JPH0562760U - オートテンショナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】このオートテンショナは、揺動アーム２のハブ
２１の外周面２１ｃに外嵌された状態で、ねじりコイル
ばね４の内周部に密接される弾性スリーブ５を有する。 【効果】ねじりコイルばね４の共振時に、コイル４ａの
軸方向への振動を抑制でき、コイル４ａどうしの接触に
よる異音の発生を防止できる。コイル４ａのピッチを小
さく設定でき、小型化を図れる。揺動アーム２の揺動に
伴うねじりコイルばね４の縮径によって弾性スリーブ５
をハブ２１に圧接でき、両者間の摩擦力による揺動抵抗
を、揺動抵抗付与手段６による揺動抵抗に付加して、充
分な揺動抵抗を得ることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、プーリ等に巻き掛けられたベルト等のテンションを一定にするた めのオートテンショナに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、例えば自動車等のオルターネータ、クーラーポンプ及びパワーステアリ ングポンプ等の複数の補機間に巻き掛けられたベルトのテンションを調整するた めに、オートテンショナが用いられている。 このオートテンショナは、先端にプーリを取り付けた揺動アームを、基盤の軸 部に対して回動自在に軸支し、前記揺動アームを、その回動中心とほぼ同心に設 けられたねじりコイルばねによってベルトを押圧する方向へ回動付勢しているも のであり、ベルトの張力変動やベルトの伸縮に対して追随できるようにしている 。

【０００３】 ところで、エンジンのクランクシャフトの回転数は、例えば４気筒エンジンの 場合、通常１回転毎に２回変動する。この回転変動は、特にエンジンの負荷が大 きい場合に相当大きくなる。このため、ベルトの張力変動も大きくなり、オート テンショナの揺動アームが激しく振動する。この振動は、オートテンショナ自体 の耐久性を低下させるだけでなく、ベルトの寿命を低下させたり、ベルトのスリ ップに伴うベルトの鳴き等の不快状態を生じたりする。

【０００４】 そこで、上記揺動アームがベルトの振動によって簡単に揺動しないように、当 該揺動アームに対して所定の揺動抵抗を与える機構（ダンパ機構）を備えたオー トテンショナが提供されている。このダンパ機構としては、例えば特開平２−１ ６８０４９号公報に示すように、揺動アームの回動軸線回りの複数箇所に、圧縮 コイルばねと摩擦部材とをそれぞれ回転軸線と並行に配列し、上記圧縮コイルば ねの付勢力にて摩擦部材を基盤または揺動アームに押し付けることによって、揺 動抵抗を付与するものが提供されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、このダンパ機構を備えたオートテンショナにおいては、上記圧縮ばね および摩擦部材が、揺動アームを回動付勢するためのねじりコイルばねの内側に 配置されているため、つまり、揺動アームの回動中心に近接しているため、圧縮 コイルばねのばね力を強くしても、トルク的に揺動抵抗をあまり大きくできない という問題があった。

【０００６】 また、上記のねじりコイルばねのコイルのピッチを小さくした場合、共振時に 、各コイルが軸方向に振動し、隣接するコイルどうしが衝突して、異音が発生す る。したがって、これを防止するため、コイルのピッチを一定以上確保しなけれ ばならず、この分、軸方向のスペースが大きくなり、小型化の妨げとなっていた 。

【０００７】 そこで、この考案は、異音の発生を防止することができると共に小型化を達成 することができ、且つ充分な揺動抵抗を確保することができるオートテンショナ を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため、この考案に係るオートテンショナは、基盤と、こ の基盤の軸部にハブが回動自在に軸支されると共に、先端にプーリを取付けた揺 動アームと、揺動アームの回動中心とほぼ同心に配置されると共に、揺動アーム の基盤の軸部に対する相対回動に伴ってねじりを増大させるねじりコイルばねが 上記ハブの外周面に外嵌され、揺動アームに摩擦力による揺動抵抗を付与する揺 動抵抗付与手段を備え、ねじりコイルばねのねじりに対する反力によって揺動ア ームを回動付勢してプーリによってベルトを押圧するオートテンショナにおいて 、 上記揺動アームのハブの外周面に外嵌された状態で、ねじりコイルばねのコイ ルの内周部に密接するように挿入された弾性スリーブを備えたことを特徴とする ものである。

【０００９】

【作用】

上記考案の構成によれば、ねじりコイルばねの共振時に、コイルの軸方向への 振動が、弾性スリーブによって抑制される。したがって、コイルのピッチを小さ く設定してあっても、共振時に隣接するコイルどうしが接触することがない。 また、揺動アームが揺動すると、これに伴ってねじりコイルばねが縮径され、 このねじりコイルばねによって締め付けられた弾性スリーブは、その内周面を、 揺動アームのハブの外周面に摺接させる。この摺接によって弾性スリーブとハブ との間に生じた摩擦力によって、揺動抵抗付与手段と共に揺動アームの揺動を抑 制することができる。

【００１０】

【実施例】

以下実施例を示す添付図面によって詳細に説明する。 図１は、この考案の一実施例のオートテンショナを示す断面図であり、図２は 、図１のＩＩ−ＩＩ線に沿う断面図である。これらの図を参照して、このオート テンショナは、基盤１と、この基盤１の支軸１２によって揺動自在に軸支され、 先端にベルト押圧用のプーリ３が取り付けられた揺動アーム２と、基盤１および 揺動アーム２の両者間に介在し、そのねじり反力により基盤１に対して揺動アー ム２を所定方向に回転付勢するねじりコイルばね４とを備えている。このねじり コイルばね４と揺動アーム２のハブ２１との間にゴム等からなる弾性スリーブ５ が介在されている。

【００１１】 基盤１は、所定の固定部位Ａに沿わせた状態で、ボルトＢ等によって当該固定 部位Ａに対して固定されるものである。基盤１は、上面が開放された有底円筒状 をしており、基盤１の底部１１の中央部から揺動アーム２支持用の支軸１２が突 設されている。この支軸１２の頂部には、ねじ孔１２ａが穿設されている。 揺動アーム２の回動中心部には、ハブ２１が突設されており、このハブ２１の 周囲に、環状のボス２２が一体形成されている。ハブ２１の基端側には、段部２ １ａが設けられている。また、揺動アーム２の回動先端側には、軸３１が突設さ れており、この軸３１に対して軸受を介して上記プーリ３が回転自在に支持され ている。

【００１２】 ハブ２１とボス２２との間の空間には、上記ねじりコイルばね４が支軸１２と ほぼ同心となるように導入されている。上記弾性スリーブ５の外径は、ねじりコ イルばね４が自由状態のときのコイル４ａの内径とほぼ等しくなるように設定さ れている。ねじりコイルばね４が、当該オートテンショナにセットされた状態で は、ねじりコイルばね４に所定のねじりが加えられて縮径されているため、弾性 スリーブ５は、ねじりコイルばね４のコイル４ａの内周部に密接した状態で、コ イル４ａによって締め込まれて圧縮されている。このように圧縮された状態で、 弾性スリーブ５の内周面がハブ２１の外周面２１ｃに圧接されている。

【００１３】 揺動アーム２のハブ２１は、支軸１２に対して緩く嵌め合わされており、揺動 アーム２は、支軸１２の頂部にねじ１６により固定されたワッシャ１３によって 、基盤１に対して回転自在に取り付けられている。ワッシャ１３と揺動アーム２ の段部２１ａとの間には、環状の樹脂プレート１４を介在されており、揺動アー ム２の軸方向の位置を決定している。１５はカバーである。１７は、揺動アーム ２に固定され、揺動アーム２が所定角度揺動した状態で、基盤１側と当接するこ とにより、揺動角度を規制するピンである。

【００１４】 また、揺動アーム２のハブ２１には、先端側から軸方向に延びる複数の収納孔 ２１ｂが円周等配に穿設されており、各収納孔２１ｂには、圧縮コイルばね２３ と、この圧縮コイルばね２３によって基盤１の底部１１側に押圧付勢される摩擦 部材２４とが収納されている。圧縮コイルばね２３と摩擦部材２４とによって、 揺動アーム２の揺動に対して揺動抵抗を付与する揺動抵抗付与手段６が構成され ている。

【００１５】 この実施例によれば、ねじりコイルばね４のコイル４ａの内周部に弾性スリー ブ５を密接させてあるので、ねじりコイルばね４の共振時において、コイル４ａ の軸方向への振動を、弾性スリーブ５によって抑制することができる。したがっ て、共振時のコイル４ａどうしの接触による異音の発生を防止することができる 。また、このように、コイル４ａ間の接触の虞がないので、コイル４ａのピッチ を小さく設定することが可能となり、軸方向のスペースを削減して小型化を達成 することができる。

【００１６】 また、揺動アーム２が揺動すると、この揺動に伴ってねじりコイルばね４が縮 径されて弾性スリーブ５が圧縮され、この弾性スリーブ５の内周面が揺動アーム ２のハブ２１の外周面２１ｃに圧接される。したがって、揺動アーム２の揺動に 伴って、弾性スリーブ５の内周面とハブ２１の外周面２１ｃとの間に、摩擦力が 発生され、この摩擦力も揺動アーム４に対する揺動抵抗として寄与させることが できるので、揺動抵抗付与手段６による揺動抵抗と相まって、充分な揺動抵抗を 確保することができる。

【００１７】 なお、本考案は、上記実施例に限定されるものではなく、揺動抵抗付与手段６ として、揺動アーム２の揺動に伴って揺動アーム２の所定部に圧接される偏心カ ムを採用すること等、この考案の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施す ことができる。

【００１８】

【考案の効果】

以上のように本考案に係るオートテンショナによれば、ねじりコイルばねの共 振時において、コイルの軸方向への振動を、弾性スリーブによって抑制すること ができる。したがって、共振時のコイルどうしの接触による異音の発生を防止す ることができ、また、コイルのピッチを狭く設定することが可能となり、軸方向 のスペースを削減して小型化を達成することができる。さらに、揺動アームの揺 動に伴って、ねじりコイルばねによって圧縮された弾性スリーブを揺動アームの ハブの外周面に圧接させて、揺動抵抗となる摩擦トルクを発生させることができ 、これを、揺動抵抗付与手段による揺動抵抗に付加することにより、充分な揺動 抵抗を確保することができるという種々の特有の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係るオートテンショナの断
面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線断面図である。

【符号の説明】

１ 基盤 ２ 揺動アーム ２１ ハブ ２１ｃ 外周面 ３ プーリ ４ ねじりコイルばね ５ 弾性スリーブ ６ 揺動抵抗付与手段

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】基盤と、この基盤の軸部にハブが回動自在
   に軸支されると共に、先端にプーリを取付けた揺動アー
   ムと、揺動アームの回動中心とほぼ同心に配置されると
   共に、揺動アームの基盤の軸部に対する相対回動に伴っ
   てねじりを増大させるねじりコイルばねが上記ハブの外
   周面に外嵌され、揺動アームに摩擦力による揺動抵抗を
   付与する揺動抵抗付与手段を備え、ねじりコイルばねの
   ねじりに対する反力によって揺動アームを回動付勢して
   プーリによってベルトを押圧するオートテンショナにお
   いて、 上記揺動アームのハブの外周面に外嵌された状態で、ね
   じりコイルばねのコイルの内周部に密接するように挿入
   された弾性スリーブを備えたことを特徴とするオートテ
   ンショナ。