JPH0579730B2 - - Google Patents
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- JPH0579730B2 JPH0579730B2 JP62284108A JP28410887A JPH0579730B2 JP H0579730 B2 JPH0579730 B2 JP H0579730B2 JP 62284108 A JP62284108 A JP 62284108A JP 28410887 A JP28410887 A JP 28410887A JP H0579730 B2 JPH0579730 B2 JP H0579730B2
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- austenite
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Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D8/00—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
- C21D8/02—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips
- C21D8/0205—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips of ferrous alloys
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
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- Thermal Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
この発明は、とくに耐食性、強度さらにはじん
性が要求される溶接組立構造用材料として、建
築、食品の製造、車両、船舶、鉄塔あるいは揚水
発電などの装置、設備に用いて好適なマルテンサ
イトステンレス鋼の製造方法に関するものであ
る。 (従来の技術) 従来、マルテンサイトステンレス鋼は、フエラ
イト系あるいはオーステナイト系ステンレス鋼に
比較して溶接性や加工性が劣るため、構造物への
適用が難しく、とくに厚物の鋼板を溶接用構造材
として用いることは殆んどなかつた。なおマルテ
ンサイトステンレス鋼を適用した厚物の構造物と
しては鋳鋼品として製造されているのが現状であ
る。 さて、マルテンサイトステンレス厚鋼板は、通
常、熱間圧延したのち、焼なましあるいは焼入れ
−焼もどし処理されるが、例えば焼なまし処理を
施した場合には、徐冷中に高温オーステナイトの
一部がフエライトがカーバイドに分解し、残りの
オーステナイトがマルテンサイトにに変態する。
マルテンサイト+フエライト+カーバイド組織と
なるため所望のじん性を確保するのが難しく、一
方焼入れ−焼もどし処理を施す場合には、処理後
の組織は焼もどしマルテンサイトになるため比較
的じん性の良好な均質なものを得ることはできる
けれども、圧延加工の際に導入された格子欠陥あ
るいは圧延時に析出した炭化物、フエライトなど
に起因して十分なじん性を得ることができなかつ
た。そこで従来では、熱間圧延後の鋼板を、焼な
ましあるいは焼入れ−焼もどしするに先立ち、少
なくとも900℃〜1000℃程度に再加熱して、格子
欠陥の消滅や炭化物やフエライトを再固溶するこ
とが不可欠であつた。 しかしながら従来法に従えば再加熱のための余
計な手間や時間を必要とし、またエネルギーロス
が非常に大きいという不利があつた。この点特開
昭57−161026号公報には、マルテンサイト系ステ
ンレス鋼を、熱間圧延後の高温状態からMs+100
℃より低く、Mf又は100℃の何れか高い方の温度
域まで冷却したのち、Ac1以下で焼もどす技術が
提案されている。 (発明が解決しようとする問題点) しかしながら上記公報に開示の技術では、熱間
圧延後の再加熱を省略することはできたとして
も、Mf点が100℃以下である鋼に適用した場合に
はとくに良好なじん性は得られないという問題が
あつた。 上述した従来の問題を解消し、熱間圧延して得
た鋼板に再加熱を行わずとも良好なじん性を確保
できる、マルテンサイトステンレス鋼の製造方法
を提案することがこの発明の目的である。 (問題点を解決するための手段) 発明者らは、熱間圧延を施したのちマルテンサ
イトステンレス鋼に、従来のような再加熱を行わ
なくとも良好なじん性、強度等を付与すべく種々
実験と検討を重ねた結果、マルテンサイトステン
レス鋼における適切な成分調整と適切な条件のも
とで熱間圧延および熱処理を行うことが、所期し
た目的の達成に極めて有効であることを突き止め
た。 この発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわちこの発明は、 (C+N):0.05wt%以下、 Ni:1.5〜6.5wt%を含有するマルテンサイトス
テンレス鋼を、1250℃以下に加熱し800℃以上の
仕上温度で熱間圧延したのち、20/{Ni%+100
(C%+N%)}℃/min以上の冷却速度にて75℃
以下に冷却し、ついでAc1点を超え、Ac1+100℃
以下の範囲で焼きもどすことを特徴とするマルテ
ンサイトステンレス鋼の製造方法である。 (作用) 以下この発明の限定理由について説明する。 まずこの発明において、CとNを、その合計量
で0.05%以下に規制したのは、熱間圧延後高温の
オーステナイト域から冷却する際に、冷却途中で
生成するマルテンサイト相の硬さを緩和して割れ
感受性を下げるとともに、炭化物の析出を抑制す
るためである。 次に、Niの含有量を1.5%以上としたのは、C,
Nの含有量を少なくしたために高温オーステナイ
ト域が狭くなるのに伴い、熱間圧延温度領域が狭
くなるのを防ぐためである。 なお、残留オーステナイトの安定化を容易に行
うためには、Niを少なくとも3.5%添加するのが
好ましく一方その含有量が6.5%を超えると高温
オーステナイト域から冷却してもマルテンサイト
にならず、強度不足を生じることがある。従つて
Niの含有量は、1.5〜6.5%好ましくは3.5〜6.5%
の範囲とするのがよい。 次に、熱間圧延を行うに当り、マルテンサイト
ステンレス鋼の加熱温度を1250℃以下に規制した
理由は、加熱温度が、1250℃を超えるとオーステ
ナイトが粗大化し、じん性を低下させるととも
に、加熱時に発生する酸化スケールにより良好な
表面品質が得られないからである。また、加熱温
度は、好ましくは1150℃以上が良い。1150℃未満
では、加工のための荷重が増大し、圧延能率を著
しく害する。 次に、熱間圧延における仕上温度を800℃以上
としたのは、該仕上温度が800℃未満であると圧
延加工時に導入された格子欠陥が圧延後の冷却中
に消滅せずオーステナイト中に残留する。そして
それがマルテンサイト変態時にマルテンサイトに
伝承され、マルテンサイトの硬さが増して割れ感
受性を増大させるからである。 次に、熱間圧延後の冷却速度は、フエライトお
よび炭化物が析出しない範囲でなければのちの焼
もどし処理によつて良好なじん性を確保すること
はできない。そのためには冷却速度(℃/min)
を20/{Ni%+100(C%+N%)}で示す式より
も大きくすることが必要である。 上記の条件を満足する冷却速度により75℃以下
まで冷却するのは、冷却停止温度が75℃を超える
場合には、残留オーステナイトが多くなり、Ac1
以上に焼もどした際、オーステナイトへのC,
N,Niなどのオーステナイト安定化元素の濃化
が小さく、オーステナイトが安定化せず焼もどし
後の冷却においてオーステナイトがマルテンサイ
トに変態し、じん性を著しく劣化させるためであ
る。 次に、上記の各条件で処理された鋼を、Ac1超
に焼きもどすのは、熱間圧延後の冷却において残
留したオーステナイトの安定化を図り、最終製品
となる鋼板の組織中に安定オーステナイトを残留
させ、じん性を向上させるためである。一方焼も
どし温度がAc1+100℃を超えると焼もどし処理
によつて生成するオーステナイト量が増し、この
ため添加元素の濃化が起らず、焼もどし後の冷却
でマルテンサイトに変態し、じん性が著しく劣化
する。よつて焼もどし温度はAc1+100℃の範囲
に規制した。 なお、熱間圧延に際しては、スラブを再加熱す
る方式であつても、溶製時の保有熱を利用した直
送方式であつてもこの発明を逸脱するものではな
い。 第1図に、マルテンサイトステンレス鋼におけ
る熱延仕上温度及び(C+N)量と硬さの関係を
示す。なお上記のステンレス鋼はCr:12.8%、
Ni:5.2%を基本成分として、(C+N)を0.020
〜0.10%の範囲で種々変更したものであつて、そ
の鋼を1200℃に加熱したのち仕上圧延温度がそれ
ぞれ800,900,1000℃となる熱間圧延を行い、30
℃/minの冷却速度で室温まで冷却した場合を例
とした。 第1図から、(C+N)量を0.05%以下としか
つ熱延仕上温度を800℃以上に規制すれば、熱延
のままの状態で硬さは400以下であり、従つての
ちの焼きもどし処理をAc1超〜Ac1+100℃の範囲
で行つても容易に軟化できることは明らかであ
る。 また、第2図に、C:0.04%、N:0.008%、
Ni:4.8%、Cr:13.0%を含有し、Ac1=570℃に
なる鋼を、熱延仕上温度が1000℃となるように圧
延したのち約5℃/minの冷却速度で40〜180℃
の温度まで種々冷却してから、Ac1+20℃の温度
(590℃)で焼もどし処理を行つた鋼板の0℃にお
けるVノツチシヤルピー衝撃試験の調査結果を示
す。 第2図から、熱間圧延後の冷却における停止温
度が、とくに75℃以下の場合、焼もどし処理によ
つてじん性が向上することがわかる。なお冷却停
止温度を75℃以下とした鋼板における焼もどし処
理前の残留オーステナイト量は全て10%以下であ
つた。 (実施例) 実施例 1 C:0.02%、N:0.01%、Ni:4.2%、Cr:12.8
%を含有する鋼(鋼種A)の鋼塊と、SUS410鋼
(C:0.12%、N:0.02%、Ni:0.3%、Cr:12.3
%)の鋼塊を表−1に示す処理条件の下に厚さ
130mmの鋼板に仕上げ、得られた鋼板の機械的性
質を調査した。その結果を表−1に併せて示す。
性が要求される溶接組立構造用材料として、建
築、食品の製造、車両、船舶、鉄塔あるいは揚水
発電などの装置、設備に用いて好適なマルテンサ
イトステンレス鋼の製造方法に関するものであ
る。 (従来の技術) 従来、マルテンサイトステンレス鋼は、フエラ
イト系あるいはオーステナイト系ステンレス鋼に
比較して溶接性や加工性が劣るため、構造物への
適用が難しく、とくに厚物の鋼板を溶接用構造材
として用いることは殆んどなかつた。なおマルテ
ンサイトステンレス鋼を適用した厚物の構造物と
しては鋳鋼品として製造されているのが現状であ
る。 さて、マルテンサイトステンレス厚鋼板は、通
常、熱間圧延したのち、焼なましあるいは焼入れ
−焼もどし処理されるが、例えば焼なまし処理を
施した場合には、徐冷中に高温オーステナイトの
一部がフエライトがカーバイドに分解し、残りの
オーステナイトがマルテンサイトにに変態する。
マルテンサイト+フエライト+カーバイド組織と
なるため所望のじん性を確保するのが難しく、一
方焼入れ−焼もどし処理を施す場合には、処理後
の組織は焼もどしマルテンサイトになるため比較
的じん性の良好な均質なものを得ることはできる
けれども、圧延加工の際に導入された格子欠陥あ
るいは圧延時に析出した炭化物、フエライトなど
に起因して十分なじん性を得ることができなかつ
た。そこで従来では、熱間圧延後の鋼板を、焼な
ましあるいは焼入れ−焼もどしするに先立ち、少
なくとも900℃〜1000℃程度に再加熱して、格子
欠陥の消滅や炭化物やフエライトを再固溶するこ
とが不可欠であつた。 しかしながら従来法に従えば再加熱のための余
計な手間や時間を必要とし、またエネルギーロス
が非常に大きいという不利があつた。この点特開
昭57−161026号公報には、マルテンサイト系ステ
ンレス鋼を、熱間圧延後の高温状態からMs+100
℃より低く、Mf又は100℃の何れか高い方の温度
域まで冷却したのち、Ac1以下で焼もどす技術が
提案されている。 (発明が解決しようとする問題点) しかしながら上記公報に開示の技術では、熱間
圧延後の再加熱を省略することはできたとして
も、Mf点が100℃以下である鋼に適用した場合に
はとくに良好なじん性は得られないという問題が
あつた。 上述した従来の問題を解消し、熱間圧延して得
た鋼板に再加熱を行わずとも良好なじん性を確保
できる、マルテンサイトステンレス鋼の製造方法
を提案することがこの発明の目的である。 (問題点を解決するための手段) 発明者らは、熱間圧延を施したのちマルテンサ
イトステンレス鋼に、従来のような再加熱を行わ
なくとも良好なじん性、強度等を付与すべく種々
実験と検討を重ねた結果、マルテンサイトステン
レス鋼における適切な成分調整と適切な条件のも
とで熱間圧延および熱処理を行うことが、所期し
た目的の達成に極めて有効であることを突き止め
た。 この発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわちこの発明は、 (C+N):0.05wt%以下、 Ni:1.5〜6.5wt%を含有するマルテンサイトス
テンレス鋼を、1250℃以下に加熱し800℃以上の
仕上温度で熱間圧延したのち、20/{Ni%+100
(C%+N%)}℃/min以上の冷却速度にて75℃
以下に冷却し、ついでAc1点を超え、Ac1+100℃
以下の範囲で焼きもどすことを特徴とするマルテ
ンサイトステンレス鋼の製造方法である。 (作用) 以下この発明の限定理由について説明する。 まずこの発明において、CとNを、その合計量
で0.05%以下に規制したのは、熱間圧延後高温の
オーステナイト域から冷却する際に、冷却途中で
生成するマルテンサイト相の硬さを緩和して割れ
感受性を下げるとともに、炭化物の析出を抑制す
るためである。 次に、Niの含有量を1.5%以上としたのは、C,
Nの含有量を少なくしたために高温オーステナイ
ト域が狭くなるのに伴い、熱間圧延温度領域が狭
くなるのを防ぐためである。 なお、残留オーステナイトの安定化を容易に行
うためには、Niを少なくとも3.5%添加するのが
好ましく一方その含有量が6.5%を超えると高温
オーステナイト域から冷却してもマルテンサイト
にならず、強度不足を生じることがある。従つて
Niの含有量は、1.5〜6.5%好ましくは3.5〜6.5%
の範囲とするのがよい。 次に、熱間圧延を行うに当り、マルテンサイト
ステンレス鋼の加熱温度を1250℃以下に規制した
理由は、加熱温度が、1250℃を超えるとオーステ
ナイトが粗大化し、じん性を低下させるととも
に、加熱時に発生する酸化スケールにより良好な
表面品質が得られないからである。また、加熱温
度は、好ましくは1150℃以上が良い。1150℃未満
では、加工のための荷重が増大し、圧延能率を著
しく害する。 次に、熱間圧延における仕上温度を800℃以上
としたのは、該仕上温度が800℃未満であると圧
延加工時に導入された格子欠陥が圧延後の冷却中
に消滅せずオーステナイト中に残留する。そして
それがマルテンサイト変態時にマルテンサイトに
伝承され、マルテンサイトの硬さが増して割れ感
受性を増大させるからである。 次に、熱間圧延後の冷却速度は、フエライトお
よび炭化物が析出しない範囲でなければのちの焼
もどし処理によつて良好なじん性を確保すること
はできない。そのためには冷却速度(℃/min)
を20/{Ni%+100(C%+N%)}で示す式より
も大きくすることが必要である。 上記の条件を満足する冷却速度により75℃以下
まで冷却するのは、冷却停止温度が75℃を超える
場合には、残留オーステナイトが多くなり、Ac1
以上に焼もどした際、オーステナイトへのC,
N,Niなどのオーステナイト安定化元素の濃化
が小さく、オーステナイトが安定化せず焼もどし
後の冷却においてオーステナイトがマルテンサイ
トに変態し、じん性を著しく劣化させるためであ
る。 次に、上記の各条件で処理された鋼を、Ac1超
に焼きもどすのは、熱間圧延後の冷却において残
留したオーステナイトの安定化を図り、最終製品
となる鋼板の組織中に安定オーステナイトを残留
させ、じん性を向上させるためである。一方焼も
どし温度がAc1+100℃を超えると焼もどし処理
によつて生成するオーステナイト量が増し、この
ため添加元素の濃化が起らず、焼もどし後の冷却
でマルテンサイトに変態し、じん性が著しく劣化
する。よつて焼もどし温度はAc1+100℃の範囲
に規制した。 なお、熱間圧延に際しては、スラブを再加熱す
る方式であつても、溶製時の保有熱を利用した直
送方式であつてもこの発明を逸脱するものではな
い。 第1図に、マルテンサイトステンレス鋼におけ
る熱延仕上温度及び(C+N)量と硬さの関係を
示す。なお上記のステンレス鋼はCr:12.8%、
Ni:5.2%を基本成分として、(C+N)を0.020
〜0.10%の範囲で種々変更したものであつて、そ
の鋼を1200℃に加熱したのち仕上圧延温度がそれ
ぞれ800,900,1000℃となる熱間圧延を行い、30
℃/minの冷却速度で室温まで冷却した場合を例
とした。 第1図から、(C+N)量を0.05%以下としか
つ熱延仕上温度を800℃以上に規制すれば、熱延
のままの状態で硬さは400以下であり、従つての
ちの焼きもどし処理をAc1超〜Ac1+100℃の範囲
で行つても容易に軟化できることは明らかであ
る。 また、第2図に、C:0.04%、N:0.008%、
Ni:4.8%、Cr:13.0%を含有し、Ac1=570℃に
なる鋼を、熱延仕上温度が1000℃となるように圧
延したのち約5℃/minの冷却速度で40〜180℃
の温度まで種々冷却してから、Ac1+20℃の温度
(590℃)で焼もどし処理を行つた鋼板の0℃にお
けるVノツチシヤルピー衝撃試験の調査結果を示
す。 第2図から、熱間圧延後の冷却における停止温
度が、とくに75℃以下の場合、焼もどし処理によ
つてじん性が向上することがわかる。なお冷却停
止温度を75℃以下とした鋼板における焼もどし処
理前の残留オーステナイト量は全て10%以下であ
つた。 (実施例) 実施例 1 C:0.02%、N:0.01%、Ni:4.2%、Cr:12.8
%を含有する鋼(鋼種A)の鋼塊と、SUS410鋼
(C:0.12%、N:0.02%、Ni:0.3%、Cr:12.3
%)の鋼塊を表−1に示す処理条件の下に厚さ
130mmの鋼板に仕上げ、得られた鋼板の機械的性
質を調査した。その結果を表−1に併せて示す。
【表】
【表】
得られた鋼板につき、目視検査を行つたところ
SUS410の厚板には表面割れが生じていたが、鋼
種Aには割れは全く見られなかつた。また、鋼種
Aについては、比較例として、溶体化処理後620
℃で焼もどし処理を施したが、この発明によれ
ば、上記の処理過程を行わずともそれと同等の結
果が得られることが確かめられた。 実施例 2 C:0.04%、N:0.008%、Ni:5.3%、Cr:
12.6%を含有する厚さ200mmのマルテンサイトス
テンレス鋼のスラブを、表−2に示す条件の下に
厚さ80mmに仕上げ、得られた鋼板の0℃における
Vノツチシヤルピー衝撃値を測定した。その結果
を表−2に併せて示す。
SUS410の厚板には表面割れが生じていたが、鋼
種Aには割れは全く見られなかつた。また、鋼種
Aについては、比較例として、溶体化処理後620
℃で焼もどし処理を施したが、この発明によれ
ば、上記の処理過程を行わずともそれと同等の結
果が得られることが確かめられた。 実施例 2 C:0.04%、N:0.008%、Ni:5.3%、Cr:
12.6%を含有する厚さ200mmのマルテンサイトス
テンレス鋼のスラブを、表−2に示す条件の下に
厚さ80mmに仕上げ、得られた鋼板の0℃における
Vノツチシヤルピー衝撃値を測定した。その結果
を表−2に併せて示す。
【表】
表−2より明らかなように、この発明に従つて
製造された鋼板は、じん性が極めて良好であるこ
とが確かめられた。なお上記各鋼板の炭化物の抽
出レプリカの写真(第3図参照)から推定した焼
もどし処理前の残留オーステナイト量は、比較例
のものでは20%、適合例では7%であり、熱延後
の冷却で残留オーステナイトを少なくすること
が、焼もどし後において、じん性を向上させるの
に有効であるということがわかる。 実施例 3 C:0.03%、N:0.007%、Ni:4.8%、Cr:
13.5%を含有する厚さ200mmのスラブを表−3に
示す製造条件の下に厚さ50mmの鋼板に仕上げ、そ
の鋼板の機械的性質を調査した。その結果を表−
3に併せて示す。
製造された鋼板は、じん性が極めて良好であるこ
とが確かめられた。なお上記各鋼板の炭化物の抽
出レプリカの写真(第3図参照)から推定した焼
もどし処理前の残留オーステナイト量は、比較例
のものでは20%、適合例では7%であり、熱延後
の冷却で残留オーステナイトを少なくすること
が、焼もどし後において、じん性を向上させるの
に有効であるということがわかる。 実施例 3 C:0.03%、N:0.007%、Ni:4.8%、Cr:
13.5%を含有する厚さ200mmのスラブを表−3に
示す製造条件の下に厚さ50mmの鋼板に仕上げ、そ
の鋼板の機械的性質を調査した。その結果を表−
3に併せて示す。
【表】
【表】
表−3より、この発明に従つて製造されたマル
テンサイトステンレス鋼は再加熱してから焼なま
しあるいは焼入れ−焼もどし処理を行わなくとも
強度、じん性ともに良好な結果が得られることは
明らかである。 (発明の効果) この発明によれば、従来マルテンサイトステン
レス鋼を製造する場合に不可欠としていた再加熱
を行わなくとも特性の良好な製品を得ることがで
きる。
テンサイトステンレス鋼は再加熱してから焼なま
しあるいは焼入れ−焼もどし処理を行わなくとも
強度、じん性ともに良好な結果が得られることは
明らかである。 (発明の効果) この発明によれば、従来マルテンサイトステン
レス鋼を製造する場合に不可欠としていた再加熱
を行わなくとも特性の良好な製品を得ることがで
きる。
第1図は、熱延仕上温度及び(C+N)の変化
における硬さの関係を示すグラフ、第2図は、冷
却停止温度と、焼もどし処理後の吸収エネルギー
の関係グラフ、第3図は、焼もどし処理前におけ
るマルテンサイトステンレス鋼の金属組織写真で
ある。
における硬さの関係を示すグラフ、第2図は、冷
却停止温度と、焼もどし処理後の吸収エネルギー
の関係グラフ、第3図は、焼もどし処理前におけ
るマルテンサイトステンレス鋼の金属組織写真で
ある。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 (C+N):0.05wt%以下、 Ni:1.5〜6.5wt%、 を含有するマルテンサイトステンレス鋼を、1250
℃以下に加熱し800℃以上の仕上温度で熱間圧延
したのち、 20/{Ni%+100(C%+N%)}℃/min 以上の冷却速度にて75℃以下に冷却し、ついで
Ac1超、Ac1+100℃以下の範囲で焼きもどすこと
を特徴とするマルテンサイトステンレス鋼の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28410887A JPH01127620A (ja) | 1987-11-12 | 1987-11-12 | マルテンサイトステンレス鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28410887A JPH01127620A (ja) | 1987-11-12 | 1987-11-12 | マルテンサイトステンレス鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01127620A JPH01127620A (ja) | 1989-05-19 |
JPH0579730B2 true JPH0579730B2 (ja) | 1993-11-04 |
Family
ID=17674301
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28410887A Granted JPH01127620A (ja) | 1987-11-12 | 1987-11-12 | マルテンサイトステンレス鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH01127620A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5232520A (en) * | 1989-12-11 | 1993-08-03 | Kawasaki Steel Corporation | High-strength martensitic stainless steel having superior fatigue properties in corrosive and erosive environment and method of producing the same |
US8459161B2 (en) | 2006-03-09 | 2013-06-11 | Moeller Precision Tool, Llc | Ball lock punch retainer |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57161026A (en) * | 1981-03-30 | 1982-10-04 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Preventing method for low temperature cracking of martensitic stainless steel |
JPS61117253A (ja) * | 1984-11-14 | 1986-06-04 | Nippon Yakin Kogyo Co Ltd | 熱間加工性に優れる溶接構造用マルテンサイト系ステンレス鋼 |
-
1987
- 1987-11-12 JP JP28410887A patent/JPH01127620A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57161026A (en) * | 1981-03-30 | 1982-10-04 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Preventing method for low temperature cracking of martensitic stainless steel |
JPS61117253A (ja) * | 1984-11-14 | 1986-06-04 | Nippon Yakin Kogyo Co Ltd | 熱間加工性に優れる溶接構造用マルテンサイト系ステンレス鋼 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01127620A (ja) | 1989-05-19 |
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