JPH0580298B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、鍛造プレス機などにおける金型着脱
装置に関するものである。

従来の技術 従来、鍛造プレス機などにおける金型の着脱装
置としては、次のようなものが公知となつてい
る。すなわち、添付図面の第５図は、従来一般的
に行われているあり溝による金型１と、金型台２
との間の締結方式を示すものであるが、この方式
においては、２分割された金敷を構成している金
型１と、金型台２とを、それらの対向する面にそ
れぞれ形成されたあり溝継手部分３により相互に
連結し、更に、このあり溝継手部分３に形成され
たテーパ溝４にテーパコツタ５を強く打ち込むこ
とにより、両者１，２を締結するものであるが、
この締め付け方式においては、若しも、締め付け
が緩いと、運転中に両者１，２の間に緩みを発生
し、反対に、締め過ぎると、取り外しが困難にな
るなどという欠点があり、また、金型１の交換
は、多大な労力及び時間を必要とするので、鍛造
途中においては、金型１を交換することは、ほと
んど不可能であつた。

そこで、鋳造作業中においても金型１の交換を
行うことのできる方式として、金型１と、金型台
２とを、前述の方式により、テーパコツタ５によ
り締結したまま、金型台２をクロスヘツド及びテ
ーブルから取り外し、別に締結した状態に用意し
てある金型１と金型台２とをプレス機などに取り
付けることもできるが、この方式を実施するため
には、大きな金型台２などを数多くプレス機の近
くに配置して置かなかればならず、また、そのた
めに、運転者の視界を遮り、鍛造作業の障害とな
るばかりでは無く、金敷の転倒する恐れもあり、
作業の安全上からも好ましいものとは言えなかつ
た。

そこで、既に、このような問題点を解決する一
つの方式として、本出願人は、実願昭59−191569
号「自由鍛造プレスの金敷取付部の構造」による
考案を提案しているが、この考案によると、第６
図に示すように、金型１と、金型台２との間の改
善された締結方式として、金型１と金型台２とを
連通する数個の穴６₁，６₂に緊締棒７を差し込ん
だ後、緊締棒７にあらかじめあけられているキー
溝７₁に金型１にあけられたスロツト１₁を貫いて
キー８を差し込み、緊締棒７の上端部に形成され
た拡大頭部７₂と、金型台２にあけられた連通穴
６₂と同心の拡大穴部６₂の底部との間に配置され
たばね９の力により締結するもので、運転中の緩
みも無く、また、緊締棒７及びばね９を油圧シリ
ンダなどの押圧装置により押圧し、キー８を人力
により緊締棒７のキー溝７₁から金型１のスロツ
ト１₁を経て抜き取ることにより、金型１と金型
台２との間の切り離しを簡単に行うことができる
ようにしてある。

しかしながら、この方式には、キー８の出し入
れのための人力操作を伴うので、運転者以外に別
の作業員が必要となるという新たな問題点の生ず
ることが分かつた。

また、一般的に、形状の複雑な鍛造物の鍛造作
業においては、成形の途中において数種の金型を
交換して使用することが必要であるが、従来公知
の方式によつては無論のこと、上記の改善方式に
よつても、金型の交換が困難であり、時間も掛か
り過ぎるという問題点があり、これを避けるため
には、補助工具を人力あるいはツールマニプユレ
ータなどにより保持して作業を行うことが必要と
なることが多い。しかしながら、このような方法
によつては、工具保持が不安定であるので、製品
精度が悪くなつたり、鍛造時間が長く掛かり、作
業能率の低下をきたし、場合によつては、鍛造物
の温度低下により作業が不可能となることも生ず
る。

発明が解決しようとする問題点 そこで、本発明は、従来公知の方式及び既に提
案されている方式における上記のような種々の問
題点のあることに鑑がみ、これらの問題点を総て
解決することが可能である新規な鍛造プレス機な
どにおける金型着脱装置を得ることを、その目的
とするものである。

問題点を解決するための手段 本発明は、この目的を達成するために、添付図
面の第１図に示すように、金型１と、金型台２と
を、金型台２に旋回自在に取り付けてあるクラン
プレバー２３の一端部に形成されたつめ２３₁を、
金型１に対応して設けられたＶ型溝１２₂に係合
させ、クランプレバー２３の他端部２３₂を、金
型台２の中に配置されたばね部材２６により押圧
し、このばね部材２６の力とクランプレバー２３
との協同作用により金型１を金型台２に強固に締
結するようにすると共にこのクランプレバー２３
の他端部を、金型台２あるいはクロスヘツド５０
に別に設置してある油・空圧シリンダなどのクラ
ンプレバー解放手段４０により押圧することによ
り、クランプレバー２３の一端部と、金型１のＶ
溝１２₂との間の締結を容易に解放することがで
きるようにしたことを特徴とするものである。

作 用 上記のような構成により、人力を用いること無
く、プレス機などの運転者がクランプレバー解放
手段４０を操作し、クランプレバー２３の一端部
に形成されたつめ２３₁と、金型１のＶ溝１２₂と
の間の係合を解放することにより、金型１を金型
台２から解放することができ、金型１の交換を自
動的に、しかも、短時間で行うことができるよう
になる。

実施例 以下、本発明をその実施例を示す添付図面の第
１〜４図に基づいて詳細に説明する。

まず、第１及び第２図に示すように、例えば、
横断面が長方形状の平行六面体状の形状を有して
いる金型１は、鍛造プレス機などのクロスヘツド
５０の下面に締結されている金型台２の本体に下
方から金型１の横断面形状に対応する横断面形状
を有するようにあけられた開口部２₁に、金型台
２の下方からはめ込まれるようにするが、この場
合、金型１の対向する狭い１対の側面には、ある
幅及びある高さを有する長方形状の横断面を有す
る突出部１１が、金型１の側面の幅の垂直中心面
に対して対称的に形成されており、これに対応し
て、金型台２の開口部２₁のこれらの金型１の突
出部１１を設けられた側面に対向する側面には、
対応する横断面を有している溝部２₂が形成され
ており、これにより、金型１と金型台２との間に
は、第１図で見て、左右方向及び前後方向には、
がたつぎが生ずることは無いが、上下方向の出し
入れには支障が無い程度のすきまがあるようにす
る。

このようにして、金型１には、第３図に示すよ
うに、その両側面には、突出部１１が形成されて
いるが、更に、その頂面１１₀の上方部分には、
Ｖ型溝１２が、その溝底１２₁が金型１の上下の
面に対して平行であると共に頂面１１₀に対して
も平行である上下部の縁部分を有する長方形状の
面から成り、その上部の縁部分から上方に傾斜し
ている上面１２₂を有するように切り込まれてい
る。また、このＶ型溝１２には、第１図に見られ
るように、金型１が金型台２の開口部２₁内に所
定の位置まで挿入された状態にある時に、金型台
２の本体に、上方からあけられた垂直空間２１内
にピン２２により、ほぼ中央部を旋回自在に取り
付けられた、ほぼ垂直な板状のクランプレバー２
３の、第１図で見て、下端部分に対応して形成さ
れたつめ２３₁が、その先端部において係合する
ようになつている。すなわち、一層詳細には、つ
め２３₁の上面２３₁₁は傾斜面となつており、金
型１に形成されたＶ形溝１２の傾斜した上面１２
_２に合致するようになつている。また、このクラ
ンプレバー２３の上端部分２３₂には、コロ２４
が回転自在に取り付けられており、このコロ２４
は、金型台２に、その本体にあけられた垂直空間
２１に連通するように、ピン２２の軸に対して直
角に水平にあけられた横断面が円形状の有底の穴
２５内に内蔵され且つ穴２５の底部において１端
部を支持されているコイルばね２６の他端部によ
り頭部２８₁を押圧されている締め付け棒２８の
頭部２８₁の外面により押圧されており、このよ
うにして、クランプレバー２３の下端部分に形成
されたつめ２３₁が、金型１の両側面に形成され
たＶ型溝１２に強力に押圧され、その上面２３₁₁
が、Ｖ形溝１２の上面１２₁を、矢印Ｘによつて
示すように押し上げ、従つて、金型１を金型台２
に強固に締め付けるようにする。このようにし
て、金型１は、クランプレバー２３の下端部のつ
め２３₁のくさび作用により金型台２に強固に圧
着され、金型台２から脱落することを防止され
る。

一方、金型台２の本体にあけられた垂直空間２
１の内部には、別に、ほぼ板状の解放レバー３０
が、そのほぼ中央部をピン３１により、やや傾斜
状態に旋回自在に取り付けられており、その第１
図で見て下方の端部部分３０₁にはコロ３２が回
転自在に取り付けられており、このコロ３２は、
クランプレバー２３が金型１を金型台２に締め付
けている状態にある時に、クランプレバー２３の
上端部分２３₂の近くにおいてコロ２４の下方に
形成された傾斜面２３₂₂に接触するようにしてあ
る。また、この解放レバー３０の上端部分３０₂
には、他のコロ３３が回転自在に取り付けられて
いる。なお、このコロ３３は、鍛造プレス機のク
ロスヘツド５０などに取り付けされている油・空
圧シリンダのようなクランプレバー解放手段４０
のピストン棒などの下端部に配置されるようにな
つている。このようにして、解放レバー３０及び
クランプレバー解放手段４０は、クランプレバー
解放機構を形成しており、このクランプレバー解
放機構のクランプレバー解放手段４０が作動し、
解放レバー３０の上端部分３０₂に回転自在に取
り付けられているコロ３３を圧下すると、その下
端部分３０₁に回転自在に取り付けられているコ
ロ３２が、クランプレバー２３の上端部分２３₂
に形成された傾斜部分２３₂₂を押圧し、そのコロ
２４が締め付け棒２８の頭部２８₁を押圧し、こ
れにより、コイルばね２６を圧縮し、それと同時
に、クランプレバー２３はピン２２の回りを、第
１図で見て、反時計方向に旋回し、従つて、その
下端部分２３₁に形成された傾斜面２３₁₁は、金
型１の両側面に形成されたＶ型溝１２の上面１２
_２との係合を外されることとなる。従つて、金型
１は、金型台２から抜き取られることができるよ
うになる。なお、これらの操作の際に、各コロ２
４などは、この解放作用の時に各レバー２３，３
０が受ける抵抗を低減し、レバー２３，３０など
が直接的に接触したものとした場合に受ける摩耗
などを防止すると共に操作を軽快とさせることに
役立つものである。

また、第４図には、本発明の他の実施例とし
て、第１，２及び第３図に示した実施例に対し
て、解放レバー３０を省略した例を示してある。
すなわち、この実施例においては、油・空圧シリ
ンダなどのクランプレバー解放手段４０を金型台
２に直接的に取り付け、このピストン棒などの自
由端部がクランプレバー２３の上端部分２３₂に
回転自在に取り付けられたコロ２４を直接的に押
圧し、これにより、その下端部分に形成されたつ
め２３₁の上面２３₁₁と、金型１の両側面に形成
されたＶ型溝１２の上面１２₂との係合を外すよ
うにする。

以上には、本発明の２実施例を説明したが、
今、ここで、このような構成を有する本発明によ
る金型着脱装置を鍛造プレス機の上金敷に適用し
た場合について、その操作を簡単に説明すると、
次のようになる。

上金敷の取り付けの際には、下金敷の上に上金
型１を載せ、クロスヘツド５０の直下まで移動さ
せ、次に、クロスヘツドを降下させると、クロス
ヘツド５０の下面に取り付けられている金型台２
が、その開口部２₁により金型１にはまり込む。
この時、クロスヘツド５０が下降を開始すると同
時にクランプレバー解放手段４０に自動的に圧力
が加えられ、クランプレバー２３は解放する。こ
のようにして、金型１と金型台２とが密着する
と、クロスヘツド５０は下降を停止し、クランプ
レバー解放手段４０の圧力が釈放され、コイルば
ね２６の力によりクランプレバー２３の下端部分
のつめ２３₁が金型１の両側面に形成されたＶ型
溝１２にはまり込み、金型１と金型台２との連結
が完了する。

この場合、金型１が金型台２の中に入り込む際
に、クロスヘツド５０及び金型台２の重量が大き
ければ、金型１によつてクランプレバー２３のつ
め２３₁は外側に押し出され、クランプレバー２
３は、自動的に開き、金型１と金型台２とが密着
すると同時にクランプレバー２３は閉じて連結さ
れるようになる。

逆に、上金型１を金型台２から取り外す場合に
は、まず、クロスヘツド５０を下降させ、上金型
１の下面が下金敷の上面に当たり、次いで、クラ
ンプレバー解放手段４０に圧力を加え、クランプ
レバー２３を解放レバー３０を介して、あるい
は、直接的に開放し、そのままクロスヘツド５０
を上昇させると、上金型１は下金敷の上に残り、
上金型台２と切り離される。なお、この場合にお
けるクランプレバー２３の開閉、すなわち、クラ
ンプレバー解放用押圧手段４０の加圧・除圧は、
クロスヘツド５０の位置の検出あるいはクロスヘ
ツド５０引き上げシリンダ内の圧力の変化を検知
して電気信号を発信することにより、一連の動作
を自動的に行うことができる。

発明の効果 本発明は、上記のような構成及び作用を有して
いるので、下金敷を数個連結した金型移動装置を
有している鍛造プレス機において、上金敷に本発
明を実施した金型着脱装置を適用すると、上金型
を常に下金敷の上に載せたままにして置いても、
鍛造作業にほとんど支障が無く、成型に適した金
敷を直ちにプレス機に搬入することができ、従つ
て、上下金型とも、例えば、約１分間で交換をす
ることができる。なお、第６図に示す実施例の場
合には、人力操作が加わるので、約２〜３分程度
の時間が掛かる。

これに対し、第４図に示すような、従来のあり
溝方式の場合には、上金敷を下金敷から降ろすた
めのクレーンや、数人の人力が必要であり、約20
分を必要とする。

このように、従来の方式においては、金型の交
換のために人力を介入させることが必要であるの
で、運転者以外の作業員が必要であり、運転者だ
けによる鍛造作業の自動化を実施することは不可
能であるが、本発明によると、金型、特に、上金
型の自動的な着脱が可能となるので、プレス機な
どの生産性を著しく向上させることができるとい
う優れた効果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の１実施例を示す一部切断正
面図、第２図は、第１図の矢印−方向に見た
下面図、第３図は、その金型を示す斜視図、第４
図は、本発明の他の実施例を示す一部切断正面
図、第５図は、従来公知のあり溝による金型と、
金型台との取り付けを示す斜視図、第６図は、既
に提案されている金型と金型台との取り付けのた
めの他の方式を示す縦断面図である。 １……金型、２……金型台、１２……Ｖ型溝、
２３……クランプレバー、２３₁……つめ、２４，
３２，３３……コロ、２６……コイルばね、２８
……締め付け棒、３０……開放レバー、４０……
クランプレバー解放手段。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鍛造プレス機などにおけるクロスヘツド５０
   の下面に連結されるようにされた金型台２に、金
   型１を着脱自在に取り付けるための金型着脱装置
   において、金型台２の本体に、金型１を挿入する
   ために金型１の外部寸法に対応する寸法を有する
   開口部２₁を設け、この開口部２₁の金型１の側面
   に対向する壁面から突出するようなつめ部２３₁
   を下端部に設けられたクランプレバー２３を、金
   型台２の本体に形成された垂直空間２１内に旋回
   自在に取り付け、このクランプレバー２３のつめ
   部２３₁を金型１の側面に対応して形成された溝
   部１２の上面１２₂と係合自在とし、クランプレ
   バー２３の上端部２３₂を金型台２に内蔵された
   ばね部材２６により押圧し、これにより、クラン
   プレバー２３の下端部に形成されたつめ部２３₁
   が、金型１の側面に形成された溝部１２の上面１
   ２₂に強固に係合するようにし、また、金型台２
   又はクロスヘツド５０に、クランプレバー２３の
   上端部２３₂の近くにおいて、これにばね部材２
   ６の作用に抗して作用をし、クランプレバー２３
   の下端部のつめ部２３₁と、金型１の側面に形成
   された溝部１２の上面１２₂との間の係合を外す
   ように作用をするクランプレバー解放手段４０を
   設けて成ることを特徴とする鍛造プレス機などに
   おける金型着脱装置。 ２ 金型１が、長方形状の横断面を有する平行六
   面体状のものとし、その狭い幅を有する対向する
   両側面に、横断面がほぼ長方形状であり且つある
   幅及びある高さを有する突出部１１を、その頂面
   １１₀が金型１の側面の幅の垂直中心線に対して
   ほぼ対称的に設け、金型台２に形成された開口部
   ２₁には、これらの金型１の突出部１１に対応す
   る横断面を有する溝部２₂を設け、また、金型１
   に形成された溝部１２を、金型１の各突出部１１
   に、その頂面１１₀から切り込まれているＶ型溝
   １２として、その溝底１２₁が金型１の上下面に
   対して平行であると共に頂面１１₀に対しても平
   行である上下部の縁部分を有する長方形状の面か
   ら成り且つ上部の縁部分から上方に傾斜している
   上面１２₂を有するように形成し、クランプレバ
   ー２３の下端部に形成されたつめ部２３₁を、こ
   の金型１のＶ型溝１２の上面１２₂に係合自在と
   した特許請求の範囲第１項記載の鍛造プレス機な
   どにおける金型着脱装置。 ３ 金型台２に旋回自在に取り付けられるように
   されたクランプレバー２３の上端部２３₂を、金
   型台２にあけられた横断面が円形状の有底の穴２
   ５の中に配置されたばね部材２６としてのコイル
   ばねにより押圧されるようにした締め付け棒２８
   を介して押圧されるようにした特許請求の範囲第
   １又は２項記載の鍛造プレス機などにおける金型
   着脱装置。 ４ 金型台２に配置されたクランプレバー２３の
   上端部２３₂にコロ２４を回転自在に取り付けた
   特許請求の範囲第１、２又は３項記載の鍛造プレ
   ス機などにおける金型着脱装置。 ５ クランプレバー解放手段４０が、クロスヘツ
   ド５０に取り付けられている油・空圧シリンダか
   ら構成されており、また、金型台２の本体にあけ
   られた垂直空間２１の内部にほぼ板状の解放レバ
   ー３０が旋回自在に取り付けられており、この解
   放レバー３０の一端部３０₂がクロスヘツド５０
   に設置されたクランプレバー解放手段４０により
   作用をされるようにされると共に解放レバー３０
   の他端部３０₁はクランプレバー２３の上端部２
   ３₂に隣接するように配置されている特許請求の
   範囲第１〜４項のいずれか１項に記載の鍛造プレ
   ス機などにおける金型着脱装置。 ６ クランプレバー解放手段４０が、金型台２に
   取り付けられた油・空圧シリンダから成り立つて
   おり、そのピストン棒端部がクランプレバー２３
   の上端部２３₂に作用をするようになつている特
   許請求の範囲第１〜４項のいずれかに記載の鍛造
   プレス機などにおける金型着脱装置。