JP2000208100A - 高圧水銀ランプ、およびその光源装置 - Google Patents

高圧水銀ランプ、およびその光源装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 点灯始動性を改善した高圧水銀ランプ、およ
びその光源装置を提供すること。 【解決手段】石英ガラスからなる放電容器(2)に一対の
タングステン電極(4,5)が2.0mm以下で間隙をも
って対向配置しており、かつ、この放電容器(2)に0.
1mg/mm3以上の水銀が封入された構成において、
前記一対のタングステン電極(4,5)が絶縁破壊した
後、0〜50μ秒の期間に当該高圧水銀ランプ(1)に供
給されるエネルギーが1×10-3〜2×10-2Jである
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は高圧水銀ランプに
関する。特に、放電容器内に多量の水銀が封入され、点
灯時の水銀蒸気圧が百数十気圧以上にもなる超高圧な水
銀ランプであって、液晶ディスプレイ装置などのバック
ライトとして使用されるものに関する。
【0002】
【従来の技術】投射型の液晶ディスプレイ装置は、矩形
状のスクリーンに対して均一に、しかも十分な演色性を
もって画像を照明させることが要求され、このため、光
源として、水銀や金属ハロゲン化物を封入させたメタル
ハライドランプが使われる。また、メタルハライドラン
プでも、最近では、より一層の小型化、点光源化が進め
られ、電極間距離の極めて小さいものが実用化されてい
る。
【0003】このような背景のもと、最近では、メタル
ハライドランプに代わって、極めて高い水銀蒸気圧、例
えば200バール(約197気圧)以上、を持つランプが
提案されている。これは、水銀蒸気圧をより高くするこ
とで、アークの広がりを抑える(絞り込む)とともに、
より一層の光出力の向上を図るというものであり、例え
ば、特開平2−148561号、特開平6−52830
号に開示されている。
【0004】特開平2−148561号(米国特許第
5,109,181)には、タングステンからなる一対
の電極を有する放電容器に希ガスと、0.2mg/mm
3以上の水銀と、1×10-6〜1×10-4μmol/m
3の範囲のハロゲンを封入して、1W/mm2以上の管
壁負荷で動作させる高圧水銀ランプが開示されている。
【0005】一方、特開平6−52830号(米国特許
第5,497,049)には、上記の水銀量、管壁負荷
値、ハロゲン量に加えて、放電容器の形状や電極間距離
を規定している。
【0006】しかしながら、このように水銀が多量に封
入された高圧水銀ランプにおいては、ランプを消灯させ
たときに当該水銀が電極上に付着する。これは発光管を
形成している石英ガラスよりもタングステン製電極の方
が熱伝導が良いので、ランプを消灯させると石英より電
極の方が早く冷えるからと考えられる。そして、電極に
水銀が付着すると、その次の点灯始動においては、タン
グステンよりも水銀から電子が放射して放電が開始され
る。この結果、放電エネルギーは水銀の気化に使われ電
極の温度は上昇せず、また、熱電子放出も機能しにくい
ので、絶縁破壊直後に高圧水銀ランプに供給されるエネ
ルギーが小さいとランプは定常的なアークへ移行するこ
とができず、始動動作を何回か繰り返すうちに黒化が発
生してしまう。逆に、絶縁破壊直後に高圧水銀ランプに
供給されるエネルギーが大きすぎると、タングステンの
温度が上昇し、タングステンが蒸発して発光管壁に付着
することで黒化が発生する。また、供給エネルギーが大
きい場合、ランプがアークに移行した後も点灯が安定せ
ず、ランプが立ち消えてしまう現象も観測されている。
この場合も始動動作を繰り返すことにより黒化が発生し
てしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明が解
決しようとする課題は、点灯始動性を改善した高圧水銀
ランプ、およびその光源装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明の高圧水銀ランプは、石英ガラスからなる
放電容器に一対のタングステン電極が2.0mm以下で
間隙をもって対向配置しており、かつ、この放電容器に
0.1mg/mm3以上の水銀が封入された構成におい
て、前記一対のタングステン電極が絶縁破壊した後、0
〜50μ秒の期間に当該高圧水銀ランプに供給されるエ
ネルギーが1×10-3〜2×10-2Jであることを特徴
とする。
【0009】さらに、この発明の光源装置は、石英ガラ
スからなる放電容器に一対のタングステン電極が2.0
mm以下で間隙をもって対向配置しており、かつ、この
放電容器に0.1mg/mm3以上の水銀が封入された
高圧水銀ランプと、この高圧水銀ランプを点灯させる電
源からなり、前記電源は、前記高圧水銀ランプに対して
一対のタングステン電極を絶縁破壊させた後、0〜50
μ秒の期間に、1×10-3〜2×10-2Jのエネルギー
を供給することを特徴とする。
【0010】さらには、前記高圧水銀ランプは、放電容
器内に希ガスと、臭素、塩素もしくは沃素からなるハロ
ゲンを含むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】図1に本発明にかかる高圧水銀ラ
ンプを示す。水銀ランプ1は石英ガラスよりなり、中央
の放電容器2とその両端につながる細長の側管部3より
構成される。放電容器2の中(以下、これを「発光空
間」ともいう)には、陽極4と陰極5が、1.2mm程
度の間隙をもって配置される。これら陽極4、陽極5の
後端は側管部3の中で金属箔6に溶接される。そして、
金属箔6からは外方に外部リード7がつながる。
【0012】発光空間には、発光物質として水銀が封入
され、また、点灯始動ガスとしてアルゴン、キセノン等
の希ガスが封入される。水銀の封入量は、例えば、0.
10mg/mm3以上であって、これは安定点灯時の蒸
気圧が百数十気圧以上になるものである。さらに、臭
素、沃素などのハロゲン元素を封入することもでき、こ
れにより、いわゆるハロゲンサイクル現象を利用して点
灯寿命の長期化を図ることができる。上記高圧水銀ラン
プは、図1に示すように、直流点灯型で説明されている
が、点灯方式が交流でも良いことは言うまでもない。
【0013】図2に上記高圧水銀ランプによる分光スペ
クトルを示す。図から明らかなように波長380〜78
0nm付近の可視領域に効果的に放射されていることが
示される。特に、波長600〜780nmの赤色領域の
連続放射が多く、これは水銀封入量0.05mg/mm
3以下のランプに比べてきわめて増加している。
【0014】図3は高圧水銀ランプと電源からなる光源
装置を示す。一対の電極を有する水銀ランプ31に点灯
回路32が接続されている。点灯回路32には直流電源
や始動パルス発生回路、さらにランプ電圧やランプ電流
を検出して点灯状態を一定に制御する回路などが含まれ
ている。放電ランプ31と点灯回路32の間にはコンデ
ンサ33が水銀ランプ31と並列に接続され、また、チ
ョークコイル34が水銀ランプ31と直列に接続され
る。また、チョークコイル34はパルストランスになっ
ており、その一次巻線は水銀ランプ31と直列に接続さ
れるが、二次巻線は起動器35につながっている。
【0015】このような光源装置の動作を説明すると、
起動器35によって、チョークコイル34に例えば10
KVの高圧パルスを発生させると水銀ランプ31が絶縁
破壊を起こす。そして、この絶縁破壊に伴って、コンデ
ンサ33に充電されている電流が水銀ランプ31に流れ
込む。このときの電流(エネルギー)によって水銀ラン
プ31が絶縁破壊後の非常に不安定な状態から安定した
状態にまで移行することができる。一方で、このエネル
ギーが不十分であれば水銀ランプの電極間では絶縁破壊
はするものの後続の安定点灯に良好に移行することがで
きない。そして、多数回の点灯始動動作を繰り返してし
まうと絶縁破壊のための高電圧のみを陰極に印加するこ
とになってしまい、陰極にダメージを与えるとともに、
陰極材料であるタングステンが蒸発して黒化を導いてし
まう。この現象は、本願発明が対象にする水銀量が非常
に多い水銀ランプ、具体的には、0.10mg/mm3
以上を含むランプにあっては、点灯始動時に電極表面上
に水銀が付着しているので、水銀が付着することのない
通常の水銀ランプでは検討のつかないぐらいに十分なエ
ネルギーが必要ということになる。また、絶縁破壊後に
水銀ランプに供給されるエネルギーが大きすぎると、タ
ングステンの温度が上昇し、タングステンが蒸発して発
光管壁に付着することによって黒化が発生する。さら
に、供給エネルギーが大きいと絶縁破壊に続く点灯が安
定せず、ランプが立ち消えする現象が観測されている。
そのため、この場合も多数回の始動動作を繰り返すの
で、上記のエネルギーが不十分な場合と同様の理由で、
黒化を導いてしまう。
【0016】本願発明は、絶縁破壊後の特定時間内に水
銀ランプに供給するエネルギーを規定することで水銀ラ
ンプを良好に安定点灯状態に移行できるものとした。そ
して、このエネルギーは、図3において、コンデンサ3
3とチョークコイル34の定数を設定することによって
達成することができる。なお、図3においてはコンデン
サ33とチョークコイル34において、エネルギーを調
整することができるが、例えば、点灯回路32内部にお
いて、水銀ランプ31と並列に接続するコンデンサ的素
子や水銀ランプと直列に接続されるインダクタンス要素
が存在するような場合は、当然にそのような素子/要素
の存在も考慮される。
【0017】以下の表は本発明の効果を示すものであ
る。 上記表は図3に示した回路を使って、高圧水銀ランプの
始動性(立消発生率)を測定したものである。表に示す
供給エネルギーは、水銀ランプを絶縁破壊させた後、5
0μ秒以内に水銀ランプに供給されるエネルギーであ
る。供給エネルギーは図3に示したコンデンサ要素やイ
ンダクタンス要素を変えて設定している。また、水銀ラ
ンプには前記実施例で説明たものを採用している。実験
は、室温まで十分に冷えているランプを、供給エネルギ
ーを上記表のように設定した光源装置で、それぞれの供
給エネルギーごとに約20回の点灯を試み、一回の始動
パルスでランプが点灯できなかった確率を立消発生率と
して算出した。 なお、50μ秒を過ぎると水銀ランプ
に供給されるエネルギーは始動性には影響しないことが
本発明者らによって同時に確認されている。
【0018】表に示す実験結果より、水銀ランプ絶縁破
壊後50μ秒以内の供給エネルギーが、1.7×10-3
〜3.6×10-3の範囲にあれば、水銀ランプは確実に
始動していることが示される。また、1.0×10-3
2.0×10-2の範囲にあれば、水銀ランプは50%以
上の確率で始動していることもわかる。この場合、実験
結果では1.3×10 -3〜1.5×10-2の範囲しか明
示されていないが上記範囲であれば50%の始動率が本
発明者らによって確認されており、実用の光源装置で
は、始動時に複数回の始動パルスを加えることにより始
動性は確保され、黒化を問題のないレベルまで抑えるこ
とができる。
【0019】以上説明したように、この発明の高圧水銀
ランプ、および光源装置によれば、電極間距離が2.0
mm以下であり、放電容器内に0.10mg/mm3
上の水銀が封入されたものであっても、電極間が絶縁破
壊した後50μ秒以内に供給されるエネルギーを1.0
×10-3〜2.0×10-2Jとすることで確実な再始動
を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧水銀ランプを示す。
【図2】本発明の高圧水銀ランプによる分光スペクトル
を示す。
【図3】本発明の光源装置を示す。
【符号の説明】
1 水銀ランプ 2 放電容器 3 側管部 4 陽極 5 陰極 6 金属箔 7 外部リード 31 水銀ランプ 32 点灯回路 33 コンデンサ 34 チョークコイル 35 起動器

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】石英ガラスからなる放電容器に一対のタン
    グステン電極が2.0mm以下の間隙をもって対向配置
    しており、かつ、この放電容器内に0.1mg/mm3
    以上の水銀を封入した高圧水銀ランプにおいて、 前記一対のタングステン電極が絶縁破壊した後、0〜5
    0μ秒の期間に当該高圧水銀ランプに供給されるエネル
    ギーが1×10-3〜2×10-2Jであることを特徴とす
    る高圧水銀ランプ。
  2. 【請求項2】石英ガラスからなる放電容器に一対のタン
    グステン電極が2.0mm以下で間隙をもって対向配置
    した高圧水銀ランプと、この高圧水銀ランプを点灯させ
    る電源からなる光源装置において、 前記電源は、前記高圧水銀ランプに対して一対のタング
    ステン電極を絶縁破壊させた後、0〜50μ秒の期間
    に、1×10-3〜2×10-2Jのエネルギーを供給する
    ことを特徴とする光源装置。
  3. 【請求項3】前記高圧水銀ランプは、放電容器内に希ガ
    スと、臭素、塩素もしくは沃素からなるハロゲンを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載する高圧水銀ランプ、
    または請求項2に記載する光源装置。
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