JPH0578715A - 希土類金属を含む合金粉末の製造方法 - Google Patents

希土類金属を含む合金粉末の製造方法

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JPH0578715A
JPH0578715A JP26826091A JP26826091A JPH0578715A JP H0578715 A JPH0578715 A JP H0578715A JP 26826091 A JP26826091 A JP 26826091A JP 26826091 A JP26826091 A JP 26826091A JP H0578715 A JPH0578715 A JP H0578715A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、希土類金属酸化物と他の金属粉末
と還元剤とを混合し、不活性ガス雰囲気中で還元拡散反
応を行うことにより、希土類金属を含み且つ該還元温度
よりも低い低融点相を有する合金粉末を製造する方法で
あって、前記希土類金属酸化物の還元が有効に行われる
条件下で初期還元拡散を行い、前記初期還元拡散で生成
した低融点相の垂れ落ちが生じる前に前記還元温度を低
下させて第2の還元拡散を行うことを特徴とする。 【効果】 本発明によれば、低融点相の垂れ落ちを有効
に抑制することができ、例えば、低融点相の垂れ落ちに
よる収率の低下や反応容器の劣化等の不都合を有効に回
避することが可能となる。本発明は、特に希土類金属成
分を多く含む合金粉末の製造に極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、希土類金属を含む合金
粉末の製造方法に関し、より詳細には、直接還元拡散法
により希土類金属を含む合金粉末を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】希土類金属を含む合金(金属間化合物を含
む)は、永久磁石合金、水素吸蔵合金、光磁気記録合金
をはじめとし、磁歪合金、磁気センサー合金、磁気冷凍
作業用合金などの合金材料として有用であることが知ら
れている。ところで、これらの合金材料は、粉末の形で
実用に供される場合が多い。例えば、永久磁石材料で
は、代表的なものとしてサマリウム−コバルト系磁石や
ネオジム−鉄−ホウ素系磁石があり、これらは、その合
金粉末を用いて焼結磁石や樹脂成形磁石として使用され
ている。また水素吸蔵合金は、ランタン−ニッケル系を
中心として、近年アルカリ二次電池負極用活物質として
負極電極に使用され、例えば水素吸蔵合金粉末を多孔性
の集電体へ充填成形して使用されている。さらに、光磁
気記録合金は、テルビウム−鉄−コバルト系などの合金
薄膜として使用されるが、成膜方式の多くは、スパッタ
リング法やイオンプレーティング法などの物理蒸着法が
用いられ、この場合、必要となる蒸着源として合金粉末
を用いて作成された焼結合金ターゲットが使用されてい
る。
【0003】このような希土類金属を含む合金粉末の製
造方法としては、溶解・粉砕法、直接還元拡散法を挙げ
ることができる。溶解・粉砕法は、合金を構成する希土
類金属と、他の合金成分となる種々の金属等からなる母
合金塊とを所要組成に調合し、高周波溶解炉などにより
溶解し、鋳造して合金塊を製造し、これを粉砕して所要
粒度の合金粉末を得る方法である。この方法は、高価且
つ活性な希土類金属を使用すること及び鋳造時の偏析が
不可避で、また粉砕が不可欠であるという点で不利であ
る。
【0004】直接還元拡散法は、希土類酸化物粉末と他
の金属成分粉末とを所要合金組成になるように配合し、
アルカリ土類金属等の還元剤とを混合加熱して還元拡散
反応を行ない、得られた反応生成物を湿式処理すること
により、目的組成の合金粉末を直接製造する方法であ
る。この方法では、安価で且つ化学的に安定な希土類金
属酸化物を使用することができるという利点を有してお
り、また平均粒径が 100μm 以下の粉末状の合金が得ら
れ、アルカリ金属塩化物やアルカリ土類金属塩化物をフ
ラックスとして添加して還元拡散反応を行うとさらに粒
径が小さく、しかも残留する還元剤成分も少ない品質の
優れた合金粉末が得られる。従って、所望の粒度によっ
ては、粉砕工程は全く不要である。またさらに小さい粒
径の合金粉末が要求される場合には粉砕が行われるが、
溶解・粉砕法では粗粉砕と微粉砕とが必要であるが、直
接還元拡散法では、少なくとも粗粉砕は不要であるとい
う利点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、上述した
直接還元拡散法の場合、合金成分の一部が反応容器の下
部に垂れ落ちる場合があり、この垂れ落ちが激しくなる
と、目的の合金組成の粉末が得られないばかりか、反応
容器からの反応生成物の取り出しが困難であったり、反
応容器の劣化も著しくなる。本発明者等は、かかる直接
還元拡散法の問題について検討した結果、このような垂
れ落ちは、還元温度よりも低い融点相(低融点相)を有
する合金粉末を製造する場合に共通しており、このよう
な低融点相が垂れ落ちることを見いだした。例えば、還
元剤として金属カルシウムを使用した場合、希土類金属
酸化物のCa還元反応は、約 800℃で始まり、炉昇温と反
応熱により、金属カルシウムの融点851℃以上になると
還元反応は速やかに進行するが、十分な還元・拡散・均
一化を行うために、一般に 900〜1300℃の温度に保持さ
れる。ここで、目的組成の合金粉末中の組織に、融点が
850℃以下の合金相が存在する場合、この相が十分に拡
散されないまま反応容器下部に垂れ落ちたり、あるいは
十分に拡散されるに至ったとしても、反応生成物下部は
低融点相の激しい垂れ落ちにより粉末としての回収が不
可能な合金塊状となってしまうのである。尚、ここでい
う均一化とは、希土類金属成分の拡散が不十分な場合に
発生する希土類金属成分を含まない金属相ないし合金相
等の存在をなくすことを意味するものであり、合金粒子
を同一単一相で構成することを意味しない。
【0006】従って本発明の目的は、直接還元拡散法に
より、希土類金属を含み且つ還元温度よりも低い融点の
相を有する合金粉末の製造方法において、該低融点相の
垂れ落ちを有効に抑制することのできる方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、希土類
金属酸化物と、他の合金元素粉末と、還元剤とを混合
し、不活性ガス雰囲気中で還元拡散反応を行うことによ
り、希土類金属を含み且つ該還元温度よりも低い融点相
(低融点相)を有する合金粉末を製造する方法におい
て、前記希土類金属酸化物の還元が有効に行われる条件
下で初期還元拡散を行い、前記初期還元拡散で生成した
該低融点相の垂れ落ちが生じる前に前記還元温度を低下
させて第2の還元拡散を行うことを特徴とする方法が提
供される。
【0008】
【作用】本発明において、上述した低融点相を有する合
金組成は、希土類金属と周期律表3d遷移金属あるいは
希土類金属と貴金属との合金系において多くみられ、一
般に希土類金属成分濃度が高いという特徴を有してお
り、例えばNd−Co二元系合金においては、金属間化合物
としてNd3 Coの融点が 640℃であり、またNd3 CoとNdCo
との共晶温度も 650℃近傍であり、Ca還元を速やかに進
行させる温度よりもかなり低い。このような低融点相を
有する合金粉末は、希土類金属含有量が高い合金粉末を
必要とする場合や、前述の如く、希土類金属を含む合金
粉末を用いた焼結合金として使用する場合に、適当量の
低融点相を含有する合金粉末を配合することにより、液
相焼結を実現し、焼結密度を向上させる必要がある場合
などに使用される。
【0009】本発明において使用される希土類金属酸化
物成分としては、上記のような低融点相が形成される限
り、任意のものを使用することができる。例えば、希土
類金属としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセ
オジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロ
ピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジス
プロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツ
リウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテニウム(Lu)、プ
ロメチウム(Pm)、イットリウム(Y) 、及びスカンジウム
(Sc)が包含される。これら希土類金属の酸化物は、それ
ぞれ単独あるいは2種以上の組み合わせで使用すること
もできる。また少量であれば一部が塩化物となっていて
もよい。
【0010】また前記希土類金属とともに目的とする合
金を形成する他の金属成分としては、例えば一般に行わ
れる直接還元拡散法の加熱温度(1300℃程度)において
難揮発性であれば特に制限されず、前述した低融点相を
形成する金属元素の代表例として、コバルト(Co)、鉄(F
e)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、イリジウム(Ir)、ロ
ジウム(Rh)、マグネシウム(Mg)、白金(Pt)、銀(Ag)、金
(Au)、銅(Cu)等を例示することができ、これらは単独で
も2種以上を組み合わせても使用することができる。ま
たその他の金属元素やホウ素(B) 、ケイ素(Si)等の半金
属元素も必要に応じて添加可能である。これらの希土類
金属以外の成分は、少量であれば、酸化物や塩化物とし
て使用することもできる。
【0011】本発明においては、目的とする合金組成に
応じて前記希土類金属酸化物と他の合金元素成分とを混
合し、さらに還元剤を配合して、初期還元拡散を行う。
用いる還元剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金
属及びこれらの水素化物等を例示することができ、具体
例としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウ
ム、マグネシウム及びこれらの水素化物を挙げることが
できるが、取扱の安全性及びコストの点から金属カルシ
ウムが最も好適である。これら還元剤は、粒状または粉
末状の形で使用される。またこれらの還元剤は、一般
に、希土類金属酸化物を還元するのに必要な化学量論量
の 1.1〜2.0 倍の割合で使用される。
【0012】また本発明においては、上記還元剤ととも
に、加熱反応生成物中の合金粉末の融着・粗粒化による
湿式工程での難崩壊性等を改善するために、フラックス
を混合することができる。このようなフラックスとして
は、例えばリチウム、ナトリム、カリウム等のアルカリ
金属の塩化物、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ
土類金属の塩化物を挙げることができ、通常、水和物を
含んでいない無水のものが好適に使用される。最も好適
には、加熱した際に揮発性をほとんど示さず且つコスト
の点でも有利な無水塩化カルシウムが使用される。これ
らフラックスの使用量は、希土類金属酸化物に対して、
3〜20重量%とすることが望ましい。
【0013】還元拡散反応 本発明においては、上記原料粉末混合物の還元拡散反応
を、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中において、高
温領域及びそれに引き続いて低温の領域での2段階で行
う。各領域での温度範囲及び保持時間は、用いる還元剤
の種類、原料粉末の粒度、フラックスの添加の有無等に
よって異なり、一概に規定することはできないが、高温
領域で行われる初期の還元拡散反応は、還元が十分に行
われ、ある程度の拡散が行われるとともに、低融点相の
垂れ落ちが生じない程度に行われる。例えば、その温度
範囲は、還元剤の融点程度あるいはそれ以上の温度とす
ることが望ましいが、あまり高温とすると、低融点相の
垂れ落ちが早く生じる。また該温度領域における保持時
間をあまり短時間とすると、低融点相の垂れ落ちは生じ
ないとしても、還元が不十分となる。また初期還元拡散
反応に引き続いて行われる低温領域での第2の還元拡散
反応は、還元反応とともに、特に生成した希土類金属成
分の拡散・均一化を十分に行うものである。即ち、初期
還元拡散反応で生成した低融点相は融体として存在して
おり、温度が高いほど粘性が低く、垂れ落ちを生じやす
い。本発明においては、第2の還元拡散反応を低温領域
で行うことにより、低融点相の粘性を高くし、その垂れ
落ちを有効に抑制するものである。この第2の還元拡散
反応は、低融点相の融点以上の温度で行なわれる。この
融点よりも低い温度とすると、低融点相は固体として存
在することになり、還元拡散が有効に行われず、不適当
である。
【0014】以下、本発明を、還元剤として金属カルシ
ウムを使用し、希土類元素としてネオジム、他の合金元
素として鉄とコバルトとを使用し、ネオジム−鉄−コバ
ルト三元系合金粉末を製造する場合を例にとって具体的
に説明する。一般に、ネオジム40〜50重量%、コバルト
6〜11.5重量%、残部が鉄から成る組成では、低融点相
として融点 640℃のNd3 (Co−Fe)相、高融点相とし
て、融点約1185℃のNd2 (Co−Fe)17相が生成する。
【0015】本発明においては、このような合金粉末の
製造にあっては、還元剤としての金属カルシウムを含有
する原料混合粉末を、 800〜940 ℃、好ましくは 850〜
940℃の範囲に加熱保持することにより、初期還元拡散
を行う。例えば、加熱温度を 940℃よりも高くすると、
保持時間をが1時間程度の短時間としても希土類金属成
分の拡散不十分な相は観察されず、得られた合金粉末の
品質的問題はない。しかし、低融点相であるNd3 (Co−
Fe)相の、反応容器下部への垂れ落ちが激しく、反応容
器から反応生成物を取り出すことが困難であるばかり
か、反応容器(通常ステンレス製)とNd3 (Co−Fe)相
とが融着したり、反応して合金化するなどして反応容器
の著しい劣化をもたらす。また生成したNd3 (Co−Fe)
相は、融体の金属カルシウムと同時に垂れ落ちるため
に、反応混合物上部には、カルシウム不足による還元不
十分な部分が生じる。さらに反応容器から反応生成物の
一部を取りだすことができたとしても、反応容器下部の
垂れ落ち部は合金塊状になっており、この部分は最早合
金粉末としての回収は不可能であるため、合金粉末の回
収率は低下するという不都合も生じる。また 800℃より
も低い温度とすると、酸化ネオジムの還元を有効に行う
ことができない。従って、初期還元拡散の温度条件の下
限は、 800℃とし、好ましくは、還元剤である金属カル
シウムの融点 850℃、最も好適には 870℃とすることが
望ましい。
【0016】また本発明において、上記初期還元拡散
は、Nd3 (Co−Fe)相の垂れ落ちが生じない程度に行
う。酸化ネオジムの還元拡散は、上述した温度範囲に長
く保持すればするほど進行するが、あまり長時間該温度
領域に保持すると、生成したNd3 (Co−Fe)相の垂れ落
ちが促進される。従って、一般的には、該温度領域にお
ける保持時間は、 0.5〜3時間、特に1〜2時間とする
ことが好適である。
【0017】本発明によれば、上記の初期還元拡散に引
き続いて、それよりも低温領域において第2の還元拡散
が行われる。この第2の還元拡散は、 640〜800 ℃、好
ましくは 640〜700 ℃に加熱保持することにより行われ
る。例えば、 850℃以上の温度では、酸化物還元当量に
対して過剰分の金属カルシウムも融体であり、系全体に
存在する融体の体積が増大するために垂れ落ちを生じや
すい。また 800〜850℃の範囲では、過剰分の金属カル
シウムは凝固して固体として存在しているため、垂れ落
ちは若干は改善されるが、やはり低融点相の粘性が低い
ために垂れ落ちを生じることになる。また 640℃よりも
低くすると、低融点相であるNd3(Co−Fe)相も凝固し
て固体となるため、その拡散を有効に行うことができな
くなる。この第2の還元拡散の温度領域での保持時間
は、例えば前記初期還元拡散の程度や用いた原料粉末の
粒度、目的とする製品合金粉末の目標粒度、合金組成の
均一性等を考慮して適宜決定される。
【0018】上述した本発明においては、高温領域での
初期還元拡散及び低温領域での第2の還元拡散の条件、
例えば温度条件等は、低融点相の垂れ落ちを防止すると
いう本発明の目的を逸脱しない範囲において適宜変更す
ることができる。例えば、塩化カルシウム等のフラック
スを添加した時には、還元開始温度が低温側にシフトす
る場合もある。また初期の還元拡散を行った後に、一旦
低融点相の融点よりも低い温度に降下させた後に再び昇
温して第2の還元拡散を行うこともできる。さらに、初
期の還元拡散温度領域から第2の還元拡散温度領域に、
滑らかなヒートパターンで連続的に降温させることも可
能である。
【0019】上述した還元拡散処理終了後、得られた反
応混合物は、反応容器から取りだされ、湿式処理に付さ
れる。即ち、反応容器から取りだされた反応混合物は、
水中に投入され、容易に崩壊してスラリー状となり、合
金粒子と還元剤(例えば金属カルシウム)とは完全に遊
離した状態となる。この崩壊によって生成したスラリー
の上部は、例えば水酸化カルシウム等の水酸化物の懸濁
液であるので、デカンテーション−注水−デカンテーシ
ョンの繰り返しによって、その大部分を除去することが
できる。微量に残存した水酸化物の除去及び合金粉末表
面の酸化物の除去のためには、希酸による洗浄を行うこ
とが好適である。この希酸洗浄は、例えば酢酸、塩酸等
を用いてpH4〜7で行われる。酸洗浄後の合金粉末
は、アルコール、アセトン等の有機溶剤で洗浄され、真
空乾燥等により有機溶剤が除去されて製品とされる。
【0020】
【実施例】
実施例1:Nd−Fe−Co合金粉末の製造 それぞれ純度が99.9重量%以上のNd2 3 (平均粒径3
μm ) 335.6g、鉄粉(粒度 200メッシュ以下) 308.2
g、コバルト粉(粒度 200メッシュ以下)38.3g、金属
カルシウム(粒度4メッシュ以下) 179.6g及び無水塩
化カルシウム(粒度 100メッシュ以下)33.6gを配合
し、十分に混合した後、混合物をステンレススチール製
の反応容器に入れ、高純度アルゴンガス気流中で約40分
で 860℃まで昇温した。860℃に1時間保持した後、約2
0分で 650℃まで降温し、 650℃に3時間保持した後、
室温まで冷却し、生成した反応生成物を反応容器から取
り出した。この取り出しは、反応生成物と反応容器底部
との融着もなく、容易に行うことができ、また反応生成
物下部に垂れ落ちも見られなかった。取り出した反応生
成物を、直径1cm大の塊状に粗砕した後に12リットルの
純水中に投入し、約1時間攪拌し水中崩壊後、生じたス
ラリーから上層の水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )を主成
分とする白色懸濁物をデカンテーションにより分離し、
さらに注水しスラリーを5分間攪拌し、再びデカンテー
ションを行なった。この注水−攪拌−デカンテーション
操作を繰り返し、残存するCa成分を十分に除去した後、
ろ過して得られた合金粉末をエタノールで洗浄した後、
40℃、1×10-2Torrで10時間、真空乾燥した。
【0021】かくして得られた合金粉末は、重量が 59
0.3gであり、その組成は、ネオジム42.1重量%、コバ
ルト 5.9重量%、残部が鉄であり、その他不可避不純物
成分として、カルシウム0.06重量%、酸素0.14重量%、
炭素 0.031重量%であった。またこの合金粉末のフィッ
シャー平均粒径は、26.4μm であった。さらにEPMA
により組織を観察した結果、ネオジムの拡散不十分な粒
子はほとんど見られず、Nd3 (Co−Fe)相とNd2 (Co−
Fe)17相より成る合金組織の粉末であり、良質な合金粉
末であることが認められた。
【0022】比較例1:Nd−Fe−Co合金粉末の製造 実施例1と全く同様の配合により原料粉末混合物を調製
した。この混合物を、ステンレススチール製の反応容器
に入れ、高純度アルゴンガス気流中で約65分で1000℃ま
で昇温した。1000℃に3時間保持した後、室温まで冷却
し、反応生成物を反応容器から取り出した。この際、反
応生成物下部と反応容器底部及び反応容器側面下部の一
部とが融着しており、反応生成物を完全に取り出すこと
ができなかった。取り出された反応生成物について、実
施例1と同様に、粗砕、水中崩壊、及び注水−攪拌−デ
カンテーションを行なった。尚、反応容器内に残存した
反応生成混合物は、反応容器内に直接注水して水中崩壊
させ、反応容器から取りだすことができた反応生成物の
湿式処理の第1回目のデカンテーション時に混合して、
両者を一緒に処理した。この様にして、 521.4gの合金
粉末を得た。
【0023】得られた合金粉末の組成は、ネオジム39.2
重量%、コバルト 5.2重量%、残部が鉄であり、その他
不可避不純物成分として、カルシウム0.06重量%、酸素
0.15重量%、炭素 0.033重量%であった。またこの合金
粉末のフィッシャー平均粒径は、28.6μm であった。さ
らにEPMAにより組織を観察した結果、ネオジムの拡
散不十分な粒子はほとんど見られず、Nd3 (Co−Fe)相
とNd2 (Co−Fe)17相より成る合金組織の粉末であり、
良質な合金粉末であることが認められたが、実施例1に
比して、合金粉末の回収量が少なく、またNd含有量も低
いものであった。また合金粉末回収後の反応容器重量
は、合金製造前に比べて43.4g増加しており、反応容器
底部にNd3 (Co−Fe)相が垂れ落ちていた。
【0024】実施例2:Nd−Dy−Fe−Co合金粉末の製造 それぞれ純度が99.9重量%以上のNd2 3 (平均粒径5
μm ) 597.1g、Dy2 3 (平均粒径8μm )42.2g、
鉄粉(粒度 200メッシュ以下) 366.8g、コバルト粉
(粒度 200メッシュ以下) 148.2g、金属カルシウム
(粒度4メッシュ以下) 339.8g及び無水塩化カルシウ
ム(粒度 100メッシュ以下)63.9gを配合し、十分に混
合した後、混合物をステンレススチール製の反応容器に
入れ、高純度アルゴンガス気流中で約45分で 900℃まで
昇温した。900℃に1時間保持した後、約25分で 700℃
まで降温し、 700℃に3時間保持した後、室温まで冷却
し、生成した反応生成物を反応容器から取り出した。こ
の取り出しは、反応生成物と反応容器底部との融着もな
く、容易に行うことができ、また反応生成物下部に垂れ
落ちも見られなかった。取り出した反応生成物を、実施
例1と同様の方法で粗砕−湿式処理し、 918.6gの合金
粉末を得た。
【0025】その組成は、ネオジム44.1重量%、ジスプ
ロシウム3.35重量%、コバルト14.1重量%、残部が鉄で
あり、その他不可避不純物成分として、カルシウム0.04
重量%、酸素0.16重量%、炭素 0.034重量%であった。
またこの合金粉末のフィッシャー平均粒径は、24.8μm
であった。さらにEPMAにより組織を観察した結果、
ネオジムの拡散不十分な粒子はほとんど見られず、(Nd
−Dy)3 (Co−Fe)相、(Nd−Dy)2 (Co−Fe)17相、
(Nd−Dy)(Co−Fe) 2 相、 (Nd−Dy)(Co−Fe) 3 相、よ
り成る合金組織の粉末であり、希土類合金粉末として不
可避不純物成分が低く、良質な合金粉末であることが認
められた。
【0026】比較例2:Nd−Dy−Fe−Co合金粉末の製造 実施例2と全く同様の配合により原料粉末混合物を調製
した。この混合物を、ステンレススチール製の反応容器
に入れ、高純度アルゴンガス気流中で約45分で 900℃ま
で昇温した。900℃に1時間保持した後、室温まで冷却
し、反応生成物を反応容器から取り出した。この取り出
しは容易に行うことができ、反応生成物下部に(Nd−D
y)3 (Co−Fe)相の垂れ落ちは認められなかった。取
り出された反応生成物について、実施例1と同様に、粗
砕・湿式処理を行い、 886.1gの合金粉末を得た。粗砕
時に反応生成物の内部を観察したところ、その内部には
未還元のまま残留した淡緑色の酸化ネオジムが認められ
た。
【0027】合金粉末の組成は、ネオジム43.9重量%、
ジスプロシウム3.26重量%、コバルト13.6重量%、残部
が鉄であり、その他不可避不純物成分として、カルシウ
ム0.06重量%、酸素0.22重量%、炭素 0.034重量%であ
った。またこの合金粉末のフィッシャー平均粒径は、2
2.9μm であった。さらにEPMAにより組織を観察し
た結果、ネオジムとジスロシウムの拡散が不十分であ
り、Fe相やFe−Co相が存在する粒子が多く確認された。
またその他の相は、実施例2と同様の4種類の相を主と
するものであった。本例では実施例2とほぼ同等な組成
を有する合金粉末が得られているが、還元不十分と拡散
不十分のため、合金粉末の回収量が実施例2に比して少
なく、また酸素濃度が高く、組織的にもFe相やFe−Co相
が存在し、品質としては不合格なものであった。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、還元温度よりも低融点
の合金相を組織の一部に有する希土類金属含有合金粉末
の製造を、直接還元拡散法により、該低融点相の垂れ落
ち及びそれに起因する不都合を有効に抑制しながら行う
ことができる。一般に、希土類金属を含む合金の低融点
相組成領域は、希土類成分が高い組成範囲にある。従っ
て、本発明によれば、従来よりも高い希土類金属含有量
を有する合金粉末を直接還元拡散法により製造すること
が可能となり、工業上、極めて有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類金属酸化物と、他の合金元素粉末
    と、還元剤とを混合し、不活性ガス雰囲気中で還元拡散
    反応を行うことにより、希土類金属を含み且つ該還元温
    度よりも低い融点相(低融点相)を有する合金粉末を製
    造する方法において、 前記希土類金属酸化物の還元が有効に行われる条件下で
    初期還元拡散を行い、 前記初期還元拡散で生成した該低融点相の垂れ落ちが生
    じる前に前記還元温度を低下させて第2の還元拡散を行
    うことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の還元拡散は、前記低融点相の
    融点よりも高い温度で行われる請求項1の方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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US10867728B2 (en) 2017-12-22 2020-12-15 Nichia Corporation Method of producing anisotropic magnetic powder

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