JPH056201Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この考案は、樹脂製ボデー設定車のバツクドア
開口部におけるシール構造に関し、詳しくは、バ
ツクドア開口部のシール性を向上させうるように
構成されたものに関する。

【従来の技術】

オフ・ロード走行用の自動車の中には、ロール
バーの後方の荷台を樹脂製パネルを接合して作ら
れた樹脂製ボデーで覆つて、荷室空間を乗員室と
して利用できるように構成された樹脂製ボデー設
定車がある。 このような樹脂製ボデー設定車に搭載される樹
脂製ボデーは、ルーフパネルと両サイドパネルを
備え、また、その後方部には、ルーフパネルの後
縁から後方斜め下方に、サイドパネルの後縁から
車幅方向内方に、それぞれ延出する開口フランジ
に囲まれて開口を規定された、運転車の後方視界
を確保するために設けられるバツクウインドのた
めのバツクウインド開口が開設されている。そし
て、荷台の横開き式のバツクドア本体とこれに取
り付けられたバツクウインドガラスによつて構成
されるバツクドアの閉時に、バツクウインドガラ
スがバツクウインド開口に嵌まり込み、バツクド
ア本体が荷台のバツクドア開口に嵌まり込むこと
により、バツクウインド開口と荷台のバツクドア
開口とからなるバツクドア開口が閉じられるよう
に構成されている。また、バツクドア開口は、バ
ツクウインド開口部に設けられ、バツクドアの閉
時にバツクウインドガラスの外縁部内面に当接す
るアツパウエザストリツプと、荷台のバツクドア
開口部に設けられ、バツクドアの閉時にバツクド
ア本体の内面に当接するロアウエザストリツプと
によつてシールされる。

【考案が解決しようとする問題点】

ところで、樹脂製ボデーは、運転車の後方視界
を広くとつて安全性の向上を図り、また、乗者の
解放感を高める必要性からも、バツクウインド開
口をできる限り大きく確保しうるように構成され
ている。すなわち、運転者の後方視界を遮ること
になる、バツクウインド開口の奥方において樹脂
製ボデーの内面に一体形成されるウエザストリツ
プ取付部や、あるいはウエザストリツプの取付部
として樹脂製ボデーに取り付けられるオープニン
グフレームのバツクウインド開口内方への露出量
が、これらに装着される上記アツパウエザストリ
ツプのシール構造に支障が及ばない程度に、可能
な限り小さくなるようにしている。したがつて、
アツパウエザストリツプの配設位置も、必然的
に、バツクウインド開口の外方側に、すなわち、
ルーフ側において上下方向上方側に、サイドパネ
ル側において車幅方向外方側に寄せられている。
ところが、これとは反対に、荷台のバツクドア開
口をシールするロアウエザストリツプの配設位置
は、バツクドア本体およびこれがはまり込む開口
部の構造上、必然的に上記アツパウエザストリツ
プの配設位置よりもバツクドア開口の内方側に寄
つた位置となるため、従来から樹脂性ボデー設定
車においては、バツクドア開口のシール性が非常
に悪いという問題点があつた。 すなわち、上述したように、サイドパネル側に
おいて、アツパウエザストリツプは、車幅方向外
方側寄りに、そして、ロアウエザストリツプは、
上記アツパウエザストリツプより車幅方向内方側
に変位して配設されている。したがつて、樹脂製
ボデー設定車では、通常、本願の第１図に示すよ
うに、アツパウエザストリツプ１５におけるバツ
クウインド開口側方を上下方向に延出する部位
は、ロアウエザストリツプ１４における荷台のバ
ツクドア開口側方を上下方向に延出する部位より
もバツクドア開口の外方側に位置しており、両者
の車幅方向位置は一致していない。このため、ト
ツプレール３の上面付近にまで延出しているアツ
パウエザストリツプ１５の下端とロアウエザスト
リツプ１４の上端との間の車幅方向におけるウエ
ザストリツプの不連続部分において、シール構造
が全く構成されないことになるため、上記不連続
部分から雨水が車室内に侵入するという不都合が
あつたのである。 このような問題は、アツパウエザストリツプと
ロアウエザストリツプとを一体的に構成して、上
記不連続部分を無くすことにより解決される。し
かしながら、樹脂製ボデー設定車においては、樹
脂製ボデーを取り外してフルオープン状態では使
用する用途があるため、アツパウエザストリツプ
とロアウエザストリツプと一体構成することはで
きない。 本考案は、以上のような事情のもとで考え出さ
れたもので、荷台の横開き式のバツクドア本体と
これに取付けられたバツクウインドガラスによつ
て構成されるバツクドアを有する樹脂性ボデー設
定車において、バツクドア開口部のシール性を向
上させうるように構成されたシール構造を提供す
ることをその目的とする。

【問題を解決するための手段】

上記問題を解決するため、本考案では、次の技
術的手段を講じている。 すなわち、ロールバーの後方の荷台を覆うよう
に車体に装着された樹脂製ボデーのバツクウイン
ド開口と荷台のバツクドア開口とで構成され、荷
台の横開き式のバツクドア本体とこれに取付けら
れたバツクウインドガラスとからなるバツクドア
が嵌まり込んで閉じられるバツクドア開口を有す
るとともに、樹脂製ボデーのバツクウインド開口
部に取付けられ、上記バツクドアの閉時に上記バ
ツクウインドガラスの内面に当接してバツクウイ
ンド開口をシールするアツパウエザストリツプ
と、荷台のバツクドア開口部に取付けられ、上記
バツクドアの閉時に上記バツクドア本体の内面に
当接して上記バツクドア開口をシールするロアウ
エザストリツプを備えた樹脂製ボデー設定車にお
いて、 荷台のトツプレールに固定される基部と、この
基部から上記バツクウインド開口に沿つて上方に
一体延出形成され、上記アツパウエザストリツプ
の一側部を覆う弾性を備えた第一リツプ部と、上
記基部に一体延出形成されるとともに、上記第一
リツプ部の下端から一体に連続して車幅方向内方
に向かつて延びる弾性を備えた第二リツプ部と、
上記基部から荷台のバツクドア開口に沿つて下方
に一体延出形成され、上記第二リツプ部の車幅方
向内側端から一体に連続して上記ロアウエザスト
リツプの一側部を覆う弾性を備えた第三リツプ部
とをもつシール部材を、バツクドア開口部に設け
ている。

【作用および効果】

荷台のトツプレールに固定された基部からバツ
クウインド開口に沿つて上方に延出してアツパウ
エザストリツプの一側部を覆う第一リツプ部は、
バツクドアの閉時に、アツパウエザストリツプと
ともにバツクウインドガラスの内面に弾性的に当
接する。また、基部から荷台のバツクドア開口に
沿つて下方に延出してロアウエザストリツプの一
側部を覆う第三リツプ部も、バツクドアの閉時
に、ロアウエザストリツプとともにバツクドア本
体の内面に弾性的に当接する。すなわち、バツク
ウインド開口においては、アツパウエザストリツ
プと第一リツプ部によつてシール構造が二重に構
成され、荷台のバツクドア開口においては、ロア
ウエザストリツプと第三リツプ部によつてシール
構造が二重に構成されている。したがつて、アツ
パウエザストリツプやロアウエザストリツプのシ
ール性が悪い場合でも、これが第一リツプ部およ
び第三リツプ部によつて構成されるシール構造に
補われて、バツクウインド開口および荷台のバツ
クドア開口に十分なシール性がもたらされる。 さらに、本考案では、シール部材に、基部に一
体延出形成されるとともに、第一リツプ部の下端
から一体に連続して車幅方向内方に向かつて延
び、その車幅方向の内側端が第一リツプ部よりも
バツクドア開口内方に位置する第三リツプ部の上
端に一体に連続する第二リツプ部を設けている。
そして、トツプレール付近にまで下方に延出する
アツパウエザストリツプの下端を、第一リツプ部
の下端部ないし第二リツプ部の外側端部によつ
て、トツプレール付近にまで上方に延出するロア
ウエザストリツプの上端を、第二リツプ部の内側
端部ないし第三リツプ部の上端部によつてそれぞ
れ覆うとともに、アツパウエザストリツプの下端
とこれよりバツクドア開口内方に位置するロアウ
エザストリツプの上端との間の車幅方向における
ウエザストリツプの不連続部分に、第二リツプ部
を配設している。すなわち、バツクドア開口部の
上記不連続部分には、上記第二リツプ部によるシ
ール構造が構成され、バツクドアの閉時には、第
二リツプ部が、バツクウインドガラス内面ないし
バツクドア本体内面に当接して、アツパウエザス
トリツプおよびロアウエザストリツプによつてシ
ールすることができないバツクドア開口の上記不
連続部分をシールする。したがつて、従来から問
題になつていた上記不連続部分からの車室内への
雨水の侵入は、第二シール部によつて構成される
シール構造により完全に防止される。 以上のように、本考案では、樹脂製ボデー設定
車において、荷台の横開き式のバツクドア本体に
バツクウインドガラスを取付けてバツクドアを構
成した場合に、その構造上から、そしてバツクウ
インド開口をできる限り大きく確保したいという
要望から生じる、バツクドア開口部においてシー
ル構造が構成されないところが存在するという不
都合を解消できる。また、本考案では、一体に連
続する第一リツプ部、第二リツプ部および第三リ
ツプ部によつて、ともすればシール性が悪化しが
ちであつた上記不連続部分周辺において、シール
構造が一様に連続して構成されるので、バツクド
ア開口部のシール性を大いに高めうる。

【実施例の説明】

以下、本考案の一実施例を図面を参照しながら
具体的に説明する。 第３図に示すように、樹脂製ボデー６は、樹脂
製ボデー設定車において、ロールバー１の後方の
荷台２を覆うように車体に装着され、その車体へ
の固定は、サイドパネル８の下方部内面に一体延
出形成された水平状の内向きフランジ８ａが、硬
質のゴム材で形成され、間座として荷台２のトツ
プレール上に載置されるシート部材５を介して、
トツプレール４にボルト止めされることにより行
われる。また、樹脂製ボデー６には、ルーフパネ
ル７の後縁から後方斜め下方に、サイドパネル８
の後縁から車幅方向内方に延出する開口フランジ
９に囲まれて開口を規定されたバツクウインド開
口１０が開設されている。 上記バツクウインド開口１０と荷台２のバツク
ドア開口２ｂとで構成されるバツクドア開口１１
は、荷台２の横開き式のバツクドア本体３とこれ
に取付けられたバツクウインドガラス１３とから
なるバツクドア１２が嵌まり込むことによつて閉
じられる。そして、第１図に示すように、樹脂製
ボデー側には、バツクドア１２の閉時にバツクウ
インド開口１０に嵌まり込むバツクウインドガラ
ス１３の外縁部内面に当接してバツクウインド開
口１０をシールするアツパウエザストリツプが設
けられている。また、荷台側には、バツクドア開
口部２ａにバツクドア開口２ｂを囲むように装着
され、バツクドア１２の閉時に荷台２のバツクド
ア開口２ｂに嵌まり込むバツクドア本体３の内面
に当接して上記バツクドア開口２ｂをシールする
ロアウエザストリツプ１２が設けれられている。 本例では、上記アツパウエザストリツプは、後
述するシール部材取付フランジ９ａの先端部に差
し込まれてこれに固定される基部１５ａと、この
基部１５ａから後方に一体延出する台座部１５ｂ
の後部に一体形成され、伸縮性を有する軟質の樹
脂よりなる中空略円筒状のシール部１５ｃを備え
たウエザストリツプ部材１５によつて構成してい
る。そうして、開口フランジ９の内面からバツク
ウインド開口１０の形状と対応するように一体延
出形成した上記シール部材取付フランジ９ａにウ
エザストリツプ部材１５を装着しており、このウ
エザストリツプ部材１５の上記シール部１５ｃが
バツクウインドガラス１３の内面に当接すること
により、バツクウインド開口１０がシールされる
ようにしている。なお、ウエザストリツプ部材１
５の配設位置は、運転者の後方視界をできるだけ
大きく確保するために、可能な限りバツクウイン
ド開口１０の外方寄りに設定されている。したが
つて、本例においても、ウエザストリツプ部材１
５におけるバツクウインド開口側方を上下に延び
る部位は、一般的な樹脂製ボデー設定車のバツク
ドア開口部の構造と同様に、ロアウエザストリツ
プ１４における荷台２のバツクドア開口側方を上
下に延びる部位よりも車幅方向外方（バツクドア
開口１１の外方寄り）に位置している。 さて、本例では、第１図、第２ａ図および第２
ｂ図に示すように、バツクドア開口部に、トツプ
レール上に固定された基部１６ａからバツクウイ
ンド開口１０および上記シール部材取付フランジ
９ａの先端面に沿つて上方に起立状に一体延出す
る弾性を備えた第一リツプ部１６ｂと、基部１６
ａに一体延出形成され、第一リツプ部１６ｂの後
端部下端から一体に連続して車幅方向内方に向か
つて延びる弾性を備えた第二リツプ部１６ｃと、
基部１６ａの内端部から荷台２のバツクドア開口
２ｂに沿つて下方に一体延出形成され、後端部上
端が第二リツプ部１６ｃの内端と一体に連続する
弾性を備えた第三リツプ部１６ｄをもつシール部
材１６を設けている。上記第一リツプ部１６ｂ
は、ウエザストリツプ部材下端部の内側部を覆つ
ており、また、バツクドア開口外方に向かつて曲
線状に曲がつたその後端部が、シール部１５ｃの
後方部に回り込んでこれを覆つている。そして、
ロアウエザストリツプ上端部の内側部ないし後方
部が、上記第三リツプ部１６ｄによつて覆われて
いるとともに、上記第二リツプ部１６ｃが、ウエ
ザストリツプ部材１５のシール部１５ｃの下端と
ロアウエザストリツプ１４の後方部上端との間を
車幅方向に延びている。また、本例では、既存の
部材を活用して本例のシール構造を低コストで構
成しうるように、上記シート部材５を荷台後部に
まで延出形成して、その後端部を上記基部１６ａ
として利用している。 以上のように構成された本例のシール構造にお
いては、バツクドア開口部の、ウエザストリツプ
部材１５のシール部１５ｃの下端とロアウエザス
トリツプ１４の上端との間の車幅方向におけるウ
エザストリツプの不連続部分に、シール部材１６
の第二リツプ部１６ｃが配設されており、バツク
ドアの閉時には、第二リツプ部１６ｃがバツクウ
インドガラス１３ないしバツクドア本体３の内面
に当接することになる。したがつて、バツクドア
開口部の上記不連続部分は、第二リツプ部１６ｃ
によつてシールされるから、本例のシール構造で
は、従来のように上記不連続部分から車室内へ雨
水が侵入するような不都合は解消される。また、
シール性が悪化しがちな上記不連続部分の周辺部
においても、上記シール部１５ｃとともにバツク
ウインドガラス１３の内面に当接する第一リツプ
部１６ｂと、ロアウエザストリツプ１４とともに
バツクドア本体３の内面に当接する第三リツプ部
１６ｄとが、ウエザストリツプ部材１５およびロ
アウエザストリツプ１４と協働してバツクドア開
口１１をシールするので、バツクドア開口部のシ
ール性が大いに高められる。なお、図において
は、シール部材１６は、バツクドア開口１１の一
側にしか表れていないが、他側にも同様にシール
部材１６が設けられている。 ところで、本考案の範囲は上述した実施例に限
定されるものではなく、たとえば、シール部材を
バツクドア開口の一側あるいは両側に設けるか
は、バツクドア開口部の構造に応じて決める任意
の設計事項である。また、上記実施例では、トツ
プレール上に間座として設けられるシート部材
を、シール部材の基部として利用していたが、シ
ール部材を上記シート部材とは別体に構成しても
よく、さらに、各リツプ部の形状においても種々
設計変更可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図はバツクドア開口部の斜視図であつて、
バツクドアを開けた状態での第３図のＡ部拡大斜
視図、第２ａ図は本考案の実施例に係るシール部
材の斜視図、第２ｂ図は第２ａ図のｂ−ｂ線
断面図、第３図は本考案の実施例に係るシール構
造が構成された樹脂製ボデー設定車の後方斜視図
である。 １……ロールバー、２……荷台、２ａ……バツ
クドア開口部、２ｂ……バツクドア開口、３……
横開き式のバツクドア本体、４……トツプレー
ル、６……樹脂製ボデー、１０……バツクウイン
ド開口、１１……バツクドア開口、１２……バツ
クドア、１３……バツクウインドガラス、１４…
…ロアウエザストリツプ、１５……アツパウエザ
ストリツプ（ウエザストリツプ部材）、１６……
シール部材、１６ａ……基部（シート部材）、１
６ｂ……第一リツプ部、１６ｃ……第二リツプ
部、１６ｄ……第三リツプ部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ロールバーの後方の荷台を覆うように車体に装
   着された樹脂製ボデーのバツクウインド開口と荷
   台のバツクドア開口とで構成され、荷台の横開き
   式のバツクドア本体とこれに取付けられたバツク
   ウインドガラスとからなるバツクドアが嵌まり込
   んで閉じられるバツクドア開口を有するととも
   に、樹脂製ボデーのバツクウインド開口部に取付
   けられ、上記バツクドアの閉時に上記バツクウイ
   ンドガラスの内面に当接して上記バツクウインド
   開口をシールするアツパウエザストリツプと、荷
   台のバツクドア開口部に取付けられ、上記バツク
   ドアの閉時に上記バツクドア本体の内面に当接し
   て上記バツクドア開口をシールするロアウエザス
   トリツプを備えた樹脂製ボデー設定車において、 荷台のトツプレールに固定される基部と、この
   基部から上記バツクウインド開口に沿つて上方に
   一体延出形成され、上記アツパウエザストリツプ
   の一側部を覆う弾性を備えた第一リツプ部と、上
   記基部に一体延出形成されるとともに、上記第一
   リツプ部の下端から一体に連続して車幅方向内方
   に向かつて延びる弾性を備えた第二リツプ部と、
   上記基部から荷台のバツクドア開口に沿つて下方
   に一体延出形成され、上記第二リツプ部の車幅方
   向内側端から一体に連続して上記ロアウエザスト
   リツプの一側部を覆う第三リツプ部とをもつシー
   ル部材を、バツクドア開口部に設けたことを特徴
   とする、樹脂製ボデー設定車のバツクドア開口部
   におけるシール構造。