JP2014058747A - 孔状部付きエアロゲルの製造方法、孔状部付きエアロゲル、復元ハイドロゲルの製造方法、及び復元ハイドロゲル - Google Patents

孔状部付きエアロゲルの製造方法、孔状部付きエアロゲル、復元ハイドロゲルの製造方法、及び復元ハイドロゲル Download PDF

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Abstract

【課題】大きさ及び形状が制御された孔状部が形成されている孔状部付きエアロゲルを製造する。
【解決手段】まず、複数のセルロース繊維を含んで構成されているキューブ状のハイドロゲルの少なくとも一部を水に浸した状態で凍結乾燥することによって、このハイドロゲルからエアロゲル35を形成する。次に、セルロース繊維の成長方向に直交するエアロゲル35の厚さ方向に、エアロゲル35を圧縮することによって、エアロゲル35の厚さを圧縮前と比して薄くするとともに、エアロゲル内に複数の圧縮された状態の孔状部を形成する。
【選択図】図4

Description

この発明は、孔状部付きエアロゲルの製造方法、孔状部付きエアロゲル、復元ハイドロゲルの製造方法、及び復元ハイドロゲルに関する。
近年、例えば工業用品や医療品等に用いられる材料として、バクテリアセルロースの繊維(以下、単にセルロース繊維とも称する)を含んで構成されたハイドロゲル及びエアロゲルが注目を集めている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。なお、以下の説明におけるハイドロゲルまたはエアロゲルは、特に説明する場合を除いて、バクテリアセルロースのセルロース繊維を含んで構成されているものとする。
ハイドロゲルは、網目状に絡まり合った複数のセルロース繊維を骨格としており、セルロース繊維間に水を含んで構成されている。
また、エアロゲルは、例えば上述したハイドロゲルを乾燥することによって得られる。ハイドロゲルのセルロース繊維間に含まれていた水が空気に置換されて構成されていて、一方、例えば、エアロゲルを水に浸すことによって、エアロゲルがハイドロゲルに復元される。
特許文献1には、バクテリアセルロースを含有したハイドロゲルを乾燥することによってエアロゲルとし、このエアロゲルを材料として製造された高力学強度成形材料が開示されている。
また、特許文献2には、例えば水を含有するバクテリアセルロースの繊維の集合体(以下、単に繊維集合体とも称する)、すなわちハイドロゲルを主な材料として製造された繊維強化複合材料が開示されている。
そして、特許文献2には、バクテリアセルロースの繊維集合体がセルロース繊維の三次元交差構造であり、その構造により、繊維集合体を構成するセルロース繊維間に間隙、すなわちポアが形成されている旨が開示されている。
特開昭62−36467号公報 特開2006−241450号公報
ここで、エアロゲルをハイドロゲルに復元する際の膨張率及び復元率、またはハイドロゲル及びエアロゲルの強度等の特性は、上述したポア等の孔状部の大きさや形状に起因する。従って、孔状部の大きさや形状を任意に制御することにより、上述した特性が調整可能となることが期待される。さらに、ハイドロゲルまたはエアロゲル内に、用途に応じて大きさや形状が任意に制御された孔状部を形成することによって、例えばこれらハイドロゲルまたはエアロゲルに対する液体の浸透率等を好適に設定可能となることが期待される。
しかしながら、上述した特許文献1及び特許文献2では、ハイドロゲル及びエアロゲルに含まれるセルロース繊維間のポアの大きさや形状を制御する方法が開示されていない。
そのため、特許文献1及び特許文献2に開示されている周知のハイドロゲル及びエアロゲルは、部分によってポアの大きさや形状が異なる、すなわちハイドロゲル及びエアロゲル内においてポアの占める割合にばらつきが生じるという問題がある。
従って、従来のハイドロゲル及びエアロゲルでは、上述したポアの大きさや形状に起因する特性が部分によって異なるので、用途に応じた所望の特性を選択的に得ることができない。このため、従来のハイドロゲル及びエアロゲルでは、例えば工業用品や医療品等の材料として利用するに当たり不利である。
この発明は、エアロゲルまたはハイドロゲル内に、大きさ及び形状が任意に制御された、ポア等のセルロース繊維間の間隙、すなわち孔状部を形成するためになされたものである。
すなわち、この発明の目的は、大きさ及び形状が制御された孔状部が形成されているエアロゲル、すなわち孔状部付きエアロゲルの製造方法、この孔状部付きエアロゲルの製造方法を用いて製造された孔状部付きエアロゲル、この孔状部付きエアロゲルからハイドロゲルを製造する方法、すなわち復元ハイドロゲルの製造方法、及びこの復元ハイドロゲルの製造方法を用いて製造された復元ハイドロゲルを提供することにある。
この発明に係る発明者が種々検討したところ、ハイドロゲルを凍結乾燥して得たエアロゲルを圧縮することによって、このエアロゲル内に複数の圧縮された状態の孔状部を形成できることを見出した。そして、発明者は、この圧縮された状態の孔状部が、エアロゲル全体において均等に、すなわち孔状部が占める割合にばらつきが生じることなく形成されることを実験により確認した。
さらに、出発材料として用いるハイドロゲルをポア径に応じて選択することによって、または圧縮する際の圧力を調整することによって、エアロゲル内に形成される圧縮された状態の孔状部、及びこのエアロゲルをハイドロゲルに復元した際に、この復元ハイドロゲル内に形成される非圧縮状態の孔状部の大きさ及び形状を任意に調整できることを見出した。
そこで、上述の目的の達成を図るために、この発明による孔状部付きエアロゲルの製造方法は、以下の第1工程及び第2工程の各工程を含んでいる。
すなわち、まず、第1工程では、複数のセルロース繊維を含んで構成されているキューブ状のハイドロゲルの少なくとも一部を水に浸した状態で、このハイドロゲルを凍結乾燥することによって、このハイドロゲルからエアロゲルを形成する。
次に、第2工程では、セルロース繊維の成長方向に直交するエアロゲルの厚さ方向に、このエアロゲルを圧縮することによって、このエアロゲルの厚さを圧縮前と比して薄くするとともに、このエアロゲル内に複数の圧縮された状態の孔状部を形成する。
また、この発明による孔状部付きエアロゲルは、以下の特徴を有している。
すなわち、複数のセルロース繊維を含んで構成されているキューブ状のエアロゲルが厚さ方向に圧縮されることによって、このエアロゲルの厚さが圧縮前と比して薄くされるとともに、このエアロゲル内に複数の圧縮された状態の孔状部が形成されている。
また、この発明による復元ハイドロゲルの製造方法は、以下の工程を含んでいる。
すなわち、上述した孔状部付きエアロゲルを水に浸すことによって、乾燥状態から非乾燥状態へ、及び圧縮状態から非圧縮状態へ復元するとともに、圧縮された状態の孔状部を非圧縮状態とすることによって、この圧縮された状態の孔状部から非圧縮状態の孔状部を形成する。
この発明のよる孔状部付きエアロゲルの製造方法によれば、上述した第2工程において、エアロゲルを成長方向に直交する厚さ方向に圧縮することによって、エアロゲル内に圧縮された状態の孔状部を形成する。これによって、圧縮された状態の孔状部を、エアロゲル内において占める割合、及び大きさや形状がばらつくことなく形成することができる。
また、この発明による復元ハイドロゲルの製造方法によれば、上述した孔状部付きエアロゲルを水に浸すことによって、圧縮された状態の孔状部から非圧縮状態の孔状部を形成することができる。従って、ハイドロゲル内において占める割合、及び大きさや形状がばらつくことなく、非圧縮状態の孔状部を形成することができる。
(A)〜(C)は、孔状部付きエアロゲルの製造に当たり、出発材料として用いるハイドロゲルの斜視図である。 (A)〜(C)は、孔状部付きエアロゲルの製造方法に含まれる凍結乾燥の工程を説明する工程図であり、図1(A)に続く工程図である。 凍結乾燥して得られるエアロゲルの模式図である。 (A)及び(B)は、孔状部付きエアロゲルの製造方法を説明する工程図である。 (A)〜(D)は、孔状部付きエアロゲルの第1非水部を撮影した顕微鏡写真である。 (A)〜(C)は、孔状部付きエアロゲルの第1浸水部を撮影した顕微鏡写真である。 (A)〜(C)は、孔状部付きエアロゲルの第2非水部を撮影した顕微鏡写真である。 (A)〜(C)は、孔状部付きエアロゲルの第2浸水部を撮影した顕微鏡写真である。 (A)及び(B)は、復元ハイドロゲルの製造方法を説明する工程図である。 (A)〜(E)は、復元ハイドロゲルの第1非水部を撮影した顕微鏡写真である。 (A)〜(C)は、復元ハイドロゲルの第1浸水部を撮影した顕微鏡写真である。 (A)〜(C)は、復元ハイドロゲルの第2非水部を撮影した顕微鏡写真である。 (A)〜(C)は、復元ハイドロゲルの第2浸水部を撮影した顕微鏡写真である。 孔状部付きエアロゲルの第1非水部、第2非水部、第1浸水部、及び第2浸水部の引張強度を比較する図である。 孔状部付きエアロゲルを復元ハイドロゲルに復元した際の、第1非水部、第2非水部、第1浸水部、及び第2浸水部の膨張率を比較する図である。 (A)及び(B)は、孔状部付きエアロゲルを復元ハイドロゲルに復元した際の、第1非水部、第2非水部、第1浸水部、及び第2浸水部の復元率を比較する図である。 (A)〜(C)は、ハイドロゲルの成長方向に直交する面に沿ったポア径と、膨張率、復元率、及び引張強度との関係を示す図である。 (A)〜(C)は、ハイドロゲルの成長方向に沿ったポア径と、膨張率、復元率、及び引張強度との関係を示す図である。 孔状部付きエアロゲルの製造方法の第2工程における圧縮の方向と復元率との関係を示す図である。
以下、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図は、この発明が理解できる程度に、各構成要素の形状及び大きさを概略的に示してあるに過ぎない。従って、この発明の構成は、何ら図示の構成例にのみ限定されるものではない。また、以下に説明する実施の形態は、単なる好適例に過ぎず、従って、この発明の構成は、以下に説明する構成例のみに何ら限定されるものではなく、この発明の範囲を逸脱することなく、多くの変形や変更を行い得ることが明らかである。また、以下の説明において記載する例えば濃度、温度、時間等の値は、この発明の効果を達成し得る範囲内の値であり、同様の効果が得られるならば、この値の近傍の値であってもよく、何らこの数値に限定されるものではない。
〈孔状部付きエアロゲル〉
内部に圧縮された状態の孔状部が形成されたエアロゲル、すなわち孔状部付きエアロゲルの製造方法、及びこの孔状部付きエアロゲルの製造方法によって製造された孔状部付きエアロゲルについて説明する。
まず、図1(A)〜(C)を参照して、材料として用いるハイドロゲルについて説明する。
図1(A)〜(C)は、出発材料として用いるハイドロゲルの斜視図である。
図1(A)に示す構成例では、ハイドロゲル11は、複数のセルロース繊維を骨格として含んで構成されている。
ハイドロゲル11に含まれている複数のセルロース繊維は、網目状に絡まり合って骨格を形成しており、これら複数のセルロース繊維間には間隙、すなわち略楕円球状の複数のポアが形成されている。そして、これらセルロース繊維間のポアに水が浸透した状態で含まれている。
また、ハイドロゲル11は、例えば酢酸菌を好ましくは周知の静置培養または振とう培養を用いて培養して形成されている。
ここで、上述したセルロース繊維間のポアの径、すなわちポア径は、培養中の環境に応じてハイドロゲルの部分によって異なる。ここで、ポア径とは、ポアを画成するセルロース繊維間の、ある方向に沿った最大離間距離を意味する。
上述した静置培養または振とう培養を用いてハイドロゲルを作成する場合、培養中のハイドロゲルを収容する培養槽内は、重力方向に沿った上下で、液体培地、すなわち培養液としての液相とこの液相外の空気相とに分かれている。従って、培養槽内において、液相中に存在するハイドロゲルの部分は培養液に浸った状態で、また、空気相中に存在するハイドロゲルの部分は空気に晒された状態で、それぞれ培養される。このような培養の環境の差異に起因して、形成されるハイドロゲルは、液相中で培養された部分(以下、液相部分とも称する)と空気相中で培養された部分(以下、空気相部分とも称する)とで、このハイドロゲルに含まれる複数のセルロース繊維同士が互いに密着する割合が異なる。その結果、液相部分と空気相部分とで、これらに含まれる複数のセルロース繊維同士が束状に密着して成る複数の繊維束の幅、すなわち繊維束の延在方向に直交する面に沿った幅の平均値が異なる。
そのため、ハイドロゲルは、液相部分と空気相部分とで、上述したようにポア径が異なる。
そして、この実施の形態では、ハイドロゲル11として、例えばココナッツミルクを培養液とし、培養開始時のpHを例えばpH4〜5の範囲内に設定し、24〜29℃の温度下において、7〜30日間の範囲内の時間で培養して得られたハイドロゲルを用いるのが好ましい。
このような培養条件において形成されたハイドロゲル11は、図1(A)に示すように、上述した液相部分であった第1ハイドロゲル部13と、上述した空気相部分であった第2ハイドロゲル部15とを一体的に含んで構成されている。既に説明したように培養槽内において、液相と空気相とは重力方向に沿った上下で分かれている。従って、ハイドロゲル11内において、第1ハイドロゲル部13と第2ハイドロゲル部15とは、培養中の重力方向に沿って互いに重なり合うように含まれている。ここで、セルロース繊維の成長方向(以下、単に成長方向とも称する)は、培養中の重力方向である。
そして、上述した培養条件では、第1ハイドロゲル部13では、セルロース繊維束の幅の平均値が1.0μm未満となる。その結果、第1ハイドロゲル部13に含まれる複数のポアのうちの、成長方向に直交する面に沿ったポア径が1μm未満であるポアは、この成長方向に直交する面に沿ったポア径の平均値が0.6μm以上1.0μm未満の範囲内となる。また、第1ハイドロゲル部13に含まれる複数のポアは、成長方向に沿ったポア径の平均値が3μm以上10μm以下の範囲内となる。
また、上述した培養条件では、第2ハイドロゲル部15では、セルロース繊維束の幅の平均値が1.0μm以上となる。その結果、第2ハイドロゲル部15に含まれる複数のポアのうちの、成長方向に直交する面に沿ったポア径が1μm未満であるポアは、この成長方向に直交する面に沿ったポア径の平均値が0.6μm未満となる。また、第2ハイドロゲル部15に含まれる複数のポアは、成長方向に沿ったポア径の平均値が3μm未満となる。
第1ハイドロゲル部13及び第2ハイドロゲル部15の各々のセルロース繊維束の幅及びポア径は、例えばこれらを含むハイドロゲル11を凍結乾燥して、乾燥状態において顕微鏡写真を撮影することによって実測することができる。
なお、上述した培養条件は一例であり、このような繊維束の幅及びポア径で作成された第1ハイドロゲル部13及び第2ハイドロゲル部15を有するハイドロゲル11を作成することができるならば、任意に培養条件を変更してもよい。
また、図1(A)に示す構成例では、第1ハイドロゲル部13と第2ハイドロゲル部15とが互いに一体的に重なり合って構成されているハイドロゲル11を示しているが、例えば第1ハイドロゲル部13のみ、または第2ハイドロゲル部15のみで構成されたハイドロゲルを材料として用いてもよい。
すなわち、図1(B)に示すように、上述した培養条件によって得られたハイドロゲルから第1ハイドロゲル部13のみを切り出して用意したハイドロゲル111を材料として用いてもよい。また、図1(C)に示すように、上述した培養条件によって得られたハイドロゲルから第2ハイドロゲル部15のみを切り出して用意したハイドロゲル211を材料として用いてもよい。
なお、以下の説明では、この実施の形態を、図1(A)に示す、第1ハイドロゲル部13と第2ハイドロゲル部15とが互いに一体的に重なり合って構成されているハイドロゲル11を材料として用いる場合について説明する。
この実施の形態では、後述する第2工程において、第1ハイドロゲル部13と第2ハイドロゲル部15との境界17に沿った方向にこのハイドロゲル11を圧縮する。そして、この実施の形態では、この境界17に沿った圧縮方向を、ハイドロゲル11の厚さ方向とする。
既に説明したように、第1ハイドロゲル部13と第2ハイドロゲル部15とは、成長方向に沿って互いに重なり合っている。従って、成長方向は、境界17に直交する方向として設定される。また、厚さ方向は、成長方向に直交する方向として設定される。
なお、第1ハイドロゲル部13のみで構成されたハイドロゲル111(図1(B)参照)、または第2ハイドロゲル部15のみで構成されたハイドロゲル211(図1(C)参照)を用いる場合においても、成長方向(すなわち培養中の重力方向)に直交する方向を厚さ方向として設定する。
ここで、図1(A)を参照して説明したハイドロゲル11を材料として用いて、例えば水に浸す等の方法によって非乾燥状態に復元可能な、乾燥状態の孔状部付きエアロゲルを製造する。製造される孔状部付きエアロゲルは、用途によっては、非乾燥状態に復元して使用される場合が想定される。そのため、製造すべき孔状部付きエアロゲルは、復元して使用する場合の利便性を考慮し、短時間、具体的には例えば3〜60分程度の範囲内の時間で非乾燥状態に復元できることが望ましい。
そのために、ハイドロゲル11を、縦方向、横方向、及び高さ方向のそれぞれの寸法が例えば10〜14mm程度のキューブ状に成形して用いるのが好ましい。
なお、キューブ状のハイドロゲル11は、厳密な立方体である必要はなく、短時間で非乾燥状態に復元できるという効果が得られるならば、直方体を含む略立方体形状のものを用いてもよい。さらに、例えば短時間で復元する必要がない場合、または復元せずにエアロゲルの状態で使用する場合には、キューブ状以外の用途に応じた任意好適な形状及び大きさとしてもよい。
また、詳細は後述するが、ハイドロゲル11は、第1ハイドロゲル部13と第2ハイドロゲル部15とで、後述する第2工程において形成される孔状部の形状または大きさ、及びこの孔状部に対応する、エアロゲルの特性が各々異なる。従って、ハイドロゲル11の、第1ハイドロゲル部13及び第2ハイドロゲル部15が占める各々の体積を、用途に応じて任意好適に設定するのが好ましい。
ここで、図2(A)〜(C)は、図1(A)に続く工程図である。また、図3は、図2(A)に続く工程図である。また、図4(A)及び(B)は、図3に続く工程図である。図2(A)〜(C)、図3、図4(A)及び(B)の各図は、それぞれ、各製造段階で得られた構造体、または対応する工程において使用する器具を、ハイドロゲルの厚さ方向に沿って切り取った切り口で示してある。
孔状部付きエアロゲルの製造方法は、第1工程及び第2工程を含んでいる。以下、第1工程から順に各工程につき説明する。
第1工程では、複数のセルロース繊維を含んで構成されているキューブ状のハイドロゲルの少なくとも一部を水に浸した状態で凍結乾燥する。その結果、ハイドロゲルからエアロゲルを形成する。
そして、この第1工程では、ハイドロゲル11を、このハイドロゲル11の少なくとも一部を水に浸した状態で凍結乾燥する(図2(A)、(B)、及び(C)参照)。
すなわち、凍結乾燥するに際して、ハイドロゲル11を、水19を入れた例えばビーカー等の容器21に収容し、ハイドロゲル11の一部または全部が水19に浸る状態とする。なお、図2(A)及び(B)はハイドロゲル11の一部を水19に浸した場合の構成例を、また、図2(C)はハイドロゲル11の全部を水19に浸した場合の構成例を、それぞれ示している。
そして、ハイドロゲル11の一部を水19に浸した場合には、ハイドロゲル11の水19に浸していない部分、すなわちハイドロゲル11の水が染み込まない部分が非水部23となり、また、ハイドロゲル11の水19に浸した部分、すなわちハイドロゲル11の水19が染み込んだ部分が浸水部25となる(図2(A)及び(B)参照)。
なお、図2(A)では、ハイドロゲル11の厚さ方向を鉛直方向に合わせて容器21に収容することによって、第1ハイドロゲル部13及び第2ハイドロゲル部15の各々の一部を非水部23とし、かつ各々のその他の部分を浸水部25とした場合の構成例を示している。従って、図2(A)に示す構成例では、非水部23は、第1ハイドロゲル部13の非水部、すなわち第1非水部27、及び第2ハイドロゲル部15の非水部、すなわち第2非水部29を含んでいる。また、浸水部25は、第1ハイドロゲル部13の浸水部、すなわち第1浸水部31、及び第2ハイドロゲル部15の浸水部、すなわち第2浸水部33を含んでいる。
また、図2(B)では、ハイドロゲル11の厚さ方向を鉛直方向に直交させ、すなわち水平方向に合わせて、かつ第2ハイドロゲル部15を下側として、第1ハイドロゲル部13と第2ハイドロゲル部15との境界17が水19の水面19aに一致するように、容器21に収容することによって、第1ハイドロゲル部13を非水部23とし、かつ第2ハイドロゲル部15を浸水部25とした場合の構成例を示している。従って、図2(B)に示す構成例では、非水部23は第1非水部27となる。また、浸水部25は第2浸水部33となる。
また、ハイドロゲル11の全部を水19に浸した場合には、ハイドロゲル11の全部、すなわち第1ハイドロゲル部13及び第2ハイドロゲル部15の全部が、水19が染み込んだ浸水部25となる(図2(C)参照)。従って、図2(C)に示す構成例では、浸水部25は、第1浸水部31及び第2浸水部33を含んでいる。
ここで、詳細は後述するが、ハイドロゲル11は、第1ハイドロゲル部13及び第2ハイドロゲル部15の各々の非水部23と浸水部25とで、後述する第2工程において形成される孔状部の形状または大きさ、及びこの孔状部に対応するエアロゲルの特性が各々異なる。
従って、ハイドロゲル11の、第1ハイドロゲル部13及び第2ハイドロゲル部15の各々について、一部を水に浸すか全部を水に浸すかを、用途に応じて任意好適に設定するのが好ましい。すなわち、第1ハイドロゲル部13の少なくとも一部を第1非水部27とする構成、第1ハイドロゲル部13の少なくとも一部を第1浸水部31とする構成、第2ハイドロゲル部15の少なくとも一部を第2非水部29とする構成、第2ハイドロゲル部15の少なくとも一部を第2浸水部33とする構成、またはハイドロゲル11の全部を、第1浸水部31及び第2浸水部33を含む浸水部25とする構成のいずれかを用途に応じて任意好適に設定するのが好ましい。
ハイドロゲル11を水に浸す際の構成として、図2(A)、(B)、及び(C)に示す各構成例以外に、例えば以下の各構成を採用することができる。
すなわち、第1ハイドロゲル部13の全部を第1非水部27とし、第2ハイドロゲル部15の一部を第2非水部29とし、かつその他の第2ハイドロゲル部15の部分を第2浸水部33としてもよい。
また、第1ハイドロゲル部13の一部を第1非水部27とし、その他の第1ハイドロゲル部13の部分を第1浸水部31とし、かつ第2ハイドロゲル部15の全部を第2浸水部33としてもよい。
また、第1ハイドロゲル部13の全部を第1浸水部31とし、かつ第2ハイドロゲル部15の全部を第2非水部29としてもよい。
また、第2ハイドロゲル部15の全部を第2非水部29とし、第1ハイドロゲル部13の一部を第1非水部27とし、かつその他の第1ハイドロゲル部13の部分を第1浸水部31としてもよい。
また、第2ハイドロゲル部15の一部を第2非水部29とし、その他の第2ハイドロゲル部15の部分を第2浸水部33とし、かつ第1ハイドロゲル部13の全部を第1浸水部31としてもよい。
また、この第1工程において、ハイドロゲルとして、図1(B)に示すような、第1ハイドロゲル部13のみで構成されたハイドロゲル111を用いる場合にも、ハイドロゲル111の一部を水に浸すか全部を水に浸すかを、用途に応じて任意好適に設定することができる。
すなわち、例えば、ハイドロゲル111の一部を水に浸すことによって、ハイドロゲル111の水が染み込んだ部分を浸水部(すなわち第1浸水部)とし、及びハイドロゲル111の水が染み込まない部分を非水部(すなわち第1非水部)としてもよい。また、例えば、ハイドロゲル111の全部を水に浸すことによって、ハイドロゲル111の全部を水が染み込んだ浸水部(すなわち第1浸水部)としてもよい。
同様に、この第1工程において、ハイドロゲルとして、図1(C)に示すような、第2ハイドロゲル部15のみで構成されたハイドロゲル211を用いる場合にも、ハイドロゲル211の一部を水に浸すか全部を水に浸すかを、用途に応じて任意好適に設定することができる。
すなわち、例えば、ハイドロゲル211の一部を水に浸すことによって、ハイドロゲル211の水が染み込んだ部分を浸水部(すなわち第2浸水部)とし、及びハイドロゲル211の水が染み込まない部分を非水部(すなわち第2非水部)としてもよい。また、例えば、ハイドロゲル211の全部を水に浸すことによって、ハイドロゲル211の全部を水が染み込んだ浸水部(すなわち第2浸水部)としてもよい。
そして、上述したいずれかの構成で水に浸した状態でハイドロゲルを凍結乾燥することによって、このハイドロゲルが乾燥されて形成されたエアロゲル35を形成する(図3参照)。なお、図3に示すエアロゲル35は、図2(A)に示した構成例において水に浸したハイドロゲル11を凍結乾燥した場合に形成されるエアロゲルを示している。以下の説明では、実施の形態を、この第1工程において図3に示すようなエアロゲル35を形成した場合について説明する。
凍結乾燥は、例えばFDU−1200型(東京理科器械株式会社)等の凍結乾燥機を用いて、例えば−50℃程度の温度で1〜3日間の範囲内の時間で凍結乾燥するのが好ましい。この凍結乾燥では、ハイドロゲル11を、図2(A)、(B)、または(C)に示すように、水19に浸した状態で、すなわち容器21に収容した状態で凍結乾燥機に供する。
そして、凍結乾燥によって、ハイドロゲル11に含まれている水、及び容器21中の水19(図2(A)、(B)、または(C)参照)が凍結した後昇華し、その結果、乾燥状態のエアロゲル35が形成される。
また、ハイドロゲル11を、少なくとも一部を水に浸した状態で凍結乾燥することによって、この凍結乾燥によるハイドロゲル11の破損を防止することができる。
この理由は、以下のように考えられる。仮に水に浸さずにハイドロゲルを凍結乾燥する場合、凍結乾燥中において、まず、ハイドロゲル中の表面部に含まれている水が凍結された後昇華し、その後、ハイドロゲルの中心部の水が凍結される。そして、中心部の水が凍結される際、水が体積膨張し、この体積膨張の応力によって、既に乾燥され強度が低下しているハイドロゲルの表面部に例えば割れまたは亀裂等の破損が生じる恐れがある。
これに対して、ハイドロゲルを、少なくとも一部を水に浸した状態で凍結乾燥する場合、凍結乾燥中において、まず、ハイドロゲルを浸している水が凍結され昇華する。この間に、ハイドロゲルに含まれている水が中心部まで凍結される。従って、ハイドロゲルは、中心部が凍結される時点においても、表面部が完全に乾燥されていないため、上述した凍結乾燥中の破損を防止することができる。
上述した凍結乾燥により形成されたエアロゲル35は、乾燥前のハイドロゲル11の複数のセルロース繊維間に含まれていた水が空気に置換されて構成されている。
そして、エアロゲル35は、ハイドロゲル11の第1ハイドロゲル部13を凍結乾燥して形成した第1エアロゲル部37、及び第2ハイドロゲル部15を凍結乾燥して形成した第2エアロゲル部39を含んで構成されている。
また、第1ハイドロゲル部13の第1非水部27は、凍結乾燥されることによって乾燥状態の第1非水部41となり、第1浸水部31は、凍結乾燥されることによって乾燥状態の第1浸水部45となる。従って、第1エアロゲル部37は、乾燥状態の第1非水部41、及び乾燥状態の第1浸水部45を含んでいる。なお、以下の説明においては、これら乾燥状態の第1非水部41及び第1浸水部45を、乾燥第1非水部41及び乾燥第1浸水部45とも称する。
また、第2ハイドロゲル部15の第2非水部29は、凍結乾燥されることによって乾燥状態の第2非水部43となり、第2浸水部33は、凍結乾燥されることによって乾燥状態の第2浸水部47となる。従って、第2エアロゲル部39は、乾燥状態の第2非水部43及び乾燥状態の第2浸水部47を含んでいる。なお、以下の説明においては、これら乾燥状態の第2非水部43及び第2浸水部47を、乾燥第2非水部43及び乾燥第2浸水部47とも称する。
次に、第2工程では、上述した第1工程において形成したエアロゲル35を厚さ方向に圧縮する(図4(A)参照)。
そのために、周知のプレス機、例えば1トンハイプレッシャージャッキMS−1P(アズワン株式会社)を用いて例えば30秒間程度の時間で圧縮するのが好ましい。
また、エアロゲル35の全領域に対して均等に圧力を加えるために、圧縮方向すなわち厚さ方向を、成長方向に沿ったエアロゲル35の各面のうちの互いに対向する一対の面に直交する方向とするのが好ましい。なお、図4(A)では、エアロゲル35の面35a及び35bに直交する方向を圧縮方向とした場合の構成例を示している。
ここで、圧縮前のエアロゲル35において、このエアロゲル35の骨格として含まれている複数のセルロース繊維は、複数のセルロース繊維同士が束状に密着し合った複数の繊維束の状態で、あるいはこれら繊維束に含まれない単繊維の状態で存在する。
そして、この圧縮によって、複数の繊維束同士が、あるいは繊維束と単繊維とが、さらに互いに密着し合うことによって、より大きな繊維束が形成される。なお、この圧縮によって形成された繊維束を繊維束群とも称する。
このとき、形成された繊維束群間には、圧縮前のポアが拡大された状態で残存し、孔状部が形成される。この孔状部は、上述した圧縮方向に沿って圧縮された状態で形成される。
その結果、エアロゲル35の厚さを圧縮前と比して薄くするとともに、エアロゲル35内に複数の圧縮された状態の孔状部(以下、圧縮孔状部とも称する)を形成して、図4(B)に示すような孔状部付きエアロゲル49を得る。
孔状部付きエアロゲル49は、圧縮状態の第1エアロゲル部51及び第2エアロゲル部53を含んで構成されている。孔状部付きエアロゲル49の第1エアロゲル部51は、圧縮前の第1エアロゲル部37と比して厚さが薄くなり、また、第2エアロゲル部53は、圧縮前の第2エアロゲル部39と比して厚さが薄くなる。なお、以下の説明においては、これら圧縮状態の第1エアロゲル部51及び第2エアロゲル部53を、圧縮第1エアロゲル部51及び圧縮第2エアロゲル部53とも称する。
また、圧縮第1エアロゲル部51は、圧縮状態の第1非水部55及び第1浸水部59を含んでいる。第1非水部55は、圧縮前の乾燥第1非水部41と比して厚さが薄くなり、第1浸水部59は、圧縮前の乾燥第1浸水部45と比して厚さが薄くなる。なお、以下の説明においては、これら圧縮状態の第1非水部55及び第1浸水部59を、圧縮第1非水部55及び圧縮第1浸水部59とも称する。
また、圧縮第2エアロゲル部53は、圧縮状態の第2非水部57及び第1浸水部61を含んでいる。第2非水部57は、圧縮前の乾燥第2非水部43と比して厚さが薄くなり、第2浸水部61は、圧縮前の乾燥第2浸水部47と比して厚さが薄くなる。なお、以下の説明においては、これら圧縮状態の第2非水部57及び第2浸水部61を、圧縮第2非水部57及び圧縮第2浸水部61とも称する。
ここで、圧縮孔状部は、圧縮第1非水部55、圧縮第2非水部57、圧縮第1浸水部59、及び圧縮第2浸水部61の各部において、及び圧縮時の圧力に応じて、異なる形状または大きさで形成される。
〈圧縮孔状部〉
以下、表1、図5、図6、図7、及び図8を参照して、孔状部付きエアロゲル49の各部55、57、59、及び61に形成される圧縮孔状部の形状及び大きさについて説明する。
図5(A)〜(D)、図6(A)〜(C)、図7(A)〜(C)、及び図8(A)〜(C)は、それぞれ異なる圧力で圧縮することによって形成した圧縮第1非水部55、圧縮第2非水部57、圧縮第1浸水部59、及び圧縮第2浸水部61を比較する図である。これらの各図は、孔状部付きエアロゲル49の各部55、57、59、及び61を撮影して得られた顕微鏡写真である。そして、これらの顕微鏡写真は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡JSM−5200を用いて撮影された。
まず、表1に示すように、圧縮第1非水部55では、上述した圧縮時において1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、複数のポアの各ポア径が圧縮前と比して拡大された状態で、さらに圧縮状態とされて構成された複数の圧縮孔状部、すなわち圧縮拡大ポアが形成される。
そして、これら圧縮拡大ポアの、圧縮方向に直交する面に沿った最大幅の平均値は、7.5μm程度となる。
また、圧縮方向に沿ってこれら圧縮拡大ポアを挟む繊維同士は、ほぼ密着した状態となる。
この圧縮拡大ポアが形成された圧縮第1非水部55を図5(A)に示す。
図5(A)は、上述した圧縮時において7.1MPaの圧力を加えて形成された圧縮第1非水部55の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を500倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図5(A)から、圧縮第1非水部55に複数の圧縮拡大ポア501が形成されているのを確認できる。
また、圧縮第1非水部55では、上述した圧縮時において7.1MPaよりも大きく14.2MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、複数の筒状のホールが圧縮状態とされている複数の圧縮孔状部、すなわち圧縮ホールが形成される。
これら複数の圧縮ホールは、厚さ方向、すなわち圧縮方向に直交する面に沿って互いにほぼ平行に配列して延在し、かつ圧縮第1非水部55を貫通して形成される。
そして、圧縮方向に直交する面に沿った、これら圧縮ホールの延在方向に直交する最大幅の平均値は、50μm程度となる。
また、圧縮方向に沿って圧縮ホールを挟む繊維同士は、互いに近づき合う。その結果、これら圧縮ホールの、圧縮方向に沿った幅の平均値は、2μm程度となる。
この圧縮ホールが形成された圧縮第1非水部55を図5(B)に示す。
図5(B)は、上述した圧縮時において14.2MPaの圧力を加えて形成された圧縮第1非水部55の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を500倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図5(B)から、圧縮第1非水部55に複数の圧縮ホール503が形成されているのを確認できる。
また、圧縮第1非水部55では、上述した圧縮時において14.2MPaよりも大きく28.3MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、複数の繊維束、すなわち複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って形成された繊維束の幅が圧縮前と比して拡大された繊維束として、上述した繊維束群が形成される。これら繊維束群は、厚さ方向(すなわち圧縮方向)に直交する面に沿ってストライプ状に延在する。その結果、これら複数の繊維束群の、隣り合う繊維束群間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮孔状部、すなわち圧縮繊維束間隙が形成される。
そして、圧縮方向に直交する面に沿った、これら圧縮繊維束間隙の延在方向に直交する最大幅の平均値は、5μm程度となる。
また、圧縮方向に沿ってこれら圧縮繊維束間隙を挟む繊維同士は、ほぼ密着した状態となる。
この圧縮繊維束間隙が形成された圧縮第1非水部55を図5(C)に示す。
図5(C)は、上述した圧縮時において28.3MPaの圧力を加えて形成された圧縮第1非水部55の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を1500倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図5(C)から、圧縮第1非水部55に複数の圧縮繊維束間隙505が形成されているのを確認できる。
なお、14.2MPaよりも大きく28.3MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、圧縮第1非水部55内には、上述した圧縮ホールが、圧縮繊維束間隙に混在して形成される。この混在して形成される圧縮ホールが圧縮第1非水部55内において占める割合は、加える圧力を大きくするに従って小さくなる。そして、圧縮方向に直交する面に沿った混在して形成される圧縮ホールの延在方向に直交する最大幅の平均値は、50μm程度となる。
この圧縮ホールと圧縮繊維束間隙とが混在して形成された圧縮第1非水部55を図5(D)に示す。
図5(D)は、上述した圧縮時において21.3MPaの圧力を加えて形成された圧縮第1非水部55の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を500倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図5(D)から、圧縮第1非水部55に複数の圧縮ホール507及び圧縮繊維束間隙509が形成されているのを確認できる。
次に、圧縮第1浸水部59では、上述した圧縮時において1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、圧縮拡大ポアが形成される。
そして、これら圧縮拡大ポアの、圧縮方向に直交する面に沿った最大幅の平均値は、7.5μm程度となる。
また、圧縮方向に沿ってこれら圧縮拡大ポアを挟む繊維同士は、ほぼ密着した状態となる。
この圧縮拡大ポアが形成された圧縮第1浸水部59を図6(A)に示す。
図6(A)は、上述した圧縮時において7.1MPaの圧力を加えて形成された圧縮第1浸水部59の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を500倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図6(A)から、圧縮第1浸水部59に複数の圧縮拡大ポア601が形成されているのを確認できる。
また、第1浸水部59では、上述した圧縮時において7.1MPaよりも大きく14.2MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、圧縮繊維束間隙が形成される。
そして、これら圧縮繊維束間隙の、圧縮方向に直交する面に沿った最大幅の平均値は、5μm程度となる。
また、圧縮方向に沿ってこれら圧縮繊維束間隙を挟む繊維同士は、ほぼ密着した状態となる。
この圧縮繊維束間隙が形成された圧縮第1浸水部59を図6(B)に示す。
図6(B)は、上述した圧縮時において14.2MPaの圧力を加えて形成された第1浸水部59の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図6(B)から、圧縮第1浸水部59に複数の圧縮繊維束間隙603が形成されているのを確認できる。
また、圧縮第1浸水部59では、上述した圧縮時において14.2MPaよりも大きく28.3MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、圧縮繊維束間隙が形成される。
そして、圧縮方向に直交する面に沿った、これら圧縮繊維束間隙の延在方向に直交する最大幅の平均値は、0.5μm程度となる。
また、圧縮方向に沿ってこれら圧縮繊維束間隙を挟む繊維同士は、ほぼ密着した状態となる。
この圧縮繊維束間隙が形成された圧縮第1浸水部59を図6(C)に示す。
図6(C)は、上述した圧縮時において28.3MPaの圧力を加えて形成された圧縮第1浸水部59の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を1500倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図6(C)から、圧縮第1浸水部59に複数の圧縮繊維束間隙605が形成されているのを確認できる。
次に、圧縮第2非水部57では、上述した圧縮時において1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、圧縮拡大ポアが形成される。
そして、これら圧縮拡大ポアの、圧縮方向に直交する面に沿った最大幅の平均値は、4μm程度となる。
また、圧縮方向に沿ってこれら圧縮拡大ポアを挟む繊維同士は、ほぼ密着した状態となる。
この圧縮拡大ポアが形成された圧縮第2非水部57を図7(A)に示す。
図7(A)は、上述した圧縮時において7.1MPaの圧力を加えて形成された圧縮第2非水部57の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を1500倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図7(A)から、圧縮第2非水部57に複数の圧縮拡大ポア701が形成されているのを確認できる。
また、圧縮第2非水部57では、上述した圧縮時において7.1MPaよりも大きく14.2MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、圧縮繊維束間隙が形成される。
そして、圧縮方向に直交する面に沿った、これら圧縮繊維束間隙の延在方向に直交する最大幅の平均値は、1μm程度となる。
また、圧縮方向に沿ってこれら圧縮繊維束間隙を挟む繊維同士は、ほぼ密着した状態となる。
この圧縮繊維束間隙が形成された圧縮第2非水部57を図7(B)に示す。
図7(B)は、上述した圧縮時において14.2MPaの圧力を加えて形成された圧縮第2非水部57の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を1500倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図7(B)から、圧縮第2非水部57に複数の圧縮繊維束間隙703が形成されているのを確認できる。
また、圧縮第2非水部57では、上述した圧縮時において14.2MPaよりも大きく28.3MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、圧縮繊維束間隙が形成される。
そして、圧縮方向に直交する面に沿った、これら圧縮繊維束間隙の延在方向に直交する最大幅の平均値は、2μm程度となる。
また、圧縮方向に沿ってこれら圧縮繊維束間隙を挟む繊維同士は、ほぼ密着した状態となる。
この圧縮繊維束間隙が形成された圧縮第2非水部57を図7(C)に示す。
図7(C)は、上述した圧縮時において28.3MPaの圧力を加えて形成された圧縮第2非水部57の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図7(C)から、圧縮第2非水部57に複数の圧縮繊維束間隙705が形成されているのを確認できる。
次に、圧縮第2浸水部61では、上述した圧縮時において1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、圧縮拡大ポアが形成される。
そして、これら圧縮拡大ポアの、圧縮方向に直交する面に沿った最大幅の平均値は、4μm程度となる。
また、圧縮方向に沿ってこれら圧縮拡大ポアを挟む繊維同士は、ほぼ密着した状態となる。
この圧縮拡大ポアが形成された圧縮第2浸水部61を図8(A)に示す。
図8(A)は、上述した圧縮時において7.1MPaの圧力を加えて形成された圧縮第2浸水部61の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を500倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図8(A)から、圧縮第2浸水部61に複数の圧縮拡大ポア801が形成されているのを確認できる。
また、圧縮第2浸水部61では、上述した圧縮時において7.1MPaよりも大きく14.2MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、圧縮拡大ポアが形成される。
そして、これら圧縮拡大ポアの、圧縮方向に直交する面に沿った最大幅の平均値は、2μm程度となる。
また、圧縮方向に沿ってこれら圧縮拡大ポアを挟む繊維同士は、ほぼ密着した状態となる。
この圧縮拡大ポアが形成された圧縮第2浸水部61を図8(B)に示す。
図8(B)は、上述した圧縮時において14.2MPaの圧力を加えて形成された圧縮第2浸水部61の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図8(B)から、第2浸水部61に複数の圧縮拡大ポア803が形成されているのを確認できる。
また、第2浸水部61では、上述した圧縮時において14.2MPaよりも大きく28.3MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、圧縮繊維束間隙が形成される。
そして、圧縮方向に直交する面に沿った、これら圧縮繊維束間隙の延在方向に直交する最大幅の平均値は、1μm程度となる。
また、圧縮方向に沿ってこれら圧縮繊維束間隙を挟む繊維同士は、ほぼ密着した状態となる。
この圧縮繊維束間隙が形成された第2浸水部61を図8(C)に示す。
図8(C)は、上述した圧縮時において28.3MPaの圧力を加えて形成された圧縮第2浸水部61の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図8(C)から、圧縮第2浸水部61に複数の圧縮繊維束間隙805が形成されているのを確認できる。
表1に示したこれら各圧縮孔状部は、上述したようにエアロゲル35全体に均等な圧力を加えて圧縮することによって、孔状部付きエアロゲル49の各部55、57、59、及び61の各々において均等に、すなわち圧縮孔状部が占める割合、及びこれら各圧縮孔状部の大きさにばらつきが生じることなく形成される。
なお、孔状部付きエアロゲルの製造方法では、一例として第1ハイドロゲル部13及び第2ハイドロゲル部15を含むハイドロゲル11(図1(A)参照)を材料として、第1非水部55、第2非水部57、第1浸水部59、及び第2浸水部61の各々を含む孔状部付きエアロゲル49を製造する場合の構成について説明した。しかし、例えば第1ハイドロゲル部13のみを含むハイドロゲル111(図1(B)参照)、または第2ハイドロゲル部15のみを含むハイドロゲル211(図1(C)参照)を材料とした場合であっても、また、第1非水部、第2非水部、第1浸水部、及び第2浸水部の各々をどのような組み合わせで含む孔状部付きエアロゲルを製造した場合であっても、孔状部付きエアロゲルの各部における圧縮時の圧力と形成される圧縮孔状部の形状及び大きさとの関係は、表1に示したのと同様となる。
従って、上述した培養中において液相部分であった部分(すなわち第1ハイドロゲル部13)及び空気相部分であった部分(すなわち第2ハイドロゲル部15)の双方が一体となったハイドロゲルを材料として用いるか、またはいずれか一方から構成されたハイドロゲルを材料として用いるかを、及びハイドロゲルのいずれの部分を非水部または浸水部とするかを、所望する圧縮孔状部の形状及び大きさに応じて任意に選択することができる。
〈復元ハイドロゲル〉
次に、上述した孔状部付きエアロゲルを非圧縮状態のハイドロゲルに復元する方法、すなわち孔状部付きエアロゲルを用いた復元ハイドロゲルの製造方法、及びこの復元方法によって製造された復元ハイドロゲルについて説明する。
図9(A)及び(B)は、この復元ハイドロゲルの製造方法を説明するための工程図でありこれらの各図は、それぞれ、各製造段階で得られた構造体、または対応する工程において使用する器具を、エアロゲルの厚さ方向に沿って切り取った切り口で示してある。
この実施の形態による復元ハイドロゲルの製造方法は、以下の工程を含んでいる。
すなわち、上述した孔状部付きエアロゲルの製造方法を用いて製造した孔状部付きエアロゲルを水に浸す(図9(A)参照)。なお、図9(A)では、孔状部付きエアロゲルとして、図4(B)に示す孔状部付きエアロゲル49を用いた場合の構成例を示している。そして、以下の説明では、この孔状部付きエアロゲル49を復元する場合について説明する。
そのために、例えば容器63に孔状部付きエアロゲル49を収容し、この容器63中において水65に浸す。そして、孔状部付きエアロゲル49を十分に復元するために、例えば最大でも24時間水65に浸すのが好ましい。
その結果、乾燥状態にある孔状部付きエアロゲル49に水が浸透することによって、乾燥状態の孔状部付きエアロゲル49が、非乾燥状態のハイドロゲル、すなわち復元ハイドロゲル79に復元される(図9(B)参照)。
このとき、水が浸透することによって、圧縮状態にあった孔状部付きエアロゲル49が、厚さ方向に膨張することによって非圧縮状態に復元される。
復元された第1ハイドロゲル部67は、孔状部付きエアロゲル49の圧縮第1エアロゲル部51が水を含んで構成されており、かつ非圧縮状態、すなわち圧縮第1エアロゲル部51が厚さ方向に膨張した状態となる。また、復元された第2ハイドロゲル部69は、圧縮第2エアロゲル部53が水を含んで構成されており、かつ非圧縮状態、すなわち圧縮第2エアロゲル部53が厚さ方向に膨張した状態となる。従って、復元ハイドロゲル79は、復元された第1ハイドロゲル部67及び第2ハイドロゲル部69を含んで構成されている。なお、以下の説明においては、これら復元された第1ハイドロゲル部67及び第2ハイドロゲル部69を、復元第1ハイドロゲル部67及び復元第2ハイドロゲル部69とも称する。
また、復元された第1非水部71は、復元前の圧縮第1非水部55が厚さ方向に膨張した状態となり、復元された第1浸水部75は、復元前の圧縮第1浸水部59が厚さ方向に膨張した状態となる。そして、これらは各々水を含んで構成されている。従って、復元第1ハイドロゲル部67は、復元された第1非水部71及び第1浸水部75を含んでいる。なお、以下の説明においては、これら復元された第1非水部71及び第1浸水部75を、復元第1非水部71及び復元第1浸水部75とも称する。
また、復元された第2非水部73は、復元前の圧縮第2非水部57が厚さ方向に膨張した状態となり、復元された第2浸水部77は、復元前の圧縮第2浸水部61が厚さ方向に膨張した状態となる。そして、これらは各々水を含んで構成されている。従って、復元第2ハイドロゲル部69は、復元された第2非水部73及び第2浸水部77を含んでいる。なお、以下の説明においては、これら復元された第2非水部73及び第2浸水部77を、復元第2非水部73及び復元第2浸水部77とも称する。
また、孔状部付きエアロゲル49に形成されている圧縮孔状部は、孔状部付きエアロゲル49の厚さに伴って膨張することによって非圧縮状態となる。すなわち、圧縮孔状部から孔状部が形成される。
そして、孔状部は、孔状部付きエアロゲル49に形成されている圧縮孔状部の形状及び大きさに応じて、及び上述した孔状部付きエアロゲルの製造方法における圧縮時の圧力に応じて、各々異なる形状または大きさで形成される。すなわち、孔状部は、復元第1非水部71、復元第2非水部73、復元第1浸水部75、及び復元第2浸水部77の各々において、それぞれ圧縮時の圧力に応じて異なる形状または大きさで形成される。
〈復元された孔状部〉
以下、表2、図10、図11、図12、及び図13を参照して、復元ハイドロゲル79の各部71、73、75、及び77に形成される孔状部の形状及び大きさについて説明する。
図10(A)〜(E)、図11(A)〜(C)、図12(A)〜(C)、及び図13(A)〜(C)は、圧縮時においてそれぞれ異なる圧力を加えて形成された復元第1非水部71、復元第2非水部73、復元第1浸水部75、及び復元第2浸水部77を比較する図である。これらの各図は、復元ハイドロゲル79の各部71、73、75、及び77を撮影して得られた顕微鏡写真である。そして、これらの顕微鏡写真は、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡JSM−5200を用いて撮影された。
まず、復元第1非水部71では、上述した圧縮時において1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力を加えた場合には、上述した複数の圧縮拡大ポアが厚さ方向に膨張することによって、孔状部としての複数の拡大ポアが形成される。
すなわち、これら拡大ポアは、上述した孔状部付きエアロゲルの製造方法における圧縮前のエアロゲル35(図3参照)の複数のポアの各ポア径が圧縮前と比して拡大された状態で構成される。
そして、これら拡大ポアの、厚さ方向に直交する面に沿った最大幅の平均値は、7.5μm程度となる。
この拡大ポアが形成された復元第1非水部71を図10(A)に示す。
図10(A)は、上述した圧縮時において7.1MPaの圧力を加えて形成された復元第1非水部71の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図10(A)から、復元第1非水部71に複数の拡大ポア1001が形成されているのを確認できる。
また、復元第1非水部71では、上述した圧縮時において7.1MPaよりも大きく14.2MPa以下の範囲内の圧力を加えた場合には、上述した圧縮ホールが厚さ方向に膨張することによって、孔状部としての複数のホールが形成される。
これら複数のホールは、厚さ方向に直交する面に沿って互いにほぼ平行に配列して延在し、かつ復元第1非水部71を貫通して形成される。
そして、厚さ方向に直交する面に沿った、これらホールの延在方向に直交する最大幅の平均値は、50μm程度となる。
また、これらホールの、圧縮方向に沿った幅の平均値は、50μm程度となる。
このホールが形成された復元第1非水部71を図10(B)に示す。
図10(B)は、上述した圧縮時において14.2MPaの圧力を加えて形成された復元第1非水部71の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を150倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。また、図10(C)は、第1非水部71の、厚さ方向に沿って切断した断面を500倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図10(B)及び(C)から、第1非水部71に複数のホール1003が形成されているのを確認できる。
また、復元第1非水部71では、上述した圧縮時において14.2MPaよりも大きく28.3MPa以下の範囲内の圧力を加えた場合には、上述した圧縮繊維束間隙が厚さ方向に膨張することによって、孔状部としての複数の繊維束間隙が形成される。
すなわち、複数の繊維束間隙は、上述した複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束としての繊維束群の、隣り合う繊維束群間の各間隙として形成される。
そして、厚さ方向に直交する面に沿った、これら繊維束間隙の延在方向に直交する最大幅の平均値は、10μm程度となる。
この圧縮繊維束間隙が形成された復元第1非水部71を図10(D)に示す。
図10(D)は、上述した圧縮時において28.3MPaの圧力を加えて形成された復元第1非水部71の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を500倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図10(D)から、復元第1非水部71に複数の繊維束間隙1005が形成されているのを確認できる。
なお、14.2MPaよりも大きく28.3MPa以下の範囲内の圧力を加える場合には、圧縮第1非水部55内には、上述したホールが、繊維束間隙に混在して形成される。この混在して形成されるホールが復元第1非水部71内において占める割合は、加える圧力を大きくするに従って小さくなる。そして、厚さ方向に直交する面に沿った、混在して形成されるホールの延在方向に直交する最大幅の平均値は、50μm程度となる。
このホールと繊維束間隙とが混在して形成された復元第1非水部71を図10(E)に示す。
図10(E)は、上述した圧縮時において21.3MPaの圧力を加えて形成された復元第1非水部71の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を150倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図10(E)から、復元第1非水部71に複数のホール1007及び繊維束間隙1009が形成されているのを確認できる。
次に、復元第1浸水部75では、上述した圧縮時において1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力を加えた場合には、上述した複数の圧縮拡大ポアが厚さ方向に膨張することによって、孔状部としての複数の拡大ポアが形成される。
そして、これら拡大ポアの、厚さ方向に直交する面に沿った最大幅の平均値は、7.5μm程度となる。
この拡大ポアが形成された復元第1浸水部75を図11(A)に示す。
図11(A)は、上述した圧縮時において7.1MPaの圧力を加えて形成された復元第1浸水部75の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図11(A)から、復元第1浸水部75に複数の拡大ポア1101が形成されているのを確認できる。
また、復元第1浸水部75では、上述した圧縮時において7.1MPaよりも大きく14.2MPa以下の範囲内の圧力を加えた場合には、上述した圧縮繊維束間隙が厚さ方向に膨張することによって、孔状部としての複数の繊維束間隙が形成される。
そして、厚さ方向に直交する面に沿った、これら繊維束間隙の延在方向に直交する最大幅の平均値は、7.5μm程度となる。
この繊維束間隙が形成された復元第1浸水部75を図11(B)に示す。
図11(B)は、上述した圧縮時において14.2MPaの圧力を加えて形成された復元第1浸水部75の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図11(B)から、復元第1浸水部75に複数の繊維束間隙1103が形成されているのを確認できる。
また、復元第1浸水部75では、上述した圧縮時において14.2MPaよりも大きく28.3MPa以下の範囲内の圧力を加えた場合には、上述した圧縮繊維束間隙が厚さ方向に膨張することによって、孔状部としての複数の繊維束間隙が形成される。
そして、厚さ方向に直交する面に沿った、これら繊維束間隙の延在方向に直交する最大幅の平均値は、7.5μm程度となる。
この圧縮繊維束間隙が形成された復元第1浸水部75を図11(C)に示す。
図11(C)は、上述した圧縮時において28.3MPaの圧力を加えて形成された復元第1浸水部75の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図11(C)から、復元第1浸水部75に複数の繊維束間隙1105が形成されているのが確認できる。
次に、復元第2非水部73では、上述した圧縮時において1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力を加えた場合には、上述した複数の圧縮拡大ポアが厚さ方向に膨張することによって、孔状部としての複数の拡大ポアが形成される。
そして、これら拡大ポアの、厚さ方向に直交する面に沿った最大幅の平均値は、3.5μm程度となる。
この拡大ポアが形成された復元第2非水部73を図12(A)に示す。
図12(A)は、上述した圧縮時において7.1MPaの圧力を加えて形成された復元第2非水部73の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図12(A)から、復元第2非水部73に複数の拡大ポア1201が形成されているのを確認できる。
また、復元第2非水部73では、上述した圧縮時において7.1MPaよりも大きく14.2MPa以下の範囲内の圧力を加えた場合には、上述した圧縮繊維束間隙が厚さ方向に膨張することによって、孔状部としての複数の繊維束間隙が形成される。
そして、厚さ方向に直交する面に沿った、これら繊維束間隙の延在方向に直交する最大幅の平均値は、6.5μm程度となる。
この繊維束間隙が形成された復元第2非水部73を図12(B)に示す。
図12(B)は、上述した圧縮時において14.2MPaの圧力を加えて形成された復元第2非水部73の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図12(B)から、復元第2非水部73に複数の繊維束間隙1203が形成されているのを確認できる。
また、復元第2非水部73では、上述した圧縮時において14.2MPaよりも大きく28.3MPa以下の範囲内の圧力を加えた場合には、上述した圧縮繊維束間隙が厚さ方向に膨張することによって、孔状部としての複数の繊維束間隙が形成される。
そして、厚さ方向に直交する面に沿った、これら繊維束間隙の延在方向に直交する最大幅の平均値は、3μm程度となる。
この繊維束間隙が形成された復元第2非水部73を図12(C)に示す。
図12(C)は、上述した圧縮時において28.3MPaの圧力を加えて形成された復元第2非水部73の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図12(C)から、復元第2非水部73に複数の繊維束間隙1205が形成されているのを確認できる。
次に、復元第2浸水部77では、上述した圧縮時において1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力を加えた場合には、上述した複数の圧縮拡大ポアが厚さ方向に膨張することによって、孔状部としての複数の拡大ポアが形成される。
そして、これら拡大ポアの、厚さ方向に直交する面に沿った最大幅の平均値は、4μm程度となる。
この拡大ポアが形成された復元第2浸水部77を図13(A)に示す。
図13(A)は、上述した圧縮時において7.1MPaの圧力を加えて形成された復元第2浸水部77の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図13(A)から、復元第2浸水部77に複数の拡大ポア1301が形成されているのを確認できる。
また、復元第2浸水部77では、上述した圧縮時において7.1MPaよりも大きく14.2MPa以下の範囲内の圧力を加えた場合には、上述した圧縮拡大ポアが厚さ方向に膨張することによって、孔状部としての複数の拡大ポアが形成される。
そして、これら拡大ポアの、厚さ方向に直交する面に沿った最大幅の平均値は、5μm程度となる。
この拡大ポアが形成された復元第2浸水部77を図13(B)に示す。
図13(B)は、上述した圧縮時において14.2MPaの圧力を加えて形成された復元第2浸水部77の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図13(B)から、復元第2浸水部77に複数の拡大ポア1303が形成されているのを確認できる。
また、復元第2浸水部77では、上述した圧縮時において14.2MPaよりも大きく28.3MPa以下の範囲内の圧力を加えた場合には、上述した圧縮繊維束間隙が厚さ方向に膨張することによって、孔状部としての複数の繊維束間隙が形成される。
そして、厚さ方向に直交する面に沿った、これら繊維束間隙の延在方向に直交する最大幅の平均値は、5μm程度となる。
この繊維束間隙が形成された復元第2浸水部77を図13(C)に示す。
図13(C)は、上述した圧縮時において28.3MPaの圧力を加えて形成された復元第2浸水部77の、厚さ方向に直交する方向、すなわち成長方向に沿って切断した断面を5000倍の倍率で撮影した顕微鏡写真である。
図13(C)から、復元第2浸水部77に複数の繊維束間隙1305が形成されているのを確認できる。
既に説明したように、復元前の孔状部付きエアロゲル49における圧縮孔状部は、孔状部付きエアロゲル49の各部55、57、59、及び61(図3参照)の各々において均等に、すなわち圧縮孔状部が占める割合、及びこれら各圧縮孔状部の大きさにばらつきが生じることなく形成されている。そのため、これら各圧縮孔状部から形成された各孔状部も、復元ハイドロゲル79の各部71、73、75、及び77の各々において均等に、すなわち孔状部が占める割合、及びこれら各孔状部の大きさにばらつきが生じることなく形成される。
なお、この復元ハイドロゲルの製造方法では、一例として上述した孔状部付きエアロゲル49を用いて復元ハイドロゲルを製造する方法について説明した。しかし、例えば第1ハイドロゲル部13のみを含むハイドロゲル111(図1(B)参照)、または第2ハイドロゲル部15のみを含むハイドロゲル211(図1(C)参照)を材料として製造された孔状部付きエアロゲルを用いた場合であっても、また、第1非水部、第2非水部、第1浸水部、及び第2浸水部の各々をどのような組み合わせで含む孔状部付きエアロゲルを用いた場合であっても、上述した圧縮時の圧力と形成される孔状部の形状及び大きさとの関係は、表2に示したのと同様となる。
従って、上述した培養中において液相部分であった部分(すなわち第1ハイドロゲル部13)及び空気相部分であった部分(すなわち第2ハイドロゲル部15)の双方が一体となったハイドロゲルを材料として用いるか、またはいずれか一方から構成されたハイドロゲルを材料として用いるかを、及びハイドロゲルのいずれの部分を非水部または浸水部とするかを、所望する孔状部の形状及び大きさに応じて任意に選択することができる。
ここで、この発明に係る発明者は、製造された孔状部付きエアロゲル49(図4(B)参照)及び復元ハイドロゲル79(図9(B)参照)の特性を評価するための種々の実験を行った。以下、図面を参照してそれらの実験の結果について説明する。
まず、発明者は、孔状部付きエアロゲル49について、圧縮第1非水部55、圧縮第2非水部57、圧縮第1浸水部59、及び圧縮第2浸水部61の引張強度を比較するための実験を行った。
この実験では、孔状部付きエアロゲル49として、圧縮第1非水部55、圧縮第2非水部57、圧縮第1浸水部59、及び圧縮第2浸水部61の各部を作成し、これら各部55、57、59、及び61を、上述した厚さ方向(すなわち圧縮方向)に沿った対向する2方向に引っ張ることによって行った。そして、孔状部付きエアロゲル49が断裂した際の強度を引張強度として測定した。なお、この実験では、島津卓上試験機EZ−L/S(島津製作所社製)を用いて引張強度を測定した。また、この実験では、24℃の温度及び40%湿度下において、つかみ具SCG−1kNNA(島津製作所社製)を用いて孔状部付きエアロゲル49を掴んで引っ張った。
また、試料として、上述した第2工程において14.2MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55及び圧縮第2非水部57と、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55、圧縮第2非水部57、圧縮第1浸水部59、及び圧縮第2浸水部61とを用意した。そして、各試料に対して1〜2回測定を行い、その平均値を各試料の引張強度とした。
この実験の結果を図14に示す。図14は、孔状部付きエアロゲル49の圧縮第1非水部55、圧縮第2非水部57、圧縮第1浸水部59、及び圧縮第2浸水部61の引張強度を比較する図である。
図14における縦軸は引張強度をN/mm単位で、また、横軸は上述した第2工程における圧縮時の圧力をMPa単位で目盛ってある。
図14から、14.2MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55及び圧縮第2非水部57と、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55及び圧縮第2非水部57とを比較すると、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55及び圧縮第2非水部57の方が、引張強度が大きいことが明らかである。
従って、この結果から、孔状部付きエアロゲル49は、上述した第2工程において高い圧力を加える程、引張強度が大きくなることが確認された。
また、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55、圧縮第2非水部57、圧縮第1浸水部59、及び圧縮第2浸水部61の各々を比較すると、圧縮第2非水部57の引張強度が他に比して大きいことが明らかである。
従って、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した第2非水部57が、最も引張強度が大きい。
既に説明したように、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した第2非水部57には、複数の圧縮孔状部として圧縮繊維束間隙が形成されている(表1参照)。従って、圧縮繊維束間隙が形成された第2非水部57は引張強度に優れていることが確かめられた。
次に、発明者は、孔状部付きエアロゲル49を復元ハイドロゲル79に復元した際の膨張率及び復元率を確認するための実験を行った。
なお、以下の説明では、既に説明したように、圧縮前のエアロゲル35の第1非水部41、第2非水部43、第1浸水部45、及び第2浸水部47(図3参照)を、乾燥第1非水部41、乾燥第2非水部43、乾燥第1浸水部45、及び乾燥第2浸水部47と称する。
また、既に説明したように、圧縮状態にある孔状部付きエアロゲル49の第1非水部55、第2非水部57、第1浸水部59、及び第2浸水部61を、それぞれ圧縮第1非水部55、圧縮第2非水部57、圧縮第1浸水部59、及び圧縮第2浸水部61と称する。
また、既に説明したように、復元ハイドロゲル79の第1非水部71、第2非水部73、第1浸水部75、及び第2浸水部77を、それぞれ復元第1非水部71、復元第2非水部73、復元第1浸水部75、及び復元第2浸水部77と称する。
この実験では、圧縮第1非水部55を含む孔状部付きエアロゲル49、圧縮第2非水部57を含む孔状部付きエアロゲル49、圧縮第1浸水部59を含む孔状部付きエアロゲル49、及び圧縮第2浸水部61を含む孔状部付きエアロゲル49を試料として用意した。
そして、これら各試料を3時間水に浸すことによって、各々から復元ハイドロゲル79を作成した。
これら復元ハイドロゲル79の復元第1非水部71、復元第2非水部73、復元第1浸水部75、及び復元第2浸水部77の厚さと、復元前の圧縮第1非水部55、圧縮第2非水部57、圧縮第1浸水部59、及び圧縮第2浸水部61の厚さとを比較することによって、各部における膨張率を確認した。
また、復元ハイドロゲル79の復元第1非水部71、復元第2非水部73、復元第1浸水部75、及び復元第2浸水部77の厚さと、圧縮前の乾燥第1非水部41、乾燥第2非水部43、乾燥第1浸水部45、及び乾燥第2浸水部47とを比較することによって、各部における復元率を確認した。
膨張率に係る結果を図15に示す。図15は、孔状部付きエアロゲル49を復元ハイドロゲル79に復元した際の各部の膨張率を比較する図である。
図15における縦軸は膨張率を百分率で、また、横軸は上述した第2工程における圧縮時の圧力をMPa単位で目盛ってある。なお、ここでの膨張率は、圧縮状態の厚さに対する、復元後の厚さと圧縮状態の厚さとの差を百分率で表したものである。
そして、図15の曲線1501は、圧縮第1非水部55を復元第1非水部71に復元した場合の結果を示している。また、曲線1503は、圧縮第2非水部57を復元第2非水部73に復元した場合の結果を示している。また、曲線1505は、圧縮第1浸水部59を復元第1浸水部75に復元した場合の結果を示している。また、曲線1507は、圧縮第2浸水部61を復元第2浸水部77に復元した場合の結果を示している。
図15から、圧縮第1非水部55を復元した場合に、20MPa以下の圧力範囲において、圧縮第2非水部57、圧縮第1浸水部59、及び圧縮第2浸水部61と比して、大きな膨張率を示すことが明らかである。そして、5〜10MPaの範囲内の圧力を圧縮して作成した圧縮第1非水部55では、特に良好な膨張率で復元できることが確認された。
既に説明したように、5〜10MPaの範囲内の圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55には、複数の圧縮孔状部として圧縮拡大ポアまたは圧縮ホールが形成されている(表1参照)。従って、圧縮拡大ポアまたは圧縮ホールが形成された圧縮第1非水部55は膨張率に優れていることが確かめられた。
また、図15から、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1浸水部59は、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55、圧縮第2非水部57、及び圧縮第2浸水部61と比して、大きな膨張率を示すことが分かる。
そして、上述した図14に係る実験の結果から、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1浸水部59は、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55と比して、引張強度が高いことが確認できる(図14参照)。
従って、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1浸水部59は、膨張率及び引張強度の双方の特性に優れていることが確認された。
既に説明したように、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1浸水部59には、複数の圧縮孔状部として圧縮繊維束間隙が形成されている(表1参照)。従って、圧縮繊維束間隙が形成された圧縮第1浸水部59は膨張率及び引張強度の双方の特性に優れていることが確かめられた。
また、復元率に係る結果を図16(A)及び(B)に示す。図16(A)及び(B)は、孔状部付きエアロゲル49を復元ハイドロゲル79に復元した際の各部の復元率を比較する図である。
図16(A)及び(B)における縦軸は復元率を百分率で、また、横軸は上述した第2工程における圧縮時の圧力をMPa単位で目盛ってある。なお、ここでの復元率は、圧縮前の厚さに対する、復元後の厚さを百分率で表したものである。
そして、図16(A)の曲線1601は、圧縮第1非水部55を復元第1非水部71に復元した場合の結果を示している。また、曲線1605は、圧縮第1浸水部59を復元第1浸水部75に復元した場合の結果を示している。
また、図16(B)の曲線1603は、圧縮第2非水部57を復元第2非水部73に復元した場合の結果を示している。また、曲線1607は、圧縮第2浸水部61を復元第2浸水部77に復元した場合の結果を示している。
図16(A)及び(B)から、圧縮第1非水部55を復元した場合に、圧縮第2非水部57、圧縮第1浸水部59、及び圧縮第2浸水部61と比して、大きな復元率を示すことが明らかである。そして、5〜10MPaの範囲内の圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55では、特に良好な復元率で復元できることが確認された。
既に説明したように、5〜10MPaの範囲内の圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55には、複数の圧縮孔状部として圧縮拡大ポアまたは圧縮ホールが形成されている(表1参照)。従って、圧縮拡大ポアまたは圧縮ホールが形成された圧縮第1非水部55は復元率に優れていることが確かめられた。
なお、図16(A)及び(B)の結果では、小さい圧力(より具体的には例えば2.8MPa以下)で圧縮して作成した各試料において高い復元率を示している。これは、小さい圧力で試料を作成した場合には、圧力が大きい場合と比して、圧縮によって減じた厚さが小さいことに起因している。
また、図16(A)及び(B)から、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1浸水部59は、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55、圧縮第2非水部57、及び圧縮第2浸水部61と比して、大きな復元率を示すことが分かる。
そして、上述した図14に係る実験の結果から、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1浸水部59は、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1非水部55と比して、引張強度が高いことが確認できる(図14参照)。
従って、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1浸水部59は、復元率及び引張強度の双方の特性に優れていることが確認された。
既に説明したように、28.3MPaの圧力で圧縮して作成した圧縮第1浸水部59には、複数の圧縮孔状部として圧縮繊維束間隙が形成されている(表1参照)。従って、圧縮繊維束間隙が形成された圧縮第1浸水部59は復元率及び引張強度の双方の特性に優れていることが確かめられた。
次に、発明者は、出発材料として用いるハイドロゲル(例えば図1(A)に示すハイドロゲル11参照)の第1ハイドロゲル部13及び第2ハイドロゲル部15のポア径と、上述した膨張率、復元率、及び引張強度に係る特性との関係を確認する実験を行った。
この実験では、上述した第1ハイドロゲル部13を含む複数のハイドロゲル、及び上述した第2ハイドロゲル部15を含む複数のハイドロゲルを用意した。第1ハイドロゲル部13を含む各ハイドロゲルでは、第1ハイドロゲル部13のポア径がそれぞれ互いに異なっている。また、第2ハイドロゲル部15を含む各ハイドロゲルでは、第2ハイドロゲル部15のポア径がそれぞれ互いに異なっている。
これら各ハイドロゲルから孔状部付きエアロゲル49を作成した。そして、作成した孔状部付きエアロゲル49を試料として用い、これらに含まれる、第1ハイドロゲル部13から形成された圧縮第1エアロゲル部51(図4(B)参照)、または第2ハイドロゲル部15から形成された圧縮第2エアロゲル部53(図4(B)参照)の各々の膨張率、復元率、及び引張強度を確認した。なお、この実験では、圧縮第1エアロゲル部51または圧縮第2エアロゲル部53の非水部(すなわち圧縮第1非水部55または圧縮第2非水部57)について膨張率、復元率、及び引張強度を測定した。
まず、ハイドロゲルの成長方向に直交する面(すなわち厚さ方向)に沿ったポア径と、膨張率、復元率、及び引張強度との関係を確認した。
この結果を図17(A)、(B)、及び(C)に示す。
図17(A)は、ハイドロゲルの厚さ方向に沿ったポア径と膨張率との関係を示す図である。
図17(A)における縦軸は膨張率を百分率で、また、横軸はハイドロゲルのポア径をμm単位で目盛ってある。なお、このポア径は、ハイドロゲルに含まれる複数のポアのうちの、ハイドロゲルの厚さ方向に沿ったポア径が1μm未満であるポアの、この厚さ方向に沿ったポア径の平均値である。
そして、図17(A)にアスタリスク(*)で示した各点は、上述したポア径の平均値が0.6μm以上1.0μm未満の範囲内である第1ハイドロゲル部13を材料とし、かつ上述した第2工程において7.1MPaの圧力で圧縮を行って作成した圧縮第1エアロゲル部51(以下、試料Aとも称する)の結果を示している。
また、図17(A)に菱形(◆)で示した各点は、上述したポア径の平均値が0.6μm以上1.0μm未満の範囲内である第1ハイドロゲル部13を材料とし、かつ上述した第2工程において14.2MPaの圧力で圧縮を行って作成した圧縮第1エアロゲル部51(以下、試料Bとも称する)の結果を示している。
また、図17(A)に正方形(■)で示した各点は、上述したポア径の平均値が0.6μm未満である第2ハイドロゲル部15を材料とし、かつ上述した第2工程において7.1MPaの圧力で圧縮を行って作成した圧縮第2エアロゲル部53(以下、試料Cとも称する)の結果を示している。
また、図17(A)に丸(●)で示した各点は、上述したポア径の平均値が0.6μm未満である第2ハイドロゲル部15を材料とし、かつ上述した第2工程において14.2MPaの圧力で圧縮を行って作成した圧縮第2エアロゲル部53(以下、試料Dとも称する)の結果を示している。
図17(A)の結果から、試料A及び試料Bは、試料C及び試料Dと比して、大きな膨張率を示すことが明らかである。
また、図17(B)は、ハイドロゲルの厚さ方向に沿ったポア径と復元率との関係を示す図である。
図17(B)における縦軸は復元率を百分率で、また、横軸はハイドロゲルのポア径をμm単位で目盛ってある。なお、このポア径は、ハイドロゲルに含まれる複数のポアのうちの、ハイドロゲルの厚さ方向に沿ったポア径が1μm未満であるポアの、この厚さ方向に沿ったポア径の平均値である。
そして、図17(B)にアスタリスク(*)で示した各点は、上述した試料Aの結果を示している。
また、図17(B)に菱形(◆)で示した各点は、上述した試料Bの結果を示している。
また、図17(B)に正方形(■)で示した各点は、上述した試料Cの結果を示している。
また、図17(B)に丸(●)で示した各点は、上述した試料Dの結果を示している。
図17(B)の結果から、試料A及び試料Bは、試料C及び試料Dと比して、大きな復元率を示すことが明らかである。
また、図17(C)は、ハイドロゲルの厚さ方向に沿ったポア径と引張強度との関係を示す図である。
図17(C)における縦軸は引張強度をN/mm単位で、また、横軸はハイドロゲルのポア径をμm単位で目盛ってある。なお、このポア径は、ハイドロゲルに含まれる複数のポアのうちの、ハイドロゲルの厚さ方向に沿ったポア径が1μm未満であるポアの、この厚さ方向に沿ったポア径の平均値である。
そして、図17(C)に三角形(△)で示した各点は、上述したポア径の平均値が0.6μm以上1.0μm未満の範囲内である第1ハイドロゲル部13を材料とし、かつ上述した第2工程において28.3MPaの圧力で圧縮を行って作成した圧縮第1エアロゲル部51(以下、試料Eとも称する)の結果を示している。
また、図17(C)にバツ(×)で示した各点は、上述したポア径の平均値が0.6μm未満である第2ハイドロゲル部15を材料とし、かつ上述した第2工程において28.3MPaの圧力で圧縮を行って作成した圧縮第2エアロゲル部53(以下、試料Fとも称する)の結果を示している。
図17(C)の結果から、試料Fは、試料Eと比して、大きな引張強度を示すことが明らかである。
これら図17(A)、(B)、及び(C)の結果から、ハイドロゲルの厚さ方向に沿ったポア径が1μm未満であるポアの、この厚さ方向に沿ったポア径の平均値が0.6μm以上1.0μm未満の範囲内である第1ハイドロゲル部13を材料とすることによって、大きな復元率及び膨張率を有する圧縮第1エアロゲル部51を形成できることが確認された。また、0.6μm未満である第2ハイドロゲル部15を材料とすることによって、大きな引張強度を有する圧縮第2エアロゲル部53を形成できることが確認された。
次に、ハイドロゲルの成長方向に沿ったポア径と、膨張率、復元率、及び引張強度との関係を確認した。
この結果を図18(A)、(B)、及び(C)に示す。
図18(A)は、ハイドロゲルの成長方向に沿ったポア径と膨張率との関係を示す図である。
図18(A)における縦軸は膨張率を百分率で、また、横軸はハイドロゲルのポア径をμm単位で目盛ってある。なお、このポア径は、ハイドロゲルに含まれる複数のポアの、ハイドロゲルの成長方向に沿ったポア径の平均値である。
そして、図18(A)にアスタリスク(*)で示した各点は、上述したポア径の平均値が3μm以上10μm未満の範囲内である第1ハイドロゲル部13を材料とし、かつ上述した第2工程において7.1MPaの圧力で圧縮を行って作成した圧縮第1エアロゲル部51(以下、試料Gとも称する)の結果を示している。
また、図18(A)に菱形(◆)で示した各点は、上述したポア径の平均値が3μm以上10μm未満の範囲内である第1ハイドロゲル部13を材料とし、かつ上述した第2工程において14.2MPaの圧力で圧縮を行って作成した圧縮第1エアロゲル部51(以下、試料Hとも称する)の結果を示している。
また、図18(A)に正方形(■)で示した各点は、上述したポア径の平均値が3μm未満である第2ハイドロゲル部15を材料とし、かつ上述した第2工程において7.1MPaの圧力で圧縮を行って作成した圧縮第2エアロゲル部53(以下、試料Iとも称する)の結果を示している。
また、図18(A)に丸(●)で示した各点は、上述したポア径の平均値が3μm未満である第2ハイドロゲル部15を材料とし、かつ上述した第2工程において14.2MPaの圧力で圧縮を行って作成した圧縮第2エアロゲル部53(以下、試料Jとも称する)の結果を示している。
図18(A)の結果から、試料G及び試料Hは、試料I及び試料Jと比して、大きな膨張率を示すことが明らかである。
また、図18(B)は、ハイドロゲルの厚さ方向に沿ったポア径と復元率との関係を示す図である。
図18(B)における縦軸は復元率を百分率で、また、横軸はハイドロゲルのポア径をμm単位で目盛ってある。なお、このポア径は、ハイドロゲルに含まれる複数のポアの、ハイドロゲルの成長方向に沿ったポア径の平均値である。
そして、図18(B)にアスタリスク(*)で示した各点は、上述した試料Gの結果を示している。
また、図18(B)に菱形(◆)で示した各点は、上述した試料Hの結果を示している。
また、図18(B)に正方形(■)で示した各点は、上述した試料Iの結果を示している。
また、図18(B)に丸(●)で示した各点は、上述した試料Jの結果を示している。
図18(B)の結果から、試料G及び試料Hは、試料I及び試料Jと比して、大きな復元率を示すことが明らかである。
また、図18(C)は、ハイドロゲルの厚さ方向に沿ったポア径と引張強度との関係を示す図である。
図18(C)における縦軸は引張強度をN/mm単位で、また、横軸はハイドロゲルのポア径をμm単位で目盛ってある。なお、このポア径は、ハイドロゲルに含まれる複数のポアの、ハイドロゲルの成長方向に沿ったポア径の平均値である。
そして、図18(C)に三角形(△)で示した各点は、上述したポア径の平均値が3μm以上10μm未満の範囲内である第1ハイドロゲル部13を材料とし、かつ上述した第2工程において28.3MPaの圧力で圧縮を行って作成した圧縮第1エアロゲル部51(以下、試料Kとも称する)の結果を示している。
また、図18(C)にバツ(×)で示した各点は、上述したポア径の平均値が3μm未満である第2ハイドロゲル部15を材料とし、かつ上述した第2工程において28.3MPaの圧力で圧縮を行って作成した圧縮第2エアロゲル53(以下、試料Lとも称する)の結果を示している。
図18(C)の結果から、試料Lは、試料Kと比して、大きな引張強度を示すことが明らかである。
これら図18(A)、(B)、及び(C)の結果から、ハイドロゲルの成長方向に沿ったポア径の平均値が3μm以上1.0μm未満の範囲内である第1ハイドロゲル部13を材料とすることによって、大きな復元率及び膨張率を有する圧縮第1エアロゲル部51を形成できることが確認された。また、3μm未満である第2ハイドロゲル部15を材料とすることによって、大きな引張強度を有する圧縮第2エアロゲル部53を形成できることが確認された。
次に、発明者は、孔状部付きエアロゲルを形成する際の、好適な圧縮の方向を確認するための実験を行った。
この実験では、上述した第2工程において、エアロゲル(例えば図3参照のエアロゲル35参照)を厚さ方向に沿って圧縮して形成した孔状部付きエアロゲル(例えば図4(B)の孔状部付きエアロゲル49参照)と、エアロゲルを成長方向に沿って圧縮して形成した孔状部付きエアロゲルとを試料として用意した。そして、これら試料を復元し、その復元率を比較した。
なお、この実験では、第2工程における圧縮時の圧力を7.1MPaとした。
また、既に説明したように、復元率は、圧縮前の厚さに対する、復元後の厚さを百分率で算出した。そして、この実験では、厚さ方向に沿って圧縮した試料については、厚さ方向に沿った厚さの復元率を、また、成長方向に沿って圧縮した試料については、成長方向に沿った厚さの復元率を、それぞれ確認した。
この実験の結果を図19に示す。図19は、第2工程における圧縮の方向と復元率との関係を示す図である。図19における縦軸は復元率を百分率で、また、横軸は孔状部付きエアロゲルを復元するために水に浸した時間を分単位で目盛ってある。
そして、図19の曲線1901は、試料M、すなわちエアロゲルを厚さ方向に沿って圧縮して形成した孔状部付きエアロゲルの結果を示している。この試料Mは、上述した第1工程において、第1ハイドロゲル部の全部を第1非水部とし、かつ第2ハイドロゲル部の全部を第2浸水部として乾燥して得られたエアロゲルを用いて作成した。すなわち、試料Mは、圧縮第1非水部55及び圧縮第2浸水部61から構成されている。
なお、この曲線1901は、試料Mを復元して得られた復元ハイドロゲル全体の厚さ方向に沿った厚さの復元率を示している。
また、曲線1903は、試料N、すなわちエアロゲルを成長方向に沿って圧縮して形成した孔状部付きエアロゲルの結果を示している。この試料Nは、上述した第1工程において、第1ハイドロゲル部の全部を第1浸水部とし、かつ第2ハイドロゲル部の全部を第2非水部として乾燥して得られたエアロゲルを用いて作成した。すなわち、試料Nは、圧縮第2非水部57及び圧縮第1浸水部59から構成されている。
なお、この曲線1903は、試料Nを復元して得られた復元ハイドロゲル全体の成長方向に沿った厚さの復元率を示している。
また、曲線1905は、試料O、すなわちエアロゲルを成長方向に沿って圧縮して形成した孔状部付きエアロゲルの結果を示している。この試料Oは、上述した第1工程において、図2(B)に示す構成例のように、第1ハイドロゲル部13の全部を第1非水部27とし、かつ第2ハイドロゲル部15の全部を第2浸水部33として乾燥して得られたエアロゲルを用いて作成した。すなわち、試料Oは、圧縮第1非水部55及び圧縮第2浸水部61から構成されている。
なお、この曲線1905は、試料Oを復元して得られた復元ハイドロゲル全体の成長方向に沿った厚さの復元率を示している。
図19の結果から、試料Mの復元率は、試料N及び試料Oの復元率と比して大きいことが明らかである。この結果から、上述した第2工程では、エアロゲルを厚さ方向に沿って圧縮することが好適であることが確認された。
11、111、211:ハイドロゲル
13:第1ハイドロゲル部
15:第2ハイドロゲル部
19、65:水
21、63:容器
23:非水部
25:浸水部
27:第1非水部
29:第2非水部
31:第1浸水部
33:第2浸水部
35:エアロゲル
37:第1エアロゲル部
39:第2エアロゲル部
41:乾燥第1非水部
43:乾燥第2非水部
45:乾燥第1浸水部
47:乾燥第2浸水部
49:孔状部付きエアロゲル
51:圧縮第1エアロゲル部
53:圧縮第2エアロゲル部
55:圧縮第1非水部
57:圧縮第2非水部
59:圧縮第1浸水部
61:圧縮第2浸水部
67:復元第1ハイドロゲル部
69:復元第2ハイドロゲル部
71:復元第1非水部
73:復元第2非水部
75:復元第1浸水部
77:復元第2浸水部
79:復元ハイドロゲル

Claims (47)

  1. 複数のセルロース繊維を含んで構成されているキューブ状のハイドロゲルの少なくとも一部を水に浸した状態で、該ハイドロゲルを凍結乾燥することによって、該ハイドロゲルからエアロゲルを形成する第1工程と、
    前記セルロース繊維の成長方向に直交する前記エアロゲルの厚さ方向に、該エアロゲルを圧縮することによって、該エアロゲルの厚さを圧縮前と比して薄くするとともに、該エアロゲル内に複数の圧縮された状態の孔状部を形成する第2工程と
    を含むことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  2. 請求項1に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを1.4MPaより大きくかつ28.3MPa以下の範囲内の圧力で圧縮する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記ハイドロゲルとして、
    該ハイドロゲル内に前記複数のセルロース繊維間の間隙として複数のポアが形成されており、
    該複数のポアは、前記成長方向に沿ったポア径の平均値が3μm以上10μm以下の範囲内であり、及び
    該複数のポアのうちの、前記成長方向に直交する面に沿ったポア径が1μm未満であるポアは、該成長方向に直交する面に沿ったポア径の平均値が0.6μm以上1.0μm未満の範囲内である当該ハイドロゲルを用いる
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  4. 請求項3に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第1工程において、前記ハイドロゲルの一部を水に浸すことによって、該ハイドロゲルの水が染み込んだ部分を浸水部とし、及び該ハイドロゲルの水が染み込まない部分を非水部として前記凍結乾燥を行う
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  5. 請求項4に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを7.1MPaより大きくかつ14.2MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記非水部に、前記厚さ方向に直交する面に沿って延在する複数の筒状のホールが圧縮状態とされている複数の圧縮ホールを形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  6. 請求項5に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    さらに前記浸水部に、前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙を形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  7. 請求項4に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを14.2MPaより大きくかつ28.3MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部を、
    前記浸水部及び前記非水部に、前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙として形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  8. 請求項7に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記非水部に、前記圧縮された状態の孔状部として、さらに、前記厚さ方向に直交する面に沿って延在する複数の筒状のホールが圧縮状態とされている複数の圧縮ホールを、前記圧縮繊維束間隙に混在させて形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  9. 請求項4に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記浸水部及び前記非水部に、前記複数のポアが拡大された状態でさらに圧縮状態とされている複数の圧縮拡大ポアを形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  10. 請求項3に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第1工程において、前記ハイドロゲルの全部を水に浸すことによって、該ハイドロゲルの全部を水が染み込んだ浸水部として前記凍結乾燥を行う
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  11. 請求項10に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを7.1MPaより大きくかつ28.3MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記浸水部に、前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙を形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  12. 請求項10に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記浸水部に、前記複数のポアが拡大された状態でさらに圧縮状態とされている複数の圧縮拡大ポアを形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  13. 請求項1または2に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記ハイドロゲルとして、該ハイドロゲル内に前記複数のセルロース繊維間の間隙として複数のポアが形成されており、かつ第1ハイドロゲル部及び第2ハイドロゲル部を含む当該該ハイドロゲルを用い、
    前記第2工程において、前記第1ハイドロゲル部を凍結乾燥して形成した第1エアロゲル部、及び前記第2ハイドロゲル部を凍結乾燥して形成した第2エアロゲル部を含む前記エアロゲルを形成し、
    前記第1ハイドロゲル部に含まれる前記複数のポアは、前記成長方向に沿ったポア径の平均値が3μm以上10μm以下の範囲内であり、
    該第1ハイドロゲル部に含まれる複数のポアのうちの、前記成長方向に直交する面に沿ったポア径が1μm未満であるポアは、該成長方向に直交する面に沿ったポア径の平均値が0.6μm以上1.0μm未満の範囲内であり、
    前記第2ハイドロゲル部に含まれる前記複数のポアは、前記成長方向に沿ったポア径の平均値が3μm未満であり、及び
    該第2ハイドロゲル部に含まれる複数のポアのうちの、前記成長方向に直交する面に沿ったポア径が1μm未満であるポアが、該成長方向に直交する面に沿ったポア径の平均値が0.6μm未満である
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  14. 請求項13に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第1工程において、前記ハイドロゲルの一部を水に浸すことによって、該ハイドロゲルの水が染み込んだ部分を浸水部とし、及び該ハイドロゲルの水が染み込まない部分を非水部として前記凍結乾燥を行い、
    かつ前記第1ハイドロゲル部の少なくとも一部が前記非水部に含まれる
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  15. 請求項14に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを7.1MPaより大きくかつ14.2MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記第1エアロゲル部の前記非水部に、前記厚さ方向に直交する面に沿って延在する複数の筒状のホールが圧縮状態とされている複数の圧縮ホールを形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  16. 請求項14に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを14.2MPaより大きくかつ28.3MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記第1エアロゲル部の前記非水部に、前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙を形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  17. 請求項16に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第1エアロゲル部の非水部に、前記圧縮された状態の孔状部として、さらに、前記厚さ方向に直交する面に沿って延在する複数の筒状のホールが圧縮状態とされている複数の圧縮ホールを、前記圧縮繊維束間隙に混在させて形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  18. 請求項14に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記第1エアロゲル部の前記非水部に、前記複数のポアが拡大された状態でさらに圧縮状態とされている複数の圧縮拡大ポアを形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  19. 請求項13に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第1工程において、前記ハイドロゲルの一部を水に浸すことによって、該ハイドロゲルの水が染み込んだ部分を浸水部とし、及び該ハイドロゲルの水が染み込まない部分を非水部として前記凍結乾燥を行い、
    かつ前記第1ハイドロゲル部の少なくとも一部が前記浸水部に含まれる
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  20. 請求項19に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを7.1MPaより大きくかつ28.3MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記第1エアロゲル部の前記浸水部に、前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙を形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  21. 請求項19に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記第1エアロゲル部の前記浸水部に、前記複数のポアが拡大された状態でさらに圧縮状態とされている複数の圧縮拡大ポアを形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  22. 請求項13に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第1工程において、前記ハイドロゲルの一部を水に浸すことによって、該ハイドロゲルの水が染み込んだ部分を浸水部とし、及び該ハイドロゲルの水が染み込まない部分を非水部として前記凍結乾燥を行い、
    かつ前記第2ハイドロゲル部の少なくとも一部が前記非水部に含まれる
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  23. 請求項22に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを7.1MPaより大きくかつ28.3MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記第2エアロゲル部の前記非水部に、前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙を形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  24. 請求項22に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記ハイドロゲルを1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記第2エアロゲル部の前記非水部に、前記複数のポアが拡大された状態でさらに圧縮状態とされている複数の圧縮拡大ポアを形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  25. 請求項13に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第1工程において、前記ハイドロゲルの一部を水に浸すことによって、該ハイドロゲルの水が染み込んだ部分を浸水部とし、及び該ハイドロゲルの水が染み込まない部分を非水部として前記凍結乾燥を行い、
    かつ前記第2ハイドロゲル部の少なくとも一部が前記浸水部に含まれる
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  26. 請求項25に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを14.2MPaより大きくかつ28.3MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記第2エアロゲル部の前記浸水部に、前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙を形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  27. 請求項25に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを1.4MPa以上14.2MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記第2エアロゲル部の前記浸水部に、前記複数のポアが拡大された状態でさらに圧縮状態とされている複数の圧縮拡大ポアとして形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  28. 請求項13に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第1工程において、前記ハイドロゲルの全部を水に浸すことによって、前記第1ハイドロゲル部及び前記第2ハイドロゲル部の全部を水が染み込んだ浸水部として前記凍結乾燥を行う
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  29. 請求項28に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを14.2MPaより大きくかつ28.3MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記第1エアロゲル部及び前記第2エアロゲル部の前記浸水部に、前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙を形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  30. 請求項28に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記前記第1エアロゲル部及び前記第2エアロゲル部の前記浸水部に、前記複数のポアが拡大された状態でさらに圧縮状態とされている複数の圧縮拡大ポアを形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  31. 請求項28に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを7.1MPaより大きくかつ14.2MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記第1エアロゲル部の前記浸水部に、前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙として形成し、及び
    前記第2エアロゲル部の前記浸水部に、前記複数のポアが拡大された状態でさらに圧縮状態とされている複数の圧縮拡大ポアを形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  32. 請求項1または2に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記ハイドロゲルとして、該ハイドロゲル内に前記複数のセルロース繊維間の間隙として複数のポアが形成されており、
    該複数のポアは、前記成長方向に沿ったポア径の平均値が3μm未満であり、及び
    該複数のポアのうちの、前記成長方向に直交する面に沿ったポア径が1μm未満であるポアは、該成長方向に直交する面に沿ったポア径の平均値が0.6μm未満である当該ハイドロゲルを用いる
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  33. 請求項32に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第1工程において、前記ハイドロゲルの一部を水に浸すことによって、該ハイドロゲルの水が染み込んだ部分を浸水部とし、及び該ハイドロゲルの水が染み込まない部分を非水部として前記凍結乾燥を行う
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  34. 請求項33に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを14.2MPaより大きくかつ28.3MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記浸水部及び前記非水部に、前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙を形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  35. 請求項33に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを1.4MPa以上7.1MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記浸水部及び前記非水部に、前記複数のポアが拡大された状態で圧縮状態とされている複数の圧縮拡大ポアを形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  36. 請求項33に記載の孔状部付きエアロゲルの製造方法であって、
    前記第2工程において、前記エアロゲルを7.1MPaより大きくかつ14.2MPa以下の範囲内の圧力で圧縮することによって、
    前記圧縮された状態の孔状部として、
    前記非水部に、前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙を形成し、及び
    前記浸水部に、前記複数のポアが拡大された状態でさらに圧縮状態とされている複数の圧縮拡大ポアを形成する
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲルの製造方法。
  37. 複数のセルロース繊維を含んで構成されているキューブ状のエアロゲルが厚さ方向に圧縮されることによって、該エアロゲルの厚さが圧縮前と比して薄くされるともに、該エアロゲル内に複数の圧縮された状態の孔状部が形成されている
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲル。
  38. 請求項37に記載の孔状部付きエアロゲルであって、
    前記複数の圧縮された状態の孔状部には、
    前記厚さ方向に直交する面に沿って延在する複数の筒状のホールが圧縮状態とされている複数の圧縮ホールが含まれている
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲル。
  39. 請求項38に記載の孔状部付きエアロゲルであって、
    前記複数の圧縮された状態の孔状部には、
    さらに、前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙が含まれている
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲル。
  40. 請求項37に記載の孔状部付きエアロゲルであって、
    前記複数の圧縮された状態の孔状部には、
    前記複数のセルロース繊維が互いに束状に密着し合って、かつ前記厚さ方向に直交する面に沿ってストライプ状に延在して形成される複数の繊維束の、隣り合う該繊維束間の各間隙が圧縮状態とされている圧縮繊維束間隙が含まれている
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲル。
  41. 請求項37に記載の孔状部付きエアロゲルであって、
    前記複数の圧縮された状態の孔状部には、
    前記複数のセルロース繊維間の間隙として形成されている複数のポアが拡大された状態で圧縮状態とされている複数の圧縮拡大ポアが含まれている
    ことを特徴とする孔状部付きエアロゲル。
  42. 請求項37に記載の孔状部付きエアロゲルを水に浸すことによって、乾燥状態から非乾燥状態へ、及び圧縮状態から非圧縮状態へ復元するとともに、前記圧縮された状態の孔状部を非圧縮状態とすることによって、該圧縮された状態の孔状部から孔状部を形成する
    ことを特徴とする復元ハイドロゲルの製造方法。
  43. 請求項38に記載の孔状部付きエアロゲルを水に浸すことによって、乾燥状態から非乾燥状態へ、及び圧縮状態から非圧縮状態へ復元するとともに、前記圧縮ホールを非圧縮状態とすることによって、該圧縮ホールからホールを形成する
    ことを特徴とする復元ハイドロゲルの製造方法。
  44. 請求項39に記載の孔状部付きエアロゲルを水に浸すことによって、乾燥状態から非乾燥状態へ、及び圧縮状態から非圧縮状態へ復元するとともに、前記圧縮ホールを非圧縮状態とすることによって、該圧縮ホールからホールを形成し、及び前記圧縮繊維束間隙を非圧縮状態とすることによって、該圧縮繊維束間隙から繊維束間隙形成する
    ことを特徴とする復元ハイドロゲルの製造方法。
  45. 請求項40に記載の孔状部付きエアロゲルを水に浸すことによって、乾燥状態から非乾燥状態へ、及び圧縮状態から非圧縮状態へ復元するとともに、前記圧縮繊維束間隙を非圧縮状態とすることによって、該圧縮繊維束間隙から繊維束間隙を形成する
    ことを特徴とする復元ハイドロゲルの製造方法。
  46. 請求項41に記載の孔状部付きエアロゲルを水に浸すことによって、乾燥状態から非乾燥状態へ、及び圧縮状態から非圧縮状態へ復元するとともに、前記圧縮拡大ポアを非圧縮状態とすることによって、該圧縮拡大ポアから拡大ポアを形成する
    ことを特徴とする復元ハイドロゲルの製造方法。
  47. 請求項42〜46のいずれか一項に記載の復元ハイドロゲルの製造方法を用いて製造された復元ハイドロゲル。
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