JP2009082825A - 環境dna解析法を活用したメタン製造方法及びメタン製造装置 - Google Patents

環境dna解析法を活用したメタン製造方法及びメタン製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】バクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御することによりバイオマスをメタン発酵するメタン製造方法を提供する。また、バクテリア数+アーキア数をモニタリングしてバイオマスをメタン発酵するメタン製造方法に使用する、メタン製造装置を提供する。
【解決手段】メタン発酵関連微生物群によりバイオマスをメタン発酵させてメタンを製造する方法であって、メタン発酵液から採取した試料の単位体積当たりのDNA量から求めたバクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御することを特徴とする、メタン製造方法。また、メタン発酵槽と、メタン発酵液から試料を採取する手段と、採取した試料の単位体積あたりのDNA量を測定する手段と、測定したDNA量に基づいてバクテリア数+アーキア数を算出する手段と、算出したバクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御する手段を備えたメタン製造装置。
【選択図】図4

Description

本発明は、バクテリア数+アーキア数をモニタリングし制御することにより、メタン発酵を高効率化したメタン製造方法に関する。更に、本発明は当該メタン製造方法を利用したメタン製造装置に関する。
バイオマスをメタン発酵することによって得られるバイオガスは、主成分としてメタンを6割程度含んでおり、化石資源代替エネルギーの一つとして有用である。メタン発酵は微生物複合系が様々な有機物からメタンを生成する多段階の反応であり、バイオガス生産を安定に制御するためにはメタン生成アーキアを含めた関連微生物全体の挙動の把握が重要である。メタン発酵液の微生物数の定量法としてはロールチューブ法やMPN法による解析が行われているが(非特許文献1、2)、いずれも培養を伴うため解析時間が長く、また培養が困難な微生物は定量できない。DAPI染色法による定量もなされているが、解析時間が長い等の問題があり、メタン発酵のモニタリング法としては不十分である。発酵槽内の微生物の挙動との関係が不明確なまま、経験に則って、TS濃度、pH、温度、滞留時間、撹拌条件などの指標に基づいて制御が行われている。そのためバイオガスの生産効率に加えてその再現性や安定性、未分解残渣の残留などの課題を有している。
一方、試料単位当たりのDNA量からバクテリア数を定量する手法を用いた環境DNA解析法が知られている(特許文献1、非特許文献3)。環境DNA解析法によれば、培養を伴わずに微生物数を定量できる。
一方、バイオマスからのメタン発酵では、多種の微生物により有機酸や二酸化炭素が生成される。メタン生成アーキアは、有機酸や二酸化炭素からのメタンの生成に関与するため、メタン生成アーキアはメタン発酵には不可欠である。メタン発酵に関連するバクテリア数+アーキア数と併せ、メタン生成アーキアの挙動を解析することは重要である。メタン生成アーキアは補酵素F420を有しており、メタン生成アーキアを蛍光顕微鏡下で観察すると、F420の自家蛍光によりメタン生成アーキアは黄緑色の蛍光を発する。一方、大腸菌などのメタン生成アーキア以外の微生物はF420を有していないため、蛍光を発しない。よって、蛍光顕微鏡下でF420解析を行うことによって、メタン生成アーキア数を正確に定量できると考えられる(非特許文献4〜6)。
通常、メタン発酵用の種汚泥は、継代培養するか、4℃で冷蔵保存されている。微生物複合系の継代培養では菌叢を維持することが容易ではなく、またトラブルによって菌叢が大きく変化してしまう可能性がある。一方、4℃で長期間保存した種汚泥を用いてメタン発酵を行った場合でも、ガス生産までの時間が不安定であったり、ガス生産量が一定でないなどの問題がある。
メタン発酵では反応過程の最終段階であるメタン生成が律速であるが(非特許文献7)、これまでにメタン生成アーキア数とメタン発酵の効率化の関係についての報告はない。
特開2004−337027号公報 W. L. Shockey and B. A. Dehority (1989) : Applied and Environmental Microbiology 55: 1766-1768. B. A. Dehority, P. A. Tirabasso, and A. P. Grifo, Jr. (1989) : Applied and Environmental Microbiology 55: 2789-2792. H. Aoshima, A. Kimura, A. Shibutani, C. Okada, Y. Matsumiya and M. Kubo (2006) : Applied Microbiology and Biotechnology 71: 875-880. B. W. Reuter, T. Egeler, H. Schneckenburger, and S. M. Schoberth (1986) Journal of Biotechnology 4: 325-332. 堀口真, 横山英樹, 宝月章彦(1994) 環境技術, 23: 441-443. 井原一高, 前川孝明(1999) 農業施設, 30: 247-256. 北尾高嶺(2003) 生物学的排水処理工学, コロナ社, p. 228.
本発明は、バクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御することによりバイオマスをメタン発酵するメタン製造方法を提供する。更に、本発明は、メタン生成段階を促進してメタン発酵を効率化するメタン製造方法を提供する。また、本発明は上記バクテリア数+アーキア数をモニタリングしてバイオマスをメタン発酵するメタン製造方法に使用する、メタン製造装置を提供する。
本発明者らは、メタン発酵液中の単位体積当たりのDNA量からバクテリア数+アーキア数を求めることによりバクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御することによって、及びメタン生成アーキアを添加することによって上記目的を達成することができるという知見を得た。本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の製造法、製造装置を提供するものである。
項1.メタン発酵関連微生物群によりバイオマスをメタン発酵させてメタンを製造する方法であって、メタン発酵液から採取した試料の単位体積当たりのDNA量から求めたバクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御することを特徴とする、メタン製造方法。
項2.前記バクテリア数+アーキア数が1×108 cells/ml 以上になるように制御する、項1に記載のメタン製造方法。
項3.前記バクテリア数+アーキア数中のメタン生成アーキア数の割合が70%〜95%になるように制御する、項1又は2に記載のメタン製造方法。
項4.メタン発酵関連微生物群の一部又は全部が凍結保存又は凍結乾燥したメタン発酵関連微生物群である項1〜3のいずれかに記載のメタン製造方法。
項5.更に、メタン発酵液中に単離したメタン生成アーキアを添加することを特徴とする項1〜4のいずれかに記載のメタン製造方法。
項6.前記単離したメタン生成アーキアがメタニミクロコッカス・エスピー( Methanimicrococcus sp.) OZK3株(FERM AP-21372)である、項5に記載のメタン製造方法。
項7.メタン発酵関連微生物群を用いてバイオマスをメタン発酵するメタン発酵槽と、
メタン発酵液から試料を採取する手段と、
採取した試料の単位体積あたりのDNA量を測定する手段と、
測定したDNA量に基づいてバクテリア数+アーキア数を算出する手段、及び
算出したバクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御する手段
を備えたメタン製造装置
項8.メタン発酵関連微生物群によりバイオマスをメタン発酵させてメタンを製造する方法であって、メタン発酵液から採取した試料の単位体積当たりのDNA量から下記式1により求めたバクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御することを特徴とする、メタン製造方法:
式1:y = ax
(式中、xは環境DNA量(μg/ml), yはバクテリア数+アーキア数(cells/ml))を示す。a = 1.2×107 〜 1.3×107)。
項8a.メタン発酵関連微生物群によりバイオマスをメタン発酵させてメタンを製造する方法であって、メタン発酵液から採取した試料の単位体積当たりのDNA量から下記式1により求めたバクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御することを特徴とする、メタン製造方法:
式1:y = ax
(式中、xは環境DNA量(μg/ml), yはバクテリア数+アーキア数(cells/ml)を示す。a = 1.23×107)。
項9.メタン発酵関連微生物群によりバイオマスをメタン発酵させてメタンを製造する方法であって、
メタン発酵液から採取した試料の単位体積当たりのDNA量を測定する工程、
測定したDNA量からバクテリア数+アーキア数を算出する工程、
算出したバクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御する工程を備えたメタン製造方法。
項9a.メタン発酵関連微生物群によりバイオマスをメタン発酵させてメタンを製造する方法であって、
メタン発酵液から採取した試料の単位体積当たりのDNA量を測定する工程、
測定したDNA量から下記式1によりバクテリア数+アーキア数を算出する工程:
式1:y = ax
(式中、xは環境DNA量(μg/ml), yはバクテリア数+アーキア数(cells/ml)を示す。a = 1.23×107)、
算出したバクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御する工程を備えたメタン製造方法。
項10.更に、メタン発酵液中に単離したメタン生成アーキアを添加する工程を備える項9又は9aに記載のメタン製造方法。
項11.前記制御を原料のTS濃度、pH、発酵槽内の温度、滞留時間、発酵槽内のスラリーの攪拌条件の全て又は一部による制御方法により行う項1〜6に記載のメタン製造方法。
項12.メタン発酵開始前又はメタン発酵中に凍結保存又は凍結乾燥したメタン発酵関連微生物群を添加する項4に記載のメタン製造方法。
項13.メタン発酵開始前又はメタン発酵中に単離したメタン生成アーキアを添加する項5に記載のメタン製造方法。
項14.メタン発酵開始時のメタン発酵関連微生物群のバクテリア数+アーキア数の濃度が1×107 cells/ml以上になるように凍結保存又は凍結乾燥したメタン発酵関連微生物群を添加する項1〜3に記載のメタン製造方法。
項15.メタン発酵開始時のメタン生成アーキアの濃度が1×105 cells/ml 以上、好ましくは1×107 cells/ml以上になるようにメタン生成アーキアを添加する項1〜4に記載のメタン製造方法。
以下、本発明製造方法、製造装置につき詳述する。
本発明において用語“環境DNA解析法”は、試料単位体積当たりのDNA量からバクテリア数+アーキア数を定量して解析する手法を示す。
本発明において用語“メタン発酵関連微生物群”は、メタン発酵に関係する複数の微生物を示し、バクテリアとアーキアを含む。
本発明において用語“バクテリア”は、ドメインバクテリアに属する微生物を示す。メタン発酵関連微生物群中のバクテリアはメタン発酵の際に有機物の分解を行い、ギ酸、酢酸、水素、二酸化炭素などを生成する。ギ酸、酢酸、および水素+二酸化炭素などはメタン生成アーキアによりメタンに転換される。
本発明において用語“アーキア”は、ドメイン アーキアに属する微生物を示す。“メタン生成アーキア”は、メタン発酵関連微生物群中のアーキアであって、且つ嫌気下にメタンを生成する絶対嫌気性菌を示す。
本発明において単位“cells/ml”は単位体積(1 ml)当たりに含まれるバクテリア及びアーキアの数を表す。
メタン製造方法
(1)バイオマス
メタン発酵の原料であるバイオマスは、例えば屎尿処理汚泥、食品廃棄物、木くず、下水処理汚泥、畜産廃水、廃油脂、廃グリセリン等であるが、特にこれらに制限されない。またバイオマスの種類は、糖質系バイオマス、脂質系バイオマス、タンパク質系バイオマスのいずれであってもよい。
(2)メタン発酵
メタン発酵の方法は、微生物により有機物が分解されメタンが生産される方法であれば特に制限されず、常法に従って行うことができる。例えば、大規模プラントで発酵を行うものから、小規模な発酵槽で行うものが挙げられる。
(3)メタン
製造されたメタンは通常の方法により回収することができる。回収されたメタンガスの濃度の測定方法は特に制限されないが、好ましくはガスクロマトグラフィー分析により行う。
(4)バクテリア数+アーキア数のモニタリング
本発明の方法は、メタン発酵の発酵液から採取した試料(単位体積当たり)に存在するDNA量を測定して求めたバクテリア数+アーキア数をモニタリングすることを特徴とするものである。
本発明のモニタリング対象は、メタン発酵液であり、例えば、メタン発酵中の発酵槽から採取した発酵液等である。
メタン発酵液から採取した試料単位体積当たりのDNA量(以下、これを環境DNA量又はeDNA量ともいう。)の測定は、例えばメタン発酵液から採取した試料(以下、診断対象試料という。)に存在するDNAを抽出し、該DNAの量を定量することにより行うことができる。
メタン発酵液の環境DNA量の測定は、診断対象試料を取得した後、直ちに行うことが望ましい。なお、取得された診断対象試料は、例えば低温(例えば4℃〜−80℃度程度、好ましくは−20℃〜−80℃度程度)で1日〜3週間程度保存しておくこともできる。
メタン発酵液試料に含まれる全バクテリア+アーキアからDNAを抽出する方法としては、DNAが顕著に分解或いはせん断され、その定量に悪影響が及ぼされるものでない限り、特に制限されない。例えば、当該DNAの抽出方法の一態様として、メタン発酵液試料のDNA抽出溶液中での機械による攪拌操作を挙げることができる。
ここで使用されるDNA抽出溶液としては、微生物や植物からDNAを抽出するために一般的に使用されている溶液を挙げることができる。具体的には、当該DNA抽出用溶液としては、EDTA、EGTA等のDNA分解酵素の阻害剤、及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド(以下CTABという)、ドデシル硫酸ナトリウム(以下SDSという)等の陰陽イオン性界面活性剤を含有する緩衝液を挙げることができる。更にDNA抽出溶液にプロテイナーゼK、サーモライシン、サチライシン等のタンパク質分解酵素を含有することもできる。
特に、上記DNA抽出溶液として、EDTA及びCTABを含有するものは、DNAの抽出効率が高く、本発明において好適に使用することができる。EDTA及びCTABを含有するDNA抽出溶液において、各成分の配合割合は、DNAの抽出を著しく阻害しない限り、特に制限されない。一例として、20〜150mMのEDTA、0.5〜2w/v%のCTABを含有するDNA抽出溶液;好ましくは50〜130mMのEDTA、0.7〜1.5w/v%のCTABを含有するDNA抽出溶液;更に好ましくは70〜110mMのEDTA、0.8〜1.2w/v%のCTABを含有するDNA抽出溶液を挙げることができる。より具体的には、100mMのTris−HCl、100mMのEDTA2Na、100mMのリン酸ナトリウム、1.5Mの塩化ナトリウム、1w/v%のCTABからなるDNA溶出溶液(pH8.0)を例示することができる。
上記DNA抽出溶液中での攪拌操作によるDNAの抽出処理において、DNAの抽出条件については、特に制限されない。例えば、抽出処理に供される発酵液試料1mlに対して、上記DNA抽出溶液を2〜20ml、好ましくは5〜15ml、更に好ましくは8〜12mlを添加混合することにより、DNAの抽出を行うことができる。
機械による攪拌操作は、例えば撹拌羽の付いたローターを1,500 rpmで回転させ、20分間穏やかにDNA抽出溶液を撹拌することである。
また、攪拌操作を行わない場合は次のような条件でDNA抽出を行うことができる。抽出温度については、使用するDNA抽出溶液や抽出処理に供されるメタン発酵培地等に応じて、適宜設定することができる。例えばタンパク質分解酵素を含有するDNA抽出溶液を使用する場合であれば、20〜50℃、好ましくは25〜40℃、更に好ましくは30〜37℃を;また例えばタンパク質分解酵素を含まないDNA抽出溶液を使用する場合であれば、30〜75℃、好ましくは45〜70℃、更に好ましくは55〜65℃を挙げることができる。抽出時間については、使用するDNA抽出用溶液の種類、抽出処理に供されるメタン発酵培地の種類、抽出温度等によって異なり、一律に規定することはできないが、一例として、0.1〜4時間、好ましくは0.2〜2時間、更に好ましくは0.5〜1時間を挙げることができる。
かくして抽出されたDNAを定量することによって、メタン発酵液試料に存在するDNA量を求めることができる。DNAの定量については、特に制限されないが、例えば、抽出されたDNAを必要に応じて精製した後に、これを回収して、公知又は慣用のDNA定量方法により定量することができる。
ここで、DNAを精製する方法については特に制限されず、常法に従って行うことができる。DNAを精製する方法として、例えば、上記のようにしてDNA抽出処理した後の溶液を遠心分離して、その上清を回収する工程;前記工程で得られた上清に、クロロホルム、クロロホルム−イソアミルアルコール、フェノール等の上記上清と層分離する不純物除去用溶液を添加して、混合する工程;前記工程で得られた混合液からDNAを含有する層を取り出すことにより、不純物を除去する工程、及び前記工程で得られたDNAを含有する層にイソプロピルアルコール、エタノール、ポリエチレングリコール等のDNA沈殿剤を添加してDNAを沈殿させ、これを回収する工程を含有する方法を挙げることができる。
より具体的には、DNAを精製する方法として、以下の(1)〜(5)の工程を経て行う方法を例示できる;(1)上記のようにして得られたDNAが溶出された溶液を遠心分離して上清を回収する工程、(2)該上清にクロロホルム又はクロロホルム−イソアミルアルコール(体積比で、クロロホルム:イソアミルアルコール=24:1)を混合した後に、水層を回収する工程、(3)該水層にイソプロピルアルコール(該水層中での最終濃度が約37.5%)又はエタノール(該水層中での最終濃度が約70%)を添加し、生じた沈殿を回収する工程、(4)得られた沈殿を約37.5%イソプロピルアルコール水溶液又は約70%エタノール水溶液で洗浄する工程、及び(5)得られた沈殿を乾燥する工程。
また、DNAの定量方法としては、具体的には、精製することにより回収したDNAをアガロースゲル電気泳動に供した後に、エチジウムブロマイドで該DNAを染色して、ゲル上のDNAのバンドの蛍光強度を測定する方法を挙げることができる。また例えば、精製することにより回収したDNAを緩衝液に溶解して、該溶液の260nmの吸光度を測定する方法を挙げることもできる。
この様に得られた環境DNA量から、バクテリア数+アーキア数は予め測定されたメタン発酵におけるDNA量とバクテリア数+アーキア数の検量線により求められる。検量線は適宜環境に応じて求められるが、y = ax(x: 環境DNA量(μg/ml), y:バクテリア数+アーキア数(cells/ml))のとき、好ましくはa = 1.2×107 〜 1.3×107であり、特に好ましくはa = 1.23×107である。
バクテリア数+アーキア数のモニタリング方法としては、例えば一定時間間隔でバクテリア数+アーキア数を測定、記録することなどが挙げられるが特に限定されない。
(5)メタン発酵制御
メタン発酵における制御方法としては公知手段を適宜用いることができる。例えば温度の調節、pHの調節、基質の量の調節、原料のTS濃度(全固形物濃度)、発酵槽内のスラリーの撹拌条件(速度等)、滞留時間(HRT、SRT)、希釈率(基質負荷量)、メタン発酵関連微生物群の添加又はメタン生成アーキアの添加などの制御手段のすべて又は一部によって行うことができる。
モニタリングにより、バクテリア数+アーキア数が好ましくは1×108 cells/ml以上、更に好ましくは1.5×108 cells/ml以上、更に好ましくは2.5×108cells/ml以上、最も好ましくは3×108 cells/ml以上になるようにメタン発酵の制御を行う。
このように制御を行うことで、メタン生産の予測ができメタン発酵を高効率化できる。
(6)メタン生成アーキア数の測定
メタン生成アーキア数の測定方法は特に制限されないが、好ましくは蛍光顕微鏡下でF420解析を行うことによって、黄緑色の蛍光を発するアーキア数をカウントすることで測定できる。F420とは、420 nmの波長の光を照射すると黄緑色の自家蛍光を発するメタン生成アーキア特有の補酵素である。これを蛍光顕微鏡下で観察することによって、単位体積当たりのメタン生成アーキア数を定量することができる。この場合の解析結果の単位はcells/mlである。
環境DNA解析法によりバクテリア数+アーキア数の総数を定量し、F420解析によってメタン生成アーキア数を解析することで、メタン発酵液中のバクテリア数+アーキア数に占めるメタン生成アーキア数の割合を定量することができる。
本発明においては、バクテリア数+アーキア数中のメタン生成アーキア数の割合が70%〜95%、好ましくは80%〜95%、最も好ましくは90%になるように制御することが好ましい。
前記アーキア数+バクテリア数及び/又は前記バクテリア数+アーキア数に占めるメタン生成アーキア数の割合の制御には前記メタン発酵を制御する公知手段を用いることができる。
(7)凍結保存又は凍結乾燥したメタン発酵関連微生物群を用いたメタン発酵
メタン発酵関連微生物群の細胞保存の方法としては凍結乾燥や凍結保存が挙げられるが、好ましくは凍結保存であり、更に好ましくは20vol%グリセロール存在下で−80℃で行う凍結保存である。凍結保存又は凍結乾燥したメタン発酵関連微生物群を用いる方法は、例えばメタン発酵の開始時にメタン発酵液に植菌することやメタン発酵中にメタン発酵液に植菌することなどである。凍結保存又は凍結乾燥したメタン発酵関連微生物群の添加量は好ましくは1×107cells/ml以上であり、更に好ましくは1×108cells/ml以上であり、最も好ましくは1×109cells/ml以上である。
凍結保存又は凍結乾燥したメタン発酵関連微生物群を用いたメタン発酵は、例えば20vol%グリセロール存在下で−80℃で凍結保存したメタン発酵関連微生物群を1〜10%植菌して行うことができる。
(8)単離したメタン生成アーキアを添加するメタン発酵
メタン生成アーキアは単離されたものを用いる。メタン生成アーキアの種類は特に限定されないが、メタンを生成するメタノバクテリウム(Methanobacterium)、メタノコッカス(Methanococcus)、メタノサルシナ(Methanosarcina)、メタニミクロコッカス属等に属する微生物であり、好ましくはメタニミクロコッカス・エスピーOZK3株(平成19年9月21日付で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に受領番号FERM AP-21372として寄託した)である。この菌株はメタン生産を時短化し、メタン生産量を向上させる性質を有する。図1に16S rRNA遺伝子を用いた分子系統樹を示すが、この解析結果からOZK3株は公知の菌株とは同一ではない新規株である。OZK3株は16S rRNA遺伝子が配列表の配列番号1に示す塩基配列を有する。
本願新規微生物の菌学的性質を以下に示す。
A. 培養条件
培地名:メタン生産培地
培地組成:
Figure 2009082825
培地のpH:7.5(pHの調整時期:滅菌前)

B. 形態的性質
直径:約1〜2 mm
色調:薄い灰色
形:点状
隆起状態:扁平状
周縁:全縁
表面の形状等:スムーズ
透明度:不透明
粘稠度:バター様

単離したメタン生成アーキアを用いる方法は、例えばメタン発酵の開始前にメタン発酵液にメタン発酵関連微生物群と同時に植菌することやメタン発酵中にメタン発酵液に植菌することなどである。メタン生成アーキアの添加量は好ましくは2×105〜1×108 cells/mlであり、更に好ましくは2×106〜1×108 cells/mlであり、最も好ましくは2×107〜1×108 cells/mlである。
単離したメタン生成アーキアを用いたメタン発酵は、メタン生成アーキアのメタン発酵関連微生物群中の比率を高めるために例えば種菌とメタニミクロコッカス・エスピー OZK3株をメタン生産培地に同時に植菌することにより行うことができる。
メタン製造装置
更に、本発明は、前述するメタン製造方法を実施するためのメタン製造装置を提供する。
本発明のメタン製造装置は、メタン発酵関連微生物群を用いてバイオマスをメタン発酵するメタン発酵槽と、メタン発酵液から試料を採取する手段と、好ましくは前記採取した試料に存在するDNAを溶出し、該DNAを回収するDNA溶出・回収手段と、前記採取した試料の単位体積あたりのDNA量を測定する手段と、前記DNA量に基づいてバクテリア数+アーキア数を算出する手段と、算出したバクテリア数+アーキア数をモニタリングしてバクテリア数+アーキア数を制御する手段を備えていることを特徴とするものである。
本発明のメタン製造装置では、まず、メタン発酵装置の取り出し口からメタン発酵液を採取した試料に存在するDNAを好ましくはDNA溶出・回収手段により取得し、そのDNAの量をDNA測定手段により測定する。次いで、得られたDNA量に基づいて、バクテリア数+アーキア数を算出し、算出したバクテリア数+アーキア数をモニタリングすることによって、バクテリア数+アーキア数のモニタリングを行うことができ、モニタリングの結果により必要に応じてバクテリア数+アーキア数の制御を行う。
メタン発酵槽としては、微生物によりメタン発酵ができるものであれば特に制限されないが、具体的にはバイオマス、微生物投入口、生成したメタンの排出口、メタン発酵液の採取口を備えた発酵槽である。更に、原料のTS濃度、pH、発酵槽内の温度、滞留時間、発酵槽内のスラリーの攪拌条件等のメタン発酵を制御する手段としての公知の手段を1つ以上備えていることが好ましく、これらの手段をバクテリア数+アーキア数を制御する手段して用いることができる。
メタン発酵液から試料を採取する手段としては、特に制限されず、発酵槽から試料を採取する通常の手段を用いることができる。例えば、ポンプによるものである。
DNA溶出・回収手段としては、それを具現化する方法・手法は特に問わない。当該DNA溶出・回収手段の一例として、DNA溶出用溶液を用いて、前記試料からDNAを溶出するDNA溶出手段1と、当該溶出手段1でDNA溶出処理して得られた溶液からDNAを回収するDNA回収手段2とを備えているものを挙げることができる。
当該DNA測定手段については、特に制限されず、公知のDNA測定手段を用いることができる。具体的には、上記モニタリング方法において例示しているように、精製されたDNAをアガロースゲル電気泳動に供した後に、エチジウムブロマイドで染色して、ゲル上のDNAのバンドの蛍光強度を測定する手段、或いは精製されたDNAを緩衝溶液に溶解してその260nmの吸光度を測定する手段等が挙げられる。
上記DNA測定手段によって得られたDNA量は、上記モニタリング方法において記載しているように、メタン発酵液のバクテリア数+アーキア数を反映している。故に、該DNA量に基づいて、メタン発酵液のバクテリア数+アーキア数を算出する手段によって、バクテリア数+アーキア数の算出を行うことができる。当該微生物数の算出手段としては、具体的には、上記DNA測定手段によって得られたDNA量から算出した環境DNA量を、メタン発酵における環境DNA量とバクテリア数+アーキア数との相関関係に照合することによってメタン発酵液のバクテリア数+アーキア数を算出する手段を挙げることができる。
ここで、メタン発酵における環境DNA量とバクテリア数+アーキア数との相関関係に照合する方法としては、特に制限されず、その測定目的や測定内容等に応じて適宜設定すればよい。一例として、上記環境DNA量と、上記相関関係に基づいて設定された一定の基準値とを比較する方法;上記環境DNA量を、上記相関関係に示すグラフに照合する方法;及び上記環境DNA量を、上記相関関係を示すデータを格納したデータベースに照合する方法等を挙げることができる。
バクテリア数+アーキア数のモニタリング手段としては特に制限されないが、例えば一定時間間隔でバクテリア数+アーキア数を測定、記録することなどが挙げられる。
本装置には上記に挙げた手段以外の他の手段を付加してもよい。
バクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御を行うことにより、メタン生産の予測が可能となり、メタン発酵の高効率化が可能になる。
メタン生成アーキアを分離、同定し、メタン生成アーキアを添加することにより、メタン発酵の時短化及び高効率化が可能になる。
更に、本発明のメタン製造装置によれば、簡単且つ迅速にメタン発酵におけるバクテリア数+アーキア数を測定し制御することで、メタン発酵を高効率化することが可能になる。
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。ただし、本発明はかかる実施例等によって何ら制限されるものではない。
DAPI染色法およびF 420 解析の実験方法
メタン発酵汚泥サンプル1.0 mlを滅菌水で適宜希釈(10〜104倍)し、マイクロチューブに950 μlを分取した。これに25 %(w/v)グルタルアルデヒド溶液を終濃度が1 %になるように50 μl加え、4℃、暗所で30分間静置して菌体を固定した。さらに5 μg/mlのDAPI(4´,6-ジアミノ-2-フェニルインドールジヒドロクロライド)−N,N-ジメチルホルムアミド溶液を終濃度1 μg/mlになるように250 μl添加してよく撹拌した後、暗所で4℃、30分間染色した。これら染色後のサンプル1.0 mlを孔径0.22 μmのヌクレポアフィルター(Filter type:GTBP)で吸引濾過し、フィルター上に菌体を採取した。スライドガラス上に菌体を採取したヌクレポアフィルターを乗せ、更にエマージョンオイル、カバーガラスの順に乗せて検鏡試料を作製した。この試料を落射蛍光顕微鏡を用いて1,000倍で検鏡した。
DAPI染色法では、U-MWUフィルター(広帯域U励起用フィルター)を用いて検鏡した。本フィルターによる透過波長はおよそ330〜385 nmである。U-MWUフィルターを用いて検鏡すると、菌体中のDNAにキレートされたDAPIが青白い励起光を発する。検鏡試料1枚につき、計10枚の異なる視野を観察し、50 μm四方中の青白色の発光体数を数えた。このとき、糸状菌と考えられる糸状に連なる発光体を省いた。これを平均し、試料1.0 ml当たりのアーキア数+バクテリア数を算出した。
一方、F420解析ではU-MWBVフィルター(広帯域BV励起用フィルター)を用いて検鏡した。本フィルターによる透過波長はおよそ400〜440 nmである。メタン生成アーキアは補酵素F420を有しており、この補酵素は420 nmの光を照射すると470 nm付近の励起光を発する。補酵素F420はメタン生成アーキアに特異的な補酵素であり、U-MWBVフィルターを用いて検鏡すると、メタン生成アーキアのみが緑色に発光する。検鏡試料1枚につき、計10枚の異なる視野を観察し、50 μm四方中の緑色の発光体数を数えた。これを平均し、試料1.0 ml当たりのメタン生成アーキア数を算出した。
環境DNA解析法
メタン発酵汚泥1 mlに対して、100 mMのTris−HCl、100 mMのEDTA 2Na、100 mMのリン酸ナトリウム、1.5 Mの塩化ナトリウム、1w/v%のCTABからなるDNA溶出溶液(pH8.0)を8 ml添加し、室温、1,500 rpm、20分間撹拌してDNAを抽出した。
DNAが溶出された溶液を室温、8,000 rpm、10分間遠心分離して上清を700 μl回収し、この上清に体積比で24:1のクロロホルム・イソアミルアルコールを700 μl混合して室温、12,000 rpm、5分間遠心分離し、水層を回収した。該水層500 μlにイソプロパノール300 μlを添加して生じた沈殿を回収して、得られた沈殿を70% エタノールで洗浄した。そして得られた沈殿を乾燥した。
その後、アガロースゲル電気泳動に供し、DNAバンドの蛍光強度によりDNAの定量を行った。
実施例1
環境DNA解析法により、環境DNA量からメタン発酵汚泥中のバクテリア数+アーキア数を解析するため、26サンプルのメタン発酵汚泥を解析した。メタン発酵汚泥1 mlをそれぞれ量り取り、環境DNA解析に供した。その結果、環境DNA解析法により定量した各サンプルの環境DNA量と、DAPI染色法により直接計測したバクテリア数+アーキア数には高い相関性(R2=0.99)が認められた(図2)。
よって、この検量線(y=1.23×107x)を用いることにより、メタン発酵におけるバクテリア数+アーキア数が解析できることが分かった。
実施例2
F420解析によるメタン生成アーキアの検出を確認するため、5種類のメタン生成アーキアを解析したところ、いずれのアーキアでもF420解析によって定量したメタン生成アーキア数とDAPI染色法により計測した全菌数が一致した。また、大腸菌を用いて同様の解析を行った場合、F420による蛍光は確認できなかった。よって、F420解析によってメタン生成アーキアの挙動を特異的に解析できることが分かった。
以上の結果より、環境DNA解析法によりメタン発酵関連微生物群のバクテリア数+アーキア数の総数を定量し、F420解析によってメタン生成アーキア数を解析することで、メタン発酵に関与するバクテリア数+アーキア数の総数やメタン生成アーキアが占める割合を定量することができることが分かった。
実施例3
環境DNA解析法を用いて、バクテリア数+アーキア数がどのように経時的に変化しているかを解析した。その結果、4℃で冷蔵保存した場合、1ヶ月後には10分の1以下にまで減少していることが明らかとなった(図3)。一方、通常のバクテリアと同様に20vol%グリセロール存在下で−80℃凍結保存した場合は、半年経過後も約8割のバクテリア数+アーキア数を維持することが確認できた(図3)。F420解析を行ったところ、20vol%グリセロール存在下で−80℃凍結保存した場合は、半年経過後もメタン生成アーキアが約7割存在しており、保存前と変化していなかった。
実施例4
メタン発酵に伴う微生物挙動を解析するため、メタン生産培地を用いてメタン発酵を行い、環境DNA解析によりバクテリア数+アーキア数の変化をモニタリングした。20 vol%グリセロール存在下で−80℃凍結保存した種汚泥(バクテリア数+アーキア数:1.5×108cells/ml)を10 %植菌してメタン発酵を開始したところ、バクテリア数+アーキア数は経時的に増加し、メタンガスが生産される段階になると初期菌数の10倍以上の1.5×108cells/ml〜2.5×108 cells/mlに達していた(表2)。また、4回繰り返して実験を行ったところ、高い再現性が認められた(表2)。4℃で保存した種汚泥を用いるとガス生産までの時間やガス生産量などの再現性が非常に低かったことから、種汚泥の保存方法を改善することによってメタン生産の再現性が向上したと考えられた。
Figure 2009082825
そこで、他の有機物に関して同様の実験を行ったところ、いずれの基質を用いた場合でもガス生産までの時間は一定であった。また、ガス生産時のバクテリア数+アーキア数は1.5×108 cells/ml〜3.6×108cells/ml以上に達していた(表3)。
これらのことから、ガス生産時のバクテリア数+アーキア数は1.5×108 cells/ml〜3.6×108cells/mlであることが予想され、バクテリア数+アーキア数を指標としたガス生産の予測ができるのではないかと考えられた。
Figure 2009082825
実施例5
メタン発酵におけるガス生産と微生物量の関係を解析するため、メタン生産培地でメタン発酵を行い、ガス生産量、環境DNA解析法によるバクテリア数+アーキア数、およびF420解析によるメタン生成アーキア数を経時的に解析した(図4)。培養初期(0〜24時間)では、バクテリア数+アーキア数とメタン生成アーキア数が共に増加するものの、メタン生成アーキア数の増加割合はバクテリア数+アーキア数に比べて低かった。また、この培養段階では、メタン生成アーキアの占める割合が徐々に低下していた。これらのことから、培養初期段階ではメタン生成アーキア以外の関連微生物が優先的に増殖することが考えられた。続く培養30時間後〜36時間後にかけて活発なガス生産がみられ、ガスクロマトグラフィー分析でもメタン生成が確認された。バクテリア数+アーキア数は4.5×108 cells/mlであり、前述の結果(ガス生産時のバクテリア数+アーキア数:1×108cells/ml以上)と一致した。一方、メタン生成アーキア数は4.0×108cells/mlであった。培養30〜36時間の段階では、メタン生成アーキア数の増加割合はバクテリア数+アーキア数に比べて高く、メタン生成アーキア数の割合は最大で約90%になっていた。
さらに、メタン生成アーキアの割合が非常に低いサンプル(発酵開始時におけるメタン生成アーキアの割合:約30%)について同様の実験を行ったところ、ガス生産時のバクテリア数+アーキア数は1.1×108cells/ml、メタン生成アーキア数は1.0×108 cells/mlであり、図4と同様の傾向が見られた(図5)。またメタン発酵の進行に伴ってメタン生成アーキアの割合も上昇し、ガス生産時にはおよそ約90%に達していた。
これらのバクテリア数+アーキア数およびメタン生成アーキア数を指標として、基質や栄養源の添加といったメタン発酵装置の制御を行うことで、メタン発酵の安定化や時短化が可能となると考えられる。例えば、バクテリア数+アーキア数やメタン生成アーキア数が減少し始めたときは、それらの値が維持若しくは増加するように制御することによってガス生産が安定化すると考えられる。
実施例6
メタン生成アーキアの投入によりメタン発酵を効率化することを目指し、環境中からメタン生成アーキアをスクリーニングした。アンピシリン10 μg/mlを含むメタン生産培地で集積培養を行った結果、水田土壌からメタン生成アーキアOZK3株を分離した。16S rDNA配列を行ったところ、OZK3株はメタニミクロコッカス属と95.8%の相同性を示したことから、メタニミクロコッカス属に近縁なメタン生成アーキアであると考えられた(表4)。
Figure 2009082825
OZK3株の投入によるメタン発酵への効果を解析するため、種菌とOZK3株をメタン生産培地に同時に植菌し、メタン発酵を行った。種菌は畜産廃水をメタン発酵した発酵液を20vol%グリセロール存在下で−80℃で凍結保存したものである。その結果、2×105 cells/ml以上添加した場合にはいずれもメタンガス生成の時短化が認められた(図6)。さらに2×107cells/ml-sample添加した場合にはメタン生産の時短化と共にメタン生産量の向上が確認されたことから(図6)、OZK3株を2×107cells/ml以上投入することによってメタン発酵が効率化したと考えられた。
OZK3株の16S rDNA遺伝子を用いた分子系統樹を示す図である。左下の線はスケールバー、系統枝の分岐に位置する数字はブートストラップ値、株名の末尾のTはその種の基準菌株(Type strain)であることを示す。 実施例1において環境DNA量とDAPI染色法により定量したバクテリア数+アーキア数の関係を表す図である。 実施例3において長期保存によるバクテリア数+アーキア数への影響の比較を表す図である。 実施例5においてガス生産量、バクテリア数+アーキア数、およびメタン生成アーキア数の関係を表す図である。 実施例5においてガス生産量、バクテリア数+アーキア数、およびメタン生成アーキア数の関係を表す図である。 実施例6においてOZK3株の添加によるメタン生産量への効果を表す図であり、( )内はメタン生産が確認された日数を表す。4日間培養を行った。

Claims (7)

  1. メタン発酵関連微生物群によりバイオマスをメタン発酵させてメタンを製造する方法であって、メタン発酵液から採取した試料の単位体積当たりのDNA量から求めたバクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御することを特徴とする、メタン製造方法。
  2. 前記バクテリア数+アーキア数が1×108 cells/ml 以上になるように制御する、請求項1に記載のメタン製造方法。
  3. 前記バクテリア数+アーキア数中のメタン生成アーキア数の割合が70%〜95%になるように制御する、請求項1又は2に記載のメタン製造方法。
  4. メタン発酵関連微生物群の一部又は全部が凍結保存又は凍結乾燥したメタン発酵関連微生物群である請求項1〜3のいずれかに記載のメタン製造方法。
  5. 更に、メタン発酵液中に単離したメタン生成アーキアを添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメタン製造方法。
  6. 前記単離したメタン生成アーキアがメタニミクロコッカス・エスピー( Methanimicrococcus sp.) OZK3株(FERM AP-21372)である、請求項5に記載のメタン製造方法。
  7. メタン発酵関連微生物群を用いてバイオマスをメタン発酵するメタン発酵槽と、
    メタン発酵液から試料を採取する手段と、
    採取した試料の単位体積あたりのDNA量を測定する手段と、
    測定したDNA量に基づいてバクテリア数+アーキア数を算出する手段、及び
    算出したバクテリア数+アーキア数をモニタリングして制御する手段
    を備えたメタン製造装置。
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