JPH0563580B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、地震の発生時にその振動を遮断でき
る建物の遮震機構に関する。

〔従来の技術〕

従来、高層建築や重要構造物の耐震設計におい
ては、地震時の地盤の動きや建物の応答を計算
し、安全性をチエツクする動的設定が行われてい
る。

耐震の方法としては、建物と基礎の間に積層ゴ
ム支承やダンパーを介在させた免震構法あるいは
減震構法、建物構成部材のうち、非主要部材の破
壊により、地震エネルギーを消費させる方法、壁
あるいは柱などにスリツトを設け、建物を最適の
剛性に調整する方法などがある。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、現行の耐震設計手法により設計され
た建物の地震時における安全性の確認は、構造物
の塑性化を伴う履歴特性による吸収エネルギーが
構造物に作用する地震エネルギーを上回るという
基本思想によるものであるが、これには履歴ルー
プ特性に対する信頼性の問題がある。

また、従来の方法はいずれも地震や風などの自
然外力に対し、受身の耐震構造を与えるものであ
り、建物が特性の固有振動数を有するため地震と
いう不確定な入力に対し、共振現象を避けて通る
ことはできない。

本発明の目的は前記の従来例の不都合を解消
し、地震に対する応答を著しく低減でき、建物の
地震災害を防ぐとともに、中に居住する人や機械
設備などを地震による不快感、振動障害などから
守ることができる建物の遮震機構を提供すること
にある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は前記目的を達成するため、高圧圧縮空
気の送入パイプを取付けた金属製盤体に膜による
スカート部を設けてなるエアーベアリングを、建
物の被支承部分下に多数適宜間隔で配設し、地震
の発生時に該エアーベアリングにコンプレツサー
から高圧圧縮空気を送り込んで支承部分から被支
承部分を空中に浮上させることを要旨とするもの
である。

〔作用〕

本発明によれば、地震の発生時に送入パイプを
介してエアーベアリング内に高圧圧縮空気を送り
込めば、エアーベアリングのスカート部内にこれ
がたまるとともにその下端から外へ吹き出して上
昇作用を発揮する。

このようにして多数のエアーベアリングにより
建物の被支承部分は支承部分から分離してわずか
に浮上するので、地震の揺れは支承部分から被支
承部分に伝わることはない。

〔実施例〕

以下、図面について本発明の実施例を詳細に説
明する。

第１図は、本発明の建物の遮震機構の第１実施
例を示す縦断側面図、第２図は同上横断平面図
で、図中１は建物の支承部分としての基礎、２は
被支承部分としての建物矩形であり、これらは分
割可能に接合する。

建物躯体２の基礎スラブ３の下面に適宜間隔で
溝４を形成し、この溝４内に２個を１組として板
５に取付けたエアーベアリング６をこの板５ごと
側面から滑り込ませる。

第４図、第５図はエアーベアリング６の詳細を
示すもので、楕円形のスチール板による金属製盤
体７の下面にウレタン膜を曲成して形成したスカ
ート部８を設け、かつ金属製盤体７の上面にスチ
ール製の高圧圧縮空気の送入パイプ９を取付け
た。図中１０は、たるみを持たせて周囲を金属製
盤体７の周囲に固定したウレタン膜の中央を金属
製盤体７の下面中央に固定するスチール板であ
る。

第３図はエアーベアリング６の原理を示す説明
図で、送入パイプ９にフレキシブルホース１１を
介してコンプレツサー１２を接続し、このコンプ
レツサー１２により高圧圧縮空気を送入すれば、
この空気の一部は金属製盤体７とウレタン膜との
間に入りウレタン膜を膨らませてスカート部８と
なる。

さらに、高圧圧縮空気はウレタン膜の下部、す
なわちスカート部８内に溜り、このスカート部８
の下端から外へ吹き出してエアーベアリング６を
約0.003ｍ程度浮上させる。

本発明ではこのようなエアーベアリング６を多
数フレキシブルホース１１で接続し、バルブ１３
及びエアレシーバー１４を介してコンプレツサー
１２に連結するようにした。

また、図示は省略するが、建物を中心に狭域お
よび広域に地震感知装置を配置し、この地震感知
装置からの観測データを有線、無線の通信網によ
りコンピユータに伝達する。その場合、広域の地
震感知装置は既設の地震観測点における地震計あ
るいは専用に設置したものをマイクロ回線あるい
は電話回線で結ぶ。また、狭域の地震感知装置は
建物の周辺あるいは周辺地盤内に設けた地震計
や、建物基部や建物内に設置した振動センサーか
らなる。

このようにして、地震感知装置からの出力をコ
ンピユータに導入し、該コンピユータを介してエ
アレシーバ１４やバルブ１２を制御するようにす
る。

次に、使用法及び動作について説明すると、通
常時はエアベアリング６は作動せず、基礎スラブ
３は基礎１に接合して、建物躯体２は静止した状
態を保つ。

地震が発生し、この地震を地震感知装置が感知
すると、コンピユータエアコンプレツサー１２の
バルブ１３が開くように指示が出され、エアレシ
ーバー１４内の空気が瞬時に流れ週して、建物躯
体２と基盤１の間に設置されたエアーベアリング
６から空気を噴射しその圧力によつて建物躯体２
の全体を基盤１から浮上させる。

地震終了後は、エアーベアリング６は作動しな
くなり、建物躯体２はもとの状態にもどる。

なお、エアーベアリング６の点検、補修時に
は、板５ごと溝４から引き抜けばよい。

以上の実施例は、建物躯体２の全体を浮上させ
る場合について説明したが、建物の被支承部分は
床で、この床を支える支承部分としての建物躯体
との間にエアーベアリング６を配設し、床すなわ
ち建物の一部のみを浮上させることもできる。

〔発明の効果〕

以上述べたように本発明の建物の遮震機構は、
地震発生時に建物の被支承部分を支承部分から浮
上させるようにして、入力地震を遮断することに
より、建物の応答を著しく低減させ、建物の地震
災害を防ぐとともに、中に居住する人や機械設備
などを地震による不快感、振動障害などから守る
ことができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の建物の遮震機構の１実施例を
示す縦断側面図、第２図は同上横断平面図、第３
図はエアーベアリングの原理を示す説明図、第４
図はエアーベアリングの平面図、第５図は第４図
のＡ−Ａ線断面図である。 １……基盤、２……建物躯体、３……基礎スラ
ブ、４……溝、５……板、６……エアーベアリン
グ、７……金属製盤体、８……スカート部、９…
…送入パイプ、１０……スチール板、１１……フ
レキシブルホース、１２……コンプレツサー、１
３……バルブ、１４……エアレシーバー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 高圧圧縮空気の送入パイプを取付けた金属製
   盤体に膜によるスカート部を設けてなるエアーベ
   アリングを、建物の被支承部分下に多数適宜間隔
   で配設し、地震の発生時に該エアーベアリングに
   コンプレツサーから高圧圧縮空気を送り込んで支
   承部分から被支承部分を空中に浮上させることを
   特徴とする建物の遮震機構。 ２ 建物の被支承部分は基礎スラブ、支承部分は
   基盤で、建物全体を浮上させる請求項第１項記載
   の建物の遮震機構。 ３ 建物の被支承部分は床、支承部分はこの床に
   対する建物躯体で、床を浮上させる請求項第１項
   記載の建物の遮震機構。