JPH0560826A - ガス絶縁機器の部分放電検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 接地金属容器内部で生じた部分放電を精度良
く測定できる、信頼性の高いガス絶縁機器の部分放電検
出装置を提供する。 【構成】 絶縁ガスを封入した接地電位の金属容器１内
に高電圧導体を配設してガス絶縁機器を構成する。金属
容器１の外部或は内部表面に、圧電セラミック微粒子を
高分子材料に配合して任意形状に加工した圧電複合材料
センサ３と、ループアンテナ２を配置し、これらを信号
処理装置７に接続する。圧電複合材料センサ３で部分放
電による振動波を検出し、ループアンテナ２で部分放電
時に発生する電磁波を検出することにより、信号処理装
置７で両者の検出結果が一致した場合に部分放電の発生
と判断する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ＳＦ6 ガス等の絶縁性
の優れたガスを絶縁媒体としたガス絶縁機器の部分放電
検出装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、接地電位にある金属容器内に高電
圧導体を配設し、この金属容器内に絶縁性能の優れたガ
ス、例えばＳＦ6 ガスを圧縮充填してなるガス絶縁機器
の採用は、増加の一途をたどっている。このＳＦ6 ガス
は、平等電界のもとでは非常に優れた絶縁特性を示す
が、不平等電界のもとでは極端に絶縁性能が低下する性
質がある。

【０００３】ガス絶縁機器内の電界分布を乱す要因とし
てはいろいろ考えられるが、主なものとしては、高電圧
導体表面の打痕等の欠陥、組立ミスによる高電圧導体部
の接触不良、ボイド等の絶縁スペーサの欠陥等が考えら
れる。

【０００４】以上のような欠陥によりガス絶縁機器内に
不平等電界が形成されると、運転状態において部分放電
が発生し、ついには全路破壊という重大事態に至る可能
性がある。従って、全路破壊に至る前の部分放電を確実
に検出し、その部分放電が全路破壊を引起こす危険性の
多いものであるかどうかの判断をし、全路破壊を未然に
防ぐ必要がある。

【０００５】そこで、部分放電を検出する手段として電
気的方法、音響的方法及び振動的方法の３通りが考えら
れている。

【０００６】このうち電気的方法においては、電気回路
に発生する電流パルスが例えば絶縁スペーサに埋め込ま
れた電極により検出される。この場合、送電線の気中部
分放電や送電線の誘導雑音が部分放電検出回路に侵入
し、検出精度を低下させる。

【０００７】また、音響的方法においては、機器の容器
壁に圧電セラミックよりなる超音波センサを取付け、こ
の超音波センサで部分放電が検出される。しかしなが
ら、この場合、超音波センサは雨音や異物の衝突音をも
部分放電として誤検出する。

【０００８】更に、振動的方法においては、部分放電に
よる容器の微小振動が超音波センサと同様圧電セラミッ
クよりなる振動センサにて検出される。この場合、振動
センサは機器自体の振動に反応するため、検出精度の向
上が期待できない。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】このように従来の部分
放電検出装置は、いずれの方法を採用したものであって
も、外的要因により誤動作し易いものであり、測定精度
を向上させることが困難なものであった。

【００１０】本発明は上記のような従来技術の問題点を
解消するために提案されたもので、部分放電の測定精度
を向上した、信頼性の高いガス絶縁機器の部分放電検出
装置を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明においては、圧電セラミックよりなる超音波・
振動センサを一体化した複合センサの周囲に、更に電磁
波検出用のループアンテナを配置し、これらを両者から
の信号の有無を検出する信号処理装置に接続したことを
特徴とする。

【００１２】

【作用】このような構成を有する本発明においては、部
分放電発生時に生じる電磁波をループアンテナが検出
し、超音波やそれに伴う微小振動を圧電複合材料センサ
が検出し、両者の検出結果が一致した場合に部分放電の
発生と判定するすることにより、一つの信号を検出する
従来技術に比較して、部分放電を精度良く検出すること
が可能となる。

【００１３】

【実施例】

（１）代表的な実施例 以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。図
１において、符号１はＳＦ6 ガス等の絶縁ガスを封入し
た接地金属容器１で、この金属容器１内に図示はしてい
ないが高電圧部が収納されている。この金属容器１の外
部表面の一部には、ループアンテナ２と前記ループアン
テナ２の形状に合わせて成形された圧電複合材料センサ
３が取付けられている。この圧電複合材料センサ３及び
その周囲のループアンテナ２全体の大きさは、本実施例
では、３０ｍｍ×１００ｍｍ×１０ｍｍ程度であるが、
大きさは任意で良い。

【００１４】これらループアンテナ２及び圧電複合材料
センサ３からは信号線４が引き出され、これらの信号線
４が金属容器１外部に設けられた信号線収納箱５に延長
されている。更に、各信号線４は、信号線収納箱５から
信号伝送管６を通じて信号処理装置７へと接続されてい
る。

【００１５】図２に前記圧電複合材料センサ３の詳細を
示す。このセンサ３は、圧電セラミック微粒子を高分子
材料に配合してシート状にした圧電複合材料３ａを、電
極３ｂ，３ｃで挟持してなるもので、圧電複合材料３ａ
で検出された振動は電気信号に変換され、電極３ｂ，３
ｃに伝えられる。前記電極３ｂ，３ｃ端部には信号線４
を接続した端子が設けられ、センサ外部に信号を取出す
ようになっている。このセンサ３は伸縮性に富み、任意
の形状に加工が可能であるため、振動が最も効率良く検
出できる形状に切断され、接地金属容器１外面に沿って
密着配置されている。

【００１６】次に、本実施例の作用効果を説明する。接
地金属容器１の内部で部分放電が生じると、部分放電に
よって生じた電磁波の一部は、図には示していないが容
器１内の高電圧部に電圧を印加するために必要とされる
高電圧用の碍管を通じて、容器１のセンサが配置されて
いる外部表面に達する。この電磁波は、ループアンテナ
２により検出される。また、部分放電によって生じた放
電音や超音波は、接地金属容器１の微小振動となって圧
電複合材料センサ３によって検出される。

【００１７】信号処理装置７においては、ループアンテ
ナ２と圧電複合材料センサ３の両者の信号を検出した時
のみ部分放電と判定し、所定値以上で警報等が発せられ
る。このようにすれば、電磁波を検出するループアンテ
ナ２と放電音・超音波を検出する圧電複合材料センサ３
が部分放電以外の原因によって生じた信号を同時に検出
することは極めて稀と考えられるので、部分放電を精度
良く検出できる。

【００１８】（２）他の実施例 なお、前記実施例ではループアンテナ２及び圧電複合材
料センサ３を金属容器１の外部表面に配置しているが、
これらはその高さが１０ｍｍ程度以下なので、金属容器
内部表面に配置しても良い。また、金属容器１内の異物
が電界によって振動する際の振動なども同時に検出する
ことも可能である。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
容器の外部または内部表面にループアンテナと圧電複合
材料センサを一体化して配置したので、容器内部で生じ
た部分放電を精度良く測定でき、信頼性の高いガス絶縁
機器の部分放電検出装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す正面図。

【図２】図１の実施例における圧電複合材料センサ３の
拡大斜視図。

【符号の説明】

１…接地金属容器 ２…ループアンテナ ３…圧電複合材料センサ ４…信号線 ５…信号線収納箱 ６…信号伝送管 ７…信号処理装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 絶縁ガスを封入した接地電位の金属容器
   内に高電圧導体を配設してなるガス絶縁機器の部分放電
   検出装置において、 圧電セラミック微粒子を高分子材料に配合して任意形状
   に加工した圧電複合材料センサの周囲にループアンテナ
   を配置し、これらを前記金属容器の外部或は内部表面に
   設置し、 圧電複合材料センサにより容器内部で発生した部分放電
   による振動波を検出し、ループアンテナにより部分放電
   時に発生する電磁波を検出し、両者の検出結果が一致し
   た場合に部分放電と判定する信号処理装置を設けたこと
   を特徴とするガス絶縁機器の部分放電検出装置。