JPH0580178U - 渦電流式減速装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 渦電流式減速装置の軸方向の寸法を縮小す
る。 【構成】 回転軸１０の片側端部にローター１を嵌着
し、隣設する磁石の極性が互いに逆向きとなるようにし
て複数の永久磁石３を周設した支持リング４を軸受９介
して上記回転軸１０に軸支し、永久磁石３の磁極面を所
要空隙でローター１の円筒部２に対向してなる減速装置
において、上記支持リング４にブレーキディスク５を取
着し、これに協同するスイッチブレーキ６を設けてなる
渦電流式減速装置である。 【効果】 車両への軸方向取付けスペースを縮小でき
る。また、重量を軽減し、製造コストが低減できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、バスやトラックなどの大型自動車に使用される渦電流式減速装置 の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

大型自動車の減速装置ないし制動装置としては、主ブレーキであるフートブレ ーキ、補助ブレーキである排気ブレーキのほか、長い坂道の降坂時などで安定し た減速を行い、かつフートブレーキの焼損を防止するため渦電流式減速装置が使 用されている。この渦電流式減速装置には電磁石を使用したものと、永久磁石を 使用したものとがある。

【０００３】 前者は、鉄心に電磁コイルを巻着した電磁石を磁極として、その磁極の多数を ディスクの両面に配設してなり、バッテリ電源からの通電により磁界を発生させ 、渦電流現象によりディスクを減速させる方向にトルクを発生させ制動力を得る ものである（特開昭５０−６１５７７４号公報）。 上記渦電流式減速装置は、鉄心に電磁コイルを巻着した電磁石を磁極として使 用するため、重量が重たく、かつ外形寸法も大きいので、空間の限定された車両 搭載は不利である。

【０００４】 後者は、上記の電磁石を用いた渦電流式減速装置の問題点を排除するために発 明されたものであり、隣接する磁石の極性が互いに逆向きとなるようにして複数 の永久磁石を周設した支持リングを有し、上記永久磁石の磁極面を所要空隙でロ ーターの円筒部に磁気的に全面対向する位置から全面離脱する位置までの長さを 進退自在に設け、該永久磁石の磁気回路によりロ−タ−の円筒部に発生する渦電 流をオン・オフ操作するものである（特開平１−２３４０４３号公報）。

【０００５】 上記永久磁石を使用した渦電流式減速装置においては、永久磁石を周設した支 持リングをローターの円筒部に対し進退させるのにシリンダーを使用している。 また、他の渦電流式減速装置（例えば特開昭１−２３４０３３号公報）ではモー タ駆動のねじ軸を使用している。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上記のごとく、渦電流式減速装置は、制動オン・オフに際して永久磁石を周設 した支持リングを、ローターの円筒部に対抗する位置から完全離脱する位置まで の距離を進退させる構造のため、軸方向の寸法が大きくなり、取り付けに要する スペースおよび装置の重量が増大する。また、磁石支持リングを進退させるため の駆動源として複数の空圧、油圧機器が必要となる他、進退ガイド機構を要し、 部材の数が増え、部品コスト、組み立てコストが高くなる。

【０００７】 この考案は、上記の欠点を除き、制動オン・オフ機構の複雑さを解消するため 、短時間の制動で極めて合理的な摩擦式ブレーキをスイッチング機構とした渦電 流式減速装置を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、この考案は、回転軸の片側端部にローターを嵌着し 、隣接する磁石の極性が互いに逆向きとなるようにして複数の永久磁石を周設し た支持リングを軸受を介して上記回転軸に軸支し、永久磁石の磁極面を所要空隙 でローターの円筒部に対向してなる減速装置において、上記支持リングにブレー キディスクを取着し、これに協同するスイッチブレーキを設けてなる渦電流式減 速装置である。

【０００９】

【作用】

永久磁石を周設した支持リングにブレーキディスクを取着してスイッチブレー キにより制動オン・オフを行うから、スイッチブレーキを作動した際に、上記支 持リングは固定され、ローター円筒部に流れる渦電流によりローターには回転と 反対向きの力が働き、この反力により制動力が得られる。また、非制動時には、 スイッチブレーキを解除し、ローターに働く力の反力を受けた支持リングを回転 可能とすることにより制動力を解放することができる。

【００１０】

【実施例】

この考案の実施例を図１および図２に基いて説明する。回転軸１０の片側端部 に嵌着した支持部材１２にローター１を取着する。 このローター１は、円筒部２と支持部材１２との筒端間を多数のアーム１３に より接続し、円筒部２の外周面に冷却フイン１１の多数を等間隔で円周配設して なる。

【００１１】 上記円筒部２の内側空間には、その筒長さに見合う幅の支持リング４が介在す る。この支持リング４は、回転軸１０に軸受９を介して軸支された支持板１４に 取着されている。

【００１２】 そして、支持板１４の外周面に隣設したブレーキディスク５の中心側を上記支 持板１４に取着する。支持リング４の外周面には、磁極面にポールピース８を対 向した希土類磁石からなる永久磁石３の複数個を隣接する磁石の磁極が互いに逆 向きとなるように周設されている。なお、この永久磁石群は、上記ポールピース ８を支持した磁気シールドケース７に納め磁気漏洩を防止している。

【００１３】 スイッチブレーキとしては、例えば液圧式ディスクブレーキやドラムブレーキ 等種々のもが利用できるから、特に限定する必要はない。

【００１４】 また、スイッチブレーキの性能としては、渦電流現象により得られる制動力よ り大きく、また支持リングの回転を速やかに停止可能なものが要求される。スイ ッチブレーキの性能が不足すると、制動時にブレーキディスクを完全に固定支持 することができず、ブレーキディスクとスイッチブレーキとの摩擦摺動により磨 耗が促進されスイッチブレーキの寿命を縮める。そして、支持リングの回転を速 やかに停止することにより、制動開始時の応答性が良好となる。

【００１５】 上記減速装置は、例えば支持部材１２に設けた取付け金具（図面省略）を車体 へ取着し、回転軸１０をプロペラシャフトに接続して使用される。

【００１６】 車両の走行時には、ローター１は常に回転している。ローター１が回転すると 、ローターには渦電流現象により回転と反対方向の力が働く。そして、支持リン グ４はローター１に働く力の反力を受けている。

【００１７】 制動時は、スイッチブレーキ６を作動してブレーキディスク５を圧接して支持 リング４の回転を停止して固定支持する。すると、ローター１には回転と反対方 向の力が働き、制動力が発生する。 制動を解除するには、スイッチブレーキ６の作動を停止すれば、ブレーキディ スク５への押圧力が除かれ、支持リング４が回転自在となり、制動力が解放され る。

【００１８】

【考案の効果】

この考案は、永久磁石を用いた渦電流式減速装置の制動オン・オフ操作のスイ ッチ機構を永久磁石の支持リング内に設けることにより、装置の軸方向の寸法を 著しく縮小することができ、車両への取り付けスペースが節減できる。また、ス イッチ機構の簡素化により重量が軽減し、かつ製造コストが低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施による渦電流式減速装置の縦断
正面図である。

【図２】図１の渦電流式減速装置の上半部を示す縦断側
面図である。

【符号の説明】 １ ローター ２ 円筒部 ３ 永久磁石 ４ 支持リング ５ ブレーキディスク ６ スイッチブレーキ ７ 磁気シールドケース ８ ポールピース ９ 軸受 １０ 回転軸 １１ 冷却フイン １２ 支持部材 １３ アーム １４ 支持板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転軸の片側端部にローターを嵌着し、
   隣設する磁石の極性が互いに逆向きとなるようにして複
   数の永久磁石を周設した支持リングを軸受を介して上記
   回転軸に軸支し、永久磁石の磁極面を所要空隙でロータ
   ーの円筒部に対向してなる減速装置において、上記支持
   リングにブレーキディスクを取着し、これに協同するス
   イッチブレーキを設けてなる渦電流式減速装置。