JPH0587154A - トルクリミツタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 正転と逆転の両方向に対して異なる大きさの
トルクの伝達を可能とするトルクリミッタを提供する。 【構成】 外輪１の内径面に形成した傾斜面５と内輪２
の円筒形外面間にローラ８を組込み、そのローラ８をト
ルク設定ばね９により押圧して上記傾斜面５と内輪２の
円筒形外面に食い込ませる。内輪２の内径面にばね収納
孔１５を形成する。ばね収納孔１５内にコイルばね１６
を組込み、そのコイルばね１６を拡径させて内輪２の内
側に挿入した軸１７の外側に装着する。トルク設定ばね
９のばね力とコイルばね１６が軸１７を締付ける緊縛力
とによって正転と逆転の両方向にオン・オフトルクを発
生させ、上記ばね力と緊縛力の相違によって伝達トルク
の大きさを相違させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、回転トルクの伝達、
遮断を行なうトルクリミッタに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】上記トルクリミッタとして、コイルばね
を用いたコイルばね式や摩擦板を用いた摩擦板式のもの
が従来から知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、コイルばね
式のトルクリミッタにおいては、一方向の回転のみ、オ
ン・オフトルクを発生し、逆方向の回転にはオン・オフ
トルクを発生することができない。

【０００４】一方、摩擦板式トルクリミッタにおいて
は、正転・逆転の両方向回転にオン・オフトルクを発生
させることができるが、両方向とも同程度のトルクであ
り、両方向回転に対して異なるトルクを発生させること
ができない。

【０００５】一般に、複写機においては、原稿押え蓋を
開放方向へはスムーズに回動できるようにし、閉じる方
向へはゆっくりと回動させて急激に閉じるのを防止して
おり、その場合、押え蓋には開放方向の回転に対して小
さなトルクを付与し、閉じる方向の回転に対しては大き
なトルクを付与する必要がある。

【０００６】ところで、従来から知られているトルクリ
ミッタにおいては、前記のように、一方向回転にのみオ
ン・オフトルクを伝達し、あるいは両方向回転に対して
同じ大きさのオン・オフトルクを伝達するものであるた
め、トルクリミッタの単体で押え蓋に上記のような運動
を与えることができず、トルクの伝達方向およびトルク
の大きさが異なる２個のトルクリミッタや、軸の回転を
切り換える一方向クラッチ等を組合わせて使用する必要
が生じ、上蓋の開閉機構が複雑化する問題がある。

【０００７】この発明の課題は、正逆回転に対して異な
る大きさのトルクの伝達が行なえるきわめて簡単な構成
のトルクリミッタを提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明においては、軸の外側に設けられる内輪
と、その内輪の外側に設けられた外輪とを有し、外輪の
内径面には周方向に傾斜する複数の傾斜面を周方向に所
要の間隔をおいて設け、各傾斜面と内輪の円筒形外面と
の間にローラを組込み、各ローラを傾斜面と内輪の円筒
形外面に食い込む方向に押圧するトルク設定ばねを設
け、前記内輪の内径面にばね収納孔を形成し、このばね
収納孔内に拡径した状態で前記軸の外側に取付けられる
コイルばねを収納し、そのコイルばねの一端を内輪に連
結した構成を採用したのである。

【０００９】

【作用】上記の構成から成るトルクリミッタは、コイル
ばねを巻締める方向の軸の回転を、そのコイルばねを介
して内輪に伝え、その内輪と外輪との間に組込まれたロ
ーラを介して内輪の回転を外輪に伝達する。そのトルク
の伝達時、内輪がローラを押す力とトルク設定ばね力と
が釣り合う状態において内輪とローラの相互間において
滑りを生じさせ、外輪へのトルクの伝達を遮断する。

【００１０】また、軸の逆方向の回転時、その軸の回転
によってコイルばねを拡径させ、コイルばねが軸を締付
ける緊縛力とその部分の接触力とが釣り合うところで、
軸とコイルばねとの間で滑りを生じさせて軸のみを空転
させる。

【００１１】

【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。図１および図２に示すように、外輪１と内
輪２との間にはローラ式トルクリミッタ機構３が組込ま
れている。

【００１２】トルクリミッタ機構３は、外輪１の内径面
に周方向に傾斜する複数の傾斜面５を同方向に所要の間
隔をおいて設け、外輪１と内輪２との間に組込んだ保持
器６には上記傾斜面５と対向してポケット７を形成し、
このポケット７内に組込んだローラ８をトルク設定ばね
９により傾斜面５と内輪２の円筒形外面に食い込む方向
に向けて押圧している。

【００１３】外輪１、内輪２およびローラ式トルクリミ
ッタ機構３から成るアセンブリは、外輪１の外側に成形
された合成樹脂から成る回転体１０の収納空間１１内に
組込まれ、その収納空間１１の内径面に形成した軸方向
の突条１２を外輪１の外径面に設けた軸方向の溝１３に
係合させて回転体１０と外輪１とを相対的に回り止めし
ている。

【００１４】また、収納空間１１の開口部内側には蓋１
４を設け、その蓋１４によって外輪１および保持器６が
軸方向に抜け出るのを防止している。

【００１５】ここで、回転体１０は、図示例の場合、ロ
ーラを示したが、これに限定されず、例えば、スプロケ
ットやギヤ、あるいはプーリであってもよい。

【００１６】前記内輪２の内径面にはばね収納孔１５が
形成され、そのばね収納孔１５内にコイルばね１６が組
込まれている。コイルばね１６の巻方向は、トルクリミ
ッタ機構３のローラ８が傾斜面５と内輪２の円筒形外面
に食い込む方向に向けて移動する方向と同方向とされて
いる。

【００１７】上記コイルばね１６は、拡径された状態で
前記内輪１の内側に挿通した軸１７の外側に装着され、
その一端部が内輪２に連結されている。

【００１８】コイルばね１６と内輪２の連結に際し、図
１では、コイルばね１６の一端部に外径方向の折曲片１
８ａを設け、その折曲片１８ａをばね収納孔１５の内径
面に形成した軸方向の係合溝１９に係合させるようにし
ているが、図３に示すように、コイルばね１６の一端部
に軸方向の折曲片１８ｂを設け、その折曲片１８ｂをば
ね収納孔１５の閉塞端に設けた切欠部２０に係合させて
もよい。

【００１９】上記の構成から成るトルクリミッタにおい
て、軸１７を図２の矢印Ａ方向に回転させると、コイル
ばね１６が巻締められて縮径し、軸１７の回転は、コイ
ルばね１６を介して内輪２に伝達される。また、内輪２
の回転は、ローラ式トルクリミッタ機構３のローラ８を
介して外輪１に伝達される。

【００２０】上記のような回転トルクの伝達時、内輪２
から外輪１への回転トルクがトルク設定ばね９の設定ば
ね力より大きくなると、ローラ８はトルク設定ばね９の
弾性に抗して傾斜面５と内輪２の円筒形外面との間で形
成された空間の広幅部に向けて移動し、内輪２とローラ
８との間で滑りが生じて外輪１への回転トルクの伝達が
遮断される。

【００２１】また、軸１７が矢印Ｂ方向に回転すると、
コイルばね１６が巻戻されるため、コイルばね１６が軸
１７を締付ける緊縛力が弱くなり、その緊縛力とその部
分の摩擦力とが釣り合うところで滑りが生じ、軸１７が
空転する。その空転時、軸１７と内輪２は相対回転する
ため、内輪２を焼結含油金属で形成して内輪２と軸１７
の相互間における潤滑性を高めるのが好ましい。

【００２２】このように、軸１７の矢印Ａ方向の回転時
には、トルク設定ばね９のばね力によってオン・オフト
ルクを発生させ、逆方向の回転時には、コイルばね１６
が軸１７を締付ける緊縛力によってオン・オフトルクを
発生させるため、トルク設定ばね９のばね力とコイルば
ね１６の緊縛力を相違させておくことにより、正逆の回
転方向に対して異なる大きさのトルクを伝達させること
ができる。

【００２３】

【発明の効果】以上のように、この発明に係るトルクリ
ミッタにおいては、正逆回転に対して異なる大きさのト
ルクの伝達が行なえると共に、部品点数の少ない簡単な
構成であるため、製造コストの低減を図ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るトルクリミッタの一実施例を示
す縦断正面図

【図２】図１のII−II線に沿った断面図

【図３】同上トルクリミッタの他の実施例を示す縦断正
面図

【符号の説明】

１ 外輪 ２ 内輪 ５ 傾斜面 ７ ポケット ８ ローラ ９ トルク設定ばね １５ ばね収納孔 １６ コイルばね １７ 軸

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸の外側に設けられる内輪と、その内輪
   の外側に設けられた外輪とを有し、外輪の内径面には周
   方向に傾斜する複数の傾斜面を周方向に所要の間隔をお
   いて設け、各傾斜面と内輪の円筒形外面との間にローラ
   を組込み、各ローラを傾斜面と内輪の円筒形外面に食い
   込む方向に押圧するトルク設定ばねを設け、前記内輪の
   内径面にばね収納孔を形成し、このばね収納孔内に拡径
   した状態で前記軸の外側に取付けられるコイルばねを収
   納し、そのコイルばねの一端を内輪に連結したトルクリ
   ミッタ。