JPH0586919A - 加速スリツプ制御装置 - Google Patents

加速スリツプ制御装置

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JPH0586919A
JPH0586919A JP3249514A JP24951491A JPH0586919A JP H0586919 A JPH0586919 A JP H0586919A JP 3249514 A JP3249514 A JP 3249514A JP 24951491 A JP24951491 A JP 24951491A JP H0586919 A JPH0586919 A JP H0586919A
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fuel cut
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slip
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Kiyoyuki Uchida
清之 内田
Takayoshi Nakatomi
隆喜 中富
Hiroshi Igata
弘 井形
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は車両加速時にスロットル弁の開度調
整とフュエルカットとにより駆動トルク制御を行い駆動
輪スリップを適切な範囲に制御する加速スリップ制御装
置に関し、スロットル弁全閉時に大きな駆動輪スリップ
が発生することを防止可能な加速スリップ制御装置を提
供することを目的とする。 【構成】 駆動輪3a,3bのスリップを検出し、スリ
ップの大きさに応じてサブスロットル弁16を開度制御
すると共に、スリップ量が設定値以上になったときにE
FIユニット30にフュエルカット実行を要求するTR
Cユニット50を設ける。TRCユニット50はサブス
ロットル弁16が全閉になったことを検出すると上記ス
リップ量設定値を下げ、小さなスリップ量でもフュエル
カット制御実行を要求する。これによりサブスロットル
弁全閉状態で比較的大きなスリップが残存しているよう
な場合にもスリップを抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は車両発進時や加速時等に、駆動輪
と路面との間の過大なスリップが発生することを防止す
る加速スリップ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両発進時や加速時に駆動輪の過大なス
リップを防止して車両の直進安定性と加速性とを向上さ
せるための加速スリップ制御装置が知られている。一般
にこれらの加速スリップ制御装置では車両走行速度に応
じて駆動輪回転速度目標値を設定し、実際の駆動輪回転
速度と上記目標値の差(本明細書においては、この差を
「スリップ量」と呼ぶ)が所定値以下になるように駆動
トルクの制御を行っている。
【0003】通常、上記の駆動トルク制御は車両エンジ
ンの吸気管に設けたスロットル弁の開度をスリップ量に
基づいてフィードバック制御することにより行う。また
加速スリップ制御開始時やスリップ量が非常に大きい場
合には制御の応答性を高めるため、スロットル弁の開度
制御の他にエンジンのフュエルカットや点火時期遅角を
行い、エンジン出力トルクを急速に減少させる制御が行
われる。
【0004】この種の加速スリップ制御装置としては、
本願出願人が従前の出願(特願平2−306090号)
において提案したものがある。この加速スリップ制御装
置は、エンジン吸気通路のメインスロットル弁上流側に
サブスロットル弁を設け、スリップ量が設定値以上にな
った場合スリップ量とその変化率とに応じてサブスロッ
トル弁開度をフィードバック制御している。また、スリ
ップ量が前記設定値より更に大きい第二の設定値を越え
た場合にはエンジンフュエルカットと点火時期遅角とを
行って駆動トルクを大きく減少させ、スリップ量を低減
することによりサブスロットル弁による制御の応答性を
補っている。フュエルカットや点火時期遅角を行うと駆
動トルクは急激に減少するため頻繁にこれらの制御を実
行すると車両の加速性悪化や減速ショックを生じる。こ
のためフュエルカット等を実行するスリップ量の上記第
二の設定値は第一の設定値より充分に大きな値に設定し
て加速スリップ制御時の頻繁なフュエルカット実行を防
止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、スリッ
プ量が小さいときにはサブスロットル弁で駆動トルク制
御を行い、スリップ量が大きい場合にフュエルカットや
点火時期遅角により駆動トルクを低減するような制御を
行った場合通常路面では極めて良好な制御応答性を得る
ことができるものの、路面摩擦係数が極めて低い場合
(例えば氷上や凍結路を走行する場合)には比較的大き
なスリップが発生してしまう場合がある。
【0006】すなわち、スリップ量が第一の設定値以上
になり、サブスロットル弁により駆動トルクを制御して
いる場合には、サブスロットル弁が全閉になるとサブス
ロットル弁の制御によってはそれ以上駆動トルクを低減
することはできなくなる。路面摩擦係数が極めて低くサ
ブスロットル弁全閉状態のトルクでも大きなスリップが
発生しているような場合、そのスリップが前述の第二の
設定値を越えない限りフュエルカットや点火時期遅角は
行われないことから、サブスロットル弁が全閉になった
場合は事実上スリップ制御が行われず、いつまでもスリ
ップが生じたままの状態になる。このため摩擦係数が極
めて低い路面では加速性や直進安定性が悪化する場合が
あった。
【0007】一方、上記第二の設定値を第一の設定値に
近接して設定し、小さなスリップ量でもフュエルカット
や点火時期遅角を行うようにすればサブスロットル弁全
閉後の上記のスリップを抑制することが可能となる。し
かし、上記第二の設定値を小さな値に設定してしまうと
路面摩擦係数がそれ程低くない路面においてサブスロッ
トル弁が全閉になっておらず、サブスロットルによるト
ルク制御が可能な場合でもフュエルカットや点火時期遅
角が実行されることになる。このため加速中にフュエル
カット等による急激な駆動トルク減少が生じ易くなり、
車両急減速による加速性の悪化やトルクショックが生じ
やすくなる問題がある。本発明は上記課題に鑑み、極低
摩擦係数路面での加速時のスリップを有効に防止すると
共に通常の低摩擦係数路面における加速性の悪化や減速
ショックが生じることを防止することができる加速スリ
ップ制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、図1の
本発明の構成図に示すように駆動輪のスリップ量を検出
するスリップ検出手段Aと、機関吸気通路に配置したス
ロットル弁Bと、該スロットル弁とは独立に作動して駆
動輪の駆動トルクを減少させるトルク低減手段Cと、前
記スリップ量が第一の設定値以上の場合にスリップ量に
応じてスロットル弁B開度を調節し、駆動トルク制御を
行うと共に、前記スリップ量が第一の設定値より大きな
値の第二の設定値以上の場合には前記トルク低減手段C
を作動させて駆動トルクを低減する制御手段Dとを備え
た加速スリップ制御装置において、前記スロットル弁が
全閉になったことを検出するスロットル開度検出手段E
と、スロットル弁全閉時には前記スリップ量の前記第二
の設定値をスロットル弁開弁時より低い値に補正する補
正手段Fとを設けたことを特徴とする加速スリップ制御
装置が提供される。
【0009】
【作用】制御手段Dは、スリップ検出手段Aにより検出
されたスリップ量が第一の設定値以上になったときにス
ロットル弁Bの開度調節を行い駆動トルクを制御する。
スリップ量が更に大きくなり第二の設定値を越えた場合
には制御手段Dはトルク低減手段Cにより駆動トルクを
低減する。
【0010】補正手段Fはスロットル開度検出手段Eが
スロットル弁Bが全閉になったことを検出すると前記第
二の設定値を低い値に補正する。これによりスロットル
弁Bが全閉になっていない場合はトルク低減手段Cが作
動するスリップ量の第二の設定値は大きな値に保持さ
れ、頻繁なトルク低減手段Cの作動は生じないが、スロ
ットル弁B全閉時には上記第二の設定値は小さな値に補
正されるため、小さなスリップ量でもトルク低減手段C
が作動してスリップの抑制が行われる。
【0011】
【実施例】図2に本発明の加速スリップ制御装置の構成
図を示す。図において1は車両を、10は車両1に搭載
されたエンジンを、3a,3bは車両エンジンからギヤ
ボックス5を介して駆動される駆動輪、4a,4bは従
動輪を示す。駆動輪3a,3b及び従動輪4a,4bに
はそれぞれ車輪の回転速度を検出する車輪速度センサ2
2a,22b,24a,24bが設けられている。
【0012】本実施例ではエンジン10の吸気通路に
は、運転者のアクセルペダル12操作に応動して吸気通
路を開閉するメインスロットル弁14の他に、メインス
ロットル弁14上流側にステップモータ18等のアクチ
ュエータに駆動される独立したサブスロットル弁16が
設けられている。また30で示したのはエンジン10の
燃料噴射制御や点火時期制御を行なうディジタルコンピ
ュータから成る燃料噴射制御回路(以下「EFIユニッ
ト」という)である。EFIユニット30にはこれら基
本制御を実行するため、エンジン回転数センサ32から
エンジン回転数が、またメインスロットル開度センサ3
4からメインスロットル弁開度が、サブスロットル開度
センサ36からサブスロットル弁開度がそれぞれ入力さ
れている他、図示しないセンサからエンジン制御に必要
な他のパラメータが入力されている。また、EFIユニ
ットはエンジン10の燃料噴射弁38と点火栓40とに
接続され、それぞれ燃料噴射量と点火時期とを制御して
いる。
【0013】また、50で示すのは本発明による加速ス
リップ制御を行なう加速スリップ制御回路(以下「TR
Cユニット」と称する)である。TRCユニットはディ
ジタルコンピュータから成り加速スリップ制御のため
に、前述の車輪速度センサ22a,22b,24a,2
4bから各車輪速度が、エンジン回転数センサ32から
エンジン回転数が、スロットルセンサ34,36からメ
インスロットル弁14とサブスロットル弁16の開度が
それぞれ入力されている他、サブスロットル弁16のス
テップモータに接続され、サブスロットル弁の開度制御
を行なっている。
【0014】またTRCユニット50とEFIユニット
30には相互間通信を行うため相互に接続されたそれぞ
れ3つのポート50a,50b,50c,と30a,3
0b,30cが設けられている。ポート50a,30a
はFCポートでありTRCユニット50によりFCポー
ト50aの信号レベルがHi,Loに切換えられ、その
信号レベルをポート30aを介してEFIユニットが読
み取るようになっている。なお後述のようにFCポート
50aはTRCユニット50がフュエルカットを要求す
る場合にHiレベルにされる。またポート50b,30
bはRTDポートでありTRCユニット50が点火時期
遅角を要求する場合にポート50bがHiレベルに切換
えられ、EFIユニット30はポート30bを介してポ
ート50bの信号レベルを読み取るようにされている。
【0015】一方ポート50c,30cは反対にEFI
ユニット30によりHi,Loに切換えられるFCOK
ポートである。EFIユニット30はエンジンがフュエ
ルカット可能な運転条件にあるときにFCOKポート3
0cをHiに切換える。TRCユニット50はポート5
0cを介してポート30cの信号レベルを読取ることに
よりエンジンがフュエルカット可能な状態か否かを検出
可能となっている。
【0016】すなわちTRCユニット50は加速スリッ
プ制御にフュエルカットや点火時期遅角操作が必要とな
った場合、FCポート50a,30a,RTDポート5
0b,30bを介してEFIユニット30に要求を行
い、EFIユニット30はこの要求に応じてフュエルカ
ット、点火時期遅角等の操作を実行すると共にフュエル
カットが実行可能か否かをTRCユニット50にFCO
Kポート30c,50cを介して表示しているのであ
る。
【0017】本実施例では、TRCユニット50は、駆
動輪スリップ量(駆動輪回転速度と駆動輪目標速度との
差)が第一の設定値より大きくなった場合にはスリップ
量に応じてサブスロットル弁16の開度制御を行う。ま
たスリップ量が第一の設定値より大きい第二の設定値以
上になった場合にはTRCユニット50はEFIユニッ
ト30に対してフュエルカット又は点火時期遅角を要求
する。
【0018】次に添付図面を用いてTRCユニット50
とEFIユニット30によりそれぞれ実行される本発明
の加速スリップ制御動作を説明する。以下図3から図1
3はTRCユニット50により実行される制御動作であ
る。 (1)基本制御 図3から図5は本実施例の加速スリップ制御の基本制御
ルーチンを示す。本ルーチンはTRCユニット50によ
り一定時間毎(例えば12ミリ秒毎)に実行される。
【0019】図3においてステップ100〜106は加
速スリップ制御実行のための準備、すなわちフラグFF
COKMの設定操作を示す。フラグFFCOKMはエン
ジンイグニッションスイッチがONになってから1度で
もFCOKポート30cがEFIユニット30によりH
iレベルにされたことがあるか否かを示すフラグであ
り、イグニッションON(電源投入)後最初のルーチン
実行時にリセットされ(ステップ100,102)、そ
の後FCOKポートがHiになった場合にセットされて
(ステップ104,106)以後その状態を保持する。
【0020】ステップ108は加速スリップ制御実行条
件が成立しているか否かの判定を示す。本実施例では制
御実行条件としてメインスロットル14開度θM が全閉
でないこと及びセンサ類に異常がないことが判定され、
どちらか一方が生じている場合は制御実行条件不成立と
して図4、ステップ162に進み、全てのフラグのリセ
ットとサブスロットル開度θs をθsmax(全開)にセッ
トしルーチンを終了する。
【0021】ステップ108で制御実行条件が成立した
場合、ステップ110からステップ116で速度パラメ
ータの読込と計算とを行なう。すなわちステップ110
では左右の従動輪速度VRLとVRRの平均値から車体速度
R が求められ、次いでステップ112ではVR を用い
て駆動輪目標速度Vs が設定される。本実施例ではV s
は次の式で決定される。
【0022】 VR ≦30km/hのとき、Vs =VR
+2.4km/h 30km/h<VR ≦100km/hのとき、 Vs =(VR ×1.08)km/h 100km/h<VR のとき Vs ={(VR ×1.08)km/h又は(VR+10)k
m/hのうち小さい方}。Vs は常に車体速度より大き
く取られ、駆動輪が所定のスリップを生じるように設定
される、上記〜からわかるように車体速度が低いと
きには目標スリップ率(Vs −VR )/VR は比較的大
きくなり加速性が向上するが車体速度が高いときにはV
s =VR +10km/hとなりスリップ率を低くして直進
安定性の向上を図っている。
【0023】ステップ114は加速スリップ制御の開始
速度VTBの設定を示し、VTBはVTB=Vs +βの形で表
わされる。βは、頻繁な制御動作を防止するため、制御
開始速度を目標値より所定値だけ高く設定するための定
数で、車速、路面状況に応じて2.0km/h〜4.0km
/hにセットされる。ステップ116は駆動輪速度VD
の算出を示し、従動輪と同様、左右の駆動輪速度VDL
DRの平均として求められる。
【0024】上記の速度パラメータ設定が終了すると、
次に図4、ステップ118でフラグFSの値が判定され
る。フラグFSは加速スリップ制御が既に開始されてい
るか否かを示し、FS=0のときは、加速スリップ制御
が行なわれていない状態であるため、ステップ120に
進み加速スリップ制御開始の要否について判断を行な
う。この判断は駆動輪速度VD が制御開始速度VTBより
大きいか否かを判定することにより行なわれ、VD ≦V
TBの場合はスリップ制御不要であるのでステップ162
に進みフラグリセットとθs の全開設定を行ないルーチ
ンを終了する。またステップ120でVD >VTBであっ
た場合は加速スリップ制御開始を示すフラグFSを1に
セットし(ステップ122)、サブスロットル弁開度θ
s を初期目標開度f(NE)に設定し(ステップ124)、
フラグFFBSをゼロにリセットして(ステップ12
6)ルーチンを終了する。サブスロットル弁の初期目標
開度f (NE)はエンジン回転数NEと路面状況とに応じて
決められる値である。サブスロットル弁は加速スリップ
制御中以外では全開にされているため、この状態からフ
ィードバック制御を開始すると、サブスロットル弁開度
変化に対する感度が現れるまで時間がかかることにな
る。そこでステップ124では制御開始と同時にサブス
ロットル弁を感度が現れる開度まで閉じてからフィード
バック制御を行なうようにしているのである。FFBS
は初期フィードバック制御禁止フラグであり、加速スリ
ップ制御開始後所定の要件が満足されたときにFFSB
=1となる。
【0025】ステップ118に戻って説明すると、ステ
ップ120からステップ126が前回までのルーチン実
行時に終了していた場合、すなわちFS=1である場合
はステップ128に進みFFBSの値を判定する。ステ
ップ128でFFBS=0であった場合は図5、ステッ
プ138からステップ146を実行してルーチンを終了
する。
【0026】ステップ138からステップ146はフィ
ードバック制御開始条件成立を判定するためのステップ
である。ステップ138からステップ146では、加速
スリップ制御開始後初期フュエルカットが実施された
か、或いは加速スリップ制御開始後初期フュエルカッ
トが実施されないまま所定時間が経過した場合にフィー
ドバック制御開始を許可し、FFBSを1にセットす
る。
【0027】後述するように、加速スリップ制御開始直
後には、制御応答性を向上させるために1回だけフュエ
ルカット若しくは点火時期遅角を行なうが、この間はサ
ブスロットル弁のフィードバック制御を行なっても意味
がないため、ステップ130から138で上記との
条件を判定してフィードバック制御開始条件成立を判定
しているのである。すなわち、ステップ138ではフラ
グFCOが1か否かが判定される。FCOは後述するよ
うに初期フュエルカット(図6)が実行されると1にセ
ットされるフラグであり、FCO=1のときはステップ
140に進み、FCの値が判定される、FCは現在フュ
エルカット実行中か否かを示すフラグでありステップ1
40でFC=1である場合は現在初期フュエルカット中
であるのでFFBSの値はゼロのままにしてルーチンを
終了する。FC=0であった場合は初期フュエルカット
が実行され、現在は終了していることを示すためステッ
プ142でFFBSを1にセットしてルーチンを終了す
る。ステップ138でFCO=0、すなわち初期フュエ
ルカットが実施されていないときはステップ144でパ
ラメータCFBSに1を加算し、ステップ146でCF
BSが所定値C以上になったか否かが判定される。ここ
でCは演算周期T0 から決まる定数でありC×T0 ≒5
00ミリ秒となるように決定される。ステップ138で
CFBSが所定値C以上、すなわち加速スリップ制御開
始後500ミリ秒以上経過した場合はステップ142で
フラグFFBSが1にセットされる。
【0028】次に、図4、ステップ128に戻ってサブ
スロットル弁開度θs のフィードバック制御について説
明する。ステップ128でFFBS=1であった場合ス
テップ148ではサブスロットル弁開度の制御量Δθs
が決定される。Δθs の決定については後に詳述する
(図6)。次にステップ150では目標サブスロットル
開度θs がθs =θs(n-1)+Δθs として求められ、サ
ブスロットル弁の駆動用ステップモータに出力される。
加速スリップ制御は、「サブスロットル弁開度θs がメ
インスロットル弁開度より大」であり、かつ「スリップ
量の絶対値|VS −VD |が所定値以下」の状態が所定
時間継続した場合に終了する。ステップ152からステ
ップ162はこの終了条件の判定を示している。ここで
ステップ154におけるスリップ量の設定値αとステッ
プ158の継続時間の設定値を表わす定数Dとは車種に
応じて適宜設定される。またステップ156,158,
160のCENDは時間カウントのためのパラメーター
である。
【0029】ステップ158により加速スリップ制御終
了条件が成立したと判定されるとステップ162で前述
のフラグFS,FFBS、カウンタCFBS,CEND
は全てゼロにリセットされ、サブスロットル弁開度θs
は全開θsmaxに設定され、ルーチンが終了する。 (2)制御量ΔθS 設定 図6は図4のステップ148で実行されるΔθS 設定サ
ブルーチンを示す。
【0030】図においてステップ200ではスリップ量
ΔV=VS −VD とその変化率ΔGが求められる。ΔG
は前回ルーチン実行時のVR とVD の値VR(n-1),V
D(n-1)と今回実行時の値VR(n), D(n)とを用いてΔG
={VR(n)−VR(n-1)}−{V D(n)−VD(n-1)}として
求められる。ステップ202はΔG項の正負判定を示
す。本実施例では前述のようにΔGが負の場合ゲインK
3 は0.5に設定される(ステップ204)。ステップ
202でΔGが正又はゼロの場合は次にステップ206
でフラグFAFCRTDが1か否かが判定される。FA
FCRTDは図7に示すようにフュエルカット又は点火
時期遅角のどちらか一方又は両方の実行中及び終了した
状態から所定時間の間1の値をとる。従ってフュエルカ
ット又は点火時期遅角の実行中及び所定時間(本実施例
では102ミリ秒)経過前はステップ206の次にステ
ップ208が実行されK3 =1.0が設定される。また
ステップ202でΔGが正又はゼロであり、ステップ2
06でFAFCRDT=0、すなわちフュエルカット
や、点火時期遅角の影響が無い場合にはステップ210
に進み、K3 は比較的大きな値として、K3 =2.0が
設定される。ステップ212は上記により決定されたK
3 を用いてのΔθS の算出を示し、ΔθS =K1 ΔV+
2 ・K3 ΔGとしてΔθS が求められる。ここで、K
1 ,K2 は車種に応じて決められる定数である。
【0031】本実施例ではステップ200でΔGの正負
に応じてゲインK3を変えており、ΔGが正のとき(Δ
G=ΔVR −ΔV0 =Δ{VR −V0 }であるのでΔG
>0は駆動輪速度VD が車両走行速度に近づきつつある
こと、すなわち駆動輪のスリップが減少しつつあること
を意味する。)にはゲインK3 を大きく設定して駆動ト
ルクを大きく増加させ、ΔGが負のときにはゲインK3
を小さく設定して駆動トルクの減少を小さくしている。
【0032】これにより凹凸路等で駆動輪スリップの変
化が激しい場合にも駆動トルクが過剰に低下することを
防止して良好な加速性を保持することができる。図7は
図6のFAFCRTD設定のためのルーチンであり、T
RCユニットにより一定時間毎の演算タイミングで実行
される。前述のようにFAFCRTDはフュエルカット
又は点火時期遅角のどちらかが実行されている間と、そ
の後どちらも実行されていない状態が継続すると102
ミリ秒の間は1にセットされ、その後ゼロにリセットさ
れる。
【0033】図5において、FC,FRTDはそれぞれ
フュエルカット及び点火時期遅角実行中に1となるフラ
グである。またステップ262のTは時間カウントのた
めの変数、定数Eは102ミリ秒に相当するルーチンの
実行回数である。本制御は図から明らかであるので詳細
は省略する。 (3)初期フュエルカット、点火時期遅角制御 図8、図9は図4のサブスロットル弁開度制御とは別に
行なわれる初期フュエルカット及び点火時期遅角要求制
御ルーチンを示す。本制御ルーチンは一定時間毎の演算
タイミングでTRCユニットにより実行される。
【0034】この制御は、加速スリップ制御が開始され
た後にスリップの大きさとは無関係に1回だけ強制的に
フュエルカット又は点火時期遅角を行ない、駆動輪速度
を下げることを目的としている。また本ルーチンではフ
ュエルカット実行フラグFCと点火時期遅角実行フラグ
FRTDの設定が行なわれ、実際のフュエルカット及び
点火時期遅角操作は設定された上記フラグの値に基づい
てエンジン制御用EFIユニット(図2、30)が行な
う。
【0035】図8においてステップ300ではフラグF
Sの値から加速スリップ制御が実行中か否かが判定され
る。FSは図4ステップ122で加速スリップ制御開始
条件(ステップ108,120)が成立すると1にセッ
トされる。ステップ300で加速スリップ制御が実行中
でないと判断した場合(FS=0)はステップ302で
フラグFFCRTDSとFCOとをゼロにリセットして
ルーチンを終了する。FFCRTDSは初期フュエルカ
ット又は初期点火時期遅角のどちらかが実行され、かつ
完了している場合は1にセットされ他の場合はゼロにセ
ットされるフラグである。またFCOは同様に初期フュ
エルカットが実行された場合は1、他の場合はゼロにセ
ットされる。ステップ300で加速スリップ制御が実行
中であった場合(FS=1)、次にステップ304でフ
ラグFFCRTDS=1が成立するか否かが判定され
る。FFCRTDT=1が成立する場合は、既に初期フ
ュエルカット又は点火時期遅角が完了しているため、更
にフュエルカットや点火時期遅角を行なうことなくルー
チンを終了する。またFFCRTDS=1が成立しない
場合はステップ306とステップ308でFC=1とF
RTD=1が成立するか否かが判定される。ステップ3
06でFC=1であった場合は現在初期フュエルカット
が実行中であるのでステップ310とステップ312で
初期フュエルカットを終了すべきか否かが判定される。
初期フュエルカットは、エンジン回転数上昇速度ΔNE
が2000rpm /秒以下(ステップ310)又は駆動輪
の速度変化率ΔVD がマイナス0.8G以下(Gは重力
加速度=9.8m/sec /sec)(ステップ312)のど
ちらかが成立した場合に終了する。すなわち、エンジン
回転数上昇速度が鈍化した場合又は駆動輪の減速加速度
が所定値より大きくなった場合、初期フュエルカットの
効果が現われたと判断してステップ314に進みFCを
ゼロにリセットする。これによりFEIユニットは初期
フュエルカットを終了する。初期フュエルカットが終了
するとステップ320でFFCRTDSが1にセットさ
れルーチンが終了する。またステップ308でFRTD
=1であった場合は、すなわち現在点火時期遅角実行中
であるのでステップ316に進み、点火時期遅角終了条
件をエンジン回転数上昇速度から判定し、終了条件が成
立した場合にはステップ318でフラグFRTDをゼロ
にセットしてEFIユニットに点火時期遅角を終了させ
た後ステップ320に進みFFCRTDSを1にセット
してルーチンを終わる。ステップ306と308でFC
=1とFRTD=1の両方ともが成立しない場合は、初
期フュエルカットと点火時期遅角が両方とも未だ実行さ
れていないため図9、ステップ322以下でフュエルカ
ット又は点火時期遅角実行可否の判定を行う。
【0036】まずステップ322ではフラグFSが1に
なってから所定時間KT(本実施例ではKT=300ミ
リ秒)が経過したか否かが判定される。時間KTが経過
している場合は、加速スリップ制御開始後充分な時間が
経過しているためサブスロットル弁は充分に応答してお
り、エンジントルクはサブスロットル弁により制御可能
となっていると判断される。従ってこれ以上初期フュエ
ルカットや点火時期遅角を行う必要はないためステップ
332で前述のフラグFFCRTDSを1にセットし、
初期フュエルカットや点火時期遅角を実行しない。
【0037】ステップ322で所定時間KTが経過して
いない場合はステップ324以下でフュエルカットを実
行するか点火時期遅角を実行するかを決定する。フュエ
ルカットは点火時期遅角に較べてエンジントルク低減効
果が大きいため、本制御では可能な限り初期フュエルカ
ットを優先的に実行するようにしている。
【0038】ステップ324はフュエルカットが実施可
能か否かの判定を示す。前述のようにエンジンがフュエ
ルカット実行可能な状態ではEFIユニット30により
FCOKポートがHiにされているため、ステップ32
4ではFCOKポートがHiになっているか否かにより
フュエルカット可否を判定している。なお、後述するよ
うにフュエルカットはエンジン冷却水温が所定値以上で
かつエンジン回転数が所定範囲にある場合に実行可能と
される。ステップ324でFCOKポートがHi、すな
わちフュエルカット実行可能であった場合はステップ3
34に進みフラグFCとFCOとが1にセットされる。
これにより後述のルーチンでTRCユニットのFCポー
トの信号レベルがHiにされ、EFIユニットによりフ
ュエルカットが実行される。
【0039】ステップ324でFCOKポートがLo、
すなわちフュエルカット実行条件が整っていない場合は
ステップ326でフラグFFCOKMの値が判定され
る。フラグFFCOKMはTRCユニットの電源投入後
に1度でもフュエルカット実行可能(FCOKポートH
i)になったことがある場合は1にセットされている。
ここでフラグFFCOKMの値を判定しているのはステ
ップ324でのフュエルカット実行不可状態が長く続き
そうか否かを判断するためである。
【0040】本実施例ではフュエルカット実行不可と判
断された場合でも短時間のうちにフュエルカット実行可
能となる可能性が高い場合には点火時期遅角を開始せず
トルク低減効果の大きいフュエルカットが実行可能とな
るのを待つこととしている。すなわち、ステップ326
でFFCOKM≠1であった場合は今まで一度もフュエ
ルカット実行可能となったことがないのであるから短時
間のうちにフュエルカット実行可能となる可能性は低い
(例えばエンジン冷却水温が低い場合等)と判断してフ
ュエルカットの代わりに点火時期遅角を行うこととして
ステップ328でフラグFRTDを1にセットする。こ
れによりTRCユニットのRTDポートの信号レベルが
HiにされEFIユニットにより点火時期遅角が実行さ
れる。
【0041】また、ステップ326でFFCOKM=1
であった場合はステップ330でエンジン回転数NEが
所定値KNE1 (本実施例ではKNE1 =3000rpm)
以上か否かを判定する。ここでNE≧KNE1 であった
場合は、エンジン回転数が充分に高いにもかかわらずフ
ュエルカット実行が許可されていないのであるからエン
ジン回転以外の条件(水温等)が満足されておらず、短
時間のうちにフュエルカット実行可能となる可能性は低
いと判断されるのでステップ328に進み点火時期遅角
を行う。
【0042】またステップ330でNE<KNE1 であ
った場合は過去にフュエルカット実行可能となったこと
があるので、現在エンジン回転数が低いためにフュエル
カットが許可されないと考えられ、エンジン回転数上昇
により短時間のうちにフュエルカット実行可能となる可
能性が高いと判断されるため点火時期遅角は行わずフュ
エルカット実行可能となるのを待つこととしてそのまま
ルーチンを終了する。
【0043】上記の制御により、加速スリップ制御開始
時にはトルク低減効果の大きいフュエルカット操作を点
火時期遅角に優先して行うようにすることができるため
制御応答性が向上する。 (4)ラージスリップフュエルカット制御 図10と図11は図4のサブスロットル弁開度制御や図
8の初期フュエルカット制御とは別に、スリップが非常
に大きくなった場合に実行されるラージスリップフュエ
ルカット制御ルーチンを示す。本ルーチンはTRCユニ
ットにより一定時間毎の演算タイミングで実行される。
【0044】ステップ400からステップ422はラー
ジスリップフュエルカット制御開始条件成立の有無の判
定を示す。本実施例ではラージスリップフュエルカット
制御開始条件は以下のように設定されている; a)初期フュエルカット又は初期点火時期遅角が実行済
であること(ステップ400でFFCRTDS=1)。 b)現在フュエルカット実行中でないこと(ステップ4
02でFC=0)。 c)エンジンがフュエルカット可能な状態にあること
(ステップ404でFCOKポートがHi)。 d)駆動輪速度VD が目標速度VS を所定値以上越えた
こと(ステップ410,418)。 e)前回のフュエルカット又は点火時期遅角実行指示完
了から所定時間以上経過していること(ステップ41
2,420)。
【0045】また、前述のように、本発明では、上記条
件d)におけるフュエルカット開始駆動輪速度は、サブ
スロットル弁が全閉となった場合は小さく設定されるよ
うになっており、極低摩擦係数路面等でサブスロットル
弁全閉時に大きなスリップが生じることを防止してい
る。すなわち、ステップ406では図4、ステップ15
0で設定されたサブスロットル弁の目標開度θS がゼロ
(全閉)になっているか否かを判定し、次いでステップ
408ではサブスロットル弁が目標開度に到達している
か否か(すなわち、サブスロットル弁を駆動するステッ
パモータ18が停止状態にあるか否か)が判定され、ス
テップ406と408との両方が成立した場合にサブス
ロットル弁が全閉であると判断する。サブスロットル弁
の全閉を判断するにはステップ406と408の代わり
にサブスロットル弁の開度センサの出力を用いることも
可能であるが本実施例では開度センサの出力が振動等の
影響により誤差を含む可能性を考慮してステップ406
と408の方法により判断している。
【0046】ステップ406と408のいずれかの条件
が成立しない場合、サブスロットル弁が全閉になってい
ないと判断し、ステップ418から422で通常条件下
でラージスリップフュエルカットを開始すべきか否かが
判断される。すなわちステップ418では駆動輪速度V
D が目標速度VS を所定値KVS2以上越えたか否かが、
ステップ420では前回フュエルカット又は点火時期遅
角実行が指示されてから150ミリ秒以上経過したか否
かが判定され、両方の条件が成立した場合はステップ4
16でフラグFCが1にセットされ、EFIユニットに
よりフュエルカットが実行される。
【0047】サブスロットル弁が全閉になっていない場
合のフュエルカット開始速度KVS2(ステップ418)
は頻繁にフュエルカットが行われ加速性が悪化すること
を防止するため大きな値(本実施例ではKVS2=12km
/h)に設定される。なお、ステップ420の条件は短
時間にフュエルカットや点火時期遅角を繰り返すことに
より排気温度が上昇すると排気浄化触媒が損傷を受ける
場合があるために設けられた条件である。ステップ42
2はFFCRTDSの値がゼロから1に変化した直後の
ルーチン実行であるか否かの判定である。ステップ42
2で肯定判定された場合は、初期フュエルカット又は点
火時期遅角が完了直後であってもまだ大きなスリップが
残っていることを意味するため、前回フュエルカット要
求から150ミリ秒経過していなくても再度フュエルカ
ットを行なうこととし、ステップ416に進む。また、
ステップ406,408でサブスロットル弁が全閉にな
っていた場合には、ステップ410で駆動輪速度VD
目標速度VS を設定値KVS1以上越えたか否かが、また
ステップ420では前回フュエルカット又は点火時期遅
角実行指示終了後500ミリ秒以上経過したか否かが判
定される。ステップ410の設定値KVS1は前述のよう
に比較的小さな値(本実施例ではKVS1=4km/h)と
され、サブスロットル弁全閉時のスリップ発生を防止し
ている。
【0048】またステップ412で500ミリ秒経過を
条件としたのはKVS1を小さく設定したことによりフュ
エルカット実行頻度が過度に増大することを防止するた
めである。また、サブスロットル弁全閉時の条件下でフ
ュエルカットが実行される場合、ステップ414でフラ
グFLLFCが1にセットされ通常条件下でのフュエル
カットの実行と区別している。
【0049】ステップ430から448はフュエルカッ
ト終了条件を示す。すなわち、フュエルカットは300
ミリ秒以上継続した場合に終了する他(ステップ43
0)、サブスロットル弁の状態によりフュエルカット開
始条件が異なるのに対応してフュエルカット終了条件も
変更される。ステップ432では現在実行しているフュ
エルカットがサブスロットル弁全閉状態におけるものか
否かが判定される。サブスロットル弁が全閉でない場合
(FLLFC=0)のフュエルカットは以下の条件のい
ずれか1つが成立したときに終了する; a)駆動輪速度VD が目標値VS +KVe2よりに低下し
たこと(本実施例ではKVe2=10km/h)(ステップ4
42)。 b)駆動輪速度が減少を始めた場合(ステップ44
4)。 c)エンジン回転数の変化速度ΔNEが所定値KDNE
2 より低くなったこと(本実施例ではKDNE2 =−2
700rpm /sec)(ステップ446)。 上記条件のいずれかが成立するとステップ448でフラ
グFCがリセットされEFIユニットはフュエルカット
を終了する。ステップ432でFLLFC=1の場合、
すなわちサブスロットル弁全閉時のフュエルカットは、
以下の条件のいずれか1つが成立したときに終了する; a)駆動輪速度VD が目標値VS +KVe1より低下した
こと(本実施例ではKV e1=2.5km/h)(ステップ4
34)。 b)エンジン回転数の変化速度ΔNEが所定値KDNE
1 より低くなったこと(本実施例ではKDNE1 =−2
600rpm /sec)(ステップ436)。
【0050】上記条件のいずれかが成立するとフラグF
LLFCのリセット(ステップ438)及びフラグFC
のリセット(ステップ440)が行われ、EFIユニッ
トはフュエルカットを終了する。ステップ434,43
6とステップ442から446のフュエルカット終了条
件が異っているのはフュエルカット開始条件が異ってい
ることと対応させたものである。 (5)ラージスリップ点火時期遅角制御 図12は図4のサブスロットル弁開度制御とは別にスリ
ップが比較的大きい場合に実行されるラージスリップ点
火時期遅角制御ルーチンを示す。本ルーチンはTRCユ
ニットにより一定時間毎の演算タイミングで実行され
る。図においてステップ500からステップ508はラ
ージスリップ点火時期遅角制御開始条件成立の有無の判
定を示す。開始条件は、初期フュエルカット又は初期
点火時期遅角制御が終了していること(ステップ500
でFFCRTDS=1)、現在遅角制御実行中でない
こと(ステップ502でFRTD=0)駆動輪速度V
Dが目標速度VS を1.5km/h以上超えたこと(ステ
ップ504)、前回のフュエルカット又は点火時期遅
角指示終了から150ミリ秒以上経過していること(ス
テップ506)、前回点火時期遅角実施後駆動輪速度
S が目標速度+0.5km/hまで一旦下がったこと
(ステップ500)現在フュエルカット中でないこと
(ステップ510)の全てが成立することであり、いず
れかが成立しない場合は遅角制御を開始しない。
【0051】ここでステップ508で前回点火時期遅角
を実施後、一旦駆動輪速度VD が目標速度VS 近くまで
低下したことを開始条件の1つとしていのは、前回遅角
実施後引続きVD が低下していない場合は現在サブスロ
ットル弁開度制御中であることを意味するため、更に点
火時期遅角制御を行なわずサブスロットル弁開度制御の
効果を待つためである。またステップ510でフュエル
カット実行中か否かを判定しているのも、同様にフュエ
ルカット実行中であればその効果を待つこととしたため
である。上記開始条件が全て満足された場合はステップ
512でフラグFRTDが1にセットされる。FRTD
が1にセットされるとEFIユニットは点火時期を所定
量遅角する。
【0052】次にステップ514と516はステップ5
02で既に点火時期遅角制御が開始されていた場合の遅
角制御終了条件を示す。遅角制御は遅角制御が96ミ
リ秒以上継続していること(ステップ514)、駆動
輪速度VD が目標速度VS +1.2km/hより小さくな
ったこと(ステップ516)のどちらか一方が成立した
場合に終了し、ステップ518でFRTDがゼロにリセ
ットされEFIユニットは点火時期遅角制御を終了す
る。上記ステップ514で点火時期遅角制御が96ミリ
秒以上継続しないようにしていのるは点火時期遅角実施
により排気温度上昇が過大にならないようにしているた
めである。 (6)ポート出力制御 図13はTRCユニットにより実行されるFCポートと
RTDポート出力の設定を行うルーチンである。図示の
ようにFCポート、RTDポートの出力はフラグFC,
FRTCの値に応じてHi,Loにセットされる。 (7)EFIユニットによるエンジン制御 次に図14から19を用いてEFIユニット30により
実行される制御について説明する。
【0053】図14はTRCユニットの要求により行わ
れるフュエルカット処理を示している。本ルーチンはE
FIユニットにより一定時間毎又は一定クランク回転角
毎に実行される。図14においてステップ602と60
4はエンジンがフュエルカット実行可能な状態か否かの
判定を示す。フュエルカットはエンジン冷却水温が所定
値THW 1 以上(本実施例ではTHW1 =30℃)(ステ
ップ602)でかつ、エンジン回転数が所定値NE
H (本実施例ではNEH =4000rpm)以下でフュエル
カット復帰回転数NRT以上(ステップ604)のとき
に実行可能とされる。なお、NRTは減速時にEFIユ
ニットがTRCユニットの要求とは無関係に行う減速フ
ュエルカットの終了回転数であり、図16に示すように
冷却水温度の関数として与えられる。
【0054】ステップ602と604の両方の条件が成
立した場合はEFIユニットはFCOKポートの出力レ
ベルをHiにしてTRCユニットにフュエルカット実行
可能である旨を知らせ、(ステップ600)、ステップ
610でFCポート出力がHiの場合(TRCユニット
がフュエルカットを要求している場合)にはフュエルカ
ット実行フラグFCTRCをセットしてルーチンを終了
する(ステップ614)。またステップ602,604
のいずれかの条件が成立していない場合はEFIユニッ
トはFCOKポート出力をLoに設定し(ステップ60
6)、フラグFCTRCをリセットしてフュエルカット
実行を禁止する(ステップ612)。
【0055】図15は、EFIユニットにより実行され
る減速フュエルカット制御ルーチンを示す。EFIユニ
ットは加速スリップ制御とは無関係にエンジンブレーキ
(メインスロットル弁全閉時)にフュエルカットを実行
し、エンジンブレーキ効果の増大と燃費の向上とを図っ
ている。
【0056】減速フュエルカットは以下の条件のときに
実行される; a)メインスロットル弁が全閉であること(ステップ6
52)、及び b)エンジン回転数が復帰回転数NRT(図16)より
200rpm 以上高いこと(ステップ654)。 上記条件の両方が成立した場合にステップ660でフラ
グFCMが1にセットされ後述のようにフュエルカット
が実行される。
【0057】また、減速フュエルカットは以下の条件で
終了される; a)メインスロットル弁が全閉でないこと(ステップ6
52)、又は b)エンジン回転数が復帰回転数NRT(図16)より
低くなったこと(ステップ656)。 上記条件のいずれかが成立した場合ステップ658でフ
ラグFCMがリセットされフュエルカットは終了する。
【0058】なお、上記の減速フュエルカット制御はT
RCユニットによるサブスロットル弁開度制御とは別に
行われており、サブスロットル弁が全閉になっても減速
フュエルカットは実行されない。図17はEFIユニッ
トにより実行されるエンジンの燃料噴射制御ルーチンを
示す。本ルーチンは一定時間毎又は一定クランク軸回転
毎に実行される。
【0059】EFIユニットは前述のように負荷条件に
応じて燃料噴射弁の開弁時間(TAU)を調節し、燃料
噴射量を制御すると共にTRCユニットの要求時やエン
ジンブレーキ時にフュエルカットを行っている。図17
ステップ705は燃料噴射量(開弁時間)TAUの算出
を示す。本実施例ではTAUは公知の方法に基づいてエ
ンジン吸入空気量とエンジン回転数とから定まる基本噴
射量を負荷条件に応じた補正値を用いて補正した形で求
められる。
【0060】ステップ710と715はフュエルカット
要否の判定を示し、ステップ710では減速フュエルカ
ット要求があるか否か(FCM=1?)、ステップ71
5ではTRCユニットによる加速スリップ制御のための
フュエルカット要求があるか否か(FCTRC=1?)
をそれぞれ判定し、いずれかの条件が成立する場合はス
テップ720に進み、ステップ705で設定した燃料噴
射量をゼロに設定し直してルーチンを終了する。これに
より燃料噴射弁からの燃料噴射は行われず、フュエルカ
ットが実行される。また上記いずれの条件も成立しない
場合はステップ705で設定した燃料噴射量TAUで燃
料噴射が行われる。
【0061】次に図18はEFIユニットにより実行さ
れるエンジンの点火時期制御ルーチンを示す。本ルーチ
ンは一定時間毎又は一定クランク軸回転角毎に実行され
る。EFIユニットはエンジン負荷条件に応じて点火時
期制御を行うと共にTRCユニット要求に応じて点火時
期遅角を行い、エンジン出力トルクの低減を行ってい
る。
【0062】図18ステップ755は点火時期θの算出
ステップを示す。本実施例では点火時期θは公知の方法
に基づいてエンジン吸入空気量とエンジン回転数とから
定まる基本点火時期を負荷条件に応じて各種の補正値で
進角または遅角補正した量として求められる。ステップ
760はTRCユニットが点火時期遅角を要求している
か否かの判定を示す。この判定はTRCユニットのRT
Dポート出力レベルがHiか否かにより行い、TRCユ
ニットの点火時期遅角要求がある場合はステップ765
に進みステップ755で算出した点火時期θを一定量α
だけ遅角して設定し直す(本実施例ではαはクランク回
転角で10度とされる)。
【0063】これにより別途実行される点火回路駆動ル
ーチンにより点火時期遅角が実行される。なお、本実施
例では図19に示すように点火時期θは各気筒の圧縮行
程上死点(TDC)から反回転方向(上死点前)角度で
表示され、点火時期進角と遅角の方向は図に示したよう
になっている。
【0064】上述のように本実施例では、スリップ量の
大きさに応じてサブスロットル弁開度を調節して駆動ト
ルクを制御すると共に、比較的小さなスリップに対して
は点火時期遅角によりまた、大きなスリップに対しては
フュエルカットにより駆動トルクを低減して制御応答性
を改善し、更にサブスロットル弁が全閉になった場合に
は上記より小さなスリップでもフュエルカットを実行す
ることにより、極低摩擦係数路等でサブスロットル弁全
閉的に大きなスリップが生じることを防止している。
【0065】なお、上記実施例ではサブスロットル弁全
閉時に、フュエルカットを実行するスリップの設定値の
みを小さく設定しているが、同様にサブスロットル弁全
閉時に点火時期遅角制御を行うスリップ量設定値も小さ
く設定するようにしても良い。また、フュエルカット制
御を行わずスロットル制御と点火時期遅角のみにより駆
動トルク制御を行う形式の加速スリップ制御装置におい
てはスロットル全閉時に点火時期遅角を実行するスリッ
プ量設定値を小さく設定するようにすれば良い。
【0066】また、本発明はサブスロットル弁を持たず
メインスロットル弁自体をモータ駆動するようにした一
弁式スロットルを備えた加速スリップ制御装置にも適用
可能である。この場合、フュエルカット又は点火時期遅
角を実行するスリップ量設定値の変更はTRCユニット
の要求によりスロットル弁が全閉となった場合にのみ行
い、運転者の操作によりスロットル弁が全閉となった場
合には行わないようにすれば本発明の効果を得ることが
できる。
【0067】
【発明の効果】本発明は、スリップ量に応じてスロット
ル開度を調節すると共に、スリップ量が設定値以上にな
った場合にフュエルカットを実行して駆動トルクを低減
する加速スリップ制御装置において、スロットル開度が
全閉時には上記設定値を小さく設定するようにしたこと
によりスロットル全閉時に比較的大きなスリップが発生
しているような場合にも有効なスリップ制御を行うこと
が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の加速スリップ制御装置の実施例全体構
成を示す略示図である。
【図3】TRCユニットによる基本制御の実施例を示す
フローチャートである。
【図4】TRCユニットによる基本制御の実施例を示す
フローチャートである。
【図5】TRCユニットによる基本制御の実施例を示す
フローチャートである。
【図6】TRCユニットによるサブスロットル弁開度設
定の実施例を示すフローチャートである。
【図7】TRCユニットによる初期フュエルカット点火
時期遅角フラグ設定ルーチンの実施例を示すフローチャ
ートである。
【図8】TRCユニットによる初期フュエルカット、点
火時期遅角制御ルーチンの実施例を示すフローチャート
である。
【図9】TRCユニットによる初期フュエルカット、点
火時期遅角制御ルーチンの実施例を示すフローチャート
である。
【図10】TRCユニットによるラージスリップフュエ
ルカット制御ルーチンの実施例を示すフローチャートで
ある。
【図11】TRCユニットによるラージスリップフュエ
ルカット制御ルーチンの実施例を示すフローチャートで
ある。
【図12】TRCユニットによるラージスリップ点火時
期遅角制御ルーチンの実施例を示すフローチャートであ
る。
【図13】TRCユニットによるポート出力制御ルーチ
ンの実施例を示すフローチャートである。
【図14】EFIユニットによる、加速スリップ制御の
ためのフュエルカット実行ルーチンの実施例を示すフロ
ーチャートである。
【図15】EFIユニットによるエンジンブレーキの際
の減速フュエルカット実行ルーチンの実施例を示すフロ
ーチャートである。
【図16】減速フュエルカット時の燃料噴射復帰エンジ
ン回転数の一例を示す図である。
【図17】EFIユニットによる燃料噴射制御ルーチン
の実施例を示すフローチャートである。
【図18】EFIユニットによる点火時期制御ルーチン
の実施例を示すフローチャートである。
【図19】点火時期設定を説明する図である。
【符号の説明】
3a,3b…駆動輪 4a,4b…従動輪 10…エンジン 14…メインスロットル弁 16…サブスロットル弁 18…ステップモータ 22a,22b…駆動輪回転速度センサ 24a,24b…従動輪回転速度センサ 30…EFIユニット 34…メインスロットル弁開度センサ 36…サブスロットル弁開度センサ 50…TRCユニット

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動輪のスリップ量を検出するスリップ
    検出手段と、機関吸気通路に配置したスロットル弁と、
    該スロットル弁とは独立に作動して駆動輪の駆動トルク
    を減少させるトルク低減手段と、前記スリップ量が第一
    の設定値以上の場合にスリップ量に応じてスロットル弁
    開度を調節し、駆動トルク制御を行うと共に、前記スリ
    ップ量が第一の設定値より大きな値の第二の設定値以上
    の場合には前記トルク低減手段を作動させて駆動トルク
    を低減する制御手段とを備えた加速スリップ制御装置に
    おいて、 前記スロットル弁が全開になったことを検出するスロッ
    トル開度検出手段と、スロットル弁全閉時には前記スリ
    ップ量の前記第二の設定値をスロットル弁開弁時より低
    い値に補正する補正手段とを設けたことを特徴とする加
    速スリップ制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008016168A1 (fr) * 2006-07-31 2008-02-07 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Dispositif de commande de la force de propulsion d'un véhicule

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WO2008016168A1 (fr) * 2006-07-31 2008-02-07 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Dispositif de commande de la force de propulsion d'un véhicule
US8515632B2 (en) 2006-07-31 2013-08-20 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Driving force controller for vehicle

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JP2929797B2 (ja) 1999-08-03

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