JPH0568538A - セルロース生産性微生物 - Google Patents

セルロース生産性微生物

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JPH0568538A
JPH0568538A JP3091779A JP9177991A JPH0568538A JP H0568538 A JPH0568538 A JP H0568538A JP 3091779 A JP3091779 A JP 3091779A JP 9177991 A JP9177991 A JP 9177991A JP H0568538 A JPH0568538 A JP H0568538A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】攪拌培養条件下でセルロース生成物を生産する
能力を有し、そして固体培地上でのセルロース非生産性
コロニーの出現により決定する場合、セルロース非生産
性形への変化の頻度が42〜45世代にわたって0.5
%未満であることを特徴とするアセトバクター(Ace
tobacter)属の微生物を提供する。 【効果】本微生物は特定の形状を有するセルロース生成
物を生産する能力を後世代にわたって保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、人工的培養物中にセ
ルロースを生産することができるアセトバクター(Ac
etobacter)の菌株に関する。さらに詳しく
は、この発明のアセトバクターの株は、培養中のセルロ
ース生産の喪失をまねく不安定性を示すことなく攪拌培
養において多量のセルロースを生産する能力を有するこ
とを特徴とする。この発明のアセトバクターの株はさら
に、グルコン酸を生産する実質的に低下した能力により
さらに特徴付けられる。人工培地中でこのようなグルコ
ン酸ネガティブ(glcA)株を用いるセルロース生
産は、これらの株が培地を実質的に酸性化しないために
促進される。このようなグルコン酸ネガティブのアセト
バクター株は高細胞濃度培養において有用である。
【0002】この発明はさらに、新規な性質を有する細
菌性セルロース生成物に関する。特に、この発明は網状
セルロース(reticulated cellulo
se)生成物に関する。この網状の細菌性セルロース生
成物は、静置培養条件低下でセルロース生産性微生物に
より生産される細菌性セルロース生成物の微視的構造と
異る微視的構造により特徴付けられる。
【0003】この発明はさらに、攪拌培養条件下で、一
般には4時間を超える持続される時間にわたってセルロ
ース生産微生物を培養することにより網状セルロース生
成物を製造する方法に関する。攪拌培養条件下での細菌
性セルロースの持続する効率的生産は予想外のことであ
った。
【0004】
【従来の技術】アセトバクターによるセルロースの生産
は少なくとも1930年代以来熱のこもった研究対象で
あった。1947年に、グルコース及び酸素の存在下で
アセトバクターの非増殖細胞がセルロースを合成するこ
とが示された。Hestrin,S.、Aschne
r,M.及びMager,J.、Nature159:
64(1947)。Hestrin等の観察以来、アセ
トバクターは種々の条件下でセルロースの生産を伴って
培養されてきた。
【0005】例えば、約90〜100サイクル/分の往
復振とうにより培養された場合、細胞は大きなゲル塊中
に混入される。培地が渦動を伴って攪拌される条件下で
増殖した場合、セルロースと細胞から成る星状のゲル体
が形成される。静置培養として増殖した場合、空気/培
地界面に薄膜(pellicle)が形成される。この
薄膜は、培養物を収容する容器の液面と同じ表面形状及
び面積を一般に有するパッドとして形成される。Hes
trin及びSchramm,Biochem.Jou
rnal58:345−352(1954)。
【0006】Hestrin及びSchrammは、1
0%未満の生存細胞を含有するアセトバクターの凍結乾
燥調製物による迅速なセルロース生産を観察した。しか
しながらこれらの実験は、3〜4時間という比較的短時
間にわたる前記のような凍結乾燥調製物による振とう条
件下でのセルロース生産のみを測定しており、そしてグ
ルコースの存在下でアセトバクターにより生産されるグ
ルコン酸により惹起される実質的なpH変化を制御する
ためにクエン酸塩緩衝条件下で行われた。
【0007】アセトバクターによるポリサッカライドの
合成は、非増殖培養物を用いて幾つかのグループにより
行われた。これらの研究の幾かにおいては、Hestr
in及びSchramm(1954)により記載されて
いるように、アセトバクターNRRLB42株が培養さ
れ、セルロース薄膜が除去され、0.01M Tris
−EDTA中に再懸濁され、凍結され、そして次に解凍
された。これらの処理された細胞は、細胞の増殖を維持
しないがしかし調製された細胞によるセルロースの合成
を可能にする酵素活性を保存する条件下での生化学的研
究のために使用された。
【0008】しかしながら、セルロース生産のためにア
セトバクターを培養するための条件の決定の進歩は、広
範な報告の対象ではなかった。そして、1982年12
月16日に出願された米国特許出願No.450,32
4の優先権を主張する英国特許出願No.2,131,
701A中に記載されている、アセトバクターの培養の
ために使用される条件は、Hestrin及びSchr
amm(1951)において記載された条件すなわち、
約6の始発pH、15℃〜30℃、そして好ましくは2
0℃〜28℃の範囲の温度である。
【0009】Bergesy Manual of S
ystematic Bacteriology Kr
eig及びHolt編、第1版、william &
Wilkins、バルチモア及びロンドン(1984)
中Deley等、“Acetobacterace
a”,267−272頁、によれば、増殖のための最も
良好な炭素源は、記載の順序に、エタノール、グリセリ
ン及び乳酸である。n−プロパノール、n−ブタノール
及びD−グルコースからは酸が生成される。
【0010】英国特許出願No.2,131,701A
に記載されている炭素源は、スラクトース、マンニトー
ル、ソルビトール及びグルコース(これらのすべては急
速なセルロース生産をもたらす)、並びにグリセリン、
ガラクトース、ラクトース、マルトース及びシュークロ
ース(これらのすべては一層緩慢な増殖をもたらす)を
包含する。ソルボース、マンノース、セロビオース、エ
リスリトール、エタノール及び酢酸を用いる場合、増殖
は観察されなかった。
【0011】英国特許出願No.2,131,701A
においては、培地を除去するために処理した後に創傷手
当用品として使用するための密着ゲル状材料を製造する
ことが所望される。このマット状形態を得るため、数時
間〜数日間又は数週間にわたる細胞増殖、及びセルロー
ス生産の間、培養物は不動状態に保持される。
【0012】不動又は静置培養条件下での密着マット又
は薄膜の形成は英国特許出願No.2,131,701
A中に記載されている培養様式であるが、この特許はさ
らに、セルロース合成アセトバクターを含有する培地の
間欠的攪拌は微生物により生産されるセルロースフィブ
リルの長さを調節することができることを説明してい
る。間欠的攪拌は、微生物によるフィブリルの綿状延長
速度及び細胞表面からフィブリルを攪拌剪断する時間間
隔により決定される有限の長さのフィブリルをもたら
す。しかしながら、セルロース生産に対する連続的攪拌
の効果については検討されていない。
【0013】連続攪拌培養におけるアセトバクターから
のセルロースの生産は多くの問題点を伴い、従来その最
も困難なものは培養の不安定性であった。この不安定性
はセルロース生産能力が喪失すること及び非生産型細胞
によりセルロース生産細胞が次第に駆逐されることによ
り現われる。菌株の不安定性は、セルロース非生産性微
生物の変異株又は変種の自然的出現の結果であろう。
【0014】非生産株のこの出現は、攪拌培養物中での
増殖中に培養物の集団バランスをセルロース生産型から
セルロース非生産型に移行せしめるのに十分な頻度をも
って起こるようである。振とう培養におけるセルロース
生産性の喪失もまた、遺伝的変化に基くセルロース非生
産性型への変異ではなく常に生理的因子の結果であろ
う。Leisinger等、Ueber cellul
osefrie Mutanten Von Acet
obacter xylinum,Arch.Mikr
obiol,54:21−36(1966)。原因は不
明であるが、攪拌培地中での細菌性セルロースの断続的
生産は今まで報告されていない。
【0015】アセトバクターのセルロース・ネガティブ
(Cel)株は、メタンスルホン酸エチル(EM
S)、亜硝酸及びN′−ニトロ−N−ニトロソグアニジ
ン(NG)を用いる化学的変異誘発により作られた。静
置培養において増殖した場合、EMS−変異株及び亜硝
酸−変異株のすべて、並びにNG−変異株の90%がセ
ルロース生産タイプに復帰した。Valla等、Cel
lulose−Negative Mutants o
Acetobacter xyllinumJ.
Gen,Microbiol.,128(7):140
1−1408(1982)。
【0016】静置培養におけるセルロース生産性株と非
生産性株との混合培養物の増殖は、セルロース生産性株
に非常に有利であり、他方、振とうフラスコ中でのこの
ような混合培養物の増殖は非生産性株に有利である。V
alla等(1982)。この結果によれば、この微生
物により生産されたセルロースマット又は薄膜は、アセ
トバクター細胞が酵素の供給の豊富な液体静置培地の表
面に達することを可能にするという仮説が支持される。
酸素の溶解速度及び低い酸素溶解度が増殖を制限する振
とう条件下では、セルロース生産性細胞の選択的集合及
びそれによりもたらされる酸素に関する物質移動の制限
のため、セルロース・ネガティブ株が有利である。
【0017】従って、攪拌された培地中での安定なセル
ロース生産菌であるアセトバクターの株を同定しそして
単離することは、培地への十分な酸素供給のために攪拌
を必要とする程十分に濃厚な培養物中でアセトバクター
からセルロースを大規模生産するために非常に重要であ
ることは容易に明らかであろう。
【0018】アセトバクターは特徴的にグラム陰性の、
0.6〜0.8μm×1.0〜4μmの棒(桿)状細菌
である。この菌は厳格に好気性であり、代謝は呼吸的で
あり、決して発酵的ではない。これはさらに、セルロー
スと化学的に同一である多数のポリβ−1,4−グルカ
ン鎖を生成する能力により区別される。多数セルロース
鎖又はミクロフィブリルは、細胞膜に対して外側の部位
の細菌表面において合成される。これらのミクロフィブ
リルは約1.6nm×5.8nmの断面寸法を有する。
静置又は放置培養条件において、ミクロフィブリルは細
菌表面で一緒になって約3.2nm×133nmの断面
寸法を有するフィブリルを形成する。
【0019】これらの微生物によって生産されたセルロ
ースフィブリルは、木材パルプから製造されたセルロー
スと多くの点で類似しているが、幾つかの点で異なる。
特に、差異はこれらのフィブリルの断片幅である。アセ
トバクターにより生産されたセルロースフィブリルは、
パルプカバ又は松材から典型的に製造されるセルロース
ファイバーより、通常2オーダー狭い。これらのアセト
バクター生産フィブリルの小さい断面サイズは、それに
伴う常用の木材セルロースより大きい表面積及びセルロ
ースの本来的な親水性と相まって、水性溶液を吸収する
異常に大きな能力を有するセルロース生成物を導く。
【0020】高い吸収性のこの能力は、熱傷の治療にお
いて使用される包帯の製造において、又は、長時間の外
科処置の間に暴露された器官の表面の乾燥を防止するた
めの外科用包帯として有用であることが証明されてい
る。このような用途、及びアセトバクターにより生産さ
れたそのままの薄膜の処理により作られる種々の医薬含
浸パッドが英国特許出願No.2,131,701Aに
記載されている。この英国特許出願の薄膜は、不動状態
に維持される培地トレイ中で、増殖するアセトバクター
により生産される。
【0021】アセトバクターは偏性好気性菌であるた
め、すなわちこのものは酸素の非存在下では増殖するこ
とができないため、アセトバクターによるセルロースの
生産は空気−液体培地表面において起こる。各細菌は空
気−液体界面において1本のフィブリルを連続的に生産
する。新しいセルロースが表面で形成されるに従って既
在のセルロースは増殖培地中に押し出される。その結
果、静置培養条件下で生産されたセルロース薄膜はセル
ロースファイバーの層から成る。
【0022】このようにして生産されたセルロースの体
積は、空気と培地との界面によりかなり制限される。攪
拌条件下、上昇した溶存酸素濃度において培養された場
合、既知のアセトバクター株がセルロース非生産株に変
る傾向は、経済的に製造し得るセルロースの量を厳しく
制限する。従って、長期にわたる攪拌発酵における単位
容器容量当りの高いセルロース生産性は今まで報告され
ていない。
【0023】攪拌又は静置による回分培養におけるアセ
トバクターによるセルロースの製造に伴う他の問題は、
グルコースをグルコン酸及びケトグルコン酸に転換する
アセトバクターの能力である。生物によるこのような酸
生産に伴うpHの低下もまた、特に回分培養において、
生産されるセルロースの量を制限する。さらに、グルコ
ン酸の生産は、セルロース生産の犠牲において培地から
グルコースを除去する。
【0024】
【発明の概要】本発明者は新規な性質を有する細菌性セ
ルロース生成物を創製した。特に、本発明者は網状セル
ロース生成物を開発した。この網状細菌性セルロース生
成物は、静置培養条件下でセルロース生産性微生物によ
り生産された細菌性セルロースの微視的構造とは異る微
視的構造を有することを特徴とする。
【0025】既知の静置培養条件下で生産された細菌性
セルロースは、重なりそしてからみ合った別々のセルロ
ースストランド又はフィブリルから成る組織化されてい
ない(disorganized)層構造により特徴付
けられる。この組織化されていない層構造は、微生物ア
セトバクターにより代表されるセルロース生産性微生物
の増殖パターンを反映する。
【0026】静置培養において、アセトバクターは典型
的には液体培地の表面と酸素を含有する空気との界面で
増殖する。細菌が増殖するに従って、セルロースファイ
バーは連続的に形成され、そして蓄積し、培地中に深く
沈む。こうして形成されたセルロース薄膜は空気−培地
界面でアセトバクターの細胞の増殖する集団を支持する
連続層状セルロースファイバーの塊から成る。
【0027】この発明の攪拌培養条件に従って生産され
るセルロースの巨視的及び微視的構造は、既知の静置培
養条件に従って生産されたそれとは異る。巨視的には、
この発明のセルロースは、空気−培地界面における連続
薄膜としてではなくペレットとして培養物中に形成され
る。微視的には、この発明のセルロース生成物は三次元
網状構造によって特徴付けられる。
【0028】この構造は、相互に連結して三次元的に延
びる格子状パターンを形成するセルロースの頻繁に太く
なるストランドにより特徴付けられる。静置培養におい
て生産される細菌性セルロースは、平行であるがしかし
組織化されていない平面中、主としてストランドの長軸
にそって方向付けられたセルロースのオーバーラップす
る近接するストランドにより特徴付けられる。
【0029】これに対して、この発明のセルロース生成
物の網状構造は、オーバーラップしているのではなく相
互に連結されているセルロースのストランドにより特徴
付けられる。これらの相互連結されたストランドはおよ
そ直角な方向付け及びおよそ平行な方向付けの両方を有
する。
【0030】その結果、この発明の網状セルロース生成
物は走査電子顕微鏡写真においてさらに一般的に窓のあ
る形状を有し、他方、静置培養において生産されたセル
ロースは走査電子顕微鏡写真において、相互の上に十字
状に重ねられているがしかしある1つの層中では実質的
に平行しているストランドの形状を有する。
【0031】この発明のセルロース生成物のストランド
は、攪拌を伴わない対応する培地中で生産されたそれよ
りも一般に太い。網状セルロースは、約0.1〜約0.
2ミクロンの幅で配置された相互連結されたフィラメン
トから成っていた。非攪拌条件下で生産されたセルロー
スのフィラメント又はストランドは約0.05〜0.2
ミクロンの幅で配置されており、多くのストランドが
0.05〜約0.10ミクロンの幅で配置されていた。
【0032】さらに、非網状セルロース生成物のフィブ
リルは、網状生成物のフィブリルに比べて、一層低頻度
で分岐しそして相互連結されているようである。非網状
セルロース生成物は相互に接触する多くのフィブリルを
有するようであるが、フィブリルは相互連結されている
のではなくむしろ相互に重層されている。これに対し
て、この発明の網状セルロースのフィブリルは相互に連
結して相互連結ファイバーの実質的に連続的なネットワ
ークを形成するファイバーの大きな比率を有する。
【0033】この発明の網状セルロース生成物は、非攪
拌条件下で生産されたセルロースに対して幾つかの利点
を有する。網状セルロース生成物はアセトバクターのご
ときセルロース生産性微生物の攪拌培養において特徴的
に生産されるため、これは常用の大容量発酵法により製
造され得る。従って、従来技術の増殖の緩慢な不動培地
でのセルロース薄膜の製造と異り、この発明の網状セル
ロース生成物は、アセトバクターの急速増殖培養物中
で、高い容積生産性及び網状セルロース生成物の高濃度
を伴って製造され得る。
【0034】この発明の網状セルロース生成物を非攪拌
条件下で生産された細菌性セルロース生成物から区別す
ることができる1つの方法は、紙様シートへの一体化に
対するその特徴である。網状セルロース生成物のバッチ
は、常用手段、例えば、ブリティッシュ・ディスペンサ
ーによる水中への分散、及びこれに続くシート型での形
成及び種々の倍数での圧縮によるハンドシート(han
d sheet)に成形される場合圧縮(densif
ication)に対して広範囲の耐性を与える。
【0035】網状セルロース生成物の幾つかのバッチ
は、上記のような手段によりハンドシートに成形される
場合、圧縮(densification)に対する実
質的な耐性を提供することが見出された。異る湿圧縮負
荷を用いることにより、約300〜約900kg/m
の範囲の密度を有する一連のシートが製造され、圧縮
(densification)に対して実質的な耐性
を示すものは約300〜約500kg/cmであっ
た。
【0036】低い密度にもかかわらず、これらの紙様シ
ートは、インストロン・ユニバーサル試験装置を用いる
Technical Association of
the Pulp and Paper Indust
ry(TAPPI)法に従って測定した場合、非常に高
い引張り強さ(tensile strength)を
有する。典型的には、300〜500kg/mの密度
範囲のシートの引張り指数(tensile inde
x)は100〜150ニュートン−メーター/gの間で
ある。約500kg/m以下の密度を有するクラフト
パルプから形成された対応するシートは引張り強さを実
質的に有しない。
【0037】静置培養条件下で製造されたセルロースか
ら形成されたハンドシートは圧縮(densifica
tion)に対する上記の耐性を示さない。典型的に
は、非攪拌培養のセルロースからのこのようなシート
は、用いられた湿圧縮負荷に依存して約500〜約75
0kg/mの密度を有する。
【0038】この発明はさらに、攪拌培養条件下で長時
間にわたりセルロース生産性微生物を培養することによ
り網状セルロース生成物を製造する方法に関する。攪拌
培養条件下での細菌性セルロースの生産は、アセトバク
ターのセルロース非生産性株を選択する攪拌培養条件の
よく知られている傾向に照らして驚くべきことである。
Valla等(1982)。さらに、これらの条件下で
生産されるセルロースの網状構造は全く予想外のことで
ある。
【0039】この明細書において使用する場合、アセト
バクター(Acetobacter)なる語は、微生物
の属、そして特にセルロースを生産する属の構成員に関
する。この記載に該当する多くの微生物が知られている
が、それらの菌学的分類は議論すべき対象であった。例
えば、アメリカン・タイプ・カルチュアー・コレクショ
ンのカタログの第15版にNo.10245、No.1
0821、及びNo.23769として挙げられている
セルロース生産性微生物は、アセトバクター・アセチ,
サブスペシス・キシリヌム (Acetobacter
acitisubsp.xylinum)、及びアセ
トバクター,パストリアヌス(Acetobacter
pasteurianus)の両者として分類されて
いる。
【0040】従って、後でさらに説明するような攪拌培
養条件下での安定性の特徴を有するアセトバクターのす
べてのセルロース生産性株は、それがアセトバクター・
アセチ・サブスペシス・キシリヌムとして、アセトバク
ター・パストリアヌスとして、又は他の名称で分類され
ていても、この発明の範囲に属すると考えられる。本発
明者は、発酵槽工程条件を含む攪拌培養条件及び非攪拌
培養条件の両者において長時間培養において安定なアセ
トバクターの多くの株を発見しそして開発した。
【0041】菌株の安定性は攪拌条件下において証明さ
れる。すなわち、攪拌条件下液体培地中で増殖したアセ
トバクターのサブカルチュアーを固体培地上に置いた場
合のコロニー形態により決定する場合、この発明の菌株
は42〜45世代の発酵過程の終りにおいて0.5%未
満のオーダーの非常に低い頻度でセルロース非生産性型
に変化するようである。
【0042】この発明のアセトバクターの株を変異処理
し、そして多数の誘導体株を選択した。選択された株の
1つ及びその子孫は、グルコース含有培地で増殖した場
合の非常に低下したグルコン酸生成能力により特徴付け
られる。低下したグルコン酸生成能力を有するこのよう
な株は安定である。発酵槽ブロスからのサンプルのサブ
カルチュアーがグルコース含有培地上で炭酸カルシウム
を透明にするコロニーを形成する能力を有しないことに
より決定した場合、42〜45世代の発酵過程の終点に
おいて、0.5%未満のグルコン酸生産型が検出され
る。これらの株は、セルロース非生産型への変化及びグ
ルコン酸生産型への変化に関して安定である。
【0043】セルロース生産性微生物の増殖及び網状セ
ルロース生成物のための炭素源として、汚染微生物を含
有しない種々の原料を使用することができる。適当な炭
素源には、純粋な形態もしくは部分精製された形態で
の、又はモノサッカライド−もしくはジサッカライド−
含有原料としての、モノサッカライド類及びジサッカラ
イド類、例えばトウモロコシ澱粉及び糖蜜由来のグルコ
ースが含まれる。
【0044】この発明の株によるセルロースの製造は、
静置条件下で可能であるのよりも高い溶存酸素濃度を可
能にする条件下で行われよう。攪拌されながらセルロー
ス生産を維持する菌株の能力は、使用される培地中の溶
存酸素を増加せしめるための種々の手段を許容する。す
なわち、生産されたセルロースのインペラーへの付着は
不利であろうが、培地中に浸漬されたインペラーによる
培地の直接攪拌が好結果をもって使用された。溶存酸素
を増加せしめるために培養物を攪拌する手段は、微生物
発酵分野における当業者によく知られている。培養液中
の酸素は0.01〜0.4気圧酸素の間で異ることがで
きる。
【0045】ブロスを攪拌するためにインペラーを使用
する発酵槽(141)において、ブロスの特性(粘度)
及び生ずるセルロースの特性(粒子のサイズ及び形態、
沈降速度、並びにハンドシートの形成)の両者が高いイ
ンペラー速度(行われた試行において約600rpm以
上)により影響を受けることが見出された。これらの結
果がすべての発酵槽容積及び構成及び/又は攪拌の方法
に妥当するか否かは不明である。
【0046】しかしながら、行われた試験においてはよ
り高いインペラー速度/より長い攪拌時間が、より長い
粒子沈降時間、より高い懸濁液粘度、ハンドシート試験
におけるより少ないセルロース保持、及びより小さい粒
子をもたらした。従って、セルロースの意図される最終
用途に依存して、微生物をこのような攪拌条件下で培養
することを回避するのが好ましい。従って、十分に低い
攪拌速度及び短い攪拌時間で発酵を行うことによりセル
ロース生成物の性質の実質的な低下を回避するのが好ま
しい。
【0047】この発明のセルロース生産性微生物を培養
するための効果的なpH範囲は4〜6であり、そして好
ましくは4.5〜5.5である。pHは、クエン酸塩の
ごとき緩衝剤を培地に加えることにより、あるいは所望
の範囲にpHを維持するのに十分な量の塩基又は酸を培
地に加えることにより、調節することができる。
【0048】
【発明の具体的な記載】以下のこの発明の具体的な記載
において、多くの培地を記載する。これらの培地は特に
ことわらない限り下記の組成を有する。R20−2培地
は次の組成を有する。 R20−2 バクトペプトン 5g/l 酵母エキス 5g/l NaHPO 2.7g/l クエン酸 1.15g/l 炭素源 特に示される通り(特に示されない場合は 2%グルコース) 最終pH 5.0±0.2 R20は上記と同じであるが、最終pHは6.0であ
る。
【0049】R20−3は上記と同じであるがクエン酸
が省略されている。Y−1培地は、最小培地とも称し、
次の組成を有する。 化合物 最終濃度 (mM) (NHSO 25 KHPO 7.3 MgSO 1.0 FeSO 0.013 CaCl 0.10 NaNoO 0.0011 ZnSO 0.006 MnSO 0.006 CuSO 0.0002 pH=5.0 グルコース 特にことわらない限り2w/v%
【0050】Y−1培地を用いるすべての研究のため、
上記最小培地に下記のビタミン混合物を100倍希釈で
加えた。 ビタミン混合物 化合物 mg/L イノシトール 200 ナイアシン 40 ピリドキシンHCl 40 チアミンHCl 40 パントテン酸カルシウム 20 リボフラビン 20 p−アミノ安息香酸 20 葉 酸 0.2 ビオチン 0.2
【0051】コーンスティープリカー培地は次の組成を
有する。 成 分 最終濃度 (mM) (NHSO 25 KHPO 7.3 MgSO 1.0 FeSO 0.013 CaCl 0.10 NaMoO 0.001 ZnSO 0.006 MnSO 0.006 CuSO 0.0002 ビタミン混合物(前記) 10ml/l 炭素源 特に示される通り(特に示されな い場合はグルコース2w/v%又 は4w/v%) コーンスティープリカー 特に示される通り(通常 (遠心後の上清画分) 2v/v%又は5v/v%) 消泡剤 0.01v/v% 最終pH=5.0±0.2
【0052】コーンスティープリカーの組成は供給者及
び処理の態様により異る。コーンプロダクツユニット
(Corn Products Unit)、CPC北
米、ストックトン、カリホルニアから得られる典型的な
コーンスティープリカーサンプルLot E804は下
記の組成を有する。
【0053】 主たる成分 固形分 43.8 粗蛋白質 18.4 脂 肪 0.5 粗繊維 0.1 灰 分 6.9 カルシウム 0.02 リ ン 1.3 無窒素抽出物 17.8 非蛋白性窒素 1.4 NaCl 0.5 カリウム 1.8 還元糖(デキストロースとして) 2.9 澱 粉 1.6 pH 4.5
【0054】Y3−3培地は次の組成を有する。 成 分 濃 度 酵母エキス 10g/l ペプトン 10g/l KHPO 4mM KHPO 6mM グルコース 20g/l pH 6.0
【0055】この発明の1つの観点は、アセトバクター
(Acetobacter)の幾つかのセルロース生
産性株に関する。この発明のアセトバクターの株の安定
性は、セルロースを生産しない表現型への非常に低い転
換頻度により示される。攪拌条件下で増殖したアセトバ
クターのサブカルチュアーを42〜45世代の発酵サイ
クルの終点で固体培地上にプレートした場合のコロニー
形態により決定する場合、セルロースを生産しない表現
型への転換頻度は5×10‐3である。
【0056】セルロース生産株のコロニーは一般にベー
ジュ色又は白色であり、そして小形であり、もり上って
おり又は凸形であり、そしてサイズがコンパクトであ
る。これに対して、セルロース非生産株は固体培地上に
大形の、通常平らなコロニーを形成する。
【0057】この発明の安定なアセトバクターの株はナ
サン・レジョナル・リサーチ・ラボラトリー(Nort
hern Regional ResearchLab
oratory)、ペオリア、イリノイ、米国、から入
手したA.キシリヌム(A.xylinum)No.N
RRL B42の最初の単離株から誘導された。R−2
0−2培地の寒天プレート上でのNRRL株の増殖は2
種類のコロニー形態を示し、一方が白色であり、他方が
べージュ色であった。顕微鏡的には、べージュ色のコロ
ニーはアセトバクターの株に典型的な長い棒(桿)形の
細胞を有する。この株を1306−3と命名する。
【0058】親NRRL B42株と異り、1306−
3株は、Couso,R.O.等、BioSynthe
sisof Polysrccharides in
Aceto bacter xylinum;Sequ
entialSynthesis of a Hept
asaccharide DiphosphetePr
enol;Eur.J.Biochem.123:61
7−627(1982)により報告されたような水溶性
ポリサッカライドを生産しない。1306−3株の培養
物は、種々の炭素源を含有する異る培地上で培養した場
合、微視的形態及び巨視的コロニー形態のいずれにおい
ても安定である。さらに、この発明の株のコロニー及び
細胞形態は、種々の培地で静置培養又は振とう液体培養
された場合に安定なままである。
【0059】1306−3株及びその子孫は、種々の炭
素源及び窒素源を含有する種々の液体培地中でセルロー
スを生産することができる。カゼイン加水分解物、酵母
エキス、マルトエキス、アンモニウム塩、コーンスティ
ープリカー及び他の窒素リッチ物質を、アミノ酸、窒
素、ミネラル及びビタミン類の一般源として使用するこ
とができる。コーンスティープリカーは0.1v/v%
〜10v/v%の範囲において好ましい。
【0060】振とうフラスコ培養においては5v/v%
のコーンスティープリカーが好ましい。発酵槽において
は、初期濃度2v/v%のコーンスティープリカーに、
発酵の過程で追加の2v/v%のコーンスティープリカ
ーが補充される。種々の炭素源を使用することができ、
これにはマンニトール、ソルビトール、シュークロー
ス、フラクトース、及びグルコースが包含される。但
し、後者の炭素源を用いて、D−グルコン酸及びケトグ
ルコン酸、例えば2−ケト−D−グルコン酸又は5−ケ
ト−グルコン酸が1306−3株により生産される。
【0061】有意に少ない量のD−グルコン酸を生産す
るこの発明のアセトバクターの株も本発明者等により開
発された。これを後にさらに記載する。網状セルロース
生成物の生産において有用な炭素源は、モノサッカライ
ドもしくはその混合物、例えばグルコース及びフラクト
ース、ジサッカライド、例えばシュークロース、及びモ
ノサッカライドとジサッカライドとの混合物により特徴
付けられる。さらに、炭素源は糖の複合混合物(com
plex mixture)、例えば糖蜜、又は植物性
バイオマスの加水分解物、木材加水分解物、麦わら加水
分解物、トウモロコシ茎の加水分解物、サトウモロコシ
等として供給することができる。
【0062】モノサッカライド及びジサッカライド又は
これらの混合物の濃度は種々であり得る。グルコースの
み及びスラクトースのみが0.5w/v%〜7w/v%
の範囲、そして好ましくは約4w/v%の濃度で使用さ
れる。さらに、グルコースとシュークロースの混合物
を、その比率を1:10〜10:1とし、培地に対する
合計濃度を0.5w/v%〜7w/v%として使用する
ことができる。フラスコ培養においては1w/v%グル
コース及び2w/v%シュークロースの濃度が好まし
い。
【0063】炭素源が発酵中に間欠的に又は連続的に供
給されるフィード回分発酵においては、添加される合計
炭素基質は4w/v%〜30w/v%の範囲で変化し得
る。炭素源は精製された又は部分精製されたフィードス
トックとして供給することができ、あるいはこれに代え
て、糖蜜のごとき複合混合物として供給することができ
る。これらの炭素源は、それらが汚染生物を含有しない
ように調製される。
【0064】グルコース含有培地でのグルコースのD−
グルコン酸への転換は、回分培養において培地のpHの
有意な低下を導く。約4.0より低いpHを細胞の増殖
を制限するので、pHの調節が好ましい。この発明のグ
ルコン酸生産株の液体培地のpH調節は、クエン酸塩の
ごとき緩衝剤の使用によって行うことができる。しかし
ながら、酸を中和するために添加し得る緩衝剤の量は制
限され、そしてグルコン酸生産株の高密度への増殖は使
用し得る緩衝剤の量により制限される。
【0065】さらに、緩衝剤としてのクエン酸塩又は他
の塩の使用は培地を高価なものとする。アセトバクター
はフラクトースを酸に代謝しないので、炭素源としてフ
ラクトースを使用することによってpH調節を行うこと
もできる。しかしながら、フラストースは高価な基質で
あり、そしてセルロース繊維の製造コストを上昇せしめ
る。
【0066】本発明者は、1306−3株を変異源で処
理することによって、1306−11株及び1306−
21株により例示される安定な変異株を開発した。これ
らの株は有意に低下した量のグルコン酸を生産するが、
親株1306−3に典型的な安定な態様でセルロースを
生産する。変異誘発処理は、約1%の生存率を得るのに
十分な濃度のメタンスルホン酸エチル(EMS)を使用
して行った。1306−11株の場合には、変異処理さ
れた生存細菌の内8,100コロニーをスクリーニング
した。2個の単離株が抵下した量のグルコン酸を生産し
た。
【0067】1306−11株は、R−20−CaCO
培地のプレート上での培養、及び親株1306−3に
類似する形態を有するがしかし培地中の炭酸カルシウム
を透明にしないコロニーについてスクリーニングするこ
とにより選択した。1306−21株は、例5において
後記するようにして選択した。
【0068】細菌培養物は、液体培地中に乱流を生じさ
せるために知られている任意の手段により、攪拌培養条
件下で増殖せしめることができる。このような手段は当
業者によく知られている。小規模の、一般に101未満
の培養容量の場合、培地に渦流動を付与する往復又は振
とう培養機により液体培地を攪拌することができる。
【0069】大規模の、一般に101以上の培養容量の
場合には、培地を種々の手段により、例えばインペラ
ー、浮揚上昇発酵槽例えばエアーリフト発酵槽、発酵ブ
ロスのポンプ駆動循環、又はこれらの組み合わせにより
攪拌することができる。この発明のセルロース生成物の
大規模製造のために種々の反応器設計が適当である。例
えば、Biochemical Engineerin
and Biotechnology Handb
ook,Atkinson及びMavituna編、第
1版、ザ・ネイチュアープレス、ニューヨーク(198
3)の第7章を参照のこと。
【0070】培地が攪拌される限り、長時間にわたり
0.1g/l/時以上であるセルロースの平均容積生産
性においてセルロース生産性微生物を増殖せしめるため
に種々の発酵方法が適切である。適当な発酵法には回分
発酵法、フィード回分発酵法、反復回分発酵法、及び連
続発酵法が適当である。
【0071】回分発酵においては、セルロース生産性微
生物が発酵槽に導入され、そして培地をさらに添加する
ことなく発酵が進行する。発酵の終点において、発酵槽
の内容物が集められ、そしてセルロースが採取される。
フィード回分発酵においては、発酵の終りまで処理のた
めの発酵液を取り出すことなく、発酵中に種々の栄養、
例えば窒素源又は炭素源が培地に添加される。
【0072】栄養は連続的に、又は所定の間隔で、ある
いは培地中の栄養レベルが所望の値より低くなった場合
に添加される。反復回分発酵においては、一定容量の培
養液が処理のために取り出され、そして培養器中の残り
の培養液に一定容量の新鮮な培地が添加され、そして発
酵が回復される。反復回分発酵においては、フィード回
分発酵における場合と同様に、栄養を連続的に、又は所
定の間隔で、あるいは培地中の栄養レベルが所望の値よ
りも低下した時に添加することができる。
【0073】連続発酵においては、一定速度で培養液が
発酵槽から取り出され、そして新鮮な培地で置き換えら
れる。連続発酵においては、容器への培地流及び容器か
らの培養液を調整することによってセルロース生産微生
物の増殖速度をおよそ一定の速度に維持することができ
る。
【0074】回分発酵、フィード回分発酵、反復回分発
酵、及び連続発酵はいずれも、培地に対して接種物が1
v/v%以上である限り、0.1g/l/時以上の平均
容積生産性を達成するために適当である。0.1g/l
/時のセルロースの平均容積生産性を得るために培地に
対して1〜10v/v%の接種物が効果的である。連続
培養においては、培地と同様にセルロース生産細胞及び
セルロースが取り出され、そして新鮮な培地が、0.1
g/l/時の平均容積生産性を維持するのに十分な速度
で添加される。
【0075】セルロース濃度及び容積生産性を決定する
ため、前記の発酵法のいずれかにより生産されたセルロ
ースが発酵液から採取される。一般に、セルロースを分
離するための任意の方法を使用することができるが、遠
心分離が好ましい。セルロース生産微生物、スペント培
地及びセルロースを含有する発酵液の各バッチを遠心す
る。上清液の容積を測定し、そしてこの上清を棄てる。
【0076】微生物及びセルロースを含む固形物を含ん
で成るペレットが残る。このペレットを脱イオン水で2
〜3回洗浄して残留培地を除去する。第1図は、この段
階でのペレットのマクロ構造を示す。残留物をアルカリ
溶液、例えば0.1M NaOH又はKOHにより60
〜65℃にて少なくとも2時間処理する。溶液を混合し
てセルロースの大きな塊を分散せしめることができる。
【0077】アルカリ処理の間、混合物をゆっくり攪拌
し、そして60〜65℃に維持する。アルカリ処理され
た材料を洗浄し、そして次にペレットを洗浄し、そして
脱イオン水中で3〜4回遠心する。第1B図はこの段階
でのマクロ構造を示す。次にセルロースを真空オーブン
中で乾燥し、そして秤量する。回分培養について接種か
ら収得までの発酵時間当り、使用された培地の容積当
り、生産されたセルロースの合計質量(g/l/時)と
して容積生産性が定義される。
【0078】次に、例によりこの発明をさらに具体的に
説明する。但し、これによりこの発明の範囲を限定する
ものではない。
【0079】例1. この例は、非振とう条件下で、主基質としてのフラクト
ースに増殖するA.キシリヌム1306−3によるセル
ロース生産を示す。Moshe Benziman博
士、ヘブレウ大学、イエルサレム、イスラエルから入手
した1499−1株を比較のために同じ条件下で増殖せ
しめた。
【0080】50mlのエルレンマイヤーフラスコ中2
%のフラストースを含有するY3−3培地25mlを収
容する種母フラスコを用意し、そして寒天スラントから
接種した。この培養物を30℃にて3日間静置培養とし
て増殖せしめた。フラスコを手で激しく振って細胞を遊
離せしめ、そしてこの培養物(セルロースペレットを含
まない)0.5mlを、2w/v%のフラクトースを含
有する同じY3−3培地の数個のフラスコ(50mlフ
ラスコ中25ml)に接種した。
【0081】670nmにて0.030Dの細胞懸濁液
を使用しそして各フラスコに0.5mlを導入すること
により、すべての株の同じ接種を行った。フラスコを振
とうしないで30℃にてインキュベートした。フラスコ
をインキュベーションからはずし、そして全内容物をサ
ンプリングのために収得した。各菌株につき各時点で2
連のサンプリングを行った。サンプリングは増殖が明ら
かになった時から開始し、そして通常毎日2個のサンプ
ルを採取した。
【0082】セルロースの生産を測定するため、各サン
プルのフラスコ内容物を100mlビーカーに移した。
次に懸濁液を、大Tekmerプローブを用いて全力の
50%にて1分間ほぐした。懸濁液を5,000rpm
にて10分間遠心分離した。上清を棄て、そしてペレッ
トを15mlの0.1N NaCl液中に懸濁し、そし
て渦動せしめた。懸濁液を時々渦動しながら15分間平
衡化し、そして前記の洗浄段階を反復した。
【0083】第2洗浄からのペレットを15mlの0.
5N KOHに再懸濁し、そして60℃にて穏和な攪拌
を行いながら120分間インキュベートした。懸濁液を
遠心し、そしてKOH上清を棄てた。ペレットを15m
lの脱イオン水に再懸濁し、そして時おり渦動しながら
室温にて15分間平衡化した。サンプルを遠心分離し、
そして前記の洗浄方法を合計4回反応した。最後の遠心
分離段階の後、湿セルロースマットを秤量し、そして真
空中55℃にて一夜乾燥した。
【0084】
【表1】
【0085】2%のフラストースを含有するY3−3培
地上での1306−3株及び1499−1株によるセル
ロース生産。 初期pH=6.0、N.D.=測定せず。
【0086】例2攪拌培養におけるセルロース生産安
定性研究 1306−3株及び1499−1株におけるセルロース
合成の安定性を、液体攪拌培養への菌株の一連の移行の
間に、各移行において均一な種接物を使用して試験し
た。セルロース合成の安定性を評価するために、フラス
コでのセルロース生産の観察及びプレート上でのサンプ
ルからの大形コロニー(L−コロニー)の出現を用い
た。1499−1におけるセルロース生産は、生産され
るセルロースの量の減少及びセルロース非生産株を代表
する大拡散コロニー数の増加により示されるように、好
気攪拌フラスコ中では、不安定であった。1306−3
株におけるセルロース生産は振とうされたフラスコ中で
少なくとも30世代にわたり安定なようであった。
【0087】種母培養物を、親培養物の寒天スラントか
ら、50mlのエルレンマイヤーフラスコ中2%のフラ
クトースを含有するR−20培地25ml中に接種し
た。種母培養物を30℃にて4日間静置培養として増殖
せしめた。フラスコを手で激しく振って細胞を遊離せし
め、そしてこの培養物(セルロースペレットを含まな
い)0.5mlを、2%のフラクトースを含有するR2
0培地の幾つかのフラスコ(50mlフラスコ中25m
l)に接種した。これらのフラスコを振とうしないで3
0℃にてインキュベートした。
【0088】静置フラスコでの数回の移行の後、36時
間ペレットを激しく振り、そして上清を接種物(1v/
v%)として使用し、2%フラクトースを含有するR2
0培地(pH5)を収容するフラスコに接種した。フラ
スコ(125mlのフラスコ中25ml)を、ニュー・
ブルンスウィック・キラトリー振とう機中30℃にて2
00rpmでインキュベートした。24〜48時間後、
培養物を無菌的に一緒にし、新鮮な培地への第2移行の
ため、及びプレート上でのストリーキングのための接種
物として使用した。各菌株を、30世代とおよそ等しい
4回の移行の間試験した。プレート実験に使用した培地
は2%のフラクトース及び1.5%の寒天を含有するR
20培地(pH5.0)であった。
【0089】振とうフラスコで増殖する間、1499−
1株の培養物は見かけ上、細胞の均一な懸濁液及び異る
サイズの不規則な塊から成っていた。塊と細胞懸濁液と
の比率は、第1移行から第3移行にかけて減少した。こ
の観察は、第1移行から第3移行にかけての生産される
セルロースの量の有意な減少、及びセルロース非生産株
を代表するL−コロニー比率の増加と相関した。増殖の
関数としての1499−1株のL−コロニーの頻度を表
2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】非常に対照的に、1306−3株の培養物
は、振とうフラスコ中での増殖の間、見かけ上異るサイ
ズの不規則な塊とそれらの塊の間の透明な培地から成っ
ていた。セルロース−ネガティブ細胞は培養液中に単一
細胞として現われ、そして塊の間の培地中に濁を生じさ
せる。4回の移行の後、培養物の外観及びセルロース生
産量の変化は観察されなかった。この間、プレート上の
コロニーは均一に現われ、大型の非生産性コロニーは観
察されなかった。
【0092】例31306−3株の変異誘発 1306−3株を1%又は2%の化学変異剤メタンスル
ホン酸エチル(EMS)により変異誘発処理し、そして
生存細胞をグルコン酸合成能力の喪失(glcA)に
ついてスクリーニングした。2個のglcA単離株が
得られた。変異誘発は次のようにして行った。
【0093】R20−2培地上の1306−3株の2日
間培養物を変異処理のために使用した。約99%の死滅
をもたらすように条件を選択した。選択された条件は
0.1Mリン酸カルシウム緩衝液(pH6.0)0.2
%EMS、及び28℃にて60分間のインキュベーショ
ンであった。細胞濃度は約5×10細胞/mlであっ
た。この処理の後、培養物を−80℃に凍結し、さらに
使用した。
【0094】例4スクリーニング EMS変異処理からの材料を用いて1306−3グルコ
ン酸ネガティブ変異株のスクリーニングを行った。スク
リーニングは1%のCaCOを含有するR20−2プ
レート上で行った。これらのプレートは、無菌R20−
2中20%の無菌CaCOを最終濃度が1%となるよ
うに加え、よく混合し、そしてプレート当り10mlず
つ分配することにより調製した。プレート培地の最終p
Hは6.0であった。
【0095】プレートを30℃にてインキュベートし、
そして7〜10日後にスコアーした。透明化ゾーンを有
しないコロニーを確認スクリーニングのために拾った。
コロニーを、2mlのR20−2培地を収容する無菌試
験管に懸濁し、そして3日間インキュベートして薄膜の
形成及び培養液のpHの低下をチエックした。スクリー
ニングした8100個のコロニーの内、2%EMS処理
サンプルからの2個の単離株がグルコン酸ネガティブで
あることが見出された。これらの内良好な方を1306
−11株と命名した。
【0096】1306−11株及び1306−3株によ
るグルコン酸生産を液体R20−グルコース培地及びY
1−グルコース培地で決定した。2%のグルコースを含
有するY1の初期pHは4.21であった。R20−2
プレートからの1白金耳の1306−11株又は130
6−3株培養物を2mlの炭素源不含有Y1培地に懸濁
した。これらの懸濁液の細胞数は約1.6×10細胞
/mlであった。3mlの適切な培地を収容する試験管
(16×125mm)に200μlの細胞懸濁液を接種
し、そしてよく渦動混合した。試験管を振とうしないで
30℃にて3日間インキュベートした。表3は、変異株
1306−11及び親株1306−3についての3日目
のpH及びグルコン酸レベルを示す。値は2本の試験管
のそれぞれについて示す。
【0097】
【表3】
【0098】例5.1306−21株の調製及び同定 1306−2株を例3におけるようにして変異誘発処理
した。次に微生物をCSLプレート(2%グルコース、
3%コーンスティープリカー)にプレートして単一コロ
ニーを確立した。コロニーを拾い、そして0.25ml
のSCL培地(4%グルコース、1%コーンスティープ
リカー)を収容するミクロタイタートレイウエルに入れ
た。これらのトレイを、pH試験紙(2.9〜5.2の
範囲)により測定した場合の培地pHの明瞭な低下が観
察されるまで4〜5日間インキュベートした。そのpH
は約5(pH試験紙が緑色〜緑味色)であるコロニーを
第2スクリーニングに通した。
【0099】第2スクリーニングにおいては、前記のミ
クロタイタートレイウエル中で使用した高グルコース培
地2mlを収容する試験管に、選択されたコロニーを接
種した。試験管を30℃にてインキユべ一トした。コロ
ニーを薄膜形成及びpHについて試験した。1306−
21株と命名されたグルコン酸ネガティブ株を、こうし
て選択した。
【0100】比較のため、1306−11株及び130
6−21株のサンプルを、種々の量のグルコース及びコ
ーンスティープリカーを含有するCSL培地を収容する
種母フラスコ中で、例1に記載した一般的方法を用いて
増殖せしめた。5日間のインキュベーションの後、セル
ロース生産及び培地pHを決定した。これらの結果を表
4に示す。
【0101】
【表4】
【0102】以上のごとく、これらの試験において、1
306−21株は1306−11株に比較して、低い酸
生産(高いpH)及び高いセルロース生産を示した。例6網状セルロース生成物の製造 1306−14株はアセトバタター1306−11株の
自然変異株である。1306−11株のコロニーが特徴
的に一様な凸状でありそして濃べージュ色を有するのに
対して、この自然変異株はR20−2プレート上で大形
の白色粘質コロニーとして同定された。
【0103】凍結ストックからの1306−14株のサ
ンプルを100mlのR20−2培地中に接種し、そし
て静置条件下で30℃にて約3日間増殖せしめた。培養
物の完全な内容物を無菌ブレンダーに移した。小ブレン
ドヘッドを用いて、培養物を短い4秒バーストによりブ
レンドした。破砕された培養物の5v/v%接種物を2
000mlのバッフル付フラスコ中400mlのR20
−2培地に移し、そして125rpmにて振とうしなが
ら30℃にて約2.5日間培養した。フラスコの内容物
をブレンドし、そしてこれを用いて発酵槽に接種した。
【0104】バッフル付フラスコからの破砕された培養
物の5v/v%接種物を、2%のグルコースを含有する
R20−2培地91に移した。発酵槽(ブラウン)には
インペラーを装着し、そして内部加熱コイル及びバッフ
ルを取り外した。発酵条件は最初600rpmであり、
そして44時間後に1000rpmに上げて、粘性を増
した培地の混合を増加した。温度を30℃(±1℃)に
調節した。pHは5.0±0.1に調節し、そして培地
中の酸素濃度を約30%の空気飽和に維持した。48時
間目に発酵槽の内容物を集めた。
【0105】セルロースを自然沈降せしめ、そして過剰
の液を注ぎ出した。残ったセルロースをブレンドし、洗
浄し、そして前記のようにして洗浄した。セルロースを
脱イオン水で洗浄し、そして0.5N NaOH中60
℃にて一夜、3回抽出した。最終抽出の後、洗浄水のp
Hが6.0以下に低下するまでセルロースを脱イオン水
で洗浄した。この調製物を、例8に記載する走査電子顕
微鏡実験のために使用した。
【0106】例7 1306−8株は、NRRLB42のサンプルから直接
選択されたアセトバクターの単離株である。1306−
8株のコロニーは、R20−2プレート上での白色の高
くもり上がったコロニーにより特徴付けられる。130
6−8株はグルコン酸を生産した。凍結ストックからの
1306−8株のサンプル(2.5ml)を100ml
のR20−2培地に接種し、そして500mlの広口エ
ルレンマイヤーフラスコ中で静置条件下30℃にて培養
した。種母培地をこれらの条件下で約2〜4日間、見る
ことができる薄膜が形成されるまでインキュべートし
た。次に、種母培養の全内容物をブレンドし、そして次
の培養物に接種するために使用した。
【0107】ジメチルホルムアミド(DMF)中ベンレ
ート(Benlate)殺カビ剤(デュポン)の10g
/100ml懸濁液0.025m1を含むR20−2培
地1lを収容する広口フェルンバッハフラスコを用いて
発酵を行った。DMF及びベンレートのこの濃度はアセ
トバクター1306−8株の増殖に有意な影響を与える
ことなくカビの汚染を防止するために効果的であった。
【0108】約8〜10mlを用いて1lのR20−2
培地に接種した。培養物をフェルンバッハフラスコ中で
10〜14日間30℃にて、攪拌しないで(すなわち静
置して)増殖せしめた。収得の時点で、0.3〜1.2
cmの厚さの薄膜が形成されていた。
【0109】薄膜をフェルンバッハフラスコから取り出
し、次にブレンドし、脱イオン水で洗浄して培地及び細
胞の一部分を除去した。フィルターとして286μmの
網目開口を有するフィルタースクリーン(スペクトラメ
ッシュ#146382)を用いて大型ブフナー漏斗を通
して洗浄を行った。
【0110】ブレンドされそして洗浄された薄膜の抽出
を0.50M NaOHを用いて約60℃にて約14時
間行った。所望の時間混合及びインキュベーションを行
った後、抽出混合物を上記の条件下で濾過した。脱イオ
ン水による洗浄は、洗浄水のpHが6.0以下に低下す
るまで続けた。この調製物を用いて走査電子顕微鏡実験
に使用した。
【0111】例8 前記例6及び例7から得られたセルロース生成物を走査
電子顕微鏡観察のために用意した。検体を凍結乾燥し、
そして次に6:40金:パラジウム導電フィルムにより
真空下で表面被覆(sputter)した。16KVの
加速電圧で運転されるナトメーター走査型電子顕微鏡を
用いて光学写真を撮った。
【0112】図2及び図4は、得られたセルロース生成
物の代表面な電子顕微鏡写真である。図2及び図4は、
例7に従って静置培養において製造されたセルロース製
造物を示す。これらの図が示すところによれば、生成物
は、相互にオーバーラップしそして交差するように見え
るが相互連結されているようには見えない延長されたセ
ルロースフィブリルの積み重ねから主として成る。静置
培養条件下で生産されたセルロースのフィラメントは約
0.05〜0.2ミクロンの幅にわたり、多くのストラ
ンドは0.05〜0.1ミクロンの範囲にある。
【0113】これに対して、図3及び図5は、例6にお
いて攪拌培養で製造されたセルロース生成物が、静置培
養において成長したセルロースに比べて、断面が一般に
太い…0.1〜0.2ミクロンの範囲…フィブリルの網
状体から成ることを示している。さらに、このセルロー
スフィブリルは、フィブリルがオーバラップするのでは
なくむしろ主として相互連結されたネットワークを形成
しているようである。
【0114】例9. この例は、この発明の網状セルロース生成物の幾つかの
特徴を示す。ハンドシートを、アセトバクターにより生
産されたセルロースのサンプルから、TAPPI公認試
験法T205om−81に記載されている方法に従って
約60g/mの基本重量に調製した。セルロースは、
2%のグルコースを含有するR20−培地を用いてフラ
スコ培養において静置増殖条件下で1306−3株から
製造された。
【0115】網状セルロース生成物は、同じ培地を使用
して、600rpmでのインペラーによる攪拌のもとで
発酵槽にて、1306−11株を用いて製造された。セ
ルロースを含有する培養液を冷貯蔵した後、セルロース
を処理した。セルロースを150,000回転のブリテ
ィッシュ・ディスインテグレーター中で分散せしめた
(2lの水中1.2g)。次に、この懸濁液を、200
メッシュのワイヤースクリーンを含む自動シート型に注
入し、そして2時間以上排水した。
【0116】湿ったハンドシート(直径15cm)をシ
ート型から取り出し、そして最後に吸取紙の間で過剰の
水をおだやかに除去した。次に、シートを吸取紙に挟ん
でTAPPIプレスに入れ、種々の時間にわたり50p
si(345kPa)の荷重のもとにおき、種々の密度
のシートを製造した。シートを、ノーブル・アンド・ウ
ードの実験室用ドラムドライヤーを通すことによりシー
トの最終乾燥を行った。シートの引張強さを、インスト
ロン・ユニバーサル試験装置を用いてTAPPI法T4
94om−81に従って測定した。
【0117】この例の網状セルロース生成物は、これが
ハンドシートに形成された場合、圧縮(densifi
cation)に対する実質的な耐性を付与することが
見出された。異る湿圧縮荷重を用いることにより、約3
00〜約500kg/mの密度を有する一連のシート
を調製した。低い密度にもかかわらず、これらの紙様シ
ートは非常に高い引張り強さを有していた。典型的に
は、上記の密度を有するそれらのシートの引張指数10
0〜150ニュートン−メーター/gの範囲である。約
500kg/mより低い密度を有する、クラフトパル
プから形成された匹敵するシートは引張強さを実質的に
有していない。
【0118】静置培養条件下で製造されたセルロースか
ら形成されたハンドシートは圧縮(densifica
tion)に対する上記の耐性を示さない。典型的に
は、非攪拌培養のセルロースからのシートは、使用され
た湿圧縮荷重に依存して約500〜約750kg/m
の密度を有する。
【0119】例10. この例は、アセトバクターの2つの株を用いて、攪拌培
養条件のもとで製造された網状セルロース生成物と静置
条件のもとで製造された非網状セルロース生成物の圧縮
(densification)に対する耐性を比較す
る。網状セルロースは、例6に記載したような攪拌増殖
条件下で1306−14株を用いて得られた。非網状セ
ルロースは、例7に記載したのと実質的に同じ静置条件
下で、2%のグルコースを含有するR20−2培地を用
いて静置フラスコ培養において1306−3株を用いて
得られた。
【0120】ハンドシートを網状セルロース及び静置培
養で製造したセルロースから、例9に記載したようにし
て約60g/mの基本重量に調製した。但し、シート
を製造するために種々の圧縮荷重を使用した。網状セル
ロース及び非網状セルロースからこの例において製造さ
れたシートの密度及びその他の特徴を次の表5に示す。
【0121】
【表5】
【0122】例11. 6菌株を試験した。1306−3株及び1306−11
株は前記の通りである。アセトバクター・アセチ・サブ
スペシス・キシリヌム (Acetobacter a
ceti sub sp.xylinum)ATCC
No.23769の2つのサブカルチュアーをこの明細
書において23769A及び23769Bと称する。さ
らに、ATCC 31174株、及びナショナルコレク
ション・オブ・インドストリアル・バクテリア8132
株(Aberdeen、英国)、並びに1499−1株
も試験した。
【0123】前種母培養、種母培養及び製造段階のため
の培地は4w/v%のフラクトース及び5w/v%のC
SLを含有するCSL培地であった。前種母は、750
mlのファルコン#3028組織培養フラスコ中100
mlの上記培地中で、0.01%のダウコーニング消泡
剤を用い、静置条件下で、30℃にて24〜48時間増
殖せしめた。前種母培養物の全内容物を前記のようにし
てブレンドし、そして種母培養の5v/v%の接種物を
調製するために使用した。前種母をR20−2プレート
上にストリークして汚染をチェックした。すべての菌株
は均一なコロニー形態を有していたが、1499株は約
50%の大形コロニーを有していた。
【0124】種母培養は、バッフルを有する125ml
のフラスコ中上記の培地25ml中で、往復振とう機中
125rpmの振とう条件下で30℃にて3日間増殖せ
しめた。ブレンドされた種母のそれぞれからのサンプル
をR20−2プレート上にストリークして汚染について
チェックした。約50%の大形コロニーを有する149
9−1株を除くすべての菌株が均一なコロニー形態を有
していた。種母培養物の残りのすべての内容物を前記の
ようにしてブレンドし、そして製造段階のための5%接
種物を調製するために使用した。
【0125】各株につき2連の発酵培養物をバッフルを
有する125mlのフラスコ中125rpmの往復振と
う機上で30℃にて培養した。各菌株の2連のフラスコ
を1日、2日、3日、及び4日目に収得した。但しAT
CC 23769Bについては、増殖が不十分であった
ため7日目に収得した。1499−1株及びATCC3
1174株の両者はこれらの条件下で水溶性ポリサッカ
ライド(WSP)を生産した。1306−3株又は13
06−11株によってはWSPは生産されなかった。各
菌株についてセルロース生産を測定した。その結果を表
6に示す。セルロース生産の値はg/lで示す。
【0126】
【表6】
【0127】例12発酵槽におけるセルロース製造 1306−11株の前種母及び種母培養物は、例10に
記載したようにして2日間増殖せしめた。但し、4w/
v%のグルコース及び5w/v%のCSLを含有する培
地を使用した。種母培養物は同じ培地中で2日間増殖せ
しめた。但し、培養容積はバッフル付2lフラスコ中4
00mlであった。
【0128】14lのケマップ(Chemap)発酵槽
中で2回の発酵槽試行を5v/v%の接種物及び12l
の初発容量で行った。72時間の発酵槽試行の間、培養
物を30℃(±1℃)に維持した。発酵槽#1において
は、最初のグルコース濃度は32g/lであった。発酵
槽#2においては、グルコース及びシュークロース濃度
はそれぞれ10g/l及び20g/lであった。発酵中
に発酵槽#1に、さらに143g/lのグルコースを間
欠的に添加した。
【0129】発酵槽#2には、50g/lのグルコース
及び72g/lのシュークロースを発酵中に間欠的に発
酵槽に加えた。最初の2v/v%のSCL濃度に、最初
容量に対して2容量%に相当する量のCSLを32時間
目及び59時間目に追加した。
【0130】溶存酸素濃度は30%空気飽和に維持し
た。発酵槽#2中では、溶存酸素濃度は69時間目から
約2時間にわたり0に低下した。攪拌を最初600rp
mに維持した。セルロース濃度の上昇と共に粘度が上昇
したので、インペラー速度を1200rpmに増加し
た。発酵槽1について、セルロース、グルコン酸及び2
−ケト−グルコン酸の濃度を第7表に示す。
【0131】発酵槽2について、セルロースの濃度を表
8に示す。グルコースのみの発酵槽#1において達成さ
れる最大セルロース濃度は12.7g/lであった。グ
ルコース/シュークロース発酵槽#2において達成され
る最大セルロース濃度は18.3g/lであった。両最
高値は発酵開始後71.6時間目に達成された。この時
点での容積生産性は、発酵槽#1及び#2においてそれ
ぞれ0.18及び0.26g/l/時であった。
【0132】
【表7】
【0133】
【表8】
【0134】例13. 1306−11株の代りに1306−21株を用いて例
12の発酵を反復した。但し次の変更を行った。 1.前種母及び種母は、2%のグルコース及び2%のC
SLを含有するCSL培地中で調製した。 2.攪拌速度は900rpmを超えなかった。 3.最初のグルコース濃度は20g/lであり、そして
発酵中に109g/lをさらに添加した。 4.最初のCSL濃度は2v/v%であり、発酵中2
7.8時間後に2v/v%をさらに添加した。この試行
において観察されたセルロース、グルコン酸、2−ケト
−グルコン酸及び5−ケト−グルコン酸の濃度を表9に
示す。
【0135】
【表9】
【0136】表9の結果を表7のそれと比較して、13
06−21はセルロース生産については1306−11
株と同等又はそれより良好であるが、酸の生産は非常に
少ないようである。低い酸生産性は、理論的には、13
06−21株がより少ない塩基の添加により匹敵する濃
度に培養することを可能にする。
【0137】例14セルロースの性質に対する攪拌の
効果 下記の4種の性質に対する攪拌の効果を評価するために
一組の試験を行った。 1.ハンドシートの形成(例9のTAPPI試験):発
酵からの精製され、処理されそして再懸濁されたセルロ
ースファイバーの、150メッシュスクリーン上に一体
シートを形成する能力。結果は、再懸濁されたファイバ
ーに対するスクリーン上に保持されたファイバーの%、
及び形成されたシートの粘着性(integrity)
の定性的評価に従って判定される。
【0138】2.沈降速度:発酵槽からの稀釈されたサ
ンプルが傾斜したシリンダー中で沈降する速度。セルロ
ースの沈降する懸濁液の沈降物/上清液界面の高さの下
降を時間に対してプロットする。所与の時点でのプロッ
トの傾斜から瞬間沈降速度を決定することができる。こ
の性質はセルロース粒子のサイズ及び密度に依存する。
【0139】3.懸濁粘度:グリセリン溶液により換算
された、トーマス−ストーマー(Tho mas−St
ormer)粘度計により測定される懸濁されたセルロ
ース発酵槽ブロスの粘度。この性質はセルロース粒子の
形態に依存する。 4.粒子のサイズ及び形態:この性質は、発酵槽からの
セルロースの光学顕微鏡写真から決定される。
【0140】第1のセットの試験は1306−11株を
用いる4回の発酵槽試行から成り、この間に、異る最高
攪拌速度で運転される14lのケマップ発酵槽から時間
の関数としてサンプルを採取した。これらの4回の発酵
槽試行は増殖する培養物を用いる典型的な発酵である
が、長時間の攪拌の効果を評価するため通常の発酵時間
を超えて延長した。これらの試行からのサンプルをハン
ドシート形成能力について分析した。
【0141】第2のセットの試験は、250lの発酵槽
試行から得られた古い非増殖セルロース培養物を、4個
の14lケマップ発酵槽中で攪拌することから成った。
攪拌速度は各発酵槽において一定であったが、発酵槽ご
とに異った。各発酵槽から経時的にサンプルを採取し
た。このセットの実験におけるセルロース濃度はすべて
の発酵槽について均一であったが、第1のセットの実験
における最終濃度の約半分であった。
【0142】この第2のセットの実験においては、第1
のセットの実験の平均通気速度(空気及び酸素)とおよ
そ同じ速度で窒素を吹き込んだ。第2のセットの実験か
らのサンプルをハンドシート形成、沈降速度、粘度、並
びに粒子のサイズ及び形態について分析した。第1のセ
ットの実験及び第2のセットの実験からのハンドシート
の結果をそれぞれ表10及び表11に要約する。
【0143】
【表10】
【0144】
【表11】
【0145】表10は、増加した攪拌速度及び延長され
た攪拌時間がハンドシート形成に不都合な影響を与える
ことを示している。一層稀薄なそして増殖しないセルロ
ース培養物が使用された表11の結果は、ハンドシート
形成が表10に示されるほど攪拌及び時間に対して感受
性でないことを示した。表11における一層良好な結果
は、発酵槽中の低いセルロース濃度又は高い目標シート
重量に基くであろう。
【0146】しかしながら、他の試験結果は、セルロー
スの性質が攪拌速度、及び第2のセットの実験の間の時
間により影響を受けることを示している。例えば、粘度
の分析は、800rpm及び1000rpmにおける攪
拌時間と共に発酵槽中でのセルロース懸濁液の粘度が上
昇することを示す。粘度の上昇は、密度の高いペレット
から密度の低いパックされたファイバー様形状へのセル
ロースの形態の変化を反映しているであろう。このよう
な変化は、粒子のサイズ及び形態を評価するために使用
された光学顕微鏡写真において観察された。
【0147】沈降速度の研究は、高速で又は長時間にわ
たって攪拌されたセルロースがよりゆっくりと沈降する
ことを示した。これらの結果は、攪拌速度及び時間の増
加と共にセルロース粒子が低密度にパックされた小さい
ファイバーになることを示す光学顕微鏡写真と一致し
た。沈降速度、粘度、粒子のサイズ及び形状、並びにハ
ンドシート形成の分析からの一般的結果は、すベて相互
に一致し、そしてある程度相関した。
【0148】攪拌の速度及び時間によるセルロースの性
質の変化の機構は現時点では完全には理解されていな
い。攪拌速度の増加がセルロース粒子に対する剪断応力
を増加せしめることが知られている。しかしながら、他
の力、例えば乱流渦応力(trubulent edd
y stress)及びキャビテーション力、もまたセ
ルロースの性質の変化に寄与するであろう。さらに、上
記の力及び応力並びに他の因子も、セルロースの回収及
び精製の間に働くであろう。従って、セルロース処理の
すべての段階においてセルロースに対する損傷を最小に
するように注意を払わなければならない。
【0149】例15セルロース生成物のC−13NM
R 分析 攪拌条件下で生産された細菌性セルロース生成物の微細
構造(表12に示す)を試験しそして非攪拌条件下又は
静置培養条件下で生産された細菌性セルロースのそれと
比較した。NMRスペクトル分析はVanderhar
tら、Macromolecules17:1465−
1472(1984)により記載されている方法と実質
的に同じ方法により行った。
【0150】すなわち、NMRスペクトル分析をS−1
00NMRスペクトル計(General Elect
ric Fremont(CA)を用いて2.34Tに
て行った。これは陽子について100.2MHz、そし
てC−13について25.3MHzの周波数に対応す
る。クロス−ポラリゼーション時間は典型的には1.0
〜2.0msであった。
【0151】対応するラジオ周波数振幅は48kHzの
回転・フレームの正確な周波数においてHartman
n Huhn マッチについてセットされ、そしてサン
プルスピン周波数によりミスマッチでなかった。化学シ
フト参照に、ヘマチルベンゼンのメチル炭素、共鳴が1
7.80ppmにおいて現われるように両日運転周波数
をセットすることにより達成された。ローター材料は窒
化硼素又は相安定化ジルコニアであった。
【0152】試薬されたサンプルについてのNMRの結
果を表12及び表13に示す。これらは4種類の非攪拌
アセトバクター培養物から、及び11種類のアセトバク
ター培養物からのセルロース生成物から成る。表12及
び表13中のサンプル番号に対応する使用株及び培養条
件を表14に示す。
【0153】表12及び13は、静置培養又は攪拌培養
された菌株からのサンプルのNMR分析により得られた
形態分布を示す。これらの結果が示すところによれば発
酵槽サンプル(攪拌)から製造されたセルロースと静置
培養からのそれとの比較において重要な差異が存在す
る。攪拌されたサンプルの低い結晶化度(セルロース
I)はIα及びIβスペクトルピーク並びに非晶質セル
ロースによるピークの量の実質的な変化により支持され
る。
【0154】特に注目すべきことは、すべての発酵槽サ
ンプルにセルロースIIが一貫して存在し、静置培養サ
ンプルには存在しないことである。さらに、長い発酵時
間及び高い剪断ストレスにかけられた2個の攪拌サンプ
ル(アセトバクター1306−11株に対応するサンプ
ルA−070及びA−071において、セルロースの有
動意な部分がセルロースIIであり、セルロースIIの
含量と培養中の攪拌の量との間の関連性が示唆された。
【0155】さらに、攪拌培養と静置培養との比較にお
いて、Iα含量の一貫した差が存在した。さらに、攪拌
培養からのセルロースおいて90ppmに高レベルの残
留シグナルが存在した。表12及び表13に示すよう
に、この方法は非品質セルロース含量の2つの測定値の
間の非常によい一致を与えた。
【0156】NMR分析を用いてここで観察される相違
は個々のセルロース分子が一緒にパックされている状態
及び異る分子鎖間のコンホーメーションの相違を反映し
ているであろう。
【0157】
【表12】
【0158】
【表13】
【0159】
【表14】
【0160】
【結論及び寄託】細菌性セルロースが攪拌条件下で高い
効率で長時間にわたって生産される。従来、細菌性セル
ロースの長期生産は、困難と非常に低い生産性を伴って
いた。ここに開示される発明は、細菌性セルロースの発
酵生産における大きな利点を提供する。1306−3
株、1306−11株、及び1306−21株のサンプ
ルは、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関する
ブタペスト条約、及びそれに基く規則の規定のもとにア
メリカン・タイプ・カルチュア・コレクション・123
01パークラウン・ドライブ、ロックビル、メリーラン
ド、米国20832に寄託された。寄託日及び番号は次
の通りである。
【0161】
【表15】
【0162】これらの寄託は、ATCCとこの出願の出
願人であるシタス・コーポレイションとの間の契約によ
り行われた。ATCCとの契約は該菌株及びその子孫の
永久的な入手可能性を、該寄託を記載しそして特定して
いる出願に関する米国特許が発行された後又は米国もし
くは外国出願の公告もしくは公衆への公開の後、このい
ずれが早く到来するにしても公衆に与え、そして、これ
らの菌株又はその子孫の入手可能性を、35USC §
122及びこれに基く長官規則(886 OG 63
8への特別の言及を伴う37 CFR§1.14を含
む)に従って、米国特許・商標局長官により権利を有す
ると決定された者に与える。この出願の出願人は、寄託
中の菌株が、適切な条件下で培養された場合に失われ、
死滅し又は破壊された場合には、通知の後速やかに同じ
株の生存培養物により置き換えることを承諾した。
【0163】ブタペスト条件に基く寄託は、寄託された
その培養物が生存及び非汚染条件下で、寄託された微生
物のサンプルの分譲の最も新しい要求がATCCにより
受理された後少なくとも5年間、そしていかなる場合に
も寄託の日から少なくとも30年間、維持されるであろ
う。
【0164】寄託された微生物の入手可能性は、いずれ
かの政府の権威の下にその特許法により認められた権利
を侵害してこの発明を実施することの許諾であると解し
てはならない。
【0165】さらに、この発明の範囲は寄託された菌株
の範囲に限定されない。なぜなら、寄託された具体例は
単に、この発明の特定の観点の例示であると意図される
からである。寄託された株と機能的に同等なすべての微
生物株がこの発明の範囲に属する。さらに、この明細書
に示されそして記載された態様の他、これらの記載から
当業者にとって明らかな変法はこの発明の範囲に属す
る。この明細書に記載された情報に基いて、この発明の
範囲を逸脱することなく、種々の変法を行うことができ
よう。
【図面の簡単な説明】
【図1】A及びBは、この発明の網状セルロース生成物
の巨視的構造を示す写真であり、繊維の構造を示す図面
に代る写真である。Aは塩基抽出の前の生成物を示し、
そしてBは塩基抽出及び精製の後のそれを示す。分割線
は約1mm間隔である。
【図2】非攪拌条件下で生産された非網状セルロース生
成物の5000倍の走査電子顕微鏡写真であって繊維の
構造を示す図面に代る写真である。
【図3】この発明の網状セルロースの5000倍の走査
電子顕微鏡写真であって繊維の構造を示す図面に代る写
真である。
【図4】非攪拌条件下で生産された非網状セルロース生
成物の10,150倍の走査電子顕微鏡写真であり繊維
の構造を示す図面に代る写真である。
【図5】網状セルロースの10,330倍の走査電子顕
微鏡写真であって繊維の構造を示す図面に代る写真であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:02) (72)発明者 ハリー ウオン アメリカ合衆国,カリフオルニア 94578, サンリーンドロ,オーリアンダー ストリ ート 14894 (72)発明者 ロバート ブルナー アメリカ合衆国,カリフオルニア 94530, エルセルリト,ピー・オー・ボツクス 392 (72)発明者 ドナルド カーチス ジヨンソン アメリカ合衆国,ワシントン 98002,オ ーバーン,サウス イースト,ワンハンド レツドサーテイフオース アベニユ 33936 (72)発明者 シヤロン ペイン シユーメイカー アメリカ合衆国,カリフオルニア 94533, フエアフイールド,バーバンク ドライブ 3173 (72)発明者 アマル ナス ナオギ アメリカ合衆国,ワシントン 98125,シ アトル,ノースイースト,セブンテイーン ス アベニユ 12531 (72)発明者 エホシユア アロニ イスラエル国,クフアルーサバ,ストリー ト ナンバー8(番地なし)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 攪拌培養条件下でセルロース生成物を生
    産する能力を有し、そして固体培地上でのセルロース非
    生産性コロニーの出現により決定する場合、セルロース
    非生産性形への変化の頻度が42〜45世代にわたって
    0.5%未満であることを特徴とするアセトバクター
    (Acetobacter)と命名される微生物。
  2. 【請求項2】 D−グルコース含有培地に増殖する場合
    の実質的に低下したD−グルコン酸生産を特徴とするア
    セトバクター(Acetobacter)と命名される
    微生物。
  3. 【請求項3】 菌株1306−3に相当するアセトバク
    ター・キシリヌム(Acetobacter xyli
    num)ATCC53264、菌株1306−11に相
    当するアセトバクター・キシリヌム(Acetobac
    ter xylinum)ATCC53263、又は菌
    株1306−21に相当するアセトバクター・キシリヌ
    ム(Acetobacter xylinum)ATC
    C53524の特徴を有するアセトバクター・キシリヌ
    ム(Acetobacterxylinum)の生物学
    的に純粋な培養物である請求項1に記載の微生物。
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