JPH056421Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、係合子の係合が過負荷発生によつて
解放されることにより、この係合子を介して一体
回転する部材のトルク伝達が遮断されるトルクリ
ミツタに関する。

〔従来の技術〕

この種のトルクリミツタとしては、回転軸上に
軸受を介して空転自在に支持された第１回転部材
と、この第１回転部材に正面を対向させて前記回
転軸にスプライン嵌合された第２回転部材と、こ
れら第１回転部材と第２回転部材との間に介在さ
れた係合子と、これら第１回転部材と第２回転部
材とを磁気回路としていずれか一方の回転部材に
内設された永久磁石とを備え、過負荷が発生して
係合子の係合が解放されることにより前記いずれ
か一方の回転部材を後退させる構造からなり、こ
の一方の回転部材の後退により前記磁気回路中に
エアギヤツプを形成し、前記永久磁石による第
１・２回転部材間のトルク伝達を遮断するものが
ある（実開昭61−129926号公報参照）。

このような永久磁石の磁気吸引力を利用したト
ルクリミツタでは、一方の回転部材の後退量が少
ないとトルク伝達が遮断された後に、再び磁気吸
引力によつて係合子が連結されるので、この係合
子の解放を維持するために、後退したいずれか一
方の回転部材の復帰を規制する機械的な手段を付
加する必要がある。つまり、後退する回転部材に
圧縮コイルばねにより中心方向に押圧されたプラ
ンジヤを設け、回転部材が一定の後退をしたとき
に前記プランジヤが回転軸の外周面に形成された
凹部に陥入させる構造を付加する必要がある（特
公昭55−20091号公報参照）。

〔考案が解決しようとする問題点〕

がしかし、この種のトルクリミツタにおいて
は、係合子の係合解放による回転部材の後退量に
は限界があり、後退した回転部材には永久磁石の
磁気吸引力が作用するので、前記プランジヤの凹
部への陥入量を大きくして完全に回転部材が復帰
しないよう後退位置で静止保持しなければならな
い。

そして、このような回転部材を静止保持させる
ための機械的な手段を付加した場合、この静止保
持を解いて、後退した回転部材を再び復帰させる
ための機械的な手段を付加することが自ずと要求
されて来る。

本考案は、このような要求に応えるために、係
合子の係合解放により後退する回転部材の静止保
持と再復帰を可能とする機械的手段を設けた、永
久磁石を利用したトルクリミツタを提供すること
を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的を達成するために、本考案では、回転
軸と、この回転軸に軸線方向の移動が規制されて
空転自在に支持された第１回転部材と、この第１
回転部材に正面が対向して前記回転軸に軸線方向
後退可能に一体連結された第２回転部材と、これ
ら第１回転部材と第２回転部材との間に介在され
た係合子と、これら第１回転部材と第２回転部材
とを磁気回路としていずれか一方の回転部材に内
設された永久磁石とを備えたトルクリミツタにお
いて、前記第２回転部材に背面側に延設された円
筒状のボス部を形成し、このボス部に圧縮コイル
ばねにより前記回転軸の外周面に押圧されるプラ
インジヤを設けるとともに、前記回転軸には前記
第２回転部材のボス部より突設された小径部を形
成し、この小径部に前記回転軸の外周面と略同一
外径からなり一部に平面状の切欠き部が形成され
た円筒状のナツトを回動自在に支持することによ
り、前記第２回転部材の後退により前記回転軸の
外周面を摺動する前記プラインジヤが前記ナツト
の切欠き部に陥入される点に特徴を有する。

〔作用〕

このような構造からなるトルクリミツタは、永
久磁石の磁気吸引力により、係合子を介して第１
回転部材と第２回転部材とは一体に連結される。

そして、これら回転部材のうちいずれか一方に
過負荷が発生すると、永久磁石の磁気吸引力に抗
して係合子の係合は解放され第２回転部材は後退
するので、これら回転部材間のトルク伝達は遮断
される。また、プランジヤは回転軸の外周面を摺
動してナツトの切欠き部に陥入されるので、第２
回転部材は後退位置で静止保持される。

〔実施例〕

第１図は、本考案の一実施例であるトルクリミ
ツタの断面図であり、第２図は第１図の左側面図
である。これら図面に基づいて説明すると、１は
回転軸であり、右側小径部１ａには軸受２を介し
て第１回転部材３が、軸線方向の移動が規制され
た状態で空転自在に支持されている。この第１回
転部材３は、凹部３ａに永久磁石４を内設し、外
側の円筒部３ｂには、調整ねじ５によつて突出量
が調整された係合子としてのボール６が陥入され
ている。

７は、ボール６と係合する凹部７ａが形成され
た正面を第１回転部材３と対向させた第２回転部
材であり、この第２回転部材７は回転軸１のスプ
ライン歯１ｂと噛合うスプライン歯７ｂを有しス
プライン嵌合されており、回転軸１に対して軸線
方向の後退を可能にして一体連結されている。ま
た、この第２回転部材７には、背面側に延設され
た円筒状のボス部７ｃが形成されており、このボ
ス部７ｃに回転軸１の外周面１ｃに圧縮コイルば
ね８により押圧されたプランジヤ９を設けてい
る。なお、１０は、プランジヤ９の押圧力を調整
するための調整ねじである。

１１は、回転軸１の第２回転部材７のボス部７
ｃより突設された小径部１ｄに回転自在に支持さ
れたナツトであり、このナツト１１は、回転軸１
の外周面１ｃと略同一外径からなる円筒部１１ａ
と、これより大径な環状のフランジ部１１ｂとか
らなり、かつ、円筒部１１ａには平面状の切欠き
部１１ｃが、また、フランジ部１１ｂには切欠き
部１１ｄが夫々形成されている。

１２は、先端が回転軸１に形成された孔１ｅに
挿入されたピンであり、このピン１２は、圧縮コ
イルばね１３の押圧力に抗して、先端を孔１ｅよ
り抜き出せるようにナツト１１に支持されてい
る。

なお、１４は、ピン１２を抜き出すための止め
板であり、ナツト１１の切欠き部１１ｄ内に収納
されている。

このように構成されたトルクリミツタは、永久
磁石４の磁気吸引力により、ボール６を介して第
１回転部材３と第２回転部材７とが一体に連結さ
れているので、回転軸１から第１回転部材３にト
ルクが伝達されている。

ここで、回転軸１または第１回転部材３いずれ
か一方に過負荷が発生し、永久磁石４の磁気吸引
力に抗してボール６の係合が解放されると、ボー
ル６が第２回転部材７の正面に乗り上げただけこ
の第２回転部材７は後退する。そして、この後退
により、プランジヤ９は回転軸１の外周面１ｃを
摺動してナツト１１の切欠き部１１ｃに陥入され
ているので、第２回転部材７は後退位置で静止保
持され、このトルクリミツタは、トルク伝達が遮
断された状態を保つ。また、第２回転部材７を復
帰させるときには、ピン１２を孔１ｅから抜き出
してナツト１１を回動させ、プンジヤ９が圧縮コ
イルばね８の押圧力に抗してナツト１１の切欠き
部１１ｃより円筒部１１ａの外周面に乗り上げた
状態とすればよい。

〔効果〕

このように、本考案のトルクリミツタでは、圧
縮コイルばねの押圧力を受けるプランジヤが、円
筒状のナツトに形成された切欠き部に陥入するこ
とで、後退する回転部材の静止保持を可能とした
ので、ナツトの切欠き部に陥入したプランジヤを
このナツトの回動操作により脱出させることがで
き、後退した回転部材の再復帰の操作が非常に簡
単にできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例であるトルクリミ
ツタの断面図であり、第２図は、第１図の左側面
図である。図面において、 １……回転軸、３……第１回転部材、４……永
久磁石、６……ボール（係合子）、７……第２回
転部材、９……プランジヤ、１１……ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転軸１と、この回転軸１に軸線方向の移動が
   規制されて空転自在に支持された第１回転部材３
   と、この第１回転部材３に正面が対向して前記回
   転軸１に軸線方向後退可能に一体連結された第２
   回転部材７と、これら第１回転部材３と第２回転
   部材７との間に介在された係合子６と、これら第
   １回転部材３と第２回転部材７とを磁気回路とし
   ていずれか一方の回転部材に内設された永久磁石
   ４とを備えたトルクリミツタにおいて、前記第２
   回転部材７に背面側に延設された円筒状のボス部
   ７ｃを形成し、このボス部７ｃに圧縮コイルばね
   ８により前記回転軸１の外周面１ｃに押圧される
   プランジヤ９を設けるとともに、前記回転軸１に
   は前記第２回転部材７のボス部７ｃより突設され
   た小径部１ｄを形成し、この小径部１ｄに前記回
   転軸１の外周面１ｃと略同一外径からなり一部に
   平面状の切欠き部１１ｃが形成された円筒状のナ
   ツト１１を回動自在に支持することにより、前記
   第２回転部材７の後退により前記回転軸１の外周
   面１ｃを摺動する前記プランジヤ９が前記ナツト
   １１の切欠き部１１ｃに陥入されることを特徴と
   するトルクリミツタ。