JPH0561457U - ピニオンストッパーの外れ防止構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】スタータのピニオンが出力軸から飛び出すのを
防止するために設けたピニオンストッパーのクリップか
らの外れを、組立性を悪化させることなく防止する。 【構成】ピニオン４の出力軸２からの飛び出しを防止す
るためのピニオンストッパー６とピニオンストッパー６
を保持するためのクリップ５から構成されている。 【効果】ピニオンストッパーのクリップからの外れを防
止できるので、信頼性が向上する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、たとえば内燃機関を始動するためのスタータに関するものであり、 特に本考案は機関の始動時に、この機関のフライホイルと一体をなすリングギヤ に噛み合いスタータの回転をこれに伝達するピニオンの係止装置の改良に関する 。

【０００２】

【従来の技術】

図４は従来技術の要部断面図である。従来の技術ではスタータの出力軸２の環 状溝部に何の工夫もなく、矢印Ａの方向に外力が作用した場合、ピニオンストッ パー６がクリップ５に作用する力Ｆ₁ とクリップ５が出力軸２の環状溝部から受 ける反力Ｆ₂ との合力Ｆ₃ はクリップ５をつぼめる方向に作用する。なお、この 種の装置に関連するものには、例えば実開昭58−108272号が挙げられる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来技術は、ピニオンストッパーが外部に露出した構造となっている。こ のため、スタータ組立後の検査や輸送時及び機関への装置作業時にピニオンスト ッパーが何かにぶつかると、その衝撃力によりピニオンとピニオンストッパーは ピニオンバネを圧縮して矢印Ａの方向に移動し、ピニオンストッパーがクリップ から外れてしまうという問題点があった。また、従来技術ではピニオンストッパ ーに矢印Ａの方向に力が作用したとき、ピニオンストッパーがクリップから外れ ないように保持しているのはクリップの弾性力である。したがってピニオンスト ッパーの外れを防止するためには、クリップの線径を太くするか、あるいは内径 寸法を大きくして組立後のクリップ弾性力を大きくしなければならない。しかし 、この方法ではピニオンストッパーの組立時に、クリップがピニオンストッパー の内周に入るように、つぼめておく必要があり、また、組立に要する力が大きく なり組立性が悪化するという問題点があった。

【０００４】 本考案は、この点に着目してなされたもので、その目的は組立性を悪化させる ことなくピニオンストッパーの外れを防止するようにしたスタータを提供するも のである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的は、ピニオンストッパーに矢印Ａの方向に外力が働いた場合、クリッ プに作用する力の合力が、クリップを広げる方向に働くように出力軸の環状溝部 に有効な角度のテーパを設けることにより達成される。

【０００６】

【作用】

ピニオンストッパーに矢印Ａの方向に外力が働いたとき、出力軸の環状溝部に 設けたテーパにより、ピニオンストッパーがクリップに作用する力とクリップが 出力軸のテーパ部から受ける反力との合力が、クリップを広げようとする方向に 働くため、ピニオンストッパーの外れを防止することができる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図１，図２により説明する。

【０００８】 図１はスタータの全体図であり、図２は本考案の要部断面図である。図１にお いて、２はモータ１の回転を伝達する出力軸で、この出力軸２の自由端外周には 軸方向に延長するスプライン３が形成され、このスプライン３の各歯先の周りに は機関のフライホイルと一体をなすリングギヤ（図示せず）に係脱自在に噛み合 うピニオン４が移動自在にスプライン嵌合されている。５は上記スプライン３を 形成した出力軸２の外周部の所定位置に形成された環状溝に着脱自在に嵌合され た径方向に弾性を持つＣ字形で、しかも断面円形のクリップで、このクリップ５ には出力軸２の軸端部に嵌合された環状のピニオンストッパー６の係止部が係合 し、このピニオンストッパー６にピニオン４が当接することによりピニオン４が 出力軸２から飛び出すのを防止するよう構成されている。７は上記ピニオン４の 内周面に形成された段部と上記出力軸２の外周面に形成された段部との間に張架 され、ピニオン４を常時ピニオンストッパー６の端面に所定の圧力で圧着するた めのピニオンバネである。

【０００９】 図２において、ピニオンストッパー６のクリップ係合部の反ピニオン側端部 ６ａとクリップ５の素線中心を結ぶ線分と出力軸方向とがなす角度をθ₁° とし たとき、出力軸２の環状溝部のピニオン側に出力軸方向となす角度θ₂° が （９０−θ₁)°より小さいテーパ２ａを設けてある。このためピニオンストッパ ー６に矢印Ａの方向に外力が働いたときピニオンストッパー６がクリップ５に作 用する力Ｆ₁ の方向はθ₁° の方向となる。また、クリップ５が出力軸２のテー パ２ａから受ける反力Ｆ₂ の方向は出力軸方向に対し（９０−θ₂）° の方向と なる。ここで力Ｆ₁ とＦ₂ の方向とがなす角度をθ₃° とすると θ₃＝１８０−（９０−θ₂）＋θ₁ ＝９０＋θ₁＋θ₂ …（数１） また、θ₂＜（９０−θ₁）の関係より次式が成立する。

【００１０】 θ₁＋θ₂＜９０ …（数２） よって、（数１）式と（数２）式より θ₃＜１８０ …（数３） となる。

【００１１】 故にＦ₁ とＦ₂ の合力Ｆ₃ はクリップ５をピニオンストッパー６の環状溝に押 し付けようとする力となる。

【００１２】 なお、図３は出力軸２の外周に軸方向にスプラインを持たない場合の例であり 、この場合も出力軸２の環状溝部に同様のテーパを設ければ、同様の効果を得ら れる事は言うまでもない。

【００１３】 本実施例によれば、ピニオンストッパー６の組立性を悪化させることなく、ク リップ５からの外れを防止することができる。

【００１４】

【考案の効果】

本考案によれば、ピニオンストッパーのクリップからの外れを防止できるので 、信頼性が向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】スタータの全体図である。

【図２】本考案の要部断面図である。

【図３】本考案の要部断面図である。

【図４】従来のスタータの要部断面図である。

【符号の説明】

１…モータ、２…出力軸、２ａ…テーパ、３…スプライ
ン、４…ピニオン、５…クリップ、６…ピニオンストッ
パー、６ａ…ピニオンストッパーのクリップ係合部の反
ピニオン側端部、７…ピニオンバネ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 丸橋 康彦 茨城県勝田市大字高場2520番地 株式会社 日立製作所自動車機器事業部内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】スタータの出力軸に移動自在に嵌合され、
   機関のフライホイルと一体をなすリングギヤに係脱自在
   に噛み合うピニオン、および上記出力軸の環状溝に着脱
   自在に嵌合されたクリップに係合し上記出力軸に移動自
   在に嵌合されたピニオンストッパーを備え、上記ピニオ
   ンを所定位置に停止させるようにしたスタータにおい
   て、ピニオンストッパーのクリップ係合部の反ピニオン
   側端部とクリップの素線中心を結ぶ線分と、出力軸の方
   向とがなす角度をθ₁° とした場合、出力軸に設けた環
   状溝のピニオン側に、出力軸の方向となす角度が（９０
   −θ₁）° より小さい角度θ₂° のテーパを設けたこと
   を特徴とするピニオンストッパーの外れ防止構造。