JPH057448A - 低蛋白パン用穀粉組成物及び低蛋白パンの製造法 - Google Patents

低蛋白パン用穀粉組成物及び低蛋白パンの製造法

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JPH057448A
JPH057448A JP18374891A JP18374891A JPH057448A JP H057448 A JPH057448 A JP H057448A JP 18374891 A JP18374891 A JP 18374891A JP 18374891 A JP18374891 A JP 18374891A JP H057448 A JPH057448 A JP H057448A
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Akito Wada
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は低蛋白パン用穀粉を得ること及び
この穀粉を用い従来のパン用小麦粉を用いたパンと同様
の製パン作業性、品質、外観とすることを目的としたも
のである。 【構成】 パン用小麦粉と澱粉とを配合し、蛋白含有量
を6.5%〜7.5%とした低蛋白パン用穀粉組成物。
澱粉を小麦澱粉又は馬鈴薯澱粉の単独又は混合物とした
低蛋白パン用穀粉組成物。前記低蛋白パン用澱粉組成物
を主原料とし、該穀粉組成物100%(重量)に対し、
7〜10%(重量)の砂糖を使用した低蛋白パンの製造
法。前記低蛋白パン用穀粉を用いて製パンの際、種配合
に砂糖を加えて可及的に水を少なくし、添加食塩を可及
的に少なくし、塩化カリを用い、かつ無塩バターを添加
して製パンした低蛋白パンの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、腎臓病患者用、その
他の低蛋白パンを目的とした低蛋白パン用穀粉組成物お
よび低蛋白パンの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食パン、ロールパンなどの製造に
使用されるパン用小麦粉は、蛋白含量が11.5〜1
2.5%であり、この小麦粉を原料として製造したパン
の蛋白含量は8.0〜9.0%になる(副原料、水など
が加わるために蛋白含量が少なくなる。)。
【0003】又、食パン、ロールパンなどの主食、準主
食として扱われるパンの基本的な配合は表1の通りであ
る。
【0004】
【表1】
【0005】一般に、パン用原料の配合は、使用する小
麦粉の量を100%(重量)とし、他の原料の量を小麦
粉に対する比率で表す。
【0006】中種法による製造法の場合には、表1の配
合のように小麦粉と水の一部にイースト及びイースト・
フードの全量を中種生地として使用し、残りの原料を本
捏の段階で使用する。
【0007】
【発明により解決すべき課題】従来、腎臓病患者の食事
は可能な限り蛋白質とナトリウムの摂取を控えるのが望
ましいとされており、このため腎臓病患者用のパンも低
蛋白、低ナトリウムのものが望まれる。例えば、パンを
通常の摂取量とした場合には、蛋白含有量6.0%以
下、ナトリウム含有量300mg/100g 以下が好ましい。
【0008】然し乍ら、低蛋白小麦粉(薄力小麦粉)を
原料として使用すると、パンのボリュームが低下し、内
層が荒れ、大きな穴が生じる。また、外層が荒れ、表面
に肌切れを生じる。また、生地の機械耐性が低下し、通
常の製パンと同様の大量生産した場合、分割、丸め、成
型の段階でトラブルが生じ、生産不能となるなどの問題
点があり、前記問題点を加水量調整で回避することは困
難であった。
【0009】更に、パンの老化が早くなり、触感が硬
く、食感がぱさつく問題点があった。次に、食塩の添加
量を下げると、生地がだれて、製パン時の作業性が悪化
し、製品の風味(味、香り)が不足する問題点があっ
た。
【0010】
【課題を解決する為の手段】然るにこの発明は、パン用
小麦粉(強力粉)に澱粉を配合することにより、低蛋白
パン用穀粉組成物を得ることに成功した。また、この低
蛋白パン用穀粉組成物を用いて製パンすることにより、
前記従来の問題点を解決したのである。更に、食塩の大
幅削減による生地のだれの問題点については、塩化カリ
を併用することによって解決する。又、食塩の削減と高
蛋白である脱脂粉乳(蛋白含量34%程度)の無使用に
よる味、香りの低下に対しては、殆ど蛋白を含まない無
塩バターの添加によって解決したのである。
【0011】即ちこの発明は、パン用小麦粉と澱粉とを
配合し、含有蛋白量を6.5〜7.5%とした低蛋白パ
ン用穀粉組成物である。
【0012】また他の発明は、澱粉を小麦粉澱粉、馬鈴
薯澱粉の単独又は混合物としたものである。
【0013】次に、この発明はパン用小麦粉と澱粉とを
配合し、その含有蛋白量を6.5〜7.5%とした低蛋
白パン用穀粉組成物を主原料とし、常法の製パン法で使
用される副原料のうち、砂糖の使用量を該穀粉組成物の
7〜10%(重量)とすることを特徴とする低蛋白パン
の製造法である。
【0014】更に他の発明は、パン用小麦粉と澱粉とを
配合し、その含有蛋白量を6.5〜7.5%とした低蛋
白パン用穀粉組成物を主原料とし、中種法でパンを製造
するに際し、常法の製パン法で使用される副原料のう
ち、砂糖の使用量を前記穀粉組成物の7〜10%(重
量)とし、、かつ総砂糖使用量の10〜25%(重量)
を中種生地に配合することを特徴とする低蛋白の製造法
である。また、添加する食塩量の 1/2を限度として、食
塩に代え塩化カリを添加することを特徴としたものであ
る。
【0015】上記塩化カリの量を食塩の量の1/2 を限度
としたのは、1/2 より多くすると、苦味が出てくるので
好ましくないからである。
【0016】この発明のパンは、食パン、ロールパンな
どの主食、準主食として食用に供されるパンである。
尚、この発明の穀粉組成物の蛋白含有量は6.5〜7.
5%であっても、製パン時に、砂糖、その他の副原料、
水を多量に用いるので、結果的に製品の蛋白含有量は6
%以下、すなわち通常の食パンの70%程度の値とな
り、腎臓病患者等の食品として好ましいものとなる。従
って、腎臓病患者用でなくとも、低蛋白パンを必要とす
る場合には、この発明の穀粉組成物を用いて製パンすれ
ば目的を達成できる。
【0017】この発明における添加澱粉量は、要求され
る製品の蛋白量と、作業性の低下及び品質低下を可及的
に少なくする点を考慮して定めるが、通常、澱粉量は穀
粉総量の45%以下が望ましい。
【0018】この発明における低蛋白用穀粉組成物を使
用した製パンと、これと同一蛋白含有量の小麦粉を使用
した製パンとを比較すると、前者が品質、ボリューム共
に優れていることが確認された。特に、機械製パンに際
し、前者はパン用小麦粉を全量使用した場合と相違が殆
んど見られないのに対し、後者は生産ラインへのせるこ
とができなかった。即ち、後者は手動的には出来るが、
自動多量生産は不向きと認められた。
【0019】この発明における澱粉としては小麦澱粉、
馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉など、通常
の食品原料として使用される澱粉が利用できるが、なか
でも小麦澱粉又は小麦澱粉に他の澱粉を一部配合したも
のが望ましい。
【0020】
【作用】パン用小麦粉に澱粉を加えることによって、従
来のパン用小麦粉とほぼ等しいボリューム、外層・内
層、機械耐性を有する低蛋白パン用穀粉組成物及び低蛋
白パンができる。
【0021】また、食塩添加量を少なくすると共に、そ
の 1/2以下の塩化カリを用い、かつ無塩バターを添加す
ることにより、通常量の食塩を用いた場合とほぼ同様の
品質と風味を付与することができる。
【0022】
【実施例1】パン用小麦粉55%に小麦澱粉45%を加
えて均一に混合した所、蛋白含有量6.7%の低蛋白パ
ン用穀粉組成物ができた。
【0023】
【実施例2】パン用小麦粉60%(重量)に小麦澱粉3
0%(重量)と馬鈴薯澱粉10%(重量)を加えて均一
に混合した所、蛋白含有量7.4%の低蛋白パン用穀粉
組成物ができた。
【0024】
【実施例3】この発明の実施例をプルマンの製造法につ
いて説明する。
【0025】表2は、中種配合であり、表2は本捏配合
である。穀粉(蛋白含有量7.3%)は、小麦粉(蛋白
含有量12.2%)60%、小麦澱粉40%であって、
全量を100部とし、中種配合に70部を用いる。
【0026】
【表2】
【0027】表2において、砂糖は全量の15〜20%
(重量)を中種に入れる(普通の製パン時には入れな
い)。水は通常45重量%であるが、この発明では水の
添加量を抑えて品質低下を最少限に止めた。
【0028】
【表3】
【0029】表3の材料をミキサーに投入し、低速2
分、中速2分混練した。このときのこね上げ温度は24
℃であった。得られた中種生地を27℃、湿度75%で
3時間発酵させた。さらに、前記中種生地と表3(ショ
ートニングと無塩バターを除く)の材料をミキサーに投
入し、低速2分、中速2分混練し、ショートニング、無
塩バターを加えて更に低速1分、中速3分混練した。
【0030】次にこの生地をフロアタイム15分とり、
240gに分割し、ついで丸めを行い、25分のベンチ
タイムの後、成型、型詰めし、38℃、湿度85%でお
よそ50分のホイロをとり、200℃、30分の焼成を
行い、低蛋白パン(プルマン)を得た。
【0031】前記プルマンと、蛋白含有量7.3%の薄
力小麦粉を使用して製造したプルマン(比較例)との諸
性質を比較した所、表4の結果を得た。
【0032】
【表4】
【0033】前記実施例と比較例を分析した所、表5の
結果を得た。
【0034】
【表5】
【0035】
【発明の効果】この発明によれば、パン用小麦粉に代え
てパン用小麦粉と澱粉の配合物を用い、蛋白含有量を
6.5〜7.5%の穀粉を用いたので、製パン時の蛋白
含有量を6.0%以下に抑えることができる。
【0036】また、製パンに際し、中種配合に砂糖を加
え、水分量を可及的に少なくしたので、蛋白含有量低下
による各種問題点を解決し、パン用小麦粉のみを用いて
製造したパンと、外観、品質共に劣らない製パンが期待
できる効果がある。
【0037】また、食塩を可及的に少なくする為に、そ
の量を減少させると共に、添加食塩量の 1/2以下の塩化
カリを添加して、総食塩量を更に減少させることができ
る効果がある。また、無塩バターを用いることにより風
味の低下を未然に防止し得る効果もある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年8月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】
【表3】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パン用小麦粉と澱粉とを配合し、含有蛋
    白量を6.5〜7.5%とした低蛋白パン用穀粉組成
    物。
  2. 【請求項2】 澱粉を小麦粉澱粉、馬鈴薯澱粉の単独又
    は混合物とした請求項1記載の低蛋白パン用穀粉組成
    物。
  3. 【請求項3】 パン用小麦粉と澱粉とを配合し、その含
    有蛋白量を6.5〜7.5%とした低蛋白パン用穀粉組
    成物を主原料とし、該穀粉組成物100%(重量)に対
    し、7〜10%(重量)の砂糖を使用して製パンするこ
    とを特徴とする低蛋白パンの製造法。
  4. 【請求項4】 パン用小麦粉と澱粉とを配合し、その含
    有蛋白量を6.5〜7.5%とした低蛋白パン用穀粉組
    成物を主原料とし、中種法でパンを製造するに際し、該
    穀粉組成物100%(重量)に対し7〜10%(重量)
    の砂糖を使用し、かつ総砂糖使用量の10〜25%(重
    量)を中種生地に配合して製パンすることを特徴とする
    低蛋白パンの製造法。
  5. 【請求項5】 添加する食塩の量を0.7〜1.3%
    (重量)とし、脱脂粉乳に代えて無塩バターを添加する
    ことを特徴とする請求項3または4記載の低蛋白パンの
    製造法。
  6. 【請求項6】 添加する食塩量の1/2 を限度として食塩
    に代えて塩化カリを添加することを特徴とする請求項5
    記載の低蛋白パンの製造法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009107866A1 (ja) 2008-02-28 2009-09-03 味の素株式会社 低タンパク質食品及びその製造法
JP2014060945A (ja) * 2012-09-20 2014-04-10 Kowa:Kk 低蛋白・高カロリーパン用穀粉組成物及び低蛋白・高カロリーパンの製造法
JP2017012062A (ja) * 2015-06-30 2017-01-19 株式会社おやつカンパニー スナック菓子の製造方法、スナック菓子

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