JPH0580041B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、複数の回転ヘツドを用いて、１フイ
ールドの映像信号を複数のトラツクに分割して記
録し再生する磁気記録再生装置に関し、特にテレ
ビ画面に現れる部分の映像信号の接続を良好に行
なうための記録再生方式に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、ヘリカルスキヤン型磁気記録再生装置
（以下VTRと記す）、特に民生用VTRにおいて
は、１フイールドの映像信号を１本のトラツクに
記録する方式が採用されている。ところで、
VTRの小型化を考えるとき、ヘツドと磁気テー
プの相対速度を変えない、即ち記録再生特性を変
えないことを条件とすると、例えばヘツドが搭載
されている回転ドラムの回転数を２倍にし、回転
ドラムの径を1/2に縮小する方式が考えられる。
この方式によると、１フイールドの映像信号が２
本のトラツクに分割されて記録されるので、１フ
イルドに２個の信号継目が存在する。一方の継目
を従来の１フイールド・１トラツクの場合と同様
に垂直帰線期間に置くと、他方は画面中央に来
る。従つて、この方式を実現するには画面中央に
おける映像信号の接続を良好に行なう必要がある
が、これは容易ではない。このことを以下で説明
する。

今、２個のヘツドでそれぞれ画面の上半分と下
半分とを記録、再生するものとする。この時、記
録時と再生時とでテープテンシヨンに差がある
と、ヘツド切換位置に時間の不連続が生じ、いわ
ゆるスキユーが発生する。このことを第４図を用
いて説明する。

第４図ａにおいて、２は磁気テープ、３ａ，３
ｂはそれぞれヘツド１ａ，１ｂにより記録された
トラツクである。再生時、ヘツド１ａがヘツド切
換点Ａに来たときに、ヘツド１ｂが位置Ａと同時
に記録された位置Ｂに来ていれば、画面中央にお
ける信号の接続は良好に行なわれる。この様子を
第４図ｂに示す。なお、図中Ｐは画面継目〓表わ
している。ところが、テープのテンシヨン変動に
より位置ＢがB1にずれると、第４図ｃに示すよ
うに、Ｂ，B1間の信号が欠落してしまう。また、
位置ＢがB2にずれると、第４図ｄに示すように、
B2，Ｂ間の信号が繰り返し再生されることにな
る。なお、第４図ｃ，ｄは、説明のためにスキユ
ー量を誇張して示している。実際のVTRでは、
スキユー量は１水平期間以下であり、家庭用受像
機で受けた場合は内部同期のAFC回路により第
４図ｅに示すように画面の曲がりとして現れる。
いずれにせよスキユーが発生すると、画面中央に
おける継目を意識させ、視覚上好ましくない。

しかるに、ヘリカルスキヤン型VTRにおいて、
スキユーを発生させないことは極めて困難であ
り、このことがフイールド分割型VTRの実現を
妨げていた。

ここで、近年、半導体技術の進歩に伴うICの
高集積化、低価格化により、VTRにデイジタル
式時間軸補正器（これは時間軸変動検出回路と時
間軸変動補正回路とにより構成され、以下
DTBCと記す）を持たせて、スキユーやジツタ
を補正することが可能になりつつある。例えば特
開昭58−124385号公報に示されるDTBCでは、
入力映像信号の時間軸変動量（時間軸誤差）の検
出は、所定方式のテレビジヨン映像信号と局内標
準クロツク信号との間に存在する所定の位相関係
に基づき、入力映像信号を標準クロツク信号にて
サンプリングし、そのサンプリング位相と所定位
相とのずれに基づいて行なうようにしている。ま
たその補正は、入力映像信号の時間軸誤差を、サ
ンプリングクロツク周期を単位とする大きい誤差
成分と、１サンプリングクロツク周期以下の小さ
い誤差成分とに区分し、前者をシフトレジスタか
らの読出しタイミングを適切に調整することによ
つて補正するとともに、後者の精密な補正は、補
正出力映像信号を取出すＤ／Ａ変換器の、あるい
は入力側Ａ／Ｄ変換器の駆動用クロツク信号を、
標準同期信号にロツクしたクロツク信号にその時
間軸誤差に応じた位相変調を与えた信号とするこ
とにより行なうようにしている。

しかし、このような装置において、単純に記
録、再生を行なつたのでは、第４図にて説明した
ように、スキユーによつて信号の欠落や重複が起
こつてしまう。特に、欠落の場合はDTBCによ
つても補正不可能である。この問題点を解決する
方式として、既に知られている方式を以下に説明
する。

第５図は、従来知られている方式の原理を説明
する図である。同図ａに示すように、記録時に
は、画面の上半分と下半分の映像信号を時間軸圧
縮してそれぞれのトラツクに記録し、再生時に
は、時間軸伸張を行なつて元に戻すものである。
同時ｂは磁気テープ２上のトラツクパターンを示
したもので、時間軸圧縮された映像信号は、トラ
ツク４ａ，４ｂの斜線部Ｅに記録されている。ま
た、Ｃ，Ｄはヘツドの切換点である。従つて、ス
キユーによつてＣ，Ｄと斜線部Ｅとが交わらない
ように、記録時の圧縮率を適当に設定することに
より、信号の欠落や重複を避けることができる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、上記従来の方式では、約1/2フイール
ドもの大容量のメモリを必要とし、さらにクロツ
ク周波数も異なるものが２系統必要であるなど、
回路規模が大きくなるという欠点があつた。

この発明は、上記のような従来のものの欠点を
除去するためになされたもので、Ｍ個（Ｍは２以
上の整数）のヘツドを用い、１フイールドの信号
をＮ本（Ｎは２以上の整数でＭとは独立）のトラ
ツクに分割して記録するVTRにおいて、再生画
面における歪を大規模な回路を用いることなく確
実に補正することのできるVTRを提供すること
を目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明に係るVTRは、Ｍ個（Ｍは２以上の
整数）のヘツドを用いて１フイールドの映像信号
をＮ本（ＮはＭとは独立の２以上の整数）のトラ
ツクに分割して記録再生するものにおいて、記録
時に、前記Ｎ本のトラツクに記録される信号をそ
れぞれ所定時間遅延させる遅延器と、再生信号を
時間軸補正して１フイールドの映像信号を復元す
る時間軸補正器として設けたものである。

〔作用〕

この発明においては、記録時に、Ｎ本のトラツ
クに分割される１フイールド分の映像信号を各ト
ラツクに対してそれぞれ所定時間遅延させ、これ
により垂直帰線期間を各トラツクの両端に分配し
て分割されたテレビ画面上の各信号の間にブラン
キング期間を設けるようにし、再生時には該ブラ
ンキング期間にヘツド切換を行ない、これにより
継目部においてテレビ画面上の信号が欠落してい
ない信号を時間軸補正器に入力して再生画面にお
ける歪を確実に補正する。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図について説明する。
第１図ａ，ｂは本発明の一実施例によるVTRの
記録系、再生系の信号処理の概略構成を示し、本
実施例においては、ヘツド数Ｍ＝２、画面分割数
Ｎ＝３とする。即ち、１フイールド分の信号を２
個のヘツドを用いて３本のトラツクに記録するこ
ととする。また本実施例では、再生系にも各トラ
ツクからの再生信号をそれぞれ所定時間遅延させ
る遅延器を設けており、これらの遅延器により分
割されたテレビ画面上の信号を復元するのに必要
な時間軸補正量を時間軸補正器の補正能力範囲内
に収めてから時間軸補正を行なうようにしてい
る。

第１図において、５ａ，５ｂ，５ｃは入力映像
信号ｒをそれぞれ所定時間０，Ｔ，2Tだけ遅延
させる第１〜第３の遅延器、６ａ，６ｂは映像信
号ｒの画面位置情報より画面上の位置に応じて前
記遅延器５ａ，５ｂ，５ｃを切換える切換器とそ
の切換信号発生器、７はFM変調器、８ａ，８ｂ
は２つのヘツド１ａ，１ｂに対応して設けられた
記録アンプであり、これら記録アンプ８ａ，８ｂ
の出力がそれぞれヘツド１ａ，１ｂに供給され
る。

また再生系において、９ａ，９ｂはそれぞれヘ
ツド１ａ，１ｂの再生信号を増幅する再生アン
プ、１０は該再生アンプ９ａ，９ｂからの出力を
テープ上のヘツド位置に応じて切換えるヘツド切
換器、１３はFM復調器、１１ａ，１１ｂ，１１
ｃはFM復調器１３の出力信号をそれぞれ所定時
間2d，ｄ，０だけ遅延させる第４〜第６の遅延
器（但しｄ＜Ｔ）、１２ａ，１２ｂは画面位置情
報より再生されるべき画面上の位置に応じて前記
遅延器１１ａ，１１ｂ，１１ｂを切換える切換器
とその切換信号発生器、１４は各再生信号の時間
軸の変動を検出し、その検出結果に応じて時間軸
変動を補正する時間軸補正器であり、これは例え
ば前述した特開昭58−124385号公報等に示されて
いるように公知のものである。また、Ｓは出力映
像信号である。なお、前記切換信号発生器６ｂ，
１２ｂは画面位置情報として垂直及び水平同期信
号が入力され、水平同期信号を数え、垂直同期信
号あるいは所定のヘツド切換位置の水平同期信号
でリセツトされる計数器等により簡単に構成でき
る。

第２図は第１図に示した実施例装置による記
録、再生過程における入力映像信号ｒの分割と遅
延の様子を示した図で、同図ａにおける「上」、
「中」、「下」は３分割されたテレビ画面１フイー
ルド内の「上」「中」「下」を表し、直線部分はテ
レビ画面上には表われないブランキング期間であ
る。

また、第３図は磁気テープ２上のトラツクパタ
ーンを示し、図において、映像信号トラツク３
ａ，３ｂ，３ｃ上の斜線部分がテレビ画面上に表
われる信号の記録部分で、Ｖ〜Ｙはヘツド切換点
であり、それぞれ第２図ｂにおける記録再生信号
軸上のＶ〜Ｙに対応する。

次に動作について説明する。

記録時、入力映像信号ｒは３分割して記録され
るが、この時、テレビ画面１フイールド内の
「上」部分は前記第１の遅延器５ａを介して遅延
時間０で、即ち第２図ｂに示す如くそのままFM
変調器７、記録アンプ８ａ、ヘツド１ａを通して
記録される。次に切換信号発生器６ｂが水平同期
信号の数を所定の数だけ数えると該発生器６ｂか
ら切換信号が出力され、これにより第１の遅延器
５ａが第２の遅延器５ｂに切換えられる。従つて
テレビ画面１フイールド内の「中」の部分の信号
は所定時間Ｔだけ遅延された後、FM変調器７、
記録アンプ８ｂ、ヘツド１ｂを通して第２図ｂに
示す如く記録される。さらに前記切換信号発生器
６ｂが水平同期信号の数を所定の数だけ数えて切
換信号が出力されると、第２の遅延器５ｂが第３
の遅延器５ｃに切換えられる。従つて、テレビ画
面１フイールド内の「下」の部分の信号は所定時
間2Tだけ遅延された後、FM変調器７、記録アン
プ８ａ、ヘツド１ａを通して第２図ｂに示す如く
記録される。

このような記録方式により、第２図ｂの記録再
生映像信号において「上」の部分と「中」の部分
の間のブランキング期間も、「中」の部分と「下」
の部分の間のブランキング期間も時間Ｔとなる。
ここで時間Ｔは、「下」の部分と次のフイールド
の「上」の部分のブランキング期間Tvが該時間
Ｔより大きくなるように設定されている。

以下、この繰り返しであるが、この記録方式に
おいては、映像信号中の垂直帰線期間を、第３図
に示すように各トラツクのテレビ画面上の信号の
両端に分配し、ブランキング期間としている。

次に再生時について説明する。再生時において
は、記録時にヘツド１ａを用いたトラツクは同一
のヘツド１ａで、またヘツド１ｂを用いたトラツ
クはヘツド１ｂで再生される。前記ヘツド１ａ，
１ｂの出力はそれぞれ再生アンプ９ａ，９ｂを通
るが、ヘツド位置情報より、その時点で再生信号
を再生しているヘツドの出力を選ぶようにするヘ
ツド切換器１０の動作は従来通りである。切換信
号発生器１２ｂは画面位置情報である再生信号中
の同期信号の数を計数し、記録時における前記切
換信号発生器６ｂと同様に動作する。従つて切換
器１２ａは、テレビ画面内の「上」の部分、「中」
の部分、「下」の部分の信号が、それぞれ第４、
第５、第６の遅延器１１ａ，１１ｂ，１１ｃを通
るように切換えられる。

従つて第２図ｃに示すように、テレビ画面内の
「上」の部分の再生信号は前記第４の遅延器１１
ａにより所定時間2dだけ遅延されて出力され、
またテレビ画面内の「中」の部分の再生信号は前
記第５の遅延器１１ｂにより所定時間ｄだけ遅延
されて出力され、さらにテレビ画面内の「下」の
部分の再生信号は前記第６の遅延器１１ｃにより
遅延時間０の遅延、即ちそのまま出力される。

そして上記の過程においてヘツドの切換えは、
第２図ｂ及び第３図で示すＶ〜Ｙ点で行なわれ
る。即ち前記ヘツド切換えの時点は、垂直帰線期
間を分配した前記ブランキング期間に一致させら
れている。そこで、記録時の所定遅延時間Ｔと再
生時の所定遅延時間ｄとの差（Ｔ−ｄ）を、発生
し得る最大のスキユー量よりも大きくなるように
設定し、かつ分割されたテレビ画面上の信号を復
元するのに必要な時間軸補正量の最大値が前記時
間軸補正器１４の補正能力範囲内に収まるように
前記遅延時間ｄを設定すれば、前記遅延器１１
ａ，１１ｂ，１１ｃの出力信号の時間軸変動を時
間軸補正器１４で確実に補正することができ、第
２図ｄで示すような、スキユーによるテレビ画面
上の信号欠落が全くない出力映像信号Ｓが得られ
る。

ここで、本実施例における記録、再生過程にお
いては、スキユーによる情報の欠落部分を、垂直
帰線期間を分配したブランキング期間に当てて、
少なくともテレビ画面上の信号が欠落しないよう
にしたが、垂直帰線期間中の情報、即ち垂直同期
信号は常に一定の規則性を維持している既知の情
報であり、従つてこの部分が欠落したとしても再
生時に垂直同期信号を発生させて前記出力映像信
号中に加えてやれば何ら問題はなく、またそのよ
うにすることは容易なことである。

このように本実施例によれば、１フイールド分
の映像信号を構成する３本の各トラツクの信号に
対しそれぞれ所定時間０，Ｔ，2Tの遅延を施し
て記録し、垂直帰線期間を各トラツクの両端にブ
ランキング期間として分配して該ブランキング期
間にヘツド切換を行なうようにしたので、画面上
における再生信号の欠落を無くすことができ、継
目にスキユーの発生するのを防止することができ
る。また、本実施例では従来装置のように大容量
のメモリも不要となり、装置を安価にすることが
できる。

なお、上記実施例では時間軸補正器の負荷軽減
のために、再生時において１フイールド当たりＮ
本のトラツクに分割された映像信号の各トラツク
についてそれぞれ所定時間遅延を施したが、前記
時間軸補正器の補正範囲が充分広ければ、前記再
生時における第４〜第６の遅延器、切換器、及び
切換信号発生器を省略してもよく、上記実施例と
同様の効果が得られる。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明によれば、１フイール
ド分の映像信号をＭ個のヘツドでＮ本のトラツク
に分けて記録再生する際、前記Ｎ本の各トラツク
の信号に対してそれぞれ所定時間遅延を施して記
録し、映像信号の垂直帰線期間を各トラツクの両
端にブランキング期間として分配し、該ブランキ
ング期間にヘツド切換を行なうように構成したの
で、スキユーによるテレビ画面上の信号欠落のな
い出力映像信号が簡単かつ確実に得られる効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂはそれぞれこの発明の一実施例に
よるVTRの記録系、再生系の信号処理の概略構
成図、第２図は該VTRによる記録再生の過程を
説明するための図、第３図は第１図で示した
VTRの磁気テープ上のトラツクパターンを示す
図、第４はVTRにおける時間軸変動の影響を説
明するための図、第５は従来のVTRにおける時
間軸変動の補正方式を説明するための図である。 １ａ，１ｂ……ヘツド、２……磁気テープ、３
ａ，３ｂ，３ｃ……映像信号トラツク、５ａ，５
ｂ，５ｃ，１１ａ，１１ｂ，１１ｃ……遅延器、
６ａ，１２ａ……切換器、６ｂ，１２ｂ……切換
信号発生器、１４……時間軸変動補正器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 回転ドラム上に360°／Ｍ（Ｍは２以上の整数）
   の間隔で設けられたＭ個のヘツドにより１フイー
   ルドの映像信号をＮ本（Ｎは２以上の前記Ｍとは
   独立した整数）のトラツクに分割して記録及び再
   生を行なうヘリカルスキヤン型磁気記録再生装置
   において、記録時に、ｎ（ｎ＝１，…，Ｎ）番目
   のトラツクに記録されるべき信号を（ｎ−１）Ｔ
   （Ｔは所定時間）だけ遅延させる遅延器と、前記
   １フイールドを構成するＮ本のトラツクからの各
   再生信号の時間軸変動を補正し１フイールドの映
   像信号を復元する時間軸補正器とを備えたことを
   特徴とする磁気記録再生装置。 ２ 再生時に、np（np＝１，２，…，Ｎ）番目の
   トラツクから再生された信号を（Ｎ−np）・ｄ
   （但し、ｄは所定時間でｄ＜Ｔ）だけ遅延させる
   遅延器を設けたことを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の磁気記録再生装置。