JPH0570628A - ポリブタジエンゴム及びそれを用いた耐衝撃性ポリスチレン系樹脂 - Google Patents

ポリブタジエンゴム及びそれを用いた耐衝撃性ポリスチレン系樹脂

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JPH0570628A
JPH0570628A JP30859091A JP30859091A JPH0570628A JP H0570628 A JPH0570628 A JP H0570628A JP 30859091 A JP30859091 A JP 30859091A JP 30859091 A JP30859091 A JP 30859091A JP H0570628 A JPH0570628 A JP H0570628A
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憲重 川口
Yoshio Asakura
好男 朝倉
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 耐衝撃性ポリスチレンに用いるためのポリブ
タジエンゴム、及びこのポリブタジエンゴムを粒子とし
て含む耐衝撃性ポリスチレン樹脂の提供。 【構成】固有粘度3.0〜7.0で且つシス−1,4
構造の含有率が80%未満のポリブタジエンからなる高
分子量ポリブタジエン80〜30重量% 固有粘度0.5〜2.0で且つシス−1,4構造の含
有率が80%以上のポリブタジエンからなる低分子量ポ
リブタジエン20〜70重量% からなるポリブタジエンゴム、及び、このポリブタジエ
ンゴムを2〜25重量%含む耐衝撃性ポリスチレン樹
脂。 【効果】耐衝撃性や光沢に優れるだけでなく、剛性や着
色性にも優れた耐衝撃性ポリスチレン樹脂が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に耐衝撃性ポリスチ
レン系樹脂のゴム成分として好適に用いうるポリブタジ
エンゴム、及びこのポリブタジエンゴムをゴム成分に用
いた耐衝撃性ポリスチレン系樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は、ゴム状
重合体の存在下にスチレン系モノマーを重合させて得ら
れるものであるが、物性バランスが比較的良好なだけで
なく、優れた成形加工性を有しているので、弱電機器や
事務機器、包装容器、或いは雑貨等の分野で広く使用さ
れている。
【0003】しかし、ABS樹脂と比べると、耐衝撃性
に劣るだけでなく、成形品表面の光沢が少なく、剛性も
低かった。
【0004】近年、弱電機器や事務機器業界等における
コストダウンの要求及び薄肉化指向の高まりに伴い、耐
衝撃性ポリスチレン系樹脂においても、ABS樹脂に匹
敵する耐衝撃性や表面光沢を有することが強く要求され
るようになってきた。
【0005】従来から、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の
耐衝撃性や表面光沢を改良するため、いくつかの技術的
手段が試みられてきた。その一つの手段として特定の高
分子量の高シスポリブタジエンと低分子量の高シスポリ
ブタジエンからなるポリブタジエンゴムをゴム成分に用
いることが試みられた(特開昭62−178458号公
報)。
【0006】
【解決すべき課題】このポリブタジエンゴムをゴム成分
に用いた耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は、耐衝撃性・表
面光沢ともそれまでのものよりも改良されていた。しか
し、近年の、より高度の耐衝撃性や剛性等の機械的特
性、及び表面光沢や着色性に対する要求に答えるには、
この耐衝撃性ポリスチレン系樹脂でも不十分であった。
【0007】本発明は、特定の構造を有する高分子量ポ
リブタジエンと特定の構造を有する低分子量ポリブタジ
エンとからなるポリブタジエンゴムであって、耐衝撃性
ポリスチレン樹脂のゴム成分に用いることにより、ポリ
スチレン樹脂の耐衝撃性、剛性、表面光沢、及び着色性
を大幅に改善できるポリブタジエンゴムを提供すること
を目的とする。
【0008】
【発明の構成】本発明のポリブタジエンゴムは、低シス
の高分子量ポリブタジエン80〜30重量%、及び高シ
スの低分子量ポリブタジエン20〜70重量%からなる
ポリブタジエンゴムである。
【0009】高分子量ポリブタジエンゴムの割合が80
重量%を越えると、表面光沢の不十分な耐衝撃性ポリス
チレン系樹脂しか得られない。又、ポリブタジエンゴム
をスチレン系モノマーに溶解した重合溶液の粘度が高く
なり過ぎ、プロセスの面でも問題が多い。
【0010】一方、高分子量ポリブタジエンの割合が3
0重量%より少ない場合は、得られる耐衝撃性ポリスチ
レン系樹脂の衝撃強度が、固有粘度〔η〕が2前後のポ
リブタジエンをゴム成分とした従来の耐衝撃性ポリスチ
レンよりも、寧ろ劣るという問題がある。
【0011】本発明において、高分子量ポリブタジエン
は、固有粘度〔η〕が3.0〜7.0であり、シス−
1,4構造含有率が80%未満であることが必要であ
る。好ましくは、固有粘度〔η〕3.5〜6.0、シス
−1,4構造含有率は25〜70%、トランス−1,4
構造含有率は40〜70%、1,2−構造含有率は7〜
50重量%である。高分子量ポリブタジエンの固有粘度
〔η〕が3.0より小さいと、本発明の目的を達成する
ことができない。又固有粘度〔η〕が7.0より大きい
ポリブタジエンは工業的生産が困難である。又、シス−
1,4構造の割合が80%以上の場合も、得られる耐衝
撃性ポリスチレン系樹脂の剛性、着色性が充分改良され
ない。
【0012】低分子量ポリブタジエンは、固有粘度
〔η〕が0.5〜2.0であり、シス−1,4構造含有
率が80%以上のポリブタジエンを主成分とするもので
ある。好ましくは固有粘度〔η〕0.7〜1.8、シス
−1,4構造含有率は80〜99%、トランス−1,4
構造含有率は0.5〜20%、1,2−構造含有率は
0.5〜20%の範囲である。低分子量ポリブタジエン
の固有粘度〔η〕が0.5より小さいと本発明の目的を
達成することができない。又、2.0より大きいと、こ
のポリブタジエンゴムをスチレン系モノマーに溶解した
重合溶液の粘度が高くなり過ぎ、プロセス面で問題が多
い。又、シス−1,4構造含有率が80%より小さい
と、得られる耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は耐衝撃性が
充分改良されない。
【0013】本発明のポリブタジエンゴムは、上記の高
分子量ポリブタジエンと低分子量ポリブタジエンとを各
々別々に重合後、ブレンドして製造することができる。
又、二段重合法で製造することも可能である。
【0014】低分子量ポリブタジエンは、例えば、コバ
ルト、ニッケル、チタン、ネオジウム等の遷移金属化合
物と有機アルミニウム化合物とからなるチーグラー・ナ
ッタ系触媒を用いて製造できる。又、高分子量ポリブタ
ジエンは、例えば、上記チーグラ・ナッタ系触媒に二硫
化炭素等の1,2重合成分を添加した触媒や有機リチウ
ム触媒を用いて製造できる。又、上記の重合反応で得ら
れたポリブタジエンをカップリング剤を用いてカップリ
ング反応させてもよい。カップリング剤としては、四塩
化珪素、モノメチル三塩化珪素、四塩化錫、或いはアジ
ピン酸ジエチルやマレイン酸ジメチル等のジカルボン酸
ジエステル等の多官能性結合剤が好ましく用いられる。
【0015】本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は、
上記のポリブタジエンゴム2〜25重量%に対し、ポリ
スチレン系樹脂98〜75重量%からなる組成物であ
る。ポリブタジエンゴムの割合が2重量%よりも少ない
と、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の耐衝撃性は殆ど改良
されない。一方、ポリブタジエンゴムの割合が25重量
%より多いと、得られる耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の
剛性や機械的強度が低下する。又、重合溶液の粘度が高
くなり過ぎ、撹拌、重合が困難になるという問題があ
る。
【0016】本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂にお
いて、スチレン系モノマーとしては、スチレンの他、α
−メチルスチレン、クロロスチレン、ジビニルベンゼン
等も用い得る。更に、スチレン系モノマーと共重合可能
なビニール系モノマーも併用することができる。但し、
その量はスチレン系モノマーに対し50重量%以下であ
ることが好ましい。
【0017】ゴム成分としては、本発明のポリブタジエ
ンゴムの他、通常の高シス−ポリブタジエンや低シス−
ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合体、エチ
レン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ジ
エン三元共重合体、エチレン・酢酸ビニール共重合体、
アクリルゴム等、他の種類のゴムを、併用してもよい。
但し、これらのゴムの量は、本発明のポリブタジエンゴ
ムに対して50重量%以下であることが好ましい。
【0018】この耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は、塊状
重合法、塊状−懸濁重合法等の公知の方法で製造するこ
とができる。更に、必要に応じて安定剤、着色剤、可塑
剤、紫外線吸収剤等各種の添加剤を配合することができ
る。
【0019】本発明については、以下の実施例で、より
詳しく説明する。
【実施例】
【0020】
【高分子量及び低分子量ポリブタジエンの製造】
(1)低分子量ポリブタジエンNo.1〜5、及び高分
子量ポリブタジエンNo.6 ベンゼン1500mlに、1,3−ブタジエン380g
を加え、次いで水1.8mmol、ジエチルアルミニウ
ムクロライド3.1mmol、及び表1に示す量のシク
ロオクタジエン及びオクテン酸コバルトを加えた後、表
1に示す温度・時間に従って撹拌し、1,3−ブタジエ
ンの重合反応を行わせた。重合反応後、重合溶液に少量
の2,6−ジ−tert−ブチルパラクレゾールを含む
メタノール5mlを注入し、重合を停止させた。ついで
重合溶液を水洗し、簡易型コアギュレーターを用いてポ
リブタジエンゴムをクラムとして回収し、60℃で乾燥
してポリブタジエンゴムを得た。得られたポリブタジエ
ンゴムについては、化学構造及び及び固有粘度を第1表
に示す。 (2)低分子量ポリブタジエンNo.7及び8及び高分
子量ポリブタジエンNo.9及び10 触媒にn−ブチ
ルリチウムを用いて重合した。これらのポリブタジエン
についても、化学構造及び固有粘度を第1表に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【実施例1〜4、及び比較例1〜6】上記製造例で得た
高分子量ポリブタジエン及び低分子量ポリブタジエン中
から、表2に示す如く各々1種づつ選び、溶液ブレンド
にて混合してポリブタジエンゴムとした。そして、これ
らのポリブタジエンゴムを使用して耐衝撃性ポリスチレ
ン系樹脂を製造した。又、高分子量ポリブタジエン或い
は低分子量ポリブタジエンのどちらか一方を用いた耐衝
撃性ポリスチレン系樹脂を製造した。耐衝撃性ポリスチ
レン系樹脂は次の様にして製造した。11セパラブルフ
ラスコを窒素ガスで置換し、上に示すポリブタジエンゴ
ム42gをスチレン558gに溶解し、ついでn−ドデ
シルメチルメルカプタン0.06g、及び過酸化物とし
て1,1−ビス(t−Buパーオキシ)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン0.12gを加え、125℃
でスチレン重合率が30%になるまで、撹拌、重合し
た。ついで、1.51オートクレーブに0.5重量%の
ポリビニルアルコール水溶液700mlを入れた中に、
この重合溶液を移し、ベンゾイルパーオキサイド1.0
2g及びジクミルパーオキサイド1.02gを加え、1
00℃で2時間、次いで125℃で3時間、更に140
℃で2時間、懸濁重合した。重合後、ビーズ状のポリマ
ーを濾集し、水洗、乾燥し、押出機でペレットとし、耐
衝撃性ポリスチレン系樹脂550gを得た。得られた耐
衝撃性ポリスチレン系樹脂を各々射出成形して試験片を
作成し、アイゾット衝撃強度、光沢、曲げ弾性率、着色
性、及びゴム粒子径を測定した。測定条件及び方法は以
下に示す通りである。 アイゾッド衝撃強度・・・ASTM D256に従い測
定した。 曲げ弾性率・・・・・・・ASTM D638に従い測
定した。 ゴム粒子径・・・・・・・コールカウンターTA2型を
使用し測定した。 着 色 性・・・・・・・得られた樹脂100重量部に
対し顔料(青色)を0.5部添加し、ダンベル状試験片
を作成した。得られた試験片の内、顔料自体の色に最も
近いものをA、青色が薄く灰青色を呈したものをCと
し、中間のものをBとした。 光 沢・・・・・・・JIS Z8741(60
°)に従い測定した。 測定結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】表3からも判るように、本発明の耐衝撃
性ポリスチレン系樹脂は、耐衝撃性及び光沢に優れてい
るだけでなく、剛性等の機械的性質や着色性にも優れて
いる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)固有粘度〔η〕が3.0〜7.0
    で、且つ、 (b)シス−1,4構造含有率が80%未満の、 ポリブタジエンを主成分とする高分子量ポリブタジエン
    ・・・・・・・・80〜30重量% (a)固有粘度〔η〕が0.5〜2.0で、且つ、 (b)シス−1,4構造含有率が80%以上の、 ポリブタジエンを主成分とする低分子量ポリブタジエン
    ・・・・・・・・20〜70重量% からなるポリブタジエンゴム。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のポリブタジエン2〜25
    重量%と、ポリスチレン系樹脂98〜75重量%からな
    る耐衝撃性ポリスチレン系樹脂。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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