JPH057693A - 洗濯機の防振装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一般家庭において使用する洗濯機の防振装置
において、圧縮コイルばねの自由長、ばね定数、及び減
衰力を変えることなく、圧縮コイルが全圧縮状態になる
ときの荷重を大きくして、共振点通過時のアンバランス
による衝突音や、本体の移動をなくすことを目的とす
る。 【構成】 脱水兼洗濯槽及び駆動機構などを緩衝体と共
に外枠より垂下支持した洗濯機において、前記緩衝体
が、長さと径の違う２本の圧縮コイルばねで構成し、荷
重が掛かっていった場合に、長い圧縮コイルばね２０が
先に圧縮され、更に荷重がかかり、全圧縮状態直前に、
短い圧縮コイルばね２１が圧縮を開始するように構成す
ることによって、全圧縮状態になるときの荷重を大きく
し、脱水時の共振点通過時に圧縮コイルばねが全圧縮状
態になるのを防止しようとするものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は一般家庭において使用す
る洗濯機の防振装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の一槽式洗濯機は図３及び図４に示
すような構成になっていた。

【０００３】外枠１の上部に複数個の外枠受部２が設け
られており、この外枠受部２にスライダ３を介して吊り
棒４が配置され、吊り棒４の下端には圧縮コイルばね５
を内蔵した緩衝管６が設けられ、緩衝管内部で習動し、
かつ弾性的に水槽７を吊り下げている。

【０００４】水槽７内部には、洗濯兼脱水槽８を設け、
この洗濯兼脱水槽８の略中央低部にパルセータ９を回転
自在に設けている。

【０００５】水槽７の底部には基板１０が固着されてお
り、この基板１０にクラッチケース１１が水槽７に水密
になるように固定されている。

【０００６】また、基板１０には駆動モータ１２がボル
トにより固定されており、モータ軸にはモータプーリ１
３が取りつけられ、ベルト１４を介してクラッチケース
１１のプーリ１５に連結されている。

【０００７】１６は洗濯槽兼脱水槽８上部に設けられた
バランスリングである。外枠１の上部には上面カバー１
７が設けられ、略中央部には洗濯物投入口１８が形成さ
れ、その上部には蓋１９が開閉自在に収設されている。

【０００８】このとき、洗濯機の脱水時において、被脱
水物が洗濯兼脱水槽８内部に均一に分布されることは希
で、偏ったまま脱水が行われた場合、この衣類の不均一
は、回転物のアンバランスとなって、振動を発生させる
原因となっていた。

【０００９】ここで、不均一脱水の起動時において生じ
る振動数と、洗濯機の固有振動数が一致した場合、共振
点状態となり、振幅は、極めて大きくなり、例えば上下
に跳ね上がったり、あるいは、外枠１に衝突するとい
う、非常に危険な状態になる。

【００１０】これを防止するためには防振機構によって
振幅を押さえなければならない。従来の防振方法として
用いられるものを図４を参照して説明する。

【００１１】支持棒４の下端に配し、外周にシール部を
有するゴム製のキャップ１６と、支持棒４を中央部で貫
通し、前記ゴム性のキャップ１６に内周で接触するよう
な円筒部を有する緩衝管６と、この緩衝管６とキャップ
１６間に配され、支持棒４を貫通する圧縮コイルばね５
により形成されている。

【００１２】上記機構により、キャップ１６と緩衝管６
の接触摩擦力によって減衰力を得るダンパーと圧縮コイ
ルばねにより、衣類のアンバランスで生じる振動を防振
している。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】ところが上記のように
構成された防振装置は、最近のように洗濯機が大型化
し、洗濯重量が増えると、脱水回転数が、振動系の共振
点に達した場合、水槽７が上下に大きく振動し、振幅の
下死点に達する前に、圧縮コイルばね５が全圧縮状態に
なるという問題点があった。

【００１４】このような場合、圧縮コイルばね５の全圧
縮時には、水槽７は激しく緩衝管６に衝突し、その衝撃
は、支え棒４を伝わり、製品全体に激しい衝撃音を発生
する。

【００１５】さらには、衝突した反動で、水槽が上面カ
バー１７に突き上げ、製品全体がその衝撃力で上下に激
しくバウンドし、倒れるなどの極めて悪い状態となる。

【００１６】これを解決する方法として、圧縮コイルば
ねの自由長を増して、全圧縮時の荷重を大きくする方法
があるが、これは、製品を大きくする必要があり、コン
パクト化の現在の風潮に添わず、また、使い勝手が悪く
なる。

【００１７】その他に、圧縮コイルばねのばね定数を増
して、全圧縮時の荷重を大きくする方法や、キャップと
緩衝管の接触摩擦力を大きくして減衰力を増す方法があ
るが、これらの方法は、定常脱水時の本体振動が大きく
なり、十分な解決方法とはいえなかった。

【００１８】そこで、本考案は、圧縮コイルばねの自由
長、ばね定数、及び減衰力を変えることなく、圧縮コイ
ルが全圧縮状態になるときの荷重を大きくして、共振点
通過時のアンバランスによる衝突音や、本体の移動をな
くすことを目的としている。

【００１９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、脱水兼洗濯槽及び駆動機構などを緩衝体
と共に外枠より垂下支持した洗濯機において、前記緩衝
体が、長さの違う２本の圧縮コイルばねで構成され、全
圧縮状態になるときの荷重を大きくし、脱水時の共振点
通過時に圧縮コイルばねが全圧縮状態になるのを防止し
ようとするものである。

【００２０】

【作用】上記構成により、長さの違う２本の圧縮コイル
ばねを使用すれば、荷重が掛かっていった場合に、長い
圧縮コイルばねが先に圧縮され、更に荷重がかかり、全
圧縮状態直前に、短い圧縮コイルばねが圧縮を開始する
ように構成することによって、初期に比べ、見かけ上急
激にばね定数が上がり、コイルばね全体が全圧縮するま
での荷重は増えることになる。

【００２１】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１，図２により
説明する。

【００２２】図において、４は振動系を吊り下げ、支持
している支持棒であり、この支持棒４の下端にはキャッ
プ１６と支持棒４を中央部で貫通し、キャップ１６と内
周部で摩擦接触する緩衝管６を設けている。

【００２３】２０，２１は圧縮コイルばねであり、キャ
ップ１６上面と緩衝管６間に配している。

【００２４】この２つの圧縮コイルばねのうち長いコイ
ルばね２０の自由長は、無負荷状態のときに、適度な減
衰力が得られるようにキャップ１６が緩衝管６のなかに
若干入りこむ程度の長さに設定しており、短いコイルば
ね２１は、下端をキャップ１６に固定し、その自由長
は、長いコイルばねの全圧縮状態になるより前に緩衝管
６の内部に設けたコイルばね受け２２によって圧縮を開
始する程度の長さに設定している。

【００２５】以上のような構成によって、長さの違う２
本の圧縮コイルばねを使用することによって、荷重が小
さくて、長い圧縮コイルばねだけが作用しているときに
は、ばね定数は１本のコイルばねを使用した従来の場合
と全く同じであるが、荷重が大きくなり、長いコイルば
ねが全圧縮状態になる前に、短いコイルばねが作用し、
急激に見かけ上のばね定数が高くなる。

【００２６】従って、荷重の小さい定常脱水運転時は従
来と同じばね定数であるため、本体の振動は、従来と同
じ程度であり、荷重の大きくなる共振点の時には、ばね
定数が高くなって、全圧縮しにくく、衝突音や、その衝
撃による製品の移動を防止できる。

【００２７】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、緩衝体
を、長さの違う２本の圧縮コイルばねで構成することに
より、通常は、ばね定数が小さく、共振点時、荷重が増
したときに、ばね定数が大きくなるため、激しい衝撃音
や、製品の移動を防止できるという大きな効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す防振装置の縦断面図

【図２】同防振装置の縦断面図

【図３】従来の洗濯機の縦断面図

【図４】従来の防振装置の縦断面図

【符号の説明】

４ 支持棒 ６ 緩衝管 ２０，２１ 圧縮コイルばね ２２ コイルばね受け

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 脱水兼洗濯槽及び駆動機構などを緩衝体
   と共に外枠より垂下支持した洗濯機において、前記緩衝
   体が、長さと径の違う２本の圧縮コイルばねで構成され
   ていることを特徴とする洗濯機の防振装置。