JP2598847C - - Google Patents

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JP2598847C
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Hakutsuru Sake Brewing Co Ltd
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Hakutsuru Sake Brewing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 この発明は、低アルコール清酒でありながら、清酒本来の嗜好性に優れた低ア
ルコール清酒に関する。 【0002】 【従来技術】 アルコール飲料は、従来、致酔飲料としての役割が大きく、清酒は15〜16
%のアルコール度数の普通のもの(以下、アルコール度数が15〜16%の清酒
を「普通の清酒」という)が好まれていた。しかし最近では、より会話を楽しく
はずませるためのいわゆるコミュニケーションツールとしての役割が重視され、
アルコール飲料のソフト化、低アルコール化の要望は清酒にまで及んでいる。 【0003】 蒸留酒、例えばウイスキーや焼酎等は、水割り、お湯割りとして飲まれること
が少なくないが、これらの水で希釈した蒸留酒に対して、俗にいう「水っぽい」
という指摘は稀である。 【0004】 しかし、普通の清酒を水で希釈してそのアルコール度数を10%以下に調整し
たにすぎないときは、「水っぽい」味となり、それでいて清酒独特の旨みが突出
した「くどい」ものとなり、香味のバランスが著しく損なわれ、嗜好性に欠けた
ものとなる。 【0005】 例えば、国税庁所定分析法による一般分析値が表7に示す普通の清酒を水で希
釈し、専門のパネラー10名による5段階評価(良1〜5劣)の官能検査の結果
は図6に示す通りであり、アルコール度数12%以上ではパネラーの評価の平均
値(以下、評点という)が2を上回り、優れていたが、10%以下になると評点
は3(普通)を大きく下回り、嗜好性に著しく欠けると判定された。 【0006】 なお、以下に記載の分析値はすべて国税庁所定分析法によるものであり、また
官能検査もすべて上記の方法で行われたものである。 【0007】 【表7】 【0008】 もっとも、普通の清酒からイオン交換樹脂処理によって酸性区分、塩基性区分
を除去し、得られたアルコールを含む中性区分は、上記の蒸留酒の場合と同様に
、アルコール度数を10%となるように水で希釈しても、嗜好性の優劣はともか
くとして、「水っぽい」という評価はされ難い。 【0009】 ところで、清酒中のアミノ酸は、旨み成分として清酒の味覚上極めて重要な成
分であり、共存する乳酸、コハク酸等の有機酸と調和して、「濃醇さ」や「コク
」を付与するものである。 【0010】 近年の消費者嗜好は、上記の通り、より淡麗な酒質を歓迎する傾向にあること 、また、アミノ酸の多い清酒は貯蔵による着色などの劣化が速いこと等から、清
酒の生産者は、このアミノ酸を減ずるよう工夫してきた。例えば、 原料米の精白度を上げる、 製麹時間を短くした若い麹を使う、 酵素剤で麹の一部を代替して、麹使用量を減ずる、 蒸米の一部をアルコール脱水α化米によって代替する、 蒸米を加圧条件下で行う、 熟成もろみにアルコールを添加した後は、短時間内に上槽する、 等である。 【0011】 しかし、これらの工夫は、従来の普通の清酒を製造するためのものであって、
「水っぽさ」や「くどさ」を感じない低アルコール清酒を製造するためのものと
しては認識されず、採用されていなかった。 【0012】 そのために、従来の低アルコール清酒は、普通の清酒を水で希釈したものを用
いて、これに高酸味を付与したり、酸味と調和するようにエキス分を追加したり
、炭酸ガスを含有させてその刺激を利用したり、いわゆる吟醸香のようなエステ
ル類の香気成分を増強したりすることが試みられ、これらが低アルコール清酒と
して商品化されていた。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、これらの従来の低アルコール清酒は、「水っぽさ」や旨み成分である
アミノ酸由来の「くどさ」を覆い隠すために、アルコール以外の香味成分のいず
れかを増強したり、清酒にない成分を加えたりするものであるから、低アルコー
ル清酒の狙いが、アルコール度数を軽減して酒質のライト化を図ろうとするもの
であるにもかかわらず、むしろその香味は濃醇化し、同時に清酒本来の味わいと
かけ離れたものとなってしまう問題があった。 【0014】 そこで、発明者等は、上記の蒸留酒やイオン交換樹脂処理した普通の清酒の特 性を参照しつつ、低アルコール清酒の備えるべき成分的特質を検討した結果、ア
ミノ酸含量を減ずることにより、アルコール度数が10%乃至それ以下であって
も、「水っぽさ」や「くどさ」を感じない低アルコール清酒が得られることを見
い出し、この発明をするに至った。すなわち、この発明は、炭酸ガスや香気成分
の添加のない、アルコール度数が10%以下の低アルコール清酒であっても、「
水っぽさ」、「くどさ」を感じさせず、しかも清酒本来の味わいを残した、軽快
な香味の低アルコール清酒を提供することを目的とする。 【0015】 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するために、この発明は、炭酸ガスや香り成分の添加のない、
アルコール度数が7〜10%の低アルコール清酒において、アミノ酸度が0.3
〜0.6ml、酸度が0.6〜1.2ml、エキス分が3.9〜6%とする構成
を採用した。 【0016】 【0017】 【0018】 【実施例1】 定法に従いつつ、総米2kgで、麹歩合を15、10、8、6、4、2%の6
段階に変え、酵素剤で酵素力価を補填し、汲水歩合135%の三段仕込みを行っ
て、原酒を製造した。表1は、これらの仕込み内容と、得られた原酒の成分を示
すものである。 【0019】 なお、原料米の精白度は65%であり、酵素剤として天野製薬株式会社の「グ
ルクー100」(商標)を用い、最高品温は全て摂氏12度とした。また、麹歩
合は協会701号酵母を用いた酒母に充当する分も含む値である。 【0020】 表1に示す原酒のうち、イ(麹歩合が15%のもの)は、普通の清酒に比べて 麹歩合が僅かに低いものである。このイとロ〜ヘを比較すると、両者には、アル
コール度数及び酸度に有意差はないが、アミノ酸度は大きく異なっている。 【0021】 【表1】 【0022】 次に、これらの原酒を、活性炭500ppmを用いて処理後、水で希釈してア
ルコール度数が10、9、8、7%の4段階の低アルコール清酒を調製した。表
2は、これにより得られた低アルコール清酒の成分、及びこれらの低アルコール
清酒の官能検査の結果(評点)を示すものである。 【0023】 【表2】 【0024】 この表2に示す通り、評点3(普通)以上の良好な評価を得られなかったのは
、イのすべて、ロのアルコール度数7%のもの、及びハの同7%のもののみであ
り、他は良好な評価を得られている。 【0025】 この結果に基づき、アルコール度数、酸度及びエキス分をおのおの変化させて
、上記と同様の官能検査をしたところ、図1〜3に示す結果を得た。 【0026】 図1は、低アルコール清酒用の原酒として適切と推察されるアルコール度数1
6.0%、酸度1.8ml、アミノ酸度0.7ml、エキス分8.8%の原酒を
用いて、水で希釈してアルコール度数を変化させ、官能検査した結果を示すもの
である。 【0027】 この結果によれば、低アルコール清酒用の原酒は、アルコール度数が高い段階
よりも、むしろアルコール度数を下げた方が良好な結果が得られている。しかし アルコール度数が7%未満となると評点は暫次低下し、評点3以上を得たのは5
%以上である。また10%以下の低アルコール清酒としては、7%以上のアルコ
ール度数のものが評点2以上の優れた嗜好性を示している。 【0028】 図2は、図1の官能検査に用いた原酒と同じ原酒を用いて、これに水を加え、
苛性ソーダによる減酸又は乳酸による補酸をして、アルコール度数を10%、7
%の2段階でそれぞれ酸度0.6〜2.0mlまで段階的に調整して試料系列を
作成して、官能検査をしたものである。なお、アルコール度数7%のものは、同
10%のものと同様にエキス分5.5%になるよう粉末水飴を用いて補糖してい
る。 【0029】 この結果によれば、アルコール度数10%のもの及び同7%のものは、いずれ
も酸度1.2ml以下で評点2以上の優れた結果を示し、これら以上の酸度の強
いものは急激に評価が低下し、また酸度が低くても0.6、0.7mlのように
苛性ソーダによる減酸をしたものはやや評価が下がる傾向がみられる。 【0030】 図3は、アルコール度数16.8%、酸度1.9ml.アミノ酸度を0.8m
l、エキス分6.6%の原酒を用いて、これに粉末水飴と水を加えて、アルコー
ル度数を10%、7%の2段階でそれぞれエキス分が異なり、甘味の程度も異な
る試料系列を作成して官能検査した結果を示すものである。なお、この原酒は、
図1の官能検査に用いた原酒と同様の仕込みで、エキス分を意図的に低めるため
更に発酵を継続させたものである。 【0031】 この結果によれば、アルコール度数が10%のものも、7%のものも、エキス
分が6%程度では評点は2以上で優れているが、これ以上になると甘味が浮き立
ちはじめ、さらに増すと清酒らしい調和が著しく損なわれ、評点が悪くなってい
る。 【0032】 なお、図4は、麹歩合と発酵に要した日数の関係を示すものであるが、この図 により明らかな通り、酵素剤により酵素力価を補填すると発酵は順調に進むが、
麹歩合が4%未満になると長期もろみになると同時に圧搾が困難になり、実用上
好ましくなかった。 【0033】 以上の結果からすれば、低アルコール清酒として、アルコール度数が7〜10
%、アミノ酸度が0.3〜0.6ml、酸度が0.6〜1.2ml、エキス分が
3.9〜6%のものが優れているということができる。 【0034】 そこで、表1に示す原酒イ〜ヘについて、アルコール度数10、9、8、7%
に調整するにあたり、すべての試料が酸度1.1ml、エキス分5.3〜5.5
%になるよう乳酸と粉末水飴により補酸、補糖して官能検査をしたところ、表3
に示す評点を得た。 【0035】 【表3】 【0036】 この評点と、表2に示す評点を対比すると、補酸、補糖により各試料の評点は
向上しているが、イの低アルコール清酒はすべて3を越えず良好とは評価されな
かった。したがって、酸度やエキス分の少ないものについては、必要に応じて補
酸、補糖することが望ましい。 【0037】 なお、補酸、補糖は、水による原酒の希釈前でも後でもいずれでもよい。また
、補酸、補糖の方法は通常用いられる乳酸や粉末水飴の添加で良い結果が得られ
るが、その他の方法を用いてもよい。もっとも、四段掛けの方法により糖分の多
い原酒を製造して用いれば補糖は不要となり、望ましい。 【0038】 【実施例2】 実施例1のニの原酒(表1のニ)と同一の仕込み条件で、仕込み水にリン酸第
1カリウムを添加して原酒を製造した。表4は、リン酸第1カリウムの添加量と
発酵日数及び得られた各原酒のアミノ酸度を示すものである。 【0039】 リン酸第1カリウムを2000ppmもの高濃度で添加すると、発酵日数が長
期化し、アミノ酸度も若干上昇するマイナスの影響がみられた。 【0040】 【表4】 【0041】 図5は、これらの各原酒を活性炭処理後、水でアルコール度数10%に希釈し
、得られた低アルコール清酒の官能検査の結果を示すものである。この結果によ
れば、リン酸第1カリウムを添加していないもの(添加量0%、即ち実施例1の
ニの原酒)に比べて、100〜1000ppm(リン酸根(PO4)で70〜7
00ppm相当)を添加したものは、極めて良好な評価を得られている。 【0042】 このようにリン酸第1カリウムの添加により嗜好性が向上する理由は、主とし
て中性付近での緩衝能の付与(日本醸造協会雑誌 第59巻(1964年9月号
)第800〜805頁参照)や、若干の濃味付与、酵母に与える発酵助剤として
の好影響等が考えられる。 【0043】 また、このリン酸第1カリウムの添加と同様の効果は、次の方法によっても得
られた。 【0044】 リン酸(H3PO4)、リン酸第2カリウム(K2HPO4)、第1リン酸カ
ルシウム(Ca(H2PO42・H2O)、リン酸ナトリウム(Na3PO4)等の
リン酸塩を添加する。 【0045】 リン酸塩の豊富な天然水を仕込み水に使用する。 【0046】 リン酸第3カルシウムなどの層を通過させたリン酸が溶存する水を仕込み
水に使用する。 【0047】 【実施例3】 表5に示す仕込み配合により、総米6200kgを用いた量産規模での仕込み
をし、原酒を製造した。 【0048】 この原酒の製造では、麹米には60%精白の山田錦を、掛米には同じく60%
精白の日本晴を用い、酵母は協会1001号酵母の普通速醸酒母を用い、麹歩合
は7.7%とし、酵素剤で酵素力価を補填し、リン酸第1カリウムを総汲水あた
り400ppmとなるよう加工した仕込み水を用い、留添後19日目に四段掛け
し、白米トンあたり122Lのアルコールを添加して直ちに圧搾上槽した。 【0049】 【表5】 【0050】 次に、この原酒を活性炭20ppm程度を使用して炭素ろ過し、水によりアル
コール度数9.6%に希釈した後に、火入れして、低アルコール清酒を製造した
。 【0051】 この原酒及び低アルコール清酒の分析値は表6に示す通りであり、得られた低
アルコール清酒は、軽快でいて清酒らしい香味が調和した嗜好性に優れた品質で
あった。 【0052】 【表6】 【0053】 【効果】 この発明に係る低アルコール清酒は、上記の通り構成したので、アルコール度
数が10%以下の低アルコール清酒であっても、従来のものとは異なって、「水
っぽさ」や「くどさ」を感じさせず、しかも清酒本来の味わいを残した、軽快な
香味を得ることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 アルコール度数と評点との関係を示す説明図 【図2】 酸度とアルコール度数と評点との関係を示す説明図 【図3】 エキス分とアルコール度数と評点との関係を示す説明図 【図4】 麹歩合と発酵に要した日数との関係を示す説明図 【図5】 リン酸第1カリウムの添加量と評点との関係を示す説明図 【図6】 普通の清酒を水で希釈したときのアルコール度数と評点との関係を示す説明図

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 炭酸ガスや香気成分の添加のない、アルコール度数が7〜10
    %の低アルコール清酒において、アミノ酸度が0.3〜0.6ml、酸度が0.
    6〜1.2ml、エキス分が3.9〜6%であることを特徴とする、低アルコー
    ル清酒。

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