JPH0593196A - 潤滑油組成物 - Google Patents

潤滑油組成物

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JPH0593196A
JPH0593196A JP27880191A JP27880191A JPH0593196A JP H0593196 A JPH0593196 A JP H0593196A JP 27880191 A JP27880191 A JP 27880191A JP 27880191 A JP27880191 A JP 27880191A JP H0593196 A JPH0593196 A JP H0593196A
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JP
Japan
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basic
oil
zddp
lubricating oil
mol
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JP27880191A
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Inventor
Kenji Nomura
健司 野村
Michihide Tokashiki
通秀 渡嘉敷
Toshikazu Tsukada
敏和 塚田
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐摩耗性、摩擦特性および酸化安定性等に優
れた潤滑油組成物を提供すること。 【構成】 潤滑油基油に対し、平均炭素数が2〜13の
親油基をもち、かつ、塩基性成分の含有率が40〜10
0モル%の塩基性ジチオりん酸亜鉛と、油溶性アミン化
合物を含有せしめて成ることを特徴とする潤滑油組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、潤滑油組成物に関し、
さらに詳しくは、耐摩耗性、摩擦低減性および酸化安定
性に優れた潤滑油組成物に関する。本発明の潤滑油組成
物は、特に、自動車内燃機関用潤滑油として好適であ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用エンジン等の内燃機関
は、高出力化が進み、動弁系やシリンダ等のエンジン各
部は高温にさらされ、しかも金属どうしの単位時間当た
りの接触回数が増大するなど過酷な条件下に置かれるよ
うになった。このような厳しくなった条件下において、
動弁系やシリンダ等のエンジン各部に対するエンジン油
の摩耗防止特性が、また、省燃費を図るために摩擦特性
が一層重要視されてきている。
【0003】一方、ジチオりん酸亜鉛(以下、ZDDP
と略記)は、酸化防止剤、腐食防止剤として働くほか、
優れた摩耗防止性能を有しており、その優れた多機能性
と効果の両面から自動車内燃機関用潤滑油(以下、エン
ジン油と略記)や油圧作動油などにおいて広く使用され
ている。エンジン油の摩耗防止特性を改善するために
は、ZDDPの添加量を増やすことが考えられるが、そ
の中に含まれるりんが自動車の排気浄化触媒や酸素セン
サーを被毒して排気ガス制御システムの能力を著しく低
下させるという問題があるため、その添加量には限界が
ある。
【0004】そこで、従来のZDDPよりも優れた摩耗
防止特性を有する潤滑油添加剤の開発が望まれている
が、いまだ充分な性能を有するものは見いだされていな
いのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐摩
耗性、酸化安定性および摩擦特性等に優れた潤滑油組成
物を提供することにある。
【0006】本発明者らは、従来、潤滑油基油に対して
難溶性ないしは不溶性であるため潤滑油添加剤として使
用されていなかった塩基性ジチオりん酸亜鉛に着目し、
油溶化に関する研究を行なった。その結果、塩基性ジチ
オりん酸亜鉛と油溶性アミン化合物を組み合わせると、
両者は反応して錯体を形成し、油溶性となること、しか
もこの併用系を潤滑油基油に添加すると、汎用のZDD
Pに比べて優れた耐摩耗性と、ほぼ同等の酸化安定性を
示すことを見いだした。さらに、摩擦低減剤との併用に
よって、より優れた摩擦係数低減効果を示すことを見い
だした。
【0007】従来、ZDDPは共存する他の添加剤との
相互作用によって耐摩耗性が失われることがあり、例え
ば、こはく酸イミドやアルキルアミンなどの共存により
耐摩耗性が低下することが知られていた。したがって、
塩基性ジチオりん酸亜鉛と油溶性アミン化合物との併用
系の示す優れた摩耗防止性能は、極めて特異なものであ
る。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至っ
たものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、潤滑油基油に対し、平均炭素数が2〜13の親油基
をもち、かつ、塩基性成分の含有率が40〜100モル
%の塩基性ジチオりん酸亜鉛と、油溶性アミン化合物を
含有せしめて成ることを特徴とする潤滑油組成物が提供
される。
【0009】塩基性ジチオりん酸亜鉛と油溶性アミン化
合物とは潤滑油基油中で反応させることができるが、予
め塩基性ジチオりん酸亜鉛と油溶性アミン化合物とを反
応させて錯体化したものを潤滑油基油に含有させると、
均一な組成物を容易に形成することができる。また、本
発明の潤滑油組成物は、他の各種添加剤を配合すること
ができるが、特に、硫化モリブデンジアルキルジチオカ
ルバメート化合物、硫化モリブデンジアルキルジチオフ
ォスフェート化合物を配合すると、摩擦係数を大幅に減
少させることができる。以下、本発明について詳述す
る。
【0010】(潤滑剤基油)本発明で用いる潤滑油基油
としては、特に限定されず、従来公知の各種鉱油や合成
潤滑油等が使用できる。鉱油としては、例えば、軽質ニ
ュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニュートラル
油、ブライトストックなどが挙げられる。合成基油とし
ては、例えば、ポリ−α−オレフィン、ポリブテン、ア
ルキルベンゼン、ポリオールエステル、二塩基酸エステ
ルなどが挙げられる。これらの基油は、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を混合して使用することができ
る。
【0011】(塩基性ジチオりん酸亜鉛)ジチオりん酸
亜鉛(ZDDP)は、通常、下記一般式(I)で表わさ
れる。
【0012】
【化1】
【0013】式中、R1〜R4は、アルキル基、アリール
基、アルキルアリール基、アリールアルキル基などの親
油基を示す。これらの親油基を一括してRで表わすと、
ZDDPは、Zn[(RO)2PS22で表わされる。
さらに(RO)2PS2を「DTP」と略記すると、ZD
DPは、Zn(DTP)2で表わされる。このZn(D
TP)2は、弱酸性を示し、一般に中性ジチオりん酸亜
鉛(中性塩)(以下、N−ZDDPという)と呼ばれて
いる。
【0014】これに対して、塩基性塩(以下、塩基性成
分という)は、ZDDP合成の際、反応系に過剰の水酸
基イオンを存在させると生成する。塩基性成分が100
モル%のものは、3モルのZn(DTP)2と1モルの
ZnOとから形成された錯体で、一般式[Zn(DT
P)23・ZnOで表わされる化合物である。この塩基
性成分を別の表現で表わすと、Zn(DTP)2・1/
3ZnOあるいは[(RO)2PS26Zn4Oと表記す
ることができる。
【0015】ところで、従来潤滑油添加剤として使用さ
れてきたZDDPは、多くの場合、若干の塩基性成分を
含んでいる。市販ZDDPでは、塩基性成分の含有率は
35モル%以下である。
【0016】本発明において、塩基性成分を40〜10
0%を含むジチオりん酸亜鉛を塩基性ジチオりん酸亜鉛
という。ZDDPの塩基性成分の含有率(モル%)は、
次の測定法に基づいて測定した値を意味する。試料ZD
DPをZn(DTP)2・aZnOで表わし、係数aの
値を測定すると塩基性成分の含有率が算出できる。
【0017】試料ZDDPを水分10重量%を含むイソ
プロピルアルコールに溶解し、N−ZDDP成分を、1
/10N NaOHでフェノールフタレイン指示薬を用
いて滴定する。ZnO成分を、1/10N HClでチ
モールブルー指示薬を用いて滴定する。これらの滴定に
おける反応式は、次のように表記できる。
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】 得られた測定結果から、次式により係数aを算出する。
【0020】
【化4】
【0021】塩基性成分の含有率(モル%)は、次式に
より算出する。 塩基性成分の含有率=a×3×100(モル%)
【0022】上記の塩基性成分の算出法にしたがって、
市販の各種ZDDPについて塩基性成分の含有率を測定
すると表1のとおりである。
【0023】
【表1】 (注)表1中、primaryおよびsecondar
yはZDDPの親油基であるアルキル基の種類を意味
し、arylは親油基がアリール基であることを意味す
る。
【0024】表1から明らかなように、従来潤滑油添加
剤として使用されている市販のZDDPは、塩基性成分
を35モル%以下の範囲内で含んでいる。しかしなが
ら、この程度の塩基性成分の含有率では、ZDDPの摩
耗防止性能に特に影響を及ぼすことはない。一方、塩基
性成分は、親油基の炭素数にもよるが、一般に基油に対
して難溶性ないしは不溶性であるので、塩基性成分を4
0モル%以上含む塩基性成分ZDDPは、潤滑油添加剤
として溶解性に問題がある。
【0025】本発明では、塩基性成分の含有率が40モ
ル%以上のZDDP(塩基性ジチオりん酸亜鉛;以下、
塩基性ZDDPという)を使用する。塩基性成分の含有
率は、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは
60〜100モル%である。
【0026】本発明の塩基性ZDDPは、前記一般式
(I)で表わされる親油基R1〜R4の平均炭素数が2〜
13に相当するものである。ただし、R1〜R4は、それ
ぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜3
0のアリール基、アルキルアリール基またはアリールア
ルキル基から選ばれる。
【0027】塩基性ZDDPの親油基の平均炭素数が2
未満であると、油溶性アミン化合物と組み合わせても基
油に対する溶解性が悪いため、均一な潤滑油組成物を得
ることが困難である。逆に、平均炭素数が13を越える
と、基油に対する溶解性は向上するものの、摩耗防止性
能が低下する。親油基の平均炭素数は、好ましくは3〜
10、さらに好ましくは3〜6である。なお、塩基性Z
DDPは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】塩基性ZDDPは、公知の方法により合成
することができる。例えば、ジアルキルジチオりん酸カ
リウムを水酸化ナトリウムの存在下に硝酸亜鉛と反応さ
せることにより得ることができる。反応系に存在させる
亜鉛イオンの量を調整することにより塩基性成分の含有
率を調整することができる。
【0029】(油溶性アミン化合物)本発明で使用する
油溶性アミン化合物としては、例えば、ポリアルケニル
こはく酸イミド系、ポリアルケニルこはく酸アミド系、
アルキルベンジルアミン系などの無灰清浄分散剤、オレ
イルアミンや2−エチルヘキシルアミンなどのアルキル
アミン、アルキルジアミン、アルキルポリアミンなどを
挙げることができる。
【0030】ポリアルケニルこはく酸イミド系の無灰清
浄分散剤には、例えば、ポリブテニルこはく酸無水物
に、ポリエチレンポリアミンなどのポリアミンを反応さ
せたものがある。
【0031】本発明で使用するアミン化合物は、油溶性
であることが必要である。非油溶性のアミン化合物を使
用して塩基性ZDDPと錯体を形成させても、難溶性な
いしは不溶性の塩基性ZDDPを基油に溶解させること
は困難である。
【0032】(潤滑油組成物)塩基性成分の含有率が4
0モル%以上の塩基性ZDDPは、潤滑油基油に対する
溶解度が非常に低く、したがって、それ単独では潤滑油
添加剤として使用できないが、油溶性アミン化合物と組
み合わせることにより、溶解性が改善され、通常のZD
DPより優れた耐摩耗性を発揮するとともに、摩擦低減
剤との併用によって、摩擦係数もさらに低減する。
【0033】塩基性ZDDPの溶解性が改善されるの
は、塩基性ZDDPと油溶性アミン化合物とが反応して
錯体を形成するためであると考えることができる。すな
わち、塩基性ZDDPのZnと油溶性アミン化合物の窒
素原子(N)とが配位結合をつくり錯体を形成し、その
結果、油溶性アミン化合物の有する長い親油基の働きに
よって油溶性になるものと思われる。
【0034】潤滑油組成物中、塩基性ZDDPの配合割
合は、通常0.05〜1.5重量%、好ましくは0.2
〜0.8重量%である。塩基性ZDDPの配合割合が少
なすぎると耐摩耗性および摩擦低減剤と併用したときの
摩擦低減性の効果が不充分であり、多すぎても耐摩耗性
や酸化防止性の効果は増加しない。油溶性アミン化合物
の配合割合は、通常0.1〜10重量%、好ましくは
0.2〜6重量%である。油溶性アミン化合物の配合割
合が少なすぎると、塩基性ZDDPの溶解性が不充分と
なり、多すぎるとかえって耐摩耗性を減少させることが
ある。
【0035】塩基性ZDDPと油溶性アミン化合物は、
それぞれ潤滑油基油に配合し、基油中で錯体を形成させ
てもよいが、予め両者の錯体を形成させてから基油に添
加すると、容易に溶解して均一な潤滑油組成物を得るこ
とができるので好ましい。
【0036】予め塩基性ZDDPと油溶性アミン化合物
との錯体を形成するには、例えば、両者を潤滑油基油中
に、高濃度となる割合で添加し、加熱する方法が好まし
い。例えば、塩基性ZDDPを2〜7重量%と、無灰清
浄分散剤を5〜25重量%の割合で含有する基油を好ま
しくは40〜200℃、より好ましくは60〜180℃
で、好ましくは1〜60分間、より好ましくは1〜30
分間、撹拌すると、両者は錯体を形成して基油中に均一
に溶解する。加熱温度を高くするほど、短時間で錯体を
形成して均一に溶解する。得られた高濃度の錯体溶液を
潤滑油基油中に希釈すれば、所望の割合で両者を含有す
る均一な潤滑油組成物を容易に得ることができる。
【0037】本発明の潤滑油組成物の用途は、自動車の
エンジン油をはじめ、ギア油、トランスアクルス油、作
動油、スピンドル油、マシン油等の耐摩耗性、酸化防止
性および低摩擦性を要求される全ての潤滑油が対象とな
る。
【0038】本発明の潤滑油組成物には、必要に応じて
他の耐摩耗剤、摩擦低減剤、無灰清浄分散剤、酸化防止
剤、金属清浄剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆
剤、消泡剤、腐食防止剤などを適宜添加して使用するこ
とができる。
【0039】耐摩耗剤としては、例えば、ジチオりん酸
金属塩(Zn、Pb、Sbなど)、ジチオカルバミン酸
金属塩(Znなど)、硫黄化合物、りん酸エステル、亜
りん酸エステル、りん酸エステルアミン塩、亜りん酸エ
ステルアミン塩等を挙げることができ、これらは、通
常、0.05〜5.0重量%の割合で使用される。
【0040】摩擦低減剤としては、例えば、アミン系、
りん酸エステル系、有機モリブデン化合物、高級アルコ
ールエステル等があり、これらは、通常0.05〜5.
0重量%の割合で使用される。これらの摩擦低減剤の中
でも特に次のような構造を有する硫化モリブデンジアル
キルジチオカルバメート化合物(化5)および硫化モリ
ブデンジアルキルジチオフォスフェート化合物(化6)
が好ましい。
【0041】
【化5】
【0042】
【化6】 ここで、Rとしては例えば、2エチルヘキシル、n−オ
クチル、ノニル、デシル、ラウリル、トリデシル、オレ
イルなど炭素数8〜18のアルキル基またはアルケニル
基を挙げることができる。また、x+y=4である。
【0043】無灰清浄分散剤としては、例えば、こはく
酸イミド系、こはく酸アミド系、ベンジルアミン系、エ
ステル系のもの等があり、これらは、通常、0.5〜
7.0重量%の割合で使用される。
【0044】酸化防止剤としては、例えば、アルキル化
ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、ア
ルキルフェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化
防止剤、2,6−ジターシャリブチルフェノール、4,
4′−メチレンビス−(2,6−ジターシャリブチルフ
ェノール)等のフェノール系酸化防止剤等を挙げること
ができ、これらは、通常、0.05〜2.0重量%の割
合で使用される。
【0045】金属清浄剤としては、例えば、Ca−スル
ホネート、Mg−スルホネート、Ba−スルホネート、
Ca−フェネート、Ba−フェネート等のアルカリ土類
金属の中性塩や過塩基塩があり、これらは、通常、0.
1〜5.0重量%の割合で使用される。
【0046】粘度指数向上剤としては、例えば、ポリア
ルキルメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレ
ン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添
共重合体系等が挙げられ、これらは、通常、1〜35重
量%の割合で使用される。
【0047】防錆剤としては、例えば、アルケニルこは
く酸またはその部分エステル等が挙げられる。
【0048】消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシ
ロキサン、ポリアクリレート等が挙げられる。
【0049】本発明の潤滑油組成物は、従来のZDDP
よりも優れた耐摩耗性と同等の酸化安定性を示し、さら
に、硫化モリブデンジアルキルジチオカルバメート化合
物などの摩擦低減剤との併用でより優れた摩擦特性を示
す。
【0050】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて、本発
明についてより具体的に説明するが、本発明は、これら
の実施例のみに限定されるものではない。
【0051】[合成実験例1]反応器に、ジイソプロピ
ルジチオりん酸カリウム133.28g(0.5281
g−mole)とNaOH7.04g(0.1760g
−mole)を入れ、水を添加して溶解させた。つい
で、Zn(NO32・6H2O 104.71g(0.
3520g−mole)の水溶液を添加した。生じた白
色固体の沈殿を濾過し、白色固体をポンプで吸引乾燥し
た。ついで、得られた白色固体をエーテルで洗浄し、エ
ーテル溶液の方を採取して、石油エーテルを加え、冷蔵
庫に放置して、塩基性ジイソプロピルジチオりん酸亜鉛
(塩基性成分100モル%;B−i−C3ZDDP)の
結晶を得た。融点は204〜206℃であった。
【0052】[合成実験例2]ジイソプロピルジチオり
ん酸カリウムに代えてジノルマルプロピルジチオりん酸
カリウムを用いたこと以外は合成実験例1と同様にして
塩基性ジノルマルプロピルジチオりん酸亜鉛(塩基性成
分100モル%;B−n−C3ZDDP)の結晶を得
た。融点は178〜179℃であった。
【0053】[合成実験例3]ジイソプロピルジチオり
ん酸カリウムに代えてジイソブチルジチオりん酸カリウ
ムを用いたこと以外は合成実験例1と同様にして塩基性
ジイソブチルジチオりん酸亜鉛(塩基性成分100モル
%;B−i−C4ZDDP)の結晶を得た。融点は13
8〜140℃であった。
【0054】[合成実験例4]反応器中で、ジイソプロ
ピルジチオりん酸カリウム133.28g(0.528
1g−mole)を水に溶解させた。ついで、Zn(N
32・6H2O 78.53g(0.2640g−m
ole)の水溶液を添加した。
【0055】それ以外は合成実験例1と同様にしてジイ
ソプロピルジチオりん酸亜鉛(塩基性成分0モル%;N
−i−C3ZDDP)の結晶を得た。融点は143〜1
44℃であった。
【0056】[合成実験例5]ジイソプロピルジチオり
ん酸カリウムに代えて、ジイソブチルジチオりん酸カリ
ウムを用いたこと以外は合成実験例4と同様にしてジイ
ソブチルジチオりん酸亜鉛(塩基性成分0モル%;N−
i−C4ZDDP)の結晶を得た。融点は106〜10
7℃であった。
【0057】ジイソブチルジチオりん酸亜鉛(塩基性成
分32.1モル%)および塩基性ジイソブチルジチオり
ん酸亜鉛(塩基性成分72モル%)については、[合成
実験例3]の塩基性ジイソブチルジチオりん酸亜鉛(塩
基性成分100モル%)と[合成実験例5]のジイソブ
チルジチオりん酸亜鉛(塩基性成分0モル%)とを相当
割合で混合することにより得た。
【0058】[実施例1]撹拌機付きの反応器中で、表
2に示す親油基の平均炭素数が3〜4の塩基性ZDDP
(前記各合成実験例で合成したもの)、油溶性アミン化
合物および潤滑油基油を1:6:35(重量比)の割合
で混合し、120℃で5分間加熱・撹拌した。塩基性Z
DDPの結晶は、完全に基油に溶解し、錯体の形成され
たことが確認された。ついで、この混合物を塩基性ZD
DPの添加量が表2に示す割合となるように基油で希釈
して潤滑油組成物を調製した。比較のため、塩基性ZD
DP単独の場合、あるいは通常のZDDP(中性塩)を
用いた場合についても表2に示す。
【0059】使用した基油と添加剤は、次のとおりであ
る。 (1)基油 鉱油:100−SN鉱油(100ニュートラル鉱油) 合成油:ポリ−α−オレフィン80重量%とジイソデシ
ルアジペート20重量%の混合油 (2)ジチオりん酸亜鉛(添加量はN−ZDDPとして
の値) B−i−C3ZDDP:塩基性ジイソプロピルジチオ
りん酸亜鉛(塩基性成分100モル%) B−n−C3ZDDP:塩基性ジノルマルプロピルジ
チオりん酸亜鉛(塩基性成分100モル%) B−i−C4ZDDP:塩基性ジイソブチルジチオり
ん酸亜鉛(塩基性成分100モル%) N−i−C3ZDDP:ジイソプロピルジチオりん酸
亜鉛(塩基性成分0モル%) N−i−C4ZDDP:ジイソブチルジチオりん酸亜
鉛((塩基性成分0モル%)) (3)油溶性アミン化合物 こはく酸イミド系無灰清浄分散剤:ポリブテニルこは
く酸イミド オレイルアミン 2−エチルヘキシルアミン
【0060】<溶解性試験>塩基性ZDDPまたはZD
DPの溶解性については、基油で希釈して潤滑油組成物
を調製した直後に、目視により観察し、次の2段階で評
価した。 ○:均一に溶解、 ×:沈殿物が認められる。 結果を一括して表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】表2から明らかなように、塩基性ZDDP
は、基油に対して難溶性であるが、油溶性アミン化合物
と錯体を形成させることにより、溶解性が向上し、基油
中に均一に溶解する。
【0063】[実施例2]本発明の潤滑油組成物につい
て、耐摩耗性を評価するため、モータリング法により動
弁系摩耗に対する効果を測定した。潤滑油組成および試
験条件は、次のとおりである。
【0064】潤滑油組成(合計100重量%) (1)基油 合成油:α−オレフィンオリゴマー50重量%とジイソ
デシルアジペート50重量%の合成混合油 (2)ジチオりん酸亜鉛(添加量は、N−ZDDPとし
ての値)0.44重量% ジイソブチルジチオりん酸亜鉛(塩基性成分0モル
%) ジイソブチルジチオりん酸亜鉛(塩基性成分32.1
モル%;表1の市販品A) 塩基性ジイソブチルジチオりん酸亜鉛(塩基性成分7
2モル%) 塩基性ジイソブチルジチオりん酸亜鉛(塩基性成分1
00モル%) (3)油溶性アミン化合物 2−エチルヘキシルアミン:0.23重量% または こはく酸イミド系無灰清浄分散剤(ポリブテニルこは
く酸イミド):6.0重量% (4)粘度指数向上剤(ポリアルキルメタクリレー
ト):5.26重量%
【0065】なお、塩基性ZDDPまたはZDDPは、
いずれも予め高濃度で2−エチルヘキシルアミン、ま
たはこはく酸イミド系無灰清浄分散剤と錯体化処理
(高濃度での加熱処理)を行なったものを使用した。
【0066】<エンジン−モータリング試験> 試験法:台上エンジン−モータリング試験 1968cc直列気筒OHCエンジン 条 件:油温 60℃ 回転数 1000rpm 時間 200時間
【0067】評 価:ロッカーパッドのスカッフィング
の状態について、デメリットレーティング(DR:デメ
リット評点)で評価した。 DR=100(摩擦面全面にスカッフィングまたはピッ
チングが認められる) DR=0(摩擦面にスカッフィングもピッチングも認め
られない) 結果を図1に示す。
【0068】なお、図1中、曲線1の○は、ジイソブチ
ルジチオりん酸亜鉛と2−エチルヘキシルアミンで錯体
を形成させた場合、曲線2の●は、ジイソブチルジチオ
りん酸亜鉛とこはく酸イミド系無灰清浄分散剤で錯体を
形成させた場合を示す。図1から明らかなように、塩基
性成分の含有量が増大するにつれてロッカーパッドの摩
耗が急激に少くなっていることが分かる。
【0069】[実施例3]本発明の潤滑油組成物につい
て、摩擦係数低減効果を評価するため、シェル四球式試
験を行なった。潤滑油組成と摩擦特性試験の条件は、次
のとおりである。
【0070】潤滑油組成(合計100重量%) (1)基油:100−SN鉱油 (2)ジチオりん酸亜鉛(添加量は、N−ZDDPとし
ての値) 0.5重量% 市販品ZDDP(F):ジアルキルジチオりん酸亜鉛
(表1に示す市販品ZDDP Fに同じ) B−i−C3ZDDP:塩基性ジイソプロピルジチオ
りん酸亜鉛(塩基性成分100モル%) B−i−C4ZDDP:塩基性ジイソブチルジチオり
ん酸亜鉛(塩基性成分100モル%) (3)油溶性アミン化合物 こはく酸イミド系無灰清浄分散剤(ポリブテニルこはく
酸イミド)3.0重量% (4)粘度指数向上剤(ポリアルキルメタクリレート)
4.0重量% (5)摩擦低減剤 硫化モリブデンジアルキルジチオカルバメート化合物 (硫化オキシジオクチルジチオカルバミン酸モリブデ
ン) 0.75重量%
【0071】なお、塩基性ZDDPとしては、前記各合
成実験例で合成したものを使用し、予め高濃度で前記こ
はく酸イミドで錯体化処理(高濃度での加熱処理)を行
なったものを使用した。また、比較のための市販のZD
DPとしては、表1のFを使用した。
【0072】<摩擦特性試験>シェル四球式試験の条件
は、次のとおりである。 荷重40kg、油温90℃、回転数3600rpm、試
験時間30分 結果を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】表3の結果から明らかなように、摩擦低減
剤として硫化モリブデンジアルキルジチオカルバメート
化合物を併用することにより、より優れた摩擦係数を示
す。
【0075】[実施例4]本発明の潤滑油組成物につい
て、酸化防止性能を測定した。潤滑油組成および試験条
件は、次のとおりである。
【0076】潤滑油組成(合計100重量%) (1)基油 合成油:α−オレフィンオリゴマー50重量%とジイソ
デシルアジペート50重量%の合成混合油 (2)ジチオりん酸亜鉛(添加量は、N−ZDDPとし
ての値)0.5重量% N−i−C4ZDDP:ジイソブチルジチオりん酸亜
鉛(塩基性成0モル%) B−i−C4ZDDP:塩基性ジイソブチルジチオり
ん酸亜鉛(塩基性成分100モル%) (3)油溶性アミン化合物 オレイルアミン 1.0重量% (4)粘度指数向上剤(ポリアルキルメタクリレー
ト):5.0重量% なお、塩基性ジイソブチルジチオりん酸亜鉛は、予め高
濃度でオレイルアミンと錯体化処理(高濃度での加熱処
理)を行なったものを使用した。
【0077】<酸化安定性試験>JIS K−2514
に示す内燃機関用潤滑油酸化安定度試験方法による。ビ
ーカーに鉄と銅の金属片および試験油を入れ、撹拌しな
がら165.5℃で48時間保持する。酸化後の試験油
について、酸価の増加、粘度増加および不溶分(スラッ
ッジ)の量を評価する。結果を表4に示す。
【0078】
【表4】 表4から明らかなように、本発明の潤滑油組成物は、従
来のZDDPと同等の酸化安定性を有していることが分
かる。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、耐摩耗性、摩擦特性お
よび酸化安定性等に優れた潤滑油組成物が提供される。
本発明の潤滑油組成物は、従来のジチオりん酸亜鉛を添
加した潤滑油組成物に比べて優れた耐摩耗性とほぼ同等
の酸化安定性を示す。さらに、摩擦低減剤との併用で、
より優れた摩擦係数低減効果を示す。したがって、本発
明の潤滑油組成物は、特に、内燃機関用潤滑油組成物と
して好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ジチオりん酸亜鉛における塩基性成分
の含有率とモータリング法による動弁系摩耗に対する効
果との関連を示す図である。
【符合の説明】
1 ジイソブチルジチオりん酸亜鉛と2−エチルヘキシ
ルアミンで錯体を形成させた場合。 2 ジイソブチルジチオりん酸亜鉛とこはく酸イミド系
無灰清浄分散剤で錯体を形成させた場合。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 133:06 135:18) C10N 10:04 10:12 30:06 30:10 40:04 40:08 40:25 70:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑油基油に対し、平均炭素数が2〜1
    3の親油基をもち、かつ、塩基性成分の含有率が40〜
    100モル%の塩基性ジチオりん酸亜鉛と、油溶性アミ
    ン化合物を含有せしめて成ることを特徴とする潤滑油組
    成物。
  2. 【請求項2】 予め塩基性ジチオりん酸亜鉛と油溶性ア
    ミン化合物とを反応させて錯体化したものを潤滑油基油
    に含有させた請求項1記載の潤滑油組成物。
  3. 【請求項3】 さらに、硫化モリブデンジアルキルジチ
    オカルバメート化合物および硫化モリブデンジアルキル
    ジチオフォスフェート化合物からなる群より選ばれる少
    なくとも1種の化合物を含有する請求項1または2記載
    の潤滑油組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1994019435A1 (en) * 1993-02-26 1994-09-01 Tonen Corporation Lubricating oil composition
WO1995018200A1 (fr) * 1993-12-30 1995-07-06 Tonen Corporation Composition d'huile lubrifiante

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