JPH06277389A - 自動洗濯機の防振装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、起動時、共振点通過時の振動を低
減し、かつ、定常運転時の振動や騒音を低減した自動洗
濯機の防振装置を得ることを目的とする。 【構成】 脱水槽を兼ねた洗濯槽の外側に位置して脱水
時の水を受ける外槽１８と、この外槽を本体２４の四隅
から弾性支持するサスペンション２３ａとを備え、前記
各サスペンションは、吊り棒２５と、この吊り棒の下部
に取付けたバネ支持板２８と、前記吊り棒に挿通されバ
ネ支持板を覆う筒状のバネ抑え２６と、バネ支持板とバ
ネ抑えとの間に介装した圧縮バネ２７と、バネ支持板の
下部の吊り棒に、所定の間隔で設けた固定具２９ａ・２
９ｂと、この固定具の間に吊り棒に挿通して設けた摩擦
材３０と、前記摩擦材と固定具の間に設けた補助バネ３
２ａ・３２ｂとで構成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は家庭用の自動洗濯機に使
用される防振装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の自動洗濯機は図６に示す
ような構造になっている。脱水時の水を受けるための外
槽１の下部には、モータ３とベルトで連結されている減
速機２が固着されている。減速機２の駆動軸は二重構造
になっており、外側の軸には、外槽１内部に位置し、脱
水槽を兼ねた洗濯槽４が固定されている。内側の軸に
は、洗濯槽４内部に位置した撹拌翼５が固定されてい
る。また外槽１は、本体７の四隅から外槽１に一体に設
けた支持片９を介してサスペンション６により防振支持
されている。

【０００３】以下図７に基づいて、サスペンション６の
構成を説明する。外槽１の低部外周面に設けたサスペン
ション６を支持する支持片９の下面は、球面状の受面１
０となっている。サスペンション６を構成する吊り棒８
は、この受面１０に形成した透孔１１を挿通して下方に
突出している。吊り棒８の下端部にはバネ受け１２を設
けており、この上に圧縮バネ１３が、さらにこの上にダ
ンパ１４が載置支持されている。前記ダンパ１４は、上
部外周にフランジ１５ａを有したシリンダ部１５と、上
端部に径大な受け部１６ａを有したピストン部１６とか
ら成っている。シリンダ部１５の内周面のうち下半部
は、底部に向かって径小となるテーパ部１５ｂに形成し
ている。他方ピストン部１６の下半部も、シリンダ部１
５のテーパ部１５ｂに対応してテーパ部１６ｂに形成し
ている。また前記テーパ部１５ｂ内には、図８に示すよ
うな円板状のダンパ部材１７を複数枚積み重ねて収納し
ている。このダンパ部材１７は、フェルト等軟質材によ
り形成したもので、この外径寸法はシリンダ部１５上部
の内径寸法よりも若干小さく、かつテーパ部１５ｂの最
小内径寸法よりも大きく設定している。またダンパ部材
１７には、潤滑剤として潤滑油を含浸している。

【０００４】ダンパ１４は吊り棒８の下方部に上下動可
能に貫挿されていて、シリンダ部１５のフランジ１５ａ
を圧縮ばね１３上に載置支持せしめている。また同時
に、ピストン部１６の受け部１６ａによって外槽１を支
持している。このときシリンダ部１５内に設けたダンパ
部材１７は、径小なテーパ部１５ｂ内への挿入によって
縮径して吊り棒８を締め付けるように作用している。ま
た同時に、ピストン部１６を介して受ける外槽１・洗濯
槽４及びモータ３等の重量により圧縮されて、吊り棒８
を締め付けるように作用している。つまりダンパ部材１
７は、吊り棒８に対して摩擦摺接するものである。

【０００５】以上のような構成で、給水・洗濯・排水・
遠心脱水を自動的に行うものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】一般に自動洗濯機にお
いては、洗濯工程を終了して洗濯槽４を回転させる脱水
工程に入るときに、洗濯物である衣類に片寄りが生じて
おり、これが原因して洗濯槽４・外槽１に大きな振動が
発生する。この振動は、特に起動時、共振点通過時に最
大となるものである。この共振による振動を抑えるため
に、前述した従来の構成のものは、ダンパ１４の上下動
をダンパ力として利用しているものである。つまり、ダ
ンパ１４の上下動によってダンパ部材１７と吊り棒８と
の間に摩擦力が作用して、これがダンパ力となって前記
振動を減衰させているものである。また、このダンパ部
材１７は洗濯物量が多ければ多いほど強く圧縮され、吊
り棒８への圧接力は大きくなるものである。つまり、よ
り大きなダンパ力を得ることができ、振動の減衰量も大
きくなる。しかしながらこのような構成では、共振点で
の振幅は小さくなるが、その反面、定常時の小さな振動
は洗濯機の本体７に伝わりやすくなるものである。逆に
摩擦減衰量が小さいと、定常時の振動や騒音は小さくな
るが、起動時の共振点での振幅が大きくなるものであ
る。

【０００７】そこで本発明は、前記従来の構成が有して
いた課題を解決するものであり、起動時、共振点通過時
の振動を低減し、なおかつ、定常運転時の振動や騒音を
低減した低コストの自動洗濯機の防振装置を得ることを
第一の目的とするものである。

【０００８】また、更にコンパクトなサスペンションを
有する自動洗濯機の防振装置を得ることを第二の目的と
するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】第一の目的を達成するた
めの本発明の第一の手段は、脱水槽を兼ねた洗濯槽の外
側に位置して脱水時の水を受ける外槽と、この外槽を本
体の四隅から弾性支持するサスペンションとを備え、前
記各サスペンションは、吊り棒と、この吊り棒の下部に
取付けたバネ支持板と、前記吊り棒に挿通されバネ支持
板を覆う筒状のバネ抑えと、バネ支持板とバネ抑えとの
間に介装した圧縮バネとで構成し、バネ支持板の下部の
吊り棒に、所定の間隔で設けた固定具と、この固定具の
間に吊り棒に挿通して設けた摩擦材と、前記摩擦材と固
定具の間に設けた補助バネとで構成した自動洗濯機とす
るものである。

【００１０】第二の目的を達成するための本発明の第二
の手段は、脱水槽を兼ねた洗濯槽の外側に位置して脱水
時の水を受ける外槽と、この外槽を本体の四隅から前記
外槽の低部に外槽と一体に設けた支持片を介して弾性支
持するサスペンションとを備え、前記各サスペンション
は、吊り棒と、この吊り棒の下部に取付けたバネ支持板
と、前記吊り棒に挿通され前記支持片の下方でバネ支持
板を覆う筒状のバネ抑えと、バネ支持板とバネ抑えとの
間に介装した圧縮バネと、前記吊り棒に挿通され支持片
の上方に設けた筒状のシリンダと、このシリンダ内で吊
り棒に所定の間隔で設けた複数の固定具と、この固定具
の間に吊り棒に挿通して設けた摩擦材と、この摩擦材と
固定具の間に設けた補助バネとで構成した自動洗濯機の
防振装置とするものである。

【００１１】

【作用】本発明の第一の手段は、摩擦材が脱水工程の起
動時には摩擦力を発生してダンパ効果を高め、脱水定常
時には摩擦力を発生しないためダンパ力が弱まって、脱
水工程の起動時にも脱水工程の定常時にも振動を抑える
ように作用するものである。

【００１２】また本発明の第二の手段は、前記本発明の
第一の手段と同様に作用するもので、特にコンパクトな
構成として、外槽下部のスペースの有効活用を図ること
が出来るものである。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の第一の手段の実施例を図１・
図２・図３・図４に基づいて説明する。１８は脱水槽を
兼ねた洗濯槽（以下単に洗濯槽と称する）２１の外側に
位置して脱水時の水を受けるための外槽である。外槽１
８の下部には、モータ２０とベルトで連結した減速機１
９が固着されている。減速機１９の駆動軸は二重構造に
なっており、外側の軸には洗濯槽２１を、内側の軸に
は、洗濯槽２１内部に設けた撹拌翼２２を固定してい
る。また外槽１８は、本体２４の四隅からサスペンショ
ン２３ａ〜２３ｄ（以下単にサスペンションと称する）
を介して防振支持されている。

【００１４】このサスペンションは、図３に示すような
構成となっている。２５は本体２４から外槽１８に設け
た支持片１８ａを介して設けた吊り棒である。吊り棒２
５の低部、支持片１８ａの下部には筒状のバネ抑え２６
を設けている。２８は前記吊り棒２５の低部に設けたバ
ネ支持板で、２７はこのバネ支持板２８とバネ抑え２６
との間に介装した圧縮バネである。２９ａ・２９ｂはバ
ネ支持板２８の下部の吊り棒２５に所定の間隔で設けた
２つの固定具である。また３０は前記２つの固定具２９
ａ・２９ｂの間に設けた摩擦材である。

【００１５】摩擦材３０は、本実施例では環状の平板に
成型したゴム体と、このゴム体の内部に設けたリング状
のバネ体とで構成している。このゴム体の径・厚さ・表
面上体・バネ体の種類等を適切に選択して組み合わせる
ことによって、摩擦材３０のバネ抑え２６に対する摩擦
力は自由に設定できるものである。つまり摩擦材３０
は、設定された摩擦力より大きい荷重を受けると、固定
具２９ａ・２９ｂ間で吊り棒２５の上下運動を抑えるよ
うに上下に摺動移動するものである。摩擦材３０と固定
具２９ａ間、また摩擦材３０と固定具２９ｂの間にはそ
れぞれ補助バネ３２ａ・３２ｂを設けている。

【００１６】本実施例では、この摩擦材３０のバネ抑え
２６に対する摩擦力ｆは、次式のように設定している。

【００１７】Ｄ₂＊ｋ₁＜ｆ＜Ｄ₁＊ｋ₁ Ｄ₂：定常時のバネ抑え２６と吊り棒２５の相対変位 Ｄ₁：脱水起動時のバネ抑え２６と吊り棒２５の相対変
位 ｋ₁：補助バネ３２ａ・３２ｂのバネ定数 以下本実施例の動作を説明する。洗濯工程を終了して脱
水工程に入ると、従来例でも説明しているように外槽１
８と脱水槽２１は激しく振動する。本実施例ではこの脱
水工程の起動時の振動と、脱水がある程度進んだ脱水定
常時での振動を、特に縦方向の振動をサスペンションで
吸収するようにしているものである。

【００１８】脱水行程に入って脱水槽２１が回転を始め
て共振点を通過するまでは、洗濯槽１６の振れ周り運動
によって、外槽１８も大きく振動する。従って、この外
槽１８の振動を受けているサスペンションを構成してい
るバネ抑え２６と吊り棒２５の相対変位量Ｄ₁も大きく
なる。このとき本実施例の摩擦材３０は、バネ抑え２６
との間の摩擦力ｆを上記の式のような条件に設定してい
るものである。図４はこの設定条件を説明したものであ
る。図４（ａ）は脱水工程の起動時での摩擦材３０の作
用を説明するものであり、図４（ｂ）は同様に脱水定常
時での作用を説明するものである。

【００１９】脱水工程の起動時には、前記したようにバ
ネ抑え２６と吊り棒２５の相対変位量Ｄ₁は大きなもの
となっている。ところが本実施例での摩擦材３０の摩擦
力ｆの設定が、このＤ₁とｘ軸との勾配である補助バネ
３２ａ・３２ｂのバネ定数との積よりも小さいものとな
っている。このため摩擦材３０は、バネ抑え２６との間
の摩擦力ｆよりも大きな荷重を受けることになる。従っ
て摩擦材３０は、この荷重に負けて吊り棒２５の上下運
動に応じて、この上下運動を妨げるようにバネ抑え２６
の内壁を上下に摺動するものである。つまり脱水起動時
には、従来の構成に加えて、この摩擦材３０のバネ抑え
２６の内壁に沿った上下摺動によって生ずる摩擦力と、
補助バネ３２ａ・３２ｂのバネ力とがダンパ力として作
用するものである。従って脱水起動時には大きなダンパ
力を発揮して、外槽１８の振動を抑止するものである。

【００２０】また洗濯物の脱水がある程度進行した脱水
定常時に於いては、洗濯物による荷重が減少しているた
めに、外槽１８の躍動量も小さいものとなっている。従
って、バネ抑え２６と吊り棒２５の相対変位量Ｄ₂も小
さいものとなる。このとき摩擦材３０は、図４（ｂ）に
示しているように、バネ抑え２６との間の摩擦力ｆの設
定が、前記相対変位量Ｄ₂と補助バネ３２ａ・３２ｂの
バネ定数ｋ₁との積よりも大きなものとなっている。つ
まり摩擦材３０は、この荷重に打ち勝ってバネ抑え２６
の所定の位置を移動することはないものである。従って
脱水定常時の小さい荷重に対しては、サスペンションの
ダンパ力は小さいものとなって、このときの外槽１８の
振動を吸収するものである。

【００２１】つまり本実施例によれば、脱水起動時には
大きなダンパ力で、脱水定常時には小さいダンパ力で外
槽１８を支持することが出来、どちらの場合でも本体の
振動を抑えて、騒音を小さく抑えることができることが
できる。

【００２２】次に本発明の第二の手段の実施例を図５に
基づいて説明する。全体の構成は、図１・図２とほぼ同
様である。以下本実施例のサスペンションの構成につい
て説明する。１８ａは外槽１８に設けた支持片で、吊り
棒２５は本体２４からこの支持片１８ａを貫通してい
る。２６はこの支持片１８の下部に設けた筒状のバネ抑
えで、前記吊り棒２５はこのバネ抑え２６内に挿通して
いる。２８は吊り棒２５の端部に設けたバネ支持板で、
バネ支持板２８とバネ抑え２６との間には圧縮バネ２７
を介装している。２９ａ・２９ｂは支持片１８の上部の
吊り棒２５に所定の間隔を有して設けた２つの固定具で
ある。また３０は前記実施例と同様２つの固定具２９ａ
・２９ｂ間で、吊り棒２５に挿通した平板状の摩擦材で
ある。そしてシリンダ３１内に摩擦３０等が位置する。
また摩擦材３０と固定具２９ａ、摩擦材３０と固定具２
９ｂ間には、補助バネ３２ａ・３２ｂを設けている。

【００２３】以上のように本実施例では、シリンダ３１
を支持片１８ａの上部に設けた構成としているものであ
る。

【００２４】以上の構成で、本実施例は前記実施例と同
様、脱水起動時には大きなダンパ力で、脱水定常時には
小さいダンパ力で外槽１８を支持することが出来、どち
らの場合でも本体の振動を抑えて、騒音を小さく抑える
ことができることができる。加えて本実施例に於いて
は、シリンダ３１を支持片１８ａの上部に設けた構成と
しているため、サスペンションの構成がコンパクトなも
のとなって、外槽の下部のスペースを有効に活用できる
ものとなっている。

【００２５】

【発明の効果】本発明の第一の手段は、脱水槽を兼ねた
洗濯槽の外側に位置して脱水時の水を受ける外槽と、こ
の外槽を本体の四隅から弾性支持するサスペンションと
を備え、前記各サスペンションは、吊り棒と、この吊り
棒の下部に取付けたバネ支持板と、前記吊り棒に挿通さ
れバネ支持板を覆う筒状のバネ抑えと、バネ支持板とバ
ネ抑えとの間に介装した圧縮バネとで構成し、バネ支持
板の下部の吊り棒に、所定の間隔で設けた固定具と、こ
の固定具の間に吊り棒に挿通して設けた摩擦材と、前記
摩擦材と固定具の間に設けた補助バネとで構成した自動
洗濯機の防振装置として、起動時、共振点通過時の振動
を低減し、なおかつ、定常運転時の振動や騒音を低減し
た低コストの装置とすることができるものである。

【００２６】本発明の第二の手段は、脱水槽を兼ねた洗
濯槽の外側に位置して脱水時の水を受ける外槽と、この
外槽を本体の四隅から前記外槽の低部に外槽と一体に設
けた支持片を介して弾性支持するサスペンションとを備
え、前記各サスペンションは、吊り棒と、この吊り棒の
下部に取付けたバネ支持板と、前記吊り棒に挿通され前
記支持片の下方でバネ支持板を覆う筒状のバネ抑えと、
バネ支持板とバネ抑えとの間に介装した圧縮バネと、前
記吊り棒に挿通され支持片の上方に設けた筒状のシリン
ダと、このシリンダ内で吊り棒に所定の間隔で設けた複
数の固定具と、この固定具の間に吊り棒に挿通して設け
た摩擦材と、この摩擦材と固定具の間に設けた補助バネ
とで構成した自動洗濯機の防振装置として、本発明の第
一の手段が有する効果に加えて、構成がコンパクトで、
外槽の下部のスペースを有効に活用できる装置とするこ
とができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一の手段の実施例を示す自動洗濯機
の平面図

【図２】同側断面図

【図３】同サスペンションの拡大断面図

【図４】同防振特性を説明する特性図

【図５】本発明の第二の手段の実施例を示すサスペンシ
ョンの拡大断面図

【図６】従来の自動洗濯機を示す側断面図

【図７】同サスペンションの拡大断面図

【図８】同ダンパ部材の斜視図

【符号の説明】

１８ 外槽 ２１ 洗濯槽 ２３ａ・２３ｂ・２３ｃ・２３ｄ サスペンション ２４ 本体 ２５ 吊り棒 ２６ バネ抑え ２７ 圧縮バネ ２８ バネ支持板 ２９ａ・２９ｂ 固定具 ３０ 摩擦材 ３１ シリンダ ３２ａ・３２ｂ 補助バネ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 脱水槽を兼ねた洗濯槽の外側に位置して
   脱水時の水を受ける外槽と、この外槽を本体の四隅から
   弾性支持するサスペンションとを備え、前記各サスペン
   ションは、吊り棒と、この吊り棒の下部に取付けたバネ
   支持板と、前記吊り棒に挿通されバネ支持板を覆う筒状
   のバネ抑えと、バネ支持板とバネ抑えとの間に介装した
   圧縮バネとで構成し、バネ支持板の下部の吊り棒に、所
   定の間隔で設けた固定具と、この固定具の間に吊り棒に
   挿通して設けた摩擦材と、前記摩擦材と固定具の間に設
   けた補助バネとで構成した自動洗濯機の防振装置。
2. 【請求項２】 脱水槽を兼ねた洗濯槽の外側に位置して
   脱水時の水を受ける外槽と、この外槽を本体の四隅から
   前記外槽の低部に外槽と一体に設けた支持片を介して弾
   性支持するサスペンションとを備え、前記各サスペンシ
   ョンは、吊り棒と、この吊り棒の下部に取付けたバネ支
   持板と、前記吊り棒に挿通され前記支持片の下方でバネ
   支持板を覆う筒状のバネ抑えと、バネ支持板とバネ抑え
   との間に介装した圧縮バネと、前記吊り棒に挿通され支
   持片の上方に設けた筒状のシリンダと、このシリンダ内
   で吊り棒に所定の間隔で設けた複数の固定具と、この固
   定具の間に吊り棒に挿通して設けた摩擦材と、この摩擦
   材と固定具の間に設けた補助バネとで構成した自動洗濯
   機の防振装置。