JPH057983U - 可変容量型ベーンポンプ装置 - Google Patents

可変容量型ベーンポンプ装置

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JPH057983U
JPH057983U JP6203691U JP6203691U JPH057983U JP H057983 U JPH057983 U JP H057983U JP 6203691 U JP6203691 U JP 6203691U JP 6203691 U JP6203691 U JP 6203691U JP H057983 U JPH057983 U JP H057983U
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pressure
discharge
vane
chamber
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JP6203691U
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義治 稲熊
豪哉 加藤
清治 河上
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Toyota Motor Corp
Toyoda Koki KK
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Toyota Motor Corp
Toyoda Koki KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低温時における作動油の粘性抵抗が大きいと
きであってもベーンポンプのベーンの突出力を十分に確
保する。 【構成】 ベーンポンプと圧力感知型切換弁1との間に
温度感知型切換弁9を設ける。この温度感知型切換弁9
は形状記憶合金等からなる駆動部材92、この駆動部材
92の膨脹収縮によって駆動されるスプール91、この
スプール91に反力を与えるスプリング93等によって
構成される。この温度感知型切換弁9の作動により低温
時においては、特定の吸入ポート41’には常に低圧の
吸入作動油が供給される。 【効果】 特定のポンプ室では、低温時であってもベー
ン7がカムリング5の内周面側に常に押付けられるよう
になり、シール性が向上し、作動油の逆流現象等が起こ
らない。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は可変容量型ベーンポンプに関するものであり、特に、自動車用動力舵 取装置に作動流体を供給するのに適した油圧ポンプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用動力舵取装置に用いられる油圧ポンプ装置においては、低速走行時( 一般にエンジン回転速度が低い時)においても、十分な操舵力補助が行えるよう にポンプの吐出量が設定されている。従ってこのような油圧ポンプ装置において は、エンジン回転速度(エンジン回転数)の上昇に応じて、エンジン回転数に比 例した流量の作動油が吐出されることとなる。このことは、本来操舵力補助をほ とんど必要としない高速走行時(一般にエンジン回転数が高い時)において、作 動油の流量が過剰となる。このような現象に対処するため、ポンプから吐出され る作動油(吐出油)のうちの一部を、動力舵取装置のパワーアシスト部には送ら ず、油圧ポンプ側へバイパス還流させる流量制御弁(フローコントロールバルブ )方式が、広く採られている。
【0003】 しかしながら、この流量制御弁方式においては、油圧ポンプから吐出された高 圧の吐出油が、流量制御弁に導かれ、そこからバイパス路へ放出されて、その後 吸入ポート側に還流されてくるものであるため、エンジンの高速回転時において は、エンジン回転数に応じたエネルギー消費をしていることとなる。すなわち流 量制御弁によるバイパス還流方式では、高速走行時等において、操舵力補助をほ とんど必要としない時に、バイパス還流によるエネルギーロス(損失)を行って いることとなり、これに伴い車両燃費の悪化をまねくという問題点がある。そこ で、このような操舵力補助を必要としない時におけるエネルギー損失を低減化す るための手段として、例えば特開昭60−256579号公報記載のような切換 弁を用いた方式のものが従来から採用されている。
【0004】 このものは、図4に示す如く、ロータ6、ベーン、カムリング5、サイドプレ ート3、4、ハウジング2等からなるベーンポンプにおいて、スプール11、ス プリング15等からなる切換弁1’が付け加えられた構成からなるものである。 また、この切換弁1’には吸入口18、吐出口19が設けられており、この吸入 口18からポンプ作動油が吸入され、切換弁吸入室16等を経てポンプ吸入ポー ト41、41’に吸入されるようになっている。また、上記吐出口19は動力舵 取装置のパワーアシスト部に連なっているとともに、切換弁圧力室14を経由し てポンプ圧力室27にも連なっており、ベーンポンプからの吐出油を上記パワー アシスト部に送る役目を担っている。
【0005】 このような構成において、パワーアシスト部が操舵力補助を行っていない状態 にあっては、上記パワーアシスト部の負荷圧も低いため、上記吐出口19から上 記切換弁圧力室14に伝播される圧力も低い値になっている。従って、切換弁1 ’内における切換弁圧力室14と切換弁吸入室16との圧力差は小さく、スプー ル11は、スプリング15の作用により図4の実線図示のような左方に置かれた 状態となる。その結果、ベーンポンプの第2吸入ポート41’は、上記吸入口1 8とはスプール11によって遮断されて、作動油が吸入されない状態となるが、 そのかわり、ベーンポンプの圧力室27とは切換弁1’を介して連通状態となる 。その結果、第2吸入ポート41’と第2吐出ポート31’との間では吐出油が 循環することとなり、従って、ポンプ作用をしないため吐出流量が増大せず、か つポンプ作用によるエネルギー消費も低減化されることとなる。
【0006】 次に、パワーアシスト部が操舵力補助を開始すると、上記パワーアシスト部の 負荷圧が上昇する。これによってこのパワーアシスト部に連なっている切換弁圧 力室14の圧力が上昇し、スプール11はスプリング15のばね力に抗して右方 に押され図4の二点鎖線図示の位置へと移動する。その結果、ベーンポンプ圧力 室27とベーンポンプの第2吸入ポート41’との連通状態は遮断されるととも に、上記第2吸入ポート41’へは、上記吸入口18から新たな作動油が吸入さ れることとなる。従って、第2吸入ポート41’と第2吐出ポート31’もポン プ作用を開始することとなり、これによって生ずる吐出油の増量化が図られるこ ととなる。以上のような、切換弁1’を設けることにより、パワーアシスト部が 操舵力補助用の作動油を少量しか必要としない場合には、ベーンポンプの一部に 作動油を循環させることによって、その部分のポンプ機能を停止させ、エネルギ ーロスを少なくする一方、アイドリング時等の低回転時において操舵力補助が開 始されて大量に作動油を必要とするときには、上記停止させていたポンプ機能を 復活させることによって十分なパワーアシストを行わせようとするものである。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、上記切換弁方式によるポンプ吐出容量の増減を行うベーンポンプ装 置においては、上記低出力状態(低負荷圧状態)にあるときは、特定の吸入ポー トには吐出油を導き、この特定の吸入ポート及び特定の吐出ポートによって形成 される特定のポンプ室においては、単に吐出油を循環するだけでポンプ機能を発 揮させないようにしている。しかしながらこのような特定のポンプ室においては 、低負荷圧状態から高負荷圧状態になって特定の吸入ポートに新たな作動油が吸 入される時に、圧力室から特定のポートを経由して吐出油が逆流するという現象 が起きる場合がある。
【0008】 すなわち、図3に示すように、ベーンポンプ装置においては、ロータ6にはベ ーン7が収納されるスリットが設けられており、このスリットの底部には、側面 に位置するサイドプレートに設けられた図略の背圧溝より供給される作動油(吐 出油)が滞留するスリット底部61が設けられている。このスリット底部61に 滞留する作動油の圧力によって、ベーン7は、カムリング5側に押し付けられ、 上記ロータ6、ベーン7、カムリング5等によってポンプ室56が形成されるこ ととなる。ところが、上記低負荷圧時にあっては、特定のポンプ室には吐出油が 循環するようになっているため、上記スリット底部61及び上記ポンプ室56に 導入される作動油の圧力はいずれも吐出圧であって、上記両者間には圧力差がほ とんど生じないこととなる。
【0009】 さらに、ポンプの回転速度が低い状態にあっては、遠心力による上記ベーン7 の上記カムリング5側への突出力も小さく、上記ベーン7の先端部とカムリング 5の内周面とのシール性が低下することとなる。特にこのことは、作動油が低温 状態にあるとき著しい。低温時にあっては作動油の粘度が高く、そのためベーン 7とベーン7を収納するスリットとの間、あるいはベーン7の側面とサイドプレ ートの側面との間等において、粘性抵抗が大きくなり、その影響により上記ベー ン7のカムリング5側への突出力が不十分になるからである。そのため上記シー ル部分は図3の二点鎖線図示の如く、隙間を生じ易くなり、特定のポンプ室56 においては、図3に示す如く、特定の吐出ポート(第2吐出ポート)31’と特 定の吸入ポート(第2吸入ポート)41’とが連通状態となる。このような問題 点、特に低温時におけるベーン7の突出力の不足という問題点を解消した可変容 量型ベーンポンプ装置の提供をしようとするのが、本考案の課題である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本考案においては、従来のベーンポンプ装置と圧 力感知型の切換弁とからなる可変容量型ベーンポンプ装置において、上記両者の 間に温度感知型切換弁を設ける構成を採ることとした。すなわち、ハウジング内 に収納されて回転駆動されるロータ、当該ロータのスリット内にて摺動運動をす るベーン、当該ベーンの外側にあって上記ロータ、ベーン等と共にポンプ室を形 成するカムリング、上記ロータ、ベーン、カムリング等によって形成される複数 個のポンプ室、当該各ポンプ室に対応して上記ハウジング内に設けられた複数組 の吸入ポート及び吐出ポート等からなるベーンポンプと、上記各吐出ポートに連 なる圧力室から送出される吐出油(作動油)の吐出流量が所定値以上になった場 合、その余剰の吐出油を上記吸入ポートに連なるバイパス路にバイパス還流させ る流量制御弁とからなる油圧ポンプ装置であって、上記吸入ポート側に連なる吸 入側通路、上記圧力室に連なる吐出側通路、上記吸入ポートのうちの特定の吸入 ポート(第2吸入ポート)に連なる連通路を有し、更に、上記圧力室の圧力によ って、上記連通路を上記吸入側通路かまたは上記吐出側通路と連通するように切 換える圧力感知型切換弁を備えてなる可変容量型のベーンポンプ装置において、 上記圧力感知型切換弁と上記ベーンポンプ装置との間に、形状記憶合金あるいは ワックス等の温度膨脹物体からなる駆動部材及びこれによって駆動されるスプー ル等を有し、更に、低温時には前記連通路を常に吸入側通路に連通させる温度感 知型切換弁を設ける構成を採ることとした。
【0011】
【作用】
上記構成を採ることにより、本考案においては、ベーンポンプが作動を開始す ると、例えば図1において、吸入路8から吸引された作動油は吸入室28へと導 かれる。この吸入室28に導かれた作動油のうちの一部は第1吸入ポート41よ り吸引され、ポンプ室で昇圧されて第1吐出ポート31より圧力室27に吐出さ れ、その後、オリフィス26aの前後に生ずる圧力差で作動する流量制御弁26 によって流量制御を受けて動力舵取装置のパワーアシスト部10に送られる。と ころで本考案においては、図1に示す如く、ベーンポンプと圧力感知型切換弁1 との間に、これら両者間を油圧的に連結する吸入側通路22及び吐出側通路24 が設けられており、これら通路の中間部に形状記憶合金等からなる駆動部材92 を有する温度感知型切換弁9が設けられている構成を採っている。
【0012】 そして、この温度感知型切換弁9は、作動油の温度が常温以上の高温状態にあ るときは、上記形状記憶合金等からなる駆動部材92は、図1に示す如く、膨脹 した形態(伸びた状態)となるように設定されているので、それによって当該温 度感知型切換弁9内に設置されているスプール91は、スプリング93のばね力 に抗して右方に移動し、上記圧力室27に連なる吐出側通路24が圧力感知型切 換弁1のシリンダ室13に連通する状態に置かれることとなる。また、作動油の 温度が低温状態にあるときは、上記形状記憶合金等から成る駆動部材92は、収 縮した形態(縮んだ状態)となるように設定されているので、スプール91は図 2に示すように、スプリング93のばね力によって左方に押され、上記スプール 91のランド部911が上記圧力室27に連なる吐出側通路24と上記圧力感知 型切換弁1のシリンダ室13との連通状態を遮断する状態に置かれることとなる 。
【0013】 このような状況下において、まず、作動油が、いわゆる高温状態にある場合に ついて説明する。この場合、上記パワーアシスト部が操舵力補助(パワーアシス ト)を行っていない状態にあっては、上記パワーアシスト部の油圧(負荷圧)は 低い状態にあり、従って、上記パワーアシスト部の負荷圧が伝播される圧力室2 7の圧力も低い状態におかれる。その結果、図1のような圧力感知型切換弁1で は、圧力導入路25からの導入圧力も低いため圧力感知型切換弁1内の切換弁圧 力室14と切換弁吸入室16との間の圧力差は小さい。従って、スプール11は スプリング15のばね力の作用によって右方に押され、図1の実線図示の状態に 置かれる。その結果、上記吸入室28に連なる吸入側通路22と第2吸入ポート 41’に連なる連通路23とは遮断されるが、そのかわり、圧力室27に連なる 吐出側通路24と上記連通路23とは連通状態となる。
【0014】 このとき、作動油は高温状態にあるので、上記温度感知型切換弁9のスプール ランド部911は右方にあり、上記吐出側通路24と圧力感知型切換弁1のシリ ンダ室13とは連通状態に置かれており、上記圧力室27に滞留する吐出油の一 部は、吐出側通路24、温度感知型切換弁9、圧力感知型切換弁1のシリンダ室 13、連通路23を経由して第2吸入ポート41’に吸引される。すなわち、第 2吸入ポート41’と第2吐出ポート31’とは吐出油が循環することとなる( 図1破線矢印図示)。従って、パワーアシスト部が操舵力補助を行って居らず、 負荷圧が低い状態にあるときは、一組の吸入ポート41’と吐出ポート31’と からなるポンプ室のポンプ機能は停止することとなり、これによって、ポンプ作 用によって生ずるエネルギー損失の低減化が図られることとなる。
【0015】 これに対して、上記パワーアシスト部が操舵力補助を開始すると、負荷圧が上 昇し、上記圧力室27の圧力が上昇する。その結果、切換弁圧力室14には、上 記負荷圧に相当する大きな圧力が付加される。これによって、スプール11は、 スプリング15のばね力に抗して左方に移動し、図1の二点鎖線図示の位置に来 る。その結果、上記第2吸入ポート41’に連なる連通路23と圧力室に連なる 吐出側通路24との間は遮断されると同時に、上記吸入室28に連なる吸入側通 路22と上記連通路23とが連通状態となり、第2吸入ポート41’にも作動油 が導入されることとなり、上記停止していたポンプ室もポンプ作用を開始し、第 2吐出ポート31’からも吐出油が吐出されることとなる(図1実線矢印図示) 。これによってベーンポンプの吐出容量は増加することとなり、パワーアシスト 部の操舵力補助に寄与することとなる。
【0016】 次に、作動油の温度が低温状態にあるときについて説明する。この場合、温度 感知型切換弁9内の駆動部材92は、収縮した状態になるように設定されている ので、スプール91はスプリング93のばね力によって左方に押される。その結 果、図2に示す如く、スプール91のランド部911は、吐出側通路24の当該 温度感知型切換弁9への開口部を塞いでしまうこととなる。すなわち、上記吐出 側通路24と、圧力感知型切換弁1のシリンダ室13との連通状態が遮断されて しまうこととなる。従って、吐出側通路24からの吐出油は、圧力感知型切換弁 1、これに連なる連通路23、更には、特定の吸入ポート(第2吸入ポート)4 1’へは供給されないこととなる。このように低温時にあっては、温度感知型切 換弁9の作動により、特定の吸入ポート(第2吸入ポート)41’へは常に吐出 油が提供されないこととなる。すなわち、低温時には、特定のポンプ室において は、吐出油の循環は行われないこととなる。そのかわり、図2に示す如く、温度 感知型切換弁9のところにおいては、スプール91のランド部911の位置関係 が、吸入室28に連なる吸入側通路22と、特定の吸入ポート(第2吸入ポート )41’に連なる連通路23とが連通するように設定されているので、上記特定 の吸入ポート(第2吸入ポート)41’へは、吸入作動油が、負荷圧の如何にか かわらず供給されることとなる。
【0017】 その結果、特定の吸入ポート41’及び特定の吐出ポート31’によって形成 される特定のポンプ室周りの油圧関係は、図3に示す如く、特定のポンプ室56 内の圧力が吸入作動油の圧力である比較的低圧の油圧となるのに対して、ベーン 7の収納されるスリット底部61の圧力は、吐出油の圧力である比較的高圧の油 圧となる。従って、ベーン7は、常に、カムリング5側に押されることとなり、 ポンプ回転数が低く、遠心力が小さい状態にあり、さらに、低温時にあって粘性 抵抗の影響による突出抵抗が大きいときであっても、十分にカムリング5とのシ ール性が得られることとなる。その結果、低温時にあっても、吐出油の逆流現象 等が防止されることとなる。
【0018】
【実施例】
本考案にかかる実施例について図1を基に説明する。本実施例の構成は、図1 に示す如く、ロータ6、ベーン7、カムリング5等からなるベーンポンプと、ス プール11、切換弁ハウジング12等からなる圧力感知型切換弁1と、上記ベー ンポンプと上記圧力感知型切換弁1との間に設けられた温度感知型切換弁9で構 成される可変容量型ベーンポンプ装置であることを基本とするものである。この ような基本構成において、ベーンポンプは、従来から公知のものであり、ハウジ ング2内に収納されて回転駆動されるロータ6、当該ロータ6のスリット内にて 摺動運動をするベーン7、当該ベーン7の外側にあって上記ロータ6、ベーン7 等とポンプ室を形成するカムリング5、上記ロータ6、ベーン7、カムリング5 等によって形成される複数個のポンプ室、当該各ポンプ室に対応して上記ハウジ ング2内に設けられた複数組の吸入ポート41、41’及び吐出ポート31、3 1’等からなる油圧ポンプ装置であることを基本構成とし、これらに加えて上記 各吐出ポートに連なる圧力室27を有し、当該圧力室27に連なるようにオリフ ィス26aの前後に生ずる圧力差によって作動する流量制御弁26を有し、更に は、上記流量制御弁26から余剰の作動油を吸入側にバイパス還流させるための バイパス路29を有し、当該バイパス路29の下流側には上記吸入ポート41、 41’に連なる吸入室28を有する構成となっている。
【0019】 次に、圧力感知型切換弁1は、切換弁ハウジング12内にシリンダ室13を有 し、このシリンダ室13内にスプール11、スプリング15等を内蔵することを 基本構成とし、これらに加えて上記スプール11の一方の頭部側には、上記圧力 室27に圧力導入路25を介して連通する切換弁圧力室14が設けられており、 他方の頭部側には上記吸入室28に圧力導入路21を介して連通する切換弁吸入 室16が設けられており、更には、上記吸入室28に連なる吸入側通路22、上 記圧力室27に連なる吐出側通路24、及び上記第2吸入ポート41’に連なる 連通路23が設けられている構成となっている。なお、上記吐出側通路24及び 吸入側通路22は温度感知型切換弁9を経由して、当該圧力感知型切換弁1のシ リンダ室13に連なるように構成されている。
【0020】 また、上記ベーンポンプと上記圧力感知型切換弁1との間に設けられた温度感 知型切換弁9は、ランド部911を有するスプール91を内蔵して成ることを基 本構成とし、更に、当該スプール91の一方の端部には、形状記憶合金あるいは 、ワックス等の温度膨脹物体からなる駆動部材92を有し、他方の端部にはスプ リング93を有する構成からなるものである。なお、当該スプール91は図1及 び図2に示すように、その両端部付近と中央部付近にランド部911を有する構 成となっており、図2に示す如く、特に右端部に設けられたランド部は、作動油 が低温状態にあり、形状記憶合金等からなる上記駆動部材92が収縮した状態に あるときには、上記圧力室27に連なる吐出側通路24の当該温度感知型切換弁 9のシリンダ室への連通を遮断するような位置関係になるように構成されている 。それと同時に、左端部のランドと中央部ランドとは、同じく図2に示す如く、 吸入室28に連なる吸入側通路22と第2吸入ポート41’に連なる連通路23 とが、当該両ランド間のシリンダ室を介して連通するような位置関係になるよう に構成されている。また、当該スプール91の収納される温度感知型切換弁9の シリンダ室には、上記吸入室28に連なる吸入側通路22、及び上記圧力室27 に連なる吐出側通路24、更には、上記第2吸入ポート41’に連なる連通路2 3が連通するようになっており、これら各通路は、当該温度感知型切換弁9の上 記シリンダ室を経由して、上記圧力感知型切換弁1のシリンダ室13に連通する 構成になっている。
【0021】 上記構成を採る本実施例の作動について説明する。ベーンポンプが作動を開始 すると、例えば図1において、吸入路8から吸引された作動油は吸入室28へと 導かれる。この吸入室28に導かれた作動油のうちの一部は第1吸入ポート41 より吸引され、ポンプ室で昇圧されて第1吐出ポート31より圧力室27に吐出 され、その後、オリフィス26a前後に生ずる圧力差で作動する流量制御弁26 によって流量制御を受けて動力舵取装置のパワーアシスト部10に送られる。こ こにおいて、まず、作動油が、いわゆる高温状態にある場合について説明する。 この場合、上記パワーアシスト部が操舵力補助(パワーアシスト)を行っていな い状態にあっては、上記パワーアシスト部の油圧(負荷圧)は低い状態にあり、 従って、上記パワーアシスト部の負荷圧が伝播される圧力室27の圧力も低い状 態におかれる。その結果、圧力導入路25からの導入圧力も低いため圧力感知型 切換弁1内の切換弁圧力室14と切換弁吸入室16との間の圧力差は小さい。従 って、スプール11はスプリング15のばね力の作用によって右方に押され、図 1の実線図示の状態に置かれる。その結果、上記吸入室28に連なる吸入側通路 22と第2吸入ポート41’に連なる連通路23とは遮断されるが、そのかわり 、圧力室27に連なる吐出側通路24と上記連通路23とは連通状態となる。
【0022】 このとき、作動油は高温状態にあるので、上記温度感知型切換弁9のスプール ランド部911は右方にあり、上記吐出側通路24と圧力感知型切換弁1のシリ ンダ室13とは連通状態に置かれており、上記圧力室27に滞留する吐出油の一 部は、吐出側通路24、温度感知型切換弁9、圧力感知型切換弁1のシリンダ室 13、連通路23を経由して第2吸入ポート41’に吸引される。すなわち、第 2吸入ポート41’と第2吐出ポート31’とは吐出油が循環することとなる( 図1破線矢印図示)。従って、パワーアシスト部が操舵力補助を行って居らず、 負荷圧が低い状態にあるときは、一組の吸入ポート41’と吐出ポート31’と からなるポンプ室のポンプ機能は停止することとなり、これによって、ポンプ作 用によって生ずるエネルギー損失の低減化が図られることとなる。
【0023】 これに対して、上記パワーアシスト部が操舵力補助を開始すると、負荷圧が上 昇し、上記圧力室27の圧力が上昇する。その結果、切換弁圧力室14には、上 記負荷圧に相当する大きな圧力が付加される。これによって、スプール11は、 スプリング15のばね力に抗して左方に移動し、図1の二点鎖線図示の位置に来 る。その結果、上記第2吸入ポート41’に連なる連通路23と圧力室に連なる 吐出側通路24との間は遮断されると同時に、上記吸入室28に連なる吸入側通 路22と上記連通路23とが連通状態となり、第2吸入ポート41’にも作動油 が導入されることとなり、上記停止していたポンプ室もポンプ作用を開始し、第 2吐出ポート31’からも吐出油が吐出されることとなる(図1実線矢印図示) 。これによってベーンポンプの吐出容量は増加することとなり、パワーアシスト 部の操舵力補助に寄与することとなる。
【0024】 次に、作動油の温度が低温状態にあるときについて説明する。この場合、温度 感知型切換弁9内の駆動部材92は、収縮した状態になるように設定されている ので、スプール91はスプリング93のばね力によって左方に押される。その結 果、図2に示す如く、スプール91のランド部911は、吐出側通路24の当該 温度感知型切換弁9への開口部を塞いでしまうこととなる。すなわち、上記吐出 側通路24と、圧力感知型切換弁1のシリンダ室13との連通状態が遮断されて しまうこととなる。従って、吐出側通路24からの吐出油は、圧力感知型切換弁 1、これに連なる連通路23、更には、特定の吸入ポート(第2吸入ポート)4 1’へは供給されないこととなる。このように低温時にあっては、温度感知型切 換弁9の作動により、特定の吸入ポート(第2吸入ポート)41’へは常に吐出 油が提供されないこととなる。すなわち、低温時には、特定のポンプ室において は、吐出油の循環は行われないこととなる。そのかわり、図2に示す如く、温度 感知型切換弁9のところにおいては、スプール91のランド部911の位置関係 が、吸入室28に連なる吸入側通路22と、特定の吸入ポート(第2吸入ポート )41’に連なる連通路23とが連通するように設定されているので、上記特定 の吸入ポート(第2吸入ポート)41’へは、吸入作動油が、負荷圧の如何にか かわらず供給されることとなる。
【0025】 すなわち、低温状態にあるときには、特定の吸入ポート41’及び特定の吐出 ポート31’によって形成される特定のポンプ室周りの油圧関係は、特定のポン プ室56内の圧力が吸入作動油の圧力である比較的低圧の油圧となるのに対して 、ベーン7の収納されるスリット底部61の圧力は、吐出油の圧力である比較的 高圧の油圧となる。従って、ベーン7は、常に、カムリング5側に押されること となり、ポンプ回転数が低く、遠心力が小さい状態にあり、さらに、低温時にあ って粘性抵抗の影響による突出抵抗が大きいときであっても、十分にカムリング 5とのシール性が得られることとり、吐出油の逆流現象等が防止されることとな る。
【0026】
【考案の効果】
本考案によれば、複数個の吸入ポート及び吐出ポートを有するベーンポンプで あって、動力舵取装置のパワーアシスト部の負荷圧が低い状態にあるときは、上 記一部の吸入ポート及び吐出ポートを、吐出油が循環するようにして、ポンプ機 能を停止させ、上記負荷圧が上昇したときには、上記停止していた部分のポンプ 機能を復活させるようにする圧力感知型切換弁を有する可変容量型のベーンポン プ装置において、上記圧力感知型切換弁とベーンポンプ装置との間に、形状記憶 合金等の駆動部材によって駆動されるスプールを内蔵する温度感知型切換弁を設 けることにより、作動油が低温時にあっては、常時、特定の吸入ポート側に吸入 作動油を導入することとし、当該特定の吸入ポート等によって形成される特定の ポンプ室において、ベーンの突出力が十分に確保されるようにしたので、ベーン 先端部とカムリング内周面とのシール性が向上し、従来のものにおいて問題とさ れていた低温時のシール性の低下に基づく吐出油の逆流現象等を解消することが 可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案にかかる可変容量型ベーンポンプ装置の
全体構成を示すスケルトン構造図であって、作動油が高
温状態にあるときの切換弁の作動状態を示す図である。
【図2】本考案にかかる可変容量型ベーンポンプ装置の
全体構成を示すスケルトン構造図であって、作動油が低
温状態にあるときの切換弁の作動状態を示す図である。
【図3】ベーンポンプにおけるポンプ室の構成及びロー
タのスリット部に設けられたスリット底部の構造を示す
図である。
【図4】従来例における可変容量型ベーンポンプ装置の
構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 圧力感知型切換弁 11 スプール 12 切換弁ハウジング 13 シリンダ室 14 切換弁圧力室 16 切換弁吸入室 2 ハウジング 21 圧力導入路 22 吸入側通路 23 連通路 24 吐出側通路 25 圧力導入路 26 流量制御弁 27 圧力室 28 吸入室 29 バイパス路 31 第1吐出ポート 31’ 第2吐出ポート 41 第1吸入ポート 41’ 第2吸入ポート 5 カムリング 6 ロータ 7 ベーン 8 吸入路 9 温度感知型切換弁 91 スプール 92 駆動部材 93 スプリング 10 パワーアシスト部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 河上 清治 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 ハウジング内に収納されて回転駆動され
    るロータ、当該ロータのスリット内にて摺動運動をする
    ベーン、当該ベーンの外側にあって上記ロータ、ベーン
    等と共にポンプ室を形成するカムリング、上記ロータ、
    ベーン、カムリング等によって形成される複数個のポン
    プ室、当該各ポンプ室に対応して上記ハウジング内に設
    けられた複数組の吸入ポート及び吐出ポート等からなる
    ベーンポンプと、上記各吐出ポートに連なる圧力室より
    送出される吐出油(作動油)の吐出流量が所定値以上に
    なった場合、その余剰の吐出油を上記吸入ポートに連な
    るバイパス路にバイパス還流させる流量制御弁とからな
    る油圧ポンプ装置であって、上記吸入ポート側に連なる
    吸入側通路、上記圧力室に連なる吐出側通路、上記吸入
    ポートのうちの特定のポートに連なる連通路を有し、更
    に、上記圧力室の圧力によって、上記連通路を上記吸入
    側通路または上記吐出側通路と連通するように切換える
    圧力感知型切換弁を備えてなる可変容量型ベーンポンプ
    装置において、上記圧力感知型切換弁と、上記ベーンポ
    ンプとの間に、形状記憶合金等の温度膨脹物体からなる
    駆動部材、及びこれによって駆動されるスプールを有
    し、かつ、低温時には上記連通路を常に上記吸入側通路
    に連通させる温度感知型切換弁を設けてなることを特徴
    とする可変容量型ベーンポンプ装置。
JP6203691U 1991-07-11 1991-07-11 可変容量型ベーンポンプ装置 Pending JPH057983U (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS53161160U (ja) * 1977-05-19 1978-12-16
JPS5596092U (ja) * 1978-12-27 1980-07-03
KR20000067166A (ko) * 1999-04-24 2000-11-15 이승춘 이연식 유압펌프

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KR20000067166A (ko) * 1999-04-24 2000-11-15 이승춘 이연식 유압펌프

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