JPH05131075A - ドラム式洗濯機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 脱水起動時の大きな振動を抑え、かつ脱水定
常時の振動を設置面に伝えない低振動化を図ったドラム
式洗濯機を提供することを目的とする。 【構成】 内部にドラム２１を有する水槽１５を支持し
たサスペンション１７の減衰力を、減衰力可変手段１９
により任意に可変とし、脱水起動時の水槽１５の振動を
高いばね定数で抑え、脱水定常時には低いばね定数で抑
えたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は水平軸を中心に回転する
ドラムにより洗濯脱水を行なうドラム式洗濯機に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のドラム式洗濯機は図６に示すよう
な構成であった。すなわち、本体１と、この本体１内に
サスペンション２によって支持された水槽３と、前面を
開口し後面に回転軸４を備え、側面に通水孔５を設けた
ドラム６によって主要部が構成されている。また回転軸
４は水槽３の後面に設けた軸受け７によって支持されて
いる。この回転軸４の端部にはプーリ１０が取り付けら
れており、洗濯モータ８の回転をベルト９を介して受け
ている。また水槽３と本体１との間にはダンパー１１を
設けている。水槽３前面には、本体１との間に水密性を
保持するベローズ１２を備え、開閉蓋１３と嵌合するよ
うになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記した従来の構成の
ドラム式洗濯機では、洗濯・すすぎを終えて脱水を行お
うとする場合、衣類は前記ドラム６の下部に偏った状態
で分布している。従って脱水時には、衣類による偏心荷
重のため水槽３が大きく振動する。この振動は特に脱水
起動時には相当大きなものである。従来はこの水槽３の
振動を抑えるため、サスペンション２を構成するばねに
は、ばね定数の高いものを使用している。このため、脱
水工程が進行してドラム６が高速回転に入ると、水槽３
の振動がサスペンション２を介して設置床に直接伝わ
り、床を大きく振動させるものであった。

【０００４】本発明は上記課題を解決するものであり、
脱水起動時の大きな振動を抑えるとともに脱水定常時に
は床への振動をなくしたドラム式洗濯機を提供すること
を第一の目的としている。

【０００５】また本発明は脱水起動時の大きな振動を特
別な部材を用いることなく抑えることができるドラム式
洗濯機を提供することを第二の目的としている。

【０００６】また本発明はアンバランス荷重の相殺によ
り脱水起動時の大きな振動を効果的に抑えることができ
るドラム式洗濯機を提供することを第三の目的としてい
る。

【０００７】また本発明は水槽の重量を変えることによ
り脱水起動時の大きな振動を効果的に抑えることができ
るドラム式洗濯機を提供することを第四の目的としてい
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】第一の目的を達成するた
めの本発明の第一の手段は、本体と、本体内にサスペン
ションによって支持された水槽と、水槽内で水平軸を中
心に回転するドラムと、ドラムを駆動する洗濯モータ
と、水槽下部と本体との間に設けたダンパーと、水槽の
振動の大きさを検知する振動センサーと、この振動セン
サーの出力を受けて作動し前記サスペンションの減衰力
を脱水起動時には高いばね定数とし脱水定常時には低い
ばね定数とする減衰力可変手段を有するドラム式洗濯機
とするものである。

【０００９】また第二の目的を達成するための本発明の
第二の手段は、本体と、本体内にサスペンションによっ
て支持された水槽と、水槽内に片持ち支持されて水平軸
を中心に回転するドラムと、ドラムを駆動する洗濯モー
タと、水槽下部と本体との間に設けたダンパーとを備
え、前記ダンパーは前記水槽の重心位置に対してドラム
の支持部と反対方向に所定の距離だけずらせて設けたド
ラム式洗濯機とするものである。

【００１０】また第三の目的を達成するための本発明の
第三の手段は、本体と、本体内にサスペンションによっ
て支持された水槽と、水槽内に水平軸を中心に回転する
ドラムと、ドラムを駆動する洗濯モータと、水槽下部と
本体との間に設けたダンパーと、サスペンションに設け
た荷重検知部と、前記水槽の底面に設けた複数の水溜部
とを備え、前記荷重検知部の検知によりアンバランス荷
重と反対側位置の水溜部に水を供給するようにしたドラ
ム式洗濯機とするものである。

【００１１】さらに第四の目的を達成するための本発明
の第四の手段は、本体と、本体内にサスペンションによ
って支持された水槽と、水槽内に水平軸を中心に回転す
るドラムと、ドラムを駆動する洗濯モータと、水槽下部
と本体との間に設けたダンパーと、水槽に設けその振動
度合に応じて水を溜める振動抑制用のタンクとを備えた
ドラム式洗濯機とするものである。

【００１２】

【作用】本発明の第一の手段は、減衰力可変手段が脱水
起動時はサスペンションの減衰力を高いばね定数とし脱
水定常時には低いばね定数とするものである。従って、
脱水起動時および脱水定常時のいずれも脱水振動が設置
床に直接伝わり、床を大きく振動させることはなくな
る。

【００１３】また本発明の第二の手段は、ダンパーの取
り付け位置を配慮したことにより水槽の振動を効果的に
抑えることができる。つまり脱水起動時の水槽の振動
は、衣類の偏心荷重によるもので、この振動はドラムが
片持ち支持であるため、支持部を中心としたモーメント
が作用して、支持部からのスパンの長い水槽の非支持部
側がより大きく振動するものである。従って、ダンパー
は水槽の重心位置に対してドラムの支持部と反対方向に
所定の距離だけずらせて設けて振動を抑えているもので
ある。

【００１４】また本発明の第三の手段は、荷重検知部に
よりサスペンションにかかる荷重を検知して、アンバラ
ンス荷重と反対側位置の水溜部に水を供給するようにし
たものである。これにより水槽の水平を回復するもので
ある。つまり、衣類による偏心荷重のため水槽が起動時
に大きく振動するが、この時の振動状態は水槽の前後方
向の釣合によっても変化するものである。そこでサスペ
ンションにかかる荷重を検知して、水溜部に水を供給す
ることによって、安定した振動モードを得ることができ
る。

【００１５】さらに本発明の第四の手段は、水槽の振動
度合に応じて水を溜める振動抑制用のタンクを備えたも
ので、脱水起動時にはこのタンクに水を満たす。つまり
脱水起動時の大きな振動は、タンクに満たした水の重量
によって、大きな振動を抑えることができるものであ
る。

【００１６】

【実施例】以下本発明の第一の手段の実施例に就いて図
１・図２に基づいて説明する。図において、１５は本体
１６内に複数のサスペンション１７によって半拘束的に
吊り下げた水槽、１８は水槽１５に支持された水平な回
転軸、２１は水槽１５内部に回転軸１８によって片持ち
支持され、かつ適宜通水孔１９および開口部２０を設け
たドラム、２２は前記水槽１５の底部に一端を他端を本
体１６に固定したダンパー、２３は水槽１５に取り付け
回転軸１８を回転支持した軸受、２４は水槽１５と反対
側の回転軸１８の端部に取り付けたドラムプーリ、２５
はこのドラムプーリ２３との間にベルト２６を張り渡し
たモータプーリ、２７はモータプーリ２５を介してドラ
ム２１を回転駆動する洗濯モータ、２８は水槽２０の振
動の大きさを検知する振動センサー、２９は振動センサ
ー２８の出力を受けて作動し前記サスペンション１７の
減衰力を脱水起動時には高いばね定数とし脱水定常時に
は低いばね定数とする減衰力可変手段である。

【００１７】前記減衰力可変手段２９の具体構成の一例
は図２に示しているとおりである。すなわち、本体１６
に固定されたシリンダー３０と、サスペンション１７端
部に設け前記シリンダー３０内を摺動するピストン３１
と、このシリンダー３０内に設けた、本体１６とピスト
ン３１を緩衝する緩衝ばね３２によって構成している。
さらにまた前記シリンダー３０近傍には、前記振動セン
サー２８の出力によって作動するソレノイド３３を設
け、このソレノイド３３の作動によってピン３４が動作
する。前記ピストン３１はピン３４が移動動作したとき
に固定される溝３５を有している。つまり、振動センサ
ー２７の検知出力が基準以上である場合には、ソレノイ
ド３３の作動によってピン３４が移動し、ピストン３１
を固定し緩衝ばね３２の作用を抑制するものである。

【００１８】以下本実施例の動作について説明する。洗
濯・すすぎを終えて脱水工程に入るときには、衣類がド
ラム２１の下部に偏った状態となっている。従ってドラ
ム２１の回転は衣類による偏心荷重を受けたものであ
り、このため水槽１５は脱水起動時には大きく振動す
る。本実施例においては、この振動は振動センサー２７
が振動による加速度を電気的な信号に変換して検知して
いる。この振動センサー２７の検知出力はソレノイド３
３に伝達される。従ってソレノイド３３は振動センサー
２７の検知信号の大きさによって動作する。脱水開始直
後においては、この振動は大きなものであり、振動セン
サー２７の検知信号も大きなものである。従ってソレノ
イド３３が動作し、ピン３３がピストン３１に設けた溝
３５にはまり込んでピストン３１を固定し緩衝ばね３２
の作用を抑制する。これによって、サスペンション１７
の減衰力を脱水起動時には高いばね定数とするものであ
る。このサスペンション１７の強い減衰力によって、脱
水起動時の水槽１５の大きな振動を抑えることができ
る。

【００１９】さらに脱水工程が進行してドラム２１が高
速回転に入ると、水槽１５の振動は徐々に小さくなる。
この振動は、前記同様、振動センサー２７によって電気
的に検知されソレノイド３３に伝達される。これにより
ソレノイド３３はピストン３１の固定を解除する。従っ
て、サスペンション１７の端部には緩衝ばね３２が作用
するようになる。つまりサスペンション１７と緩衝ばね
３２とが直列に作用することになり、全体としてのばね
定数は低いものとなる。こうして脱水定常時の振動が水
槽１５から設置床に直接伝わって、床を振動させたり騒
音の原因になるようなことはない。

【００２０】次に本発明の第二の手段の実施例を図３に
基づいて説明する。本実施例の全体構成は前記した図１
と同様であるので説明を省略する。本実施例において
は、ダンパー２２を前記水槽１５の重心位置に対してド
ラム２１の支持部と反対方向に所定の距離（約３０mm）
だけずらせて設けている。

【００２１】以下本実施例の動作について説明する。前
記実施例で説明したように、脱水起動時のドラム２１の
回転は、衣類による偏心荷重を受けたものであり、この
ため水槽１５は起動時には大きく振動する。この場合ド
ラム２６が片持ち支持であるため、支持部を中心とした
モーメントが作用する。つまり、回転軸１８からのスパ
ンの長い水槽１５の非支持部側はより大きく振動する。
このときダンパー２２に作用するモーメントは、モーメ
ントの中心からの距離とダンパー２２にかかる力の積と
なる。このためダンパー２２を重心Ｇの位置に取付ける
場合では、かなり大きなダンパー力が必要となる。そこ
でダンパー２２の取り付け部を、重心Ｇの位置より所定
の距離だけずらせて設けることによって、水槽１５の非
支持部側の振動を、通常のダンパー力によって効果的に
抑えることができる。

【００２２】次に本発明の第三の手段の実施例について
図４に基づいて説明する。本実施例においても、全体構
成は図１と同様である。本実施例においては、各サスペ
ンション１７のそれぞれに荷重を検知する歪ゲージ等の
荷重検知部４５を取り付けている。さらに水槽１５の底
面には、複数の水溜部４６を備え、前記荷重検知部４５
の検知によりアンバランス荷重と反対側位置の水溜部４
６に水を供給するようにしている。各水溜部４６は水密
性を有し、それぞれ独立して給水ホース４７、給水弁４
８および排水ホース４９、排水弁５０を取り付けてい
る。

【００２３】以下本実施例の動作を説明する。前記各実
施例で説明したように、脱水起動時のドラム２１の回転
は衣類による偏心荷重を受けたものであり、このため水
槽１５は起動時には大きく振動する。この時の振動は、
水槽１５の前後方向の釣合によっても変わってくること
がわかっている。そこで本実施例においては、脱水開始
前に各々のサスペンション１７にかかる荷重を荷重検知
部４５によって検知するようにしている。こうして、ア
ンバランス荷重と対向した位置の水溜部４６に給水して
水槽１５の水平を回復させる。水槽１５が水平を回復し
た状態で脱水工程に入ることによって、安定した振動モ
ードを得ることができ、振動が設置床に直接伝わり、床
を大きく振動させ騒音や家屋の振動を引き起こすことが
なくなる。

【００２４】次いで、脱水工程が進行してドラム２１が
高速回転に入ると、水槽１５の振動は徐々に小さくな
る。この振動は荷重検知部４５によって検知され、排水
ホース４９、排水弁５０を介して水溜部４６内の水は排
水されるものである。こうして脱水定常時も振動が水槽
１５から設置床に直接伝わって、床を振動させたり騒音
の原因になるようなことはない。

【００２５】さらに本発明の第四の手段の実施例につい
て図５に基づいて説明する。本実施例においては、水槽
１５にはその振動度合に応じて水を溜める振動抑制用の
タンク５１を備えている。このタンク５１には給水ホー
ス５２、排水ホース５３および排水弁５４を設けてい
る。その他の構成は図１と同様であり、説明を省略す
る。

【００２６】以下本実施例の動作について説明する。前
記各実施例で説明したように、脱水起動時のドラム２１
の回転は衣類による偏心荷重を受けたものであり、この
ため水槽１５は起動時には大きく振動する。本実施例に
おいては、脱水開始前にタンク５１に水を満たすように
している。このため水槽１５にはこの水の重量が加わっ
て重くなる。この重みによって、脱水起動時の水槽１５
の大きな振動を抑えることができる。また脱水工程が進
行して、ドラム２１が高速回転に入り一定速度となる
と、水槽１５の振動および加速度は徐々に小さくなる。
振動センサー２７はこれを検知して、タンク５１内の水
を排水ホース５３および排水弁５４を介して排水し水槽
１５を軽くする。こうして、脱水定常時の振動が水槽１
５から設置床に直接伝わって、床を振動させたり騒音の
原因になるようなことはない。

【００２７】

【発明の効果】以上のように本発明の第一の手段によれ
ば、振動センサーの出力を受けて作動しサスペンション
の減衰力を脱水起動時には高いばね定数とし脱水定常時
には低いばね定数とする減衰力可変手段を有するため、
脱水起動時の大きな振動を抑えるとともに脱水定常時に
は床への振動をなくしたものである。

【００２８】また本発明の第二の手段によれば、ダンパ
ーは前記水槽の重心位置に対してドラムの支持部と反対
方向に所定の距離だけずらせて設けたため、特別な部材
を必要とすることなく脱水起動時の水槽の振動を効果的
に抑えることができるものである。

【００２９】また本発明の第三の手段によれば、荷重検
知部の検知によりアンバランス荷重と反対側位置の水溜
部に水を供給するようにしたため、アンバランス荷重の
相殺により脱水開始時に水槽の水平を回復でき安定した
振動モードを得ることができるもので、脱水起動時の大
きな振動を効果的に抑えることができるものである。

【００３０】またさらに本発明の第四の手段によれば、
振動度合に応じて水を溜める振動抑制用のタンクを水槽
に設けたため、脱水起動時には水槽の重量を重くして大
きな振動を防ぐことができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一の手段の実施例であるドラム式洗
濯機の縦断面図

【図２】同ドラム式洗濯機のサスペンションを示す縦断
面図

【図３】本発明の第二の手段の実施例である水槽の縦断
面図

【図４】本発明の第三の手段の実施例である水槽の縦断
面図

【図５】本発明の第四の手段の実施例である水槽の縦断
面図

【図６】従来のドラム式洗濯機の縦断面図

【符号の説明】

１５ 水槽 １６ 本体 １７ サスペンション １９ 減衰力可変手段 ２１ ドラム ２２ ダンパー ２７ 洗濯モータ ２８ 振動センサー ４５ 荷重検知部 ４６ 水溜部 ４９ タンク

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 公彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 本体と、本体内にサスペンションによっ
   て支持された水槽と、水槽内で水平軸を中心に回転する
   ドラムと、ドラムを駆動する洗濯モータと、水槽下部と
   本体との間に設けたダンパーと、水槽の振動の大きさを
   検知する振動センサーと、この振動センサーの出力を受
   けて作動し前記サスペンションの減衰力を脱水起動時に
   は高いばね定数とし脱水定常時には低いばね定数とする
   減衰力可変手段を有するドラム式洗濯機。
2. 【請求項２】 本体と、本体内にサスペンションによっ
   て支持された水槽と、水槽内に片持ち支持されて水平軸
   を中心に回転するドラムと、ドラムを駆動する洗濯モー
   タと、水槽下部と本体との間に設けたダンパーとを備
   え、前記ダンパーは前記水槽の重心位置に対してドラム
   の支持部と反対方向に所定の距離だけずらせて設けたド
   ラム式洗濯機。
3. 【請求項３】 本体と、本体内にサスペンションによっ
   て支持された水槽と、水槽内に水平軸を中心に回転する
   ドラムと、ドラムを駆動する洗濯モータと、水槽下部と
   本体との間に設けたダンパーと、サスペンションに設け
   た荷重検知部と、前記水槽の底面に設けた複数の水溜部
   とを備え、前記荷重検知部の検知によりアンバランス荷
   重と反対側位置の水溜部に水を供給するようにしたドラ
   ム式洗濯機。
4. 【請求項４】 本体と、本体内にサスペンションによっ
   て支持された水槽と、水槽内に水平軸を中心に回転する
   ドラムと、ドラムを駆動する洗濯モータと、水槽下部と
   本体との間に設けたダンパーと、水槽に設けその振動度
   合に応じて水を溜める振動抑制用のタンクとを備えたド
   ラム式洗濯機。