JPH0577397U - シールド掘進機エレクタ用のケーブル類接続装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エレクタの旋回内径内の空間が狭められるこ
とがなく、多くのケーブル類を接続することができるシ
ールド掘進機エレクタ用のケーブル類接続装置を提供す
ること。 【構成】 ケーブル類７を巻き取るケーブルリール２１
〜２３をエレクタ１の回転枠４の外側とシールド本体２
との空間に設置し、ケーブル類７のガイドを回転枠４の
外周を利用して行ない、複数のケーブル類７を重ねて回
転枠４に巻付けたり、巻戻すようにする。これにより、
多数のケーブル類を接続する場合でも巻取リールやガイ
ドローラをエレクタ１の旋回内径内に設置すること無
く、旋回内径内を有効に利用することができ、回転枠４
の長さもそのままで良い。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、シールド掘進機のシールド本体内で回転してセグメントを組立て るエレクタに固定側からケーブル類を接続して電力などを供給するシールド掘進 機エレクタ用のケーブル類接続装置に関し、エレクタの旋回内径部分の空間を確 保できるようにしたものである。

【０００２】

【従来の技術】

シールドといわれる鋼製の枠を推進させながら掘進するトンネル構築法の一つ であるシールド工法は軟弱地盤や都市部のトンネルの構築に利用されており、こ のための装置としてシールド掘進機が使用される。

【０００３】 このシールド掘進機では、先端部のカッタによる掘削にともなって円筒状のシ ールドフレームをシールドジャッキで推進させ、前進によって形成された空間で エレクタを用いてセグメントの組立を行い、掘進とセグメントの組立を繰り返し てトンネルを構築する。

【０００４】 このセグメントの組立を行うためのエレクタ１は、たとえば図３に示すように 、シールド本体２のテール部の内周に沿って転動する複数の車輪３によってシー ルド本体２と同心上で回転できるように支持されたリング状の回転枠４を備える とともに、この回転枠４に取付けたガイドロッド５に沿ってシールド本体２の半 径方向に移動できるように支持された吊りビーム６を備えており、回転枠４の回 転と吊りビーム６の移動との組合せによってシールド本体２の任意の位置でセグ メントの組立ができるようになっている。

【０００５】 このような回転や半径方向に動くエレクタ１を運転するためには、回転枠４の 内部の各ジャッキを作動させる油圧ポンプへの電力や制御信号を後方台車などか ら供給する電線、さらに作動圧油や冷却水等を送るホース等のケーブル類７を接 続する必要があり、エレクタ１の旋回内径内の固定側にばねなどによって巻取機 能を備えた巻取リール８を設け、巻取リール８に巻取られた電力ケーブルや油圧 ホース、制御用の信号ケーブル等のケーブル類７の外周側の一端をエレクタ１の 回転枠４の内側の固定側に配置したガイドローラ９に沿って弛みが生じないよう にエレクタ１に接続するとともに、ケーブル類７の他端を巻取リール８の回転軸 上に設けたスリップリング１０を介して後方台車などに接続するようにしている 。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、このようなにエレクタ１の旋回内径内に巻取リール８を設置してケ ーブル類７を固定側から回転側のエレクタ１に接続する方式では、巻取リール８ が旋回内径内のかなりの空間を占有するとともに、回転枠に沿ってケーブル類７ をガイドするガイドローラ９を必要とし、掘進作業に必要な装置類の設置スペー スや人の通路が減少し、特に、エレクタ１によるセグメントの組立を自動化する ためロボット化する場合には、必要なケーブル類７の本数が増大し、旋回内径内 の固定側に設置する巻取リール８の数を増さねばならず、一層回転枠４の旋回内 径内の空間が減少して掘進作業に必要なスペースの確保が難しくなるという問題 がある。

【０００７】 この考案は、かかる従来技術の課題に鑑みてなされたもので、ケーブル類の接 続のための巻取リールによりエレクタの旋回内径内の空間が狭められることがな く、ケーブル類を支持するガイドローラも必要としないシールド掘進機エレクタ 用のケーブル類接続装置を提供しようとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記従来技術が有する課題を解決するため、この考案のシールド掘進機エレク タ用のケーブル類接続装置は、シールド掘進機のシールド本体内で回転してセグ メントを組立てるエレクタにケーブル類を接続して電力や作動流体等を供給する シールド掘進機エレクタ用のケーブル類接続装置において、多数のケーブル類を 接続するために前記エレクタの回転枠とシールド本体との空間に複数のケーブル リールを配置し、これらケーブルリールに巻き掛けられたケーブル類を前記エレ クタの回転枠の外周の一部をケーブル類の巻付け巻戻し用のドラムと兼用し前記 エレクタの回転に応じて各ケーブル類を重ねて巻付け巻戻し可能に設けたことを 特徴とするものである。

【０００９】

【作用】

このシールド掘進機エレクタ用のケーブル類接続装置によれば、ケーブル類を 巻き取るケーブルリールをエレクタの回転枠の外側とシールド本体との空間に設 置し、ケーブル類の巻取ドラムの役目をガイドをエレクタの回転枠の外周の一部 を利用して行うようにするとともに、複数のケーブル類を重ねて回転枠に巻付け たり、巻戻すようにしている。

【００１０】 これにより、巻取リールやガイドローラをエレクタの旋回内径内に設置するこ と無く、エレクタの回転枠の外側の空間の固定側から回転側にケーブル類を接続 することができ、旋回内径内を有効に利用することができる。

【００１１】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面に基づき詳細に説明する。 図１および図２はこの考案のシールド掘進機エレクタ用のケーブル類接続装置 の一実施例にかかる概略構成図および断面図である。

【００１２】 このシールド掘進機エレクタ用のケーブル類接続装置２０は、シールド本体２ のシールド径に比べてエレクタ１の回転枠４の外径が比較的小さい場合に適用し たものである。

【００１３】 この場合のエレクタ１はシールド掘進機の先端部内側に固定支持された円筒状 の作業台１１の外周に沿って回転できるように回転枠４が配置されており、図２ に示すように、作業台１１の外周に取付けたリング状の軸受１２を介して回転枠 ４が回転可能とされ、回転枠４に取付けたリングギヤ１３に固定側に取付けた駆 動モータ１４のピニオン１５を噛み合わせて駆動するようになっている。

【００１４】 この回転枠４とシールド本体２との間の空間に電力ケーブルや油圧ホース、さ らには制御用の信号ケーブル等のケーブル類７が巻かれ、ばねなどによる巻取機 能を備えた複数台（図示例では３台）のケーブルリール２１，２２，２３が配置 されて固定設置されている。

【００１５】 そして、各ケーブルリール２１，２２，２３に巻かれたケーブル類７の外側の 端部が回転枠４を貫通してエレクタ１の各部に接続されており、エレクタ１とケ ーブルリール２１，２２，２３までの間のケーブル類７が回転枠４の外周を巻取 ドラムとしてエレクタ１の回転に伴って巻付けられたり、巻戻されるようになっ ている。

【００１６】 この回転枠４の外周への複数本のケーブル類７の巻付けは、図１および図２に 示すように、回転枠４の同一外周上に重ねて巻付けたり、巻戻したりするように しており、このため回転枠４に一定間隔で２枚のガイド板２４が取付けられる一 方、３つのケーブルリール２１，２２，２３がシールド本体２のほぼ同一の横断 面内に位置するようにしてある。

【００１７】 また、この実施例で使用されるケーブル類７は、その横断面形状が長方形状や 長楕円形状とされ、回転枠４への同一位置に重ねて巻付けた場合のケーブル類７ の高さが高くならないようにしてある。

【００１８】 一方、ケーブルリール２１，２２，２３の巻取中心側のケーブル類７の端部は 、スリップリングを介して取出され、図示しない後方台車などに接続されて電力 や作動油などを供給できるようになっている。

【００１９】 このように構成したシールド掘進機エレクタ用のケーブル類接続装置２０では 、エレクタ１によるセグメントの組立作業に伴ってエレクタ１の回転枠４が約４ ４０度程度回転することになるが、エレクタ１の回転に必要な長さのケーブル類 ７が各ケーブルリール２１，２２，２３から引き出されて回転枠４の外周に巻き 付けられて支障なく電力や作動油などエレクタ１の運転に必要なものを供給する ことができる。

【００２０】 このケーブル類７の巻付けの際、ケーブル類７がエレクタ１のガイド板２４の 間の同一部分に重ねて巻取られるので、巻取ドラムの幅寸法としてエレクタ１の 回転枠４の軸方向長さを特に長くする必要がない。

【００２１】 一方、エレクタ１が逆に回転してケーブル類７を巻戻すようにする場合には、 巻戻されるケーブル類７が各ケーブルリール２１，２２，２３の巻取機能によっ て引戻されて巻取られ、この場合にも支障なく電力や作動油などを供給できる。

【００２２】 このように、ケーブルリール２１，２２，２３をエレクタ１の回転枠４の外側 に配置し、回転枠４をケーブル類７の巻取ドラムとするようにしたので、エレク タ１の旋回内径内にケーブルリールやガイドローラがなく、シールド掘進機の掘 進作業に必要な装置などの設置スペースを十分確保することができる。

【００２３】 また、ケーブルリール２１，２２，２３から繰り出されるケーブル類７を回転 枠４の同一部分に重ねて巻くようにしているので、回転枠４の軸方向長さを長く する必要がなく、シールド機長が長くならないので、ケーブル類の数が増大する にも拘らず曲線状のトンネル掘進にも容易に対応することができる。

【００２４】 なお、上記実施例では、ケーブル類を３本使用する場合を示したが、さらに多 数本とする場合にも同様に適用することができ、ケーブル類の本数によっては、 この考案装置を前後方向に複数組設けて対応するようにしても良く、ケーブルも 従来の円形断面のものとして狭い幅のドラムに巻くこともできる。

【００２５】 また、この考案を適用できるシールド掘進機は、上記実施例のようにエレクタ の外側のシールド本体との間に大きな空間がある場合に限らず、ケーブルリール が設置できる空間がある場合に広く適用することもできる。

【００２６】 さらに、この考案は、上記各実施例に限定するものでなく、この考案の要旨を 変更しない範囲で各構成要素に変更を加えるようにしても良い。

【００２７】

【考案の効果】

以上、一実施例とともに具体的に説明したようにこの考案のシールド掘進機エ レクタ用のケーブル類接続装置によれば、ケーブル類を巻き取るケーブルリール をエレクタの回転枠の外側とシールド本体との空間に設置し、ケーブル類のガイ ドをエレクタの回転枠の外周を利用して行うようにするとともに、複数のケーブ ル類を重ねて回転枠に巻付けたり、巻戻すようにしているので、巻取リールやガ イドローラをエレクタの旋回内径内に設置すること無く、エレクタの回転枠の外 側の空間の固定側から回転側にケーブル類を接続することができ、旋回内径内を 有効に利用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案のシールド掘進機エレクタ用のケーブ
ル類接続装置の一実施例にかかる概略構成図である。

【図２】この考案のシールド掘進機エレクタ用のケーブ
ル類接続装置の他の一実施例にかかる断面図である。

【図３】従来のケーブル接続装置の概略構成図である。

【符号の説明】

１ エレクタ ２ シールド本体 ４ 回転枠 ５ ガイドロッド ６ 吊りビーム ７ ケーブル類 １１ 作業台 １２ 軸受 １３ リングギヤ １４ 駆動モータ １５ ピニオン ２０ ケーブル類接続装置 ２１，２２，２３ ケーブルリール ２４ ガイド板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シールド掘進機のシールド本体内で回転
   してセグメントを組立てるエレクタにケーブル類を接続
   して電力や作動流体等を供給するシールド掘進機エレク
   タ用のケーブル類接続装置において、多数のケーブル類
   を接続するために、前記エレクタの回転枠とシールド本
   体との空間に複数のケーブルリールを配置し、これらケ
   ーブルリールに巻き掛けられたケーブル類を前記エレク
   タの回転枠の外周をケーブル類の巻付け巻戻し用のドラ
   ムと兼用し前記エレクタの回転に応じて各ケーブル類を
   重ねて巻付け巻戻し可能に設けたことを特徴とするシー
   ルド掘進機エレクタ用のケーブル類接続装置。