JPH0568530A - 低アルコール清酒及びその製造方法 - Google Patents
低アルコール清酒及びその製造方法Info
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- JPH0568530A JPH0568530A JP23507291A JP23507291A JPH0568530A JP H0568530 A JPH0568530 A JP H0568530A JP 23507291 A JP23507291 A JP 23507291A JP 23507291 A JP23507291 A JP 23507291A JP H0568530 A JPH0568530 A JP H0568530A
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Abstract
し、この麹の酵素力価を酵素剤で補填して仕込むことに
より原酒を製造し、この原酒に必要により補酸、補糖
し、水で希釈してアルコール度数7〜10%、アミノ酸
度0.3〜0.8ml、酸度0.6〜1.5ml、エキ
ス分3〜6%の低アルコール清酒を製造する。 【効果】 アルコール度数が10%以下の低アルコール
清酒であっても、「水っぽさ」や「くどさ」を感じさせ
ず、しかも清酒本来の味わいを残した、軽快な香味の低
アルコール清酒を得る。
Description
ながら、清酒本来の嗜好性に優れた低アルコール清酒、
及びその製造方法に関する。
の役割が大きく、清酒は15〜16%のアルコール度数
の普通のもの(以下、アルコール度数が15〜16%の
清酒を「普通の清酒」という)が好まれていた。しかし
最近では、より会話を楽しくはずませるためのいわゆる
コミュニケーションツールとしての役割が重視され、ア
ルコール飲料のソフト化、低アルコール化の要望は清酒
にまで及んでいる。
割り、お湯割りとして飲まれることが少なくないが、こ
れらの水で希釈した蒸留酒に対して、俗にいう「水っぽ
い」という指摘は稀である。
ルコール度数を10%以下に調整したにすぎないとき
は、「水っぽい」味となり、それでいて清酒独特の旨み
が突出した「くどい」ものとなり、香味のバランスが著
しく損なわれ、嗜好性に欠けたものとなる。
値が表7に示す普通の清酒を水で希釈し、専門のパネラ
ー10名による5段階評価(良1〜5劣)の官能検査の
結果は図6に示す通りであり、アルコール度数12%以
上ではパネラーの評価の平均値(以下、評点という)が
2を上回り、優れていたが、10%以下になると評点は
3(普通)を大きく下回り、嗜好性に著しく欠けると判
定された。
所定分析法によるものであり、また官能検査もすべて上
記の方法で行われたものである。
処理によって酸性区分、塩基性区分を除去し、得られた
アルコールを含む中性区分は、上記の蒸留酒の場合と同
様に、アルコール度数を10%となるように水で希釈し
ても、嗜好性の優劣はともかくとして、「水っぽい」と
いう評価はされ難い。
として清酒の味覚上極めて重要な成分であり、共存する
乳酸、コハク酸等の有機酸と調和して、「濃醇さ」や
「コク」を付与するものである。
麗な酒質を歓迎する傾向にあること、また、アミノ酸の
多い清酒は貯蔵による着色などの劣化が速いこと等か
ら、清酒の生産者は、このアミノ酸を減ずるよう工夫し
てきた。例えば、原料米の精白度を上げる、 製麹
時間を短くした若い麹を使う、 酵素剤で麹の一部を
代替して、麹使用量を減ずる、 蒸米の一部をアルコ
ール脱水α化米によって代替する、 蒸米を加圧条件
下で行う、 熟成もろみにアルコールを添加した後
は、短時間内に上槽する、等である。
酒を製造するためのものであって、「水っぽさ」や「く
どさ」を感じない低アルコール清酒を製造するためのも
のとしては認識されず、採用されていなかった。
普通の清酒を水で希釈したものを用いて、これに高酸味
を付与したり、酸味と調和するようにエキス分を追加し
たり、炭酸ガスを含有させてその刺激を利用したり、い
わゆる吟醸香のようなエステル類の香気成分を増強した
りすることが試みられ、これらが低アルコール清酒とし
て商品化されていた。
の低アルコール清酒は、「水っぽさ」や旨み成分である
アミノ酸由来の「くどさ」を覆い隠すために、アルコー
ル以外の香味成分のいずれかを増強したり、清酒にない
成分を加えたりするものであるから、低アルコール清酒
の狙いが、アルコール度数を軽減して酒質のライト化を
図ろうとするものであるにもかかわらず、むしろその香
味は濃醇化し、同時に清酒本来の味わいとかけ離れたも
のとなってしまう問題があった。
ン交換樹脂処理した普通の清酒の特性を参照しつつ、低
アルコール清酒の備えるべき成分的特質を検討した結
果、アミノ酸含量を減ずることにより、アルコール度数
が10%乃至それ以下であっても、「水っぽさ」や「く
どさ」を感じない低アルコール清酒が得られることを見
い出し、この発明をするに至った。すなわち、この発明
は、アルコール度数が10%以下の低アルコール清酒で
あっても、「水っぽさ」、「くどさ」を感じさせず、し
かも清酒本来の味わいを残した、軽快な香味の低アルコ
ール清酒を提供し、またその製造方法を提供することを
目的とする。
に、この発明は、アルコール度数が7〜10%の低アル
コール清酒において、アミノ酸度を0.3〜0.8m
l、酸度を0.6〜1.5ml、エキス分を3〜6%と
する構成を採用した。
して、原料米に占める麹米の割合を4〜10%とし、麹
の酵素力価を酵素剤で補填して仕込むことにより原酒を
製造し、この原酒を水で希釈してアルコール度数を7〜
10%に調整する構成を採用し、必要により前記希釈の
前又は後に補酸し、補糖し、又は補酸及び補糖する構成
を採用した。
込み水として、リン酸根70〜700ppmに相当する
リン酸又はリン酸塩を含有する水を使用する構成を採用
した。
15、10、8、6、4、2%の6段階に変え、酵素剤
で酵素力価を補填し、汲水歩合135%の三段仕込みを
行って、原酒を製造した。表1は、これらの仕込み内容
と、得られた原酒の成分を示すものである。
素剤として天野製薬株式会社の「グルクー100」(商
標)を用い、最高品温は全て摂氏12度とした。また、
麹歩合は協会701号酵母を用いた酒母に充当する分も
含む値である。
%のもの)は、普通の清酒に比べて麹歩合が僅かに低い
ものである。このイとロ〜ヘを比較すると、両者には、
アルコール度数及び酸度に有意差はないが、アミノ酸度
は大きく異なっている。
mを用いて処理後、水で希釈してアルコール度数が1
0、9、8、7%の4段階の低アルコール清酒を調製し
た。表2は、これにより得られた低アルコール清酒の成
分、及びこれらの低アルコール清酒の官能検査の結果
(評点)を示すものである。
える良好な評価を得られなかったのは、イのすべて、ロ
のアルコール度数7%、8%のもの、及びハの同7%の
もののみであり、他は良好な評価を得られている。
及びエキス分をおのおの変化させて、上記と同様の官能
検査をしたところ、図1〜3に示す結果を得た。
適切と推察されるアルコール度数16.0%、酸度1.
8ml、アミノ酸度0.7ml、エキス分8.8%の原
酒を用いて、水で希釈してアルコール度数を変化させ、
官能検査した結果を示すものである。
原酒は、アルコール度数が高い段階よりも、むしろアル
コール度数を下げた方が良好な結果が得られている。し
かしアルコール度数が7%未満となると評点は暫次低下
し、評点3以上を得たのは5%以上である。また10%
以下の低アルコール清酒としては、7%以上のアルコー
ル度数のものが評点2以上の優れた嗜好性を示してい
る。
じ原酒を用いて、これに水を加え、苛性ソーダによる減
酸又は乳酸による補酸をして、アルコール度数を10
%、7%の2段階でそれぞれ酸度0.6〜2.0mlま
で段階的に調整して試料系列を作成して、官能検査をし
たものである。なお、アルコール度数7%のものは、同
10%のものと同様にエキス分5.5%になるよう粉末
水飴を用いて補糖している。
のもので酸度1.5ml以下では評点2以上、同7%の
もので酸度1.5ml以下で評点3以上の優れた結果を
示し、これら以上の酸度の強いものは急激に評価が低下
し、また酸度が低くても0.6、0.7mlのように苛
性ソーダによる減酸をしたものはやや評価が下がる傾向
がみられる。
1.9ml.アミノ酸度を0.8ml、エキス分6.6
%の原酒を用いて、これに粉末水飴と水を加えて、アル
コール度数を10%、7%の2段階でそれぞれエキス分
が異なり、甘味の程度も異なる試料系列を作成して官能
検査した結果を示すものである。なお、この原酒は、図
1の官能検査に用いた原酒と同様の仕込みで、エキス分
を意図的に低めるため更に発酵を継続させたものであ
る。
%のものも、7%のものも、エキス分が6%程度では評
点は2以上で優れているが、これ以上になると甘味が浮
き立ちはじめ、さらに増すと清酒らしい調和が著しく損
なわれ、評点が悪くなっている。
の関係を示すものであるが、この図により明らかな通
り、酵素剤により酵素力価を補填すると発酵は順調に進
むが、麹歩合が4%未満になると長期もろみになると同
時に圧搾が困難になり、実用上好ましくなかった。
として、アルコール度数が7〜10%、アミノ酸度が
0.3〜0.8ml、酸度が0.6〜1.5ml、エキ
ス分が3〜6%のものが優れているということができ
る。
アルコール度数10、9、8、7%に調整するにあた
り、すべての試料が酸度1.1ml、エキス分5.3〜
5.5%になるよう乳酸と粉末水飴により補酸、補糖し
て官能検査をしたところ、表3に示す評点を得た。
と、補酸、補糖により各試料の評点は向上しているが、
イの低アルコール清酒はすべて3を越えず良好とは評価
されなかった。したがって、酸度やエキス分の少ないも
のについては、必要に応じて補酸、補糖することが望ま
しい。
前でも後でもいずれでもよい。また、補酸、補糖の方法
は通常用いられる乳酸や粉末水飴の添加で良い結果が得
られるが、その他の方法を用いてもよい。もっとも、四
段掛けの方法により糖分の多い原酒を製造して用いれば
補糖は不要となり、望ましい。
仕込み条件で、仕込み水にリン酸第1カリウムを添加し
て原酒を製造した。表4は、リン酸第1カリウムの添加
量と発酵日数及び得られた各原酒のアミノ酸度を示すも
のである。
濃度で添加すると、発酵日数が長期化し、アミノ酸度も
若干上昇するマイナスの影響がみられた。
水でアルコール度数10%に希釈し、得られた低アルコ
ール清酒の官能検査の結果を示すものである。この結果
によれば、リン酸第1カリウムを添加していないもの
(添加量0%、即ち実施例1のニの原酒)に比べて、1
00〜1000ppm(リン酸根(PO4 )で70〜7
00ppm相当)を添加したものは、極めて良好な評価
を得られている。
り嗜好性が向上する理由は、主として中性付近での緩衝
能の付与(日本醸造協会雑誌 第59巻(1964年9
月号)第800〜805頁参照)や、若干の濃味付与、
酵母に与える発酵助剤としての好影響等が考えられる。
様の効果は、次の方法によっても得られた。
リウム(K2 HPO4 )、第1リン酸カルシウム(Ca
(H2 PO4 )2 ・H2 O)、リン酸ナトリウム(Na
3 PO4 )等のリン酸塩を添加する。
使用する。
させたリン酸が溶存する水を仕込み水に使用する。
0kgを用いた量産規模での仕込みをし、原酒を製造し
た。
の山田錦を、掛米には同じく60%精白の日本晴を用
い、酵母は協会1001号酵母の普通速醸酒母を用い、
麹歩合は7.7%とし、酵素剤で酵素力価を補填し、リ
ン酸第1カリウムを総汲水あたり400ppmとなるよ
う加工した仕込み水を用い、留添後19日目に四段掛け
し、白米トンあたり122Lのアルコールを添加して直
ちに圧搾上槽した。
使用して炭素ろ過し、水によりアルコール度数9.6%
に希釈した後に、火入れして、低アルコール清酒を製造
した。
表6に示す通りであり、得られた低アルコール清酒は、
軽快でいて清酒らしい香味が調和した嗜好性に優れた品
質であった。
アルコール度数が10%以下の低アルコール清酒であっ
ても、従来のものとは異なって、「水っぽさ」や「くど
さ」を感じさせず、しかも清酒本来の味わいを残した、
軽快な香味の低アルコール清酒を得ることができる。
明図
す説明図
図
示す説明図
数と評点との関係を示す説明図
Claims (5)
- 【請求項1】 アルコール度数が7〜10%の低アルコ
ール清酒において、アミノ酸度が0.3〜0.8ml、
酸度が0.6〜1.5ml、エキス分が3〜6%である
ことを特徴とする、低アルコール清酒。 - 【請求項2】 原料米に占める麹米の割合を4〜10%
とし、麹の酵素力価を酵素剤で補填して仕込むことによ
り原酒を製造し、この原酒を水で希釈してアルコール度
数を7〜10%に調整して成る請求項1に記載の低アル
コール清酒の製造方法。 - 【請求項3】 請求項2に記載の低アルコール清酒の製
造方法において、上記原酒に補酸し、補糖し、又は補酸
及び補糖したことを特徴とする請求項2に記載の低アル
コール清酒の製造方法。 - 【請求項4】 請求項2に記載の低アルコール清酒の製
造方法において、上記原酒を水で希釈してアルコール度
数を7〜10%に調整した後に、補酸し、補糖し、又は
補酸及び補糖したことを特徴とする請求項2に記載の低
アルコール清酒の製造方法。 - 【請求項5】 上記原酒を製造するために用いる仕込み
水として、リン酸根70〜700ppmに相当するリン
酸又はリン酸塩を含有する水を使用することを特徴とす
る、請求項2、3又は4に記載の低アルコール清酒の製
造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP23507291A JP2598847B2 (ja) | 1991-03-19 | 1991-09-13 | 低アルコール清酒 |
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JP3-130764 | 1991-03-19 | ||
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JPH0568530A true JPH0568530A (ja) | 1993-03-23 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2598847B2 (ja) |
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JPH0292266A (ja) * | 1988-09-26 | 1990-04-03 | Nitto Denko Corp | 低アルコール飲料の製造法 |
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1991
- 1991-09-13 JP JP23507291A patent/JP2598847B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2598847B2 (ja) | 1997-04-09 |
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