JPH0583358B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、磁気デイスクのメデイアの保護およ
びクリーニング用として磁気デイスク収納ケース
に組み込まれる不織布からなる磁気デイスク用ラ
イナの加工方法および装置に関する。

（従来の技術） 磁気デイスク用ライナの加工方法として、従
来、総型形状の打抜型で１枚または数枚のライナ
を重ねて打ち抜く方法が採用されている。

しかしながら、総型を用いた上記加工方法にお
いては次のような問題がある。すなわち、総型は
型形状が複雑となるため製作精度を上げることが
難しく、またライナの材料となる不織布はレーヨ
ン、PET（ポリエチレンテレフタレート）等から
なる組成のものが使用されるため加工性が悪く、
したがつて複雑な型形状の総型は耐久性に乏し
く、打抜きの際の切味が早く低下してしまうとい
う欠点がある。このため、上記加工方法のうちラ
イナを１枚ずつ成形する加工方法にあつては、成
形されるライナの枚数に比して型摩耗が著しく早
く、一方、ライナを数枚重ねて成形する加工方法
にあつては、成形後ライナを１枚ずつに分離する
のが非常に困難であり、分離するのに手作業を要
するため、自動組付工程に組み込むことができな
い。

このような問題を解決するため、型をいくつか
に分割して成形を行う方法が考えられるが、型数
が増えるため設備費が高価なものとなつてしま
い、また、たとえ型を分割したとしても、総型と
同様に、ライナ外形形状に合わせて不織布を打ち
抜くことが必要となるため、ライナより大きな不
織布を供給することが必要となり、材料の歩止ま
りを向上させることができない。

（発明の目的） 本発明は、このような事情に鑑みなされたもの
であつて、加工精度および耐久性に優れ、かつ安
価な設備で、しかも加工の際の材料のロスを最小
限に押えることのできる磁気デイスク用ライナの
加工方法および装置を提供することを目的とす
る。

（発明の構成） 本発明による磁気デイスク用ライナの加工方法
は、所定幅の帯状の不織布を複数枚重ね合わせて
供給し、該重ね合わされた複数枚の不織布に中心
孔の打抜きと周縁部４箇所の切断とを同時に施し
た後、各不織布を互いに分離し、その後各不織布
の先端部を所定長さに切断することを特徴とする
ものである。

上記「所定幅」とは、磁気デイスク用ライナの
縦、横いずれか一方の所要寸法と略同一寸法の幅
を意味する。

上記「複数枚重ね合わせて供給」するための手
段は特に限定されないが、例えば、予め複数枚重
ね合わせて原反ロールに巻回された不織布を送り
出すようにしてもよいし、あるいは複数の原反ロ
ールから１枚ずつ送り出して途中で重ね合わせる
ようにしてもよい。

上記「中心孔」は、磁気デイスク用ライナの中
心孔として帯状の不織布の幅方向略中央に形成さ
れる孔を意味する。

上記「周縁部４箇所の切断」とは、磁気デイス
ク用ライナの四隅の角を取るために、前記「中心
孔」から所定距離に位置する部分にスリツトを入
れる加工を意味する。

上記「所定長さ」とは、磁気デイスク用ライナ
の前記「所定幅」と直角方向の所要寸法と略同一
寸法を意味する。

また、本発明による磁気デイスク用ライナの加
工装置は、複数枚重ね合わせて同一ピツチで送ら
れる所定幅の帯状の不織布に、中心孔の打抜きを
施す打抜型と、該打抜型のパンチ部およびダイ部
に着脱自在に設けられ、前記不織布の前記中心孔
の周縁部４箇所を、前記打抜型による前記中心孔
の打抜きと同時に切断する上刃および下刃とを備
えてなることを特徴とするものである。

（実施例） 以下添付図面を参照して本発明の一実施例につ
いて詳述する。

第１図は、本実施例による磁気デイスク用ライ
ナの加工方法の概要を示す図、第２ａおよび２ｂ
図は、第１図のａおよびｂ方向矢視図であ
る。

第１図に示すように、磁気デイスク用ライナと
同一幅の不織布が巻回された原反ロール１ａ，１
ｂからテンシヨンローラ２ａ，２ｂおよびパスロ
ーラ３ａ，３ｂを経て送り出された２枚のウエブ
４ａ，４ｂが、パスローラ５を通過する際重ね合
わせられ、駆動ローラ６，７，８およびこれらに
係合するニツプローラ９，１０，１１と、前記駆
動ローラ６，７，８の回転と同期して各ウエブ４
ａ，４ｂの先端部にてライナ１枚分の長さの距離
を前後動するグリツパ１２ａ，１２ｂとによつて
定尺ピツチ送りがなされる。ウエブ４ａ，４ｂ
は、駆動ローラ６を通過した後、第２ａおよび２
ｂ図に詳細に示すように、重ね合わせ状態のま
ま、幅方向中央部分の打抜きおよび周縁部４箇所
の切断が同時になされ、これにより中心孔１３お
よび４本のスリツト１４が形成される。このと
き、１ピツチ前における切断加工により形成され
た４本のスリツト１４のうち後側２本と、今回の
切断加工によるスリツト１４の前側２本とによつ
てウエブ４ａ，４ｂの両側が三角形状に切り落と
される。

ウエブ４ａ，４ｂは、駆動ローラ７を通過する
と互いに分離して送られ、上側に位置するウエブ
４ａは駆動ローラ７通過直後に、下側に位置する
ウエブ４ｂはダンサロール１５、パスローラ１６
および駆動ローラ８を経た後に、先端からライナ
１枚分の長さの位置１７ａ，１７ｂにて夫々切断
される。

こうして１ピツチ定尺送りされる毎にウエブ４
ａ，４ｂから切り離される、中心孔１３および外
周形状の加工がなされた半加工ライナ１８ａ，１
８ｂが夫々１９ａ，１９ｂを回転軸としてウエブ
４ａ，４ｂの定尺ピツチ送りと同期して回転する
ピツクアツプ装置により取り上げられて所定角度
ずつ送られ、90°回転した位置にて磁気デイスク
収納ケースの窓部に対応する窓部２０ａ，２０ｂ
を形成するための切断加工がなされ、これにより
ライナ２１ａ，２１ｂが完成する。その後これら
のライナ２１ａ，２１ｂは、180°回転した位置に
て、ウエブ４ａ，４ｂの定尺ピツチ送りの方向と
同一方向からコンベヤ、定尺ピツチ送り装置等に
よつて搬送されてくる磁気デイスク収納ケースの
上ハーフ２２ａおよび下ハーフ２２ｂに夫々組み
込まれ、次の工程に搬送される。

第３図は、上記加工工程において、ウエブ４
ａ，４ｂに中心孔１３および周縁部４箇所のスリ
ツト１４を形成するための打抜きおよび切断を同
時に行うダイセツト２３と、この打抜き、切断後
にウエブ４ａ，４ｂをライナ１枚分の長さに切断
するカツタ装置２４とを示す図である。

ダイセツト２３は、ウエブ４ａ，４ｂが２枚重
ねとなる駆動ローラ６および７間に設けられ、そ
の上型（可動型）２５および下型（固定型）２６
には、外形形状が八角形に形成された中心孔１３
打抜用のパンチ部２７およびダイ部２８が固定さ
れていて、ダイ部２８の四隅には夫々下刃２９が
取付ボルト３０により固定され、パンチ部２７の
四隅には夫々上刃３１が皿バネ（またはコイルス
プリング）３２を介して取付ボルト３０により固
定されている。上刃３１は、下刃２９に対し、交
叉角が0.5〜1°（望ましくは0.5°）、シヤー角が２〜
5°（概略3°）となるように取付けがなされる。

カツタ装置２４は、２枚重ねのウエブ４ａ，４
ｂが互いに分離して送られる位置、すなわちウエ
ブ４ａ用として駆動ローラ７を通過した位置、ウ
エブ４ｂ用として駆動ローラ８を通過した位置
に、夫々同一構造のものが設けられている。第３
図においては、ウエブ４ａ用のカツタ装置２４の
みを示す。カツタ装置２４には、ウエブ４ａがグ
リツパ１２ａにより定尺ピツチ送りされ図示の位
置に移動した直後に下方から上昇しウエブ４ａの
先端の２つの中心孔１３に嵌入する１対の位置決
めピン３３が設けられていて、切断加工の際の位
置決めをするようになつている。位置決めピン３
３の上端部には、中心孔１３への嵌入を容易にす
るための円錐状のテーパ部が形成されている。ま
た位置決めピン３３の周辺には、位置決めの際に
ウエブ４ａが浮き上がらないように保持するため
のサクシヨン穴３４が複数形成されている。上記
１対の位置決めピン３３の間には、位置決めされ
たウエブ４ａの先端からライナ１枚分の長さの距
離の位置に、カツタ装置２４の下刃３５が取付ボ
ルト３０にて固定されていて、回動可能に軸支さ
れた上刃ホルダ３６に皿バネ３２を介して取付ボ
ルト３０により固定された上刃３７が、下刃３５
に対し0.5〜1°の交叉角をもつて設けられている。
これら上刃３７および下刃３５により切断された
ウエブ４ａは、ライナと同一外形形状を有する半
加工ライナ１８ａとなる。

第４図は、半加工ライナ１８ａを吸着ヘツド３
８ａにより取り上げて回転軸１９ａを中心に回転
し、カツタ装置３９により窓部２０ａ形成のため
の切断をしてライナ２１ａを完成させた後、さら
に回転して磁気デイスク収納ケース２２ａに組み
込むピツクアツプ装置の機能を示す図である。

第５ａ乃至５ｃ図は、カツタ装置３９の詳細図
である。第５ａ図に示すように、カツタ装置３９
は、テーブル４０に取付ボルト３０により固定さ
れた１対の下刃４１と、支点４２を中心に回動可
能に設けられた上刃ホルダ４３の先端部両側に、
取付ボルト３０によつて固定された１対の上刃４
４とによつて、半加工ライナ１８ａに窓部２０ａ
を形成するための切断加工をするようになつてい
る。各下刃４１の内側には夫々テーパ部４５が形
成されていて、これにより切断の際の上刃４４の
ガイドの機能を果すようになつている。上刃４４
の上刃ホルダ４３への取付けは、２本の取付ボル
ト３０によつてなされるが、第５ｂ図に示すよう
に、支点４２側の取付ボルト３０ａは皿バネ３２
を介して上刃４４を上刃ホルダ４３に押し付ける
ようにして締結される一方、刃先側の取付ボルト
３０ｂには皿バネ３２が介装されておらず、これ
により、１対の上刃４４の先端が互いに僅かに広
がり得るようにし、下刃４１に対して0.5〜1°の
交叉角を得るようになつている。この交叉角の他
に第５ｃ図に示すように、上刃ホルダ４３の断面
形状を台形とすることにより、上刃４４に下方へ
末広がりの傾斜を僅かにつけるようになつてい
る。これにより切味を一層向上させることができ
る。また、上刃ホルダ４３の支点４２の位置は、
切断の際の上刃４４と下刃４１とのシヤー角が2°
以上つくような位置に設定される。

以上本実施例においては、中心孔１３の打抜加
工以外すべて切断加工によつてライナ加工がなさ
れるので、単純な打抜型のほかに着脱自在な刃を
揃えるだけでよく、したがつて型寿命を長くする
ことができ、また刃の切味が悪くなつたら取付ボ
ルト３０により容易に交換を行うことができる。
なお、本実施例においては、２枚のウエブ４ａ，
４ｂを供給してライナ加工する場合について示し
たが、例えば磁気デイスク収納ケースの上ハーフ
２２ａ，下ハーフ２２ｂの搬送ピツチが早く、こ
れに対応したピツチでライナ２１ａ，２１ｂの供
給をしたい場合等に備えて、３本以上の原反ロー
ルからウエブを供給するようにしてもよい。この
場合、駆動ローラ７および８間にて重ね合わせ状
態のウエブに所定の加工をし、その後分離してそ
れ以外の加工をすることは上記実施例と同様であ
る。

（発明の効果） 以上詳述したように、本発明による磁気デイス
ク用ライナの加工方法は、型による加工が行われ
るのが中心孔の打抜きのみであるため、高精度で
耐久性に優れた型を容易に製作することができ、
したがつて加工工程全体の設備費を安価なものと
することができ、また周縁部の加工が切断により
行われるので、ライナのサイズ以上の不織布を供
給する必要がなく、加工の際の材料のロスを最小
限に押えることができる。しかも、中心孔および
周縁部４箇所の加工が、帯状になつた不織布を複
数枚重ね合わせた状態でなされる一方、ライナ１
枚分の長さに切断する加工が、重ね合わせ状態か
ら１枚ずつに分離した後になされるようになつて
いるので、能率よく加工できる上後工程でのライ
ナ分離作業を省くことができる。

また、本発明による磁気デイスク用ライナの加
工装置は、中心孔の打抜きを施す打抜型に着脱自
在に設けられた上刃および下刃によつて中心孔の
周縁部４箇所の切断がなされるようになつている
ので、加工性の悪い不織布であつても容易に加工
することができ、また上刃、下刃の切味が悪くな
つたときには新しい刃と交換することも簡単に行
うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による磁気デイスク用ライナの
加工方法の一例を示す概要図、第２ａ図は第１図
のａ方向矢視図、第２ｂ図は第１図のｂ方向
矢視図、第３図は本発明による磁気デイスク用ラ
イナの加工装置の一例を示す斜視図、第４図は第
３図の後工程で使用されるピツクアツプ装置の機
能を示す斜視図、第５ａ図は第４図のａ部拡大
図、第５ｂ図は第５ａ図のｂ方向矢視図、第５
ｃ図は第５ａ図のｃ−ｃ線断面図である。 ４ａ，４ｂ……ウエブ、１３……中心孔、１４
……スリツト、２７……パンチ部、２８……ダイ
部、２９……下刃、３１……上刃。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 所定幅の帯状の不織布を複数枚重ね合わせて
   供給し、該重ね合わされた複数枚の不織布に中心
   孔の打抜きと周縁部４箇所の切断とを同時に施し
   た後、各不織布を互いに分離し、その後各不織布
   の先端部を所定長さに切断することを特徴とする
   磁気デイスク用ライナの加工方法。 ２ 複数枚重ね合わせて同一ピツチで送られる所
   定幅の帯状の不織布に、中心孔の打抜きを施す打
   抜型と、 該打抜型のパンチ部およびダイ部に着脱自在に
   設けられ、前記不織布の前記中心孔の周縁部４箇
   所を、前記打抜型による前記中心孔の打抜きと同
   時に切断する上刃および下刃とを備えてなること
   を特徴とする磁気デイスク用ライナの加工装置。