JPH0562535A - 超電導部材 - Google Patents

超電導部材

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JPH0562535A
JPH0562535A JP3223903A JP22390391A JPH0562535A JP H0562535 A JPH0562535 A JP H0562535A JP 3223903 A JP3223903 A JP 3223903A JP 22390391 A JP22390391 A JP 22390391A JP H0562535 A JPH0562535 A JP H0562535A
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oxide superconductor
superconducting
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Mutsuki Yamazaki
六月 山崎
Hisashi Yoshino
久士 芳野
Hiroyuki Fukuya
浩之 福家
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Chodendo Hatsuden Kanren Kiki Zairyo Gijutsu Kenkyu Kumiai
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 成膜時における銀基材表面での表面性の低下
を防止することを可能にすることによって、優れた臨界
電流密度Jc が得られる超電導部材を提供する。 【構成】 銀を主成分とし、銅の含有濃度が100ppm以下
の金属基体を用いる。この金属基体上に、酸化物超電導
体層を積層形成した超電導部材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物超電導体を用い
た超電導部材に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物超電導体は、臨界温度が高くて取
扱い易い、装置の構成要素とした場合に比較的簡単に操
作・運転ができる等の利点が得られること等から、実用
的な面で多くの関心がもたれている。しかし、酸化物超
電導体自体は、いわゆるセラミックス系で可撓性に乏し
いため、例えばコイルに加工することが困難であるとい
うような問題を有している。
【0003】こうした問題に対処して、例えばハステロ
イ等の金属をワイヤ状あるいはテープ状に加工したもの
を支持基材として用いる手段が開発されている。すなわ
ち、上記ワイヤ周面あるいはテ−プ面に、酸化物超電導
体を構成する原料成分(エレメント)を原子状、分子
状、クラスタ状等にして蒸着させ、所望の酸化物超電導
体膜を形成することによって、長尺物を得ようとする試
みがなされている。しかし、上記したような金属基材上
に、直接成膜しても良好な結晶性を有する酸化物超電導
体薄膜は得られにくく、まして結晶方位の中で最も格子
定数の長い方位であるc軸を配向されることができず、
特性的に問題があった。
【0004】このような問題の解決手段としては、金属
基材上にバッファ層と呼称されるSrTiO3 あるいは MgO
等の結晶性薄膜を予め形成した後、酸化物超電導体を成
膜する方法が提案されている。この方法によれば、酸化
物超電導体の結晶性および配向性の向上に有効であるこ
とが確認されている。しかし多くの場合、バッファ層は
絶縁性物質からなっており、そのような構成の線材を用
いた場合、何らかの理由で超電導状態が破れた際に、金
属基材を介して電流を流すことが困難になるため、安全
性ないし信頼性の点で問題が生じてしまう。
【0005】これらに対して、銀を主成分とする長尺な
金属基材を用いた場合には、その表面に直接、良好な結
晶性を有する酸化物超電導体膜を形成することができ、
さらにc軸が成膜面に垂直に配向することが報告されて
いる。この場合には、前述したような方法よりは高い臨
界電流密度Jc を有する膜が得られるものの、 2×104
A/cm2 を超えるものは得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、銀を
主成分とする長尺な金属基材を用い、その上に酸化物超
電導体膜を成膜することによって、金属基材上に直接良
好な結晶性を有し、かつc軸配向させた酸化物超電導体
膜を形成することができる。しかしながら、このように
して得られた超電導線材の臨界電流密度Jc は、酸化物
超電導体自体から想定されるJc には達していない。そ
の原因は、成膜時に銀基材表面で結晶粒界に添ってくぼ
みができ、このくぼみ上に形成された膜はある角度をも
って整合するため、Jc が低下するものと考えられる。
【0007】このようなことから、成膜時における銀基
材表面の上記したような表面性の低下を防止する方法が
強く望まれており、これによって臨界電流密度Jc の高
い超電導線材が得られるものと考えられている。
【0008】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、成膜時における銀基材表面での表面
性の低下を防止することを可能にすることによって、優
れた臨界電流密度Jc が得られる超電導部材を提供する
ことを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の超電導
部材は、銀を主成分とし、銅の含有濃度が100ppm以下の
金属基体と、この金属基体上に積層形成された酸化物超
電導体層とを具備することを特徴としている。
【0010】本発明に用いられる金属基体は、上記した
ように銀を主成分とし、不純物としての銅の含有濃度を
100ppm以下としたものである。ここで言う銀を主成分と
する金属基体とは、銀基体と、銀に金、白金、パラジウ
ムおよびロジウムから得らればれた少なくとも 1種を
0.001重量%〜20重量%の範囲で添加した銀合金基体と
を含むものとする。この銀系基体としては、通常の基板
形状、ワイヤ状やテ−プ状等の長尺形状等、各種形状の
ものを使用することができる。
【0011】上記銀を主成分とする金属基体中の銅の含
有濃度を100ppm以下に規定した理由は、以下の通りであ
る。すなわち、銀系基体中の銅濃度が100ppmを超える
と、例えば 650℃以上に加熱した際、銀系基体表面での
マイグレ−ションが激しくなり、結晶粒界に添ってくぼ
みができることによって、表面性が低下する。これに対
して、銅濃度を100ppm以下とすると、基体そのものの融
点が上がることによって、表面でのマイグレ−ションを
抑制することができ、よって表面性の低下を防止するこ
とが可能となる。したがって、このような基体上に形成
した酸化物超電導体層は、銀系基体表面の結晶粒界に沿
ったくぼみによって、結晶面が角度をもって整合するこ
とを防止することができ、結晶面の平滑性に優れたもの
となるため、高い臨界電流密度Jc を実現することが可
能となる。基体中の銅の含有濃度のより好ましい値は、
50ppm 以下である。
【0012】ここで、本発明において、特に不純物とし
て銅の含有濃度を規定したのは、銅は銀に固溶し、一般
的な銀の精製工程等において銅が混入しやすいためであ
り、通常の銀系基体であれば銅の含有濃度のみを規定す
ることによって、本発明の効果が達成される。ただし、
銀系基体中に鉄やニッケルが100ppm以上含まれると、酸
化物超電導体層との反応が顕著となって、転移温度Tc
の低下、さらには臨界電流密度Jc の低下が起こるた
め、不純物として鉄およびニッケルが含まれる可能性が
ある場合には、それらの含有濃度もそれぞれ100ppm以下
とすることが好ましく、さらに50ppm 以下とすることが
望ましい。
【0013】本発明に用いられる酸化物超電導体として
は、超電導状態を実現し得るものであれば種々の酸化物
を適用することができ、例えば銅系酸化物超電導体が挙
げられる。この銅系酸化物超電導体としては、特に限定
されるものではないが、例えば下記の一般式で実質的に
表されるもの等が例示される。
【0014】La2-x AEx Cu O4 (式中、AEはBa、SrおよびCaから選ばれた少なくとも 1
種の元素を、 xは0.02≦x≦0.08を満足する数を示す) RE Ba2 Cu3 O 7-δ (式中、REは Y、Sc、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu等の希土類元素から選ばれた少なくとも
1種の元素を示し、δは酸素欠損を表し、通常 1以下の
数である) Bi2 Sr2 Ca1 Cu2 O 8+d Bi2 Sr2 Ca2 Cu3 O 10+d Bi2 Sr2 Ca3 Cu4 O 12+d Tl2 Ba2 Ca1 Cu2 O 8+d Tl1 Ba2 Ca1 Cu2 O 7+d Tl2 Ba2 Ca2 Cu3 O 10+d Tl1 Ba2 Ca2 Cu3 O 9+d (上記各式中、 dは酸素の微小な変動を表す。また、Bi
およびTlの一部はPbで、Sr、Ca、Ba等の一部はRE元素で
置換可能) また、本発明における酸化物超電導体層の形成方法とし
ては、例えば反応性蒸着法、スパッタ法、CVD法等の
各種薄膜形成法を適用することが可能である。中でも反
応性蒸着法の一種であるクラスターイオンビーム法によ
れば、イオンエネルギーのアシスト効果によって、低い
基板温度で所望の組織の酸化物超電導体薄膜を形成する
ことが可能であることから、好ましい形成方法といえ
る。
【0015】
【作用】本発明の超電導部材においては、銀を主成分と
する金属基体中の銅濃度を 100ppm 以下としているた
め、酸化物超電導体層形成時における銀系基体表面のマ
イグレーションを抑制することができる。よって、表面
でのマイグレーションに伴う表面性の劣化を防止するこ
とが可能となる。その結果、高い臨界電流密度Jc を有
する酸化物超電導体層が得られる。これは、鉄およびニ
ッケルの含有濃度も100ppm以下とすることによって、よ
り再現性よく達成することができる。また、本発明にお
いては、可撓性を有する銀系基体を用い、その上に直
接、酸化物超電導体層を形成しているため、コイル等へ
の加工が容易であると共に、超電導状態が破れた際に金
属基体を電流のパスとして機能させることができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0017】まず、この実施例で用いた成膜装置につい
て述べる。図1は、この実施例で用いた成膜装置の構成
を示すものである。同図において、1は排気系2に接続
された真空容器である。この真空容器1内には、被着基
体となる金属基体3と、目的とする酸化物超電導体層を
構成する各金属元素の単体あるいは化合物からなる蒸発
源4とが、それぞれの蒸発源4から同時に金属基体3に
向かって蒸発が起こるように、対向して配置されてい
る。これら蒸発源4の加熱方式はいくつか知られている
が、例えば Y、Cu等の高融点物質は電子ビ−ム加熱によ
り蒸発させ、Baのような比較的融点が低い物質は抵抗加
熱により蒸発させる。図示を省略したが、蒸発物質は熱
電子によりイオン化され、電場によって加速されるよう
に構成されている。上記金属基体3を保持するホルダ5
には基体加熱用のヒ―タ6が設置されており、成膜時に
400℃以上、好ましくは 650℃以上に金属基体3を加熱
しておくと、結晶性のよい膜が得られる。
【0018】また、真空容器1内には、先端を細く絞っ
てノズル状とし、真空容器1内に導入されたパイプ7か
ら酸素原子を含むガス例えば O2 、 O3 、CO、CO2 、 N
2 O等が供給される石英管8に、コイル9を巻装したグ
ロー放電発生装置10が設置されている。石英管8の先
端は、金属基体3方向に向けられている。そして上記コ
イル9には、高周波(13.56MHz)電源11からの電力がマ
ッチングボックス12を介して投入されるよう構成され
ているため、グロー放電によってプラズマ化された酸素
活性種が金属基体3近傍に供給される。
【0019】ここで、上記石英管8の先端は、細く絞っ
てあるためにコンダクタンスが低く、排気速度3m3 /min
のクライオポンプにより排気しながら20SCCMのガスを流
すと、真空容器1内の真空度が10-4Torrから10-5Torrの
とき、石英管8内は10-2Torr程度となって、グロ−放電
が起りプラズマが発生する。さらに、石英管8先端のノ
ズルの径は、真空容器1内の圧力との差圧を大きくしよ
うとする場合は小さく、あまり差圧がいらない場合には
比較的大きく設定すればよい。例えば、排気速度3m3 /m
in、流量20SCCMの条件で石英管8内が10-3Torr以上の圧
力になり、プラズマを発生させるとき、ノズル径を1mm
とすると、真空容器1内の圧力は10-5Torr以下となり、
またノズル径を 2mmとすると、10-4Torr以下となる。し
たがって、高真空下で成膜する場合には、ノズル径を細
く選択設定しておくことが好ましい。一方、できる限り
プラズマを広く発生させるためには、ノズル径は大きく
する方がよい。つまり、真空の条件、金属基体3の大き
さ等を考慮して、ノズル径を任意に選択することができ
る。
【0020】さらに、石英管8の径によりプラズマの発
生状態を変えることができる。すなわち、石英管8を太
くすると管内の流速は落ち、またコイル9の径も大きく
なるので、電源からの出力は同じでも放電領域に印加さ
れる電力は大きくなり、酸素の分解率は高くなる。通
常、ノズルの径が 1mm〜 2mmであれば、管の太さは10mm
〜50mm程度が適当である。ただし、これらの径は排気速
度、流量により異なり絶対的なものではない。通常、ノ
ズルの径は10mm以下、好ましくは5mm 以下が望ましく、
石英管8は10mm以上が望ましい。一般的にいうならば、
ノズル径は石英管8の径の1/4 以下、好ましくは1/10以
下とすることが望ましい。
【0021】一方、石英管8先端のノズルと金属基体3
との距離も、成膜時の酸化力に大きく影響をおよぼし、
重要な要因となる。この成膜装置においては、金属基体
3に近いところでプラズマを発生させており、蒸発源4
と金属基体3との距離や金属基体3の大きさを考慮して
決定されるが、金属基体3との距離の 1/2以下、好まし
くは 1/5以下に設定することが望ましい。
【0022】なお、上記グロ−放電を起こさせる手段と
しては、例えば図2ないし図5に示すような構成のもの
を用いても、充分な酸化力が得られる。すなわち、図2
に側面的に示す如く、石英管8をステンレス管からなる
電極13により外包し、石英管8内にガスの導入も兼ね
た接地電極14を設けた構成、図3に同じく側面的に示
す如く、石英管8を断面半円状の電極15a、15bに
より外包した構成のものを用いてもよい。図3に示す構
成の場合、両電極15a、15bとも同電位であっても
よいし、一方を高周波電位、他方を接地電位としてもよ
い。
【0023】また、図4に断面的に示す如く、ステンレ
ス管16等の導電性物質からなるノズルを用いてもよ
く、この場合、一方の電極の役目をなすステンレス管1
6と、ガスの導入管を兼ねた接地電極14とが同電位に
ならないように、絶縁物17により絶縁されている。さ
らに、図5に断面的に示す如く、ガスの導入管を兼ねた
電極14を高周波電位とし、ステンレス管16を接地し
た構成でもよい。これらの方式の場合は、誘電率の低い
石英管チュ−ブを用いた場合に比べてパワ−ロスがなく
効率がよい。しかし、上記図2ないし図4に示す構成の
グロ−放電発生装置を用いた場合には、真空容器1内の
圧力が高くなり、10-3Torr程度になると、真空容器1が
接地されているため、外側の高周波電極と真空容器1内
壁との間に放電が起り、真空容器1内でプラズマが発生
すると共に、負荷インピ−ダンスが大きく変動し、マッ
チングの調整が必要となる。一方、図5に示す構成のグ
ロ−放電発生装置を用いた場合は、常に真空容器1と外
側の電極が同電位であるので、真空容器1内圧力にかか
わらず放電は起こらない。したがって、管内の圧力にの
み負荷インピ−ダンスは依存するため、マッチングの調
整が容易で、常に安定したプラズマを発生させることが
できる。
【0024】次に、上記成膜装置を用いた具体的な超電
導部材の製造例とその評価結果について述べる。
【0025】実施例1 上記構成の成膜装置を用い、ます石英管8先端のノズル
と金属基体3との距離を30mmに設定し、また各蒸発源4
と金属基体3との距離を 300mmに設定した。そして、酸
素流量20SCCM、真空度(真空容器1内)2×10-4Torrの
条件で、Y 、Ba、Cuを用いた三元同時蒸着を行って、 Y
1 Ba1.95Cu3.05 O7-x (0< x≦0.3)の膜を 500nmの厚さ
で銀基板(3)上に成膜し、目的とする超電導部材を得
た。銀基板としては、表1に組成(不純物量)を示す、
ロットの異なる 2種類のものを使用した。
【0026】また、本発明の比較として、不純物量を本
発明の範囲外とした 2種類の銀基板を使用し、上記実施
例と同一条件で Y1 Ba1.95Cu3.05 O7-x 膜を成膜した。
なお、ロットE〜Hの銀基板は参考例として掲げたもの
であり、同様に Y1 Ba1.95Cu3.05 O7-x 膜を成膜したも
のである。
【0027】このようにして得た各超電導部材の転移温
度Tc および臨界電流密度Jc をそれぞれ測定した。そ
れらの結果を表1に併せて示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1から明らかなように、不純物がいずれ
も 10ppm以下であるロットAの銀基板を用いた超電導部
材は、Tc およびJc共に高く、最適であることが分か
る。また、不純物としてのCuが多少増えても、極端に悪
影響を及ぼさないが、100ppmを超えると明らかに特性が
劣化することが分かる。また、FeおよびNiについてはさ
らに敏感で、 50ppmを超えると劣化が見られる。
【0030】さらに、上記酸化物超電導体膜の形成にお
いて、蒸発源4をイオン化クラスタビ−ムにしたとこ
ろ、さらに良好な結果が得られた。すなわち、X線回折
の結果では膜厚、成膜装置のパラメ−タは上記の場合と
同じでありながら、回折パタ−ン上のピ−ク強度は 1桁
大きく、結晶性が向上していることが確認された。上記
ロットAの銀基板を用いた場合Jc は向上し、106 A/cm
2 程度となった。また、金属基板上での配向性がよく、
例えば銀基板上に形成した酸化物超電導体膜は、多結晶
でありながら基板面に対し垂直方向にc軸が強配向して
いた。この理由は、イオン化されたクラスタが電場で加
速され、基板に衝突した時に起こるマイグレ−ション効
果が、通常の蒸着と比較して大きいことに起因すると思
われる。
【0031】次に、上記蒸発源4をイオン化クラスタビ
−ムにした場合、金属基板上に強配向した超電導膜が形
成され易いことに着目し、上記ロットAの銀を基体とし
て用い、図6に構成を示すように、上記ロットAによる
銀ワイヤ18を1cm/分の速度で移動させながら成膜を行
って超電導線材を得た。この超電導線材をコイル状に加
工し、その電流密度を77K で測定したところ、106 A/cm
2 の電流密度を示した。なお、図6において、19はシ
ャッタ、20は基体保持ロ−ラ、21は巻き取りロ−
ラ、22はICBイオン源をそれぞれ示す。
【0032】実施例2 実施例1の場合と同様の成膜装置を用い、金属基体3と
してCu、Fe、Niがいずれも 10ppm以下の銀基板を装着
し、イオンエネルギー、プラズマエネルギーおよび/ま
たは光エネルギーにより加速しながら、実施例1の場合
と同様の酸化物超電導体を形成するエレメントを蒸着さ
せ、c軸配向した酸化物超電導体薄膜を 5nmから 1μm
、好ましくは50nmから 500nmの膜厚を有するように形
成した。この後、CVD法またはレーザ蒸着によって、
500nmから50μm 好ましくは 1μm から20μm の膜厚の
同種の酸化物超電導膜を形成し、酸化物超電導体膜を備
えた超電導部材を得た。
【0033】なお、通常CVD法等の成膜速度は速い
が、特定の基板上でなくてはc軸配向しないが、上記し
たようにイオンエネルギー等により加速しながら行った
場合、成膜速度はCVD法に比較すると若干遅いが、容
易にc軸配向した膜が形成され、その上にCVD法等で
膜を形成した場合は、当然その配向性を維持しつつ成長
・成膜するので、高速でc軸配向した膜が得られる。こ
のように、高速でc軸配向した膜が得られるので、生産
性の点でもより優れているといえる。上記CVD法は、
熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法のいずれで
もよく、プラズマCVD法の場合は原料ガスをより低温
で分解することができ、基板温度を低くすることができ
る。
【0034】実施例3 圧延加工を行った幅 5mm、板厚 0.3mmのCu、Fe、Niがそ
れぞれ 10ppm以下である銀を金属基体として用い、イオ
ンクラスタビ−ム蒸着装置内に装着した。そして、基体
温度を 600℃〜 700℃に保持し、Y 、Ba、Cuをそれぞれ
独立した蒸発源から蒸発させ、クラスターを形成させた
後にイオン化し、約200Vの電圧で加速して基体表面に蒸
着させた。その際、併せて基体近傍に配設しておいたノ
ズルから酸素を吹付けながら高周波電力で励起して、反
応性蒸着を行わせた。成膜速度は5nm/分とした。かく
して、膜厚40nmの酸化物超電導体膜を備えた超電導部材
を得た。この酸化物超電導体膜についてX線回折を行っ
た結果、c面からの回折ピークのみが観察され、基体面
し対し垂直方向に良好なc面配向を示していた。
【0035】次に、上記銀基体をレーザスパッタ蒸着装
置内に設置し、基体温度 600℃、成膜速度 100nm/分で
成膜を行った。なお、レ−ザ−光源には ArFエキシマレ
ーザを用い、また酸素圧は10-1Torrとした。かくして、
成膜した厚さ 5μm の酸化物超電導体膜についてX線回
折を行って結果、c面からの回折ピ−クのみが観察さ
れ、良好なc面配向を示していた。
【0036】実施例4 実施例1の場合と同様に、イオンクラスタビ−ム蒸着装
置内で成膜したc面配向を示す超電導部材を、CVD成
膜装置内に装着し、成膜速度 1μm/時間で成膜をさらに
行なった。CVD法における原料としては、β- ジケト
ン金属錯体である、 Y(C11 H13 O2 3 、Ba(C11 H12 O
2 2 およびCu(C11 H19 O2 2 を使用した。流量150m
l/分でArをキャリヤーガスに用い、 O2 を導入しながら
CVD成膜装置内で成膜を行った。そのときの基体の温
度は 850℃とした。かくして、膜厚を 1.5μm に成長さ
せた酸化物超電導体膜についてX線回折を行った結果、
c面からの回折ピ−クのみが観察され、良好なc面配向
を示していた。
【0037】なお、上記実施例においては、 Y-Ba-Cu-O
系の酸化物超電導体膜の成膜例について説明したが、本
発明はこれらに限られるものではなく、 Bi-Sr-Ca-Cu-O
系、Bi-Pb-Sr-Ca-Cu-O系、 Tl-Ba-Ca-Cu-O系等の酸化物
超電導体を用いた場合においても、同様な効果が得られ
る。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、 6
50℃以上の温度で成膜した際においても、銀系基体表面
でのマイグレ−ションを抑制することができるため、結
晶面の平滑性に優れた酸化物超電導体層を有する超電導
部材が得られる。よって、臨界電流密度Jc 等の超電導
特性の向上を図った超電導部材を提供することが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例で用いた成膜装置の構成を示
す断面図である。
【図2】図1に示す成膜装置のグロ−放電発生装置の他
の構成例を示す図である。
【図3】図1に示す成膜装置におけるグロ−放電発生装
置のさらに他の構成例を示す図である。
【図4】図1に示す成膜装置におけるグロ−放電発生装
置のさらに他の構成例を示す断面図である。
【図5】図1に示す成膜装置におけるグロ−放電発生装
置のさらに他の構成例を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例で用いた連続成膜装置の構成
を示す断面図である。
【符号の説明】
1……真空容器 3……金属基体 4……蒸着源 6……基体加熱ヒ−タ 8……石英管 9……高周波コイル 10…グロ−放電発生装置 11…高周波電源 12…マッチングボックス

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀を主成分とし、銅の含有濃度が100ppm
    以下の金属基体と、 この金属基体上に積層形成された酸化物超電導体層とを
    具備することを特徴とする超電導部材。
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JPH02207589A (ja) * 1989-02-07 1990-08-17 Kyocera Corp 酸化物超電導体配線基板

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