JPH0577685U - ユニオン継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガスケットを改良するとともにガスケットの
締め付けが一定になるような構造のユニオン継手を得
る。 【構成】 Ｖ字形又はＶ字形が複数個連なった波形の断
面形状を有するガスケット１２を用い、そのガスケット
１２をユニオンねじ１又はユニオンつば２の端面に設け
た環状の溝１０の中に上記Ｖ字形の凸部側がガスケット
の締め付け側となるように配置して締めしろゼロの構造
とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ユニオン継手に関し、特に、給水管、給湯管等の配管部材の端部同 志を相互に接合する目的等に用いられるユニオン継手であってその止水機能を改 善したユニオン継手に関する。

【０００２】

【従来の技術】

配管中において管の端部同志の接合箇所にあるいは機器の取付部等着脱が必要 とされる個所にはユニオン継手が用いられる。図４ａ、ｂは従来のユニオン継手 の側面図及び正面図であって、ユニオンねじ１とユニオンつば２の相対向する平 坦な端部の間にゴム質の環状平板形ガスケット４を挟んでユニオンねじ１とユニ オンつば２とを突き合わせ、ユニオンナット３により締め付ける構造を有する。 また、ユニオンねじ１及びユニオンつば２のガスケット４が位置する側とは反対 側の端部には、配管等接続用の管用テーパ雌ねじ５及び６が刻設されている。

【０００３】 ユニオンナット３は、ユニオンねじ１の外周に刻設された結合用雄ねじ７と螺 合する雌ねじ８を一方端側（図４ａにおいて左方端側）に有すると共に、他端部 にはユニオンつば２の環状つば部９と係合するつば部１０を有している。従って 、ユニオンナット３をユニオンつば２に対して図においてその右方から挿入して 軸方向に移動した場合、双方のつば部９と１０とが衝接する位置で回動自在では あるが軸方向への移動は阻止された状態でユニオンナット３は係止される。

【０００４】 相対向する管部材の端部（図示せず）にユニオンねじ１の管用テーパ雌ねじ５ 部及びユニオンつば２の管用テーパ雌ねじ６部とをそれぞれ歯合させた後、ユニ オンねじ１とユニオンつば２の相対向する平坦な端部の間をガスケット４を挟ん で突き合わせ、ユニオンナット３をユニオンねじ１に強くねじ込む。それにより 、ユニオンねじ１とユニオンつば２とは連結されると共にガスケット４は締め付 けられ、そこにシール機能が生じる。これにより管部材内を流下する流体は密封 される。また、ユニオンナット３を反対に回すことによりこの結合部位は容易に 分離することができる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

このような構成の従来のユニオン継手は、シール作用を平板形ガスケットの面 圧により発揮するものであるため、所望のシール作用を得るにはユニオンナット に強いトルクを加えてガスケットを強力に締め付けることが必要であり、締め付 け力が不足した状態で長時間使用した場合に、シール機能が不充分なことから配 管内の流体が漏出することが生じていた。それを回避するためにユニオンナット を締めすぎると、ガスケット４を過度に圧縮して破壊したり、ゴム質のガスケッ トがフローを起こして弾性を失い、結果としてユニオンナットのねじが甘くなっ て流体の漏れを起こすという問題があった。そのために、従来のユニオン継手を 使用する場合には規定の締め付け力値を遵守することが求められていたが、ユニ オン継手自体は所定の締め付け力に達したときにより以上の締め付けを回避でき るような機構にはなっていないため、配管現場で締め付け力が一定になるように 管理することはきわめて困難であった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために、本考案のユニオン継手は、従来の平板形ガスケッ トに代えてＶ字形又はＶ字形が複数個連なった波形の断面形状を有するガスケッ トを用い、そのガスケットをユニオンねじ又はユニオンつばの端面に設けた環状 の溝の中に上記Ｖ字形の凸部側がガスケットの締め付け側となるように配置する 構造として。また、ユニオンナットに締め付け面を目視により確認するための確 認孔を設ける構造とすることもできる。

【０００７】

【作用】

Ｖ字形又はＶ字形が複数個連なった波形断面のガスケットはユニオンナットを 締め付けることにより、その凸部を押圧され環状の溝内で圧縮変形し、環状溝部 と締め付け面に反発力が働いて十分なシール作用が発揮される。しかも、ユニオ ンねじの端面とユニオンつばの端面が衝接するようにユニオンナットを完全に締 め付けても、波形の断面形状を有するガスケットは自身の凹部に吸収されながら 圧縮されるので過度の圧縮状態にならずガスケットの弾性材料がフローを起こす ことがほとんどなく、長期間にわたって安定したシール効果が発揮される。また 、ユニオンねじの端面とユニオンつばの端面が衝接する締めしろゼロの状態まで 締め付けることができることから、締め付け力を容易に一定の値とすることがで きる。

【０００８】

【実施例】

図１は、本考案に係るユニオン継手の一実施例の断面図である。同図において 、図４と同一の部材については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。ユニオ ンつば２の端面には環状の溝１０が設けられ、その溝中に、２つのＶ字形を連ね た断面形状Ｗ字形のガスケット１２がＶ字形の凸部側が締め付け側となるように ユニオンねじ１の端面に対向させて配置されている。

【０００９】 ユニオンナット３の側面には、ユニオンナット３の外側と内側とを連通するよ うに締め付け確認孔１３が設けられている。この締め付け確認孔１３の位置は、 ユニオンナット３を締め付けたとき、ユニオンねじ１とユニオンつば２の両端面 及びその隙間からガスケット１２を目視することができるような位置に設定され ており、この孔を通してガスケット１２の締め付け状態を目視して確認すること ができる。この締め付け確認孔１３は、ユニオンナットが６角形の時はその１つ おきの側面に合計３個所、８角形の時には同様に１つおきの側面に合計４個所設 けることが確認作業の容易さから好ましいがこれに限ることなく任意の数形成す ればよい。この確認孔１３にはネジを切りビス１３’により封止しておくことが 好ましい。

【００１０】 図２ａは、図１のユニオン継手のガスケット部分の拡大断面図で、幅ａ深さｂ の環状の溝１０の中に締め付け前の断面形状Ｗ字形ガスケット１２が配置された 状態を示す。本実施例のガスケット断面は、溝１０の断面である四角形ａ×ｂを 基本とし、ユニオンねじ１の端面と接する締め付け側の面は、長さａ／２を底辺 とする高さＨの２等辺三角形を１４、１５を２個横に並べて上記四角形の長辺か ら突出させた外形を有し、溝１０の底面と接する側の面は、長さａ／２を底辺と する高さＨ’の２等辺三角形１６、１７を２個横に並べて上記四角形のもう一方 の長辺から内側にくぼませた外形を有し、全体としてほぼＷ字形の形状をなして いる。ここで、高さＨは高さＨ’より大きい。

【００１１】 図２ｂは、締め付け完了時の上記ガスケットの状態を示す拡大断面図である。 ユニオン継手のユニオンナット３を回してガスケット１２を締め付けると、ユニ オンねじ１の端面によって凸部を押圧されたガスケットは、環状の溝とガスケッ ト１２の凹部の間の空間を充填するように圧縮変形する。ここで、ガスケット１ ２のＷ字形断面の凹部側を環状の溝１０の底面に接触させ、凸部側が締め付け面 となるようにガスケットを環状の溝中に配置したので、締め付け時にガスケット １２の縁部が環状の溝１０を越えて両サイドに逃げることがなく、確実に環状の 溝１０内に押圧圧縮できる。そして、環状溝部とガスケットの締め付け面にガス ケットの弾性による反発力が作用し、十分なシール特性が得られる。

【００１２】 さらに、ガスケット１２の凸部の最大突出高さＨはガスケット１２の凹部の最 大深さＨ’より大きいので、締めしろがゼロになるように完全に締め付けた場合 でも、変形したガスケットは凸部（三角形１４、１５に相当する部分）が凹部（ 三角形１６、１７に相当する部分）に完全には吸収されないため、ガスケットの 反発力が一層強く作用し、シール特性が向上する。この場合、ガスケットは強く 圧縮されることになるが、環状の溝１０とガスケット１２の凹部によって形成さ れる空間へのガスケット材料の逃げによってガスケットの圧縮が緩和されるため にガスケット材料のフローがほとんどなく長期間にわたって安定したシール効果 を発揮することができる。

【００１３】 上記実施例では、ガスケットを配置する環状の溝をユニオンつばの端面に形成 したが、ユニオンねじの端面の方に設けてもよい。 ガスケットの断面形状は、図３ａに示すようにＶ字形が１つだけの形状のもの １２ａ、又は図３ｂに示すようにＶ字形が３つ以上連なった形状のもの１２ｂで あってもよく、さらに図３ｃに示すようにＶ字形又はＶ字形が複数個連なった波 形の形状全体に丸みをもたせた形状のもの１２ｃであってもよい。

【００１４】 ガスケットの材質としては合成ゴムが適しているが、一般には弾性体であれば どの様なものでも使用可能であり、材料の等級は使用条件に応じて適宜のものを 選定できる。また、その材料中に例えば酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合 体ケン化物のような高吸水性樹脂として知られている材料を配合してガスケット を構成してもよく、その場合にはシール特性を一層向上させることができる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案のユニオン継手は、Ｖ字形又はＶ字形が複数個連なった波形の断面形状 を有する環状ガスケットを環状の溝中に配置した構成を採用したので、ガスケッ トを過度に圧縮することなく締めしろゼロの状態にできる構造を実現し、常に一 定の締め付け力による確実な締め付けを可能にし、ガスケットのフローを防いで 長期間安定した反発力を得ることができ配管内の流体の漏れを確実に防止するこ とができる。また、ユニオンナットに締め付け確認孔を設けたため、ガスケット の締め付けの管理が容易になる。さらに、従来の平板形ガスケットと比較して締 め付け面の接触面積が小さいため、締め付けトルクが小さくてすむ効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係るユニオン継手の一実施例の断面
図である。

【図２】 （ａ）は環状の溝の中に配置された締め付け
前のガスケットの断面形状を示す断面図、（ｂ）は締め
付け時のガスケットの状態を示す断面図である。

【図３】 他の実施例によるガスケットの断面形状及び
溝中でのガスケットの配置を示す断面図である。

【図４】 従来のユニオン継手の断面図である。

【符号の説明】

１…ユニオンねじ ２…ユニオンつば ３…ユニオンナット ４…ガスケット １０…環状の溝 １２…断面形状が波形のガスケット １３…締め付け確認孔

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ユニオンねじ、ユニオンつば、ユニオン
   ナットとを有するユニオン継手であって、Ｖ字形又はＶ
   字形が複数個連なった波形の断面形状を有する環状ガス
   ケットをユニオンつば又はユニオンねじの端面に設けら
   れた環状の溝中に上記Ｖ字形の凸部側がガスケットの締
   め付け側となるように配置したことを特徴とするユニオ
   ン継手。
2. 【請求項２】 ユニオンナットの側部であってガスケッ
   トと対向する位置に該ユニオンナットの外側と内側とを
   連通する細孔を設けたことを特徴とする、請求項１記載
   のユニオン継手。