JPH056832Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動車用シートバツクの裏面部に位置
するトリムカバーの内側にトリムボードを収納配
置したトリムボード固定構造に関するものであ
る。

従来の技術 一般に自動車のシートは、第４図に示した如
く、シートクツシヨン１とシートバツク２を主体
として構成されていて、上記シートバツク２はリ
クライニング機構３のレバー３ａを操作すること
によつて、前後方向に傾動自在にしてある。シー
トバツク２の内方には、通常第４図の−線に
沿う断面図である第５図に示した如く、シートバ
ツクフレーム４に支持されたスプリング部材５
と、このスプリング部材５の周囲にあつて、少な
くともフロントFR側及び両サイドRS、LS側に
跨がるパツド部材６が配設されているとともに、
該パツド部材６の表面部全域にトリムカバー７が
張設されている。（このような自動車用シートの
構成に関しては、日産自動車株式会社が昭和61年
２月に発行したサービス周報第549号、F31型系
車の紹介、Ｄ−34〜Ｄ−36頁を参照）。

尚、上記スプリング部材５の裏面RR側に図外
のバツクボードもしくはバツクガーニツシユを一
体に組み付けて、シートバツク２の剛性を高めた
構成も知られている。

考案が解決しようとする問題点 しかしながらこのような従来の自動車用シート
バツクの構成にあつては、シートバツク２の裏面
RR側は単にトリムカバー７で覆われているのみ
であるから、質感に乏しく、且つ後方から矢印Ａ
に示した押動力が加わることによつて、トリムカ
バー７が矢印Ｂ方向にへこみ易くなり、剛性及び
外観の低下を招来してしまうという問題点があつ
た。更に前記した如く、シートバツク２の裏面
RR側にバツクボードもしくはバツクガーニツシ
ユを一体に組み付けると、シートバツク２の裏面
RR側の剛性を高めることが可能となるが、上記
バツクボードもしくはバツクガーニツシユを用い
ると、シートバツク自体の組付作業性が低下する
とともに、化粧材等が付設された別体のボードを
成形しなければならないので、コストの上昇を招
いてしまうという難点を有している。

そこで本考案はこのような従来の自動車用シー
トバツクが有している問題点を解消して、該シー
トバツクに質感を持たせるとともに、シートバツ
ク裏面部の剛性を高めることが出来る構造を提供
することを目的とするものである。

問題点を解決するための手段 本考案は上記の目的を達成するために、シート
バツクフレームの周囲にあつて少なくともフロン
ト側及び両サイド側に跨がるパツド部材と、該パ
ツド部材の表面部全域に張設されたトリムカバー
とを具備した自動車用シートバツクにおける前記
パツド部材を、シートバツクの両サイドからリヤ
側にまで回り込ませた部位に配置するとともに、
シートバツクの裏面部に位置する前記トリムカバ
ーの内側に、周縁部が該トリムカバーに固定され
た袋体を取着し、この袋体の内方に所定の硬度及
び弾性力が付与されたトリムボードを収納配置し
た構成にしてある。

作用 パツド部材がシートバツクの両サイドからリヤ
側にまで回り込んだ位置に配置されているととも
にシートバツクの裏面部に位置するトリムカバー
の内側に取着された袋体内にトリムボードが収納
配置されているので、パツド部材のクツシヨン性
を良好に維持しつつ、シートバツク裏面部の剛性
を高め、且つシートバツク自体に質感を持たせる
ことができるという作用がもたらされる。

実施例 以下図面の第１図〜第３図を参照して、本考案
にかかるシートバツクのトリムボード固定構造の
一実施例を前記従来の構成と同一の構成部分に同
一の符号を付して詳述する。

図中２はシートバツクであつて、該シートバツ
ク２の内方には、スプリング部材５がシートバツ
クフレーム４に支持されて配設されている。更に
このスプリング部材５の周囲には、パツド部材６
が少なくともフロントFR側及び両サイドRS、
LS側に跨がり、且つ一部分がリヤRR側にまで回
り込ませた状態として配置されている。７は前記
パツド部材６の表面部全域に張設されたトリムカ
バーである。

更にシートバツク２のリヤ側に位置する上記ト
リムカバー７の裏面部７ａの内側には、袋体８が
その周縁部８ａ，８ａをトリムカバー７に固定さ
れた状態として取着されていて、該袋体８の内方
にトリムボード９が収納配置されている。このト
リムボードは予め所定の硬度及び弾性力が付与さ
れており、シートバツク２に所望の剛性を保持さ
せる機能を有している。トリムボード９として例
えばボール紙に合成樹脂を含浸させた通常ハード
ボードと呼称される軽量材を用いるのが良い。

かかる構成によれば、シートバツクフレーム４
に支持されたスプリング部材５の周囲に配設され
て、シートバツク２の両サイドからリヤ側にまで
延びるパツド部材６を設けるとともに、このパツ
ド部材６の表面部全域に張設されたトリムカバー
７の裏面部７ａの内側にトリムボード９が配置さ
れた固定構造が得られる。従つて後方からの押動
力によつてトリムカバー７の裏面部７ａがへこむ
ことがなく、所望の剛性が保たれるとともにシー
トバツク２自体に質感を持たせることが出来ると
いう特有の作用がもたらされる。

考案の効果 以上詳細に説明した如く、本考案にかかるシー
トバツクのトリムボード固定構造によれば、シー
トバツクフレームの周囲にあつて少なくともフロ
ント側及び両サイド側に跨がるパツド部材と、該
パツド部材の表面部全域に張設されたトリムカバ
ーとを具備した自動車用シートバツクにおける前
記パツド部材を、シートバツクの両サイドからリ
ヤ側にまで回り込ませた部位に配置するととも
に、シートバツクの裏面部に位置する前記トリム
カバーの内側に、周縁部が該トリムカバーに固定
された袋体を取着し、この袋体の内方に所定の硬
度及び弾性力が付与されたトリムボードを収納配
置した構成にしたので、以下に記す作用効果がも
たらされる。即ちスプリング部材の周囲に配置さ
れたパツド部材がシートバツクの両サイドからリ
ヤ側にまで回り込んだ位置にまで配置されている
とともにシートバツクの裏面部に位置するトリム
カバーの内側に取着された袋体内にトリムボード
が収納配置されているので、パツド部材のクツシ
ヨン性を維持しつつ、シートバツク裏面部の剛性
を高めることが可能となる。従つてシートバツク
の後方からの不用意な押動力に対してもトリムカ
バーがへこむことがなく、外観の向上に寄与す
る。又シートバツクの組付時においても特別なボ
ードを別途に製作する必要がないので、コストの
上昇をきたすことがないという利点がある。更に
シートバツク自体に質感及び豪華感を持たせるこ
とができて、商品価値を高めた自動車用シートバ
ツクが提供されるという効果をもたらすことが出
来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかるシートバツクのトリム
ボード固定構造の一実施例を示す裏面側からの斜
視図、第２図は同じくシートバツクの表面側から
の一部破断した斜視図、第３図は第１図の−
線に沿う断面図、第４図は通常の自動車用シート
の全体を示す斜視図、第５図は従来のシートバツ
クの一例を示すものであつて、第４図−線に
沿う断面図である。 １……シートクツシヨン、２……シートバツ
ク、４……シートバツクフレーム、５……スプリ
ング部材、６……パツド部材、７……トリムカバ
ー、７ａ……裏面部、８……袋体、９……トリム
ボード。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シートバツクフレームの周囲にあつて少なくと
   もフロント側及び両サイド側に跨がるパツド部材
   と、該パツド部材の表面部全域に張設されたトリ
   ムカバーとを具備した自動車用シートバツクにお
   いて、 前記パツド部材を、シートバツクの両サイドか
   らリヤ側にまで回り込ませた部位に配置するとと
   もに、シートバツクの裏面部に位置する前記トリ
   ムカバーの内側に、周縁部が該トリムカバーに固
   定された袋体を取着し、この袋体の内方に所定の
   硬度及び弾性力が付与されたトリムボードを収納
   配置したことを特徴とするシートバツクのトリム
   ボード固定構造。