JPH0582089A

JPH0582089A - 高圧金属蒸気放電灯

Info

Publication number: JPH0582089A
Application number: JP3245761A
Authority: JP
Inventors: Shiro Inaba; 史郎稲葉; Yasuhiro Iwato; 泰博岩藤; Yoichiro Kogyo; 陽一郎光行
Original assignee: Toshiba Lighting and Technology Corp
Current assignee: Toshiba Lighting and Technology Corp
Priority date: 1991-09-25
Filing date: 1991-09-25
Publication date: 1993-04-02
Anticipated expiration: 2013-12-14
Also published as: JP2836315B2

Abstract

(57)【要約】【目的】始動時に水銀蒸気圧の上昇を速やかに促し、紫
外線などの光出力の立上がりを時間を短縮する高圧金属
蒸気放電灯を提供する。【構成】一対の電極３、４を対設けた発光管１内に、少
なくとも水銀を封入した高圧金属蒸気放電灯において、
ランプを消灯した場合に少なくとも一方の電極３、４に
水銀が付着しているようにした。【作用】ランプを消灯した場合に水銀が電極に付着して
いるので、ランプ始動時には電極の温度上昇に伴って水
銀が速やかに蒸発され、水銀蒸気圧が早く上昇する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも水銀を封入
した高圧金属蒸気放電灯に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近、ランプから発する紫外線を利用し
て光化学反応を生じさせる技術が種々の分野で広く用い
られるようになってきた。例えば、半導体製造技術の分
野においては、光ＣＶＤ（ＰｈｏｔｏＣｈｅｍｉｃａ
ｌＶａｐｏｒＤｅｐｏｓｉｔｉｏｎ）法を用いて基
板にシリコン薄膜を成長させたり、紫外線照射により光
レジストを重合させて硬化させたり、紫外線を照射する
光アッシングおよび光洗浄などが広く普及している。ま
た、水の浄化や減菌処理、食肉の殺菌処理などの分野で
も、短波長の紫外線を照射してこれらの処理をする技術
が急速に開発されている。これらの各分野においては、
紫外線（ＵＶ）を効率よく照射する光源の開発が望まれ
ており、このためショートアーク形超高圧水銀放電灯が
用いられている。

【０００３】この種のショートアーク形超高圧水銀放電
灯は、紫外線を透過する石英ガラスなどからなる発光管
内に、比較的距離を接近させて一対の電極を対向して設
けるとともに、この発光管内に水銀および希ガスを封入
し、この水銀蒸気を高圧状態、例えば１０〜５０気圧で
放電させることにより、該水銀の共鳴線であるところの
１８５nmおよび２５４nmの短波長紫外線（ＵＶ）を主と
して放射し、平均輝度が数１０００cd／ｍ² にも達する
ようになっている。

【０００４】しかしながら、このような紫外線照射用の
ショートアーク形超高圧水銀放電灯においては、点灯直
後の紫外線照度が低く、いわゆる紫外線強度の立上がり
時間が長い不具合がある。このため、紫外線の照射・停
止を繰返すような紫外線照射作業では、一旦消した光源
が所定のＵＶ出力に達するまで待たなければならず、こ
の立上がり時間を短縮する要請が強くなされている。

【０００５】立上がりが遅いのは、水銀が１０〜５０気
圧の高圧状態まで蒸発するのに時間がかかるためであ
り、これを改善する手段として、ランプの始動直後に数
分間だけ、安定点灯時の数倍の電流を流して放電電流を
高くし、水銀の蒸発を促すことが考えられる。

【０００６】しかしながら、このような手段は、電極に
流れる電流が大きくなり、電極の温度上昇も著しく高く
なるため、タングステンなどのような電極物質が飛散
し、電極の消耗が著しくなるとともに、飛散物質の付着
によるバルブ壁の黒化が進み、このためＵＶ透過率が低
下し、ＵＶ照度維持率が低くなる欠点がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】また、紫外線強度の立
上がり時間を短縮する他の手段としては、予め発光管を
予熱しておき、水銀蒸気圧を高くしておいて始動させる
ことも考えられる。この場合は、既に水銀蒸気圧が高い
ので、安定点灯時の高圧状態に素早く達するためＵＶ出
力の立上がりが短くなる。

【０００８】しかしながら、このような場合は始動時の
水銀蒸気圧が高いので始動し難く、ランプ始動電圧を高
くしなければならず、電源や点灯回路および始動回路が
耐圧構造となり、高価になるなどの不具合がある。

【０００９】本発明はこのような事情にもとづきなされ
たもので、その目的とするところは、始動時に水銀蒸気
圧の上昇を速やかに促し、紫外線などの光出力の立上が
りを改善する高圧金属蒸気放電灯を提供しようとするも
のである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の１番目は、一対
の電極を対設けた発光管内に、少なくとも水銀を封入し
た高圧金属蒸気放電灯において、ランプを消灯した場合
に少なくとも一方の電極に水銀が付着しているようにし
たことを特徴とする。

【００１１】本発明の２番目は、一対の電極を対設した
発光管内に、少なくとも水銀を封入した高圧金属蒸気放
電灯において、ランプを消灯した場合に電極へ水銀を付
着させるように電極を冷却する冷却促進手段を設けたこ
とを特徴とする。

【００１２】

【作用】本発明の１番目によれば、ランプを消灯した場
合に電極に水銀が付着しているので、ランプ始動時には
電極の温度上昇に伴ってこの電極に付着している水銀が
速やかに蒸発され、よって水銀蒸気圧の上昇が早くな
る。この結果、紫外線などの光出力の立上がり時間が短
縮される。

【００１３】また、本発明の２番目によれば、ランプを
消灯した場合に電極の冷却促進手段が電極を積極的に冷
却するので、電極へ水銀が多量に付着し、よってランプ
始動時に水銀を速やかに蒸発させることができる。

【００１４】

【実施例】以下本発明について、図に示す一実施例にも
とづき説明する。図において、１はショートアーク形超
高圧水銀放電灯の発光管であり、石英ガラスなどにより
構成されており、両端部に封止部２、２が形成されてい
る。

【００１５】発光管１内には互いに対向して陽極３およ
び陰極４が設けられている。これら陽極３および陰極４
はそれぞれタングステンからなり、陽極３は体積を大き
くしてあるとともに陰極４は先端が尖って小さな体積と
してある。これら陽極３と陰極４は数mmの寸法を存して
互いに対向されており、それぞれ後端部は上記封止部
２、２に封着されたモリブデンなどからなる金属箔導体
５、５に接続されている。金属箔導体５、５は図示しな
いリード線を介し水銀の共鳴線であるところの１８５nm
および２５４nmの短波長紫外線（ＵＶ）を主として放射
し、平均輝度が数１０００cd／ｍ² にも達するようにな
っているて、上記封止部２、２の端部に被着された口金
６、６に接続されている。口金６、６は、ステンレスな
どのような耐熱金属により形成されている。上記発光管
１内には、点灯中に１０〜５０気圧となる水銀と、４０
０Torr程度のアルゴンなどの希ガスが封入されている。

【００１６】そして、本実施例においては、電極の冷却
促進手段として上記口金６、６を強制冷却する手段が設
けられている。すなわち、口金６、６の外部には、例え
ば送風ファン７、７または送風ファンから圧送される風
を口金６、６に向けて案内するダクト（またはノズル）
が設けられており、ランプを消灯したときに、このよう
な送風によって口金６、６が強制冷却されるようになっ
ている。このような構成のショートアーク形超高圧水銀
放電灯について、作用を説明する。

【００１７】ランプが安定点灯している場合、発光管１
内の水銀蒸気圧は１０〜５０気圧に達しており、紫外線
強度が強く、水銀の共鳴線であるところの１８５nmおよ
び２５４nmの短波長紫外線（ＵＶ）を主として放射し、
例えば平均輝度が数１０００cd／ｍ² にも達するように
なっている。

【００１８】そして、このようなランプを消灯させた場
合、消灯と同時に送風ファン７、７の運転を開始する。
すると、送風ファン７、７からの送風により口金６、６
が強制冷却され、封止部２、２の温度が発光管中央部よ
りも早く冷却される。

【００１９】このため、電極３、４の熱が封止部２、２
や金属箔導体５、５に逃がされるので電極３、４の温度
が、発光管１の放電空間に臨む内面の温度に比べて比較
的早く冷えることになる。このため、蒸発していた水銀
が急令された電極３、４に凝集する。すなわち、ランプ
消灯時に多量の水銀が電極３、４に付着することにな
る。このような状態で、ランプを始動させた場合は、電
極３、４の温度が上昇することに伴って電極に付着して
いた水銀の蒸発が促される。

【００２０】つまり、消灯時には電極３、４のほかに発
光管の内面にも水銀が凝集して付着しているが、始動時
の立上り過程で電極に付着されている水銀が、発光管壁
面に付着されている水銀よりも早く蒸発することにな
る。このため、発光管１内の水銀蒸気圧が速やかに上昇
し、短時間で安定点灯時の蒸気圧に達するので、紫外線
出力の立上がりが短縮されることになる。

【００２１】この場合、従来のように、安定点灯時の数
倍の電流を流して放電電流を高くする必要がなく、よっ
て電極の消耗やバルブ壁の黒化を防止することができ、
また、予め発光管を予熱しておく必要もないから、ラン
プの始動電圧が高くなるなどの不具合も防止される。

【００２２】そして、本発明者等の実験によれば、消灯
時に口金６、６を送風ファン７、７により強制冷却した
場合、送風量を制御することにより発光管１内に封入さ
れている水銀の総量の０〜５０重量％の範囲で電極３、
４に付着させることができることが確認された。そし
て、消灯時に水銀封入総量の５０重量％を電極３、４に
付着させるようにすると、ＵＶ出力の立上がり時間は、
従来の平均立上がり時間４分を、約１分３０秒に短縮で
きることが判った。

【００２３】そして、少くとも従来の平均立上がり時間
の４分より短い時間で立ち上げようとすると、図２に示
す実験特性図から理解できるように、消灯時に水銀封入
総量の６重量％を電極３、４に付着させるようにすれば
よいことが判った。なお、本発明は上記実施例に制約さ
れるものではない。すなわち、上記実施例の場合、陽極
３と陰極４を備えた直流点灯式のショートアーク形超高
圧水銀放電灯について説明したが、交流点灯式であって
もよい。

【００２４】また、本発明は高圧水銀放電灯について説
明したが、発光管に少くとも水銀を封入し、その他ハロ
ゲン金属を封入したメタルハライドランプ、またはナト
リウムを封入した高圧ナトリウムランプなどであっても
適用でき、いづれの場合も光束立上がり時間を短縮でき
る効果がある。

【００２５】さらに、消灯時に電極の温度を素早く下げ
る手段としては、口金６、６を強制送風により空冷する
手段のほかに、水冷してもよいし、口金以外に発光管の
封止部を強制冷却するようにしてもよい。

【００２６】また、このような強制冷却のほかに、また
は併用して、電極軸を太くし、消灯時に電極の熱を封止
部や口金に素早く伝達して電極を冷却するなどの構成を
採用してもよい。

【００２７】なお、上記実施例で説明したショートアー
ク形超高圧水銀放電灯は、点灯中に発光管温度が上昇す
るので、これの過度な温度上昇を抑えるため、点灯中に
発光管全体を水冷または空冷する構造を採用したものが
知られている。これに対し、本発明の場合は、点灯中で
はなく、消灯した直後に電極部を冷却するものである。
したがって、上記点灯中の発光管冷却手段を利用して、
消灯した直後に口金または封止部を冷却するようにして
もよい。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように本発明の１番目によ
ると、ランプを消灯した場合に電極に水銀が付着してい
るので、ランプ始動時には電極の温度が上昇するに伴っ
てこの電極に付着している水銀の蒸発が促され、安定点
灯状態の水銀蒸気圧に素早く上昇することになる。この
結果、従来のように、電極の消耗やバルブ壁の黒化を生
じることなく、また、ランプの始動電圧が高くなること
なく、光出力の立上がり時間を短縮することができる。

【００２９】また、本発明の２番目によれば、ランプを
消灯した場合に電極の冷却促進手段が電極を積極的に冷
却するので、電極へ水銀が多量に付着し、よってランプ
始動時に水銀を速やかに蒸発させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すショートアーク形超高
圧水銀放電灯の側面図。

【図２】同実施例のＵＶ照度立上がり時間と水銀封入総
量に対する電極付着量との関係を示す特性図。

【符号の説明】

１…発光管、２…封止部、３、４…電極、５…金属箔導
体、６…口金、７…送風ファン。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】一対の電極を対設した発光管内に、少な
くとも水銀を封入した高圧金属蒸気放電灯において、ランプ消灯には、少なくとも一方の電極に水銀が付着し
ていることを特徴とする高圧金属蒸気放電灯。
【請求項２】一対の電極を対設した発光管内に、少なく
とも水銀を封入した高圧金属蒸気放電灯において、ランプを消灯した場合に電極へ水銀を付着させるように
電極を冷却する冷却促進手段を設けたことを特徴とする
高圧金属蒸気放電灯。
【請求項３】ランプを消灯した場合に電極への水銀付
着量が水銀封入総量の６重量％以上となるようにしたこ
とを特徴とする請求項１または請求項２に記載の高圧金
属蒸気放電灯。
【請求項４】上記冷却促進手段は、電極を封着した発
光管の端部を空冷または水冷する強制冷却手段であるこ
とを特徴とする請求項２に記載の高圧金属蒸気放電灯。
【請求項５】上記冷却促進手段は、電極軸を太くして
封止部への熱伝導を高めたことを特徴とする請求項２に
記載の高圧金属蒸気放電灯。