JPH0569115A

JPH0569115A - 取鍋内スラグの攪拌装置

Info

Publication number: JPH0569115A
Application number: JP23360191A
Authority: JP
Inventors: Seigo Kuwano; 清吾桑野
Original assignee: NKK Corp; Nippon Kokan Ltd
Current assignee: JFE Engineering Corp
Priority date: 1991-09-13
Filing date: 1991-09-13
Publication date: 1993-03-23

Abstract

(57)【要約】【目的】溶鋼とスラグを混合させることなく、溶鋼上
のスラグとこのスラグに添加した人工造滓剤だけを攪拌
する。【構成】取鍋内のスラグ中に浸漬させると共にガスを
噴出させる多数のガスノズルが連結されたガスヘッダー
を備えており、このガスヘッダーを取鍋内で回転させ、
スラグ層だけを効率よく攪拌する構造になっている。【効果】スラグと添加した人工造滓剤だけを効率よく
攪拌することができるので、その後の溶鋼とスラグとの
反応が少なく、清浄度の高い製品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、取鍋内のスラグを攪拌
する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】転炉から出鋼された溶鋼は、２次精錬処
理を行う場合を除き、そのまま連続鋳造装置へ送られ
る。しかし、溶鋼中には、出鋼時に流入した転炉スラグ
が若干量残存しており、この転炉スラグはＦｅＯ、Ｆｅ
₂Ｏ₃、ＭｎＯ等を含んでいるので、酸化力を有してい
る。このような酸化力があるスラグが存在していると、
溶鋼とスラグの反応が起こって溶鋼が再酸化されると共
に、アルミナ等の介在物が生成する。そして、この介在
物は鋳造時において鋳片に表面疵を発生させたりし鋳片
品質を低下させる原因となる。

【０００３】このような問題に対処して、出鋼後、取鍋
内の転炉スラグ上に人工造滓剤を上置きし、転炉スラグ
の反応性を低下させるスラグの改質手段が行われてい
る。添加する人工造滓剤としては、石灰やアルミナ等の
混合品、或いは熱分解によって発泡する炭酸カルシウム
などが用いられている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】溶鋼とスラグとの反応
をできるだけ少なくするために、本来、両者の混合が起
こらないように留意しなければならない。このような考
慮から、従来技術においては、人工造滓剤を転炉スラグ
上に上置きするだけであったり、人工造滓剤に炭酸カル
シウムを使用してその熱分解によって発生する炭酸ガス
でスラグを攪拌するようにしている。

【０００５】しかし、上記従来技術では攪拌が十分に行
われないため、転炉スラグと人工造滓剤との反応は部分
的にしか起こらず、スラグの改質は極めて不十分であっ
た。

【０００６】本発明は、溶鋼とスラグを混合させること
なく、溶鋼上のスラグだけを効率よく攪拌することがで
きる取鍋内スラグの攪拌装置を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、昇降機に垂直に取り付けられた中空の
回転軸と、この回転軸の下端部に水平に連結されたガス
ヘッダーと、このガスヘッダーの下面に連結されスラグ
中に浸漬される多数のガスノズルからなっている。そし
て、回転軸の上部にはガス供給管が接続され、このガス
供給管から供給されたガスがガスヘッダーを経由してガ
スノズルからスラグ中へ噴出するガス流路が形成されて
いる。

【０００８】

【作用】本発明においては、ガスノズルをスラグ中に浸
漬しながら（溶鋼中までは浸漬しない）回転軸を回すの
で、転炉スラグと添加した人工造滓剤だけが攪拌されて
混合される。その上、この攪拌の際には、ガスノズルか
らガスを噴出させているので、上記両者は一層よく混合
される。

【０００９】

【実施例】図１は本発明の一実施例を示す概略の構成図
である。１は昇降機、２は昇降機１に垂直に取り付けら
れた回転軸、３は回転軸２の下端部に水平に連結された
複数のガスヘッダー、４はガスヘッダー３の下面に連結
された多数のガスノズルであり、２０は取鍋、２１は溶
鋼、２２はスラグを示す。

【００１０】昇降機１は油圧手段等によって昇降させ、
所定の位置で停止させることができる。この昇降機１の
上部には水平方向にア−ム５が備えられ、その先端部に
回転軸２が垂直に取り付けられている。回転軸２は、モ
−タ６、軸７に連結されたウォームギア８によって回転
する。回転軸２は中空で、その上部にはガス供給管９が
接続されている。１０はシ−ル器である。回転軸２の下
端部には複数のガスヘッダー３が水平に連結されてお
り、供給されたガスが平面方向に分配されるようになっ
ている。このガスヘッダー３の下面には、多数のガスノ
ズル４が連結され、このガスノズル４がスラグ中に浸漬
される。このガスノズル４は、溶鋼２１中まで浸漬され
ないように、図示されないスラグセンサーによって、そ
の配置高さが制御される。なお、本発明の装置におい
て、ガスノズル４は溶鋼２１中まで浸漬されることはな
いので、その構成材料は鋼製でよい。

【００１１】図２は図１におけるガスヘッダーの形状を
示す図である。この例においては、回転軸２の下端部に
３本のガスヘッダー３が放射状に連結されている。そし
て、ガスヘッダー３の下面に取り付けられたガスノズル
４の先端には、ガス噴出孔が設けられている。このた
め、回転軸２から導入されたガスは広範囲に分散されて
噴出するようになっている。

【００１２】図３は図２におけるIII−III矢視図であ
る。ガスヘッダー３の下面に連結されたガスノズル４の
配置は、回転軸に近い中心部よりも周辺部に向かうに従
って（図中、矢印の方向）、その間隔が狭められてい
る。

【００１３】図４はガスノズルをスラグ中に浸漬してス
ラグを攪拌している状態を示す部分図である。スラグ２
２の攪拌に際しては、ガスノズル４から噴出させるガス
の流速や流量が適度に調整され、その噴出状態が、図
中、矢印で示すようになるように、溶鋼２１中にガスが
吹き込まれないようにする。このため、吹き込みガスは
アルゴン等のような特定のガスである必要はなく、空気
でもよい。

【００１４】図５はガスヘッダーへのガスノズルの取付
け状態の一例を示す部分断面図である。ガスヘッダー３
の下面には短管１１が取り付けられ、この短管１１にガ
スノズル４がネシ接続されている。ガスノズル４はスラ
グ２２中に浸漬されるので損傷されるが、ガスヘッダー
３との接続がネジ接続であれば、ガスノズル４だけの取
替えが容易にできる。なお、ガスノズル４の先端にはガ
ス噴出孔１２ａが設けられている。ガス噴出孔１２ａの
径は、装置の規模によってもことなるが、通常０．５〜
２ｍｍ程度であるのがよい。

【００１５】図６はガスノズルに関する他の実施例を示
す断面図である。（ａ）図のガスノズルの形状は図５の
場合と同じであるが、先端のガス噴出孔１２ａの外に、
側壁にもガス噴出孔１２ｂが複数設けられている。この
ガスノズルは横方向へもガスを噴出させてスラグの攪拌
力を上げられるので、スラグ厚さが厚い場合に使用する
のがよい。（ｂ）図のガスノズルは先端にガス噴出孔が
なく、側壁だけにガス噴出孔１２ｂが複数設けられてい
る。このガスノズルはスラグ厚さが薄い場合に使用する
のがよい。

【００１６】次に、図１と同様の構成による装置を使用
し、スラグの改質を行った結果について説明する。

【００１７】未脱酸出鋼した溶鋼を取鍋に受け、この取
鍋内の溶鋼上のスラグに、ＣａＯ２０〜５０％、Ａｌ１
０〜４０％、Ａｌ₂Ｏ₃３０％以下の割合で混合された
人工造滓剤を投入した後、ガス供給管９から少量の空気
を供給しつつ、攪拌装置を操作してガスノズル４をスラ
グ２２中に浸漬した。そして、ガス噴出孔から噴出する
空気の流速が０．５〜１ｍ／秒程度になるように、空気
の流量を調節し、回転軸を回転させた。この回転による
攪拌は３〜５分間行った。その後、取鍋２０内の各部か
らスラグのサンプルを採取して分析し、スラグ２２と人
工造滓剤の混合割合を調べた。又、スラグ中のＴ・Ｆｅ
及び溶鋼中のフリー酸素［Ｏ］の分析も行った。

【００１８】なお、比較のために従来技術によるスラグ
改質も実施した。この従来例においては、上記実施例で
使用したものと同じ人工造滓剤をスラグ２２上に上置き
しただけで、上記と同じ項目の測定をした。これらの結
果を表１に示す。

【００１９】

【表１】

【００２０】表１を説明すると、スラグと人工造滓剤の
混合割合についてみると、従来例では部分的にしか混合
されなかったが（混合割合３０〜５０％の低値）、実施
例では殆ど大部分が混合された状態（混合割合９５〜１
００％）になった。そして、人工造滓剤添加後のスラグ
及び溶鋼の組成について、実施例の値を従来例の値に対
する低減度合で比較してみると、スラグ中のＴ・Ｆｅが
１／１０〜１／５に減少したが、溶鋼中の［Ｏ］は１／
２の減少に留まった。

【００２１】このように、本実施例の装置を使用してス
ラグの攪拌を行えば、溶鋼中のフリー［Ｏ］の低下が少
ないので、極低炭素鋼を製造する場合、その後のＲＨ等
の真空脱ガス精錬における脱炭が効果的に行われる。
又、スラグ自身の改質が行われているため、その後の溶
鋼とスラグとの反応が少なく、清浄度の高い製品が得ら
れる。

【００２２】

【発明の効果】本発明は、取鍋内のスラグ中に浸漬させ
ると共にガスを噴出させる多数のガスノズルが連結され
たガスヘッダーを備えており、このガスヘッダーを取鍋
内で回転させる構造になっている。

【００２３】本発明の装置を使用すれば、溶鋼とスラグ
を混合させることなく、流入した転炉スラグと添加した
人工造滓剤だけを十分に攪拌することができる。このた
め、その後の溶鋼とスラグとの反応が少なく、清浄度の
高い製品が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す概略の構成図である。

【図２】図１におけるガスヘッダーの形状を示す図であ
る。

【図３】図２におけるIII−III矢視図である。

【図４】ガスノズルをスラグ中に浸漬してスラグを攪拌
している状態を示す部分図である。

【図５】ガスヘッダーへのガスノズルの取付け状態の一
例を示す部分断面図である。

【図６】ガスノズルに関する他の実施例を示す断面図で
ある。

【符号の説明】

１昇降機２回転軸３ガスヘッダー４ガスノズル６モ−タ９ガス供給管１２ａ，１２ｂガス噴出孔２０取鍋２１溶鋼２２スラグ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】昇降機に垂直に取り付けられた中空の回
転軸と、この回転軸の下端部に水平に連結されたガスヘ
ッダーと、このガスヘッダーの下面に連結されスラグ中
に浸漬される多数のガスノズルよりなり、前記回転軸の
上部にはガス供給管が接続され、このガス供給管から供
給されたガスが前記ガスヘッダーを経由して前記ガスノ
ズルからスラグ中へ噴出するガス流路が形成された取鍋
内スラグの攪拌装置。