセルロース誘導体に比
べて、耐光性が劣り、またセルロースアセテート、セル
ロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテー
トブチレートでは耐光性は優れているが、膜強度、高湿
度下での形状保持性に劣るなどの点で問題があった。
【0011】リソグラフィー工程では、静電気によって
微細なごみがマスクやシリコーンウェハや機器類に付着
するのを避けるため、雰囲気の湿度を高く維持すること
が行われている。従って、高湿度下で寸法安定性の高い
膜が必要である。又、マスク用防塵カバーに付いた数十
ミクロンの大きさのごみはエアブローによって除くこと
が行われるが、従来の膜ではエアブロー時に膜が伸びて
回復しない、更には破断するなどの問題点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上に述べ
た従来技術の問題点を克服するものであり、これにより
従来のペリクルよりも膜強度、耐湿性、耐光性に優れた
ペリクルを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは上
記課題を解決するために、従来より種々検討を重ねてき
たが、〔I〕式で表されるカーボネート化セルロース誘
導体
【0014】
【化3】 (式中、a,b及びcは、a≧0、b≧0、c>0であ
り、a+b+c=3を満足する数、Rは、
【化4】
【0015】(ここに、R”はC1 〜C12のアルキル
基、またはシクロアルキル基である)、または−NO2
基を表し、R’はC1 〜C12のアルキル基、シクロアル
キル基、フェニル基または置換フェニル基を表す。nは
セルロース誘導体の重合度を表し、10〜3,000の
数を示す。)から実質的に成るペリクルが、膜強度、耐
光性、耐湿性を備えた優れたペエリクルであることを見
い出し、本発明を完成するに至った。
【0016】即ち、本発明は新規なセルロース誘導体を
主体とする透明薄膜からなる、膜強度、耐湿性、耐光性
に優れたペリクルである。この〔I〕式におけるR’の
アルキル基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれでもよい
が、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、n−
ブチルなどの直鎖である。また、置換フェニル基は、例
えばp−フロロフェニルなどのフッ素置換フェニル;メ
チルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル等の
アルキル置換フェニル基等が挙げられる。中でもエチル
基、フェニル基が好ましい。
【0017】本発明の化合物は、いずれも文献未載の新
規化合物であり、セルロース原料(例えばパルプ、脱脂
綿、セルロース微結晶、セルロースジアセテート、セル
ローストリアセテート、セルロースアセテートブチレー
ト、硝酸セルロースなど)に例えば〔II〕式のような
カーボネート化合物を反応させたり、
【0018】
【化5】 (式中、R”はC1 〜C12のアルキル基、シクロアルキ
ル基、フェニル基、置換フェニル基を表す。)また、下
記〔III〕式で表される酸クロリドを反応させて得る
ことができる。
【0019】
【化6】 (式中、R”は〔II〕式でのR”と同じである。)
【0020】前記セルロース原料と〔II〕式あるいは
〔III〕式で示される化合物との反応は、溶媒を使用
したり、使用せずに直接に反応させて得ることができ
る。溶媒としては、一般的にはDMSO、DMF、DM
Ac、ピリジン、N−メチルピロリドンなどの極性の高
い化合物が用いられる。
【0021】反応温度は、セルロース原料の種類、溶媒
の種類、その他の条件により必ずしも一定しないが、通
常は常温〜230℃、好ましくは50〜210℃の間の
温度から選ばれる。また、反応を促進するために、触媒
を使用する方が好ましく、スズ、亜鉛、マグネシウム、
チタン、鉛、ジルコニウムなどの金属化合物、例えばn
−ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレー
ト、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、テトラアルコキシチ
タン、酢酸鉛などを挙げることができる。
【0022】このようにして得られる反応混合物から目
的化合物を得るには、例えば未反応の式〔II〕あるい
は式〔III〕の化合物や副生物、さらに反応に使用し
た溶媒や触媒を溶解させ、かつ目的化合物は溶解しない
洗浄溶剤、例えばメタノール、エタノールなどのアルコ
ール類を使用して目的物を析出、精製することが出来
る。
【0023】具体的には、アルコール類に反応混合物を
注ぎ、析出する目的化合物を濾過するか、又は遠心分離
機で分離することにより、単離することができる。本発
明において、透明薄膜を構成するセルロース誘導体とし
ては、上記新規なカーボネート化セルロース誘導体単独
或いは該セルロース誘導体を主体とし、これに少量の既
知のセルロース誘導体(例えば、ニトロセルロース、セ
ルロースアセテートなど)を混合してもよい。
【0024】本発明のペリクル膜の成膜法は、溶液状で
キャストする方法が通常用いられる。ペリクルにあって
は膜厚の均一性が重要であり、その製造法としては、回
転塗布法(スピンコーター法)、ナイフコーター法、浸
漬引き上げ法、流体表面上への流延法などが適している
が、特にスピンコーター法が好適である。
【0025】本発明の薄膜を得るスピンコーティングの
条件は、溶液の粘度、溶液の溶媒の蒸発速度、スピンコ
ーター周囲の温度、湿度、スピン回転数、スピン時間な
ど多くの影響因子が絡むので、本発明の目的を達成する
ために正しく選択する。上記薄膜の膜厚は、溶液粘度や
基板の回転速度を変化させることにより適宜変化させる
ことができる。平滑基板上に形成された薄膜に含まれて
いる溶媒は、ホットプレート、オーブンなどで揮発させ
る。
【0026】該セルロース誘導体用溶剤は特に制限され
ないが、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ
などのエステル類やメチルエチルケトン、シクロヘキサ
ノンなどのケトン類などが好ましく使用できる。
【0027】さらに、本発明では、新規なカーボネート
化セルロース誘導体を主体とする透明薄膜の少なくとも
一方の面に、主鎖に環状構造を有し、かつ濃度1.5g
/dlのパーフルオロトリブチルアミン溶液の23℃に
おける還元粘度1.0g/dl以下のフッ素ポリマーか
らなる低屈折率反射防止層を設けた、一層以上の反射防
止層を形成させることをも特徴とする。
【0028】本発明では、上述の新規なセルロース誘導
体透明薄膜の使用に加えて、屈折率が小さく、溶液の透
過性に優れ、かつ、成膜したときに色斑の生じない反射
防止層材料、とくに上記特定のフッ素ポリマーからなる
低屈折率材料を用いることにより、膜強度、耐湿性、耐
光性に優れると共に光の透過性にも優れたペリクルを提
供できる。
【0029】本発明で使用する主鎖に環状構造を有する
フッ素ポリマーは〔IV〕式で示される環状構造の繰り
返し単位を含む共重合体である。
【0030】
【化7】 (ただし、R1 〜R2 はF又はCF3 である。)これら
のうち、下記〔V〕式で示される主鎖に環状構造を有す
る繰り返し単位を含むフッ素ポリマーが代表的なもので
ある。
【0031】
【化8】
【0032】これらのフッ素ポリマーは、パーフルオロ
−2,2−ジメチル−1,1−ジオキソールをラジカル
重合せしめることにより得られる。また、共重合体は、
上記のパーフルオロ−2,2−ジメチル−1,1−ジオ
キソールと、フルオロオレフィンやフルオロビニルエー
テルなどの含フッ素単量体との共重合により得られる。
さらに、該フッ素ポリマーとしては、微結晶による光の
透過損失が起こらない、非晶質のものが好ましい。
【0033】主鎖にこのような環状構造を有するフッ素
ポリマーは、屈折率が1.29〜1.31と、従来のフ
ッ素ポリマーの屈折率1.35〜1.37に比べ小さく
て、大きな反射防止効果が得られる。
【0034】主鎖に環状構造を有するフッ素ポリマーと
しては、デュ・ポン社のテフロンAF(商品名)として
入手可能であるが、このポリマーは溶媒に難溶であり、
ごみ除去用のフィルターを通らず、ごみを嫌うペリクル
への使用には適さないし、また、成膜時に薄膜に色斑が
生じ、光の透過率が小さくなるという問題があった。
【0035】しかし、主鎖に環状構造を有するフッ素ポ
リマーであって、濃度が1.5g/dlのパーフルオロ
トリブチルアミン溶液の23℃における還元粘度が1.
0dl/g以下のものから作成した膜には、色斑がな
く、かつ孔径0.2μmのメンブレンフィルターを透過
し、良好な反射防止膜が形成できる。ここで、還元粘度
とは溶液の粘度をη〔sec〕、濃度をC〔g/d
l〕、純溶媒の粘度をη0 〔sec〕としたときに、
(η−η0 )/(η0 ・C)で定義される量である。粘
度の測定には毛管粘度計を使用した。
【0036】このようなポリマーは、そのポリマーの溶
液還元粘度が前述の範囲に入るように、重合時間、重合
温度などの重合条件を適切に設定することにより容易に
得られる。あるいは、ポリマーの溶液粘度が前述の範囲
を越えている場合には、そのポリマーにγ線、電子線、
中性子線などの高エネルギー粒子を照射することによっ
ても得られる。
【0037】低屈折率反射防止層となる上記フッ素ポリ
マーは、本発明の新規なセルロース誘導体の透明薄膜の
片面あるいは両面に形成し、2層あるいは3層構造とす
る。或いは、該透明薄膜の片面あるいは両面に高屈折率
反射防止層を設け、その上に、該フッ素ポリマー層を設
け、3〜5層構造としても良い。反射防止層の膜厚は、
反射防止しようとする光の波長の1/(4n)(nはフ
ッ素樹脂の屈折率)とするのが好ましい。高屈折率反射
防止層としては、ポリエーテルスルフォン、ポリスチレ
ン、ポリビニルナフタレンなどが使用できる。
【0038】具体的には、このようなフッ素ポリマーを
パーフルオロベンゼン、パーフルオロ(2−ブチルテト
ラヒドロフラン)、トリクロロトリフルオロエタン、パ
ーフルオロトリブチルアミンなどのフッ素系溶媒に溶か
して溶液とし、ごみ除去のための濾過の後、平滑基板上
に形成された透明薄膜の上に滴下後、基板を回転させて
低屈折率反射防止膜を形成する。次いで、風乾、或いは
ホットプレート、オーブンなどで加熱して揮発させ、透
明薄膜/反射防止層からなる2層が形成する。
【0039】以下に合成例および実施例を挙げて本発明
を説明するが、本発明の範囲はこれにより限定されるも
のではない。
【合成例1】ジフェニルカーボネート(融点80℃)1
35gを加熱溶解し、その中にセルローストリアセテー
ト6.0g、触媒としてn−ジブチルスズオキサイド8
3.4mgを投入し、反応温度を180℃に保ち、窒素
下、強く攪拌して反応を進める。加熱溶解したジフェニ
ルカーボネートに懸濁していたセルローストリアセテー
トは温度の上昇とともに溶解し、均一な透明液となる。
【0040】均一な透明液となって後、加熱を4.5時
間続ける。反応液を50〜60℃に冷却した後、予めメ
タノール400mlを入れたビーカーに攪拌条件下で反
応液を注入する。直ちに、メタノールに溶解しない目的
物が沈澱物として析出する。濾集して得られた沈澱物を
再びメタノール300mlに分散させ、未反応のジフェ
ニルカーボネートや触媒を溶解させ、濾過操作により目
的物7.2gを得る。
【0041】さらに、セルローストリアセテートが上記
沈澱物に付着している場合には、沈澱物をアセトン10
0mlに投入後、濾別し(セルローストリアセテートは
アセトンに不溶)、濾液を濃縮すれば精製されたカーボ
ネート化セルロースを得ることができる。得られもの
は、微黄色の綿状固体である。
【0042】
【実施例1】合成例1で合成したセルロースアセテート
フェニルカーボネート(以下、CAPhと略称する)を
酢酸エチルセロソルブに溶解し、ポリマー濃度7重量%
の溶液を調製した。スピンコーターにシリコンウェハを
セットして、調製したCAPh溶液20cc滴下し、そ
の後、シリコンウェハを700rpmで45秒間回転さ
せ、次にホットプレートで溶媒を蒸発せしめ、CAPh
からなる厚さが約1.9μmの薄膜を形成した。この薄
膜の光線透過率を図1に示す。
【0043】図1では250〜280nm近辺に光線透
過率の低い部分があるのが、g線(436nm)、i線
(365nm)近辺では高い光線透過率が得られてい
る。g線・i線共用ペリクルの素材として使用できる。
得られた膜の強度、耐湿性を試験して、下記の表1の結
果を得た。
【0044】比較例として、市販のセルロースアセテー
トプロピオネート(E.Kodak製以下、CAP)、
セルロースアセテートブチレート(E.Kodak製以
下、CAB)を上記と同様にして成膜して使用した。な
お、膜強度は引張り試験機にて測定し、耐湿性について
は相対湿度100%の雰囲気(底に水を張った密閉容
器)に入れた時の膜の状態を観察した。
【0045】
【表1】
【0046】次に、CAPh、CAP、CABの膜を小
型アルミフレームに接着剤を用いて貼り付け、これを試
料として、i線照射装置を用いて連続的にi線照射して
耐光性を評価した。耐光性の指標として、光線透過率の
ピークの移動量を測定した。ペリクルの光線透過率の低
下の模式図を図3に示すが、ペリクルの光線透過率はピ
ーク位置の移動によって主として起こるため、ピーク位
置の移動量を耐光性の尺度とすることができる。表2に
ピークの移動量を示す。
【0047】
【表2】
【0048】ピークの移動量の単位はnm(ノナメータ
ー)であり、+右方向(長波長方向)への移動であるこ
とを示す。表2によると、ピークの移動がなくCAPh
の耐光性が優れていることが示されている。
【0049】
【実施例2】CAPhを酢酸エチルセロソルブに溶解
し、固形分濃度7g/dlの溶液を調製した。また、反
射防止膜用に、デュ・ポン社の「テフロンAF240
0」にγ線を120kGy照射したものを、パーフルオ
ロトリブチルアミン(徳山ソーダ株式会社、「IL−2
70」)に溶かし、1.5g/dlの溶液を調製した。
この溶液の23℃での還元粘度は0.67dl/gであ
った。
【0050】スピンコーターにシリコンウェハをセット
して、調製したCAPh溶液を、口径0.2μmのメン
ブレンフィルターで濾過し、その濾過液20cc滴下
し、その後、シリコンウェハを1,000rpmで45
秒間回転させ、つぎに、ホットプレートで溶媒を蒸発せ
しめ、シリコンウェハ上にCAPhからなる厚さ約1.
2μmの薄膜を形成した。
【0051】次に、その上に、γ線を照射したテフロン
AFのパーフルオロトリブチルアミン溶液を、口径0.
2μmのメンブレンフィルターで濾過し、2層膜を3c
c滴下し、600rpmで30秒間回転の後、風乾し、
2層膜を形成した。つぎに、両面テープなどを付けた金
属またはプラスチックなどの枠をつけて、シリコンウェ
ハ上より薄膜を剥離し、120mm×98mmの長方形
アルミフレームに膜をピンと張り、反射防止膜側をエポ
キシ系接着剤で固着した。この膜を高湿度下に30分放
置後、再び、この膜のCAPh層側を上にしてスピンコ
ーターにセットし、γ線照射テフロンAF溶液を3cc
滴下し、600rpmで30秒間回転の後、風乾し、3
層膜を形成した。両面に形成された反射防止膜の膜厚
は、各々73μmであった。
【0052】こうして得られたペリクルの反射防止膜
は、水銀ランプからの単色光で観察したところ、表面が
平滑で、色斑のない良好な膜であった。この3層膜ペリ
クルの分光透過率を図2に示す。350〜450nm間
の最低光線透過率は98%であり、平均光線透過率も9
9%と高いものであった。水銀ランプの輝線であるg線
(436nm)およびi線(365nm)における透過
率は、いずれも99.8%であり、g線、i線露光のど
ちらにも、すなわち、g線・i線共用ペリクルとして好
ましく使用できる。また、基本的な膜物性も実施例1に
示す様に、膜強度、耐湿性、耐光性の点で極めて優れて
いる。
【0053】
【発明の効果】本発明による新規カーボネート化セルロ
ース誘導体からなるペリクルは、膜強度、耐湿性、耐光
性に優れており、g線・i線共用ペリクルとして有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の膜の分光特性(波長〜光線透過率曲
線)を示すグラフである。
【図2】実施例2のペリクルの分光特性(波長〜光線透
過率曲線)を示すグラフである。
【図3】ペリクルの光線透過率の低下の模式図を示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式〔I〕で表されるカーボネート化
    セルロース誘導体。 【化1】 〔式中、a,b及びcは、a≧0、b≧0、c>0であ
    り、a+b+c=3を満足する数、 Rは、 【化2】 (ここに、R”はC1 〜C12のアルキル基、またはシク
    ロアルキル基である)、または−NO2 基を表し、R’
    はC1 〜C12のアルキル基、シクロアルキル基、フェニ
    ル基または置換フェニル基を表す。nはセルロース誘導
    体の重合度を表し、10〜3,000の数を示す。)か
    ら実質的になる透明薄膜を用いたことを特徴とする、ペ
    リクル。
  2. 【請求項2】 透明薄膜の少なくとも一方の面に、一層
    以上の反射防止層が形成されたペリクルにおいて、低屈
    折率反射防止層が、主鎖に環状構造を有するフッ素ポリ
    マーであって、 濃度1.5g/dlのパーフルオロトリブチルアミン溶
    液の23℃における還元粘度が1.0dl/g以下であ
    ることを特徴とする、請求項1記載のペリクル。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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