JP5182592B2 - 紫外線照射装置及びその消灯時制御方法 - Google Patents
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Description
そのため、照射装置においては放電灯の管壁、及び照射装置内の冷却と、O3排出の目的で紫外線照射部より空気を排出する空冷が行われる。
点灯中に放電灯の発光管内で水銀蒸気となっている水銀原子は、放電灯消灯後の水銀蒸気圧の低下に伴い発光管内で液化し始める。ここで、液化を開始する箇所は発光管内の最も温度が低い最冷部である。そのため発光管の温度分布が一様でないと水銀の液化分布が偏った分布となり、高温部と最冷部の温度勾配が大きいほど水銀の液化分布の偏りも大きくなってしまう。
従って、放電灯の次回点灯における確実な始動のために、消灯時に冷却ベース部の温度及び発光管部の温度を適切に制御しておく必要がある。
他の実施例では、制御部が、消灯信号を受けると、第二の冷却装置の冷却能力を安定点灯時よりも上昇させてから、点灯装置に低圧水銀蒸気放電灯を消灯するよう構成される。
さらに他の実施例では、制御部が、消灯信号を受けると、第一の冷却装置の冷却能力を安定点灯時よりも低下させ、又は第一の冷却装置を停止させるとともに、第二の冷却装置の冷却能力を安定点灯時よりも上昇させてから、点灯装置に低圧水銀蒸気放電灯を消灯するよう構成される。
また、上記ステップ(S21)と(S22)を並行して行なってもよい。
図1は本発明の紫外線照射装置に設置される低圧水銀蒸気放電灯(以下、「放電灯」という)である。
放電灯17は、石英材料からなる発光管部10、放電灯17の電極となるフィラメント11及び12、放電時にフィラメント電極の損耗を軽減するようフィラメント電極よりも前方に突き出し、放電電子を受けるよう設置されたタングステンやタンタルなどの金属からなる陽極13及び14、発光管端部を冷却制御するためのアルミなどの金属材料からなる冷却ベース15、並びに電力供給線16から構成されている。電力供給線16は図2に示す放電灯点灯装置20(以下、「点灯装置20」という)に接続される。点灯装置20は点灯信号及び消灯信号を受けて放電灯17を点灯又は消灯する。なお、このような放電灯には、発光管が直管で、その両端に冷却ベースを有しているタイプのものもあるが、本開示においては、図1に示すように発光管部をU字型に曲げて電極が封入された発光管端部を互いに近づけた構成として冷却ベースが1つで済むようにしたタイプを用いて説明する。
前述したとおり、放電灯17の安定点灯中は発光管部10の温度が上昇し、放電灯の点灯電力にもよるが冷却を行わないと管壁温度が150℃程度まで上昇してしまい、被照射物に熱による不具合を生じさせてしまう。また、発光管周辺部からはO3が発生するため、O3排出と冷却を目的として、排気ダクト33を含む空冷装置32によって紫外線照射部から空気を排出する空冷が行われ、放電灯17の管壁温度が100℃〜120℃程度に制御される。
そのため、図7のような制御を行うと、発光管部と冷却ベース部の温度勾配が大きい状態が維持され、発光管内の水銀蒸気圧低下に伴って液化する水銀は温度の低い冷却ベース部15側に偏って析出することになる。
まず、本実施例を再現するため紫外線照射装置、低圧水銀蒸気放電灯、及び点灯装置を準備した。紫外線照射装置は、前記したように紫外線照射部をファンにより空冷可能とし、また冷却ベース部を取り付けて、水冷するための冷却ブロックを備えたものである。点灯装置は放電灯を始動させるための無負荷電圧を可変としたものであり、通常は放電灯の始動のために矩形波の760Vを出力するものであるが、本試験においては放電灯の始動性を低下させ、強制的に再点灯時の不点灯を発生させ易くするためにその出力無負荷電圧を500Vとした。
この結果から、本発明が紫外線照射装置における放電灯の消灯後の温度勾配に起因する水銀液化位地の偏りによる再点灯性の悪化に対して、充分な改善効果が得られることが確認できた。
本実施例においては、放電灯を消灯する際、冷却ベース部15を冷却している冷却ブロック31の冷却能力を停止する期間を設け、なおかつ発光管部10を冷却している空冷装置32の冷却能力を安定点灯時よりも上げ、それを維持する期間を設けてから放電灯17を消灯するようにし、消灯後も所定の期間は空冷装置32による空冷を継続するようにした。
ステップS1において、制御部40に消灯信号が入力される。
ステップS2において、制御部40が、放電灯17を点灯させたままの状態で冷却ブロック31及び空冷装置32を、冷却ベース部15と発光管部10の温度の温度勾配小さくなるように制御する。
ステップS3において、制御部40が点灯装置20に放電灯17を消灯させる。
なお、ステップS21とステップS22を並行して行なってもよい。これにより消灯信号が入力されてから実際に放電灯を消灯するまでの期間を短縮することができる。ステップS21及びS22を並行して行なう場合のステップS2の期間は、ステップS21又はS22を単独で採用する場合の3分の2程度である。
(1)低圧水銀蒸気放電灯については、熱陰極方式、冷陰極方式、その他の方式であればよい。また、発光管の形状は任意であり開示したものに限定されない。
(2)冷却ベース部の形状、材料等は任意に選択され、開示したものに限定されない。
(3)冷却ベース部を冷却する冷却ブロックの冷却手段については、冷却能力を可変であれば水冷、空冷、及びその他のいずれの冷却手段でも構わない。
(4)放電灯の点灯装置については、その回路方式、放電灯点灯波形、放電灯点灯周波数などの仕様は適宜選択される。
(5)実施例では、消灯前後の「冷却ブロックの冷却能力/空冷装置の冷却能力」の関係について、「低下(停止)/維持」(実施例1)、「維持/上昇」(実施例2)、及び「低下(停止)/上昇」(実施例3)の組合せを示したが、結果として冷却ベース部の温度と発光管部の温度の温度勾配が小さくなるのであれば、例えば「上昇/上昇」の組合せとしてもよい。即ち、この場合、冷却ブロックの冷却能力の上昇レベルよりも空冷装置の冷却能力の上昇レベルが上回れば本発明の効果が得られる。また、「低下/低下」の組合せについても同様に可能である。
(6)本実施例では主に消灯直前の冷却ブロック及び空冷装置の種々の動作を説明したが、同様の各動作を消灯直後にも適用することができる。
11、12:フィラメント電極
13、14:陽極
15:冷却ベース(部)
16:電力供給線
17:低圧水銀蒸気放電灯
20:放電灯点灯装置
30:紫外線被照射物
31:冷却ブロック
32:空冷装置
33:排気ダクト
40:制御部
Claims (8)
- 発光管部(10)の端部に発光管内の水銀蒸気圧を制御するための冷却ベース部(15)を備えた低圧水銀蒸気放電灯(17)、前記冷却ベース部を冷却する第一の冷却装置(31)、前記発光管部を冷却する第二の冷却装置(32)、点灯信号及び消灯信号を受けて前記低圧水銀蒸気放電灯の点灯及び消灯を行なう点灯装置(20)、並びに前記第一の冷却装置、前記第二の冷却装置及び前記点灯装置を制御する制御部(40)を備えた紫外線照射装置において、
前記制御部が、消灯信号を受けると、前記放電灯を点灯させたまま前記冷却ベース部の温度と前記発光管部の温度の温度勾配が小さくなるように前記第一の冷却装置及び前記第二の冷却装置の動作状態を制御した後に、前記点灯装置に前記低圧水銀蒸気放電灯を消灯させるよう構成された紫外線照射装置。 - 請求項1の紫外線照射装置において、前記制御部が、前記消灯信号を受けると、前記第一の冷却装置の冷却能力を安定点灯時よりも低下させ、又は前記第一の冷却装置を停止させてから、前記点灯装置に前記低圧水銀蒸気放電灯を消灯させるよう構成された紫外線照射装置。
- 請求項1の紫外線照射装置において、前記制御部が、前記消灯信号を受けると、前記第二の冷却装置の冷却能力を安定点灯時よりも上昇させてから、前記点灯装置に前記低圧水銀蒸気放電灯を消灯するよう構成された紫外線照射装置。
- 請求項1の紫外線照射装置において、前記制御部が、前記消灯信号を受けると、前記第一の冷却装置の冷却能力を安定点灯時よりも低下させ、又は前記第一の冷却装置を停止させるとともに、前記第二の冷却装置の冷却能力を安定点灯時よりも上昇させてから、前記点灯装置に前記低圧水銀蒸気放電灯を消灯するよう構成された紫外線照射装置。
- 発光管部(10)の端部に発光管内の水銀蒸気圧を制御するための冷却ベース部(15)を備えた低圧水銀蒸気放電灯(17)の消灯時制御の方法であって、
(S1)制御部(40)が消灯信号を受けるステップ、
(S2)前記制御部が、前記放電灯を点灯させたまま前記冷却ベース部を冷却する第一の冷却装置(31)及び前記発光管部を冷却する第二の冷却装置(32)を、前記冷却ベース部の温度と前記発光管部の温度の温度勾配が小さくなるように制御するステップ、及び
(S3)前記制御部が前記点灯装置に前記低圧水銀蒸気放電灯を消灯させるステップ
を備える方法。 - 請求項5の方法において、前記ステップ(S2)が、(S21)前記第一の冷却装置の冷却能力を安定点灯時よりも低下させ、又は前記第一の冷却装置を停止させるステップからなる方法。
- 請求項5の方法において、前記ステップ(S2)が、(S22)前記第二の冷却装置の冷却能力を安定点灯時よりも上昇させるステップからなる方法。
- 請求項5の方法において、前記ステップ(S2)が、(S21)前記第一の冷却装置の冷却能力を安定点灯時よりも低下させ、又は前記第一の冷却装置を停止させるステップ、及び(S22)前記第二の冷却装置の冷却能力を安定点灯時よりも上昇させるステップを並行して行なうことを特徴とする方法。
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