JPH0563322A - フレキシブルプリント基板の製造方法 - Google Patents

フレキシブルプリント基板の製造方法

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JPH0563322A
JPH0563322A JP1592392A JP1592392A JPH0563322A JP H0563322 A JPH0563322 A JP H0563322A JP 1592392 A JP1592392 A JP 1592392A JP 1592392 A JP1592392 A JP 1592392A JP H0563322 A JPH0563322 A JP H0563322A
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Japan
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polyimide
linear expansion
polyamic acid
bis
flexible printed
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JP1592392A
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English (en)
Inventor
Shunichi Numata
俊一 沼田
Koji Fujisaki
康二 藤崎
Shuichi Ohara
周一 大原
Tokuyuki Kaneshiro
徳幸 金城
Junichi Imaizumi
純一 今泉
Yoshikatsu Mikami
喜勝 三上
Yoshiyuki Ikezoe
善幸 池添
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Hitachi Ltd
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】導体と絶縁材との間に熱履歴を加えてもカー
ル,ねじれ,反りなどを生じず、しかも充分な接着力を
有するフレキシブルプリント基板の製造方法を提供する
こと。 【構成】一般式(I)で表わされるポリアミック酸を少
なくとも含有してなるワニスを導体箔に直接塗布・乾燥
し、加熱イミド化して積層体を得ることを特徴とするフ
レキシブルプリント基板の製造方法。 【効果】本発明の製造方法により得られたフレキシブル
プリント基板は、熱履歴を加えてもカール,ねじれ,反
り等が極めて小さく、しかも導体とポリイミド層との接
着性にすぐれている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、温度変化に対しカー
ル,ねじれ,反り等がなく、かつ耐熱性,寸法安定性,
接着性等の優れたフレキシブルプリント基板及びその製
造方法に係るものである。
【0002】
【発明の背景】従来フレキシブルプリント基板あるい
は、フラットケーブル(以後フレキシブルプリント板に
含める)は、一般に導体と有機ポリマーの絶縁材を接着
剤を介して接着していた。しかしこの際、熱圧着などの
熱履歴を加えると、冷間時に基板のカール,ねじれ,反
りなどを生じ、その後の導体パターニング等が不可能と
なる欠点があった。これらの諸問題は、導体と絶縁材の
線膨張係数の差に起因し、導体と同程度の線膨張係数を
もつ有機ポリマーがあれば、解決されることが予想され
るが一般に有機ポリマーの線膨張係数は、導体に比べる
と大きく3×10-5-1以下のものはほとんど見出され
ていない。その為フレキシブルプリント基板の導体と絶
縁材の接着は、室温あるいは比較的低温で行わなければ
ならず、プリント基板の耐熱性などの性能は、接着剤に
支配され、絶縁材として高耐熱性のポリイミドを用いて
もその性能を全く発揮できなかった。また接着力も十分
なものではなかった。
【0003】絶縁材の線膨張係数を小さくする手段とし
て、フィラーやガラス繊維等を入れる方法もあるが、こ
の方法では、フィラー等を入れることにより絶縁材がも
ろくなり、フリキシブルプリント基板に必要不可欠なフ
レキシビリティーを欠くことになる。また線膨張係数も
沿層方向には、小さくなるが、貫層方向には効果を示さ
ずこれは特にプリント基板のスルーホール部の信頼性に
問題を生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、絶縁
材の線膨張係数と導体のそれとの差が1.5×10-5
-1以下のものを使用することによって導体と絶縁材
に、熱履歴を加えてもカール,ねじれ,反り等のないか
つ十分な接着力,耐熱性,寸法安定性等をもつ工業的に
有用なフレキシブルプリント基板とその製造方法を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、一般式
(I)
【0006】
【化2】
【0007】で表わされるポリアミック酸ワニスを導体
箔に直接塗布・乾燥し、加熱イミド化して積層体を得る
ことを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法
を提供することにある。
【0008】本発明者らは、導体と同程度又は、それ以
下の線膨張係数をもつ有機ポリマーについて鋭意研究し
た結果、線膨張係数が従来の有機ポリマーに比べ異常に
小さい3×10-5-1以下の有機ポリマーを発見し、フ
レキシブルプリント基板において導体と絶縁材の線膨張
係数の差が1.5×10-5-1 以下であれば、カール,
ねじれ,反りなどの諸問題を解決できることを見出し
た。この発見により従来不可能とされた導体への絶縁
材、又はその前駆体を直接塗布,乾燥,硬化を行い、か
つカール,ねじれ,反り等のないフレキシブルプリント
基板を極めて容易に得ることが可能となった。
【0009】本発明者等はポリイミド前駆体ワニスとし
て、一般式(I)
【0010】
【化3】
【0011】で表わされるポリアミック酸ワニスを導体
箔に直接塗布・乾燥し、加熱イミド化して積層体を得る
ことを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法
を見出し、上述の諸問題の解決をなすに至った。
【0012】本発明によれば、十分な接着力,耐熱性を
得るのに高温を要するために従来用いることのできなか
った接着剤を使うこともできる。この際用いる接着剤の
線膨張係数は、導体に比べ大きくても何ら不都合はない
が小さいものを用いた方が好ましい。
【0013】本発明の低熱膨張樹脂材料を提供する前記
一般式(I)で表わされるポリアミック酸(ポリイミド
前駆体)としては、ジアミン成分としてp−フェニレン
ジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミ
ノキシレン、ジアミノジュレン、1,5−ジアミノナフ
タレン、2,6−ジアミノナフタレン、またはこれらの
イソシアナート化合物とビフェニルテトラカルボン酸ま
たはその誘導体を主原料とし、これらの反応によって得
られるポリイミドが好ましい。ジアミンのうちp−フェ
ニレンジアミンは靭性,疲労特性,耐熱性の点で最もす
ぐれている。また、p−フェニレンジイソシアナートも
同様である。テトラカルボン酸の誘導体としては、ピロ
メリット酸,ビフェニルテトラカルボン酸,ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸のエステル,酸無水物,酸塩化物
がある。
【0014】酸無水物を用いると、合成上好ましい。合
成反応は、N−メチルピロリドン(NMP),ジメチルホ
ルムアミド(DMF),ジメチルアセトアミド(DMA
C),ジメチルスルホキサイド(DMSO)硫酸ジメチ
ル,スルホラン,ブチロラクトン,クレゾール,フェノ
ール,ハロゲン化フェノール,シクロヘキサノン,ジオ
キサンなどの溶液中で、0〜200℃の範囲で行われ
る。
【0015】本発明においてポリイミドを用いる場合、
本発明の本質を失なわない範囲で種々のジアミンやテト
ラカルボン酸二無水物を2種類以上用いてコポリメリゼ
ーション又は、別途合成したポリイミド又はその前駆体
をブレンドすることもできる。むしろ、導体の熱膨張係
数に合わせて、適当にモディファイすることが望まし
い。例えば、導体に銅箔を用いる場合、後述の実施例5
〜10に示すように、銅箔と線膨張係数を合わせるため
に、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルをジアミン
成分として10〜20モル%変性する方が好ましい。
【0016】本発明における導体として用いられるもの
には銅,アルミニウム,鉄,金,銀,Pd,Ni,C
r,Moなどまたはそれらの合金が挙げられ絶縁材との
接着力を高めるために、コロナ放電,クロー放電,サン
ディング,ニッケルメッキ、または、アルミニウムアル
コラート,アルミニウムキレート,シランカップリング
剤などによって化学的,機械的表面処理をしてもよい。
【0017】例えば、ジアミン成分としては、ビス(ア
ニリノ)エタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテ
ル、ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(p−
アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−アミノ
フェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3′−ジメチ
ルベンジジン、3,3′−ジメトキベンジジン、3,
3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテ
ル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニ
ルメタン、ジアミノトルエン、ジアミノベンゾトリフル
オライド、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、4,4′−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェ
ニル、2,2−ビス{4−(p−アミノフェノキシ)フ
ェニル}プロパン、ジアミノアントラキノン、4,4′
−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ジフェニルス
ルホン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロ
パン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロブタ
ン、1,5−ビス(アニリノ)デカフルオロペンタン、
1,7−ビス(アニリノ)テトラデカフルオロヘプタ
ン、一般式
【0018】
【化4】
【0019】または
【0020】
【化5】
【0021】(R5,R7は二価の有機基、R4,R6は一
価の有機基、p,qは1より大きい整数)で示されるジ
アミノシロキサン、2,2−ビス{4−(p−アミノフ
ェノキシ)フェニル}へキサフルオロプロパン、2,2
−ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキ
サフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(2−アミノ
フェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,
2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジ
メチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビ
ス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジトリフル
オロメチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、p−ビ
ス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)
ベンゼン、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフル
オロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス
(4−アミノ−3−トルフルオロメチルフェノキシ)ビ
フェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフル
オロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′
−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキ
シ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス{4−(4−ア
ミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル}
へキサフルオロプロパンなどのジアミン類、並びにこれ
らのジアミンとホスゲンなどの反応によって得られるジ
イソシアナート例えばトリレンジイソシアナート、ジフ
ェニルタンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナ
ート、ジフェニルエーテルジイソシアナート、フェニレ
ン−1,3−ジイソシアナートなどの芳香族ジイソシア
ナート類がある。また、テトラカルボン酸並びにその誘
導体としては次のようなものが挙げられる。ここではテ
トラカルボン酸として例示するが、これのエステル化
物,酸無水物,酸塩化物ももちろん使用出来る。具体的
には、2,3,3′,4′−テトラカルボキシジフェニ
ル、3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニル
エーテル、2,3,3′,4′−テトラカルボキシジフ
ェニルエーテル、2,3,3′,4′−テトラカルボキシ
ベンゾフェノン、2,3,6,7−テトラカルボキシナ
フタレン、1,4,5,7−テトラカルボキシナフタレ
ン、1,2,5,6−テトラカルボキシナフタレン、
3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニルメタ
ン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン、3,3′,4,4′−テ
トラカルボキシジフェニルスルホン、3,4,9,10
−テトラカルボキシペリレン、2,2−ビス{4−
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノ
キシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、ブタンテト
ラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などが
ある。また、反応性官能基を有する化合物で変性し、架
橋構造やラダー構造を導入することも出来る。例えば、
次のような方法がある。
【0022】(i)一般式(III)で表わされる化合物で変
性することによって、ピロロン環やイソインドロキナゾ
リンジオン環などを導入する。
【0023】
【化6】
【0024】ここで、R′は2+x価の芳香族有機基、
ZはNH2 基,CONH2基,SO2NH2基から選ばれ
た基であり、アミノ基に対して、オルソ位である。xは
1または2である。
【0025】(ii)重合性不飽和結合を有するアミン,ジ
アミン,ジカルボン酸,トリカルボン酸,テトラカルボ
ン酸の誘導体で変性して、硬化時に橋かけ構造を形成す
る。不飽和化合物としては、マレイン酸,ナジック酸,
テトラヒドロフタル酸,エチニルアニリンなどが使用で
きる。
【0026】(iii)フェノール性水酸基、あるいはカル
ボン酸を有する芳香族アミンで変性し、この水酸基また
はカルボキシル基と反応しうる橋かけ剤を用い網目構造
を形成する。
【0027】前記各成分を用いて変性することにより熱
膨張係数を調整することができる。即ち、以上詳述した
変性成分は、この構造単位の含有量を増加させることに
より、一般式(I)で示される構造単位のみからなるポ
リマの膨張係数よりも大きくすることができ、目的ある
いは用途に応じて任意に設定することができる。
【0028】例えば一般式(I)で示される構造単位の
みからなるポリマの線膨張係数は約1×10-5-1
あるが、パラフェニレンジアミン(一般式(I)のAr
1,p−PDAと略す)にジアミノジフェニルエーテル
(一般式(II)のAr2,DDEと略す)を配合した場
合、生成ポリイミドの線膨張係数は図1の通りとなる。
なお、このときのカルボン酸成分はビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物のみを用いたものであり、全芳香族ジ
アミン成分とは等モルにて反応させたものである。な
お、図1を見ると、DDEの配合量が75モル%におい
ては膨張係数の下がり方はかなり急激になっていること
が分かる。
【0029】本発明において、より熱膨張係数を下げた
り、弾性率を上げたり、流動性をコントロールしたり、
または低コスト化するために、無機質,有機質、または
金属などの粉末,繊維,チョップトストランドなどを混
合して使用することも出来る。
【0030】本発明において、絶縁材の硬化温度が重要
である。すなわち、絶縁材として導体とほぼ同じ線膨張
係数のものを用いても、溶剤の蒸発やイミド化反応に伴
う収縮応力が発生する。この応力によってフレキシブル
基板にそり、ねじれなどが起こる場合がある。これらの
応力は、硬化温度をポリマーのガラス転温度付近より高
くすれば緩和できる。例えば、銅箔にワニスをコートし
て銅張板を形成した場合、一旦平坦になっても、銅箔を
エッチングすると、絶縁フィルムに残存した応力によっ
て銅箔側にカールしてしまう。しかし、ガラス転移点付
近より高温で硬化したものは、このカール現象が全くな
くなる。
【0031】本発明における導体として用いられるもの
には銅,アルミニウム,鉄,金,銀,Pd,Ni,C
r,Moなどまたはそれらの合金が挙げられ絶縁材との
接着力を高めるために、コロナ放電,クロー放電,サン
ディング,ニッケルメッキ、またはアルミニウムアルコ
ラート,アルミニウムキレート,シランカップリング剤
などによって、化学的,機械的表面処理をしてもよい。
【0032】
【実施例】合成例1 温度計,塩化カルシウム管,撹拌棒,窒素吹込口を取付
けた500mlの4つ口フラスコに毎分約100mlの窒素
を流しながら、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル
(以下DDEと略記する)35.9gr とN−メチル−
2−ピロリドン(以下NMPと略記する)425grを
入れ撹拌しDDEを溶解した。この溶液を水冷浴で10
℃以下に冷却しながら、ピロメリット酸二無水物(以下
PMDAと略記する)39.1gr を徐々に加え縮重合
して、ねんちょうなポリアミック酸を得、さらに以後の
塗膜作業性を良くするためにこのワニスの回転粘度が約
50ポアズになるまで85℃でクッキングを行った。
【0033】上述のようにして得られたポリアミック酸
ワニスを、ガラス板上にアプリケータを用いて均一に塗
布し100℃の強制通風炉中に1時間放置し予備乾燥を
ないポリアミック酸フィルムを得、次いでこのポリアミ
ック酸フィルムを鉄わくに固定し200℃,300℃で
それぞれ1時間保持後、琥珀色のポリイミドフィルムを
得た。
【0034】比較例1 合成例1で得たポリイミドの線膨張係数は、5.59×
10-5-1 で約35μmの厚みをもつこのフィルムに
ポスチックジャパン製H2766エポキシ−ゴム系接着
剤(以下H2766と略記する)を約20μm塗布し、
片面ニッケルメッキ処理した厚さ35μmの圧延銅箔と
張合わせ、これに油圧式プレス機で40kg/ cm2 の圧力
と150℃の熱をかけて30分間保持した。室温でこの
フレキシブル銅張板は大きく湾曲してしまった。
【0035】本発明において使用する線膨張係数とは、
特にことわりがない限りガラス状態におけるもので測定
は、フィルム状の試料をサーモメカニカルアナライザー
(以下TMAと略記する)を用いて行い、その結果ガラ
ス転移点以下で最大傾きをもつ直線部から算出したもの
である。この際注意しなければいけないのは、試料のイ
ミド化が完結していなかったり、残留応力,吸湿水分等
があると、測定途中に試料の収縮が起こり真の線膨張係
数を求めることができないので、試料は、予じめそのガ
ラス転移温度以上に加熱し除冷したものを用いなければ
ならないことである。
【0036】合成例2 パラフェニレンジアミン(以下p−PDAと略記する)
20.16grと3,3′,4,4′−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物(以下s−BPDAと略記する)
54.84gr を用いイミド化の最終の加熱温度を40
0℃とした他は、合成例1と同様にしてポリイミドフィ
ルムを得た。
【0037】実施例1 合成例2で得たポリイミドフィルムの線膨張係数は、
1.1×10-5 で比較例1と同様にしてフレキシブル銅
張板を得た。このフレキシブル銅張板は、カール,ねじ
れ,反りなどは、みられなかった。
【0038】比較例2 合成例1で合成したポリアミック酸ワニスを片面粗化処
理した厚さ35μmの圧延銅箔にアプリケーターを用い
て均一に塗布し、強制通風炉中に100℃で1時間乾燥
後鉄わくに固定し200℃,400℃でそれぞれ1時
間,30分保持した。室温まで冷却後、鉄わくをはずす
と約35μmのポリイミド層をもつフレキシブル銅張板
は、ポリスミド層を内側に大きくカールし、このカール
の湾曲半径は11.4mmで厚さ10mmの真鍮板をのせて
一昼夜放置しても直らなかった。
【0039】実施例2 合成例2で合成したポリアミック酸ワニスを用いた他は
比較例2と同様にしてフレキシブル銅張板を得た。この
フレキシブル銅張板は、比較例2の場合とは逆に銅箔を
内側にエッチング作業には影響を及ばさない程度にカー
ルし、この湾曲半径は、92.0mmであった。
【0040】合成例3 100mlの4つ口のフラスコを用い、1,4−ジアミノ
デュレン5.37g 、s−BPDA9.63g 、NMP
85gを用いた他は、合成例1と同様にしてポリアミッ
ク酸ワニスを得た。さらにポリイミドフィルムを得よう
としたが、もろくフィルム状にはならなかった。
【0041】実施例3 合成例3で合成したポリアミック酸ワニスを用いて比較
例2と同様の操作を行った。得られたフレキシブル銅張
板は冷間時には絶縁材がもろかったが反りは全くなかっ
た。
【0042】合成例4 1,5−ジアミノナフタレン5.25g、s−BPDA
9.76gを用いた他は、合成例3と同様にしてポリア
ミック酸ワニスを得た。さらにポリイミドフィルムを得
ようとしたが、もろくフィルム状にすることはできなか
った。
【0043】実施例4 合成例4で合成したポリアミック酸ワニスを用いて比較
例2と同様の操作を得なかった。得られたフレキシブル
銅張板は、冷間時には絶縁材がもろかったが、銅箔を内
側に湾曲しその湾曲半径は126mmであった。
【0044】合成例5〜10 表1に示される様にDDE,p−PDA,s−BPDA
を配合し、NMPの量を85grにして合成例2と同様
の操作をしてそれぞれのポリアミック酸ワニス及びポリ
イミドフィルムを得た。
【0045】
【表1】
【0046】ポリイミドフィルムにおけるDDEとp−
PDAの比と線膨張係数の関係を図1に示す。
【0047】実施例5〜10 合成例3〜8で得られたポリアミック酸を用いて実施例
2と同様にして各共重合体のフレキシブル銅張板を作成
し、そのカールの度合について検討した。表2及び図2
にその結果を示す。
【0048】
【表2】
【0049】実施例11 実施例6で得られたフレキシブル銅張板を300℃のハ
ンダ浴に3分間ディップした。
【0050】このフレキシブル銅張板は、室温にもどし
ても導体と絶縁材の剥離,カールはみられなかった。
【0051】実施例12〜17 実施例5〜10で得られたフレキシブル銅張板のポリイ
ミドフィルムの銅箔からのピール強度測定を試みたが、
ポリイミドフィルムを銅箔から剥離することができず測
定は、不可能だった。
【0052】このピール強度は、従来のフレキシブルプ
リント基板に比較して十分大きいことは明確である。
【0053】実施例18 合成例2で得た25μmのフィルムに合成例6で合成し
たポリアミック酸を約20μm均一に塗布し、100℃
の通風炉中で1時間乾燥し片面ニッケルメッキした厚さ
35μmの圧延銅箔と貼り合わせて150℃で40kg/c
m2の圧力下で30分放置してフレキシブル銅張板を得た。
このフレキシブル銅張板の導体と絶縁材のピール強度は
1.6kg/cmを示した。ダイレクトコート法を使用すれば
この程度の強い強度のものが得られる。
【0054】以上説明したように、本実施例により得ら
れるフレキシブルプリント基板の特徴は、導体と絶縁材
の線膨張係数の差を1.5×10-5-1 以下にすること
により、熱履歴を加えてもカール,ねじり,反りを生じ
ないことである。また、絶縁材又はその前駆体を導体に
直接塗布,乾燥,硬化を行うことも可能となり、接着工
程を省くことができ非常に画期的である。 実施例19
実施例5の銅張板を最終硬化温度を200℃,300
℃,350℃,400℃と変えて作成した。銅張板は、
室温に冷却してもいずれも平坦であった。しかし、銅箔
をエッチングした結果、硬化温度が200℃と300℃
のものは絶縁フィルムが銅箔側にカールした。350
℃,400℃で硬化したものについては、エッチング後
も平坦のままであった。この絶縁フィルムのガラス転移
温度は320℃であり、この温度以上に加熱することに
より、硬化時の溶剤の揮散やイミド化による収縮応力が
緩和されたと思われる。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように本発明のフレキシブル
プリント基板は、導体と絶縁材との間に熱履歴を加えて
もカール,ねじれ,反り等を生じず、しかも充分な接着
力を有するという効果があり、またその製造においては
フィラーやガラス繊維等の異物混入を不要としかつ直接
コートできるという効果を秦する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリイミドフィルムの成分比率と線膨張係数と
の関係を示す特性図。
【図2】導体と絶縁材との線膨張係数差とフレキシブル
プリント板の湾曲度との関係を示す特性図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年2月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 フレキシブルプリント基板の製造方法
【特許請求の範囲】
【化1】 で表わされるポリアミック酸において、R1 単位構造を
有する成分の5〜30モル%をR4 単位構造を有する成
分、またはR2 単位構造を有する成分の5〜30モル%
をR5 単位構造を有する成分を含んだポリアミック酸共
重合体あるいは、一般式(I)で表わされるポリアミッ
ク酸70〜95モル%(繰返し単位構造換算)と、R1
単位構造を有する成分がR4 単位構造を有する成分、ま
たはR2 単位構造を有する成分がR5 単位構造を有する
成分であるポリアミック酸5〜30モル%とのブレンド
ワニスを
【化2】 導体箔に直接塗布・乾燥し、加熱イミド化して積層体を
得ることを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造
方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、温度変化に対しカー
ル,ねじれ,反り等がなく、かつ耐熱性,寸法安定性,
接着性等の優れたフレキシブルプリント基板及びその製
造方法に係るものである。
【0002】
【発明の背景】従来フレキシブルプリント基板あるい
は、フラットケーブル(以後フレキシブルプリント板に
含める)は、一般に導体と有機ポリマーの絶縁材を接着
剤を介して接着していた。しかしこの際、熱圧着などの
熱履歴を加えると、冷間時に基板のカール,ねじれ,反
りなどを生じ、その後の導体パターニング等が不可能と
なる欠点があった。これらの諸問題は、導体と絶縁材の
線膨張係数の差に起因し、導体と同程度の線膨張係数を
もつ有機ポリマーがあれば、解決されることが予想され
るが一般に有機ポリマーの線膨張係数は、導体に比べる
と大きく3×10-5-1以下のものはほとんど見出され
ていない。その為フレキシブルプリント基板の導体と絶
縁材の接着は、室温あるいは比較的低温で行わなければ
ならず、プリント基板の耐熱性などの性能は、接着剤に
支配され、絶縁材として高耐熱性のポリイミドを用いて
もその性能を全く発揮できなかった。また接着力も十分
なものではなかった。
【0003】絶縁材の線膨張係数を小さくする手段とし
て、フィラーやガラス繊維等を入れる方法もあるが、こ
の方法では、フィラー等を入れることにより絶縁材がも
ろくなり、フレキシブルプリント基板に必要不可欠なフ
レキシビリティーを欠くことになる。また線膨張係数も
沿層方向には、小さくなるが、貫層方向には効果を示さ
ずこれは特にプリント基板のスルーホール部の信頼性に
問題を生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、絶縁
材の線膨張係数と導体のそれとの差が1.5×10-5
-1以下のものを使用することによって導体と絶縁材
に、熱履歴を加えてもカール,ねじれ,反り等のないか
つ十分な接着力,耐熱性,寸法安定性等をもつ工業的に
有用なフレキシブルプリント基板とその製造方法を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、一般式
(I)
【0006】
【化3】
【0007】で表わされるポリアミック酸において、R
1 単位構造を有する成分の5〜30モル%をR4 単位構
造を有する成分、またはR2 単位構造を有する成分の5
〜30モル%をR5 単位構造を有する成分を含んだポリ
アミック酸共重合体あるいは、一般式(I)で表わされ
るポリアミック酸70〜95モル%(繰返し単位構造換
算)と、R1 単位構造を有する成分がR4 単位構造を有
する成分、またはR2 単位構造を有する成分がR5 単位
構造を有する成分であるポリアミック酸5〜30モル%
とのブレンドワニスを
【化4】 導体箔に直接塗布・乾燥し、加熱イミド化して積層体を
得ることを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造
方法を提供することにある。
【0008】本発明者らは、導体と同程度又は、それ以
下の線膨張係数をもつ有機ポリマーについて鋭意研究し
た結果、線膨張係数が従来の有機ポリマーに比べ異常に
小さい3×10-5-1以下の有機ポリマーを発見し、フ
レキシブルプリント基板において導体と絶縁材の線膨張
係数の差が1.5×10-5-1 以下であれば、カール,
ねじれ,反りなどの諸問題を解決できることを見出し
た。この発見により従来不可能とされた導体への絶縁
材、又はその前駆体を直接塗布,乾燥,硬化を行い、か
つカール,ねじれ,反り等のないフレキシブルプリント
基板を極めて容易に得ることが可能となった。
【0009】本発明者等はポリイミド前駆体ワニスとし
て、一般式(I)
【0010】
【化5】
【0011】で表わされるポリアミック酸にフレキシブ
ルな骨格を導入するために、R1 単位構造を有する成分
の5〜30モル%をR4 単位構造を有する成分、または
2 単位構造を有する成分の5〜30モル%をR5 単位
構造を有する成分を含んだポリアミック酸共重合体ある
いは、一般式(I)で表わされるポリアミック酸70〜
95モル%(繰返し単位構造換算)と、R1 単位構造を
有する成分がR4 単位構造を有する成分、またはR2
位構造を有する成分がR5 単位構造を有する成分である
ポリアミック酸5〜30モル%とのブレンドワニスを
【化6】 導体箔に直接塗布・乾燥し、加熱イミド化して積層体を
得ることを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造
方法を見出し、上述の諸問題の解決をなすに至った。
【0012】本発明の低熱膨張樹脂材料を提供する前記
一般式(I)で表わされるポリアミック酸(ポリイミド
前駆体)としては、ジアミン成分としてp−フェニレン
ジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミ
ノキシレン、ジアミノジュレン、1,5−ジアミノナフ
タレン、2,6−ジアミノナフタレン、またはこれらの
イソシアナート化合物とピロメリット酸,ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸,ビフェニルテトラカルボン酸また
はその誘導体を主原料とし、更にフレキシブルな骨格を
有するエーテル結合,チオエーテル結合,スルホン結
合,イソプロピリデン結合を有するモノマを共重合して
得られるポリアミック酸、あるいはこれらポリアミック
酸のブレンド物ワニスが好ましい。テトラカルボン酸の
誘導体としては、例えばピロメリット酸,ビフェニルテ
トラカルボン酸,ベンゾフェノンテトラカルボン酸のエ
ステル,酸無水物,酸塩化物がある。これらの中でも酸
無水物を用いることが、合成上好ましい。合成反応は、
N−メチルピロリドン(NMP),ジメチルホルムアミ
ド(DMF),ジメチルアセトアミド(DMAC),ジメチ
ルスルホキサイド(DMSO),硫酸ジメチル,スルホ
ラン,ブチロラクトン,クレゾール,フェノール,ハロ
ゲン化フェノール,シクロヘキサノン,ジオキサンなど
の溶液中で、0〜200℃の範囲で行われる。
【0013】また、本発明において前記ジアミン成分に
フレキシブルな骨格を有するジアミン成分、例えばm−
フェニレンジアミン、3,5−ジアミノトルエン、4,
4′−ジアミノジフェニルメタン、ビス(アニリノ)エ
タン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミ
ノジフェニルスルホン、2,2−ビス(p−アミノフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)
ヘキサフルオロプロパン、3,3′−ジメチルベンジジ
ン、3,3′−ジメトキシベンジジン、3,3′−ジメ
チル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,
3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタ
ン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,4−ビス
(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス
(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス
{4−(p−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、
ジアミノアントラキノン、4,4′−ビス(3−アミノ
フェノキシフェニル)ジフェニルスルホン、1,3−ビ
ス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス
(アニリノ)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(アニ
リノ)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(アニリ
ノ)テトラデカフルオロヘプタン、一般式
【0014】
【化7】
【0015】または
【化8】
【0016】(R5,R7は二価の有機基、R4,R6は一
価の有機基、p,qは1より大きい整数)で示されるジ
アミノシロキサン、2,2−ビス{4−(p−アミノフ
ェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2
−ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキ
サフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(2−アミノ
フェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,
2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジ
メチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビ
ス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジトリフル
オロメチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、p−ビ
ス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)
ベンゼン、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフル
オロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス
(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)ビ
フェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフル
オロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′
−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキ
シ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス{4−(4−ア
ミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル}
ヘキサフルオロプロパンなどのジアミン類、並びにこれ
らのジアミンとホスゲンなどの反応によって得られるジ
イソシアナート例えばトリレンジイソシアナート、ジフ
ェニルタンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナ
ート、ジフェニルエーテルジイソシアナート、フェニレ
ン−1,3−ジイソシアナートなどの芳香族ジイソシア
ナートを併用できる。また、テトラカルボン酸並びにそ
の誘導体としては次のようなものが挙げられる。ここで
はテトラカルボン酸として例示するが、これのエステル
化物,酸無水物,酸塩化物ももちろん使用出来る。具体
的には、2,3,3′,4′−テトラカルボキシジフェ
ニル、3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニ
ルエーテル、2,3,3′,4′−テトラカルボキシジ
フェニルエーテル、2,3,3′,4′−テトラカルボ
キシベンゾフェノン、2,3,6,7−テトラカルボキ
シナフタレン、1,4,5,7−テトラカルボキシナフ
タレン、1,2,5,6−テトラカルボキシナフタレ
ン、3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニル
メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3′,4,4′
−テトラカルボキシジフエニルスルホン、3,4,9,
10−テトラカルボキシペリレン、2,2−ビス{4−
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノ
キシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、ブタンテト
ラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などが
ある。
【0017】本発明において、一般式(I)で表わされ
るポリアミック酸を加熱して得られるポリイミドは剛直
で、線膨張係数が非常に小さく、従来の高分子の常識を
破るものである。しかしながら、フレキシブルプリント
基板として、銅やアルミニウムなどの金属箔と一体化し
て使用する場合、ポリイミドの方が線膨張係数が小さ過
ぎることが多く、従来のフレキシブルで線膨張係数が比
較的大きいポリイミドを共重合あるいは、別途合成させ
た後前駆体の状態でブレンドすることが必要である。フ
レキシブルな骨格を有するポリイミドの共重合あるいは
ブレンドする量は、使用する金属箔の種類によって多少
変わるが、本発明者らの検討結果によると、金属箔との
線膨張係数の差が、1.5×10-5-1 以下であればカ
ール,ねじれ,反りなどの問題は実用上問題なくなる。
銅箔は1.6〜2.1×10-5、Al箔は、約2.4×1
-5なので、ポリイミドとしては、0.3×10-5〜3.
9×10-5-1の範囲が使用可能な範囲である。金属箔
の種類が代わっても使用できる範囲は、0.9〜3.3×
10-5-1で、この範囲が望ましい。線膨張係数が、こ
の範囲に入るためには、ポリイミドの種類によっても多
少異なるが、後述の図1から明らなかように、フレキシ
ブルなポリイミド骨格が0.1〜40モル%の間である。
さらに、金属箔との線膨張係数の差を小さくするには5
〜30モル%の範囲が好ましい。さらに、このフレキシ
ブルな骨格の導入は、機械的な脆さをなくし、接着性の
向上にも効果がある。これらの効果も加味し、線膨張係
数の差をさらに小さくする望ましい範囲はフレキシブル
なポリイミドの骨格が、10〜20モル%の範囲であ
る。フレキシブルな骨格を有するポリイミドを共重合し
た場合の例は図1に示した通りである。
【0018】例えば一般式(I)で示される構造単位の
みからなるポリマーの線膨張係数は約1×10-5-1
あるが、パラフェニレンジアミン(一般式(I)のAr
1,p−PDAと略す)にジアミノジフェニルエーテル
(一般式(II)のAr2,DDEと略す)を配合した場
合、生成ポリイミドの線膨張係数は図1の通りとなる。
なお、このときのカルボン酸成分はビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物のみを用いたものであり、全芳香族ジ
アミン成分とは等モルにて反応させたものである。な
お、図1を見ると、DDEの配合量が75モル%におい
ては膨張係数の下がり方はかなり急激になっていること
が分かる。
【0019】本発明における導体として用いられるもの
には銅,アルミニウム,鉄,金,銀,Pd,Ni,C
r,Moなどまたはそれらの合金が挙げられ絶縁材との
接着力を高めるために、コロナ放電,クロー放電,サン
ディング,ニッケルメッキ、またはアルミニウムアルコ
ラート,アルミニウムキレート,シランカップリング剤
などによって、化学的,機械的表面処理をしてもよい。
【0020】
【実施例】合成例1 温度計,塩化カルシウム管,撹拌棒,窒素吹込口を取付
けた500mlの4つ口フラスコに毎分約100mlの
窒素を流しながら、4,4′−ジアミノジフェニルエー
テル(以下DDEと略記する)35.9gr とN−メチ
ル−2−ピロリドン(以下NMPと略記する)4259
grを入れ撹拌しDDEを溶解した。この溶液を水冷浴
で10℃以下に冷却しながら、ピロメリット酸二無水物
(以下PMDAと略記する)39.1gr を徐々に加え
縮重合とし、ねんちょうなポリアミック酸を得、さらに
以後の塗膜作業性を良くするためにこのワニスの回転粘
度が約50ポアズになるまで85℃でクッキングを行っ
た。
【0021】上述のようにして得られたポリアミック酸
ワニスを、ガラス板上にアプリケータを用いて均一に塗
布し100℃の強制通風炉中に1時間放置し予備乾燥を
行ないポリアミック酸フィルムを得、次いでこのポリア
ミック酸フィルムを鉄わくに固定し200℃,300℃
でそれぞれ1時間保持後、琥珀色のポリイミドフィルム
を得た。
【0022】比較例1 合成例で得たポリイミドの線膨張係数は、5.59×1
-5-1 で約35μmの厚みをもつこのフィルムにポ
スチックジャパン製H2766エポキシ−ゴム系接着剤
(以下H2766と略記する)を約20μm塗布し、片
面ニッケルメッキ処理した厚さ35μmの圧延銅箔と張
合わせ、これに油圧式プレス機で40kg/cm2 の圧力
と150℃の熱をかけて30分間保持した。室温でこの
フレキシブル銅張板は大きく湾曲してしまった。
【0023】本発明において使用する線膨張係数とは、
特にことわりがない限りガラス状態におけるもので測定
は、フィルム状の試料をサーモメカニカルアナライザー
(以下TMAと略記する)を用いて行い、その結果ガラ
ス転移点以下で最大傾きをもつ直線部から算出したもの
である。この際注意しなければいけないのは、試料のイ
ミド化が完結していなかったり、残留応力,吸湿水分等
があると、測定途中に試料の収縮が起こり真の線膨張係
数を求めることができないので、試料は、予めそのガラ
ス転移温度以上に加熱し徐冷したものを用いなければな
らないことである。
【0024】合成例2 パラフェニレンジアミン(以下p−PDAと略記する)
20.16 grと3,3′,4,4′−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物(以下s−BPDAと略記する)
54.84 grを用いイミド化の最終の加熱温度を40
0℃とした他は、合成例1と同様にしてポリイミドフィ
ルムを得た。
【0025】実施例1〜3,比較例2,3 合成例1と2で合成したポリアミック酸ワニスを表1の
割合でブレンドし、厚さ35μmの電解銅箔(線膨張係
数2.1×10-5-1)の粗面にアプリケータを用いて
均一に塗布し、強制通風炉中に100℃で1時間乾燥
後、鉄枠に固定し200℃,400℃でそれぞれ1時
間,30分保持した。室温まで冷却後の銅張フィルムの
カールの度合を示す曲率半径と、また銅箔をエッチング
除去したポリイミドフィルムの線膨張係数を測定し、表
1中に示した。ポリイミドの膜厚はほぼ35μmとし
た。
【表1】
【0026】合成例3〜8 表2に示される様にDDE,p−PDA,s−BPDA
を配合し、NMPの量を85grにして合成例2と同様
の操作をしてそれぞれのポリアミック酸ワニス及びポリ
イミドフィルムを得た。ポリイミドフィルムにおけるD
DEとp−PDAの比と線膨張係数の関数を図1に示
す。 実施例4〜6,比較例4〜6 合成例3〜8で得られたポリアミック酸を用いて実施例
1〜3と同様にして各共重合体のフレキシブル銅張板を
作成し、そのカールの度合について検討した。表3にそ
の結果を示す。
【表2】
【表3】
【0027】実施例7〜9,比較例7,8 ジアミンとして、2,5−ジアミノトルエン(25DA
TO)と2,2−ビス{(p−アミノフェノキシ)フェ
ニル}プロパン(BAPP)をテトラカルボン酸二無水
物としてPMDAを用い、合成例1と同様にしてポリア
ミック酸ワニスを合成した。実施例1と同様に銅張りフ
ィルムを試作した結果を合せて表4に示す。
【表4】
【0028】実施例10〜16,比較例9 ジアミンとしてジアミノデュレン(DADU)とDD
E、テトラカルボン酸二無水物としてBPDAと2,2
−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニ
ル}プロパン(BCPOPP)を用いて合成例1と同様
にポリアミック酸ワニスを合成した。濃度は15重量%
である。更に、銅張りフィルムを試作した結果を表5に
示した。
【表5】
【0029】実施例17 ジアミンとしてp−PDAと1,2ビス(γ−アミノプ
ロピル)−1,1,2,2−テトラメタルジシロキサン
(DASi)、テトラカルボン酸二無水物としてBPD
Aを用いて合成例1と同様にポリアミック酸ワニスを合
成した。濃度は15重量%である。更に、銅張りフィル
ムを試作した結果、35μmの片面粗化処理した圧延銅
箔にアプリケータを用いて均一に塗布し、フレキシブル
銅張り板を作製した。得られたポリイミドの線膨張係数
は0.9×10-5-1 で、フレキシブル銅張り板は銅箔
側にカールし、その曲率半径は75mmであった。この銅
張り板の銅箔とポリイミドとの界面の接着強度を測定し
ようとしたが、接着力が非常に強いため、測定出来なか
った。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように本発明のフレキシブル
プリント基板は、導体と絶縁材との間に熱履歴を加えて
もカール,ねじれ,反り等を生じず、しかも充分な接着
力を有するという効果があり、またその製造においては
フィラーやガラス繊維等の異物混入を不要としかつ直接
コートできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリイミドフィルムの成分比率と線膨張係数と
の関係を示す特性図。
【図2】導体と絶縁材との線膨張係数差とフレキシブル
プリント板の湾曲度との関係を示す特性図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大原 周一 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 金城 徳幸 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 今泉 純一 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社下館工場内 (72)発明者 三上 喜勝 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社下館工場内 (72)発明者 池添 善幸 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社下館工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 で表わされるポリアミック酸ワニスを導体箔に直接塗布
    ・乾燥し、加熱イミド化して積層体を得ることを特徴と
    するフレキシブルプリント基板の製造方法。
  2. 【請求項2】加熱イミド化温度が、得られるポリイミド
    のTg以上であることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
  3. 【請求項3】導体箔に予めカップリング剤を塗布する工
    程、または/及びカップリング剤をポリアミック酸ワニ
    スに配合してなることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載のフレキシブルプリント基板の製造方法。
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