JPH0587022U - 魚道の保護工 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 取水堰や床固工等の河川を横切った構造物に
形成した魚道によると、魚道に流水が集中し、特に出水
時にその魚道内に集中して流入した流下土砂礫が壁体や
路床に衝突して摩耗や破損を与える問題がある。 【構成】 魚道の内周面を弾性材製の被覆材で覆い、ま
た、必要に応じて被覆材の表面に凹凸を形成して粗度係
数を選択することにより所望の流水速度を得ることがで
きる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、鮭、鱒、鮎等の魚類が遡上する河川において、取水堰や床固工等の 河川を横切った構造物を構築する場合には、それらの構造物によって魚類が遡上 できなくなることがないようにその構造物の一個所もしくは数個所に形成する魚 道の保護工に関する。

【０００２】

【従来の技術】

魚道は、図７に示す如く、取水堰や床固工等の河川を横切った構造物の一個所 もしくは数個所に形成するが、その魚道の構造は図８に示すような単純なスリッ ト式さらには図９に示すような階段式等がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

このような魚道によると、魚道に流水が集中し、特に出水時にその魚道内に集 中して流入した流下土砂礫が壁体や路床に衝突して摩耗や破損を与える問題があ る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

取水堰や床固工等の河川を横切った構造物に形成した魚道の内周面を弾性材製 の被覆材で覆い、また、必要に応じて被覆材の表面に凹凸を形成して粗度係数を 選択することにより所望の流水速度を得ることができる。

【０００５】

【作用】

以上の構成によると、流下土砂礫による魚道の摩耗、損傷がきわめて少なくな り、構造物としての耐久性が格段に向上するとともに、魚の遡上が可能な流速に することができるものである。

【０００６】

【実施例】 以下に本考案の一実施例を図面を用いて説明する。 図１は横断面図、図２は縦断面図であり、図において、１は堰堤の水通し天端 、２はスリット式の魚道本体、３は耐摩耗、耐洗掘、耐衝撃用のゴムや樹脂等の 弾性材製の被覆材であり、魚道内側にビルトインして取り付けてあり、両側は天 端の上端まででもよいが流水面よりやや高い程度の高さまででもよい。

【０００７】 なお、この被覆材３は弾性材の中に鉄板、金網もしくは繊維等の支持材４を埋 設した複合材でもよく、また、予め所定個所に取り付け用の係止孔をあけておく とよい。 上記被覆材３の取り付け状態は、図３に示す如く、堰堤のコンクリートに埋設 した雌ねじを有するアンカーボルト５にボルト６によって固着させる。

【０００８】 このボルト６の頭部にも被覆材３と同様の被覆材３を付けておくことによりボ ルト６の耐久性の向上をはかることができる。 また、被覆材３の表面に通過する流水速度を調整するには、図４、図５に示す 如く、表面に凹部７や凸部８等の凹凸を形成しておくことにより可能となる。 つまり、 Ｖｍ＝（１／ｎ）×Ｒ^2/3 ×Ｉ^1/2 (1) ここで、Ｖｍ：魚道を通過する流れの平均流速 Ｒ：径深であり、魚道の形状寸法により決定される値 Ｉ：水面勾配 ｎ：粗度係数であり、流路の表面状態により決定される値 このように、式(1)は魚道を通過する流速は魚道の表面状態に依存することが わかる。

【０００９】 従って、この凹部７および凸部８の形状およびは粗度係数ｎを決定する因子で あるために凹凸の形状は図示するような形状に限るものではなく、また、他に例 えば波形、すのこ状、桟状等どのような形状でもよく、その深さや高さ、形状、 配置の設計により保護工を通過する流水速度が設定できる。

【００１０】

【考案の効果】

以上詳細に説明した本考案によると、魚道の内周面を弾性材製の被覆材で覆っ たことにより、流下土砂礫による魚道の摩耗、損傷がきわめて少なくなり、構造 物としての耐久性が格段に向上することになる。 また、魚道は流水が集中して流水速度が速くなって魚の遡上を阻むおそれがあ るが、被覆材の表面に所望の凹凸を形成することにより、その河川を遡上する魚 の遊泳速度に応じた流水速度にすることができる。また、その凹凸が自然の河床 のようなばらつきのあるものではなく、一定条件で工場生産で行えるために粗度 係数が一定し、安定した流水速度とすることができる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例を示す横断面図である．

【図２】同縦断面図である．

【図３】被覆材の取り付け状態を示す説明図である．

【図４】被覆材の表面状態を示す平面図である．

【図５】被覆材の表面状態を示す断面図である．

【図６】被覆材の表面状態を示す断面図である．

【図７】魚道の説明図である．

【図８】魚道の例を示す斜視図である．

【図９】魚道の例を示す断面図である．

【符号の説明】

１ 水通し天端 ２ 魚道本体 ３ 被覆材 ７ 凹部 ８ 凸部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 魚道の内周面を弾性材製の被覆材で覆っ
   たことを特徴とする魚道の保護工。
2. 【請求項２】 請求項１において、弾性材の中に鉄板や
   金網等の支持材を埋設した被覆材としたことを特徴とす
   る魚道の保護工。
3. 【請求項３】 請求項１および請求項２において、表面
   に凹凸を形成して所定の粗度係数の被覆材にしたことを
   特徴とする魚道の保護工。