JPH059381A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH059381A
JPH059381A JP3312733A JP31273391A JPH059381A JP H059381 A JPH059381 A JP H059381A JP 3312733 A JP3312733 A JP 3312733A JP 31273391 A JP31273391 A JP 31273391A JP H059381 A JPH059381 A JP H059381A
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田 昭 徳 豊
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藤 哲 男 加
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、テレフタル
酸成分単位50〜100モル%と、これ以外の芳香族ジ
カルボン酸成分単位0〜50モル%および/または脂肪
族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%とからなるジカ
ルボン酸成分単位と、脂肪族および/または脂環族ジア
ミン成分単位からなるジアミン成分単位とからなる繰返
し単位から構成され、極限粘度が0.5〜3.0dl/g、融
点が300℃を超える芳香族ポリアミド(A)を100
重量部、特定のグラフト変性共重合体(B)を10〜8
0重量部および脂肪族ポリアミド(C)を5〜80重量
部の量で含有する。さらに、リン系酸化防止剤(D)を
0.05〜2重量部の量で含んでいてもよく、これらの
組成物はコネクターを形成するのに適している。 【効果】 この組成物からは、耐熱性及び衝撃強度に優
れた成形体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、新規な熱可塑性樹脂組成
物に関する。さらに詳しくは本発明は、加熱による靱性
の低下が少ない成形体を調製するのに特に適した熱可塑
性樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】電気回路の接続端子等として使用
されているコネクターは、従来、フェノール樹脂等の熱
硬化性樹脂で製造されていたが、近時、熱硬化性樹脂の
代わりに、成形加工の容易な熱可塑性樹脂が使用される
ようになってきている。このような熱可塑性樹脂とし
て、ポリカプラミド(ナイロン6)およびポリヘキサメチ
レンアジパミド(ナイロン66)などの脂肪族ポリアミドが
使用されている。
【0003】しかしながら、このような脂肪族ポリアミ
ドは、吸水率が高いため、このような脂肪族ポリアミド
で形成されたコネクターは、吸水することにより寸法お
よび電気抵抗値などが変動する。特にコネクターに反り
が生じた場合にはコネクターを装置に組み込むことがで
きなくなるという問題があった。
【0004】ところで、ポリアミドとして、上記のよう
な脂肪族ポリアミドの他に、芳香族ポリアミドが知られ
ている。この芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸成分と
して芳香族ジカルボン酸を用いて、この芳香族ジカルボ
ン酸とジアミンとを重縮合させることにより得られるポ
リアミドである。
【0005】この芳香族ポリアミドは、脂肪族ポリアミ
ドとは異なり、吸水率が低いので、この芳香族ポリアミ
ドを用いることにより、上述のようなコネクターが吸水
することに伴って生ずる寸法精度の低下および電気抵抗
値の変動などの問題は解消される。
【0006】しかしながら、芳香族ポリアミドから形成
されたコネクターについてさらに詳細に検討してみる
と、このコネクターが高温に晒された場合には、芳香族
ポリアミドが熱劣化することがあり、この熱劣化に伴っ
てコネクターの靱性が低下することがある。靱性が低下
したコネクターでは、伸縮性が低くなるため、装置にス
ムースに組み込みにくいという問題を生ずる。
【0007】特に近時、コネクター等の電子部品は、赤
外線リフロー方式等でハンダ付けされて装置に組み込ま
れることが多く、加熱によりコネクターの靱性が低下す
ると、装置の組立工程における作業性の低下および耐久
性の低下を招来する。また、自動車のエンジンルーム内
のように加熱冷却が繰り返される条件下で使用される場
合には、特に靱性が低下しやすい。
【0008】こうした状況下に芳香族ポリアミドに関し
ても既に種々の改良が試みられている。このような改良
の例としては、例えば特開昭60-144362号公報等に記載
された組成物がある。これは本出願人の出願に係るもの
であり、具体的には芳香族ポリアミドと特定の変性α-
オレフィン系弾性重合体とを含む組成物である。
【0009】しかしながら、ここに開示されているポリ
アミド組成物では、一般的な溶融成形法で製造されるエ
ンジニアリングプラスチック製品を想定して耐熱性が検
討されており、自動車用のコネクターのように非常に高
い温度に晒された場合の特性については考慮されていな
い。
【0010】また、芳香族ポリアミドに脂肪族ポリアミ
ドを配合して芳香族ポリアミドが有している特性を改良
しようとする試みもなされている(例えば、本出願人の
出願に係る特開昭62-57458号公報参照)。
【0011】しかしながら、このような脂肪族ポリアミ
ドの配合によっては、芳香族ポリアミドから形成される
成形体を加熱することにより生ずる靱性の低下に関して
は、有効性が低いことが判明した。
【0012】
【発明の目的】本発明は、加熱のよる靱性が低下しにく
く、さらに衝撃強度および耐熱性に優れた成形体を製造
することができる熱可塑性樹脂組成物を提供することを
目的としている。さらに、本発明は、コネクターを調製
するのに特に適した熱可塑性樹脂組成物を提供すること
を目的としている。
【0013】
【発明の概要】本発明の第1の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)テレフタル酸成分単位50〜100モル%と、テ
レフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位0〜50
モル%および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカ
ルボン酸成分単位0〜50モル%とからなるジカルボン
酸成分単位と、脂肪族ジアミン成分単位および/または
脂環族ジアミン成分単位からなるジアミン成分単位とか
らなる繰返し単位から構成され、そして、30℃濃硫酸
中で測定した極限粘度が0.5〜3.0dl/gの範囲内にあ
り、かつ融点が300℃を超える芳香族ポリアミド、
(B)グラフト変性α-オレフィン重合体、および/ま
たは、グラフト変性芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエ
ン共重合体またはその水素化物、および(C)脂肪族ポ
リアミドからなる樹脂組成物であり、該樹脂組成物中に
おけるグラフト変性α-オレフィン重合体、および/ま
たは、グラフト変性芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエ
ン共重合体またはその水素化物(B)の含有量が、該芳
香族ポリアミド(A)100重量部に対して10〜80
重量部の範囲内にあり、該脂肪族ポリアミド(C)の含
有量が、該芳香族ポリアミド(A)100重量部に対し
て5〜80重量部の範囲内にあることを特徴としてい
る。
【0014】また、本発明の第2の熱可塑性樹脂組成物
は、(A)テレフタル酸成分単位50〜100モル%
と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位0
〜50モル%および/または炭素原子数4〜20の脂肪
族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%とからなるジカ
ルボン酸成分単位と、脂肪族ジアミン成分単位および/
または脂環族ジアミン成分単位からなるジアミン成分単
位とからなる繰返し単位から構成され、そして、30℃
濃硫酸中で測定した極限粘度が0.5〜3.0dl/gの範囲
内にあり、かつ融点が300℃を超える芳香族ポリアミ
ド、(B)グラフト変性α-オレフィン重合体、および
/または、グラフト変性芳香族ビニル系炭化水素・共役
ジエン共重合体またはその水素化物、(C)脂肪族ポリ
アミド、および(D)リン系酸化防止剤からなる樹脂組
成物であり該樹脂組成物中におけるグラフト変性α-オ
レフィン重合体、および/または、グラフト変性芳香族
ビニル系炭化水素・共役ジエン共重合体またはその水素
化物(B)の含有量が、該芳香族ポリアミド(A)10
0重量部に対して10〜80重量部の範囲内にあり、該
脂肪族ポリアミド(C)の含有量が、該芳香族ポリアミ
ド(A)100重量部に対して5〜80重量部の範囲内
にあり、かつリン系酸化防止剤(D)の含有量が、
(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計重量1
00重量部に対して0.05〜2重量部の範囲内にある
ことを特徴としている。
【0015】本発明の第1の熱可塑性樹脂組成物は、芳
香族ポリアミド、グラフト変性α-オレフィン重合体お
よび脂肪族ポリアミドを特定の割合で含有する組成物で
ある。このように三者を配合することにより、非常に高
い耐熱性を有する成形体を成形可能な樹脂組成物を得る
ことができる。また本発明の第2の熱可塑性樹脂組成物
は、上記3成分に加えてさらにリン系酸化防止剤を含有
する組成物であり、良好な耐熱性を示すだけでなく、靱
性、特に成形体の伸びが改善される。
【0016】そして、これらの熱可塑性樹脂組成物から
形成されたコネクターは、例えば150℃以上の温度に
長時間晒された場合であっても、靱性が低下しにくいと
いう特性を有するようになる。
【0017】
【発明の具体的説明】次に、本発明の熱可塑性樹脂組成
物について具体的に説明する。本発明の第1の熱可塑性
樹脂組成物は、以下に示すような特定の芳香族ポリアミ
ド(A)と特定のグラフト変性α-オレフィン重合体
(B)と脂肪族ポリアミド(C)とからなる。
【0018】本発明の組成物を構成する芳香族ポリアミ
ド(A)は、特定のジカルボン酸成分単位[a]と、特
定の脂肪族ジアミン成分単位または脂環族ジアミン成分
単位[b]とからなる繰返し単位から構成されている。
【0019】このポリアミドを構成する特定のジカルボ
ン酸成分単位[a]は、必須成分単位としてテレフタル
酸成分単位(a-1)を有している。このようなテレフタル
酸成分単位(a-1)を有する繰返し単位は、次式[I−a]
で表わすことができる。
【0020】
【化1】
【0021】・・・[I−a] ただし、上記式[I−a]において、R1は、二価の炭化
水素基、好ましくは炭素原子数4〜18のアルキレン基
を表わす。
【0022】この特定のジカルボン酸成分単位[a]
は、全部が上記[I−a]で表される成分単位である必
要はなく、上記のようなテレフタル酸成分単位(a-1)の
一部が他のジカルボン酸成分単位であってもよい。
【0023】このテレフタル酸成分以外の他のカルボン
酸成分単位には、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン
酸成分単位(a-2)と脂肪族ジカルボン酸成分単位(a-3)と
がある。
【0024】テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成
分単位(a-2)の例としては、イソフタル酸成分単位、2-
メチルテレフタル酸成分単位およびナフタレンジカルボ
ン酸成分単位を挙げることができる。本発明で使用され
るポリアミドがテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸
から誘導される成分単位を含む場合、このような成分単
位としては、特にイソフタル酸成分単位が好ましい。
【0025】このようなテレフタル酸以外の芳香族ジカ
ルボン酸成分単位(a-2)のうち、本発明において特に好
ましいイソフタル酸成分単位を有する繰返し単位は、次
式[I−b]で表わすことができる。
【0026】
【化2】
【0027】・・・[I−b] ただし、上記式[I−b]において、R1は二価の炭化水
素基、好ましくは炭素原子数4〜18のアルキレン基を
表わす。
【0028】脂肪族ジカルボン酸成分単位(a-3)は、通
常は炭素原子数4〜20、好ましくは6〜12のアルキ
レン基を有する脂肪族ジカルボン酸から誘導される。こ
のような脂肪族ジカルボン酸成分単位(a-3)を誘導する
ために用いられる脂肪族ジカルボン酸の例としては、コ
ハク酸、アジピン酸、アゼライン酸およびセバシン酸を
挙げることができる。
【0029】このポリアミドが脂肪族ジカルボン酸成分
単位を有する場合、このような成分単位としては、特に
アジピン酸成分単位およびセバシン酸成分単位が好まし
い。ジカルボン酸成分単位[a]を構成する他のジカル
ボン酸成分単位として、脂肪族ジカルボン酸成分単位(a
-3)を有する繰返し単位は、次式[II]で表わすことが
できる。
【0030】
【化3】
【0031】・・・[II] ただし、上記式[II]において、R1は、上記と同じ意
味であり、nは通常2〜18、好ましくは4〜10の整
数を表わす。
【0032】本発明で使用されるポリアミドを構成する
繰返し単位は、上述のようにジカルボン酸成分単位
[a]とジアミン成分単位[b]とから形成されてい
る。ここでジアミン成分単位[b]は、炭素原子数4〜
18の脂肪族アルキレンジアミンおよび脂環族ジアミン
から誘導することができる。
【0033】このような脂肪族アルキレンジアミン成分
の具体的な例としては、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジア
ミノヘキサン、トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,7
-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジア
ミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウン
デカンおよび1,12-ジアミノドデカンを挙げることがで
きる。また、脂環族ジアミン成分の具体的な例として
は、ジアミノシクロヘキサンを挙げることができる。
【0034】特に本発明においてジアミン成分単位とし
ては、直鎖脂肪族アルキレンジアミンから誘導された成
分単位が好ましく、このような直鎖脂肪族アルキレンジ
アミンとしては、1,6-ジアミノヘキサン、1,8-ジアミノ
オクタン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカ
ンおよびこれらの混合物が好ましい。さらに、これらの
中でも、1,6-ジアミノヘキサンが特に好ましい。
【0035】本発明で使用される芳香族ポリアミド
(A)を構成する全ジカルボン酸成分(100モル%)
中におけるテレフタル酸成分単位(a-1)の含有率は50
〜100モル%であり、テレフタル酸以外の芳香族ジカ
ルボン酸成分単位(a-2)の含有率は0〜50モル%であ
り、そして、脂肪族ジカルボン酸成分単位(a-3)の含有
率は0〜50モル%である。
【0036】なお、上記ポリアミドは、ジカルボン酸成
分単位として、上記の主成分単位であるテレフタル酸成
分単位、さらにイソフタル酸成分単位に代表されるテレ
フタル酸以外の二価の芳香族カルボン酸から誘導される
成分単位および上述の脂肪族ジカルボン酸成分単位を有
する繰返し単位の外に、少量のトリメリット酸あるいは
ピロメリット酸のような三塩基性以上の多価カルボン酸
から誘導される成分単位を含有していてもよい。本発明
で使用される芳香族ポリアミド中に、このような多価カ
ルボン酸から誘導される成分単位は、通常は0〜5モル
%含有されている。
【0037】さらに本発明で使用される芳香族ポリアミ
ド(A)は、前記式[I-a]で表わされる繰返し単位を
主な繰返し単位とする芳香族ポリアミドと、前記式[I-
b]表わされる繰返し単位を主な繰返し単位とする芳香
族ポリアミドとからなる混合物であってもよい。本発明
で使用される芳香族ポリアミドが混合物である場合、こ
れらの混合物のうちでも前記式[I-a]で表わされる繰
返し単位を主な繰返し単位とする芳香族ポリアミドと、
前記式[I-b]を主な繰返し単位とする芳香族ポリアミ
ドとからなる組成物であることが好ましい。この場合、
式[I-a]で表わされる繰返し単位を主な繰返し単位と
する芳香族ポリアミドの含有率は、通常は50重量%以
上、好ましくは60重量%以上である。
【0038】本発明で使用される芳香族ポリアミドにつ
いて、濃硫酸中30℃の温度で測定した極限粘度[η]
は、通常は0.5〜3.0 dl/g、好ましくは0.5〜2.
8 dl/g、特に好ましくは0.6〜2.5 dl/gの範囲にあ
る。本発明で使用される芳香族ポリアミドのアミノ基含
有量(メタクレゾール溶液中でパラトルエンスルホン酸
を用いて中和滴定により測定した値)は、通常は0.0
4〜0.2ミリ当量/g、好ましくは0.045〜0.
15ミリ当量/g、特に好ましくは0.5〜0.1ミリ
当量/gの範囲内にある。
【0039】本発明で使用される芳香族ポリアミドは、
従来から使用されている脂肪族ポリアミドよりも高い融
点を示す。すなわち本発明で使用される芳香族ポリアミ
ドは300℃を超える融点を有しており、この融点が好
ましくは305〜340℃の範囲内、さらに好ましくは
310〜340℃の範囲内にある芳香族ポリアミドが特
に優れた耐熱性を有している。さらに、本発明で使用さ
れる芳香族ポリアミドの非晶部におけるガラス転移温度
は通常は80℃以上である。
【0040】融点および非晶部のガラス転移温度が上記
の範囲内にある芳香族ポリアミドを使用することによ
り、成形体、例えばコネクターが高温に晒される場合で
あっても、この樹脂が溶融状態になることがない。さら
に上記のような芳香族ポリアミドは成形性に優れている
ため、この芳香族ポリアミドを用いることにより、成形
体の製造が容易になる。また、この芳香族ポリアミド
は、非晶部におけるガラス転移温度が80℃以上である
ので、高温に晒された場合であってもクラック等が発生
しにくい。
【0041】この芳香族ポリアミドは、特定の構造を有
するため、従来の脂肪族ポリアミドの問題点とされてい
た吸水性に関しても低い値を示す。上記のような芳香族
ポリアミドは良好な耐熱性と低吸水性とを有している
が、脂肪族ポリアミドと比べると、その靱性が低い傾向
があることがわかった。すなわち、成形体の伸びが不充
分であったり脆いという問題を生ずる。特に自動車部品
は信頼性の要求レベルが高く芳香族ポリアミドの靱性向
上は重要な課題である。
【0042】本発明の樹脂組成物には、グラフト変性α
-オレフィン重合体および/またはグラフト変性芳香族
ビニル系炭化水素・共役ジエン共重合体またはその水素
化物(B)が配合されている。
【0043】本発明で使用されるグラフト変性α-オレ
フィン重合体には、結晶性ポリオレフィンのグラフト変
性物およびグラフト変性α-オレフィンランダム弾性共
重合体とがある。
【0044】結晶性ポリオレフィンのグラフト変性物を
調製するために使用される結晶性ポリオレフィンの例と
しては、炭素原子数2〜20のα-オレフィンの単独重
合体およびこれらのα-オレフィンの共重合体を挙げる
ことができる。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、線状低密度ポリエチレン(LLDP
E)、超低密度線状ポリエチレン(VLDPE)、ポリ
ブテン-1、ポリペンテン-1、ポリ3-メチルブテン-1およ
びポリ4-メチルペンテン-1などを挙げることができる。
このようなポリオレフィンは比較的高い結晶性を有して
いる。
【0045】このような結晶性ポリオレフィンを後述す
る方法と同様にしてグラフト変性することによりグラフ
ト変性α-オレフィン重合体を得ることができる。本発
明でグラフト変性α-オレフィン重合体として使用され
るグラフト変性α-オレフィンランダム弾性共重合体
は、異なるα-オレフィンから誘導される二種類の繰返
し単位がランダムに配置された共重合体のグラフト変性
物である。
【0046】このグラフト変性α-オレフィンランダム
弾性共重合体は、低結晶性乃至非晶性の共重合体であ
り、実質的に非晶性であることが好ましい。すなわち、
X線回折法により測定した結晶化度が10%以下、好ま
しくは5%以下であり、特に好ましくは0%である。従
って、このグラフト変性α-オレフィンランダム弾性共
重合体には、明確な融点を示さないものが多い。さら
に、このように結晶化度が低いため、このグラフト変性
α-オレフィンランダム弾性共重合体は軟質であり、こ
の弾性共重合体の引張りモジュラスは、通常は0.1kg/
cm2以上20000kg/cm2未満、好ましくは1kg/cm2
15000kg/cm2の範囲内にある。
【0047】また、このグラフト変性α-オレフィンラ
ンダム弾性共重合体のメルトインデックス(190℃で
測定)は、通常は0.1〜30g/10分、好ましくは1.
0〜20g/10分、特に好ましくは2.0〜15g/10
分の範囲内にある。さらに、GPCにより測定したMw
/Mnの値は、通常は5.5以下、好ましくは4.5以
下、特に好ましくは3.5以下である。
【0048】さらに、このグラフト変性α-オレフィン
ランダム弾性共重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常
は−150〜+50℃、好ましくは−80〜−20℃の
範囲内にあり、このグラフト変性α-オレフィンランダ
ム弾性共重合体の135℃、デカリン中で測定した極限
粘度[η]は、通常は0.2〜10dl/g、好ましくは1
〜5dl/gの範囲内にある。またその密度は、通常は0.
82〜0.96g/cm3、好ましくは0.84〜0.92g/
cm3の範囲内にある。
【0049】こうした特性を有するグラフト変性α-オ
レフィンランダム弾性共重合体の具体的な例としては、
エチレンをベースモノマーとして調製されるグラフト変
性エチレン・α-オレフィン共重合体ゴム(i)と、プロピ
レンをベースモノマーとして調製されるグラフト変性プ
ロピレン・α-オレフィン共重合体ゴム(ii)とを挙げる
ことができる。
【0050】このようなグラフト変性α-オレフィンラ
ンダム弾性共重合体について、その代表的な例である
(i)グラフト変性エチレン・α-オレフィン共重合体ゴ
ム、および(ii)グラフト変性プロピレン・α-オレフィ
ン共重合体ゴムを例にしてさらに詳しく説明する。
【0051】上記のグラフト変性エチレン・α-オレフ
ィン共重合体ゴム(i)を構成するα-オレフィンとして
は、通常は炭素原子数3〜20のα-オレフィンが使用
される、このα-オレフィンの例としては、プロピレ
ン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペン
テン-1、オクテン-1、デセン-1およびこれらの混合物を
挙げることができる。このうち特にプロピレンおよび/
またはブテン-1が好ましい。
【0052】またグラフト変性プロピレン・α-オレフ
ィン共重合体ゴム(ii)を構成するα-オレフィンとして
は、通常は炭素原子数4〜20のα-オレフィンが使用
される。このα-オレフィンの例としては、ブテン-1、
ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1、オクテ
ン-1、デセン-1およびこれらの混合物を挙げることがで
きる。このうち特にブテン-1が好ましい。
【0053】上記のようなグラフト変性エチレン・α-
オレフィン共重合体ゴム(i)においては、エチレンとα-
オレフィンとのモル比(エチレン/α-オレフィン)
は、α-オレフィンの種類によっても異なるが、一般に
は10/90〜99/1、好ましくは50/50〜95
/5である。上記モル比は、α-オレフィンがプロピレ
ンである場合には、50/50〜90/10であること
が好ましく、α-オレフィンが炭素原子数4以上のα-オ
レフィンである場合には80/20〜95/5であるこ
とが好ましい。
【0054】このようなグラフト変性エチレン・α-オ
レフィン共重合体ゴム(i)を形成するエチレン・α-オレ
フィン共重合体の例としては、エチレン・プロピレン共
重合体、エチレン・ブテン-1共重合体、エチレン・4-メ
チルペンテン-1共重合体、エチレン・ヘキセン-1共重合
体、エチレン・オクテン-1共重合体およびエチレン・デ
セン-1共重合体のような2成分系の共重合体;エチレン
・プロピレン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・
プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン
・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合
体、エチレン・プロピレン・2,5-ノルボルナジエン共重
合体、エチレン・ブテン-1・ジシクロペンタジエン共重
合体、エチレン・ブテン-1・1,4-ヘキサジエン共重合体
およびエチレン・ブテン-1・5-エチリデン-2-ノルボル
ネン共重合体のような多成分系の共重合体を挙げること
ができる。
【0055】また、グラフト変性プロピレン・α-オレ
フィン共重合体ゴム(ii)においては、プロピレンとα-
オレフィンとのモル比(プロピレン/α-オレフィン)
は、α-オレフィンの種類によっても異なるが、50/
50〜95/5であることが好ましい。上記モル比は、
α-オレフィンが1-ブテンである場合には、50/50
〜90/10であることが好ましく、α-オレフィンが
炭素数5以上のα-オレフィンである場合には80/2
0〜95/5であることが好ましい。
【0056】このα-オレフィンランダム共重合体は、
上記多成分系の共重合体の例で示したように、α-オレ
フィンランダム弾性共重合体の特性を損なわない範囲内
で、ジエン化合物から誘導される成分単位等のようなα
-オレフィンから誘導される成分単位以外の成分単位を
含んでいてもよい。
【0057】このα-オレフィンランダム弾性共重合体
に含まれることが許容される成分単位としては、例え
ば、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-
1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエンおよび7
-メチル-1,6-オクタジエンのような鎖状非共役ジエンか
ら誘導される成分単位;シクロヘキサジエン、ジシクロ
ペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5-ビニル
ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチ
レン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボル
ネンおよび6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボ
ルネンのような環状非共役ジエンから誘導される成分単
位;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチ
リデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネンおよび2-プ
ロペニル-2,2-ノルボルナジエン等のジエン化合物から
誘導される成分単位;並びに、環状オレフィンから誘導
される成分単位を挙げることができる。このα-オレフ
ィンランダム弾性共重合体中における上記のようなジエ
ン成分単位の含有率は、通常は10モル%以下、好まし
くは5モル%以下である。
【0058】本発明で使用されるグラフト変性α-オレ
フィンランダム弾性共重合体は、上記のような未変性の
α-オレフィンランダム弾性共重合体を不飽和カルボン
酸、不飽和カルボン酸無水物、あるいは不飽和カルボン
酸誘導体を用いてグラフト変性することにより製造され
る。
【0059】ここで使用される不飽和カルボン酸の例と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリ
ル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタ
ル酸、エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,5-
ジカルボン酸(ナジック酸TM)およびメチル-エンドシ
ス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,5-ジカルボン酸
(メチルナジック酸TM)を挙げることができる。また、
不飽和カルボン酸無水物の好適な例としては、無水マレ
イン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸および無水
メチルナジック酸を挙げることができる。さらに、不飽
和カルボン酸誘導体としては、上記の不飽和カルボン酸
の酸ハライド化合物(例:塩化マレイル)、イミド化合
物(例:マレイミド)、エステル化合物(例:マレイン酸
モノメチル、マレイン酸ジメチルおよびグリシジルマレ
エート)を挙げることができる。
【0060】上記のようなグラフト変性剤は、単独であ
るいは組み合わせて使用することができる。このような
グラフト変性剤のうちでは、不飽和カルボン酸無水物を
使用することが好ましく、無水マレイン酸または無水ナ
ジック酸が特に好ましい。
【0061】上記のような未変性のα-オレフィンラン
ダム弾性共重合体にこのようなグラフト変性剤をグラフ
ト重合させる方法の例としては、α-オレフィンランダ
ム弾性共重合体を溶媒に懸濁もしくは溶解させて、この
懸濁液もしくは溶液にグラフト変性剤を添加してグラフ
ト反応させる方法(溶液法)、および、α-オレフィン
ランダム弾性共重合体とグラフト変性剤との混合物を溶
融させながらグラフト反応させる方法(溶融法)等を挙
げることができる。
【0062】このようなグラフト反応において、グラフ
ト変性剤は、その反応性を考慮して使用量が設定される
が、一般には、未変性のα-オレフィンランダム弾性共
重合体100重量部に対して、1〜10重量部の範囲内
の量で使用される。
【0063】こうしてグラフト反応を行うことにより、
未反応のα-オレフィンランダム弾性共重合体100重
量部あたり、グラフト変性剤が通常は0.01〜10重
量部、好ましくは0.05〜5重量部の割合でグラフト
変性剤がグラフト重合したグラフト変性α-オレフィン
ランダム弾性共重合体を得ることができる。
【0064】なお、このようなグラフト反応を行う際に
は、ラジカル開始剤を使用することにより、グラフト効
率を向上させることができる。ここで使用されるラジカ
ル開始剤としては、有機ペルオキシド、有機ペルエステ
ルおよびアゾ化合物など公知のラジカル開始剤を使用す
ることができる。ラジカル開始剤を使用する場合に、こ
の使用量は未変性のα-オレフィンランダム弾性共重合
体100重量部に対して、通常は0.01〜20重量部
である。
【0065】上記のようなグラフト変性α-オレフィン
ランダム弾性共重合体の中でも、エチレン含有量35〜
50モル%であり実質的に非晶性のグラフト変性エチレ
ン・プロピレンランダム共重合体ゴム若しくはグラフト
変性エチレン・α-オレフィンランダム共重合体ゴムを
使用することにより、成形体、例えばコネクターの熱劣
化による靱性の低下を効率的に抑制することができる。
【0066】本発明の組成物に配合されるグラフト変性
芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン共重合体またはそ
の水素化物は、芳香族ビニル系炭化水素と共役ジエン系
化合物とのランダム共重合体あるいはブロック共重合体
のグラフト変性物であり、さらに本発明においてはこれ
らの共重合体の水素化物のグラフト変性物を使用するこ
ともできる。
【0067】ここで変性物の調製に使用される芳香族ビ
ニル系炭化水素・共役ジエン共重合体またはその水素化
物の具体的な例としては、スチレン・ブタジエンブロッ
ク共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロッ
ク共重合体ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合
体ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合
体ゴム、水素添加スチレン・ブタジエン・スチレンブロッ
ク共重合体、水素添加スチレン・イソプレン・スチレンブ
ロック共重合体ゴムおよびスチレン・ブタジエンランダ
ム共重合体ゴム等を挙げることができる。
【0068】これらの共重合体中において、芳香族ビニ
ル系炭化水素から誘導される繰返し単位と共役ジエンか
ら誘導される繰返し単位とのモル比(芳香族ビニル炭化
水素/共役ジエン)は、通常は10/90〜70/30
である。また、水素添加した共重合体ゴムとは、上記の
共重合体ゴム中に残存する二重結合の一部または全部を
水素化した共重合体である。
【0069】この芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン
共重合体またはその水添物について135℃のデカリン
中で測定した極限粘度[η]は、通常は0.01〜10
dl/g、好ましくは0.08〜7dl/gの範囲内にあり、ガ
ラス転移温度(Tg)は、通常は0℃以下、好ましくは
−10℃以下、特に好ましくは−20℃以下である。ま
た、X線回折法により測定した結晶化度は0〜10%、
好ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜5%の範囲内
にある。
【0070】本発明で使用されるグラフト変性芳香族ビ
ニル系炭化水素・共役ジエン共重合体は、上記のような
未変性の芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン共重合体
を、上記グラフト変性α-オレフィンランダム弾性共重
合体の製造方法と同様に、不飽和カルボン酸、不飽和カ
ルボン酸無水物あるいは不飽和カルボン酸誘導体を用い
てグラフト変性することにより製造される。
【0071】ここで使用される不飽和カルボン酸、不飽
和カルボン酸無水物あるいは不飽和カルボン酸誘導体の
例としては、上記グラフト変性α-オレフィンランダム
弾性共重合体を製造する際に使用される化合物を挙げる
ことができ、このようなグラフト変性剤は、単独である
いは組み合わせて使用することができる。
【0072】このようなグラフト変性剤のうちでは、不
飽和カルボン酸無水物を使用することが好ましく、無水
マレイン酸または無水ナジック酸が特に好ましい。上記
のような未変性の共重合体またはその水素化物にこのよ
うなグラフト変性剤とグラフト重合させるには、上記α
-オレフィンランダム弾性共重合体の変性の際に説明し
た溶液法および溶融法等の方法を採用することができ
る。
【0073】グラフト反応において、グラフト変性剤
は、その反応性を考慮して使用量が設定されるが、一般
には、未変性の芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン共
重合体または水素化物100重量部に対して、1〜10
重量部の割合で使用される。グラフト反応を行う際に
は、上記と同様に有機ペルオキシド、有機ペルエステル
およびアゾ化合物などのラジカル開始剤を使用すること
ができる。
【0074】こうしてグラフト反応を行うことにより、
未反応の芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン共重合体
または水素化物100重量部あたり、グラフト変性剤が
通常は0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重
量部の割合でグラフト重合したグラフト変性芳香族ビニ
ル系炭化水素・共役ジエン共重合体またはその水素化物
を得ることができる。
【0075】なお、上記グラフト変性α-オレフィンラ
ンダム弾性共重合体などのグラフト変性α-オレフィン
重合体およびグラフト変性芳香族ビニル系炭化水素・共
役ジエン共重合体または水素化物(B)は、所望の変性
率になるように未変性重合体と変性剤との量などを調整
して製造されたグラフト変性物であってもよいし、予め
高グラフト率の変性物を調製した後所望のグラフト率に
なるように未変性重合体で希釈したグラフト変性物であ
ってもよい。
【0076】こうして得られたグラフト変性芳香族ビニ
ル系炭化水素・共役ジエン共重合体またはその水素化物
は、低結晶性乃至非晶性の共重合体であり、実質的に非
晶性であることが好ましい。すなわち、X線回折法によ
り測定した結晶化度が10%以下、好ましくは7%以下
であり、特に好ましくは5%以下のグラフト変性共重合
体が使用され、さらに結晶化度が実質的に0%であるグ
ラフト変性共重合体が好ましく使用される。従って、こ
のグラフト変性芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン共
重合体またはその水素化物には、明確な融点を示さない
ものが多い。さらに、このように結晶化度が低いため、
このグラフト変性芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン
共重合体またはその水素化物は軟質であり、引張りモジ
ュラスは、通常は0.1kg/cm2以上20000kg/cm2
未満、好ましくは1kg/cm2〜15000kg/cm2の範囲
内にある。
【0077】また、このグラフト変性芳香族ビニル系炭
化水素・共役ジエン共重合体またはその水素化物のメル
トインデックス(190℃で測定測定した値)は、通常
は0.1〜30g/10分、好ましくは1.0〜20g/10
分、特に好ましくは2.0〜15g/10分の範囲内にあ
る。
【0078】さらに、このグラフト変性芳香族ビニル系
炭化水素・共役ジエン共重合体またはその水素化物のガ
ラス転移温度(Tg)は、通常は−150〜+50℃、好
ましくは−80〜−20℃の範囲内にあり、135℃の
デカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常は0.0
1〜10dl/g、好ましくは1〜5dl/gの範囲内にある。
【0079】上記のようなグラフト変性芳香族ビニル系
炭化水素・共役ジエン共重合体またはその水素化物を使
用することにより、熱劣化による成形体、例えばコネク
ターの靱性の低下を効率的に抑制することができる。
【0080】本発明においてグラフト変性α-オレフィ
ン重合体およびグラフト変性芳香族ビニル系炭化水素・
共役ジエン共重合体またはその水素化物(B)は、単独
で使用することもできるし、組み合わせて使用すること
もできる。
【0081】上記のグラフト変性α-オレフィン共重合
体および/またはグラフト変性芳香族ビニル系炭化水素
・共役ジエン共重合体または水素化物(B)は、これら
の樹脂の特性を損なわない範囲内で上記のグラフト変性
重合体が他の重合体あるいは共重合体を含んでいてもよ
い。本発明の熱可塑性樹脂組成物に、上記のようなグラ
フト変性α-オレフィンランダム弾性共重合体および/
またはグラフト変性芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエ
ン共重合体(B)は、芳香族ポリアミド(A)100重
量部に対して、5〜80重量部の範囲内の量で含有され
ていることが必要である。特にこのグラフト変性共重合
体(B)の含有率を10〜70重量部、好ましくは15
〜70重量部、さらに好ましくは25〜50重量部、特
に好ましくは25〜40重量部の範囲内にすることによ
り、加熱による靱性の低下の少ない成形体を製造可能な
組成物とすることができる。
【0082】本発明の樹脂組成物には、上記のような芳
香族ポリアミドおよびグラフト変性共重合体に、さらに
脂肪族ポリアミドが配合されている。本発明の樹脂組成
物に配合される脂肪族ポリアミド(C)としては、脂肪
族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとの重縮合により形成
されるポリアミド、ラクタム類の開環重合により形成さ
れるポリアミド、および、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族
ジアミンとラクタム類とから形成されるポリアミドが挙
げられる。
【0083】このようなポリアミドは、一般に次式で表
される構造を有している。 −CH2−CONH−CH2− このような脂肪族ポリアミドの具体的な例としては、ポ
リテトラメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアジ
パミド、ポリヘキサメチレンスペラミド、ポリヘキサメ
チレンセバカミド、ポリヘキサメチレンウンデカンアミ
ドおよびポリヘキサメチレンドデカンアミドのような脂
肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから形成されるポ
リアミド;ならびに、ポリカプロラクタム、ポリウンデ
カンアミドおよびポリドデカンアミドのようなラクタム
類またはアミノカルボン酸から形成されるポリアミドを
挙げることができる。
【0084】本発明においては、上記脂肪族ポリアミド
のうちでは、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレン
アジパミド、ポリヘキサメチレンスペラミド、ポリウン
デカンアミドおよびポリドデカンアミドのいずれかを使
用することが好ましい。
【0085】さらに、このような脂肪族ポリアミド
(C)の極限粘度[η](30℃の濃硫酸中で測定した
値)は、通常は0.3〜4dl/g、好ましくは0.4〜3dl
/gの範囲内にある。
【0086】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
上記のような脂肪族ポリアミド(C)は、芳香族ポリア
ミド100重量部に対して、5〜80重量部の範囲内の
量で含有されていることが必要である。特にこの脂肪族
ポリアミドの含有率を5〜50重量部、好ましくは5〜
40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部の範囲内
にすることにより、加熱による靱性の低下の少ない成形
体を製造可能な組成物とすることができる。
【0087】このような組成を有する第1の熱可塑性樹
脂組成物の熱変形温度(加熱撓み温度、荷重:18.6K
gで測定した値)は通常は70〜150℃、好ましくは
80〜120℃の範囲内にあり、熱可塑性でありながら
非常に高い耐熱性を示す。
【0088】第1の熱可塑性樹脂組成物は、上記のよう
に芳香族ポリアミド(A)、グラフト変性共重合体
(B)および脂肪族ポリアミド(C)からなるが、この
組成物にリン系酸化防止剤(D)を配合することにより
樹脂組成物の耐熱性がさらに向上する。すなわち、本発
明の第2の熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリアミド
(A)、グラフト変性共重合体(B)、脂肪族ポリアミ
ド(C)およびリン系酸化防止剤(D)からなる。一般
に、樹脂に配合される酸化防止剤として、リン系酸化防
止剤、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、
イオウ系酸化防止剤および脂肪族カルボン酸系の安定剤
などが知られているが、本発明においては、これらの種
々の酸化防止剤等の中で特にリン系酸化防止剤を使用す
ることにより、特に成形体の耐衝撃性が向上する。
【0089】本発明の第2の熱可塑性樹脂組成物に配合
されるリン系酸化防止剤(D)の例としては、9,10-ジ
ヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキ
シド、トリフェニルホスファイト、2-エチルヘキシル酸
ホスフェート、ジラウリルホスファイト、トリ-iso-オ
クチルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェ
ニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリ
ラウリル-ジ-チオフォスファイト、トリラウリル-トリ-
チオホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイ
ト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
ト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリ
ス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリオクタデシ
ルホスファイト、1,1,3-トリス(2-メチル-ジ-トリデシ
ルホスファイト-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、4,4'-
ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチル)トリデシル
ホスファイト、4,4'-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert
-ブチル-ジ-トリデシル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-te
rt-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファ
イト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペ
ンタエリスリトール-ジ-ホスファイト、テトラキス(2,4
-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4'-ビスフェニレンジホス
フォナイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホス
ファイト、トリデシルホスファイト、トリステアリルホ
スファイト、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフ
ェニル)オクチルホスファイト、ソルビット-トリス-ホ
スファイト-ジステアリル-モノ-C30-ジオールエステル
およびビス(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイトを挙げることができる。こ
れらの中でもビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタ
エリスリトール-ジ-ホスファイトおよびビス(2,6-ジ-te
rt-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ
-ホスファイトなどのペンタエリスリトール-ジ-ホスフ
ァイト系のリン系酸化防止剤、並びに、テトラキス(2,4
-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4'-ビスフェニレンジホス
フォナイトを配合することにより成形体の耐熱性が向上
する。
【0090】このリン系酸化防止剤は単独であるいは組
み合わせて使用することができる。このリン系酸化防止
剤(D)は、(A)成分、(B)成分および(C)成分
の合計重量100重量部に対して、0.05〜2重量部
の量で使用される。特にこのリン系酸化防止剤を0.1
〜1.5重量部の範囲内の量で使用することが好まし
く、0.2〜1.0重量部の範囲内の量で使用すること
が特に好ましい。
【0091】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記の
リン系酸化防止剤(D)に加えて、他の酸化防止剤を併
用することができる。リン系酸化防止剤(D)と共に使
用できる酸化防止剤の例としては、フェノール系酸化防
止剤、イオウ系酸化防止剤およびアミン系酸化防止剤を
挙げることができる。
【0092】ここで使用されるフェノール系酸化防止剤
の例としては、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒ
ドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニル]-1,1-ジメ
チルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウン
デカン、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,4,6-ト
リ-tert-ブチルフェノール、n-オクタデシル-3-(4'-ヒ
ドロキシ-3',5'-ジ-tert-ブチルフェノール)プロピオ
ネート、スチレン化フェノール、4-ヒドロキシ-メチル-
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,5-ジ-tert-ブチル-
ハイドロキノン、シクロヘキシルフェノール、ブチルヒ
ドロキシアニゾール、2,2'-メチレン-ビス-(4-メチル-6
-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレン-ビス-(4-エ
チル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-イソ-プロピリ
デンビスフェノール、4,4'-ブチリデン-ビス(3-メチル-
6-tert-ブチルフェノール)、1,1-ビス-(4-ヒドロオキシ
-フェニル)シクロヘキサン、4,4'-メチレン-ビス-(2,6-
ジ-tert-ブチルフェノール)、2,6-ビス(2'-ヒドロオキ
シ-3'-tert-ブチル-5'-メチルメチルベンジル)4-メチル
-フェノール、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロオキシ-
5-tert-ブチル-フェニル)ブタン、1,3,5-トリス-メチル
-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロオキシ-ベ
ンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-te
rt-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)プロピオネート]
メタン、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロオキシフ
ェニル)イソシアヌレート、トリス[β-(3,5-ジ-tert-
ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル-オキシエ
チル]イソシアネート、4,4'-チオビス(3-メチル-6-ter
t-ブチルフェノール)、2,2'-チオビス(4-メチル-6-tert
-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(2-メチル-6-tert-
ブチルフェノール)およびN,N-ヘキサメチレンビス(3,5-
tert-ブチルフェノール-4-ヒドロキシシンナムアミド)
を挙げることができる。
【0093】また、アミン系酸化防止剤の例としては、
4,4'-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミ
ン、フェニル-α-ナフチルアミン、フェニル-β-ナフチ
ルアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,
N'-ジ-β-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘ
キシル-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニ
ル-N'-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、アルドー
ル-α-ナフチルアミン、2,2,4,-トリメチル-1,2-ジハイ
ドロキノンのポリマーおよび6-エトキシ-2,2,4-トリメ
チル-1,2-ジヒドロキノリンを挙げることができる。
【0094】さらに、イオウ系酸化防止剤の例として
は、チオビス(β-ナフトール)、チオビス(N-フェニル-
β-ナフチルアミン)、2-メルカプトベンゾチアゾール、
2-メルカプトベンゾイミダゾール、ドデシルメルカプタ
ン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメ
チルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルジチオ
カルバメート、ニッケルイソプロピルキサンテート、ジ
ラウリルチオジプロピオネートおよびジステア リ
ルチオジプロピオネートを挙げることできる。
【0095】これらの他の酸化防止剤は、単独であるい
は組み合わせて使用することができる。これらの他の酸
化防止剤の中でも特にフェノール系酸化防止剤および/
またはアミン系酸化防止剤を併用することが好ましい。
【0096】これらの他の酸化防止剤は、(A)成分、
(B)成分および(C)成分の合計重量100重量部に
対して、通常は2重量部以下の量で、好ましくは0.1
〜1.0重量部の範囲内の量で使用される。
【0097】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記のよ
うに特定のポリアミド(A)とグラフト変性共重合体
(B)と脂肪族ポリアミド(C)と、さらにリン系酸化
防止剤(D)からなるが、さらに本発明の組成物には、
特性を損なわない範囲内で、上記の成分の他に無機充填
剤、有機充填剤、熱安定剤、耐候性安定剤、帯電防止
剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、
滑剤、顔料、染料、天然油、合成油およびワックス等の
添加剤が配合されていてもよい。
【0098】たとえば、無機充填剤として使用される繊
維の好適な例としては、ガラス繊維、炭素繊維およびホ
ウ素繊維を挙げることができる。このような繊維状の充
填剤としては特にガラス繊維が好ましい。ガラス繊維を
使用することにより、組成物の成形性が向上すると共
に、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形体の引張り
強度、曲げ強度、曲げ弾性率等の機械的特性および熱変
形温度などの耐熱特性が向上する。上記のようなガラス
繊維の平均長さは、通常は、0.1〜20mm、好ましく
は0.3〜6mmの範囲にあり、アスペクト比が、通常は
10〜2000、好ましくは30〜600の範囲にあ
る。平均長さおよびアスペクト比がこのような範囲内に
あるガラス繊維を使用することが好ましい。このような
ガラス繊維は、本発明の組成物中の樹脂成分100重量
部に対して、通常200重量部以下の量で、好ましくは
5〜180重量部の量で、さらに好ましくは5〜150
重量部の量で配合される。
【0099】上記の無機繊維状充填材の他、本発明にお
いては、粉末状、粒状、板状、針状、クロス状、マット
状等の形状を有する種々の充填材を使用することができ
る。このような充填材の例としては、シリカ、シリカア
ルミナ、アルミナ、二酸化チタン、タルク、ケイソウ
土、クレー、カオリン、ガラス、マイカ、セッコウ、ベ
ンガラおよび酸化亜鉛などの粉状あるいは板状の無機化
合物、チタン酸カリウムなどの針状の無機化合物、ポリ
パラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレン
テレフタルアミド、ポリパラフェニレンイソフタルアミ
ド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、ジアミノジ
フェニルエーテルとテレフタル酸(イソフタル酸)との
縮合物およびパラ(メタ)アミノ安息香酸の縮合物など
の全芳香族ポリアミド;ジアミノジフェニルエーテルと
無水トリメリット酸または無水ピロメリット酸との縮合
物などの全芳香族ポリアミドイミド;全芳香族ポリエス
テル、全芳香族ポリイミド、ポリベンツイミダゾールお
よびポリイミダゾフェナントロリンなどの複素環含有化
合物;並びに、ポリテトラフルオロエチレンなどから形
成されている粉状、板状、繊維状あるいはクロス状物な
どの二次加工品などを挙げることができる。
【0100】これらの充填材の中でも、粉末状の充填
材、特にタルクを使用することが好ましい。これらの充
填材は、2種以上混合して使用することもできる。ま
た、これらの充填材をシラン カップリング剤あるいは
チタンカップリング剤などで処理して使用することもで
きる。なお、このような粉末状の充填材の平均粒径は、
通常0.1〜200μm、好ましくは1〜100μmの範
囲内にある。
【0101】このような粉末状の充填材は、組成物中の
樹脂成分100重量部に対して、通常200重量部以下
の量で、好ましくは100重量部以下の量で、特に好ま
しくは0.5〜50重量部の量で使用される。
【0102】また、本発明の樹脂組成物には、本発明の
組成物の特性を損なわない範囲内で、耐熱性樹脂を配合
することもできる。このような耐熱性熱可塑性樹脂の例
としては、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PP
E(ポリフェニレンエーテル)、PES(ポリエーテル
スルフォン)、PEI(ポリエーテルイミド)およびL
CP(液晶ポリマー)などを挙げることができ、さらに
これらの樹脂の変性物を挙げることができる。特に本発
明においてはポリフェニレンスルフィドが好ましい。こ
のような耐熱性熱可塑性樹脂の含有率は、通常は50重
量%未満、好ましくは0〜40重量%である。
【0103】本発明の熱可塑性樹脂組成物からコネクタ
ーを製造するに際しては、上記本発明の組成物をそのま
ま使用することができるが、上記芳香族ポリアミド
(A)100重量部に対して脂肪族ポリアミド(C)
が、通常は5〜50重量部、好ましくは、5〜30重量
部の範囲内の量で配合されており、かつ芳香族ポリアミ
ド(A)および脂肪族ポリアミド(C)の合計100重
量部に対してグラフト変性α-オレフィン重合体、およ
び/または、グラフト変性芳香族ビニル系炭化水素・共
役ジエン共重合体またはその水素化物(B)が、通常は
15〜70重量部、好ましくは25〜50重量部の範囲
内の量で配合されている組成物組成物を使用することに
より、特に耐熱性の良好なコネクターを調製することが
可能になる。
【0104】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記芳香
族ポリアミド(A)とグラフト変性共重合体(B)と脂
肪族ポリアミド(C)、リン系酸化防止剤(D)、さら
に必要により添加剤と他の樹脂とを混合して溶融するこ
とにより調製することができる。たとえば、前記芳香族
ポリアミド(A)、グラフト変性共重合体(B)および
脂肪族ポリアミド(C)を溶融しながら、リン系酸化防
止剤、さらに必要により前記充填材あるいは必要により
他の樹脂を配合して混練するなどの方法により調製する
ことができる。この際、押出し機、ニーダーなどのよう
な通常の混練装置を用いることができる。
【0105】このようにして混練することにより、通常
の場合、芳香族ポリアミド(A)中にグラフト変性共重
合体(B)および脂肪族ポリアミド(C)が微細に分散
した状態になる。所謂ポリマーアロイを形成する。
【0106】上記のようにして調製した熱可塑性樹脂組
成物を用いて、通常の溶融成形法、例えば圧縮成形法、
射出成形法または押し出し成形法などを利用することに
より、所望の形状の成形体を製造することができる。
【0107】例えば、本発明の樹脂組成物を、シリンダ
温度が350〜300℃程度に調製された射出成形機に
投入して溶融状態にして、所定の形状の金型内に導入す
ることにより成形体を製造することができる。
【0108】本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて製造
される成形体の形状に特に制限はなく、例えば電動工具
および一般工業部品、ギヤおよびカムなどのような機械
部品、ならびに、プリント配線基板および電子部品のハ
ウジングなどのような電子部品などを形成するための樹
脂として使用することができる。さらに、本発明の樹脂
組成物は、自動車内外装部品、エンジンルーム内部品お
よび自動車電装部品などを形成するための樹脂としても
好適である。
【0109】特に本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電子
回路を相互に連結するコネクターと製造するための樹脂
として有用性が高い。すなわち、上記のような樹脂組成
物を例えば射出成形機などを用いて調製されたコネクタ
ーは、優れた耐熱性を有していることは勿論、このコネ
クターを一旦加熱した後の靱性の低下が少ない。近時、
このようなコネクターが備えられた電子部品は、赤外線
リフロー方式などでハンダ付けされることが多くなって
きており、従来のコネクターは、赤外線リフローなどに
よる加熱によってコネクターの靱性が低下することがあ
る。靱性の低下に伴って、コネクターの伸び率が低下す
るため、コネクター相互の接続作業(はめ込み作業)が
円滑に行えないことがある。また、車のエンジンルーム
内で使用されるような場合には加熱により靱性が低下
し、コネクターの耐久性が低下する。本発明の熱可塑性
樹脂組成物を使用して製造されたコネクターは、上記の
ような靱性の低下が少なく、加熱によっても必要な伸び
率が保持される。従って、コネクター相互の接続作業を
容易に行うことができ、耐久性も向上する。
【0110】
【発明の効果】本発明により、耐熱性、低吸水性、成形
性等の特性に優れた新規な熱可塑性樹脂組成物が提供さ
れる。
【0111】この熱可塑性樹脂組成物から形成された成
形体は、耐熱性に優れており、殊に未加熱処理の成形体
と一旦加熱工程を経た成形体との伸び率の差が少ない。
すなわち、加熱による成形体の靱性の低下が少ない成形
体を調製することができる。
【0112】さらに、この樹脂組成物にリン系酸化防止
剤を配合することにより、成形体の耐衝撃性が向上す
る。このような特性を利用して、本発明の熱可塑性樹脂
組成物は、コネクター形成用の熱可塑性樹脂として好適
に使用することができる。
【0113】本発明のコネクター用熱可塑性樹脂組成物
は、芳香族ポリアミドと特定のグラフト変性共重合体と
脂肪族ポリアミドと、さらにリン系酸化防止剤とを特定
の割合で含有しており、例えば150℃以上の温度に長
時間晒された場合であっても、コネクターの靱性が低下
が少なくなる。
【0114】従って、このような樹脂組成物から形成さ
れたコネクターは、例えば赤外線リフロー方式などによ
りハンダ付けを行う場合のように、コネクター自体が相
当高温に晒される場合であっても、コネクターの靱性の
低下が少なくなるので、良好にコネクターの組み込むこ
とができ、コネクター部分の接触不良などが生じにくく
なる。
【0115】本発明の組成物を使用することにより、上
記のように良好な靱性を有するコネクターを製造するこ
とができ、しかもこのような靱性の低下を抑制すること
によっても、芳香族ポリアミドが本質的に有している他
の優れた特性、例えば機械的強度、低吸水性などの特性
が低下することがない。
【0116】次に本発明の実施例を示して本発明をさら
に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限
定的に解釈されるべきではない。
【0117】
【合成例1】以下に記載するようにして3種類の芳香族
ポリアミド(ポリアミドA、ポリアミドB、ポリアミド
C)を調製した。
【0118】芳香族ポリアミドAの調製 1,6-ジアミノヘキサン254g(2.19モル)、テレ
フタル酸247g(1.49モル)およびイソフタル酸
106gと、触媒として次亜リン酸ナトリウム0.45
g(4.25×10-3モル)と、イオン交換水148ml
とを1リットルの反応器に仕込み、窒素置換後、250
℃、35Kg/cm2の条件で1時間反応を行った。テレフ
タル酸とイソフタル酸とのモル比は70:30である。
【0119】1時間経過後、この反応器内に生成した反
応生成物を、この反応器と連結され、かつ圧力を約10
Kg/cm2低く設定した受器に抜き出し、極限粘度(30
℃濃硫酸中で測定、以下同様)[η]が0.10dl/gの
ポリアミド前駆体545gを得た。
【0120】次いで、このポリアミド前駆体を乾燥し、
二軸押出機を用いてシリンダー設定温度330℃で溶融
重合して芳香族ポリアミドを得た。この芳香族ポリアミ
ドAの組成は次の通りである。
【0121】ジカルボン酸成分単位中におけるテレフタ
ル酸成分単位含有率は、70モル%、イソフタル酸成分
単位含有率は、30モル%である。また、この芳香族ポ
リアミドの物性は次の通りである。 極限粘度(30℃濃硫酸中で測定)・・・1.1dl/g、 融点 ・・・325℃ ガラス転移温度 ・・・125℃芳香族ポリアミドBの調製 上記ポリアミドAの調製において、イソフタル酸を使用
せずに、テレフタル酸:アジピン酸の配合比を55:45
に変えた以外は同様にして芳香族ポリアミドを調製し
た。
【0122】この芳香族ポリアミドBの組成は次の通り
である。ジカルボン酸成分単位中におけるテレフタル酸
成分単位含有率は、55モル%、アジピン酸成分単位含
有率は、45モル%である。
【0123】またこの芳香族ポリアミドの物性は次の通
りである。 極限粘度(30℃濃硫酸中で測定)・・・1.1dl/g 融点 ・・・312℃ ガラス転移温度 ・・・80℃芳香族ポリアミドCの調製 上記ポリアミドAの調製において、テレフタル酸:イソ
フタル酸:セバシン酸を70:20:10のモル比で使用
した以外は同様にして芳香族ポリアミドを調製した。
【0124】この芳香族ポリアミドEの組成は次の通り
である。ジカルボン酸成分単位中におけるテレフタル酸
成分単位含有率は、70モル%、イソフタル酸成分単位
含有率は、20モル%、セバシン酸成分単位含有率は、
10モル%である。
【0125】またこの芳香族ポリアミドの物性は次の通
りである。 極限粘度(30℃濃硫酸中で測定)・・・1.05dl/g 融点 ・・・316℃ ガラス転移温度 ・・・110℃
【0126】
【合成例2】以下に記載するようにして4種類の変性
(共)重合体(変性弾性共重合体a、変性弾性共重合体
b、変性弾性共重合体c、変性弾性共重合体d)を得
た。
【0127】変性重合体aの調製 135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が3.7
4dl/gである高密度ポリエチレンのペレット5Kgに、ア
セトン25gに溶解させた無水マレイン酸50g、有機
過酸化物[日本油脂(株)製、パーヘキシン25B]2g
を加えて充分混合した後、二軸押出機[池貝鉄工(株)
製、PCM45]により、シリンダー温度を250℃に設定
して溶融下で反応を行い、ついでペレタイズしてペレッ
ト化した。
【0128】得られた樹脂の無水マレイン酸含量は0.
96重量%であった。変性共重合体ゴムbの調製 エチレンとプロピレンとが81:19のモル比で共重合
しているエチレン・プロピレン共重合体ゴムを常法に従
って製造した。この共重合体について135℃のデカリ
ン中で測定した極限粘度[η]は2.19dl/gである。
【0129】常法に従って、このエチレン・プロピレン
共重合体ゴムと無水マレイン酸と反応させて、無水マレ
イン酸グラフト変性エチレン・プロピレン共重合体ゴム
を得た。無水マレイン酸のグラフト量は0.77重量%
であった。
【0130】変性共重合体ゴムcの調製 エチレン含量が78モル%、ムーニー粘度が90、ヨウ
素価13g/100gのエチレン・プロピレン・エチリデンノ
ルボルネン共重合体ゴムと無水マレイン酸とを反応させ
て、無水マレイン酸グラフト変性エチレン・プロピレン
・エチリデンノルボルネン共重合体ゴムを得た。無水マ
レイン酸のグラフト量は0.86重量%であった。
【0131】変性共重合体dの調製 スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体に水
素添加することにより得られる水素化スチレン・ブタジ
エン・スチレンブロックコポリマー(スチレン含量29
重量%、シェル化学(株)製:商品名クレイトンG165
2)と無水マレイン酸とを共重合体反応させて、無水マ
レイン酸グラフト変性水素化スチレン・ブタジエン・ス
チレンブロックコポリマーを得た。無水マレイン酸のグ
ラフト量は1.94重量%であった。
【0132】
【合成例3】市販の脂肪族ポリアミド(ナイロン)とし
て、ナイロン6(NY6、東レ(株)製、商品名:CM1
021)、ナイロン11(NY11、東レ(株)製、商品
名:リルサンBMNO)、ナイロン610(NY61
0、ダイセルヒュルス(株)製)を用意した。
【0133】
【実施例1】上記合成例1で調製したポリアミドBを6
0重量部と、合成例2に記載したグラフト変性共重合体
(b)20重量部、合成例3に記載したナイロン11
(NY11)20重量部を混練したのち、ペレタイズし
た。
【0134】こうして得られたペレットを用いてASTMタ
イプIVの2mmの試験片を調製し、この試験片につい
て、破断点抗張力(TS)および破断点伸び率(即ち、
靱性、EL)を測定した。
【0135】次いで、同様にして調製した試験片を15
0℃で24時間加熱した後に、破断点抗張力(TS)お
よび破断点伸び率(即ち、靱性、EL)を測定した。結
果を表1に示す。
【0136】
【実施例2】実施例1において、ポリアミドBの配合量
を70重量部、グラフト変性共重合体(b)の配合量を
20重量部、ナイロン11(NY11)の配合量を10
重量部にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様にしてペ
レットを調製し、このペレットを用いて試験片を作成し
て破断点抗張力(TS)および破断点伸び率(EL)を
測定した。
【0137】結果を表1に示す。
【0138】
【実施例3】実施例2において、グラフト変性共重合体
(b)の代わりに、変性重合体(a)を使用した以外は
同様にしてペレットを調製し、このペレットを用いて試
験片を作成して破断点抗張力(TS)および破断点伸び
率(EL)を測定した。
【0139】結果を表1に示す。
【0140】
【対照1】上記合成例1で調製したポリアミドBを80
重量部と、合成例2で調製した変性重合体(a)20重
量部とを混練してペレットを調製し、このペレットを用
いて試験片を作成して破断点抗張力(TS)および破断
点伸び率(EL)を測定した。この試験片の破断点抗張
力(TS)および破断点伸び率(EL)を基準にして実
施例1〜3および比較例1〜4で調製した組成物の耐熱
性を評価した。
【0141】結果を表1に示す。
【0142】
【比較例1〜4】実施例1において、グラフト変性共重
合体(b)を使用せずに、ポリアミドBと合成例3で調
製したナイロンとを以下に記載する割合で配合した以外
は同様にしてペレットを調製し、このペレットを用いて
試験片を作成して破断点抗張力(TS)および破断点伸
び率(EL)を測定した。
【0143】結果を表1に示す。
【0144】
【表1】
【0145】
【実施例4】上記合成例1で調製したポリアミドAを6
0重量部と、合成例2に記載したグラフト変性共重合体
(b)20重量部、合成例3で調製したナイロン11
(NY11)20重量部を混練したのち、ペレタイズし
た。
【0146】こうして得られたペレットを用いて実施例
1と同様にして試験片を調製し、この試験片について、
破断点抗張力(TS)および破断点伸び率(即ち、靱
性、EL)を測定した。
【0147】次いで、同様にして調製した試験片を15
0℃で24時間加熱した後に、破断点抗張力(TS)お
よび破断点伸び率(即ち、靱性、EL)を測定した。結
果を表2に示す。
【0148】
【実施例5】実施例4において、ポリアミドAの配合量
を70重量部、グラフト変性共重合体(b)の配合量を
20重量部、ナイロン11(NY11)の配合量を10
重量部にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様にしてペ
レットを調製し、このペレットを用いて試験片を作成し
て破断点抗張力(TS)および破断点伸び率(EL)を
測定した。
【0149】結果を表2に示す。
【0150】
【対照2】上記合成例1で調製したポリアミドAを80
重量部と、合成例2で調製した変性重合体(b)20重
量部とを混練してペレットを調製し、このペレットを用
いて試験片を作成して破断点抗張力(TS)および破断
点伸び率(EL)を測定した。この試験片の破断点抗張
力(TS)および破断点伸び率(EL)を基準にして実
施例4〜5および比較例5で調製した組成物の耐熱性を
評価した。
【0151】結果を表2に示す。
【0152】
【比較例5】実施例4において、グラフト変性共重合体
(b)を使用せずに、ポリアミドAを80重量部と合成
例3で調製したナイロン11を20重量部配合した以外
は同様にしてペレットを調製し、このペレットを用いて
試験片を作成して破断点抗張力(TS)および破断点伸
び率(EL)を測定した。
【0153】結果を表2に示す。
【0154】
【表2】
【0155】上記表1および表2に示した実施例と比較
例とを対照と比較することにより明らかなように、本発
明の熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、成形体、
すなわち、コネクターを加熱することによる破断点伸び
率の低下が少なくなる。従って、本発明の組成物から形
成されたコネクターは、加熱しても良好な弾性が低下し
にくく、必要な靱性が維持される。
【0156】
【実施例6〜11、比較例6〜8】上記合成例1で調製
したポリアミドA、BおよびCと、合成例2に記載した
グラフト変性共重合体a、b、cおよびd、合成例3に
記載したナイロン6(NY6)およびナイロン11(NY
11)、並びに、以下に示す酸化防止剤を表3に示す割
合で混合して混練したのち、ペレタイズした。
【0157】リン系酸化防止剤A:テトラキス(2,4-ジ-
tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビスフェニレンジホスフォ
ナイト(サンド社製、商品名:Sandostab P-EPQ) リン系酸化防止剤B:ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチ
ルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト(旭
電化(株)製、商品名:Mark PEP-36) アミン系酸化防止剤:4,4'-ビス(α,α-ジメチルベンジ
ル)ジフェニルアミン(大内新興化学(株)製:商品名:No
crac CD) フェノール系酸化防止剤:3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブ
チル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニル]-
1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ
[5,5]ウンデカン(住友化学(株)製、商品名:Sumilizer
GA-80) こうして得られたペレットを用いて試験片を調製し、こ
の試験片について、引張強度、破断点伸度、23℃にお
けるアイゾット衝撃強度(ノッチ有り)、曲げ強度、曲
げ弾性率、加熱撓み温度(HDT)を測定した。また、
上記と同様にして調製した試験片を150℃で24時間
加熱した後の引張強度および破断点伸度を測定した。測
定方法は次の通りである。
【0158】 引張強度(TS):ASTM-D-638により測定した。 破断点伸度(EL):ASTM-D-638により測定した。 アイゾット衝撃強度:ASTM-D-256により測定した。測定
温度23℃、ノッチ有り。
【0159】曲げ強度:ASTM-D-790により測定した。 曲げ弾性率:ASTM-D-790により測定した。 加熱撓み温度(HDT):ASTM-D-648により測定した。
【0160】結果を表3に記載する。
【0161】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山 本 実 裕 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 豊 田 昭 徳 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 加 藤 哲 男 静岡県榛原郡榛原町布引原206−1 矢崎 部品株式会社内 (72)発明者 神 田 政 博 静岡県榛原郡榛原町布引原206−1 矢崎 部品株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)テレフタル酸成分単位50〜100
    モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分
    単位0〜50モル%および/または炭素原子数4〜20
    の脂肪族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%とからな
    るジカルボン酸成分単位と、 脂肪族ジアミン成分単位および/または脂環族ジアミン
    成分単位からなるジアミン成分単位とからなる繰返し単
    位から構成され、そして、 30℃濃硫酸中で測定した極限粘度が0.5〜3.0dl/g
    の範囲内にあり、かつ融点が300℃を超える芳香族ポ
    リアミド、 (B)グラフト変性α-オレフィン重合体、および/ま
    たは、グラフト変性芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエ
    ン共重合体またはその水素化物、 および (C)脂肪族ポリアミドからなる樹脂組成物であり、 該樹脂組成物中におけるグラフト変性α-オレフィン重
    合体、および/または、グラフト変性芳香族ビニル系炭
    化水素・共役ジエン共重合体またはその水素化物(B)
    の含有量が、該芳香族ポリアミド(A)100重量部に
    対して10〜80重量部の範囲内にあり、該脂肪族ポリ
    アミド(C)の含有量が、該芳香族ポリアミド(A)1
    00重量部に対して5〜80重量部の範囲内にあること
    を特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)テレフタル酸成分単位50〜100
    モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分
    単位0〜50モル%および/または炭素原子数4〜20
    の脂肪族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%とからな
    るジカルボン酸成分単位と、 脂肪族ジアミン成分単位および/または脂環族ジアミン
    成分単位からなるジアミン成分単位とからなる繰返し単
    位から構成され、そして、 30℃濃硫酸中で測定した極限粘度が0.5〜3.0dl/g
    の範囲内にあり、かつ融点が300℃を超える芳香族ポ
    リアミド、 (B)グラフト変性α-オレフィン重合体、および/ま
    たは、グラフト変性芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエ
    ン共重合体またはその水素化物、 (C)脂肪族ポリアミド、 および (D)リン系酸化防止剤からなる樹脂組成物であり、 該樹脂組成物中におけるグラフト変性α-オレフィン重
    合体、および/または、グラフト変性芳香族ビニル系炭
    化水素・共役ジエン共重合体またはその水素化物(B)
    の含有量が、該芳香族ポリアミド(A)100重量部に
    対して10〜80重量部の範囲内にあり、該脂肪族ポリ
    アミド(C)の含有量が、該芳香族ポリアミド(A)1
    00重量部に対して5〜80重量部の範囲内にあり、か
    つリン系酸化防止剤(D)の含有量が、(A)成分、
    (B)成分および(C)成分の合計重量100重量部に
    対して0.05〜2重量部の範囲内にあることを特徴と
    する熱可塑性樹脂組成物。
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