JPH0577552U - 燃料噴射ポンプの噴射量制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料温度の上昇による燃料噴射量の減少を補
償し、エンジン動力性能の低下を防止する。 【構成】 分配型の燃料噴射ポンプにおいて、テンショ
ンレバー１５に燃料温度に応じて伸縮するバイメタル２
５を連結し、燃料温度の上昇に応じて燃料増量方向にコ
ントロールスリーブ１２を変位させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はディーゼルエンジンの分配型燃料噴射ポンプの噴射量制御装置に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプとして分配型の燃料噴射ポンプが知られ ている（例えば実開昭６３−１４０１５１号公報参照）。

【０００３】 この燃料噴射ポンプでは各気筒に燃料を分配圧送するプランジャに、アクセル ペダルに連係するコントロールスリーブが摺動自由に嵌まり、このコントロール スリーブの位置により燃料噴射量が決定される。プランジャはフィードポンプに よってポンプ室に送り込まれた燃料をその吸込行程で吸引し、吐出行程で各気筒 の燃料噴射弁に圧送する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、フィードポンプからポンプ室に導かれる燃料の温度は運転状態に応じ て大きく変化し、燃料温度が上昇すると燃料密度が低下して実質的な燃料噴射量 が減少する。このように燃料温度によって燃料噴射量が変化すれば、エンジンの 動力性能に悪影響を及ぼす。

【０００５】 本考案はこのような問題を解決することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案はフィードポンプからの燃料が送り込まれるポンプ室と、このポンプ室 の燃料を吸い込んで吐出するプランジャと、プランジャをエンジン回転に同期し て回転かつ軸方向に往復動させるカムと、プランジャに摺動自由に嵌合して燃料 逃がしポートを開閉するコントロールスリーブと、コントロールスリーブと連結 したテンションレバーと、テンションレバーをアクセルペダル開度に応じて駆動 するコントロールレバーとを備えた燃料噴射ポンプにおいて、前記テンションレ バーに燃料温度に応じて伸縮するバイメタルを連結し、燃料温度の上昇に応じて 燃料増量方向にコントロールスリーブを変位させるように構成する。

【０００７】

【作用】

ポンプ室の燃料温度が上昇するとバイメタルが作動し、テンションレバーを介 してコントロールスリーブの位置を燃料増量方向に変位させる。このため、プラ ンジャから圧送される燃料噴射量は、燃料温度の上昇に伴う燃料密度の低下を補 い、実質的な噴射量の減少を防止する。

【０００８】

【実施例】

図１は本考案の実施例を示すもので、ポンプボディ１の内部にはポンプ室２が 形成され、このポンプ室２にはドライブシャフト３で駆動されるフィードポンプ ４により燃料が送り込まれる。ドライブシャフト３にはカムディスク５を介して 往復動するプランジャ７が同軸的に配設され、またプランジャ７はドライブシャ フト３と一体に回転もする。プランジャ７の往復動に伴いポンプ室２と連通する 吸込口８からプランジャ室９に吸引された燃料が、燃料ポート１０を介して分配 ポート１１に押し出される。分配ポート１１はプランジャ７の周囲に均等の間隔 で配設され、プランジャ７の回転に伴い次々に燃料ポート１０と連通していき、 各気筒の燃料噴射弁に燃料を圧送する。たとえば４気筒エンジンの場合は、プラ ンジャ７の周囲には４つの分配ポート１１が形成され、かつプランジャ７は１回 転する間に４回の往復運動を起こすように前記カムディスク５に４つのカム山が 形成される。

【０００９】 プランジャ７にはコントロールスリーブ１２が摺動自由に嵌められ、このコン トロールスリーブ１２が前記燃料ポート１０に接続する燃料逃がしポート１４を 開くことにより、燃料の噴射が停止する。

【００１０】 このコントロールスリーブ１２の位置はテンションレバー１５によって制御さ れ、テンションレバー１５はガバナスプリング１６を介して連結するコントロー ルレバー１７の回動量に応じてコントロールスリーブ１２の位置を変位させる。 コントロールレバー１７は図示しないアクセルペダルに連動していて、アクセル ペダルの踏み込み量が増加すると、テンションレバー１５を介してコントロール スリーブ１２を図中右方向に摺動させ、プランジャ７の吐出行程での燃料逃がし ポート１４の開放を遅らせ、燃料噴射量を増加させる。

【００１１】 ２０はガバナ２１のフライウエイトで、ドライブシャフト３に連動して回転し 、回転数が上昇するにしたがってガバナスリーブ２２を押し出し、スタートレバ ー２４を押してコントロールスリーブ１２の位置を燃料減少方向に変位させ、同 一アクセル開度での回転数の変動を防止する。

【００１２】 そして、本考案では燃料温度の変化により実質的な燃料噴射量が変動するのを 防ぐために、前記テンションレバー１５の先端部分にはバイメタル２５の一端が 連結され、ポンプボディ１に基端を連結したバイメタル２５の変位により、燃料 噴射量を補正するようになっている。つまり、燃料温度が上昇するとバイメタル ２５がテンションレバー１５を燃料増量方向に押し、温度上昇に伴う密度の低下 により実際の燃料（燃料重量）が減少するのを、コントロールスリーブ１２の位 置を補正して、噴射量を増加させることで防止するのである。

【００１３】 以上のように構成され、次に作用について説明する。

【００１４】 ドライブシャフト３はエンジンの回転に同期して回転し、これに伴いフィード ポンプ４からはポンプ室２に燃料が送り込まれる。なお、この燃料圧力はそれほ ど高くはなく、図示しないリリーフバルブにより略一定の圧力に維持される。プ ランジャ７はドライブシャフト３と同一回転しながら、カムディスク５を介して 往復運動し、プランジャ室９が拡大する行程で燃料を吸込み、縮小する行程で燃 料を送り出す。この燃料の圧送は燃料逃がしポート１４がコントロールスリーブ １２から抜けてポンプ室２に開口する時点で停止し、それ以後はポンプ室２に燃 料が戻される。したがって、コントロールスリーブ１２の位置がプランジャ７の 圧縮方向（右方向）に移動するほど、燃料の噴射量は増加する。

【００１５】 いま、コントロールレバー１７を介してテンションレバー１５が支点Ｍを中心 に反時計回りに回動すると、コントロールスリーブ１２が右方向に変位し、燃料 が増量される。また、逆に時計回りに回動すると、コントロールスリーブ１２が 左方向に変位し、燃料噴射量が減少する。

【００１６】 ポンプ室２に送り込まれる燃料の温度は運転条件によって大きく変化し、燃料 温度が上昇すると、それだけ燃料の実質的な噴射量が減少する。バイメタル２５ は燃料の温度を感知して伸縮し、燃料温度の上昇に伴いテンションレバー１５を 介してコントロールスリーブ１２を燃料の増加方向に変位させる。

【００１７】 このため、温度上昇に対しても燃料噴射量の補正がなされ、実際の噴射量が減 少するのを防止し、エンジン動力性能の低下を自動的に回避する。

【００１８】 なお、この実施例ではテンションレバー１５の上端をバイメタル２５と連係し たが、燃料温度の上昇に応じてコントロールスリーブ１２の位置を燃料増量方向 に変位させることができるならば、どの位置でもよい。

【００１９】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、ポンプ室の燃料温度が上昇するとバイメタルが 作動し、テンションレバーを介してコントロールスリーブの位置を燃料増量方向 に変位させるため、燃料温度の上昇に伴う燃料密度の低下を補い、実質的な噴射 量の減少を防止してエンジン動力性能の変動を回避できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

２ ポンプ室 ４ フィードポンプ ５ カムディスク ７ プランジャ １２ コントロールスリーブ １４ 燃料逃がしポート １５ テンションレバー １７ コントロールレバー ２５ バイメタル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フィードポンプからの燃料が送り込まれ
   るポンプ室と、このポンプ室の燃料を吸い込んで吐出す
   るプランジャと、プランジャをエンジン回転に同期して
   回転かつ軸方向に往復動させるカムと、プランジャに摺
   動自由に嵌合して燃料逃がしポートを開閉するコントロ
   ールスリーブと、コントロールスリーブと連結したテン
   ションレバーと、テンションレバーをアクセルペダル開
   度に応じて駆動するコントロールレバーとを備えた燃料
   噴射ポンプにおいて、前記テンションレバーに燃料温度
   に応じて伸縮するバイメタルを連結し、燃料温度の上昇
   に応じて燃料増量方向にコントロールスリーブを変位さ
   せるように構成したことを特徴とする燃料噴射ポンプの
   噴射量制御装置。